(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070467
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】人力駆動車用制御装置、人力駆動車の制御システム、人力駆動車の制御方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20230512BHJP
B62J 45/20 20200101ALI20230512BHJP
B62J 45/414 20200101ALI20230512BHJP
B62H 5/00 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J45/20
B62J45/414
B62H5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182672
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】道川 慧太
(72)【発明者】
【氏名】名合 大輔
(57)【要約】
【課題】人力駆動車のユーザビリティを向上する人力駆動車用制御装置、人力駆動車の制御システム、人力駆動車の制御方法、および、コンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定し、前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御を行なう制御部を備え、前記設定パターンは、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定し、
前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御を行なう制御部を備え、
前記設定パターンは、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む、
人力駆動車用制御装置。
【請求項2】
前記人力駆動車の車体の動きは、前記人力駆動車の車体の前後方向の動きを含む、
請求項1に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項3】
前記人力駆動車の車体の傾きは、前記人力駆動車の車体のロール方向の傾き、車体のピッチ方向の傾き、および車体のヨー方向の傾きの少なくとも1つを含む、
請求項1または2に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項4】
前記人力駆動車に与えられる振動は、前記人力駆動車の非走行時に、前記人力駆動車のユーザによって与えられる振動を含む、
請求項1から3のいずれかに記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項5】
前記人力駆動車に与えられる振動は、前記人力駆動車の車体、および前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントの少なくとも1つに与えられる振動を含む、
請求項1から4のいずれかに記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項6】
前記コンポーネントは、ハンドル、操作装置、サイクルコンピュータ、クランク、ペダル、ドライブユニット、チェーン、チェーンカバー、車輪、サドル、シートポスト、ライト、およびスタンドの少なくとも1つを含む、
請求項5に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項7】
前記設定パターンは、合計4つ以上の前記人力駆動車の動作の組み合わせである、
請求項1から6のいずれか1項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項8】
前記設定パターンを判別するためのデータを記憶する記憶部をさらに備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項9】
前記一連の動作の動作パターンを検出する検出部をさらに備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記人力駆動車の車体、および前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントの少なくとも1つの表面または内部に設けられる、
請求項9に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項11】
前記コンポーネントは、ハンドル、操作装置、サイクルコンピュータ、クランク、ペダル、ドライブユニット、チェーン、チェーンカバー、車輪、サドル、シートポスト、ライト、およびスタンドの少なくとも1つを含む、
請求項10に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項12】
前記検出部は、変位検出部、加速度検出部、およびジャイロ検出部の少なくとも1つを含む、
請求項9から11のいずれか1項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項13】
前記所定の制御は、前記人力駆動車の制御状態に関する制御であり、
前記制御部は、与えられた動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合、前記制御状態を、第1モードから、第2モードへ切り替えるように構成される、
請求項1から12のいずれか1項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、与えられた動作パターンが、前記設定パターンと合致しないと判定された回数が所定回数以上となった場合、前記第1モードへ切り替えるように構成される
請求項13に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項15】
前記第1モードは、前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントの動作が制限されるロックモードであり、
前記第2モードは、前記コンポーネントの動作の制限が解除されるアンロックモードである、
請求項13または14に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項16】
前記第1モードは、前記人力駆動車に搭載されるバッテリから、前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントへ供給される電力が制限されるスリープモードであり、
前記第2モードは、前記バッテリから前記コンポーネントへ供給される電力の制限が解除されるウェイクモードである、
請求項13に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項17】
前記第1モードは、前記人力駆動車の盗難を監視する盗難防止モードであり、
前記第2モードは、前記盗難防止モードが解除されたノーマルモードである、
請求項13に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項18】
前記所定の制御は、前記人力駆動車の通信状態に関する制御であり、
前記制御部は、与えられた動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合、前記人力駆動車と第1外部デバイスとの無線通信接続を確立するように構成される、
請求項1から12のいずれか1項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項19】
前記制御部は、与えられた動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合、前記第1外部デバイスへ接続のリクエストを送信してシーケンスを開始する、
請求項18に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項20】
人力駆動車に与えられる動作それぞれに英字、数字、および記号の少なくとも1つが割り当てられており、
前記制御部は、与えられた動作パターンに含まれる動作それぞれに割り当てられた英字、数字、および記号の少なくとも1つを含む列をパスキーとして前記第1外部デバイスへ送信する、
請求項18または19に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項21】
前記第1外部デバイスは、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス、およびサイクルコンピュータの少なくとも1つを含む、
請求項18から20のいずれか1項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項22】
前記設定パターンは、第2外部デバイスを介して変更可能である、
請求項1から21のいずれか1項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項23】
前記第2外部デバイスは、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス、およびサイクルコンピュータの少なくとも1つを含む、
請求項22に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項24】
人力駆動車のハンドル、操作装置、サイクルコンピュータ、クランク、ペダル、ドライブユニット、チェーン、チェーンカバー、車輪、サドル、シートポスト、ライト、およびスタンドの少なくとも1つの表面または内部に設けられ、前記人力駆動車の動作を検出するセンサと、
前記センサからの情報に基づき、前記人力駆動車を制御する制御部を備える制御装置と
を備え、
前記制御部は、
前記センサからの情報に基づいて判別される前記人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定し、
