(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070576
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】ポリウレタンエラストマー
(51)【国際特許分類】
C08G 18/10 20060101AFI20230512BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20230512BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20230512BHJP
C08G 18/66 20060101ALI20230512BHJP
C08G 18/38 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
C08G18/10
C08G18/32 037
C08G18/48
C08G18/66 081
C08G18/38 002
C08G18/48 054
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182852
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕司
(72)【発明者】
【氏名】小林 剛史
(72)【発明者】
【氏名】守屋 敏明
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA08
4J034CA15
4J034CC12
4J034CC65
4J034CD11
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG06
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034QB14
4J034QB15
4J034RA03
4J034RA07
4J034RA08
4J034RA09
4J034RA12
4J034RA14
(57)【要約】
【課題】耐屈曲性および圧縮永久歪に優れるポリウレタンエラストマーを提供すること。
【解決手段】イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー成分と硬化剤との反応生成物を含むポリウレタンエラストマーにおいて、イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを含むポリオール成分との反応生成物を含み、プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%以下であり、硬化剤が、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー成分と、硬化剤との反応生成物を含むポリウレタンエラストマーであって、
前記イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを含むポリオール成分との反応生成物を含み、
前記プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%以下であり、
前記硬化剤が、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含む、ポリウレタンエラストマー。
【請求項2】
前記ポリエーテルポリオールが、ポリテトラメチレンエーテルポリオールを含む、請求項1に記載のポリウレタンエラストマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンエラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネートおよび低分子量ポリオールの反応により形成されるハードセグメントと、ポリイソシアネートおよび高分子量ポリオールの反応により形成されるソフトセグメントとを有している。ポリウレタンエラストマーは、ゴム弾性体であり、各種産業分野において広範に使用される。
【0003】
より具体的には、以下の方法で得られるポリウレタンエラストマーが知られている。すなわち、この方法では、まず、トリレンジイソシアネート、ポリオキシテトラメチレングリコールおよびポリカプロラクトンポリオールを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを得る。次いで、イソシアネート基末端プレポリマーと、3,3’-ジクロロ-4,4-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)とを反応させて、ポリウレタンエラストマーを得る(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ポリウレタンエラストマーの用途によっては、耐久性の向上が要求される場合がある。より具体的には、ポリウレタンエラストマーの耐屈曲性および圧縮永久歪の向上が、要求される場合がある。
【0006】
本発明は、耐屈曲性および圧縮永久歪に優れるポリウレタンエラストマーである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、イソシアネート基末端プレポリマーを含むプレポリマー成分と、硬化剤との反応生成物を含むポリウレタンエラストマーであって、前記イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを含むポリオール成分との反応生成物を含み、前記プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%以下であり、前記硬化剤が、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含む、ポリウレタンエラストマーを、含んでいる。
【0008】
