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特開2023-7061印刷装置、インク供給装置、及び印刷方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007061
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】印刷装置、インク供給装置、及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20230111BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20230111BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20230111BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B41J2/175 317
B41J2/175 121
B41J2/165
B41J2/21
B41J2/165 203
B41J2/165 207
B41J2/18
B41J2/175 141
B41J2/175 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110056
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 慎
(72)【発明者】
【氏名】飽田 俊介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA17
2C056EB21
2C056EB50
2C056EC23
2C056EC24
2C056EC53
2C056EC54
2C056EC56
2C056FA10
2C056KB16
2C056KB26
2C056KB37
2C056KC13
(57)【要約】
【課題】インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスをより適切に管理する。
【解決手段】インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であって、インクジェットヘッド、サブタンク202、インク量検知部、及びメンテナンス決定部(メンテナンス制御部)を備え、サブタンク202内のインクの量が第1の閾値以上である場合、メンテナンス決定部は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、正常時メンテナンスの一例であるパージを許可し、サブタンク202内のインクの量が第1の閾値よりも少ない場合、メンテナンス決定部は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、パージを禁止して、低消費メンテナンスの一例であるフラッシングを許可する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であって、
インクを貯留するインク容器から供給されるインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インク容器から前記インクジェットヘッドへのインクの供給経路の途中においてインクを貯留する容器であるサブタンクと、
前記サブタンク内に貯留されているインクの量を検知するインク量検知部と、
前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスの種類を決定するメンテナンス決定部と
を備え、
前記メンテナンス決定部が決定するメンテナンスの種類は、少なくとも、前記サブタンク内に貯留されているインクの量に異常が発生していない場合に実行するメンテナンスである正常時メンテナンスと、前記正常時メンテナンスの実行時よりもインクの消費量が少なくなるメンテナンスである低消費メンテナンスとを含み、
前記インク量検知部が検知する前記サブタンク内のインクの量が第1の閾値以上である場合、前記メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを許可し、
前記インク量検知部が検知する前記サブタンク内のインクの量が前記第1の閾値よりも少ない場合、前記メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを禁止して、前記低消費メンテナンスを許可することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
互いに異なる色のインクを吐出する複数の前記インクジェットヘッドと、
それぞれの前記インクジェットヘッドへ供給されるインクをそれぞれが貯留する複数の前記サブタンクと
を備え、
前記インク量検知部は、それぞれの前記サブタンク内に貯留されているインクの量を検知し、
前記メンテナンス決定部は、それぞれの前記サブタンク内に貯留されているインクの量に応じて、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスの種類を決定することで、前記インクジェットヘッド毎に、前記正常時メンテナンスを許可するか否かを決定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記正常時メンテナンスは、前記インクジェットヘッドのノズルから連続的にインクを吐出させるパージを行うメンテナンスであり、
前記低消費メンテナンスは、前記インクジェットヘッドのノズルからインクの液滴を吐出させるフラッシングを行うメンテナンスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記メンテナンス決定部が決定するメンテナンスの種類は、インクを消費しないで前記インクジェットヘッドのメンテナンスを行う非消費メンテナンスを更に含み、
前記インク量検知部が検知する前記サブタンク内のインクの量が前記第1の閾値よりも少なく、かつ、前記第1の閾値よりも小さな第2の閾値以上である場合、前記メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを禁止して、前記低消費メンテナンスを許可し、
前記インク量検知部が検知する前記サブタンク内のインクの量が前記第2の閾値よりも少ない場合、前記メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンス及び前記低消費メンテナンスを禁止して、前記非消費メンテナンスを許可することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記インク量検知部は、前記サブタンク内に貯留されているインクの量に基づき、前記インク容器から前記サブタンクへ供給されるインクの量が不足する異常である供給異常を更に検知し、
前記供給異常が検知された前記サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記メンテナンス決定部は、前記正常時メンテナンスを禁止することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記インク容器から前記サブタンクへ供給されるインクを流す流路である供給用流路と、
前記サブタンクから前記インク容器へ戻すインクを流す流路である循環用流路と、
前記インク容器から前記サブタンクへ供給されるインクを前記供給用流路に流すポンプである供給用ポンプと、
前記サブタンクから前記インク容器へ戻されるインクを前記循環用流路に流すポンプである循環用ポンプと、
前記インク量検知部が検知するインクの量に基づいて前記供給用ポンプ及び前記循環用ポンプの動作を制御するポンプ制御部と
を更に備え、
前記サブタンクは、
前記供給用流路を介して前記インク容器と接続されるインクの貯留部である第1インク貯留部と、
前記循環用流路を介して前記インク容器と接続されるインクの貯留部であり、前記第1インク貯留部との間が仕切り壁によって仕切られることで、前記仕切り壁をオーバーフローするインクが前記第1インク貯留部から供給される第2インク貯留部と
を有し、
前記インク量検知部は、前記第1インク貯留部に貯留されているインクの量である第1貯留量と、前記第2インク貯留部に貯留されているインクの量である第2貯留量とを検知し、
前記第1貯留量が第1の基準量よりも少なく、かつ、前記第2貯留量が第2の基準量よりも少ない場合、前記ポンプ制御部は、前記供給用流路を介して前記インク容器から前記サブタンクへインクが供給され、かつ、前記循環用流路を介して前記サブタンクから前記インク容器へインクが戻されない動作であるインク供給動作を前記供給用ポンプ及び前記循環用ポンプに行わせ、
前記供給用ポンプ及び前記循環用ポンプが前記インク供給動作を開始した後、所定の時間を経過しても前記第2貯留量が前記第2の基準量以上にならない場合、前記インク量検知部は、前記供給異常が生じていると判断することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
インクを貯留するインク容器からインクジェットヘッドへインクを供給するインク供給装置であって、
前記インク容器から前記インクジェットヘッドへのインクの供給経路の途中においてインクを貯留する容器であるサブタンクと、
前記サブタンク内に貯留されているインクの量を検知するインク量検知部と、
前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスの種類を決定するメンテナンス決定部と
を備え、
前記メンテナンス決定部が決定するメンテナンスの種類は、少なくとも、前記サブタンク内に貯留されているインクの量に異常が発生していない場合に実行するメンテナンスである正常時メンテナンスと、前記正常時メンテナンスの実行時よりもインクの消費量が少なくなるメンテナンスである低消費メンテナンスとを含み、