前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御を行なうように構成されており、
前記設定パターンは、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む、
人力駆動車の制御システム。
【請求項25】
人力駆動車に備えられるコンピュータが、
前記人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ前記人力駆動車に対し設定されている、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む設定パターンと合致するか否かを判定し、
前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御を行なう、
人力駆動車の制御方法。
【請求項26】
人力駆動車の制御データを出力するコンピュータに、
前記人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ前記人力駆動車に対し設定されている、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む設定パターンと合致するか否かを判定し、
前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御のための制御データを出力する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用制御装置、人力駆動車の制御システム、人力駆動車の制御方法、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人力駆動車の電装化が進んでいる。ユーザは、スマートフォンなどユーザ自身が所持する外部デバイスを用いて、人力駆動車に搭載される制御システムと通信できる。その際、ユーザは、パスコードなどの認証情報を外部デバイスに入力することがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、例えば、外部デバイスを携帯し忘れた場合、または、外部デバイスに不具合が生じた場合、ユーザは認証情報を入力できなくなる。このように、パスコードによる認証は、非常事態に対応できない場合がある。
【0005】
本発明は、人力駆動車のユーザビリティを向上する人力駆動車用制御装置、人力駆動車の制御システム、人力駆動車の制御方法、および、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用制御装置は、人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定し、前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御を行なう制御部を備え、前記設定パターンは、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む。
【0007】
上記第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって所定の制御が実行される。これにより、所定の制御を実行させるための認証のオプションを増やすことができる。
【0008】
本発明の第2側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面の人力駆動車用制御装置において、前記人力駆動車の車体の動きは、前記人力駆動車の車体の前後方向の動きを含む。
【0009】
上記第2側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる前後方向の動きを含む動作によって所定の制御が実行される。
【0010】
本発明の第3側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面または第2側面の人力駆動車用制御装置にて、前記人力駆動車の車体の傾きは、前記人力駆動車の車体のロール方向の傾き、車体のピッチ方向の傾き、および車体のヨー方向の傾きの少なくとも1つを含む。
【0011】
上記第3側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられるロール、ピッチ、ヨー方向のいずれかの傾きを含む動作によって所定の制御が実行される。
【0012】
本発明の第4側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第3側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記人力駆動車に与えられる振動は、前記人力駆動車の非走行時に、前記人力駆動車のユーザによって与えられる振動を含む。
【0013】
上記第4側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる振動を含む動作によって所定の制御が実行される。
【0014】
本発明の第5側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第4側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記人力駆動車に与えられる振動は、前記人力駆動車の車体、および前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントの少なくとも1つに与えられる振動を含む。
【0015】
上記第5側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車の車体、およびコンポーネントの少なくとも1つに対して与えられる振動を含む動作によって所定の制御が実行される。
【0016】
本発明の第6側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第5側面の人力駆動車用制御装置において、前記コンポーネントは、ハンドル、操作装置、サイクルコンピュータ、クランク、ペダル、ドライブユニット、チェーン、チェーンカバー、車輪、サドル、シートポスト、ライト、およびスタンドの少なくとも1つを含む。
【0017】
上記第6側面の人力駆動車用制御装置によれば、多様なコンポーネントに与えられる振動を含む動作によって所定の制御が実行される。
【0018】
本発明の第7側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第6側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記設定パターンは、合計4つ以上の前記人力駆動車の動作の組み合わせである。
【0019】
上記第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対する複数の動作の組み合わせによって所定の制御が実行される。これにより、例えば、意図せず人力駆動車に与えられる動作により、所定の制御が不必要に発動することを抑制できる。
【0020】
本発明の第8側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第7側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記設定パターンを判別するためのデータを記憶する記憶部をさらに備える。
【0021】
本発明の第9側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第8側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記一連の動作の動作パターンを検出する検出部をさらに備える。
【0022】
本発明の第10側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第9側面の人力駆動車用制御装置において、前記検出部は、前記人力駆動車の車体、および前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントの少なくとも1つの表面または内部に設けられる。
【0023】
本発明の第11側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第10側面の人力駆動車用制御装置において、前記コンポーネントは、ハンドル、操作装置、サイクルコンピュータ、クランク、ペダル、ドライブユニット、チェーン、チェーンカバー、車輪、サドル、シートポスト、ライト、およびスタンドの少なくとも1つを含む。
【0024】
本発明の第12側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第9側面から第11側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記検出部は、変位検出部、加速度検出部、およびジャイロ検出部の少なくとも1つを含む。
【0025】
本発明の第13側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第12側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記所定の制御は、前記人力駆動車の制御状態に関する制御であり、前記制御部は、与えられた動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合、前記制御状態を、第1モードから、第2モードへ切り替えるように構成される。
【0026】
上記第13側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって第1モードから第2モードへの切り替えが実行される。
【0027】
本発明の第14側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第13側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、与えられた動作パターンが、前記設定パターンと合致しないと判定された回数が所定回数以上となった場合、前記第1モードへ切り替えるように構成される。