本発明[2]は、前記ポリエーテルポリオールが、ポリテトラメチレンエーテルポリオールを含む、上記[1]に記載のポリウレタンエラストマーを、含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリウレタンエラストマーにおいて、プレポリマー成分に含まれるイソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを含むポリオール成分との反応生成物を含む。また、プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%以下である。そして、硬化剤が、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含む。このようなポリウレタンエラストマーは、耐屈曲性および圧縮永久歪に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ポリウレタンエラストマーは、TPU(熱可塑性ポリウレタン樹脂)またはTSU(熱硬化性ポリウレタン樹脂)である。好ましくは、ポリウレタンエラストマーは、TSU(熱硬化性ポリウレタン樹脂)である。ポリウレタンエラストマーは、プレポリマー成分と、硬化剤(後述)との反応生成物を含んでいる。
【0011】
プレポリマー成分は、主成分として、イソシアネート基末端プレポリマーを含んでいる。主成分の割合は、プレポリマー成分の総量に対して、90質量%以上、好ましくは、95質量%以上である。また、主成分の割合は、プレポリマー成分の総量に対して、通常、100質量%以下である。
【0012】
イソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、ポリオール成分との反応生成物である。
【0013】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、ポリイソシアネート単量体およびポリイソシアネート誘導体が挙げられる。
【0014】
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、および、ナフタレンジイソシアネート(NDI)が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、鎖状脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、および、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)が挙げられる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、および、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)が挙げられる。ポリイソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用できる。
【0015】
ポリイソシアネート誘導体としては、ポリイソシアネート単量体を公知の方法で変性した変成体が、挙げられる。変性体としては、例えば、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変成体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体およびカルボジイミド変性体が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0016】
ポリイソシアネート成分は、単独使用または2種類以上併用できる。ポリイソシアネート成分として、好ましくは、ポリイソシアネート単量体が挙げられ、より好ましくは、ジイソシアネート単量体が挙げられる。また、ポリイソシアネート単量体として、より好ましくは、芳香族ポリイソシアネートが挙げられ、さらに好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびトリレンジイソシアネート(TDI)が挙げられ、とりわけ好ましくは、トリレンジイソシアネート(TDI)が挙げられる。トリレンジイソシアネート(TDI)が使用される場合において、硬化剤(後述)がハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含んでいれば、とりわけ優れた耐屈曲性および圧縮永久歪が得られる。
【0017】
トリレンジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネートおよび2,6-トリレンジイソシアネートが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。トリレンジイソシアネートとして、好ましくは、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートとの併用が挙げられる。また、トリレンジイソシアネートとして、好ましくは、2,4-トリレンジイソシアネートの単独使用も挙げられる。これらが使用される場合、とりわけ優れた機械物性が得られる。
【0018】
トリレンジイソシアネートとして、とりわけ好ましくは、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートとの併用が挙げられる。2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートとが併用される場合、それらの総量に対して、2,4-トリレンジイソシアネートの含有割合が、例えば、40質量%以上、好ましくは、60質量%以上である。また、2,4-トリレンジイソシアネートの含有割合が、例えば、90質量%以下である。また、2,6-トリレンジイソシアネートの含有割合が、例えば、10質量%以上である。また、2,6-トリレンジイソシアネートの含有割合が、例えば、60質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
【0019】
ポリオール成分は、必須成分として、ポリエーテルポリオールを含有する。ポリエーテルポリオールは、マクロポリオールである。マクロポリオールは、分子中に水酸基を2つ以上有し、比較的高分子量の有機化合物である。マクロポリオールの数平均分子量は、例えば、400以上であり、例えば、20000以下である。なお、数平均分子量は、水酸基当量および平均水酸基数から、公知の方法で算出できる。また、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算分子量として測定できる(以下同様)。
【0020】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオール、および、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