前記インク量検知部が検知する前記サブタンク内のインクの量が第1の閾値以上である場合、前記メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを許可し、
前記インク量検知部が検知する前記サブタンク内のインクの量が前記第1の閾値よりも少ない場合、前記メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを禁止して、前記低消費メンテナンスを許可することを特徴とするインク供給装置。
【請求項8】
インクジェット方式で印刷を行う印刷方法であって、
インクを貯留するインク容器から供給されるインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インク容器から前記インクジェットヘッドへのインクの供給経路の途中においてインクを貯留する容器であるサブタンクと
を用い、
前記サブタンク内に貯留されているインクの量を検知して、
前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスの種類を決定し、
前記メンテナンスの種類は、少なくとも、前記サブタンク内に貯留されているインクの量に異常が発生していない場合に実行するメンテナンスである正常時メンテナンスと、前記正常時メンテナンスの実行時よりもインクの消費量が少なくなるメンテナンスである低消費メンテナンスとを含み、
検知する前記サブタンク内のインクの量が第1の閾値以上である場合、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを許可し、
検知する前記サブタンク内のインクの量が前記第1の閾値よりも少ない場合、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを禁止して、前記低消費メンテナンスを許可することを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、インク供給装置、及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であるインクジェットプリンタが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。インクジェットヘッドを用いて印刷を行う場合、通常、インクが消費されるメンテナンスを定期的に行うことが必要になる。これに対し、特許文献1には、インクジェットヘッドに対するメンテナンス動作として所定のクリーニング動作を行うこと等が開示されている。また、特許文献1には、インクカートリッジのインク残量を所定の方法で検出することで、インクエンドまでクリーニング動作を可能にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-220564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットプリンタにおいて、インクジェットヘッドに対するメンテナンスを停止した場合、ノズル付近のインクの乾燥が進行すること等で、インクジェットヘッドの故障が生じやすくなる。また、例えば作業者が近くにいない状態での長時間の自動運転(例えば、終夜運転)によって印刷を行う場合等において、その途中でメンテナンスを中止すると、作業者が中止に気づくまでの間に時間を要することで、インクジェットヘッドの故障が特に生じやすくなると考えられる。そのため、従来、インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスをより適切に管理できる構成が望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる印刷装置、インク供給装置、及び印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の発明者は、インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスをより適切に管理できる構成について、鋭意研究を行った。また、この鋭意研究において、インクカートリッジやインクタンク等のインク容器とインクジェットヘッドとの間にサブタンクを設ける構成において、サブタンク内のインクの量に基づき、実行可能なメンテナンスを継続させることで、インクジェットヘッドの故障を可能な限り抑制することを考えた。
【0006】
より具体的に、このような構成において、インク容器内に十分な量のインクが貯留されている場合、サブタンクへ継続的にインクが供給されるため、サブタンク内のインクの量は、正常時の所定の量に維持されることになる。しかし、インク容器内のインクがなくなり、インク容器からサブタンクへインクを供給できなくなると、サブタンク内のインクの量は、減り始める。また、このような構成では、例えばインクの流路に生じた異常等によってインク容器からサブタンクへのインクの供給を適切に継続できなくなった場合等にも、サブタンク内のインクの量が減り始める。そのため、このような構成においては、サブタンク内のインクの量が減り始めることを検知することで、サブタンク内にある程度のインクが残っている時点で、インクの供給に関する異常が生じていることを検知することができる。
【0007】
そこで、本願の発明者は、サブタンク内のインクの量に基づき、インクの供給に関する異常が生じていることを検知することを考えた。そして、異常を検知した時点で、インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスについて、インクの消費量が少ないメンテナンスに切り替えることを考えた。このように構成すれば、例えば、インク容器からサブタンクへのインクの供給に異常が生じた場合にも、インクジェットヘッドに対するメンテナンスをより長時間継続することができる。
【0008】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であって、インクを貯留するインク容器から供給されるインクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インク容器から前記インクジェットヘッドへのインクの供給経路の途中においてインクを貯留する容器であるサブタンクと、前記サブタンク内に貯留されているインクの量を検知するインク量検知部と、前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスの種類を決定するメンテナンス決定部とを備え、前記メンテナンス決定部が決定するメンテナンスの種類は、少なくとも、前記サブタンク内に貯留されているインクの量に異常が発生していない場合に実行するメンテナンスである正常時メンテナンスと、前記正常時メンテナンスの実行時よりもインクの消費量が少なくなるメンテナンスである低消費メンテナンスとを含み、前記インク量検知部が検知する前記サブタンク内のインクの量が第1の閾値以上である場合、前記メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを許可し、前記インク量検知部が検知する前記サブタンク内のインクの量が前記第1の閾値よりも少ない場合、前記メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給される前記インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、前記正常時メンテナンスを禁止して、前記低消費メンテナンスを許可する。
【0009】
このように構成すれば、例えば、サブタンク内のインクの量(残量)が少なくなった場合において、インクの消費量を抑えつつ、インクジェットヘッドに対するメンテナンスを適切に継続することができる。また、これにより、例えば、インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスをより適切に管理することができる。正常時メンテナンスについては、例えば、サブタンク内のインクの量が十分にある場合にのみに実行するメンテナンス等と考えることができる。また、インクジェットヘッドに対するメンテナンスを継続することについては、例えば、所定のタイミング毎にインクジェットヘッドに対するメンテナンスを行うこと等と考えることができる。インク量検知部が検知するサブタンク内のインクの量が第1の閾値以上である場合、メンテナンス決定部は、当該サブタンクからインクが供給されるインクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、正常時メンテナンスに加えて、低消費メンテナンスも許可してもよい。
【0010】
この構成において、印刷装置は、互いに異なる色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッドを備えてもよい。この場合、印刷装置は、例えば、それぞれのインクジェットヘッドへ供給されるインクをそれぞれが貯留する複数のサブタンクを備える。また、インク量検知部は、例えば、それぞれのサブタンク内に貯留されているインクの量を検知する。そして、メンテナンス決定部は、例えば、それぞれのサブタンク内に貯留されているインクの量に応じて、当該サブタンクからインクが供給されるインクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスの種類を決定する。また、これにより、メンテナンス決定部は、例えば、インクジェットヘッド毎に、正常時メンテナンスを許可するか否かを決定する。このように構成すれば、例えば、一部のインクジェットヘッドに対応するサブタンクのみにおいてインクの量が低下した場合において、他のインクジェットヘッドに対して、正常時メンテナンスを継続して実行することができる。また、これにより、例えば、複数のインクジェットヘッドに対して、より適切にメンテナンスを実行することができる。
