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特開2023-70427圧縮空気用微粒子検出装置及び圧縮空気用フィルタ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070427
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】圧縮空気用微粒子検出装置及び圧縮空気用フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20230512BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20230512BHJP
   G01N 15/08 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
G01N15/06 D
B01D46/42 A
G01N15/06 C
G01N15/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182601
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000148379
【氏名又は名称】株式会社前田シェルサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】前田 達宏
(72)【発明者】
【氏名】住田 悟
(72)【発明者】
【氏名】高橋 功
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058PA01
4D058QA03
4D058QA11
4D058QA13
4D058SA16
(57)【要約】
【課題】圧縮空気の汚れを精度よく評価することのできる圧縮空気用微粒子検出装置を提供する。また、フィルタの交換時期を的確に知ることができる圧縮空気用フィルタ装置を提供する。
【解決手段】本発明の圧縮空気用微粒子検出装置100は、ハウジング10、微粒子センサ7及び基板9を備えている。ハウジング10は、圧縮空気を貯留する貯留室3cが形成されている。微粒子センサ7は、貯留室3c内に設けられ、貯留室3c内の圧縮空気中の微粒子を検知して信号を出力可能である。基板9は、微粒子センサ7と電気的に接続され、信号を処理して圧縮空気の汚れを評価する。ハウジング10には、貯留室3cに圧縮空気を取り入れるとともに、貯留室3cから圧縮空気を吐き出す単一の連通口3dが形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を貯留する貯留室が形成されたハウジングと、
前記貯留室内に設けられ、前記貯留室内の前記圧縮空気中の微粒子を検知して信号を出力可能な微粒子センサと、
前記微粒子センサと電気的に接続され、前記信号を処理して前記圧縮空気の汚れを評価する基板とを備え、
前記ハウジングには、前記貯留室に前記圧縮空気を取り入れるとともに、前記貯留室から前記圧縮空気を吐き出す単一の連通口が形成されていることを特徴とする圧縮空気用微粒子検出装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記微粒子センサを設ける第1面と、前記第1面の裏面であり、前記基板を設ける第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に抜ける挿通孔が形成されたベース部材と、
前記第1面に封止状態で固定され、前記第1面とともに前記貯留室を形成するとともに前記微粒子センサを包囲し、かつ前記連通口が形成された第1ハウジングと、
前記第2面に固定され、前記第2面とともに前記基板を包囲する第2ハウジングとを備え、
前記微粒子センサと前記基板とは、前記挿通孔に封止状態で挿通されたリード線によって接続されている請求項1記載の圧縮空気用微粒子検出装置。
【請求項3】
前記基板は、前記信号に基づいて警告を発する警告部を有している請求項2記載の圧縮空気用微粒子検出装置。
【請求項4】
前記基板は、前記信号に基づく情報を通信可能な通信部を有している請求項1乃至3のいずれか1項記載の圧縮空気用微粒子検出装置。
【請求項5】
ろ過前の圧縮空気が導入される導入通路と、前記導入通路の下流に設けられ、ろ過後の前記圧縮空気を導出する導出通路と、前記導入通路と前記導出通路との間に形成されたろ過室とが形成されたフィルタハウジングと、
前記ろ過室内に交換可能に設けられ、前記導入通路から導入される前記圧縮空気中の微粒子をろ過して前記導出通路から導出させるフィルタとを備えた圧縮空気用フィルタ装置において、