【0021】
ポリオキシアルキレン(C2-3)ポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシトリエチレンポリオール、および、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンポリオール(ランダムまたはブロック共重合体)が挙げられる。
【0022】
ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物(結晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール)が挙げられる。また、ポリテトラメチレンエーテルポリオールとしては、例えば、非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールも挙げられる。非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールでは、テトラヒドロフランと、アルキル置換テトラヒドロフランおよび/または2価アルコールとが共重合される。なお、結晶性とは、25℃において固体である性質を示す。また、非晶性とは、25℃において液体である性質を示す。
【0023】
ポリエーテルポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。ポリエーテルポリオールとして、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルポリオールが挙げられる。
【0024】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、例えば、400以上、好ましくは、500以上、より好ましくは、1000以上である。また、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、例えば、15000以下、好ましくは、13000以下、より好ましくは、12000以下、さらに好ましくは、10000以下、さらに好ましくは、8000以下、とりわけ好ましくは、5000以下である。
【0025】
ポリエーテルポリオールの平均水酸基数は、例えば、2.0以上である。また、ポリエーテルポリオールの平均水酸基数は、例えば、6.0以下、好ましくは、4.0以下、より好ましくは、3.0以下である。
【0026】
ポリオール成分は、任意成分として、ポリエーテルポリオールを除くポリオール(以下、その他のポリオール)を含有できる。その他のポリオールとしては、その他のマクロポリオールおよび低分子量ポリオールが挙げられる。
【0027】
その他のマクロポリオールは、ポリエーテルポリオールを除くマクロポリオールである。その他のマクロポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオールおよびビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。その他のマクロポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0028】
低分子量ポリオールは、分子中に水酸基を2つ以上有し、比較的低分子量の有機化合物である。低分子量ポリオールの分子量は、例えば、40以上400未満、好ましくは、300以下である。低分子量ポリオールとしては、例えば、2価アルコール、3価アルコール、および、4価以上のアルコールが挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびジプロピレングリコールが挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリンおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。4価以上のアルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトールおよびジグリセリンが挙げられる。また、低分子量ポリオールとしては、数平均分子量が400未満になるように、2~4価アルコールに対してアルキレン(C2~3)オキサイドを付加重合した重合物も挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0029】
その他のポリオールは、単独使用または2種類以上併用できる。その他のポリオールの含有割合は、耐屈曲性および圧縮永久歪の観点から、ポリオール成分の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、20質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下、とりわけ好ましくは、0質量%である。
【0030】
すなわち、ポリエーテルポリオールの含有割合が、ポリオール成分の総量に対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは、80質量%以上、さらに好ましくは、90質量%以上、とりわけ好ましくは、100質量%である。換言すれば、ポリオール成分は、好ましくは、ポリエーテルポリオールからなる。
【0031】
イソシアネート基末端プレポリマーは、例えば、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを、所定の割合で反応させることによって得られる(プレポリマー工程)。
【0032】
ポリイソシアネート成分とポリオール成分との配合割合は、水酸基に対してイソシアネート基が過剰となるように、調整される。より具体的には、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、1.5以上、好ましくは、1.8以上、より好ましくは、2以上、さらに好ましくは、2.5以上である。また、ポリオール成分中の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分中のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/水酸基)が、例えば、10以下、好ましくは、7以下、より好ましくは、5以下、さらに好ましくは、4.5以下である。
