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特開2023-70551長尺器具挿入用のアダプタ、及び処置システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070551
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】長尺器具挿入用のアダプタ、及び処置システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230512BHJP
   A61M 39/02 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
A61M25/06 550
A61M39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182801
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】501083643
【氏名又は名称】学校法人慈恵大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 隆生
(72)【発明者】
【氏名】福島 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066FF01
4C066JJ04
4C267AA05
4C267AA17
4C267BB04
4C267BB18
(57)【要約】
【課題】一つのシースに対して複数の長尺器具を挿入可能にする技術を提供する。
【解決手段】アダプタが、生体の管腔内に遠位端が挿入され、前記生体に対する処置を行う長尺器具を通すための器具通路を有するシースの近位端に接続される第一ポート部と、遠位端が前記第一ポート部と連通し、前記器具通路の近位側を複数の分岐通路に分岐させ、前記分岐通路にそれぞれ前記長尺器具を通す分岐通路部と、複数の前記分岐通路の夫々に対して遠位側から前記長尺器具を挿入するための開口を有する第二ポート部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端が生体の管腔内に挿入され、前記生体に対する処置を行う長尺器具を通すための器具通路を有するシースの近位端に接続される第一ポート部と、
遠位端が前記第一ポート部と連通し、前記器具通路の近位側を複数の分岐通路に分岐させ、前記分岐通路にそれぞれ前記長尺器具を通す分岐通路部と、
複数の前記分岐通路の夫々に対して遠位側から前記長尺器具を挿入するための開口を有する第二ポート部と、
を備えるアダプタ。
【請求項2】
前記分岐通路部が、前記第一ポート部と接続する遠位側通路と、当該遠位側通路の近位端から分岐し複数の前記第二ポート部と接続する前記分岐通路とを有し、前記遠位側通路と前記分岐通路との成す角が145°~180°に形成されている請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記管腔が血管である請求項1又は2に記載のアダプタ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のアダプタと、
前記シースと、
複数の前記長尺器具と、
を備える処置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シースに長尺器具を挿入するアダプタ及び処置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
血管など生体の管腔内に挿入したシースを介して、カテーテル等の長尺器具を管腔内へ挿入し、管腔内で処置を行う治療が知られている。例えば、カテーテルを用いて冠動脈血管形成術、ステントの配置、脳血管の塞栓用コイルの配置等を行う、所謂カテーテル治療が実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-20784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような長尺器具を用いた管腔内治療は、年々高度化しており、例えば、一の長尺器具で処置を行いながら他の長尺器具(カテーテル)で造影剤を導入する等、複数の器具を同時に用いる機会が多くなっている。複数の長尺器具を同時に用いる場合、管腔に対して複数のシースを別々に接続し、各シースに長尺器具を通すため、生体の複数個所を穿刺することになり、本来低侵襲とするための術式でありながら生体への負担が増加する傾向にあった。
【0005】
そこで本発明は、一つのシースに対して複数の長尺器具を挿入可能にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のアダプタは、
遠位端が生体の管腔内に挿入され、前記生体に対する処置を行う長尺器具を通すための器具通路を有するシースの近位端に接続される第一ポート部と、
遠位端が前記第一ポート部と連通し、前記器具通路の近位側を複数の分岐通路に分岐させ、前記分岐通路にそれぞれ前記長尺器具を通す分岐通路部と、
複数の前記分岐通路の夫々に対して遠位側から前記長尺器具を挿入するための開口を有する第二ポート部と、を備える。
【0007】
前記アダプタにおいて、前記分岐通路部が、前記第一ポート部と接続する遠位側通路と、当該遠位側通路の近位端から分岐し前記複数の第二ポート部と接続する分岐通路とを有し、前記遠位側通路と前記分岐通路との成す角が145°~180°に形成されてもよい。
