(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070426
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/12 20060101AFI20230512BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20230512BHJP
B65D 47/10 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
B65D47/12 200
B65D77/04 B
B65D47/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182599
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】森岡 舜
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067BA03C
3E067BA12B
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067EA18
3E067EA32
3E067EB27
3E067FA04
3E067FC01
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB01
3E084DB12
3E084DB13
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB02
3E084FC07
3E084GA01
3E084GA08
3E084GB01
3E084GB08
3E084GB12
3E084HB02
3E084HD04
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】内袋を容器本体から引き抜きやすい、二重容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、容器本体と、キャップを備える、二重容器であって、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記キャップは、前記容器本体の口部に装着され、前記キャップは、中栓と、オーバーキャップを備え、前記中栓は、前記内袋と軸方向に係合されており、前記オーバーキャップは、前記中栓にネジ係合されており、前記オーバーキャップを軸方向に引っ張ることによって前記内袋を前記容器本体から引き抜き可能に構成されている、二重容器が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、キャップを備える、二重容器であって、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、
前記キャップは、前記容器本体の口部に装着され、
前記キャップは、中栓と、オーバーキャップを備え、
前記中栓は、前記内袋と軸方向に係合されており、
前記オーバーキャップは、前記中栓にネジ係合されており、
前記オーバーキャップを軸方向に引っ張ることによって前記内袋を前記容器本体から引き抜き可能に構成されている、二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器であって、
前記オーバーキャップは、前記オーバーキャップを引っ張る際に前記オーバーキャップに指を引っ掛けることが可能な引掛部を備える、二重容器。
【請求項3】
請求項2に記載の二重容器であって、
前記引掛部は、前記オーバーキャップの外周に設けられ且つ前記オーバーキャップの径方向外側に向かって突出する突出部である、二重容器。
【請求項4】
請求項3に記載の二重容器であって、
前記突出部は、前記オーバーキャップの周方向の一部に設けられている、二重容器。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか1つに記載の二重容器であって、
前記中栓は、本体部と、バンド部を備え、
前記本体部と前記バンド部は、易引裂性の連結部を介して互いに連結されており、
前記バンド部は、前記外殻の口部に軸方向に係合し、
前記本体部は、前記内袋の口部に軸方向に係合し、
前記バンド部は、前記連結部を引き裂いて前記本体部から分離可能に構成される、二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有する容器本体を備える二重容器が知られている。例えば、特許文献1には、外殻プリフォームと内袋プリフォームとを重ねた状態で二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成した二重容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような二重容器の外殻と内袋とが別素材で成形されている場合や、使用後の内袋内に内容物が付着している場合等において、当該二重容器をリサイクルする際には、外殻と内袋とを分離することが望まれる。
【0005】
