(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070434
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】ボード及びこれを備えたベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 19/02 20060101AFI20230512BHJP
【FI】
A47C19/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182614
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】392030623
【氏名又は名称】株式会社ランダルコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 匡行
(57)【要約】
【課題】湾曲したヘッドボード又はフットボードに適用されるボードにおいて、本体部に作用した力による損傷を抑制する。
【解決手段】ベッド本体1aの長手方向の縁部に幅方向に沿って立設された木製の本体部13と、この本体部13に設けられたベッド本体1a側に対する取付部15とを備えたボード11であって、本体部13は、立設方向に沿った縦の繊維方向を有する二枚の縦単板23を幅方向に沿った横の繊維方向を有する二枚の横単板21で挟むように積層してなり、幅方向の中央部が長手方向の外側に凸になるように湾曲した。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド本体の長手方向の縁部に幅方向に沿って立設された木製の本体部と、
該本体部に設けられた前記ベッド本体側に対する取付部とを備えたボードであって、
前記本体部は、立設方向に沿った縦の繊維方向を有する二枚の縦単板を前記幅方向に沿った横の繊維方向を有する二枚の横単板で挟むように積層してなり、前記幅方向の中央部が前記長手方向の外側に凸になるように湾曲した、
ボード。
【請求項2】
請求項1のボードであって、
前記本体部は、積層方向の両側と中央に位置した三枚の横単板を有し、前記中央の横単板と前記両側の横単板との間でそれぞれ二枚の縦単板を挟むように積層された、
ボード。
【請求項3】
請求項1又は2のボードであって、
前記本体部は、前記立設方向において前記ベッド本体から離間するに応じて湾曲が大きくなる、
ボード
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項のボードであって、
前記取付部は、前記本体部に対して一体に設けられ、前記本体部と同一の積層構造を有する、
ボード。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項のボードであって、
前記取付部は、前記幅方向に間隔を空けて配置された一対の取付片からなり、
前記一対の取付片にそれぞれ取り付けられる取付金具と、
前記幅方向で前記一対の取付片間にわたって設けられ前記一対の取付片に取り付けられたカバーと、
を備えた、
ボード。
【請求項6】
請求項5のボードであって、
前記取付金具は、前記カバーと共に前記取付片に共締めされた、
ボード。
【請求項7】
請求項5又は6のボードであって、
前記カバーは、前記本体部から前記長手方向の内側に突出し前記本体部と前記ベッド本体側との間の隙間を覆う突出部を備えた、
ボード。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項のボードを備えたベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドのヘッドボード又はフットボードとして用いられるボード及びこれを備えたベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のベッドは、例えば特許文献1に記載のように、ベッド本体の長手方向両側に湾曲したヘッドボード及びフットボードを有するものがある。このヘッドボード及びフットボードに用いられるボードは、ベッドの幅方向における中間部がベッドの長手方向の外側に凸になるように湾曲した本体部を有しており、ベッドの長手方向に変形し難く、必要な剛性を確保し易いものとなっている。
【0003】