【0011】
また、この構成において、正常時メンテナンスは、例えば、インクジェットヘッドのノズルから連続的にインクを吐出させるパージを行うメンテナンスである。低消費メンテナンスは、例えば、インクジェットヘッドのノズルからインクの液滴を吐出させるフラッシングを行うメンテナンスである。このようなメンテナンスをインクジェットヘッドに対して実行することにより、例えば、インクジェットヘッドの故障等を生じにくくすることができる。また、この場合、サブタンク内のインクの量が少なくなり、パージが禁止されたインクジェットヘッドに対しても、フラッシングによるメンテナンスを適切に実行することができる。また、これにより、例えば、サブタンクへのインクの供給に異常が生じた場合等にも、インクジェットヘッドの故障をより適切に防止することができる。また、この場合、複数のインクジェットヘッドを備える構成において、例えば、インクの量が少なくなったサブタンクからインク供給を受けるインクジェットヘッドに対するパージを禁止した場合にも、それ以外のインクジェットヘッドに対し、パージを継続して実行することができる。そのため、このように構成すれば、例えば、印刷装置の複数のインクジェットヘッドが有するそれぞれのノズルについて、寿命を適切に長期化することができる。
【0012】
また、メンテナンス決定部が決定するメンテナンスの種類は、インクを消費しないでインクジェットヘッドのメンテナンスを行う非消費メンテナンス等を更に含んでもよい。この場合において、インク量検知部が検知するサブタンク内のインクの量が第1の閾値よりも少なく、かつ、第1の閾値よりも小さな第2の閾値以上である場合、メンテナンス決定部は、例えば、当該サブタンクからインクが供給されるインクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、正常時メンテナンスを禁止して、低消費メンテナンスを許可する。そして、インク量検知部が検知するサブタンク内のインクの量が第2の閾値よりも少ない場合、メンテナンス決定部は、例えば、当該サブタンクからインクが供給されるインクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、正常時メンテナンス及び低消費メンテナンスを禁止して、非消費メンテナンスを許可する。このように構成すれば、例えば、サブタンク内のインクが更に少なくなった場合にも、インクジェットヘッドに対し、実行可能なメンテナンスを適切に継続することができる。また、これにより、例えば、インクジェットヘッドが故障する可能性をより適切に低減することができる。非消費メンテナンスとしては、例えば、インクジェットヘッドのノズル面を拭き取るワイプ等のメンテナンスを行うことが考えられる。また、この場合、例えば、洗浄水又は洗浄液を用いてワイプを行うことが好ましい。
【0013】
また、この構成において、インク量検知部では、例えば、インク容器からサブタンクへ供給されるインクの量が不足する異常である供給異常を更に検知することが考えられる。この場合、インク量検知部は、例えば、サブタンク内に貯留されているインクの量に基づき、供給異常を検知する。また、この場合、メンテナンス決定部では、例えば、供給異常が検知されたサブタンクからインクが供給されるインクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスとして、正常時メンテナンスを禁止することが考えられる。このように構成すれば、例えば、供給異常の状態で正常時メンテナンスが行われてサブタンク内のインクが大幅に減少すること等を適切に防止できる。
【0014】
また、この構成において、印刷装置は、例えば、供給用流路、循環用流路、供給用ポンプ、循環用ポンプ、及びポンプ制御部等を更に備えてよい。この場合、供給用流路は、インク容器からサブタンクへ供給されるインクを流す流路である。循環用流路は、サブタンクからインク容器へ戻すインクを流す流路である。供給用ポンプは、インク容器からサブタンクへ供給されるインクを供給用流路に流すポンプである。循環用ポンプは、サブタンクからインク容器へ戻されるインクを循環用流路に流すポンプである。ポンプ制御部は、例えば、インク量検知部が検知するインクの量に基づいて供給用ポンプ及び循環用ポンプの動作を制御する。また、サブタンクとしては、例えば、第1インク貯留部及び第2インク貯留部を有する容器等を好適に用いることができる。この場合、第1インク貯留部は、供給用流路を介してインク容器と接続されるインクの貯留部である。第2インク貯留部は、循環用流路を介してインク容器と接続されるインクの貯留部である。第2インク貯留部は、例えば、第1インク貯留部との間が仕切り壁によって仕切られる。この場合、第2インク貯留部には、例えば、仕切り壁をオーバーフローするインクが第1インク貯留部から供給される。
【0015】
また、この場合、インク量検知部では、例えば、第1インク貯留部に貯留されているインクの量である第1貯留量と、第2インク貯留部に貯留されているインクの量である第2貯留量とを検知することが考えられる。そして、第1貯留量が第1の基準量よりも少なく、かつ、第2貯留量が第2の基準量よりも少ない場合、ポンプ制御部は、例えば、供給用流路を介してインク容器からサブタンクへインクが供給され、かつ、循環用流路を介してサブタンクからインク容器へインクが戻されない動作であるインク供給動作を供給用ポンプ及び循環用ポンプに行わせる。また、供給用ポンプ及び循環用ポンプがインク供給動作を開始した後、所定の時間を経過しても第2貯留量が第2の基準量以上にならない場合、インク量検知部は、例えば、供給異常が生じていると判断する。このように構成すれば、例えば、供給異常を適切に検知することができる。
【0016】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有するインク供給装置や印刷方法等の構成を考えることもできる。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、例えば、インクジェットヘッドに対して実行するメンテナンスをより適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置100の要部の構成の一例を示す図である。
図2】インク供給系108のより具体的な構成等について説明をする図である。図2(a)は、インク供給系108の構成の一例を示す。図2(b)は、インク供給系108におけるサブタンク202の構成の一例を示す。
図3】制御部120が行う制御等について更に詳しく説明をする図である。図3(a)は、制御部120の機能的な構成の一例を示す。図3(b)は、ポンプ制御部404が行う制御の一例を示す。
図4】メンテナンス部114において実行するメンテナンスの種類について説明をする図である。図4(a)は、メンテナンスの種類とサブタンク202内の貯留されているインクの量との関係を簡略化して示す。図4(b)は、サブタンク202内に十分な量のインクが貯留されている正常な状態の一例を示す。
図5】サブタンク202内のインクが減少した状態の例を示す。図5(a)は、サブタンク202へのインクの供給能力が低下する異常である供給異常が生じた状態の例を示す。図5(b)は、サブタンク202内のインクの量が更に減少したインク量低下エラーが生じている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置100の要部の構成の一例を示す。本例において、印刷装置100は、印刷対象の媒体(メディア)50に対してインクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンタであり、複数のインクジェットヘッド102、プラテン104、複数のメインタンク106、インク供給系108、キャリッジ110、走査駆動部112、メンテナンス部114、報知部116、及び制御部120を備える。以下に説明をする点を除き、印刷装置100は、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、印刷装置100は、図1に図示する構成以外に、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を更に備えてもよい。また、本例において、印刷装置100は、メインタンク106からインクジェットヘッド102へインクを供給するインク供給装置の一例にもなっている。
【0020】
複数のインクジェットヘッド102は、インク供給系108を介して複数のメインタンク106から供給されるインクを媒体50へ吐出する吐出ヘッドである。本例において、複数のインクジェットヘッド102のそれぞれは、互いに異なる色のインクを吐出する。また、それぞれのインクジェットヘッド102は、複数のノズルを有し、印刷する画像に応じて、それぞれのノズルからインクを吐出する。プラテン104は、複数のインクジェットヘッド102と対向させて媒体50を保持する台状部材である。
【0021】
複数のメインタンク106は、複数のインクジェットヘッド102へ供給するインクを貯留するインク容器である。また、本例において、複数のメインタンク106のそれぞれは、互いに異なる色のインクを貯留しており、いずれかのインクジェットヘッド102に対し、インク供給系108を介して、インクを供給する。メインタンク106としては、例えば、インクボトルやインクカートリッジ等を好適に用いることができる。また、本例において、メインタンク106としては、インクの補充が可能なインク容器を用いる。この場合、インク供給系108へのインクの補充について、例えば、メインタンク106が印刷装置100に設置されたままの状態で行うことが考えられる。また、メインタンク106としては、例えば、印刷装置100から取り外して交換可能なインク容器を用いること等も考えられる。この場合、メインタンク106について、例えば、印刷装置100の構成要素以外の部材等と考えることもできる。