【0028】
上記第14側面の人力駆動車用制御装置によれば、所定条件下で第1モードへの切り替えが実行される。
【0029】
本発明の第15側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第13側面または第14側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1モードは、前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントの動作が制限されるロックモードであり、前記第2モードは、前記コンポーネントの動作の制限が解除されるアンロックモードである。
【0030】
上記第15側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によってロックモードからアンロックモードへの切り替えが実行される。
【0031】
本発明の第16側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第13側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1モードは、前記人力駆動車に搭載されるバッテリから、前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントへ供給される電力が制限されるスリープモードであり、前記第2モードは、前記バッテリから前記コンポーネントへ供給される電力の制限が解除されるウェイクモードである。
【0032】
上記第16側面の駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によってスリープモードからウェイクモードへの切り替えが実行される。
【0033】
本発明の第17側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第13側面の人力駆動車用制御装置において、前記第1モードは、前記人力駆動車の盗難を監視する盗難防止モードであり、前記第2モードは、前記盗難防止モードが解除されたノーマルモードである。
【0034】
上記第17側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって盗難防止モードからノーマルモードへの切り替えが実行される。
【0035】
本発明の第18側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第12側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記所定の制御は、前記人力駆動車の通信状態に関する制御であり、前記制御部は、与えられた動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合、前記人力駆動車と第1外部デバイスとの無線通信接続を確立するように構成される。
【0036】
上記第18側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって無線通信接続の確立が実行される。
【0037】
本発明の第19側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第18側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、与えられた動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合、前記第1外部デバイスへ接続のリクエストを送信してシーケンスを開始する。
【0038】
上記第19側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって無線通信接続の確立のためのシーケンスが制御装置から開始される。
【0039】
本発明の第20側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第18側面または第19側面の人力駆動車用制御装置において、人力駆動車に与えられる動作それぞれに英字、数字、および記号の少なくとも1つが割り当てられており、前記制御部は、与えられた動作パターンに含まれる動作それぞれに割り当てられた英字、数字、および記号の少なくとも1つを含む列をパスキーとして前記第1外部デバイスへ送信する。
【0040】
上記第20側面の人力駆動車用制御装置によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって外部デバイスに対するパスキーの送信が実行される。
【0041】
本発明の第21側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第18側面から第20側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記第1外部デバイスは、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス、およびサイクルコンピュータの少なくとも1つを含む。
【0042】
本発明の第22側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第1側面から第22側面のいずれか1つの人力駆動車用制御装置において、前記設定パターンは、第2外部デバイスを介して変更可能である。
【0043】
上記第22側面の人力駆動車用制御装置によれば、第2外部デバイスを介して外部から容易に設定パターンを変更できる。
【0044】
本発明の第23側面に従う人力駆動車用制御装置は、上記第22側面の人力駆動車用制御装置において、前記第2外部デバイスは、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス、およびサイクルコンピュータの少なくとも1つを含む。
【0045】
本発明の第24側面に従う人力駆動車の制御システムは、人力駆動車のハンドル、操作装置、サイクルコンピュータ、クランク、ペダル、ドライブユニット、チェーン、チェーンカバー、車輪、サドル、シートポスト、ライト、およびスタンドの少なくとも1つの表面または内部に設けられ、前記人力駆動車の動作を検出するセンサと、前記センサからの情報に基づき、前記人力駆動車を制御する制御部を備える制御装置とを備え、前記制御部は、前記センサからの情報に基づいて判別される前記人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定し、前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御を行なうように構成されており、前記設定パターンは、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む。
【0046】
上記第24側面の人力駆動車の制御システムによれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって所定の制御が実行される。これにより、所定の制御を実行させるための認証のオプションを増やすことができる。
【0047】
本発明の第25側面に従う人力駆動車の制御方法は、人力駆動車に備えられるコンピュータが、前記人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ前記人力駆動車に対し設定されている、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む設定パターンと合致するか否かを判定し、前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御を行なう。
【0048】
上記第25側面の人力駆動車の制御方法によれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって所定の制御が実行される。これにより、所定の制御を実行させるための認証のオプションを増やすことができる。
【0049】
本発明の第26側面に従うコンピュータプログラムは、人力駆動車の制御データを出力するコンピュータに、前記人力駆動車に与えられる一連の動作の動作パターンが、あらかじめ前記人力駆動車に対し設定されている、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む設定パターンと合致するか否かを判定し、前記動作パターンが、前記設定パターンと合致すると判定される場合に所定の制御のための制御データを出力する処理を実行させる。
【0050】
上記第26側面のコンピュータプログラムによれば、人力駆動車に対して与えられる動作によって所定の制御が実行される。これにより、所定の制御を実行させるための認証のオプションを増やすことができる。
【発明の効果】
【0051】
本開示によれば、人力駆動車の制御システムに対し、人力駆動車における認証のオプションを増やすことができる。本開示による認証は、ユーザの認証だけではなく、人力駆動車と外部デバイスとの通信時の認証にも有効である。このため、ユーザビリティの向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】第1実施形態における制御装置が適用される人力駆動車の側面図である。
【
図2】制御装置の構成を説明するブロック図である。
【
図3】情報端末装置の構成を説明するブロック図である。
【
図9】設定パターンの登録手順のフローチャートである。
【
図10】アプリプログラムにより表示される動作パターンの設定画面の例を示す。
【
図11】制御装置によるモード切り替えの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】人力駆動車に与えられる振動の一例を示す。
【
図13】人力駆動車に与えられる振動の他の一例を示す。
【