【0008】
前記アダプタにおいて、前記管腔は血管であってもよい。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の処置システムは、
前記アダプタと、
前記シースと、
複数の前記長尺器具と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、一つのシースに対して複数の長尺器具を挿入可能にする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る処置システムの概略図である。
図2図2は、アダプタの平面図である。
図3図3は、アダプタの正面図である。
図4図4は、アダプタの左側面図である。
図5図5は、アダプタの右側面図である。
図6図6は、アダプタの底面図である。
図7図7は、アダプタの背面図である。
図8図8は、アダプタの斜視図である。
図9図9は、分岐通路部の遠位側通路に対する分岐通路の角度を示す図である。
図10図10は、分岐通路部の遠位側通路に対する分岐通路の角度を示す図である。
図11図11は、変形例1に係るアダプタの正面図である。
図12図12は、変形例1に係るアダプタの平面図である。
図13図13は、変形例2に係るアダプタの正面図である。
図14図14は、変形例2に係るアダプタの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〈第一実施形態〉
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について説明する。図1は、本実施形態に係る処置システム100の概略図である。処置システム100は、シースユニット11、アダプタ12、複数のY型コネクタ13、及び複数の長尺器具14を有している。なお、以下の説明において、「遠位」とは処置システム100の長尺器具14が通される器具通路の長手に沿った方向において術者から遠い位置を示し、「近位」とは当該器具通路の長手に沿った方向において術者から近い位置を示す。また、複数の長尺器具14を個別に示す場合には、符号14A,14B,14Cを用い、総括して示す場合には符号14を用いる。
【0013】
シースユニット11は、遠位端が生体15の例えば血管151内に挿入された状態で当該血管151と接続される。アダプタ12は、第一ポート部21がシースユニット11の後端に接続され、第一ポート部21と連通した複数の第二ポート部22に夫々Y型コネクタ13が接続される。カテーテル等の長尺器具14(14A,14B,14C)は、Y型コネクタ13の近位側ポートから当該Y型コネクタ13内に挿入される。複数の長尺器具14A,14B,14Cは、それぞれY型コネクタ13を介してアダプタ12の第二ポート部22(22A,22B,22C)に挿入され、アダプタ12内で合流してシースユニット11内に挿通され、シースユニット110を介して血管151内に導入される。このように処置システム100は、一つのシースユニット11に複数の長尺器具14を通し、管腔内で複数の長尺器具14を用いて治療を行うことを可能にするものである。
【0014】
シースユニット11は、血管151内に挿入可能な細長い管状のシース111と、シース111の近位端に設けられた筒状のハンドル部112とを有し、シース111及びハンドル部112の近位端から遠位端にかけて連通した内部空間を長尺器具14の器具通路としている。ハンドル部112の近位端には、アダプタ12と接続するコネクタ部113が設けられている。なお、シースユニット11は、既存のものであってもよく、この場合、コネクタ部113は、既存のカテーテルやY型コネクタ13と接続するためのコネクタであってもよい。
【0015】
Y型コネクタ13は、長尺器具14を挿通する主管部130と、ヘパリン加生理食塩液等の液体を導入する側管部131とを備えている。また、Y型コネクタ13は、主管部130の遠位端にアダプタ12の第二ポート部22と接続するコネクタを備え、近位端にカテーテル等の長尺器具を挿入するポートを備えている。
【0016】
長尺器具14は、Y型コネクタ13、アダプタ12、及びシースユニット11内の機器通路を通り血管内に挿入され、例えばステントの配置や造影剤の導入、バルーンによる対象部位の拡径といった処置を行う医療器具である。長尺器具14は、カテーテルに限らず、ガイドワイヤやダイレータなど他の器具であってもよい。
【0017】
<アダプタ>
図2は、アダプタ12の平面図、図3は、アダプタ12の底面図、図4は、アダプタ12の左側面図、図5は、アダプタ12の右側面図、図6は、アダプタ12の正面図、図7は、アダプタ12の背面図、図8は、アダプタ12の斜視図である。
【0018】
アダプタ12は、概ね円柱状の本体20と、当該本体20の遠位端に突設された第一ポート部21と、本体20の近位端に突設された複数の第二ポート部22とを備えている。なお、複数の第二ポート部22を個別に示す場合には、符号22A,22B,22Cを用い、総括して示す場合には符号22を用いる。
【0019】
第一ポート部21は、シースユニット11のコネクタ部113に嵌入される筒状の部材であり、近位側が本体20に嵌め込まれ、ネジ等で固定される。第一ポート部21は、接続するシースユニット11の種類に応じて交換可能に構成されてもよい。また、第一ポート部21は、本体20と一体成形されてもよい。
【0020】