【0022】
インク供給系108は、複数のメインタンク106から複数のインクジェットヘッド102へインクを供給するインクの供給路等を含む構成である。本例において、インク供給系108は、メインタンク106とインクジェットヘッド102との間でインクを貯留するサブタンクや、メインタンク106からサブタンクへ供給されるインクを通過させるフィルタ等を有する。インク供給系108のより具体的な構成等については、後に更に詳しく説明をする。キャリッジ110は、複数のインクジェットヘッド102を保持する保持部材である。また、本例において、キャリッジ110は、複数のインクジェットヘッド102と共に、インク供給系108の一部を保持する。より具体的に、本例において、キャリッジ110は、インク供給系108におけるサブタンク等を保持する。このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッド102の近傍にサブタンクを適切に設置することができる。
【0023】
走査駆動部112は、媒体50に対して相対的に移動する走査動作を複数のインクジェットヘッド102に行わせる駆動部である。本例において、走査駆動部112は、複数のインクジェットヘッド102に、主走査動作及び副走査動作を行わせる。この場合、主走査動作については、例えば、所定の主走査方向へ媒体50に対して相対的に移動しつつインクを吐出する動作等と考えることができる。主走査動作において、走査駆動部112は、例えば、印刷すべき画像に応じて選択されるインクの吐出位置へ、複数のインクジェットヘッド102にインクを吐出させる。副走査動作については、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ媒体50に対して相対的に移動する動作等を考えることができる。走査駆動部112は、例えば、主走査動作の合間に複数のインクジェットヘッド102に副走査動作を行わせることで、媒体50において複数のインクジェットヘッド102と対向する範囲を変更する。また、これにより、走査駆動部112は、媒体50の各位置へのインクの吐出を複数のインクジェットヘッド102に行わせる。
【0024】
メンテナンス部114は、複数のインクジェットヘッド102に対するメンテナンスの動作を実行する構成である。本例において、メンテナンス部114は、例えば印刷の動作(作図)中の所定のタイミングで、パージ、フラッシング、ワイプ(洗浄水ワイプ)等のメンテナンスを複数のインクジェットヘッド102に対して実行する。インクジェットヘッド102に対してメンテナンスを実行することについては、例えば、インクジェットヘッド102が有する複数のノズルで構成されるノズル群に対してメンテナンスを実行すること等と考えることもできる。メンテナンス部114において実行するメンテナンスの動作については、後に更に詳しく説明をする。
【0025】
報知部116は、印刷装置100のユーザに対して各種の情報の報知を行う構成である。本例において、報知部116は、例えば音声による報知やディスプレイ上への警告表示等により、ユーザの聴覚や視覚に訴える音や光を用いて、アラームの報知を行う。この場合、例えば、印刷装置100におけるスピーカーやディスプレイ等について、報知部116に対応していると考えることができる。
【0026】
制御部120は、例えば印刷装置100のCPU等を含む部分であり、印刷装置100の動作を制御するプログラム(例えば、ファームウェア等)に従って、印刷装置100の各部の動作を制御する。この場合、例えば、プログラムに従ってCPU等が様々な機能的な構成になることで、制御部120の動作を実現することが考えられる。また、制御部120は、例えば、印刷装置100における制御ユニットに対応する構成等であってよい。制御部120の機能的な構成等については、後に更に詳しく説明をする。
【0027】
続いて、印刷装置100におけるインク供給系108のより具体的な構成等について、更に詳しく説明をする。図2は、インク供給系108のより具体的な構成等について説明をする図である。図2(a)は、インク供給系108の構成の一例を示す図であり、印刷装置100における複数のインクジェットヘッド102のうちの一つについて、メインタンク106からインクジェットヘッド102へインクを供給するための構成の例を示す。本例において、インク供給系108は、一つのインクジェットヘッド102に対応して、サブタンク202、供給用流路204、循環用流路206、複数のポンプ212、214、脱気モジュール216、及びフィルタ218を有する。また、この場合、インク供給系108は、それぞれのインクジェットヘッド102に対応して、これらの構成を有する。この場合、印刷装置100について、例えば、サブタンク202、供給用流路204、及び循環用流路206等の各構成をインクの色毎に有していると考えることができる。
【0028】
サブタンク202は、メインタンク106からインクジェットヘッド102へのインクの供給経路の途中においてインクを貯留するインクの容器である。本例において、サブタンク202は、インクジェットヘッド102と共にキャリッジ110(図1参照)に保持されることで、インクジェットヘッド102の近傍において、メインタンク106よりも小さな容積で、インクを貯留する。また、サブタンク202の内部の圧力は、例えば図2(a)では図示を省略している調整機構により、大気圧に対して負圧になる圧力に調整される。サブタンク202の内部の圧力をこのように調整して、インクジェットヘッド102へのインクの供給を行うことで、例えば、インクジェットヘッド102のノズルからインクが漏れ出すことを適切に防止することができる。
【0029】
供給用流路204は、メインタンク106からサブタンク202へ供給されるインクを流す流路である。供給用流路204としては、例えば、インクを通すチューブ等を好適に用いることができる。また、本例において、供給用流路204は、例えば図中に示すように、脱気モジュール216及びフィルタ218を介して、メインタンク106からサブタンク202へ向けてインクを流す。循環用流路206は、メインタンク106とサブタンク202との間でインクを循環させるためのインクの流路であり、サブタンク202からメインタンク106へインクを戻すように、供給用流路204とは異なる経路でインクを流す。循環用流路206としても、例えば、インクを通すチューブ等を好適に用いることができる。ポンプ212は、供給用ポンプの一例であり、メインタンク106からサブタンク202へ供給されるインクを供給用流路204に流す。ポンプ214は、循環用ポンプの一例であり、サブタンク202からメインタンク106へ戻されるインクを循環用流路206へ流す。ポンプ212及びポンプ214としては、例えば公知のチューブポンプ等を好適に用いることができる。
【0030】
脱気モジュール216は、インク中の空気を除去するための構成であり、供給用流路204の途中に設置されることで、メインタンク106からサブタンク202へ供給されるインクに対して、脱気を行う。フィルタ218は、インク中の異物や固まったインク等を除去するための構成であり、供給用流路204の途中に設置されることで、メインタンク106からサブタンク202へ供給されるインクに対して、異物の除去等を行う。このように構成した場合、脱気モジュール216及びフィルタ218を介してメインタンク106からサブタンク202へインクを供給することで、例えば、インクジェットヘッド102からのインクの吐出に適した状態のインクをサブタンク202へ適切に供給することができる。また、この場合において、循環用流路206を介してサブタンク202からメインタンク106へインクを戻し、インクを循環させることで、サブタンク202内のインクについて、例えば、脱気モジュール216及びフィルタ218を通過した後に過度の時間が経過すること等を適切に防止することができる。そのため、本例によれば、例えば、インクの吐出に適した状態のインクをインクジェットヘッド102へより適切に供給することができる。
【0031】
ここで、本例において、印刷装置100の制御部120(図1参照)は、サブタンク202内に貯留されているインクの量に基づき、メインタンク106からサブタンク202へのインクの供給やインクの循環の制御を行う。また、サブタンク202は、このような制御を行う場合に好ましい構成を有している。より具体的に、本例において、サブタンク202は、例えば図2(b)に示すように、仕切り壁300、IN側貯留部302、OUT側貯留部304、及び複数の液面検出センサ306、308を有する。図2(b)は、インク供給系108におけるサブタンク202の構成の一例を示す。
【0032】
仕切り壁300は、IN側貯留部302とOUT側貯留部304とを仕切る壁部である。また、本例において、仕切り壁300は、IN側貯留部302に貯まるインクの液面の位置が所定の高さを越えた場合にオーバーフローしたインクがIN側貯留部302からOUT側貯留部304へ流れ込むように、IN側貯留部302とOUT側貯留部304との間を仕切っている。IN側貯留部302は、第1インク貯留部の一例であり、供給用流路204を介してメインタンク106と接続されることで、メインタンク106からサブタンク202へ供給されるインクを貯留する。OUT側貯留部304は、第2インク貯留部の一例であり、循環用流路206を介してメインタンク106と接続されることで、インクの循環時にメインタンク106へ送り出すインクを貯留する。
【0033】