【0033】
重合方法としては、例えば、バルク重合および溶液重合が挙げられる。バルク重合では、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、窒素気流下で反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、15時間以下である。溶液重合では、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を、公知の有機溶剤の存在下で反応させる。反応温度は、例えば、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、15時間以下である。
【0034】
また、必要に応じて、公知のウレタン化触媒を添加することができる。ウレタン化触媒としては、例えば、アミン類および有機金属化合物が挙げられる。ウレタン化触媒の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0035】
これによりイソシアネート基末端プレポリマーを含む反応混合物が得られる。また、上記の反応で得られる反応混合物は、イソシアネート基末端プレポリマーの他、未反応のポリイソシアネート(イソシアネートモノマー)を含有できる。未反応のポリイソシアネートは、必要に応じて、公知の除去方法により反応混合物から除去される。除去方法としては、例えば、蒸留法および抽出法が挙げられる。
【0036】
プレポリマー成分は、イソシアネート基末端プレポリマーおよび未反応のポリイソシアネートを含む成分であってもよい。また、プレポリマー成分は、イソシアネート基末端プレポリマーを含み、未反応のポリイソシアネートを含まない成分であってもよい。プレポリマー成分は、好ましくは、イソシアネート基末端プレポリマーを含み、未反応のポリイソシアネートを含まない成分である。すなわち、プレポリマー成分は、好ましくは、イソシアネート基末端プレポリマーからなる。
【0037】
このようなプレポリマー成分は、例えば、未反応のポリイソシアネートが生じない当量比および反応条件で、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とを反応させることにより得られる。また、このようなプレポリマー成分は、上記の反応混合物から未反応のポリイソシアネートを除去することによっても得られる。
【0038】
プレポリマー成分のイソシアネート基濃度は、例えば、1質量%以上、好ましくは、1.5質量%以上、より好ましくは、2.0質量%以上である。また、プレポリマー成分のイソシアネート基濃度は、6.0質量%以下、好ましくは、5.0質量%以下、より好ましくは、4.2質量%以下、さらに好ましくは、4.0質量%以下、とりわけ好ましくは、3.0質量%以下である。なお、イソシアネート基濃度(イソシアネート基含有率)は、ジ-n-ブチルアミンによる滴定法や、FT-IR分析などの公知の方法によって求めることができる。
【0039】
プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が上記上限を下回る場合において、硬化剤(後述)がハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含んでいれば、とりわけ優れた耐屈曲性および圧縮永久歪が得られる。また、プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が上記範囲であれば、優れたポットライフが得られる。
【0040】
そして、ポリウレタンエラストマーは、上記のプレポリマー成分と硬化剤とを反応させることにより、得られる(鎖伸長工程)。
【0041】
硬化剤は、必須成分として、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含有する。ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを使用すれば、耐屈曲性および圧縮永久歪に優れるポリウレタンエラストマーが得られる。
【0042】
ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンは、ジエチルトルエンジアミンのハロゲン化物である。ジエチルトルエンジアミンとしては、2,4-ジエチルトルエンジアミンおよび2,6-ジエチルトルエンジアミンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0043】
すなわち、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンは、ジエチルトルエンジアミンのベンゼン環に直接結合している水素原子がハロゲン原子に置換された化合物である。ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンは、2,4-ジエチルトルエンジアミンの6位の水素がハロゲン原子に置換された化合物を、含む。また、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンは、2,6-ジエチルトルエンジアミンの4位の水素がハロゲン原子に置換された化合物を、含む。
【0044】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。ハロゲン原子は、単独使用または2種類以上併用できる。ハロゲン原子として、好ましくは、塩素および臭素が挙げられ、より好ましくは、塩素が挙げられる。
【0045】
ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンとしては、例えば、4-クロロ-3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン、6-クロロ-3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、4-ブロモ-3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン、および、6-ブロモ-3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミンが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンとして、好ましくは、4-クロロ-3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン、および、6-クロロ-3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミンが挙げられ、より好ましくは、4-クロロ-3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンと、6-クロロ-3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミンとの併用が挙げられる。