前記フィルタハウジングには、前記ハウジングが一体とされ、前記連通口が前記導出通路に連通するように、請求項1乃至4のいずれか1項記載の圧縮空気用微粒子検出装置が設けられていることを特徴とする圧縮空気用フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気用微粒子検出装置と、圧縮空気用フィルタ装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の圧縮空気用フィルタ装置が開示されている。この圧縮空気用フィルタ装置は、フィルタハウジングと、フィルタとを備えている。フィルタハウジングには、ろ過前の圧縮空気が導入される導入通路と、導入通路の下流に設けられ、ろ過後の圧縮空気を導出する導出通路と、導入通路と導出通路との間に形成されたろ過室とが形成されている。フィルタは、ろ過室内に交換可能に設けられている。また、この圧縮空気用フィルタ装置では、ろ過前の圧縮空気の圧力を表示する入口側圧力計が導入通路に設けられ、ろ過後の圧縮空気の圧力を表示する出口側圧力計が導出通路に設けられている。
【0003】
この圧縮空気用フィルタ装置は、導入通路がエアーコンプレッサと接続され、導出通路がエアーガン等の空気圧機器に接続される。フィルタは、エアーコンプレッサで生成され、導入通路によって導入された圧縮空気中の油分、水分、異物等の微粒子をろ過する。これにより、導出通路から導出される圧縮空気は、微粒子が除去され、空気圧機器を用いた工程等で高い品質を発揮する。
【0004】
この圧縮空気用フィルタ装置では、長期間の使用により、圧縮空気中の微粒子がフィルタに吸着、沈着し、圧縮空気の浄化効果が低下する。そのため、この圧縮空気用フィルタ装置では、フィルタの寿命に応じ、フィルタを交換することが推奨されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-63737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、圧縮空気用フィルタ装置において、フィルタの交換を定期的に行うとすると、フィルタの無用な交換を行うおそれがあるとともに、真に必要なフィルタの交換が遅れるおそれがある。
【0007】
また、圧縮空気用フィルタ装置において、入口側圧力計の表示と出口側圧力計の表示との差によって圧力損失を把握し、この圧力損失に基づいてフィルタを交換することも行われ得るが、例えば、フィルタに繊維目の膨張が生じた場合等、フィルタの寿命は必ずしも圧力損失に反映しない。このため、この場合でも、必ずしも的確な時期にフィルタを交換することができない。
【0008】
この点、実用新案登録第3214850号公報に従来の微粒子センサが開示されている。この微粒子センサは、カバー、投光部、受光部及び発熱部を有している。カバーには外部と連通する吸気口及び排気口が形成され、カバー内には吸気口及び排気口と連通する検出室が形成されている。投光部、受光部及び発熱部は検出室内に設けられている。投光部は検査室内の空気に投光を行い、受光部は空気中の水分や油分等の微粒子によって散乱した光を受光する。発熱部は検査室内の空気を上昇させる。
【0009】
この微粒子センサでは、カバーの外部の空気を吸気口から検査室内に取り入れ、検査室内の空気を排気口から吐き出す。この間、投光部は、発熱部によって検査室内を上昇する空気に投光を行い、受光部はその空気中の微粒子によって散乱した光を受光する。微粒子センサに基板を電気的に接続し、受光部が検出する信号をその基板によって処理すれば、微粒子センサの外部の空気の汚れを評価することが可能である。
【0010】
しかしながら、上記従来の微粒子センサは大気圧下の空気の汚れしか評価することができず、圧縮空気の汚れについては精度よく評価することができない。このため、上記圧縮空気用フィルタ装置にそのままこの微粒子センサを用いたとしても、フィルタの交換時期を的確に知ることができない。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、圧縮空気の汚れを精度よく評価することのできる圧縮空気用微粒子検出装置を提供することを解決すべき課題としている。また、本発明は、フィルタの交換時期を的確に知ることができる圧縮空気用フィルタ装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の圧縮空気用微粒子検出装置は、圧縮空気を貯留する貯留室が形成されたハウジングと、
前記貯留室内に設けられ、前記貯留室内の前記圧縮空気中の微粒子を検知して信号を出力可能な微粒子センサと、