しかし、ボードは、本体部が変形し難くなると、本体部に作用した力がベッド本体側に対する取付部にそのまま作用するため、本体部と取付部との間で損傷し易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、湾曲したヘッドボード又はフットボードに適用されるボードにおいて、本体部に作用した力によって損傷し易い点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ベッド本体の長手方向の縁部に幅方向に沿って立設された木製の本体部と、該本体部に設けられた前記ベッド本体側に対する取付部とを備えたボードであって、前記本体部は、立設方向に沿った縦の繊維方向を有する二枚の縦単板を前記幅方向に沿った横の繊維方向を有する二枚の横単板で挟むように積層してなり、前記幅方向の中央部が前記長手方向の外側に凸になるように湾曲した、ボードを提供する。
【0007】
また、本発明は、上記ボードを備えたベッドを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、湾曲したヘッドボード又はフットボードに適用されるボードにおいて、本体部に作用した力による損傷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1のベッドのヘッドボード及びフットボードに適用されるボードを示す斜視図である(実施例1)。
【
図5】
図4のV-V線に係る断面図である(実施例1)。
【
図6】
図2のボードの本体部及び取付部を示す正面図である(実施例1)。
【
図7】
図2のボードの本体部及び取付部の積層構造を示す縦断面図である(実施例1)。
【
図8】
図2のボードの本体部及び取付部の積層構造を示す横断面図である(実施例1)。
【
図9】
図2のボードとベッド本体との関係を示す平面図である(実施例1)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
湾曲したヘッドボード又はフットボードに適用されるボードにおいて、本体部に作用した力による損傷を抑制するという目的を、木製のボードによって実現した。
【0011】
すなわち、ボード(11)は、ベッド本体(1a)の長手方向の縁部に幅方向に沿って立設された木製の本体部(13)と、本体部(13)に設けられたベッド本体(1a)側に対する取付部(15)とを備える。本体部(13)は、立設方向に沿った縦の繊維方向を有する二枚の縦単板(21)を幅方向に沿った横の繊維方向を有する二枚の横単板(23)で挟むように積層してなり、幅方向の中央部が長手方向の外側に凸になるように湾曲する。
【0012】
本体部(13)は、積層方向の両側と中央に位置した三枚の横単板(23)を有し、中央の横単板(23)と両側の横単板(23)との間でそれぞれ二枚の縦単板(21)を挟むように積層されてもよい。
【0013】
本体部(13)は、立設方向においてベッド本体(1a)から離間するに応じて湾曲が大きくなる構成としてもよい。
【0014】
取付部(15)は、本体部(13)に対して一体に設けられ、本体部(13)と同一の積層構造を有してもよい。
【0015】
取付部(15)は、幅方向に間隔を空けて配置された一対の取付片(15a、15b)からなり、ボード(11)は、一対の取付片(15a、15b)にそれぞれ取り付けられる取付金具(17)と、幅方向で一対の取付片(15a、15b)間にわたって設けられ、一対の取付片(15a、15b)に取り付けられたカバー(19)と、を備えてもよい。
【0016】
取付金具(17)は、カバー(19)に対して取付片(15a、15b)と共締めされてもよい。
【0017】
カバー(19)は、本体部(13)から長手方向の内側に突出し、本体部(13)とベッド本体(1a)側との間の隙間を覆う突出部(39)を備えてもよい。
【実施例0018】
図1は、本発明の実施例1に係るボードを適用したベッドを示す斜視図である。
【0019】
ベッド1は、例えば介護施設や病院等で用いられる介護ベッドである。このベッド1は、ベッド本体1aにヘッドボード11a及びフットボード11bが取り付けられて構成されている。なお、フットボード11bを省略してもよい。
【0020】
ベッド本体1aは、脚部3を介してベッドフレーム5が上下方向に昇降可能に床面等の設置面上に支持されている。ベッドフレーム5上には、ボトム7が取り付けられ、ボトム7上には、マットレス9が載置されている。
【0021】
ベッド本体1aの長手方向両側には、ベッドフレーム5から本実施例のボード11からなるヘッドボード11a及びフットボード11bが設けられている。なお、長手方向及び幅方向は、平面視におけるベッド1の長手方向及び幅方向をいう。