【0046】
硬化剤は、任意成分として、その他のポリアミンを含有できる。その他のポリアミンは、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを除くポリアミン化合物である。
【0047】
その他のポリアミンとしては、例えば、芳香族ポリアミン、芳香脂肪族ポリアミン、脂肪族ポリアミンおよび脂環族ポリアミンが挙げられる。
【0048】
芳香族ポリアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンが挙げられる。芳香族ジアミンとしては、例えば、2,4-ジエチルトルエンジアミン、2,6-ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン(MOCA)、4,4’-メチレンビス(n-sec-ブチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、および、テトラクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンが挙げられる。また、芳香族ポリアミンとしては、市販品も挙げられる。市販品としては、例えば、エタキュア100(2,4-ジエチルトルエンジアミンと2,6-ジエチルトルエンジアミンの混合物、アルベマール社製)、エタキュア300(ジメチルチオトルエンジアミン、アルベマール社製)、エタキュア420(4,4’-メチレンビス(n-sec-ブチルアニリン)、アルベマール社製)、ロンザキュアM-DEA(4,4’-メチレンビス(2,6-ジエチルアニリン)、ロンザ社製)、キュアハードMED-J(4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン)、および、TCDAM(テトラクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、イハラケミカル社製)が挙げられる。
【0049】
芳香脂肪族ポリアミンとしては、例えば、芳香脂肪族ジアミンが挙げられる。芳香脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,3-キシリレンジアミンおよび1,4-キシリレンジアミンが挙げられる。
【0050】
脂環族ポリアミンとしては、例えば、脂環族ジアミンが挙げられる。脂環族ジアミンとしては、例えば、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキサン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノエチル)シクロヘキサンおよび1,4-ビス(アミノエチル)シクロヘキサンが挙げられる。
【0051】
脂肪族ポリアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミンが挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパンおよび1,3-ジアミノペンタンが挙げられる。
【0052】
その他のポリアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。その他のポリアミンの含有割合は、本発明の優れた効果を損なわない範囲で、適宜調整される。その他のポリアミンの含有割合は、ポットライフの観点から、硬化剤の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、10質量%以下、とりわけ好ましくは、0質量%である。すなわち、硬化剤は、好ましくは、その他のポリアミンを含有しない。
【0053】
硬化剤は、任意成分として、低分子量ポリオールを含有できる。低分子量ポリオールとしては、ポリオール成分として上記した低分子量ポリオールが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。低分子量のポリオールの含有割合は、耐屈曲性および圧縮永久歪の観点から、硬化剤の総量に対して、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、20質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下、とりわけ好ましくは、0質量%である。すなわち、硬化剤は、好ましくは、低分子量ポリオールを含有しない。
【0054】
すなわち、硬化剤の総量に対して、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンの含有割合が、例えば、50質量%以上、好ましくは、70質量%以上、より好ましくは、80質量%以上、さらに好ましくは、90質量%以上、とりわけ好ましくは、100質量%である。換言すれば、硬化剤は、好ましくは、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンからなる。
【0055】
プレポリマー成分と硬化剤との配合割合は、プレポリマー成分のイソシアネート基に対する硬化剤の活性水素基の当量比として調整される。活性水素基は、水酸基および/またはアミノ基であり、好ましくは、アミノ基である。
【0056】
より具体的には、例えば、プレポリマー成分中のイソシアネート基に対する硬化剤の活性水素基(アミノ基)の当量比(活性水素基/イソシアネート基)が、例えば、0.75以上、好ましくは、0.9以上、例えば、1.3以下、好ましくは、1.2以下である。
【0057】