前記微粒子センサと電気的に接続され、前記信号を処理して前記圧縮空気の汚れを評価する基板とを備え、
前記ハウジングには、前記貯留室に前記圧縮空気を取り入れるとともに、前記貯留室から前記圧縮空気を吐き出す単一の連通口が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の圧縮空気用微粒子検出装置では、ハウジングに圧縮空気を貯留する貯留室が形成され、この貯留室内に微粒子センサを設けている。このため、微粒子センサが貯留室内の圧縮空気中の微粒子を検知して信号を出力すれば、基板によって圧縮空気の汚れを評価できる。
【0014】
特に、この圧縮空気用微粒子検出装置では、ハウジングに単一の連通口が形成され、その連通口は、貯留室に圧縮空気を取り入れるとともに、貯留室から圧縮空気を吐き出す。このため、貯留室内に空気の流れが生じ難い。このため、下流で圧縮空気が使用されている場合であっても、貯留室内を圧縮空気が勢いよく流れることはない。このため、本発明の圧縮空気用微粒子検出装置では、下流で圧縮空気が使用されている場合であっても、微粒子センサが貯留室内の圧縮空気中の微粒子を検知し易く、基板が圧縮空気の汚れを精度よく評価できる。
【0015】
本発明の圧縮空気用フィルタ装置は、ろ過前の圧縮空気が導入される導入通路と、前記導入通路の下流に設けられ、ろ過後の前記圧縮空気を導出する導出通路と、前記導入通路と前記導出通路との間に形成されたろ過室とが形成されたフィルタハウジングと、
前記ろ過室内に交換可能に設けられ、前記導入通路から導入される前記圧縮空気中の微粒子をろ過して前記導出通路から導出させるフィルタとを備えた圧縮空気用フィルタ装置において、
前記フィルタハウジングには、前記ハウジングと一体とされ、前記連通口が前記導出通路に連通するように、上記圧縮空気用微粒子検出装置が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明の圧縮空気用フィルタ装置は、フィルタハウジングが上記圧縮空気用微粒子検出装置のハウジングと一体であるため、圧縮空気用微粒子検出装置を個別に用意する必要がない。
【0017】
また、フィルタでろ過された圧縮空気は、導出通路から連通口を経て貯留室に取り入れるとともに、貯留室から連通口を経て導出通路に吐き出される。このため、圧縮空気用フィルタ装置の下流で圧縮空気が使用されている場合であっても、圧縮空気用フィルタ装置自体でフィルタの汚れを精度よく評価できる。このため、本発明の圧縮空気用フィルタ装置自体でフィルタの交換時期を的確に知ることができる。
【0018】
圧縮空気用微粒子検出装置のハウジングは、ベース部材と、第1ハウジングと、第2ハウジングとを備え得る。ベース部材は、微粒子センサを設ける第1面と、第1面の裏面であり、基板を設ける第2面とを有している。ベース部材は、第1面から第2面に抜ける挿通孔が形成されている。第1ハウジングは、第1面に封止状態で固定される。第1ハウジングは、第1面とともに貯留室を形成するとともに微粒子センサを包囲し、かつ連通口が形成されている。第2ハウジングは第2面に固定される。第2ハウジングは、第2面とともに基板を包囲する。微粒子センサと基板とは、挿通孔に封止状態で挿通されたリード線によって接続されていることが好ましい。この場合には、微粒子センサを貯留室内に設けつつ、基板を大気下に設けることができ、基板を安定して動作させることができるとともに、基板の延命化を図ることができる。
【0019】
基板は、信号に基づいて警告を発する警告部を有していることが好ましい。この場合、ユーザは、警告によって圧縮空気の汚れやフィルタの汚れを評価することができる。
【0020】
基板は、信号に基づく情報を通信可能な通信部を有していることが好ましい。この場合、ユーザは、通信部と通信可能なPCやスマートホン等によって圧縮空気の汚れやフィルタの汚れを評価することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の圧縮空気用微粒子検出装置は、圧縮空気の汚れを精度よく評価することができる。特に、圧縮空気用微粒子検出装置は、下流で圧縮空気が使用されている場合であっても、圧縮空気の汚れを精度よく評価することができる。
【0022】
また、本発明の圧縮空気用フィルタ装置は、フィルタの交換時期を的確に知ることができる。特に、本発明の圧縮空気用フィルタ装置は、下流で圧縮空気が使用されている場合であっても、フィルタの交換時期を的確に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置に係り、ある角度から見た斜視図である。