液面検出センサ306は、IN側貯留部302内のインクの液面の位置を検出するセンサであり、IN側貯留部302内のインクに浮かぶフロート312の位置(高さ)に基づき、液面の位置を検出する。また、本例において、液面検出センサ306は、図中に示すように、仕切り壁300の高さに対応する位置の付近において、IN側貯留部302内のインクの液面の位置を検出する。この場合、仕切り壁300の高さについては、例えば、仕切り壁300を越えるインクのオーバーフローが生じる高さ等と考えることができる。また、これにより、液面検出センサ306では、例えば、IN側貯留部302からOUT側貯留部304へのインクが供給できる状態の量のインクがIN側貯留部302内に貯留されているか否かを示す液面の位置を検出する。液面検出センサ308は、OUT側貯留部304内のインクの液面の位置を検出するセンサであり、OUT側貯留部304内のインクに浮かぶフロート314の位置(高さ)に基づき、液面の位置を検出する。また、本例において、液面検出センサ308は、図中に示すように、仕切り壁300の高さよりも低い位置において、OUT側貯留部304内のインクの液面の位置を検出する。この場合、液面検出センサ308では、例えば、メインタンク106へインクを戻す循環の動作を実行すべき量のインクがOUT側貯留部304内に貯留されているか否かを示す液面の位置を検出する。液面検出センサ306、308としては、液面の位置を複数段階で検出できるセンサを用いることが好ましい。このようなセンサとしては、例えば公知の3点液面センサ等を好適に用いることができる。
【0034】
以上の構成により、本例のサブタンク202において、メインタンク106から供給されるインクは、先ず、IN側貯留部302内に供給される。また、IN側貯留部302内に十分な量のインクが貯まり、液面の位置が仕切り壁300の高さを超えた場合、仕切り壁300をオーバーフローするインクが、IN側貯留部302からOUT側貯留部304へ供給される。そして、OUT側貯留部304内に所定の量以上のインクが貯まった場合、OUT側貯留部304内のインクは、循環用流路206を介して、メインタンク106へ戻される。本例によれば、例えば、メインタンク106からサブタンク202へ適切にインクを供給し、かつ、メインタンク106とサブタンク202との間で適切にインクを循環させることができる。
【0035】
ここで、本例においては、インクジェットヘッド102とサブタンク202との間でも、インクを循環させる。この場合、サブタンク202からインクジェットヘッド102へのインクの供給は、例えば図中に示すように、IN側貯留部302の側から行う。また、OUT側貯留部304の側では、インクジェットヘッド102から戻ってくるインクを受け取る。そのため、本例において、IN側貯留部302からOUT側貯留部304へのインクの供給は、仕切り壁300をオーバーフローする経路に加え、インクジェットヘッド102を介した経路でも行うことになる。また、本例においては、サブタンク202における複数の液面検出センサ306、308によってサブタンク202内のインクの量を検知し、その結果に基づいて制御部120が複数のポンプ212、214等の動作を制御することで、インクの供給や循環の動作の制御を行う。そこで、以下、制御部120の機能的な構成や、制御部120において行うインクの供給や循環の制御等について、更に詳しく説明をする。
【0036】
図3は、制御部120が行う制御等について更に詳しく説明をする図である。図3(a)は、制御部120の機能的な構成の一例を示す図であり、制御部120において行う制御等を示す機能的なブロックを用いて、制御部120の構成の例を示す。図3(b)は、ポンプ制御部404が行う制御の一例を示す。
【0037】
本例において、制御部120は、機能的に、走査制御部402、ポンプ制御部404、メンテナンス制御部406、インク量検知部408、通液量検知部410、及び記憶部412を有する。この場合、例えば、制御部120の少なくとも一部が様々な機能的な構成として機能すると考えることができる。より具体的に、この場合、例えば、制御部120が含むCPU等がファームウェア等のプログラムに従って動作することで、走査制御部402、ポンプ制御部404、メンテナンス制御部406、インク量検知部408、及び通液量検知部410として機能する。また、例えば制御部120が含むCPU等がメモリやストレージ等の記憶手段と共に、記憶部412として機能する。制御部120は、上記の構成の他に、印刷装置100が実行する動作等に応じた他の機能的な構成を更に有してよい。
【0038】
また、これらの構成のうち、走査制御部402は、印刷装置100において実行する主走査動作及び副走査動作に関する制御を行う。ポンプ制御部404は、インク供給系108におけるポンプ212、214(図2参照)等のポンプの動作を制御する。また、本例において、ポンプ制御部404は、インク量検知部408が検知するサブタンク202(図2参照)内のインクの量に基づき、ポンプ212、214の動作を制御する。メンテナンス制御部406は、メンテナンス部114(図1参照)において実行するメンテナンスの動作に関する制御を行う。また、本例において、メンテナンス制御部406は、メンテナンス決定部の一例であり、サブタンク202内に貯留されているインクの量に応じて、メンテナンス部114においてインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスの種類を決定する。メンテナンス制御部406においてメンテナンスの種類を決定する動作については、メンテナンス部114において実行するメンテナンスの種類等と共に、後に更に詳しく説明をする。
【0039】
また、インク量検知部408は、サブタンク202内に貯留されているインクの量を検知する。より具体的に、本例において、インク量検知部408は、サブタンク202における液面検出センサ306(図2参照)の出力に基づき、IN側貯留部302(図2参照)に貯留されているインクの量である第1貯留量を検出する。また、サブタンク202における液面検出センサ308(図2参照)の出力に基づき、OUT側貯留部304(図2参照)に貯留されているインクの量である第2貯留量を検知する。インク量検知部408については、例えば、それぞれのサブタンク202内のインク残量を検知する手段の一例と考えることができる。また、本例において、インク量検知部408については、例えば、それぞれのサブタンク202におけるインクの残量が所定の閾値未満であるか否かを判断する判断手段等と考えることもできる。また、液面検出センサ306、308については、例えば、制御部120の外部にある構成と考えることができる。印刷装置100の構成や、制御部120と考える部分を異ならせる場合等には、液面検出センサ306、308等のセンサについて、制御部120が有する構成等と考えることもできる。この場合、液面検出センサ306、308と共に制御部120がインク量検知部408等として機能すると考えることができる。
【0040】
通液量検知部410は、メインタンク106(図1参照)からサブタンク202へ単位時間あたりに流れるインクの量であるインク通液量を検知する。通液量検知部410では、例えば、ポンプ制御部404によって制御するポンプ212、214の動作状態と、インク量検知部408が検知する第1貯留量及び第2貯留量とに基づき、インク通液量を検知することが考えられる。
【0041】
続いて、制御部120において実行する制御の例として、ポンプ制御部404において行うポンプの動作の制御について、説明をする。また、以下においては、ポンプ制御部404等の制御部120の機能的な構成の動作について、単に、その構成の動作として説明をする。上記においても説明をしたように、本例において、ポンプ制御部404は、インク量検知部408が検知するサブタンク202内のインクの量である第1貯留量及び第2貯留量に基づき、インク供給系108におけるポンプ212、214の動作を制御する。
【0042】
より具体的に、本例において、インク量検知部408は、第1貯留量について、IN側貯留部302における液面(IN側液面)の位置に対応付けて、Low、Middle、High、Near Full、及びLimitの5段階のいずれに該当するかを検知する。第2貯留量についても、同様に、OUT側貯留部304における液面(OUT側液面)の位置に対応付けて、Low、Middle、High、Near Full、及びLimitの5段階のいずれに該当するかを検知する。この場合、Lowが最も貯留量が少ない状態を示し、Middle、High、Near Full、及びLimitの順番で、貯留量が多くなる。また、各段階に該当すると判断する貯留量は、液面検出センサ306及び液面検出センサ308のそれぞれを取り付ける高さに応じて、液面検出センサ306及び液面検出センサ308のそれぞれに対して個別に設定される。例えば、インク量検知部408は、第1貯留量について、IN側貯留部302とOUT側貯留部304との間を仕切る仕切り壁300(図2参照)の高さに近い位置における互いに異なる複数の液面の位置に応じて設定される複数の基準量に基づいて検知する。また、インク量検知部408は、第2貯留量について、仕切り壁300の高さよりも低い所定の位置における互いに異なる複数の液面の位置に応じて設定される複数の基準量に基づいて検知する。
【0043】
また、本例において、ポンプ制御部404は、第1貯留量及び第2貯留量に応じて、ポンプ212、214に、インク供給動作、インク供給循環動作、及びインク循環動作から選択されるいずれかの動作を行わせる。この場合、インク供給動作とは、供給用流路204(図2参照)を介してメインタンク106からサブタンク202へインクが供給され、かつ、循環用流路206(図2参照)を介してサブタンク202からメインタンク106へインクが戻されない動作のことである。インク供給循環動作とは、供給用流路204を介してメインタンク106からサブタンク202へインクが供給され、かつ、循環用流路206を介してサブタンク202からメインタンク106へインクが戻される動作のことである。インク循環動作とは、供給用流路204を介してメインタンク106からサブタンク202へインクが供給されず、かつ、循環用流路206を介してサブタンク202からメインタンク106へインクが戻される動作のことである。