図14】制御装置によるモード切り替えの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】第3実施形態における制御装置の構成を説明するブロック図である。
【
図16】第4実施形態における制御装置による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】第5実施形態の制御装置および情報端末装置の構成を説明するブロック図である。
【
図18】第5実施形態における制御装置および情報端末装置による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の各実施形態に関する説明は、本発明に関する人力駆動車用制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する人力駆動車用制御装置は、各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態等のように各実施形態とは異なる形態を取り得る。
【0054】
以下の各実施形態に関する説明において、前、後、前方、後方、左、右、横、上、および、下等の方向を表す言葉は、ユーザが人力駆動車のサドルに着座した状態における方向を基準として用いられる。
【0055】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における制御装置100が適用される人力駆動車1の側面図である。人力駆動車1は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両である。内燃機関または電動機のみを原動力に用いる車両は、本実施形態の人力駆動車1から除外される。人力駆動車1は、例えば、マウンテンバイク、ロードバイク、クロスバイク、シティサイクル、電動アシストバイク(e-bike)等を含む自転車である。
【0056】
人力駆動車1は、車両本体11、ハンドルバー12、前輪13、後輪14、サドル15およびスタンド16を備える。人力駆動車1は、駆動機構20、デバイス30(31~37)、バッテリ40、および検出部50(51~55)を備える。
【0057】
制御装置100の制御部110は、人力駆動車1に搭載されているデバイス30を制御する。制御装置100は、一例では、人力駆動車1のバッテリ40、サイクルコンピュータ、電動アシスト自転車のドライブユニット等に搭載される。
【0058】
制御装置100は、デバイス30、バッテリ40と接続されている。接続形態および制御装置100の詳細は後述する。(なお、本明細書において、デバイス30を含め、制御装置100の制御対象となるものを単に、「制御対象」と呼ぶことがある。)
【0059】
車両本体11は、フレーム11A、およびフロントフォーク11Bを備える。前輪13は、フロントフォーク11Bに回転可能に支持される。後輪14は、フレーム11Aに回転可能に支持される。ハンドルバー12は、前輪13の進行方向を変更できるようにフレーム11Aに支持される。ライト11Cは、フロントフォーク11Bに取り付けられている。スタンド16は、後輪14の軸、またはフレーム11Aに取り付けられ、人力駆動車1を自立可能に支持する。
【0060】
駆動機構20は、人力駆動力を後輪14へ伝達する。駆動機構20は、クランク21、第1スプロケットアセンブリ22、第2スプロケットアセンブリ23、チェーン24、および、一対のペダル25を含む。
【0061】
クランク21は、クランク軸21A、右クランク21B、および左クランク21Cを含む。クランク軸21Aは、フレーム11Aに回転可能に支持される。右クランク21Bおよび左クランク21Cは、それぞれクランク軸21Aに連結される。一対のペダル25の一方は、右クランク21Bに回転可能に支持される。一対のペダル25の他方は、左クランク21Cに回転可能に支持される。
【0062】
第1スプロケットアセンブリ22は、クランク軸21Aと一体回転可能に連結されている。第1スプロケットアセンブリ22は、1または複数のスプロケット22Aを含む。第1スプロケットアセンブリ22は、一例では、外径が異なる複数のスプロケット22Aを含む。
【0063】
第2スプロケットアセンブリ23は、後輪14のリアハブに回転可能に支持される。第2スプロケットアセンブリ23は、1または複数のスプロケット23Aを含む。第2スプロケットアセンブリ23は、一例では、外径が異なる複数のスプロケット23Aを含む。
【0064】
チェーン24は、第1スプロケットアセンブリ22のいずれかのスプロケット22A、および第2スプロケットアセンブリ23のいずれかのスプロケット23Aに巻き掛けられる。ペダル25に加えられる人力駆動力によってクランク21が前転すると、第1スプロケットアセンブリ22がクランク21とともに前転し、第1スプロケットアセンブリ22の回転がチェーン24を介して第2スプロケットアセンブリ23に伝達し、この回転が後輪14を回転させる。チェーン24の代わりに、ベルトまたはシャフトが用いられてもよい。
【0065】
人力駆動車1は、バッテリ40から供給される電力によって動作し、制御装置100によって動作が制御されるデバイス30を備える。デバイス30は、少なくともロック装置36を含む。デバイス30は、アシスト装置31、変速装置32、ブレーキ装置33、サスペンション34、電動シートポスト35、および操作装置37の少なくとも1つを含む。これらのデバイス30は基本的に、操作装置37における操作に従った制御装置100による制御によって動作する。
【0066】
アシスト装置31は、人力駆動車1の推進をアシストするコンポーネントであり、例えば、モータを含む。一例では、アシスト装置31は、クランク軸21Aおよびフレーム11Aとの間に介在し、第1スプロケットアセンブリ22へトルクを伝達して人力駆動車1の推進をアシストする。より具体的には、アシスト装置31は、クランク軸21A近傍に設けられるドライブユニット(図示せず)内部に配置される。なお、ドライブユニットはケースを有し、ケース内部にアシスト装置31が配置される。アシスト装置31は、人力駆動車1の後輪14に駆動力を伝達するチェーン24を駆動させる。
【0067】
変速装置32は、クランク21の回転数に対する後輪14の回転数の比率、すなわち、人力駆動車1の変速比を変更する。第1例では、変速装置32は、第2スプロケットアセンブリ23とチェーン24との連結状態を変更する外装変速機(リアディレーラ)である。第2例では、変速装置32は、第1スプロケットアセンブリ22とチェーン24との連結の状態を変更する外装変速機(フロントディレーラ)である。第3例では、後輪14のハブに設けられる内装変速機である。変速装置32は、無段変速機であってもよい。
【0068】
ブレーキ装置33は、第1例では、前輪13および後輪14に設けられるリムブレーキである。第2例では、ブレーキ装置33はディスクブレーキである。ブレーキ装置33は、ハンドルバー12に設けられるブレーキ操作バーに接続されてもよい。ブレーキ装置33は、制御装置100からの制御、または、ブレーキ操作バーの操作に応じて、電動アクチュエータを駆動してブレーキパッドを前輪13および後輪14それぞれに接触させ、前輪13および後輪14の回転力を減衰させる。
【0069】
サスペンション34は、電動アクチュエータの駆動によって、前輪13に加えられた衝撃を減衰するフロントサスペンションである。サスペンション34は、制御装置100によって減衰率、ストローク量、およびロックアウト状態を制御する。サスペンション34は、後輪14に加えられた衝撃を減衰するリアサスペンションであってもよい。
【0070】
電動シートポスト35は、フレーム11Aに取り付けられる。電動シートポスト35は、サドル15をフレーム11Aに対して上昇および下降させる電動アクチュエータを含む。電動シートポスト35は、制御装置100からの制御によって、フレーム11Aに対するサドル15の支持位置を設定する。
【0071】
ロック装置36は、人力駆動車1のセキュリティに関するデバイスである。ロック装置36は、人力駆動車1の状態をロックモードおよびロック解除状態の一方から他方へ切り替える装置である。ロックモードは、人力駆動車1の動作、および、人力駆動車1に搭載されるデバイス30の動作の少なくとも一方が制限される状態である。ロック解除状態は、人力駆動車1およびデバイス30の動作制限が解除された非制限状態である。
【0072】
ロック装置36は、一例として、後輪14に対して設けられている。ロック装置36は、駆動回路および電動アクチュエータ(いずれも図示せず)を備える。駆動回路は、ライダのロック操作に応じて、または制御装置100からの指示に応じて、電動アクチュエータを駆動し、後輪14の回転を物理的に規制する。ロック装置36は、ライダの動作に基づく制御装置100からの指示に応じて、電動アクチュエータの駆動を解除し、後輪14の回転を許容する。
【0073】
操作装置37は、ハンドルバー12に設けられる。操作装置37は、例えば、ライダによって操作される操作部37Aを含む。操作部37Aの一例は、1または複数のボタンである。操作部37Aの他の例は、ブレーキレバーである。左右のハンドルに設けられているブレーキレバーを左右に倒すことで操作が可能である。操作部37Aとして、情報端末装置7を用いてもよい。情報端末装置7が含むディスプレイパネルに操作ボタンが表示され、情報端末装置7は操作ボタンが選択されることを検出すると制御装置100へ通知する。
【0074】
操作装置37は、アシスト指示装置37Bを含む。アシスト指示装置37Bは例えば、操作部37Aに含まれる複数のボタンである。アシスト指示装置37Bに対する押下により、アシストのモードを複数の段階(高/中/低)からいずれかの設定が可能である。
【0075】
操作装置37は、変速指示装置37Cを含む。変速指示装置37Cは、複数のボタンに含まれるいずれかのボタンである。変速指示装置37Cは、ブレーキバーに取り付けられたボタン状の装置である。ライダが変速指示装置37Cに対する押下の操作の都度、変速比のアップ、あるいはダウンが可能である。
【0076】
操作装置37は、動作状態を報知する報知部37Dを備える。報知部37Dは、LED(Light Emitting Diode)を用いて、オン(点灯)であるか、オフ(消灯)であるかを示す。