また、プレポリマー成分と硬化剤との反応では、例えば、バルク重合および/または溶液重合が、採用される。反応温度は、例えば、室温以上、好ましくは、50℃以上である。また、反応温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、反応時間が、例えば、5分以上、好ましくは、1時間以上である。また、反応時間が、例えば、72時間以下、好ましくは、48時間以下である。プレポリマー成分と硬化剤との混合時には、必要に応じて、ウレタン化触媒を、適宜の割合で添加できる。
【0058】
これにより、プレポリマー成分と硬化剤との反応生成物を含むポリウレタンエラストマーが得られる。
【0059】
また、好ましくは、プレポリマー成分と硬化剤との混合物は、必要に応じて脱泡され、予備加熱した成形型内で硬化し、脱型される。これにより、所望形状に成形されたポリウレタンエラストマーが得られる。
【0060】
また、ポリウレタンエラストマーを、熱処理することができる。熱処理温度は、例えば、50℃以上、好ましくは、80℃以上である。また、熱処理温度は、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、熱処理時間が、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上である。また、熱処理時間が、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
【0061】
また、ポリウレタンエラストマーを、養生することができる。養生温度は、例えば、10℃以上、好ましくは、20℃以上である。また、養生温度は、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下である。また、養生時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、10時間以上である。また、養生時間が、例えば、20日間以下、好ましくは、10日間以下である。
【0062】
ポリウレタンエラストマーは、必要に応じて、プレポリマー成分と硬化剤との反応生成物の他、公知の添加剤を含むことができる。すなわち、ポリウレタンエラストマーは、ポリウレタンエラストマー組成物であってもよい。
【0063】
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、ブロッキング防止剤、離型剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤、防錆剤およびブルーイング剤が挙げられる。添加剤の添加量および添加タイミングは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0064】
そして、上記のポリウレタンエラストマーにおいて、プレポリマー成分に含まれるイソシアネート基末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分と、ポリエーテルポリオールを含むポリオール成分との反応生成物を含む。また、プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%以下である。そして、硬化剤が、ハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含む。このようなポリウレタンエラストマーは、耐屈曲性および圧縮永久歪に優れる。さらに、上記のポリウレタンエラストマーは、機械物性にも優れている。
【0065】
そのため、ポリウレタンエラストマーは、任意の形状に成形される。そして、成形品は、各種産業分野において、好適に使用される。ポリウレタンエラストマーの成形方法は、特に制限されない。成形方法としては、例えば、熱圧縮成形、射出成形、押出成形、溶融紡糸成形が挙げられる。また、成形後の形状としては、例えば、ペレット状、板状、繊維状、ストランド状、フィルム状、シート状、パイプ状、ボトル状、中空状、箱状およびボタン状が挙げられる。
【0066】
成形品の用途としては、特に制限されないが、例えば、透明性硬質プラスチック、コーティング材料、粘着剤、接着剤、防水材、ポッティング剤、インク、バインダー、フィルム、シート、バンド、ベルト、チューブ、ブレード、スピーカー、センサー、アウトソール、糸、繊維、不織布、化粧品、靴用品、断熱材、シール材、テープ材、封止材、太陽光発電部材、ロボット部材、アンドロイド部材、ウェアラブル部材、衣料用品、衛生用品、化粧用品、家具用品、食品包装部材、スポーツ用品、レジャー用品、医療用品、介護用品、住宅用部材、音響部材、照明部材、防振部材、防音部材、日用品、雑貨、クッション、寝具、応力吸収材、応力緩和材、自動車内装材、自動車外装材、鉄道部材、航空機部材、光学部材、OA機器用部材、雑貨表面保護部材、半導体封止材、自己修復材料、健康器具、メガネレンズ、玩具、パッキン、ケーブルシース、ワイヤーハーネス、電気通信ケーブル、自動車配線、コンピューター配線、工業用品、衝撃吸収材および半導体用品が挙げられる。
【実施例0067】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0068】
準備例1(プレポリマー1~7の準備)
以下に示すプレポリマー1~7(市販品)を準備した。
プレポリマー1:ハイプレン(登録商標)L-80(TDI/ポリオキシテトラメチレンエーテルグリコール系プレポリマー、NCO=2.9%、三井化学製)
プレポリマー2:ハイプレン(登録商標)L-100(TDI/ポリオキシテトラメチレンエーテルグリコール系プレポリマー、NCO=4.3%、三井化学製)
プレポリマー3:タケネート(登録商標)L-2760(TDI/ポリオキシテトラメチレンエーテルグリコール系プレポリマー、NCO=6.4%、三井化学製)
プレポリマー4:タケネート(登録商標)L-1170(TDI/ポリオキシプロピレングリコール系プレポリマー、NCO=2.5%、三井化学製)
プレポリマー5:ハイプレン(登録商標)U-62(TDI/ポリオキシプロピレングリコール系プレポリマー、NCO=4.5%、三井化学製)
プレポリマー6:サイアナプレン(登録商標)A-8QM(TDI/ポリエステルポリオール系プレポリマー、NCO=3.1%、三井化学製)
プレポリマー7:サイアナプレン(登録商標)D-5QM(TDI/ポリエステルポリオール系プレポリマー、NCO=5.0%、三井化学製)
【0069】
実施例1~4および比較例1~12