【0044】
また、ポンプ制御部404は、ポンプ212、214にこれらの動作を行わせることで、IN側貯留部302及びOUT側貯留部304のそれぞれに貯留されるインクの量について、図3(b)に示す状態A、B、Cのいずれかになるように、調整する。この場合、状態A、B、Cは、図中に示す基準量Li1及びLi2と第1貯留量との大小関係や、基準量Lo1及びLo2と第2貯留量との大小関係に応じて決まる状態である。また、本例において、基準量Li2は、第1の基準量の一例である。基準量Lo1は、第2の基準量の一例である。状態Aについては、例えば、第1貯留量が基準量Li2よりも少なく、かつ、第2貯留量が基準量Lo1よりも少ない状態等と考えることができる。また、図中に示す場合において、状態Aでの第2貯留量は、基準量Lo1よりも少なく、かつ、基準量Lo2以上になる。状態Bについては、例えば、第1貯留量が基準量Li2よりも少なく、かつ、第2貯留量が基準量Lo1以上の状態等と考えることができる。状態Cについては、例えば、第1貯留量が基準量Li2以上であり、かつ、第2貯留量が基準量Lo1以上の状態等と考えることができる。また、図中に示す場合において、状態Cでの第1貯留量は、基準量Li2以上であり、基準量Li1よりも少なくなる。
【0045】
そして、サブタンク202におけるインクの貯留量が状態Aになっている場合、ポンプ制御部404は、インク供給動作をポンプ212、214に行わせる。また、インクの貯留量が状態Bになっている場合、ポンプ制御部404は、インク供給循環動作をポンプ212、214に行わせる。インクの貯留量が状態Cになっている場合、ポンプ制御部404は、インク循環動作をポンプ212、214に行わせる。また、これらの動作の制御により、ポンプ制御部404は、サブタンク202におけるインクの貯留量の状態について、状態A、B、Cの間で遷移させる。このように構成すれば、例えば、サブタンク202内のインク量が少なくなった場合に、メインタンク106からサブタンク202へ適切にインクを供給することができる。また、サブタンク202内に十分なインクが貯留されている場合にサブタンク202からメインタンク106へインクを戻すことで、メインタンク106とサブタンク202との間で適切にインクを循環させることができる。
【0046】
ここで、本例においては、インクの供給能力を適切に確保するために、インクの供給用のポンプ212の能力について、循環用のポンプ214の能力よりも大きくしている。そのため、通常の動作時には、状態A、B、Cのうち、主に、状態B、Cの間での遷移が生じることになる。また、この場合、例えばインクの消費量が多くなったタイミング等では、サブタンク202内のインクが減ることで状態Aに遷移することで、サブタンク202により適切にインクを供給することができる。また、これにより、上記のように、サブタンク202におけるインクの貯留量について、状態A、B、Cの間での遷移が維持される。
【0047】
また、例えばインクの消費量が一時的に大きく変化した場合や、インクの供給や循環について異常が生じた場合等には、サブタンク202におけるインクの貯留量について、状態A、B、C以外の状態になることも考えられる。そのため、本例においては、図中に括弧書きで示すように、状態A、B、C以外の状態に対しても、インク供給動作、インク供給循環動作、又はインク循環動作を対応付けている。この場合、一部の状態に対し、例えば、これら以外の動作を対応付けてもよい。また、このような状態と動作との対応付けについては、例えば制御テーブルの形式で記憶部412に記憶しておくことが考えられる。この場合、ポンプ制御部404の動作について、例えば、記憶部412に記憶されている制御テーブルに従ってポンプ212、214の動作を制御すると考えることができる。本例によれば、例えば、サブタンク202へのインクの供給やインクの循環を適切に実行することができる。
【0048】
続いて、メンテナンス部114において実行するメンテナンスの種類や、メンテナンス部114に実行させるメンテナンスの種類をメンテナンス制御部406において決定する動作等について、更に詳しく説明をする。図4は、メンテナンス部114において実行するメンテナンスの種類について説明をする図である。図4(a)は、メンテナンスの種類とサブタンク202内の貯留されているインクの量(残量)との関係を簡略化して示す。
【0049】
上記においても説明をしたように、メンテナンス制御部406は、サブタンク202内に貯留されているインクの量に応じて、メンテナンス部114においてインクジェットヘッド102(図1参照)に対して実行するメンテナンスの種類を決定する。また、より具体的に、本例において、メンテナンス制御部406が決定するメンテナンスの種類は、図中に示すように、パージ、フラッシング、及びワイプを含む。この場合、パージは、サブタンク202内に貯留されているインクの量に異常が発生していない場合に実行するメンテナンスである正常時メンテナンスの一例である。フラッシングは、正常時メンテナンスの実行時よりもインクの消費量が少なくなるメンテナンスである低消費メンテナンスの一例である。ワイプは、インクを消費しないでインクジェットヘッド102のメンテナンスを行う非消費メンテナンスの一例である。
【0050】
また、パージについては、例えば、インクジェットヘッド102のノズルから連続的にインクを吐出させるメンテナンス等と考えることができる。より具体的に、通常の動作時(印刷の動作時等)においては、上記においても説明をしたように、インクジェットヘッド102へ供給されるインクの圧力について、大気圧に対して負圧になる圧力に調整することが考えられる。このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッド102のノズルからインクが漏れ出すことを適切に防止することができる。これに対し、パージの実行時において、メンテナンス部114では、例えば加圧したインクをインクジェットヘッド102のノズルへ供給することで、意図的に圧力をかけてノズルからインクを排出させる。パージについては、例えば、各ノズルからシャワーのように連続してインクが押し出されるメンテナンス等と考えることもできる。パージを行うことにより、例えば、特に粘度が高くなったインクや気泡を含んだインクのような、以下に説明をするフラッシングでは排出できないインクについても、ノズルから適切に排出することができる。また、パージを行うことにより、例えば、詰まったノズルを回復させることができる場合もある。
【0051】
フラッシングについては、例えば、インクジェットヘッド102のノズルからインクの液滴を吐出させるメンテナンス等と考えることができる。この場合、ノズルからインクの液滴を吐出させることについては、例えば、パージのように連続的にインクを排出するのではなく、所定の容量のインクの液滴を所定の回数だけノズルから吐出させること等と考えることができる。また、より具体的に、フラッシングについては、例えば、インクジェットヘッド102を駆動させてノズルからインクを吐出させる動作等と考えることができる。この場合、インクジェットヘッド102を駆動させることについては、例えば、ノズルからインクを吐出させる駆動素子(例えば、ピエゾ素子等)を印刷の動作時と同様に駆動させること等と考えることができる。また、フラッシングの実行時には、印刷の動作時のように印刷する画像に応じて一部のノズルを選択するのではなく、例えば、メンテナンス対象のインクジェットヘッド102における全てのノズルを選択して、ノズルからインクの液滴を吐出させる。フラッシングについては、例えば、ドット単位のインクの吐出を繰り返すメンテナンス等と考えることもできる。フラッシングを行うことにより、例えば、ノズルの近傍で乾燥等によって粘度が高くなったインクを排出することができる。また、これにより、例えば、印刷の動作時の吐出を安定化することができる。また、例えば、ノズルの近傍で乾燥し始めたインクを排除することで、乾燥が進行してノズルが詰まることを防止すること等も可能になる。
【0052】
また、ワイプは、インクジェットヘッド102のノズル面を拭き取るワイピングを行うことでインクを消費せずに行うメンテナンスである。本例において、メンテナンス部114は、洗浄水で湿らせたワイパを用いてインクジェットヘッド102のノズル面に対するワイピングを行うことで、ワイプを実行する。ワイプの動作の変形例では、洗浄水に代えて、洗浄用の薬剤を含む洗浄液を用いること等も考えられる。このような洗浄液としては、公知のインクジェットヘッド用の洗浄液を好適に用いることができる。公知の洗浄液としては、例えば特開2009-155424号に開示されている洗浄液や、特開2020-82577号に開示されている洗浄液等を用いることが考えられる。また、ワイプにおいて用いる洗浄水や洗浄液については、クリーニング液の一例と考えることができる。ワイプを行うことで、例えば、ノズル面に付着した異物(ゴミ等)を取り除くこと等も可能になる。更に、洗浄水等を用いてワイプを行うことで、インクを用いることなく、ノズル面の乾燥を遅らせること等も可能になる。また、例えば、パージを行った直後にワイプを行うことで、パージによってノズル面に流れ出したインクを拭き取ることができる。
【0053】