【0022】
図2は、
図1のベッド1に取り付けられるボード11を示す斜視図である。
図3は、
図2のボード11の側面図、
図4は、同平面図、
図5は、
図4のV-V線に係る断面図である。
図6は、ボード11の本体部13及び取付部15を示す正面図である。
【0023】
なお、ボード11は、ヘッドボード11a及びフットボード11bで構造が共通するため、フットボード11bについて説明し、ヘッドボード11aについての説明を省略する。
【0024】
本実施例のボード11は、本体部13と、取付部15と、取付金具17と、カバー19とを備えている。
【0025】
本体部13は、木製の湾曲板状であり、ベッド1の長手方向の縁部に幅方向に沿って立設されている。本実施例において、立設方向は上下方向である。ただし、立設方向は、上下方向に対して傾斜した方向であってもよい。
【0026】
本体部13の湾曲は、幅方向の中央部が長手方向の外側に凸になるように行われ、湾曲形状は、全体として弧状となっている。ただし、本体部13の湾曲形状は、幅方向の中央部等の一部のみであってもよい。なお、幅方向の中央部は、厳密な中央を意味するのではなく、中央に対して幅方向の一方又は他方に変位した部位であってもよい。かかる本体部13は、立設方向において、ベッド本体1aから離間するに応じて、つまり上方に向けて湾曲が漸次大きくなっている。
【0027】
図7は、ボード11の本体部13及び取付部15の積層構造を示す縦断面図、
図8は、同横断面図である。なお、
図7の縦断面図は、本体部13から取付部15にわたる立設方向に沿った断面、
図8の横断面図は、本体部13の幅方向に沿った断面を示す。
図7及び
図8の何れにおいても、断面中のハッチングは繊維方向を示す。
【0028】
本体部13は、横単板21と、縦単板23とを積層してなる。横単板21とは、ベッドの幅方向に沿った横の繊維方向を有する木製の単板をいい、縦単板23とは、ボード11の立設方向に沿った縦の繊維方向を有する木製の単板をいう。
【0029】
本実施例の本体部13は、7枚の単板21、23を積層した7プライ合板であり、横単板21を積層方向の両側と中央に位置させ、中央の横単板21と両側の横単板21との間でそれぞれ二枚の縦単板23を挟むように積層されている。
【0030】
従って、本実施例の本体部13は、中央の横単板21を共用し、その積層方向の両側に二枚の縦単板23を二枚の横単板21で挟むように積層した構成となっている。なお、本体部13は、4枚の単板21、23を積層した4プライ合板としてもよい。この場合は、単純に二枚の縦単板23を二枚の横単板21で挟むように積層すればよい。
【0031】
横単板21及び縦単板23は、同一の材質及び積層方向の厚みを有し、繊維方向のみが相互に異なる。ただし、横単板21及び縦単板23は、材質及び積層方向の厚みも、相互に異ならせてもよい。
【0032】
本実施例の本体部13は、積層方向において、両側の横単板21の外側に突き板25が取り付けられている。なお、突き板25は、極薄い木製のシートである。この突き板25は、省略してもよく、或いは樹脂製のフィルム等に代えてもよい。
【0033】
この本体部13には、ベッド本体1a側に対する取付部15が設けられている。なお、ベッド本体1a側とは、ボード11の取付先を意味する。
【0034】
本実施例の取付部15は、一対の取付片15aからなる。取付片15aは、本体部13の下縁部に一体に設けられ、矩形板状に形成されている。取付片15aは、幅方向において相互間に間隔を空けて両側に配置されている。取付部15の積層構造は、本体部13と同一である。
【0035】
なお、取付片15aの積層構造を本体部13と異ならせることも可能である。また、取付部15は、単一の取付片を有してもよい。また、取付部15は、本体部13と一体の取付片に代えて、別体の取付片としてもよい。
【0036】
取付金具17は、ベッド本体1a側への取付け用の金具であり、一対の取付片15aにそれぞれ取り付けられている。取付金具17は、ベース部27と、係合部29とで構成されている。ベース部27は、板状に形成され、取付片15aに重ね合わせた状態で結合される。ベース部27の取付片15aへの結合はボルト31によって行われる。
【0037】
係合部29は、フック部33と、ロック部35とを備えている。フック部33は、上下のフック溝33a、33b内にベッド本体1a側の係合突起37が入れ込まれて係合する。ロック部35は、係合部29に対しロック位置と非ロック位置との間で回動自在に設けられている。