【0077】
操作装置37は、操作部37A、アシスト指示装置37Bおよび変速指示装置37Cの操作に応じた信号を、デバイス30へ送信できるように、デバイス30と通信接続される。第1例では、操作装置37は、通信線、または、PLC(Power Line Communication)が可能な電線によってデバイス30および制御装置100と通信する。第2例では、操作装置37は、無線通信によってデバイス30および制御装置100と通信する。
【0078】
バッテリ40は、バッテリ本体41およびバッテリホルダ42を含む。バッテリ本体41は、1または複数のバッテリセルを含む蓄電池である。バッテリホルダ42は、人力駆動車1のフレーム11Aに固定される。バッテリ本体41は、バッテリホルダ42に着脱可能である。バッテリ40は、デバイス30および制御装置100に電気的に接続され、必要に応じて電力を供給する。バッテリ40は、制御装置100と通信するための制御部を含むことが好ましい。制御部は、CPUを用いたプロセッサを含むことが好ましい。
【0079】
人力駆動車1は、状態を検出するための検出部50を各所に備える。検出部50は、速度センサ51、加速度センサ52、トルクセンサ53、ケイデンスセンサ54、およびジャイロセンサ55を含む。GPS(Global Positioning System)センサを含んでもよい。
【0080】
速度センサ51は、例えば、前輪13に設けられ、前輪13の単位時間当たりの回転数に対応する信号を制御装置100へ送信する。速度センサ51の出力に基づいて、制御装置100は、人力駆動車1の車速および移動距離を算出できる。
【0081】
加速度センサ52は、例えば、フレーム11Aに固定される。加速度センサ52は、フレーム11Aを基準として三軸(前後方向、左右方向、上下方向)の人力駆動車1の振動を出力するセンサであり、人力駆動車1の動きおよび振動を検出するために設けられている。加速度センサ52は、動きおよび振動の大きさに対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0082】
トルクセンサ53は、例えば、右クランク21Bおよび左クランク21Cに掛かるトルクをそれぞれ測定するように設けられる。トルクセンサ53は、右クランク21Bおよび左クランク21Cの少なくとも一方において測定されたトルクに対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0083】
ケイデンスセンサ54は、例えば、右クランク21Bおよび左クランク21Cのいずれかのケイデンスを測定するように設けられる。ケイデンスセンサ54は、測定したケイデンスに対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0084】
ジャイロセンサ55は、例えば、フレーム11Aに固定される。ジャイロセンサ55は人力駆動車1のヨー、ロール、ピッチの回転を検出するために設けられている。ジャイロセンサ55は、三軸それぞれの回転量に対応する信号を制御装置100へ送信する。
【0085】
図2は、制御装置100の構成を説明するブロック図である。制御装置100は、制御部110、および記憶部112を備える。
【0086】
制御部110は、CPUを用いたプロセッサである。制御部110は、内蔵するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等のメモリを用いる。制御部110は、後述する制御プログラムP1に従って、人力駆動車1に搭載されるデバイス30の動作、デバイス30に対する給電、および通信を制御する。
【0087】
記憶部112は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部112は、制御プログラムP1を記憶する。制御プログラムP1は、非一時記録媒体200に記憶された制御プログラムP2を、制御部110が読み出して記憶部112に複製したものであってもよい。記憶部112は、後述する設定パターンと、設定パターンを判別するための条件(基準値)とを記憶する。
【0088】
制御部110は、制御対象(デバイス30等)と通信を行なう。この場合、制御部110自体が制御対象向けの通信部(図示せず)を有してもよいし、制御部110が制御装置100内部に設けられる制御対象向けの通信部と接続されてもよい。制御部110は、制御対象または通信部と通信を行なうための接続部を有することが好ましい。
【0089】
制御部110は、PLCおよびCAN通信の少なくとも1つによって制御対象と通信を行なうことが好ましい。制御部110が制御対象と行なう通信は、有線通信に限らず、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の無線通信でもよい。
【0090】
制御部110は、信号線を介して検出部50と接続される。制御部110は、信号線を介して検出部50によって出力される信号からステータスに関するデータを取得する。
【0091】
制御部110は、ライダの情報端末装置7と、アンテナを有する無線通信デバイス60を介して通信し得る。無線通信デバイス60は、制御装置100に内蔵されていてもよい。無線通信デバイス60は、所謂インターネットを介した通信を実現するデバイスである。無線通信デバイス60は、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、Bluetooth(登録商標) 、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信用のデバイスでもよい。無線通信デバイス60は、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、インターネット回線、専用回線、衛星回線等の通信ネットワークに準拠してもよい。
【0092】
図3は、情報端末装置7の構成を説明するブロック図である。情報端末装置7は、制御部70、記憶部72、表示部74、および通信部78を備える。情報端末装置7は、例えば、スマートフォンまたはタブレット端末である。情報端末装置7は、制御部、表示部(操作部)および通信部を備え、人力駆動車1と連携させる装置であればスマートフォンまたはタブレット端末には限られない。情報端末装置7は、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス、およびサイクルコンピュータの少なくとも1つであってもよい。
【0093】
制御部70は、CPUを用いたプロセッサである。制御部70は、内蔵するROMおよびRAM等のメモリを用いる。制御部70は、後述するアプリプログラムP7に従って、人力駆動車1の制御装置100との通信を制御する。
【0094】
記憶部72は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。記憶部72は、アプリプログラムP7を記憶する。アプリプログラムP7は、非一時記録媒体200に記憶されたアプリプログラムP7を、制御部70が読み出して記憶部72に複製したものであってもよいし、公衆網を通じてダウンロードされたものであってもよい。
【0095】
表示部74は、液晶パネルまたは有機ELディスプレイ等の表示装置である。表示部74は、制御部70から出力される情報を表示する。第1実施形態では表示部74は、人力駆動車1に対する設定を受け付ける画面をアプリプログラムP7に基づき表示する。
【0096】
表示部74は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースである操作部76を含む。本実施形態では、操作部76は、表示部74に含まれるタッチパネルデバイスである。操作部76は、物理ボタン、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ、およびマイクロフォン等であってもよい
【0097】
通信部78は、アンテナを有し、制御装置100と無線により通信し得る。通信部78は、制御装置100との通信が可能なプロトコルに準じた無線通信デバイス60に対応するデバイスである。
【0098】
このように構成される制御装置100および情報端末装置7による制御内容を説明する。制御装置100の制御部110は、人力駆動車1に与えられる動作の動作パターンを決定し、動作パターンがあらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かによって、所定の制御を実行する。所定の制御とは、第1実施形態では人力駆動車1の制御状態を、第1モードから、第2モードへ切り替えることである。第1実施形態で第1モードはロックモードであり、第2モードはアンロックモードである。ロックモードは、例えば、ロック装置36により後輪14の回転を物理的に規制した状態である。アンロックモードは、ロック装置36による後輪14への規制が解除された状態である。ロックモードは、物理的なロックに限らず、デバイス30の動作が電気的に制限された状態を含む。アンロックモードは、デバイス30の動作が電気的に制限されない状態を含む。
【0099】
人力駆動車1の動作の動作パターンは、前記人力駆動車の車体の動き、前記人力駆動車の車体の傾き、および前記人力駆動車に与えられる振動の少なくとも1つを含む。
【0100】
図4から
図7は、動作の内容の概要図である。
図4は、人力駆動車1の車体の動作の一例を示す。人力駆動車1に与えられる動作は、
図4に示すような人力駆動車1の車体の前後方向の動きを含む。
図4は、人力駆動車1と、ライダRとを示す。
図4中、白抜きの矢符によって人力駆動車1の前後方向の動きを示す。ライダRは、人力駆動車1のハンドルバー12あるいはフレーム11Aを保持して人力駆動車1を前後方向に移動させる。人力駆動車1は、物理的にロックされた状態であっても、ロック装置36で規制された範囲内で前後に移動可能である。人力駆動車1の車体の動作は、
図4に示したように、人力駆動車1が非走行時(駐車時、非乗車時および押し歩き時を含む)に前後方向の動きを与えられたときに生じる人力駆動車1の振動を含んでもよい。
【0101】