ここで、上記の説明等から理解できるように、本例において、パージ及びフラッシングは、実行時にインクを消費するメンテナンスである。そして、インクの消費量は、パージの実行時の方が、フラッシングの実行時よりも多くなる。また、メンテナンスの効果についても、パージの実行時の方が、フラッシングの実行時よりも大きくなる。例えば、詰まったノズルを回復させる効果については、特にパージにおいて期待される効果等と考えることができる。そのため、パージについては、例えば、効果が高い反面、フラッシングよりも多くのインクを消費するメンテナンス等と考えることができる。また、通常時(正常時)のメンテナンス動作において、メンテナンス部114は、例えば、パージ、フラッシング、及びワイプを所定の間隔で実行して、インクジェットヘッド102におけるノズルの状態を良好に維持する。この場合、パージ、フラッシング、及びワイプのそれぞれについて、例えば、インクジェットヘッド102及びインクの特性に応じて決定される間隔で実行することが考えられる。
【0054】
しかし、例えばインク供給系108(図2参照)に問題が生じること等でメインタンク106(図1参照)からサブタンク202へ適切にインクが供給できない異常が生じた場合、インクの消費量が大きいパージを継続すると、サブタンク202内のインクが短時間でなくなることが考えられる。また、その結果、例えばノズル付近のインクの乾燥が進行して、インクジェットヘッド102の故障が生じやすくなる。また、より具体的に、例えば作業者が近くにいない状態で長時間の自動運転(例えば、終夜運転)での印刷を行う場合等において、その途中でサブタンク202内のインクがなくなり、インクジェットヘッド102へのメンテナンスができなくなると、作業者がその状態に気づくまでの間に時間を要することで、インクジェットヘッド102の故障が生じやすくなると考えられる。
【0055】
これに対し、本例において、サブタンク202へインクを適切に供給できない異常が生じ、サブタンク202内に貯留されているインクの量が少なくなった場合、メンテナンス制御部406は、パージの実行を禁止(停止)した上で、パージよりもインクの消費量が少ないフラッシングについて、引き続き、メンテナンス部114に実行させる。このように構成すれば、例えば、パージを実行しないことでノズルの状態を最適な状態に保つことが難しくなったとしても、より長時間の間、フラッシングを適切に実行することができる。また、これにより、例えば、ノズル面の乾燥が進んでインクジェットヘッド102が故障すること等をより適切に防止できる。
【0056】
また、サブタンク202内に貯留されるインクがより少なくなった場合、フラッシングを実行することも困難になることが考えられる。これに対し、本例において、サブタンク202内に貯留されているインクの量が更に少なくなった場合、メンテナンス制御部406は、パージに加えてフラッシングも禁止して、ワイプをメンテナンス部114に実行させる。このように構成すれば、例えば、サブタンク202内のインクの量が特に少なくなった場合にも、可能なメンテナンスを継続して実行することができる。
【0057】
また、より具体的に、例えば図4(a)に示すように、サブタンク202に所定の満充填の量のインクが貯留されている状態をサブタンク202におけるインクの量の上限と考え、メンテナンス部114にフラッシングを実行させるインクの最少の貯留量をサブタンク202におけるインクの量の下限と考えた場合、メンテナンス制御部406は、この上限と下限との間に設定される所定の閾値Vth1を基準にして、メンテナンス部114にパージを実行させるか否かを判断する。この場合、閾値Vth1は、第1の閾値の一例であり、下限よりも大きく、かつ、上限よりも小さい。下限は、第1の閾値よりも小さな第2の閾値の一例である。
【0058】
また、メンテナンス制御部406は、インク量検知部408が検知するそれぞれのサブタンク202内のインクの量に基づき、サブタンク202毎に、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対してメンテナンス部114に実行させるメンテナンスを決定する。例えば、サブタンク202内のインクの量が閾値Vth1以上である場合、メンテナンス制御部406は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、パージを許可する。また、より具体的に、本例において、サブタンク202内のインクの量が閾値Vth1以上である場合、メンテナンス制御部406は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、パージに加え、フラッシング及びワイプも許可する。この場合、メンテナンス制御部406は、それぞれ所定のタイミングで、パージ、フラッシング、及びワイプをメンテナンス部114に実行させる。このように構成すれば、例えば、サブタンク202内にインクが十分に貯留されている場合において、インクジェットヘッド102に対するメンテナンスをより適切に実行することができる。
【0059】
また、この場合、例えばパージを行った直後にワイプを行うことで、上記においても説明をしたように、パージによってノズル面に付着したインクを拭き取ることが考えられる。また、この点に関し、インクを拭き取るという目的を考えると、洗浄水で湿らせていないワイパを用いる方が好ましいようにも思われる。しかし、例えばワイパやノズル面が乾燥した状態でワイピングを行うと、ノズル面を破損する原因になる場合がある。そのため、本例においては、パージの実行後に行うワイプでも、上記のように、洗浄水で湿らせたワイパを用いる。このように構成すれば、パージの直後に行うワイプのメンテナンスをより適切に実行できる。
【0060】
また、サブタンク202内のインクの量が閾値Vth1よりも少ない場合、メンテナンス制御部406は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、パージを禁止する。また、より具体的に、本例において、サブタンク202内のインクの量が閾値Vth1よりも少なくなり、パージを禁止する場合、メンテナンス制御部406は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、フラッシング及びワイプを許可する。また、図中に示すように、本例において、メンテナンス制御部406は、サブタンク202内のインクの量が閾値Vth1よりも少なく、かつ、下限以上である場合に、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、パージを禁止し、フラッシング及びワイプを許可する。この場合、メンテナンス制御部406は、それぞれ所定のタイミングで、フラッシング及びワイプをメンテナンス部114に実行させる。
【0061】
また、サブタンク202内のインクが更に減少し、サブタンク202内のインクの量が下限よりも少なくなった場合、メンテナンス制御部406は、フラッシングを更に禁止する。この場合、メンテナンス制御部406の動作について、例えば、パージ及びフラッシングを禁止して、ワイプを許可する動作等と考えることができる。また、パージ及びフラッシングを禁止することについては、例えば、インクを消費するメンテナンスを禁止すること等と考えることができる。
【0062】
本例によれば、例えば、サブタンク202内のインクの量が少なくなり、パージを継続して行うことが難しくなった場合にも、フラッシング等を行うことで、インクの消費量を抑えつつ、インクジェットヘッド102に対するメンテナンスを適切に継続することができる。この場合、パージについて、例えば、サブタンク202内のインクの量が十分にある場合にのみに実行するメンテナンス等と考えることができる。また、インクジェットヘッド102に対するメンテナンスを継続することについては、例えば、所定のタイミング毎にインクジェットヘッド102に対するメンテナンスを行うこと等と考えることができる。また、このようなメンテナンスをインクジェットヘッド102に対して実行することにより、例えばサブタンク202へのインクの供給に異常が生じた場合等にも、インクジェットヘッド102のノズル付近が乾燥すること等を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、インクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスをより適切に管理して、インクジェットヘッド102の故障をより適切に防止することができる。
【0063】
また、本例においては、サブタンク202内のインクが更に少なくなり、フラッシングを更に禁止した場合にも、ワイプを実行することで、そのサブタンク202からインクが供給されていたインクジェットヘッド102に対し、実行可能なメンテナンスを継続することができる。また、これにより、例えば、インクジェットヘッド102が故障する可能性をより適切に低減することができる。
【0064】
また、上記においても説明をしたように、本例において、インク量検知部408は、サブタンク202毎に、それぞれのサブタンク202内に貯留されているインクの量を検知する。そして、メンテナンス制御部406は、それぞれのサブタンク202内に貯留されているインクの量に応じて、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスの種類を決定する。また、これにより、メンテナンス制御部406は、インクジェットヘッド102毎に、パージやフラッシングを許可するか否かを決定する。このように構成すれば、例えば、一部のインクジェットヘッド102に対応するサブタンク202のみにおいてインクの量が減少して、そのサブタンク202からインク供給を受けるインクジェットヘッド102に対するパージを禁止した場合にも、それ以外のインクジェットヘッド102に対し、パージを継続して実行することができる。また、そのサブタンク202内のインクの量が更に減少して、そのサブタンク202からインク供給を受けるインクジェットヘッド102に対するフラッシングを禁止した場合にも、それ以外のインクジェットヘッド102に対し、パージやフラッシングを継続して実行することができる。そのため、本例によれば、例えば、複数のインクジェットヘッド102が有するそれぞれのノズルについて、寿命を適切に長期化することができる。