【0038】
ロック位置のロック部35は、上側のフック溝33aに係合した係合突起37に係合し、フック溝33a、33bの係合突起37への係合状態を保持する。非ロック位置のロック部35は、フック溝33a、33bの係合突起37への係合状態を解除可能とする。なお、
図4の右側及び
図5のロック部35は、非ロック位置であり、
図4の左側のロック部35は、ロック位置である。
【0039】
カバー19は、樹脂等からなるチャンネル部材であり、長手方向のベッド本体1a側に開口する。カバー19は、ボード11の本体部13の幅方向に沿って設けられている。カバー19は、ボード11がベッド本体1a側に取り付けられる部分を覆うものである。
【0040】
カバー19は、取付部15の取付片15aに対して取付金具17と共締めされている。すなわち、取付金具17を取付片15aに結合するボルト31が取付片15aを挿通してカバー19の雌ネジ部19aに螺合している。
【0041】
このカバー19は、ボード11の本体部13の温度や湿度による変形を抑制すると共に取付金具17の位置関係を保持する。結果として、幅方向両側の取付金具17によるベッド本体1a側への取付けを容易且つ確実に行わせることを可能とする。
【0042】
特に、カバー19は、取付部15の取付片15aに対して取付金具17と共締めされているので、取付金具17の位置関係を確実に保持できる。
【0043】
本実施例のカバー19は、ボード11の本体部13から長手方向の内側に突出する突出部39を有する。長手方向の内側とは、ボード11を境としたベッド1の内側をいう。突出部39の幅方向両側には、取付金具17のロック部35が面一に構成されている。
【0044】
この突出部39は、
図9のようにボード11の本体部13とベッド本体1a(ベッドフレーム5)との間の隙間Gを平面視において覆う。これにより、隙間Gからの風を抑制し、隙間G内に足が入り込むことを抑制できる。
【0045】
本実施例においては、ボード11の本体部13が湾曲していることにより、マットレス9から頭や足がはみ出してもボード11の本体部13にぶつかり難くできる反面、隙間Gが大きくなる傾向があるが、隙間Gをカバー19を利用して覆うことを可能とする。
【0046】
かかるベッド1では、
図3、7、及び8の矢印のように、ボード11の本体部13に長手方向の力が作用した場合、幅方向の中央が凸になっている湾曲形状によって力が分散される。つまり、力が加えられた方向と力が加えられた部分でのボード11の本体部13の傾きとにより、ボード11に沿った方向とボード11に直角な方向とに力が分散される。
【0047】
ボード11に直角な方向の力は、
図3の平面視において、本体部13を撓ませるように作用する。このとき、ボード11の本体部13は、
図8のように積層方向の両側及び中央に位置する横単板21によって撓みが抑制される。また、本体部13は、積層構造において、横単板21と縦単板23とが対になって全体としての剛性が向上しており、局所的な力による撓みが抑制されている。
【0048】
結果として、ボード11に直角な方向の力は、ボード11の本体部13と取付部15との間に作用し易くなる。
【0049】
本体部13と取付部15との間では、積層方向の両側及び中央の横単板21間にそれぞれ挟まれた二枚の縦単板23によって撓みが抑制される。このとき、縦単板23は、
図7のように、横単板21よりも積層数が多いため、本体部13と取付部15との間の撓みを確実に抑制できる。しかも、縦単板23は、それぞれ二枚一組で積層されているから、本体部13と取付部15との間の撓みをより確実に抑制できる。
【0050】
従って、湾曲したヘッドボード11a又はフットボード11bに適用されるボード11において、本体部13に作用した力による損傷を抑制できる。
【0051】
このように、本実施例では、ボード11の湾曲形状によって力を分散し、局所的な力による撓みが相対的に起こり難いボード11の本体部13自体の撓みを、より積層数の少ない横単板21で抑制し、局所的な力であっても撓みが相対的に起き易いボード11の本体部13と取付部15との間の撓みを、より積層数の多い縦単板23で抑制する。結果として、ボード11全体の撓み及び損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
【0052】
なお、取付部15を本体部13と別体として本体部13にボルト等の締結具によって結合した構造であっても、結合部の損傷を本体部13の積層構造によって抑制することができる。