表1~表4に記載のプレポリマーを、80℃に加熱した。また、表1~表4に記載の硬化剤を、120℃に加熱した。そして、プレポリマー成分と硬化剤とを、当量比(活性水素基/NCO)が0.95となる割合で混合した。次いで、これらの混合物を、予め110℃に温調した金型に流し込み、110℃のオーブン中で2時間硬化させ、ポリウレタンエラストマーを得た。また、金型からポリウレタンエラストマーを脱型した。その後、ポリウレタンエラストマーを、110℃のオーブン中で16時間、熱処理した。これにより、シート形状のポリウレタンエラストマーを得た。
【0070】
なお、金型として、2mm厚みのシート形状の金型と、直径29mm×厚み12mmのボタン形状の金型とを使用した。
<評価>
(1)ポットライフ
プレポリマー成分と硬化剤を混合開始してから流動性を失うまでの時間を測定した。
【0071】
(2)耐屈曲性
2mm厚みのシート形状のポリウレタンエラストマーを使用した。JIS K 6260(2010)に準拠して、ポリウレタンエラストマーの試験片を作成した。また、試験片に、直径2.5mmの孔を開けた。その後、試験片を、デマチャ屈曲試験機(上島製作所社製、型式:FT-1503)を用いて300回/分の速度で15万回屈曲させた。そして、試験片に亀裂が生じるまでの屈曲回数を測定した。
【0072】
(3)硬度
直径29mm×厚み12mmのボタン形状のポリウレタンエラストマーを使用した。ポリウレタンエラストマーのショアA硬度を、JIS K 7312(1996)に準拠して、測定した。
【0073】
(4)反発弾性
直径29mm×厚み12mmのボタン形状のポリウレタンエラストマーを使用した。ポリウレタンエラストマーの反発弾性を、JIS K 7311(1995)に準拠して、測定した。
【0074】
(5)引張強度
2mm厚みのシート形状のポリウレタンエラストマーを使用した。JIS K 7312(1996)に従い、ポリウレタンエラストマーの引張強さを測定した。なお、3号形ダンベル状試験片を用いた。また、引張速度を500mm/minとした。
【0075】
(6)伸び
2mm厚みのシート形状のポリウレタンエラストマーを使用した。JIS K 7312(1996)に従い、ポリウレタンエラストマーの切断時の伸びを測定した。なお、3号形ダンベル状試験片を用いた。また、引張速度を500mm/minとした。
【0076】
(7)引裂強度
2mm厚みのシート形状のポリウレタンエラストマーを使用した。JIS K 7312(1996)に従い、ポリウレタンエラストマーの引裂強度を測定した。なお、アングル形試験片を用いた。また、引裂速度を500mm/minとした。
【0077】
(8)圧縮永久歪
直径29mm×厚み12mmのボタン形状のポリウレタンエラストマーを使用した。ポリウレタンエラストマーの圧縮永久歪を、JIS K 6262(2013)に準拠して、測定した。なお、測定温度70℃、圧縮率は25%、圧縮時間は24時間であった。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
なお、表中の略号の詳細を下記する。
MOCA:3,3’-ジクロロ-4,4’-ジフェニルメタンジアミン
エタキュア100:2,4-ジエチルトルエンジアミンと2,6-ジエチルトルエンジアミンの混合物、アルベマール社製
エタキュア300:3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミンと3,5-ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミンとの混合物、アルベマール社製
P-25:ロンザキュアP-25、4-クロロ-3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンと、6-クロロ-3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミンとの混合物、ロンザ社製
プレポリマー:調製例で得られたプレポリマー成分
NCO濃度:プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%
PTMEG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール
PPG:ポリオキシプロピレングリコール
PES:ポリエステルポリオール
【0083】
<考察>
実施例1および比較例10~12において、ポリオール成分はポリエーテルポリオールを含み、プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%以下である。このような場合、実施例1(硬化剤P-25)のポリウレタンエラストマーは、比較例10~12(硬化剤MOCA、エタキュア100およびエタキュア300)のポリウレタンエラストマーに比べて、優れた耐屈曲性および圧縮永久歪を有する。
【0084】
また、実施例2および比較例13~15においても、ポリオール成分はポリエーテルポリオールを含み、プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%以下である。このような場合、実施例2(硬化剤P-25)のポリウレタンエラストマーは、比較例13~15(硬化剤MOCA、エタキュア100およびエタキュア300)のポリウレタンエラストマーに比べて、優れた耐屈曲性および圧縮永久歪を有する。
【0085】
すなわち、上記の条件下では、硬化剤がハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含んでいれば、硬化剤がハロゲン化ジエチルトルエンジアミンを含んでいない場合に比べて、優れた耐屈曲性および圧縮永久歪を得られる。
【0086】
一方、比較例1~4においては、ポリオール成分はポリエーテルポリオールを含んでいない。このような場合、比較例1(硬化剤P-25)のポリウレタンエラストマーの耐屈曲性は、比較例2~4(硬化剤MOCA、エタキュア100およびエタキュア300)のポリウレタンエラストマーの耐屈曲性と、同程度である。
【0087】
さらに、比較例6~9においては、プレポリマー成分のイソシアネート基濃度が6.0質量%を超過している。このような場合、比較例6(硬化剤P-25)のポリウレタンエラストマーの圧縮永久歪は、比較例7~9(硬化剤MOCA、エタキュア100およびエタキュア300)のポリウレタンエラストマーの圧縮永久歪と、同程度である。