図5は、人力駆動車1の車体の動作の他の一例を示す。人力駆動車1に与えられる動作は、
図5に示すような人力駆動車1の車体のロール方向の傾きを含む。
図5中、白抜きの矢符によって人力駆動車1のロール方向の傾きを示す。ライダRは、人力駆動車1のハンドルバー12あるいはフレーム11Aを保持して人力駆動車1を左右どちらかに傾けることができる。人力駆動車1の車体の動作は、人力駆動車1が左右に傾かせる動きを与えられたときに生じる人力駆動車1の振動を含んでもよい。
【0102】
図6は、人力駆動車1の車体の動作の他の一例を示す。人力駆動車1に与えられる動作は、
図6に示すような人力駆動車1の車体のピッチ方向の傾きを含む。
図6中、白抜きの矢符によって人力駆動車1のピッチ方向の傾きを示す。ライダRは、フレーム11Aあるいはサドル15を保持して後輪14を持ち上げて下ろすことができる。これにより、人力駆動車1はピッチ方向に傾く。ライダRは、人力駆動車1のハンドルバー12を保持して前輪13を持ち上げて下ろしてもよい。人力駆動車1の車体の動作は、非走行時に、人力駆動車1の前輪13または後輪14を持ち上げて再度接地させる動きを与えられたときに生じる人力駆動車1の振動を含んでもよい。
【0103】
図7は、人力駆動車1の車体の動作の他の一例を示す。人力駆動車1に与えられる動作は、
図7に示すような人力駆動車1の車体のヨー方向の傾きを含む。
図7中、白抜きの矢印によって人力駆動車1のヨー方向の傾きを示す。ライダRは、人力駆動車1のハンドルバー12を保持して左右に回転させることができる。これにより人力駆動車1はヨー方向に傾く。この場合、検出部50は、ハンドルバー12に設けられることが好ましい。人力駆動車1の車体の動作は、非走行時に、人力駆動車1のハンドルバー12を保持して左右に回転させる動きを与えられたときに生じる人力駆動車1の振動を含んでもよい。
【0104】
人力駆動車1の制御装置100は、
図4から
図7に示したような人力駆動車1に与えられる動作を認識し、あらかじめ記憶されている設定パターンと比較する。設定パターンは、
図4から
図7に示したような各動作を複数連続させた一連の動作を示す。
【0105】
図8は、設定パターンの内容例を示す。設定パターンは、人力駆動車1に対する4つ以上の動作の組み合わせである。
図8の例の設定パターンは、4つの動作の組み合わせである。
図8の設定パターンでは、1つ目の動作が人力駆動車1の車体を前に動かすことであり、2つ目の動作が人力駆動車1の車体を後ろに動かすことである。3つ目の動作が人力駆動車1の車体を左に傾けることであり、4つ目の動作が人力駆動車1の車体を右に傾けることである。
図8には、他の設定パターンも示されている。
図8に示すように、設定パターンは、動作を異なる順序で組み合わせたものであってもよいし、他の動作との組み合わせでもよい。設定パターンは、
図8に示した例以外に、4つ以外の5以上の数の動作の組み合わせであってもよい。
【0106】
図9は、設定パターンの登録手順のフローチャートである。設定パターンは、情報端末装置7を介して変更可能であり、記憶部112に記憶される。人力駆動車1の制御装置100と、情報端末装置7との間の通信接続が、無線通信デバイス60および通信部78により確立されている期間に、ライダが情報端末装置7でアプリプログラムP7を起動させ、動作パターンの設定メニューを選択した場合、以下の処理が開始される。
【0107】
制御部70は、表示部74に表示させている設定画面に、設定パターンのリストを表示させる(ステップS101)。設定パターンは、
図8に示したように4つの動作の組み合わせである。制御部70は、1つ目の動作から4つ目の動作まで、リストの中から選択を受け付ける(ステップS103)。制御部70は、選択された動作を識別するデータを動作の順で記述する設定パターンを記憶部72に記憶する(ステップS105)。
【0108】
制御部70は、通信部78により、ステップS105で記憶した設定パターンを通信部78により、制御装置100へ送信する(ステップS107)。
【0109】
人力駆動車1の制御装置100では、設定パターンを受信し(ステップS201)、記憶部112に記憶し(ステップS203)、記憶完了を情報端末装置7へ応答する(ステップS205)。
【0110】
制御部70は、応答を受信し(ステップS109)、設定パターンの登録処理を終了する。
【0111】
図10は、アプリプログラムP7により表示される動作パターンの設定画面741の例を示す。設定画面741は、1つ目の動作「動作1」から4つ目の動作「動作4」に対してそれぞれ、入力(選択)を受け付けるためのボックス743を含む。ボックス743は、プルダウンメニューを含み、プルダウンメニューが選択された場合にリスト745を表示する。設定画面741は、設定ボタン747を含む。全ての動作に対するボックス743において、リスト745からいずれかの動作がライダの操作部76の操作によって選択され、且つ、設定ボタン747がタップされた場合、制御部70は、ボックス743で選択された動作を順に含む設定パターンを、制御装置100へ送信する。
【0112】
設定画面741は、リスト745のいずれかが選択された場合に、その選択された動作に対応する人力駆動車1の動きを示す画像を、
図10に示すように含んでもよい。
【0113】
制御装置100の制御部110は、上述した処理によって設定パターンを記憶部112に記憶する。記憶部112には、設定パターンを判別するための条件(基準値)が記憶されている。基準値とは、設定パターンに含まれる動きが例えば「車体を前に動かすこと」である場合に、車体が前に動いた、と判別するための検出部50からの出力の閾値または範囲である。例えば、加速度センサ52からの前後方向の信号の出力の正負が前に対応し、出力の大きさが所定値以上であって、且つ、左右方向および上下方向の信号の出力がいずれも所定値未満であることが、車体が前に動いた、と判別するための基準値である。同様に、例えば、ジャイロセンサ55からのロール方向の傾きを示す出力の正負が右に対応し、出力の大きさが所定値以上であって、且つ、ヨー方向およびピッチ方向の信号の出力が所定値未満であることが、車体が右に傾けられた、と判別するための基準値である。同様に、例えば、加速度センサ52からの上下方向の信号の出力の大きさが所定値以上となるタイミングが、ジャイロセンサ55からのピッチ方向の信号の出力が一方から他方へ所定値以上の振幅で振れた前後に存在することが、前輪または後輪が持ち上げられて下ろされた、と判別するための基準値である。設定パターンに含まれる他の動作、および、設定パターンに含まれない他の動作についても同様に、出力と比較するための閾値、あるいは範囲等である基準値が記憶部112に記憶されている。
【0114】
設定パターンを構成する動作は、走行時または輸送時の振動を含まないことが好ましく、非走行時において設定パターンを判別することが好ましい。例えば、速度センサ51、トルクセンサ53およびケイデンスセンサ54の少なくとも1つの出力がゼロまたはゼロに近い場合、非走行時であると判別できる。
【0115】
図11は、制御装置100によるモード切り替えの処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、人力駆動車1において、
図4から
図7に示したような動作の実行によって第1モードから第2モードへ切り替える処理手順を説明する。
【0116】
第1モード、即ちロックモードにある人力駆動車1の制御装置100の制御部110は、操作装置37のボタンのいずれかが押下されているか否かを判定する(ステップS301)。操作装置37のボタンは、例えば、アシスト指示装置37Bのボタン、または変速指示装置37Cのボタンを含む。操作装置37のボタンは、一定時間押下(長押し)されることが好ましい。
【0117】
ボタンが押下されていないと判定された場合(S301:NO)、制御部110は、処理をステップS301へ戻し、ロックモードを維持する。
【0118】
ボタンが押下されていると判定された場合(S301:YES)、制御部110は、検出部50からの出力を取得し(ステップS303)、一連の動作の動作パターンを特定する(ステップS305)。ステップS305において制御部110は、記憶部112に記憶されている設定パターンを判別するための基準値と検出部50からの出力との比較に基づいて動作パターンを特定する。
【0119】
制御部110は、ステップS305で特定した一連の動作の動作パターンが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定する(ステップS307)。例えば、ステップS307において制御部110は、ステップS305で特定した一連の動作が、
図8に示したように「車体を前に動かす」、「車体を後ろに動かす」、「車体を左に傾ける」および「車体を右に傾ける」という順序に合致するか否かを判定する。
【0120】
動作パターンが設定パターンと合致すると判定された場合(S307:YES)、制御部110は、制御状態を第1モードから第2モードへ切り替える制御を実行する(ステップS309)。これにより、制御状態はロックモードからアンロックモードへ切り替えられ、ライダは人力駆動車1を運転可能になる。
【0121】
制御部110は、切り替えの制御後に、切り替え完了を示す報知を報知部37Dから出力し(ステップS311)、処理を終了する。ステップS311において報知部37Dでは、LEDを、比較的長い周期で点滅させてから、以後は連続して点灯させるなど、あらかじめ設定されたパターンで報知するとよい。制御部110は、操作装置37がディスプレイを有する場合、テキスト、アイコン等で、切り替え完了を報知してもよい。制御部110は、ライダの情報端末装置7の表示部74にテキスト、アイコン等で報知してもよい。
【0122】
動作パターンが設定パターンと合致しないと判定された場合(S307:NO)、制御部110は、動作パターンが合致しない旨の報知を操作装置37の報知部37Dから出力し(ステップS313)、処理を終了する。この場合、第1モードから第2モードへの切り替えは実施されない。ステップS313において報知部37Dでは、ステップS311に比べてLEDを短い周期で点滅させるなど、あらかじめ設定された点灯のパターンで報知するとよい。制御部110は、操作装置37がディスプレイを有する場合、テキスト、アイコン等で切り替え失敗を報知してもよい。制御部110は、ライダの情報端末装置7の表示部74にテキスト、アイコン等で切り替え失敗を報知してもよい。