本体20は、内部に第一ポート部21と第二ポート部22とを連通して器具通路を成す分岐通路部201が形成されている。分岐通路部201は、第一ポート部21と接続する遠位側通路203と、当該遠位側通路の近位端から分岐し複数の第二ポート部22(22A,22B,22C)と接続する分岐通路204(204A,204B,204C)とを有し、分岐通路204にそれぞれ長尺器具14を通すように形成されている。
【0021】
第二ポート部22は、Y型コネクタ13が接続される筒状の部材であり、遠位側が本体20に埋設されている。第二ポート部22は、複数の分岐通路204の夫々に対して近位側から長尺器具14を挿入するための開口を有する。第二ポート部22は、接続するY型コネクタ13や挿入される長尺器具14の種類に応じて交換可能に構成されてもよい。また、第二ポート部22は、本体20と一体成形されてもよい。本実施形態では、三つの第二ポート部22A,22B,22Cを備えているが、これに限定されるものではない。
【0022】
図9図10は、分岐通路部201の遠位側通路203に対する分岐通路204の角度を示す図である。図9に示すように、分岐通路部201は、遠位側通路203と分岐通路204Aとの接続点205を頂点としたとき、遠位側通路203の中心軸206と分岐通路204Aの中心軸207との角度θAが145°~180°となるように形成されている。また、図10に示すように、分岐通路部201は、遠位側通路203と分岐通路204Bとの接続点205を頂点としたとき、遠位側通路203の中心軸206と分岐通路204Bの中心軸208との角度θBが145°~180°となるように形成されている。図10と同様に、分岐通路部201は、遠位側通路203の中心軸と分岐通路204Cの中心軸との角度も145°~180°となるように形成されている。なお、分岐通路204A~204Cは、直線に限定されるものではなく、湾曲して形成されてもよい。この場合、湾曲した分岐通路204A~204Cを直線に近似し、この近似直線と遠位側通路203の角度が145°~180°となるように形成されてもよい。
【0023】
<実施形態の効果>
上述のように、本実施形態によれば、複数の長尺器具14A,14B,14Cが、Y型コネクタ13を介してアダプタ12の第二ポート部22(22A,22B,22C)に挿入され、アダプタ12内で合流してシースユニット11内に挿通される。これにより、処置システム100は、一つのシースユニット11に複数の長尺器具14を通し、管腔内で複数の長尺器具14を用いて治療を行うことを可能にする。このため生体に穿刺する箇所を減らし、生体への負担を低減できる。従って、本実施形態の処置システム100は、血管のように限られた径内での処置を好適に実施できる。
【0024】
また、本実施形態では、分岐通路部201の分岐通路204A~204Cが、遠位側通路203に対して浅い角度(180°に近い角度)で接続するように形成されているので、第二ポート部22A,22B,22Cから挿入された長尺器具14A~14Cが大きく屈曲することなく、スムーズに操作できる。
【0025】
<変形例1>
図11は、変形例1に係るアダプタ12Aの正面図、図12は、変形例1に係るアダプタ12Aの平面図である。
【0026】
図11図12に示すように、本変形例は、前述の実施形態と比べて、第二ポート部22を二つにした構成が異なっており、その他の構成は同じである。この二つの第二ポート部22B,22Cと連通した分岐通路204B,204Cが、遠位側通路203と接続し、二つの第二ポート部22B,22Cと第一ポート部21とを連通している。
【0027】
このように本変形例においても二つの長尺器具14を一つのシースユニット11に通すことができ、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0028】
<変形例2>
図13は、変形例2に係るアダプタ12Bの正面図、図14は、変形例2に係るアダプタ12Bの底面図である。
【0029】
図13図14に示すように、本変形例は、前述の実施形態と比べて、第二ポート部22を四つにした構成が異なっており、その他の構成は同じである。この四つの第二ポート部22A~22Dと連通した分岐通路204A~204Dが、遠位側通路203と接続し、四つの第二ポート部22A~22Dと第一ポート部21とを連通している。
【0030】
このように本変形例においても四つの長尺器具14を一つのシースユニット11に通すことができ、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0031】
<その他>
以上、本開示に係る処置システム及びアダプタについて説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。上述の実施形態では、主にシースユニット11を血管に挿入する例について説明したが、これに限らず、他の管腔に挿入するものであってもよい。また、生体は、人間に限定されるものではなく、人間以外の動物であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
11 シースユニット
12,12A,12B アダプタ
13 Y型コネクタ
14(14A,14B,14C 長尺器具
15 生体
20 本体
21 第一ポート部
22(22A~22D) 第二ポート部
100 処置システム
110 シースユニット
111 シース
112 ハンドル部
113 コネクタ部
130 主管部
131 側管部
151 血管
201 分岐通路部
203 遠位側通路
204(204A~204D) 分岐通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14