外殻と内袋は、内袋を容器本体から引き抜くことによって分離することが想定されており、内袋を容器本体から引き抜きやすくすることが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内袋を容器本体から引き抜きやすい、二重容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、容器本体と、キャップを備える、二重容器であって、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記キャップは、前記容器本体の口部に装着され、前記キャップは、中栓と、オーバーキャップを備え、前記中栓は、前記内袋と軸方向に係合されており、前記オーバーキャップは、前記中栓にネジ係合されており、前記オーバーキャップを軸方向に引っ張ることによって前記内袋を前記容器本体から引き抜き可能に構成されている、二重容器が提供される。
【0008】
本発明の二重容器では、オーバーキャップが中栓にネジ係合されているので、オーバーキャップを引っ張っても、オーバーキャップが中栓から外れることがない。このため、オーバーキャップを引っ張って、内袋を容器本体から引き抜くことができ、内袋を容器本体から引き抜きやすい。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の二重容器であって、前記オーバーキャップは、前記オーバーキャップを引っ張る際に前記オーバーキャップに指を引っ掛けることが可能な引掛部を備える、二重容器である。
好ましくは、前記記載の二重容器であって、前記引掛部は、前記オーバーキャップの外周に設けられ且つ前記オーバーキャップの径方向外側に向かって突出する突出部である、二重容器である。
好ましくは、前記記載の二重容器であって、前記突出部は、前記オーバーキャップの周方向の一部に設けられている、二重容器である。
好ましくは、前記記載の二重容器であって、前記中栓は、本体部と、バンド部を備え、前記本体部と前記バンド部は、易引裂性の連結部を介して互いに連結されており、前記バンド部は、前記外殻の口部に軸方向に係合し、前記本体部は、前記内袋の口部に軸方向に係合し、前記バンド部は、前記連結部を引き裂いて前記本体部から分離可能に構成される、二重容器である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1の斜視図である。図中の一点鎖線は、表面形状を構成する面の曲率が変化する境界線を表す。他の図についても同様である。
【
図4】
図3の分解斜視図である。内袋4は、開口端5c近傍の一部のみを図示している。
【
図6】
図6Aは、中栓26を上側から見た斜視図であり、
図6Bは、中栓26を下側から見た斜視図である。
【
図8】内プリフォーム14及び外プリフォーム13が分離されている状態を示す斜視図である。
【
図9】内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって構成されたプリフォーム15
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0012】
1.第1実施形態
1-1.二重容器1の構成
<基本構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態の二重容器1は、容器本体2と、キャップ8を備える。
【0013】
図2~
図3に示すように、容器本体2は、口部5と、胴部6と、底部7を備える。口部5は、開口端5cを有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。口部5は、キャップ8を装着可能な係合部5aを備える。本実施形態では、キャップ8が打栓式であるので、係合部5aは、周方向に突出する環状凸部5a2である。キャップ8は、逆止弁(不図示)を有していてもいなくてもよい。口部5には、フランジ5bが設けられている。フランジ5bは、口部5にキャップ8を装着する際に口部5を支持するために利用可能である。
【0014】
胴部6は、口部5よりも開口端5cから離れた側に口部5に隣接して配置される。胴部6は、口部5よりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、外接円径を意味する。)が大きい。胴部6は筒状であり、底部7は、胴部6の下端に設けられ、胴部6の下端を閉塞する。胴部6は、口部5から離れるにつれて外径が大きくなる肩部6bを備える。また、胴部6は、肩部6bよりも底部7側に、胴部本体6cを備える。胴部本体6cは、例えば、底部7に向かって外径が略一定である形状であるか、又は底部7に向かって縮径する形状である。
【0015】
図4に示すように、容器本体2は、内袋4と、内袋4を覆うように配置された外殻3を備える。内袋4は、突出部4c以外の部位が外殻3内に収容されている。以下の説明では、内袋4のうち、容器本体2の口部5、胴部6、及び底部7に相当する部位をそれぞれ、内袋4の口部5、胴部6、及び底部7のように称する。外殻3についても同様である。
【0016】