【0123】
制御部110は、ステップS305において動作を特定するたびにステップS307における判定を実施してもよい。この場合、制御部110は、検出部50によって検出された1つ目の動作が、記憶部112に記憶されている設定パターンの1つ目の動作と合致するか否かを判定し、合致した場合には引き続き、検出部50によって検出された2つ目の動作について判定する。同様にして、制御部110は、3つ目、4つ目の動作について判定し、いずれの動作も合致した場合、S309に移行し、制御状態を第1モードから第2モードへ切り替える。
【0124】
上述の通り、本実施形態では、人力駆動車1に一連の動作の動作パターンを与えることにより、パスコード等を入力することなく、人力駆動車1の制御状態を変更できる。また、制御装置100は、制御状態の変更だけでなく、その他様々な制御を実行可能である。このように、本実施形態によれば、所定の制御を実行させるための認証のオプションを増やすことができるため、人力駆動車1のユーザビリティが向上する。
【0125】
(第2実施形態)
第2実施形態における制御装置100の構成は、後述する処理以外の構成は第1実施形態と同様である。したがって、第2実施形態の制御装置100の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0126】
第2実施形態の制御装置100の制御部110は、第1モード、および第2モードの制御状態を有する。第2実施形態でも制御装置100の制御部110は、人力駆動車1に与えられる動作の動作パターンを決定し、動作パターンがあらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かによって、所定の制御を実行する。所定の制御とは、第2実施形態では人力駆動車1の制御状態を、第1モードから、第2モードへ切り替えることである。第2実施形態における第1モードは、バッテリ40から人力駆動車1に搭載されるデバイス30へ供給される電力が制限されるスリープモードであって、第2モードは、バッテリ40からデバイス30へ供給される電力の制限が解除されるウェイクモードである。
【0127】
第2実施形態における人力駆動車1の動作の動作パターンは、人力駆動車に与えられる振動を含み、その振動は、人力駆動車1の車体およびデバイス30の少なくとも1つに与えられる振動を含む。認識対象の振動は、ハンドルバー12、操作装置37、クランク21、ペダル25、チェーン24、車輪13,14、サドル15、電動シートポスト35、ライト11C、およびスタンド16の少なくとも1つに与えられる振動を含む。振動の対象は、サイクルコンピュータ、またはドライブユニットでもよいし、チェーンカバーであってもよい。
【0128】
第2実施形態では、加速度センサ52は、認識対象の車体およびデバイス30の少なくとも1つの表面または内部に設けられる。第1例では、加速度センサ52は、サドル15の内部に設けられる。加速度センサ52は、サドル15に与えられる振動を検出できる。第2例では、加速度センサ52は、クランク21の固定箇所、ドライブユニットの内部に設けられる。加速度センサ52は、例えばペダル25に対して足をかけて与えられる振動を検出できる。
【0129】
図12は、第2実施形態における動作の内容の概要図である。
図12は、人力駆動車1に与えられる振動の一例を示す。
図12は、人力駆動車1と、ライダRとを示す。
図12中、白抜きの矢符によって人力駆動車1に与えられる上下方向の振動を示す。ライダRは、人力駆動車1のハンドルバー12、またはサドル15を保持して人力駆動車1を持ち上げて下ろすことで、人力駆動車1の車両本体11全体に上下方向の振動を与える。
【0130】
制御部110は、サドル15に設けられた加速度センサ52からの上下方向の振動を示す信号により、ライダRによる車両本体11に与えられた上下方向の振動を特定できる。加速度センサ52は、上下方向の振動を、
図6に示した動作によって検出してもよい。
【0131】
図13は、人力駆動車1に与えられる振動の他の一例を示す。
図13中、白抜きの矢符によって、人力駆動車1のペダル25に対し、その回転方向に与えられる振動を示す。ライダRは、ペダル25に足をかけるか、あるいは手でペダル25を回すことによって、ペダル25に対して振動を与える。制御部110は、クランク21、またはフレーム11Aに設けられたドライブユニット内部に設けられた加速度センサ52からの上下方向、前後方向の振動を示す信号により、ペダル25に対する振動を特定できる。その他、加速度センサ52は、スタンド16に対する振動を検出してもよいし、図示しないチェーンカバーに対する振動を検出してもよいし、ライト11Cに対する振動を検出してもよい。
【0132】
図14は、制御装置100によるモード切り替えの処理手順の一例を示すフローチャートである。スリープモードにある人力駆動車1の制御装置100の制御部110は、一定の周期(例えば1秒、2秒等)で起動して以下の処理を実行する。
【0133】
第1モード、即ちスリープモードの制御部110は、操作装置37のボタンのいずれかが押下されているか否かを判定する(ステップS401)。
【0134】
ボタンが押下されていないと判定された場合(S401:NO)、制御部110は、処理を終了する。この場合、スリープモードが維持される。
【0135】
ボタンが押下されていると判定された場合(S401:YES)、制御部110は、検出部50からの出力を取得し(ステップS403)、一連の動作を含む動作パターンを特定する(ステップS405)。ステップS405において制御部110は、記憶部112に記憶されている設定パターンを判別するための基準値と検出部50からの出力との比較に基づいて動作(振動)を特定する。
【0136】
制御部110は、ステップS405で特定した振動に基づく一連の動作の動作パターンが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定する(ステップS407)。ステップS407において制御部110は、ステップS405で特定した一連の動作が、設定パターンに含まれる動作(振動)に順序通りに合致するか否かを判定する。制御部110は、非走行時に動作パターンを特定する場合、ステップS407では速度センサ51の出力に基づいて算出される速度がゼロまたはゼロに近い速度であることを併せて判定するとよい。制御部110は、検出された動作(振動)が走行時のものであると特定した場合、合致しないと判定してもよい。
【0137】
動作パターンが設定パターンと合致すると判定された場合(S407:YES)、制御部110は、制御状態を第1モードから第2モードへ切り替える制御を実行する(ステップS409)。これにより、制御状態はスリープモードからウェイクモードへ切り替えられ、バッテリ40からコンポーネントへ供給される電力の制限が解除される。
【0138】
制御部110は、切り替えの制御後に、切り替え完了を示す報知を報知部37Dから出力し(ステップS411)、処理を終了する。
【0139】
動作パターンが設定パターンと合致しないと判定された場合(S407:NO)、制御部110は、動作パターンが合致しない旨の報知を操作装置37の報知部37Dから出力し(ステップS413)、処理を終了する。この場合、第1モードから第2モードへの切り替えは実施されない。
【0140】
上述の通り、本実施形態では、人力駆動車1に一連の動作(振動)の動作パターンを与えることにより、パスコード等を入力することなく、人力駆動車1の制御状態を変更できる。なお、第1実施形態の動作および第2実施形態の動作(振動)を適宜組み合わせることにより動作パターンを構成してもよい。
【0141】
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態における制御装置100の構成を説明するブロック図である。第3実施形態では、デバイス30は盗難防止デバイス38を含む。盗難防止デバイス38は、GPSアンテナと通信モジュールとを含み、人力駆動車1が盗難された場合に人力駆動車1の位置を追跡してユーザに通知したり、盗難車に対して警告を発報したりすることが可能なデバイスである。
【0142】
第3実施形態における制御装置100および情報端末装置7の構成は、盗難防止デバイス38が搭載される点と、モードの切り替え対象が異なること以外は第1実施形態と同様である。したがって、第3実施形態の制御装置100の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0143】
第3実施形態では、制御装置100は、盗難防止デバイス38をオンにして人力駆動車1の盗難を監視する盗難防止モードと、盗難防止デバイス38をオフにして盗難防止モードが解除されたノーマルモードとの制御状態を有する。
【0144】
第3実施形態では、制御装置100の制御部110は、人力駆動車1に与えられる動作の動作パターンを決定し、動作パターンがあらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かによって、所定の制御を実行する。第3実施形態において所定の制御とは、第1モードは盗難防止モードであり、第2モードはノーマルモードである。第3実施形態において制御装置100は、
図11のフローチャートに示した処理手順と同様の処理により、動作パターンが設定パターンと合致する場合、人力駆動車1の制御状態を盗難防止モードからノーマルモードへ切り替える。
【0145】
第3実施形態における盗難防止モードおよびノーマルモードは、第1実施形態におけるロックモードおよびアンロックモードとそれぞれ連動していてもよい。あるいは、盗難防止モードからノーマルモードへの切り替えと、ロックモードからアンロックモードへの切り替えの場合と、で設定パターンを異ならせてもよい。すなわち、盗難防止モードからノーマルモードへの切り替えは、第1の設定パターンと合致するか否かの判定に基づいて行なわれ、ロックモードからアンロックモードへの切り替えは第2の設定パターンと合致するか否かの判定に基づいて行なわれてもよい。なお、この場合、盗難防止モードかつロックモードである第1の状態と、ノーマルモードかつロックモードである第2の状態と、ノーマルモードかつアンロックモードである第3の状態と、が存在し得る。