図2図2は、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置に係り、他の角度から見た斜視図である。
図3図3は、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置に係り、ある角度から見た分解斜視図である。
図4図4は、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置に係り、他の角度から見た分解斜視図である。
図5図5は、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置等の水平断面図である。
図6図6は、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置における基板等のブロック構成図である。
図7図7は、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置の使用状態を示す正面図である。
図8図8は、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置の他の使用状態を示す図である。
図9図9は、実施例2の圧縮空気用フィルタ装置を示す斜視図である。
図10図10は、実施例2の圧縮空気用フィルタ装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例1)
図1~4に示すように、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置100は、金属製のベース部材1と、金属製の第1ハウジング3と、樹脂製の第2ハウジング5とを備えている。ベース部材1、第1ハウジング3及び第2ハウジング5がハウジング10に相当する。また、この圧縮空気用微粒子検出装置100は、図3~5に示すように、微粒子センサ7と、基板9と、Oリング11、13と、グロメット15と、透明シール17とを備えている。
【0026】
図4及び図5に示すように、ベース部材1は、平面視で略正方形状をなす平板状の平板部19と、平板部19から突出する突出部21とからなる。突出部21は、平板部19の中心から厚さ方向に延びる軸心Xを中心線とする円柱状に短く突出している。突出部21の先端面が第1面1aとされ、第1面1aの裏面である平板部19の底面が第2面1bとされている。第1面1aと第2面1bとは挿通孔1cによって連通している。突出部21の周面には雄ねじ1dが形成されている。また、第1面1aには、微粒子センサ7を固定するためのねじ穴1e、1fが凹設されている。
【0027】
第1ハウジング3は、軸心Xを中心線とする円筒状の円筒部23と、円筒部23の先端で円板状をなす円板部25とからなる。図5に示すように、円筒部23における円板部25とは反対側の先端の内側には、テーパ面3aが形成されている。テーパ面3aとベース部材1の平板部19との間にはOリング11が設けられている。また、円筒部23の内周面には、テーパ面3aと連続して雌ねじ3bが形成されている。雌ねじ3bはベース部材1における突出部21の雄ねじ1dと螺合するようになっている。
【0028】
テーパ面3aと平板部19との間にOリング11を設けつつ、雄ねじ1dに雌ねじ3bを螺合することにより、第1ハウジング3はベース部材1に固定される。これにより、第1ハウジング3の内面とベース部材1の第1面1aとが貯留室3cを形成する。
【0029】
第1ハウジング3の円板部25には、軸心Xを中心線とする単一の連通口3dが貫設されている。連通口3dには雌ねじ3eが形成されている。連通口3dは貯留室3cを外部に連通している。
【0030】
図3及び図5に示すように、第2ハウジング5は、略四角筒状の角筒部27と、角筒部27の先端において平面視で略正方形状をなす平板状の角板部29とからなる。図5に示すように、角筒部27における角板部29とは反対側の先端には四角環状のリング溝5aが形成されている。また、角筒部27には、リング溝5aの外周側にカバー部5bが形成されている。カバー部5bはベース部材1の平板部19の周面と嵌合するようになっている。
【0031】
リング溝5aにOリング13を設けつつ、カバー部5bをベース部材1の平板部19に嵌合することにより、第2ハウジング5はベース部材1に固定される。これにより、第2ハウジング5の内面とベース部材1の第2面1bとが基板室5cを形成する。
【0032】