容器本体2の高さ方向の中央での外殻3の肉厚は、例えば、0.2~0.8mmであり、0.25~0.5mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。容器本体2の高さ方向の中央での内袋4の肉厚は、例えば、0.05~0.25mmであり、0.08~0.20mmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、0.05、0.08、0.10、0.15、0.20、0.25mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0017】
キャップ8に逆止弁が設けられていない場合は、内袋4の内容物を吐出した後にも内袋4が収縮しないので、外殻3の口部5を通じて、内袋4を引き出すことが容易でない。本発明は、内袋4を外殻3の口部5を通じて引き出すことを容易にするものであるので、キャップ8に逆止弁が設けられていない場合に、本発明を適用する意義が特に顕著である。
【0018】
外殻3の口部5の内径は、例えば20~50mmであり、25~40mmが好ましい。外殻3の口部5の内径は、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。口部5の長さは、例えば15~35mmであり、具体的には例えば、15、20、25、30、35mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0019】
<キャップ8の構造及びキャップ8と容器本体2との係合構造>
キャップ8は、容器本体2の口部5に装着される。
図2に示すように、キャップ8は、中栓26と、オーバーキャップ27を備える。中栓26は、内袋4と軸方向に係合しており、周方向には係合していてもしていなくてもよい。オーバーキャップ27は、中栓26にネジ係合されており、オーバーキャップ27を軸方向に引っ張ってもオーバーキャップ27が中栓26から外れることがない。このため、オーバーキャップ27を軸方向に引っ張ることによって内袋4を容器本体2から引き抜くことが可能になっている。なお、本明細書において、「軸方向」とは、口部5の中心軸Cが延びる方向であり、言い換えると、容器本体2から内袋4を引き抜く方向である。「周方向」とは、口部5の中心軸Cを中心として回転させる方向であり、言い換えると、口部5において内袋4を外殻3に対して、相対回転させる方向である。
【0020】
オーバーキャップ27と中栓26のネジ係合は、正ネジ係合(オーバーキャップ27側からみて、オーバーキャップ27を中栓26に対して時計回りに回転させると締まるネジ係合)であることが好ましい。
【0021】
オーバーキャップ27は、オーバーキャップ27を引っ張る際にオーバーキャップ27に指を引っ掛けることが可能な引掛部27bを備えることが好ましい。このような構成にすることによって、引掛部27bに指を引っ掛けてオーバーキャップ27に引き抜き方向の力を加えることができるので、内袋4の引き抜きが一層容易になる。引掛部27bは、オーバーキャップ27の外周に設けられ且つオーバーキャップ27の径方向外側に向かって突出する突出部27b1であることが好ましい。突出部27b1は、本実施形態では、オーバーキャップ27の全周に設けられている。突出部27b1の外周面には、凹凸形状27b2(例:ローレット)が設けられていることが好ましい。これによって、突出部27b1の外周面を掴んだときに滑りにくくなり、オーバーキャップ27を把持してキャップ8を回転させるのが一層容易になる。
【0022】
キャップ8は、キャップ8の回転(ここでは、外殻3に対する相対回転)に伴って、口部5において内袋4が回転するように構成されていることが好ましい(つまり、キャップ8は、内袋4と周方向に係合していることが好ましい)。このような構成によれば、キャップ8を回転させることによって口部5において内袋4を回転させることが可能である。本実施形態の容器本体2は、内袋4を外殻3に対して相対回転させることによって、内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動するので、キャップ8を回転させることによって、内袋4を容器本体2からせり上がらせることができる。そして、内袋4が容器本体2からせり上がった部分をきっかけとして、内袋4を容器本体2から容易に引き抜くことができる。
【0023】
また、容器本体2の胴部6は、口部5よりも外径が大きいので、単に、内袋4を引っ張るだけでは、外殻3の口部5を通じて内袋4を引き出すことは容易ではないが、内袋4の口部5を回転させて内袋4を捻って内袋4の胴部6を縮径させることによって、内袋4の胴部6が外殻3の口部5を通過しやすくなり、容器本体2から内袋4を容易に引き出すことができる。
【0024】
以下、キャップ8と容器本体2の係合構造をより具体的に説明する。
【0025】
図3~
図4に示すように、内袋4は、外殻3の開口端3aから突出する突出部4cを備える。突出部4cは、突出筒4c1と、係合凸部4c2と、当接フランジ4c4を備える。
【0026】
係合凸部4c2は、突出筒4c1の周面から径方向外側に向かって突出する。係合凸部4c2は、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられる。係合凸部4c2は、上面にテーパー面4c3が設けられている。これによって、後述するように、キャップ8の環状凸部28c(
図6B及び