【0146】
(第4実施形態)
第4実施形態では、人力駆動車1の車体、及びコンポーネントに与えられる動き、振動が設定パターンと合致した場合、制御装置100とライダの情報端末装置7との無線通信接続を確立するように構成される。すなわち、制御装置100と情報端末装置7との間で、いわゆるペアリングを行なうことができる。
【0147】
制御装置100および情報端末装置7のハードウェア構成は、第1実施形態と同様である。後述する処理以外の構成は第1実施形態と同様である。したがって、第4実施形態の制御装置100および情報端末装置7の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0148】
図16は、第4実施形態における制御装置100による制御手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、無線通信デバイス60による通信を行なっていない状態で、以下の処理を開始する。
【0149】
無線通信接続が確立されていない状態で制御部110は、操作装置37のボタンのいずれかが押下されているか否かを判定する(ステップS601)。
【0150】
ボタンが押下されていないと判定された場合(S601:NO)、制御部110は、処理をステップS601へ戻し、無線通信接続が確立されていない状態が維持される。
【0151】
ボタンが押下されていると判定された場合(S601:YES)、制御部110は、検出部50からの出力を取得し(ステップS603)、一連の動作の動作パターンを特定する(ステップS605)。ステップS605において制御部110は、記憶部112に記憶されている設定パターンを判別するための基準値と検出部50からの出力との比較に基づいて動作パターンを特定する。
【0152】
制御部110は、ステップS605で特定した一連の動作の動作パターンが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定する(ステップS607)。
【0153】
動作パターンが設定パターンと合致すると判定された場合(S607:YES)、制御部110は、情報端末装置7(第1外部デバイス)との無線通信接続を確立するため、情報端末装置7へ接続のリクエストを送信する(ステップS609)。これにより、人力駆動車1と情報端末装置7(第1外部デバイス)との無線通信接続が確立され、情報端末装置7との連携が開始される。
【0154】
制御部110は、無線通信接続完了を示す報知を報知部37D、または表示部74から出力し(ステップS611)、処理を終了する。ステップS611において報知部37Dでは、LEDを、比較的長い周期で点滅させてから、以後は連続して点灯させるなど、あらかじめ設定されたパターンで報知するとよい。制御部110は、操作装置37がディスプレイを有する場合、テキスト、アイコン等で、接続完了または接続中と報知してもよい。制御部110は、ライダの情報端末装置7の表示部74に、テキスト、アイコン等で接続完了または接続中と報知してもよい。
【0155】
動作パターンが設定パターンと合致しないと判定された場合(S607:NO)、制御部110は、動作パターンが合致しない旨の報知を操作装置37の報知部37Dから出力し(ステップS613)、処理を終了する。この場合、人力駆動車1と情報端末装置7との間の無線通信接続は確立されない。ステップS313において報知部37Dでは、ステップS611に比べてLEDを短い周期で点滅させるなど、あらかじめ設定された点灯のパターンで報知するとよい。制御部110は、操作装置37がディスプレイを有する場合、テキスト、アイコン等で接続失敗を報知してもよい。制御部110は、ライダの情報端末装置7の表示部74にテキスト、アイコン等で接続失敗を報知してもよい。
【0156】
上述の通り、本実施形態では、人力駆動車1に一連の動作の動作パターンを与えることにより、パスコード等を入力することなく、制御装置100とライダの情報端末装置7との無線通信接続を確立できる。このように、本実施形態によれば、所定の制御を実行させるための認証のオプションを増やすことができるため、人力駆動車1のユーザビリティが向上する。
【0157】
(第5実施形態)
第5実施形態において、設定パターンと合致するか否かの判定は、制御装置100ではなく、情報端末装置7で行なう。制御装置100および情報端末装置7のハードウェア構成は、第1実施形態におけるハードウェア構成と同様である。したがって、第5実施形態の制御装置100の構成のうち、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0158】
図17は、第5実施形態の制御装置100および情報端末装置7の構成を説明するブロック図である。第5実施形態において制御装置100の記憶部112には、設定パターンは記憶されない。記憶部112には、
図4から
図7、
図12、
図13に示したような各動作それぞれを判別するための基準値が記憶されている。
【0159】
第5実施形態では、記憶部112には、「車体を前に動かすこと」「車体を後ろに動かすこと」等の人力駆動車1に与えられる動作それぞれに割り当てられた英字、数字、および記号の少なくとも1つが記憶されている。「車体を前に動かすこと」には英字の「F」、「車体を後ろに動かすこと」には英字の「B」、「車体を右に傾けること」には数字の「1」、「車体を左に傾けること」には数字の「2」が割り当てられている。記号の「@」が動作に割り当てられてもよい。制御部110は、与えられた一連の動作の動作パターンを、英字、数字、および記号の少なくとも1つを含む文字列へ変換できる。
【0160】
第5実施形態では、設定パターンは、情報端末装置7の記憶部72に記憶されている。記憶部72に記憶されている設定パターンは、英字、数字、および記号の少なくとも1つである。設定パターンは、英字、数字、および記号それぞれが割り当てられている動作の内容を含み、
図9のフローチャートにて示した処理によって記憶されている。
【0161】
図18は、第5実施形態における制御装置100および情報端末装置7による制御手順の一例を示すフローチャートである。制御装置100は、無線通信デバイス60による通信を行なっていない状態で、以下の処理を開始する。
【0162】
無線通信接続が確立されていない状態で制御部110は、操作装置37のボタンのいずれかが押下されているか否かを判定する(ステップS701)。
【0163】
ボタンが押下されていないと判定された場合(S701:NO)、制御部110は、処理をステップS701へ戻し、無線通信接続が確立されていない状態が維持される。
【0164】
ボタンが押下されていると判定された場合(S701:YES)、制御部110は、検出部50からの出力を取得し(ステップS703)、一連の動作の動作パターンを特定する(ステップS705)。ステップS705において制御部110は、記憶部112に記憶されている動作を判別するための基準値に基づき、動作を特定する。
【0165】
制御部110は、特定された動作を、それぞれに割り当てられた英字、数字、および記号の少なくとも1つへ変換する(ステップS707)。ステップS705で特定された一連の動作が、「車体を前に動かすこと」、「車体を後ろに動かすこと」、「車体を右に傾けること」、および「車体を左に傾けること」である場合、制御部110はこの一連の動作を「FB12」というコードへ変換する。
【0166】
制御部110は、情報端末装置7へ無線通信接続のリクエストと共に、ステップS707で得られる英字、数字、および記号の列を、パスキーとして情報端末装置7に送信する(ステップS709)。
【0167】
情報端末装置7では、無線通信接続のリクエストと共にパスキーを受信し(ステップS801)、制御部70は、受信したパスキーが、あらかじめ設定されている設定パターンと合致するか否かを判定する(ステップS803)。
【0168】
パスキーが設定パターンと合致すると判定された場合(S803:YES)、制御部70は、制御装置100の無線通信デバイス60との無線通信接続を確立させる(ステップS805)。制御部70は、無線通信接続完了を制御装置100へ通知すると共に(ステップS807)、表示部74に接続中であることを示すテキスト、アイコン等で表示し(ステップS809)、通信接続の処理を終了する。
【0169】
パスキーが設定パターンと合致しないと判定された場合(S803:NO)、制御部70は、表示部74に接続失敗を示すテキスト、アイコン等で表示し(ステップS811)、通信接続の処理を終了する。この場合、人力駆動車1と情報端末装置7との間の無線通信接続は確立されない。この場合、人力駆動車1の制御装置100においても、接続失敗を示すテキスト、アイコン等を報知部37Dに表示するとよい。
【0170】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0171】
1…人力駆動車、11…車両本体、11A…フレーム、11B…フロントフォーク、11C…ライト、12…ハンドルバー、13…前輪、14…後輪、15…サドル、16…スタンド、20…駆動機構、21…クランク、21A…クランク軸、21B…右クランク、21C…左クランク、22…第1スプロケットアセンブリ、22A…スプロケット、23…第2スプロケットアセンブリ、23A…スプロケット、24…チェーン、25…ペダル、30…第1デバイス、31…アシスト装置、32…変速装置、33…ブレーキ装置、34…サスペンション、35…電動シートポスト、36…ロック装置、37…操作装置、37A…操作部、37B…アシスト指示装置、37C…変速指示装置、37D…報知部、38…盗難防止デバイス、40…バッテリ、60…無線通信デバイス、100…制御装置、110…制御部、112…記憶部、P1…制御プログラム、P2…制御プログラム、7…情報端末装置、70…制御部、72…記憶部、74…表示部、76…操作部、78…通信部、P7…アプリプログラム