図2及び図3に示すように、第2ハウジング5の角筒部27には、大気穴5dが貫設されている。大気穴5dは基板室5cを外部に連通している。大気穴5dにはグロメット15が嵌合されている。大気穴5dの左右には角筒部27をブラケット等に取り付けるための取付穴5h、5iが設けられている。
【0033】
また、図1及び図3に示すように、第2ハウジング5の角板部29には、確認窓5e、5f、5gが貫設されている。確認窓5e、5f、5gは基板室5cを外部に連通している。
【0034】
図3~5に示すように、微粒子センサ7は、ねじ31a、31bをベース部材1のねじ穴1e、1fに螺合することによってベース部材1の第1面1aに固定され、貯留室3c内に設けられている。微粒子センサ7には吸気口7a及び排気口7bが形成され、内部に発光部と受光部とを有している。吸気口7a及び排気口7bは微粒子センサ7の内部と貯留室3cとを連通している。発光部及び受光部はLEDによって構成されている。
【0035】
図4に示すように、基板9は、ねじ33a~33dを第2ハウジング5の図示しないねじ穴に螺合することによって第2ハウジング5の角板部29に固定され、貯留室3c内に設けられている。図5に示すように、微粒子センサ7と基板9とはリード線35によって接続されている。リード線35はベース部材1の挿通孔1cを挿通している。挿通孔1cは、貯留室3cを気密に保つため、グリスによってリード線35を封止状態で挿通させている。
【0036】
基板9には、図6に示すように、入力インターフェース9a、マイコン9b、出力インターフェース9c、表示装置9d、通信装置9e及び図示しない電源回路が設けられている。表示装置9dが警告部に相当する。通信装置9eは、起動によって赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信が可能になっている。通信装置9eが通信部に相当する。基板9には、その他リセットボタン、作動ランプ、電源ランプ等が設けられている。グロメット15は、基板室5c内に水分が進入しないよう、電源回路に接続される図示しない電源コードを封止状態で挿通させている。
【0037】
図1及び図3に示すように、透明シール17は第2ハウジング5の角板部29に貼り付けられ、確認窓5e、5f、5gを視認可能としつつ、基板室5c内に水分が進入しないようにしている。確認窓5eの中心にはリセットボタンが設けられており、確認窓5eは作動ランプを透視できるようになっている。ユーザがリセットボタンを押圧すれば、マイコンが初期に戻る。作動ランプが点灯しておれば、圧縮空気用微粒子検出装置100が作動中であることがわかる。確認窓5fは表示装置9dの警告ランプを透視できるようになっている。警告ランプが消灯しておれば、圧縮空気は清浄である。警告ランプが赤色に点灯すれば、圧縮空気が汚れている。確認窓5gは電源ランプを視認できるようになっている。電源ランプが点灯しておれば、電源が基板9及び微粒子センサ7に供給されていることがわかる。
【0038】
上記のように構成された圧縮空気用微粒子検出装置100は、図7に示すように、圧縮空気用フィルタ装置50とともに用いられ得る。圧縮空気用フィルタ装置50は特許文献1等で公知のものである。
【0039】
この場合、エアーコンプレッサ51と接続された配管53が圧縮空気用フィルタ装置50の導入通路50aに接続され、空気圧機器55と接続された配管57が圧縮空気用フィルタ装置50の導出通路50bに接続される。
【0040】
配管57には、図5に示すように、開口57aが形成されており、開口57aには螺合によって枝管59が設けられている。枝管59には雄ねじ59aが形成されており、雄ねじ59aに圧縮空気用微粒子検出装置100の雌ねじ3eが螺合される。
【0041】
エアーコンプレッサ51で生成された圧縮空気は、配管53によって導入通路50aから圧縮空気用フィルタ装置50内に導かれ、圧縮空気用フィルタ装置50の図示しないフィルタによって油分、水分、異物等の微粒子がろ過される。これにより、導出通路50bから配管57によって導出される圧縮空気は、空気圧機器55に導かれ、空気圧機器55を用いた工程等で高い品質を発揮する。
【0042】
この間、図5に示すように、配管57内の圧縮空気は、開口57a、枝管59内及び連通口3dを経て圧縮空気用微粒子検出装置100の貯留室3c内に取り入れられる。貯留室3c内の圧縮空気は吸気口7aから微粒子センサ7内に取り入れられ、排気口7bから貯留室3c内に吐き出される。発光部は微粒子センサ7内の圧縮空気に投光を行い、受光部は発光部が投光した光を受光する。
【0043】