図7に図示)が係合凸部4c2を乗り越えやすくなっている。
【0027】
当接フランジ4c4は、開口端3aに当接する位置に配置され且つ突出筒4c1よりも拡径された環状部位である。当接フランジ4c4が開口端3aに当接することによって、内袋4が外殻3内に脱落することが回避される。一方、当接フランジ4c4を設けずに、係合凸部4c2を開口端3aに当接させることによって内袋4が外殻3内に脱落することを回避するようにしてもよい。
【0028】
外殻3の口部5の外周面には環状凸部5a2と、環状凸部5a2に間欠的に設けられた突起3kが設けられている。突起3kは、環状凸部5a2上に周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられている。
【0029】
図2、
図6及び
図7に示すように、キャップ8は、打栓式であり、軸方向の力をキャップ8に加えることによってキャップ8を口部5に装着することが可能になっている。
【0030】
図7に示すように、中栓26は、本体部28と、バンド部29を備える。本体部28とバンド部29は、易引裂性の連結部30を介して互いに連結されている。
【0031】
バンド部29は、外殻3の口部5に軸方向に係合する。このため、バンド部29は、外殻3の口部5に対して軸方向の移動が規制される。バンド部29は、外殻3の口部5に周方向に係合していてもいなくてもよい。バンド部29が外殻3の口部5に周方向に係合している場合、バンド部29は、外殻3の口部5に対して周方向の移動が規制される。
【0032】
本体部28は、内袋4の口部5に軸方向に係合する。このため、本体部28は、内袋4の口部5に対して軸方向の移動が規制される。本体部28は、内袋4の口部5に周方向に係合していてもいなくてもよい。本体部28が内袋4の口部5に周方向に係合している場合、本体部28は、内袋4の口部5に対して周方向の移動が規制される。
【0033】
連結部30は、本体部28とバンド部29の間に力(せん断力、回転方向の力など)を加えることによって引き裂くことができるように構成されている。連結部30は、本体部28及びバンド部29よりも薄肉であることが好ましい。
【0034】
バンド部29は、外筒29aと、内筒29bを備える。内筒29bは、外筒29aの内側に配置される。外筒29aと内筒29bは、バンド部29の下端でつながっており、内筒29bは、連結部30を介して本体部28に連結されている。内筒29bは、環状凸部5a2を取り囲むように配置される。内筒29bの内周面には周方向に延びる係合凸部29cが設けられている。係合凸部29cが環状凸部5a2に軸方向に係合することによってバンド部29が、外殻3の口部5に軸方向に係合する。係合凸部29cの下側にはテーパー面が設けられており、係合凸部29cが環状凸部5a2を乗り越えるのに必要な力が低減されている。
【0035】
また、環状凸部5a2に設けられた突起3kが中栓26に押圧されることによって、中栓26が、外殻3の口部5に周方向に摩擦係合される。後述するように、本実施形態の二重容器1は、キャップ8と内袋4が一体となって回転することによって、内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動するように構成されており、意図せずして、キャップ8が外殻3に対して回転すると、内袋4が意図せずして、容器本体2から抜け出してしまうという問題が発生する虞がある。このような問題の発生を防ぐべく、中栓26を外殻3の口部5に周方向に係合させて、キャップ8が外殻3の口部5に対して回転することを抑制している。
【0036】
バンド部29の外筒29aには、薄肉部29a1が設けられている。薄肉部29a1で引き裂きを開始した後に連結部30を引き裂くことによって、バンド部29を取り外すことが可能になっている。
【0037】
本体部28は、外筒28aと、内筒28bと、環状凸部28cと、係合凸部28dと、天板28eと、吐出筒28fと、取付筒28gを備える。
【0038】
天板28eは、外筒28aの上面に設けられる。天板28eの下面には内筒28bが設けられている。内筒28bは、外筒28aよりも直径が小さく、外筒28aの内部に配置される、いわゆるインナーリングである。天板28eの上面には、吐出筒28fと取付筒28gが設けられている。内袋4内の内容物は、吐出筒28fを通って吐出される。
図2に示すように、取付筒28gの外周面には、雄ネジ部28g1が設けられており、雄ネジ部28g1が、オーバーキャップ27の筒部27cの内周面に設けられた雌ネジ部と係合することによって、オーバーキャップ27が中栓26にネジ係合される。この場合、オーバーキャップ27を中栓26に対して相対回転させることによって、オーバーキャップ27を中栓26に対して着脱させることができる。
【0039】
環状凸部28cは、外筒28aの内周面に周方向に延びるように設けられる環状の凸部である。環状凸部28cが係合凸部4c2と軸方向に係合することによって、本体部28が内袋4の口部5に軸方向に係合する。係合凸部28dは、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられている。係合凸部28dは、隣接する係合凸部4c2の間に配置され、これによって、本体部28が内袋4の口部5に周方向に係合する。