微粒子センサ7のアナログ出力は入力インターフェース9aのA/D変換回路を介してデジタル信号に変換され、マイコン9bで処理され、出力インターフェース9cに送られる。マイコン9bでは、微粒子センサ7によって検知された浮遊微粒子量と閾値とを比較し、浮遊微粒子量が閾値を一定量以上超えていると判断すれば、出力インターフェース9cを介して表示装置9d及び通信装置9eを起動する。
【0044】
表示装置9dが起動すれば警告ランプが赤色に点灯し、ユーザは確認窓5fによって圧縮空気が汚れていることを知ることができる。つまり、圧縮空気用微粒子検出装置100は、圧縮空気用フィルタ装置50でろ過された圧縮空気の汚れを評価できる。
【0045】
特に、この圧縮空気用微粒子検出装置100では、ハウジング10に単一の連通口3dが形成されているに過ぎない。このため、貯留室3c内の圧縮空気は、圧縮空気を取り入れる連通口3d、枝管59内及び開口57aを逆に移動して配管57内に吐き出されるため、貯留室3c内に空気の流れが生じ難い。このため、下流の空気圧機器55で圧縮空気が使用されている場合であっても、貯留室3c内を圧縮空気が勢いよく流れることはなく、微粒子センサ7が貯留室3c内の圧縮空気中の微粒子を検知し易く、基板9が圧縮空気の汚れを精度よく評価できる。
【0046】
したがって、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置100によれば、下流で圧縮空気が使用されている場合であっても、圧縮空気の汚れを精度よく評価することができる。このため、圧縮空気用フィルタ装置50のフィルタの交換時期を的確に知ることができる。
【0047】
また、この圧縮空気用微粒子検出装置100では、微粒子センサ7を貯留室3c内に設けつつ、基板9を大気下に設けていることから、基板9を安定して動作させることができるとともに、基板9の延命化を図ることができる。
【0048】
さらに、この圧縮空気用微粒子検出装置100では、基板9が表示装置9dを有し、第2ハウジング5が表示装置9dを視認可能に形成されているため、ユーザは、視覚によって圧縮空気の汚れやフィルタの汚れを評価することができる。
【0049】
また、この圧縮空気用微粒子検出装置100では、基板9が通信装置9eを有しているため、図8に示すように、ユーザが圧縮空気用微粒子検出装置100から離れていても、ユーザは、通信装置9eと通信可能なスマートホン14等によって圧縮空気の汚れやフィルタの汚れを評価することができる。
【0050】
なお、上記実施例1では、表示装置9dが視覚によって圧縮空気の汚れやフィルタの汚れをユーザに知らせたが、他の実施例として、音出力装置を警告部として採用し、圧縮空気の汚れやフィルタの汚れを音声や音によってユーザに知らせるように構成することも可能である。
【0051】
(実施例2)
実施例2は、図9及び図10に示すように、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置100を一体に組付けた圧縮空気用フィルタ装置200である。
【0052】
この圧縮空気用フィルタ装置200は、金属製の仕切り部材61と、仕切り部材61の上部に設けられた樹脂製の上部ハウジング63と、仕切り部材61の下部に設けられた樹脂製の下部ハウジング65とを備えている。仕切り部材61、上部ハウジング63及び下部ハウジング65がフィルタハウジングに相当する。
【0053】
仕切り部材61には、図10に示すように、上方に円筒状に突出する上筒部61aと、下方に円筒状に突出する下筒部61bとが形成されている。上筒部61aの内周には雌ねじ61cが形成され、下筒部61bの内周には雌ねじ61dが形成されている。
【0054】
上部ハウジング63は下方に開口を有する有底筒状をなしている。上部ハウジング63の外周面の下端には、仕切り部材61の雌ねじ61cと螺合する雄ねじ63aが形成されている。雌ねじ61cに雄ねじ63aを螺合することにより、仕切り部材61と上部ハウジング63とによって上部ろ過室71が形成される。
【0055】
下部ハウジング65は上方に開口を有する有底筒状をなしている。下部ハウジング65の外周面の上端には、仕切り部材61の雌ねじ61dと螺合する雄ねじ65aが形成されている。雌ねじ61dに雄ねじ65aを螺合することにより、仕切り部材61と下部ハウジング65とによって下部ろ過室73が形成される。
【0056】
仕切り部材61には、導入通路67と導出通路69とが形成されている。導入通路67は、仕切り部材61の水平方向の一端に開口67aを有し、水平方向に延びた後、仕切り部材61の中心部分で下方に屈曲し、開口67bによって下部ろ過室73内に開いている。導出通路69は、仕切り部材61の水平方向の他端に開口69aを有し、水平方向に延びた後、仕切り部材61の中心部分で上方に屈曲し、開口69bによって上部ろ過室71内に開いている。また、仕切り部材61の外周部分には、下部ろ過室73と上部ろ過室71とを上下に連通する複数本の連通路75が形成されている。