【0040】
<外殻3と内袋4の間の係合構造>
図4に示すように、内袋4の外周面には、カム凸部4gと、係合凸部4hが設けられている。カム凸部4gと係合凸部4hは、互いにつながっている。カム凸部4gと係合凸部4hのそれぞれの下面は、それぞれ、口部5の開口端5c側から見て、時計周りに進むにつれて開口端5cに近づくように傾斜している。
【0041】
図5に示すように、外殻3の内周面には、カムレール3lと、係合凹部3mが設けられている。係合凹部3mは、係合凹部3mの下面がカムレール3lの上面と連続するように設けられている。カムレール3lの上面及び係合凹部3mの下面は、開口端3a側から見て、時計周りに進むにつれて開口端3aに近づくように傾斜している。内袋4を容器本体2から引き抜く前の状態では、係合凸部4hが係合凹部3m内に配置されており、カム凸部4gの下面がカムレール3lの上面に当接している。カム凸部4gとカムレール3lによって、カム機構31が構成される。本実施形態では、係合凹部3mは貫通孔であるが、非貫通孔であってもよい。
【0042】
<内袋4の引き抜き方法>
内袋4の引き抜きを開始する前の状態では、キャップ8の本体部28とバンド部29が連結されており、かつバンド部29が外殻3の口部5に軸方向に係合しているので、この状態では、内袋4を容器本体2から引き抜くことはできない。このため、まずは、連結部30を引き裂いて、バンド部29を取り外す。これによって、キャップ8と、外殻3の口部5との係合が解除され、内袋4の引き抜きが可能になる。
【0043】
次に、開口端5cから見て時計回りにキャップ8を回転させる。内袋4は、キャップ8と周方向に係合しているので、キャップ8の回転に伴って内袋4も同じ方向に回転し、カム凸部4gがカムレール3lに沿って移動し、この移動に伴って内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動する。この際に、内袋4が捻られて、内袋4の胴部6が縮径される。なお、開口端5cから見て反時計回りに内袋4を回転させようとすると、カムレール3lを構成する凸部に、内袋4のカム凸部4gが干渉して内袋4を回転させることができないようになっている。このため、内袋4を回転させる方向を間違えることが防止される。
【0044】
キャップ8は、オーバーキャップ27を把持して回転させることができる。オーバーキャップ27と中栓26を正ネジ係合とすることによって、オーバーキャップ27を把持してキャップ8を回転させる際に、オーバーキャップ27と中栓26のネジ係合が緩むことが避けられる。
【0045】
この後は、内袋4を容器本体2から引き抜くようにキャップ8を軸方向に移動させる。キャップ8は、内袋4と軸方向に係合しているので、キャップ8に加えた軸方向の力が内袋4に伝達されて、内袋4が容器本体2から引き抜かれる。この引き抜きは、内袋4が容器本体2からせり上がった状態で行われるので、内袋4の引き抜きに必要な力が低減されている。
【0046】
キャップ8は、オーバーキャップ27を把持して軸方向に移動させることができる。オーバーキャップ27と中栓26をネジ係合とすることによって、オーバーキャップ27を把持してキャップ8を軸方向に移動させる際に、オーバーキャップ27が中栓26から外れることが避けられる。
【0047】
1-2.二重容器1の製造方法
図8~
図9に示すように、容器本体2は、プリフォーム15を加熱して二軸延伸ブロー成形することによって形成することができる。
【0048】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13,プリフォーム15の構成>
プリフォーム15は、一例では、内袋4となる内プリフォーム14に、外殻3となる外プリフォーム13を被せて構成することができる。
【0049】
図8に示すように、内プリフォーム14は、有底筒状であり、口部14aと、胴部14bと、底部14cを備える。口部14aの開口端には、突出部14dが設けられている。突出部14dは、成形時に変形せずにそのままの形状で突出部4cとなる。従って、突出部4cについて述べた事項は、突出部14dにも当てはまる。底部14cは、胴部14bの下端を閉じるように設けられる。底部14cには、位置決めピン14c1が設けられている。内プリフォーム14の口部14aの外周面には、カム凸部4gと係合凸部4hになるカム凸部14g,係合凸部14hが設けられている。
【0050】
図8に示すように、外プリフォーム13は、有底筒状であり、口部13aと、胴部13bと、底部13cを備える。底部13cは、胴部13bの下端を閉じるように設けられる。底部13cには、環状凸部13d及び位置決め孔(不図示)が設けられている。外プリフォーム13の口部13aには、カムレール3lとなるカムレール13lと、係合凹部3mとなる係合凹部13mが設けられている。
【0051】
図9に示すように、プリフォーム15を形成する際に、突出部14dを口部13aの開口端に当接させると共に、位置決めピン14c1を位置決め孔に挿入する。これによって、内プリフォーム14と外プリフォーム13が互いに位置決めされる。この状態では、口部14aと口部13aが対向し、胴部14bと胴部13bが対向する。
【0052】