【0057】
仕切り部材61には、開口69b周りで上方に突出する上部ボス61eと、開口67b周りで下方に突出する下部ボス61fとが形成されている。上部ハウジング63の内面には、上部ボス61eと同軸のボス63bが下方に突出して形成されている。上部ボス61eとボス63bとの間には、円筒状の上部フィルタ77が保持されている。上部フィルタ77は、仕切り部材61の雌ねじ61cと上部ハウジング63の雄ねじ63aとの螺合を外すことにより、上部ボス61e及びボス63bから取り外し可能である。
【0058】
下部ボス61fには下部フィルタ79が保持されている。下部フィルタ79は、開口67bを覆う内側フィルタ79aと、内側フィルタ79aの外側で筒状をなす外側フィルタ79bとを有している。下部フィルタ79は、仕切り部材61の雌ねじ61dと下部ハウジング65の雄ねじ65aとの螺合を外すことにより、下部ボス61fから取り外し可能である。上部フィルタ77及び下部フィルタ79がフィルタに相当する。
【0059】
下部ハウジング65の下端にはドレン開口65bが上下で貫設されており、ドレン開口65bにはドレン装置81が取り付けられている。
【0060】
また、この圧縮空気用フィルタ装置200は、ブルドン管を用いた入口側圧力計83と、実施例1の圧縮空気用微粒子検出装置100とを備えている。入口側圧力計83は、導入通路67内の圧力を検知するようになっている。圧縮空気用微粒子検出装置100は、仕切り部材61が第1ハウジング3と一体とされ、連通口3dが導出通路69に連通している。
【0061】
この圧縮空気用フィルタ装置200がエアーコンプレッサ51と接続された場合、エアーコンプレッサ51から供給される圧縮空気は、開口67aから導入通路67に導入される。この際の圧縮空気の圧力は入口側圧力計83によって表示される。
【0062】
導入通路67に導入された圧縮空気は、開口67bを経て下部フィルタ77の内側フィルタ77aによってろ過される。内側フィルタ77aを経た圧縮空気は下部フィルタ77の外側フィルタ77bによってろ過され、連通路75に導入される。この間に分離された油分や水分は、ドレン装置79によって外部に排出される。
【0063】
連通路75を経た圧縮空気は上部フィルタ77の外周に導かれ、上部フィルタ77でろ過される。上部フィルタ77でろ過された圧縮空気は開口69bから導出通路69に導かれ、開口69aから下流に吐出される。
【0064】
この際、この圧縮空気用フィルタ装置200では、仕切り部材61が圧縮空気用微粒子検出装置100の第1ハウジング3と一体であるため、圧縮空気用微粒子検出装置100を個別に用意する必要がない。
【0065】
また、この圧縮空気用フィルタ装置200では、上部フィルタ77及び下部フィルタ79でろ過された圧縮空気は導出通路69に供給される。この際、図5に示すように、圧縮空気は、導出通路69から連通口3dを経て貯留室3cに取り入れるとともに、貯留室3cから連通口3dを経て導出通路69に吐き出される。
【0066】
したがって、圧縮空気用フィルタ装置200の下流で圧縮空気が使用されている場合であっても、圧縮空気用フィルタ装置200自体で上部フィルタ77及び下部フィルタ79の汚れを精度よく評価できる。このため、この圧縮空気用フィルタ装置200自体で上部フィルタ77及び下部フィルタ79の交換時期を的確に知ることができる。
【0067】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、工場等における空気利用設備に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
3c…貯留室
10…ハウジング(1…ベース部材、3…第1ハウジング、5…第2ハウジング)
7…微粒子センサ
9…基板
3d…連通口
100…圧縮空気用微粒子検出装置
1a…第1面
1b…第2面
1c…挿通孔
35…リード線
9d…警告部(表示装置)
9e…通信部(通信装置)
50a、67…導入通路
50b、69…導出通路
71、73…ろ過室(71…上部ろ過室、73…下部ろ過室)
61、63、65…フィルタハウジング(61…仕切り部材、63…上部ハウジング、65…下部ハウジング)
77、79…フィルタ(77…上部フィルタ、79…下部フィルタ)
50、200…圧縮空気用フィルタ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10