口部13a,14aがプリフォーム15の口部15aとなり、胴部13b,14bがプリフォーム15の胴部15bとなり、底部13c,14cがプリフォーム15の底部15cとなる。胴部15b及び底部15cが、二軸延伸ブロー成形において主に延伸される。
【0053】
<内プリフォーム14と外プリフォーム13の口部15aでの凹凸係合>
ところで、プリフォーム15を加熱して二軸延伸ブロー成形する際には、通常、プリフォーム15の内周面側(つまり、内プリフォーム14の内周面側)が支持される。プリフォーム15の搬送方法としては、底部15cを下側に向ける正立搬送と、底部15cを上側に向ける倒立搬送があり、正立搬送が一般的であり、好ましい。一方、プリフォーム15を正立搬送すると、外プリフォーム13が内プリフォーム14から外れて脱落してしまうという問題が発生する虞がある。口部15aにおいて外プリフォーム13と内プリフォーム14を強く嵌合させると、外プリフォーム13の脱落を抑制することが可能であるが、その場合、成形によって得られる容器本体2において、内袋4が容器本体2から外れにくくなるという問題が新たに発生する。
【0054】
そこで、使用後には内袋4を容器本体2から容易に引き出すことを可能にしつつ、外プリフォーム13の脱落を抑制すべく、本実施形態では、内プリフォーム14と外プリフォーム13を口部15aにおいて凹凸係合させている。
【0055】
本実施形態では、凹凸係合は、
図8に示すように、内プリフォーム14の口部14aの外周面に設けた係合凸部14hと、外プリフォーム13の口部13aの内面に設けた係合凹部13mの係合である。係合凸部14h及び係合凹部13mがそれぞれ係合凸部4h及び係合凹部3mとなる。
【0056】
<内プリフォーム14と外プリフォーム13の材料・製造方法>
内プリフォーム14及び外プリフォーム13は、ポリエステル(例:PET)やポリオレフィン(例:ポリプロピレン、ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂のダイレクトブロー成形や射出成形等によって形成可能である。一例では、内プリフォーム14がポリオレフィン(例:ポリプロピレン)で構成され、外プリフォーム13はPETで構成される。
【0057】
内プリフォーム14は、ダイレクトブロー成形で形成することが好ましい。ダイレクトブロー成形(溶融状態の筒状パリソンを用いたブロー成形)によれば、積層構造の内プリフォーム14を容易に形成することができる。外プリフォーム13は、射出成形で形成することが好ましい。
【0058】
2.第2実施形態
図10を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、突出部27b1の形状の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0059】
本実施形態では、
図10に示すように、突出部27b1は、オーバーキャップ27の周方向の一部に設けられている。突出部27b1は、180度間隔で2箇所に設けられている。このような構成によれば、オーバーキャップ27を把持してキャップ8を回転させやすいという効果が奏される。
【0060】
3.その他の実施形態
・キャップ8は、ネジ式であってもよい。この場合、中栓26と外殻3は、ネジ係合される。内袋4を引き抜く際には、中栓26と外殻3のネジ係合を解除した後に、オーバーキャップ27を把持して軸方向に移動させることによって、キャップ8を軸方向に移動させて、内袋4を容器本体2から引き抜くことができる。
・引掛部27bとしては、例えば、オーバーキャップ27の側面に凹部を設けて凹部内に指を突っ込んで引っ掛けることができるように構成したものであってもよい。
・内袋4と外殻3の相対回転によって内袋4を容器本体2からせり上がらせるための構成は省略可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 :二重容器
2 :容器本体
3 :外殻
3a :開口端
3k :突起
3l :カムレール
3m :係合凹部
4 :内袋
4c :突出部
4c1 :突出筒
4c2 :係合凸部
4c3 :テーパー面
4c4 :当接フランジ
4g :カム凸部
4h :係合凸部
5 :口部
5a :係合部
5a2 :環状凸部
5b :フランジ
5c :開口端
6 :胴部
6b :肩部
6c :胴部本体
7 :底部
8 :キャップ
13 :外プリフォーム
13a :口部
13b :胴部
13c :底部
13d :環状凸部
13l :カムレール
13m :係合凹部
14 :内プリフォーム
14a :口部
14b :胴部
14c :底部
14c1 :位置決めピン
14d :突出部
14g :カム凸部
14h :係合凸部
15 :プリフォーム
15a :口部
15b :胴部
15c :底部
26 :中栓
27 :オーバーキャップ
27b :引掛部
27b1 :突出部
27b2 :凹凸形状
27c :筒部
28 :本体部
28a :外筒
28b :内筒
28c :環状凸部
28d :係合凸部
28e :天板
28f :吐出筒
28g :取付筒
28g1 :雄ネジ部
29 :バンド部
29a :外筒
29a1 :薄肉部
29b :内筒
29c :係合凸部
30 :連結部
31 :カム機構
C :中心軸