【0065】
ここで、上記においても説明をしたように、本例において、サブタンク202は、IN側貯留部302(図2参照)及びOUT側貯留部304(図2参照)に分けて、インクを貯留する。また、インク量検知部408は、液面検出センサ306、308の出力に基づき、IN側貯留部302に貯留されているインクの量である第1貯留量と、OUT側貯留部304に貯留されているインクの量である第2貯留量とを検知する。そして、この場合、メンテナンス制御部406の実際の動作では、例えば、図4(a)に簡略化して示すインクの量とメンテナンスの種類との関係よりも具体的に、第1貯留用及び第2貯留量に基づき、それぞれのインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスの種類を決定することになる。そこで、以下、第1貯留用及び第2貯留量に基づいてメンテナンスの種類を決定する動作について、より具体的に説明をする。
【0066】
図4(b)は、サブタンク202内に十分な量のインクが貯留されている正常な状態の一例を示す。上記においても説明をしたように、本例のインク供給系108においては、インクの供給能力を適切に確保するために、インクの供給用のポンプ212(図2参照)の能力について、循環用のポンプ214(図2参照)の能力よりも大きくしている。そのため、通常の動作時において、IN側貯留部302及びOUT側貯留部304のそれぞれに貯留されるインクの量は、図3を用いて説明をした状態A、B、Cのうち、主に、状態B、Cの間での遷移が生じることになる。そのため、本例においては、状態B、Cの間での遷移が生じている状態について、正常な状態になっていると考えることができる。また、このような正常な状態については、例えば、サブタンク202内のインクの量が閾値Vth1以上である状態に相当すると考えることができる。そして、この場合、例えば図中に示すように、IN側貯留部302での第1貯留量は、Low又はMiddleに対応する量になる。また、OUT側貯留部304での第2貯留量は、液面検出センサ308の位置を超える貯留量になる。この場合、第2貯留量について、Limitに対応する量になると考えることができる。
【0067】
また、上記においても説明をしたように、サブタンク202におけるインクの貯留量が状態Bになっている場合、ポンプ制御部404(図3参照)は、インク供給循環動作をポンプ212、214に行わせる。また、インクの貯留量が状態Cになっている場合、ポンプ制御部404は、インク循環動作をポンプ212、214に行わせる。そのため、サブタンク202におけるインクの量が正常な状態になっている場合、IN側貯留部302へのインクの供給の動作は、間欠動作になる。また、OUT側貯留部304からメインタンク106へインクを戻すインクの循環の動作は、連続動作になる。そして、このような正常な状態になっている場合、メンテナンス制御部406は、そのサブタンクからインクが供給されるインクジェットヘッド102に対し、上記のように、パージ、フラッシング、及びワイプをメンテナンス部114に実行させる。
【0068】
これに対し、サブタンク202内のインクの量が減少した場合、例えば図5に示すような状態になる。図5は、サブタンク202内のインクが減少した状態の例を示す。図5(a)は、サブタンク202へのインクの供給能力が低下する異常である供給異常が生じた状態の例を示す。供給異常については、例えば、メインタンク106(図1参照)からサブタンク202へ供給されるインクの量が不足する異常等と考えることができる。本例においては、例えばメインタンク106内のインクがなくなるインクエンドや、フィルタ218(図2参照)の目詰まり等により、供給異常が生じることが考えられる。
【0069】
また、本例において、供給異常が生じ、メインタンク106からサブタンク202へのインク通液量が低下した場合、例えば、IN側貯留部302及びOUT側貯留部304におけるインクの量が減少することで、サブタンク202におけるインクの貯留量の状態が、上記において説明をした状態Aに変化する。この場合において、インク通液量の低下が軽微なものであれば、サブタンク202におけるインクの貯留量の状態は、短時間で状態Bに戻る。これに対し、インク通液量がより大幅に低下した場合、状態Bに戻るまでの時間が長くなることや、状態Bに戻れなくなることが考えられる。
【0070】
そこで、本例において、サブタンク202におけるインクの貯留量の状態が状態Aに変化した後、所定の時間内に状態Bに戻らない場合、インク量検知部408は、供給異常が生じていると判断する。より具体的に、インク通液量が低下した場合、図3を用いて説明をした基準量(基準量Li2及び基準量Lo1等)との関係において、IN側貯留部302における第1貯留量が基準量Li2よりも少なくなり、OUT側貯留部304における第2貯留量が基準量Lo1よりも少なくなることが考えられる。そして、この場合、サブタンク202におけるインクの貯留量の状態が状態Aに変化することで、ポンプ制御部404(図3参照)は、インク供給動作をポンプ212、214(図2参照)に行わせる。そして、ポンプ212、214がインク供給動作を開始した後、所定の時間を経過しても第2貯留量が基準量Lo1以上にならない場合、インク量検知部408は、供給異常が生じていると判断する。本例によれば、例えば、供給異常を適切に検知することができる。
【0071】
ここで、上記のように、サブタンク202におけるインクの貯留量の状態が状態Aに変化したとしても、インク通液量の低下が軽微なものであれば、サブタンク202におけるインクの貯留量の状態は、短時間で状態Bに戻る。そのため、この場合、インクの貯留量の状態は、例えば、状態A、Bの間での遷移が生じることになる。この場合、IN側貯留部302へのインクの供給の動作は、連続動作になる。OUT側貯留部304からメインタンク106へインクを戻すインクの循環の動作は、間欠動作になる。また、インク通液量がより低下した場合、状態Bに戻ることがなくなるため、OUT側貯留部304からメインタンク106へインクを戻すインクの循環の動作は、停止することになる。
【0072】
また、上記のとおり、状態A、B等は、サブタンク202におけるインクの貯留量を示すものである。そのため、上記のようにしてインク量検知部408が供給異常を検知する動作については、例えば、サブタンク202内に貯留されているインクの量に基づいて供給異常を検知する動作等と考えることができる。また、供給異常を検知する動作については、例えば、メインタンク106からサブタンク202へのインク通液量の異常を検知する動作等と考えることもできる。そのため、ポンプ212、214がインク供給動作を開始した後、所定の時間を経過しても第2貯留量が基準量Lo1以上にならない場合、通液量検知部410において、インク通液量の異常を検知してもよい。この場合、例えば、通液量検知部410がインク通液量を検知することで、インク量検知部408において、供給異常が生じていると判断することが考えられる。
【0073】
また、上記の説明等から理解できるように、本例において、供給異常を検知することについては、例えば、サブタンク202内のインクの量が所定の量よりも少なくなっている状態を検知することに対応していると考えることができる。より具体的に、本例において、インク量検知部408が供給異常を検知した場合、サブタンク202内のインクの量について、所定の閾値Vthよりも少なくなっていると考えることができる。また、この場合、インクの量の閾値Vthについては、例えば、ポンプ212、214にインク供給動作を開始させる条件である基準量Li2及び基準量Lo1や、供給異常を検知するために用いる上記の所定の時間等の条件から換算することができる。
【0074】
また、供給異常を検知することとインクの量の閾値Vthとの間のこのような関係に対応して、本例において、いずれかのサブタンク202について供給異常が検知された場合、メンテナンス制御部406(図3参照)は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102(図1参照)に対して実行するメンテナンスとして、パージを禁止する。このように構成すれば、例えば、供給異常の状態でパージが行われてサブタンク202内のインクが大幅に減少すること等を適切に防止できる。
【0075】
また、サブタンク202におけるインクの貯留量が状態Aになった場合、上記の所定の時間が経過して供給異常が生じているとの判断をする前の段階で、例えば、印刷装置100における報知部116(図1参照)に警告等のアラームを報知させること等も考えられる。より具体的に、この場合、例えば、ポンプ212、214がインク供給動作を開始した後、予め設定された第1の時間を経過しても第2貯留量が基準量Lo1以上にならない場合、インク量検知部408は、報知部116に警告のアラームを報知させる。また、ポンプ212、214がインク供給動作を開始した後、第1の時間よりも長い第2の時間を経過しても第2貯留量が基準量Lo1以上にならない場合、インク量検知部408は、供給異常が生じていると判断する。このように構成すれば、例えば、インク通液量の低下量が少ない段階で、ユーザに対して適切に警告等を発することができる。また、これにより、例えば、インク供給系108の点検やフィルタ218の交換等をユーザに促すことができる。また、この場合、例えば、第2の時間について、供給異常を検知するために用いる上記の所定の時間に相当すると考えることができる。また、第2の時間が経過した時点において、インク量検知部408は、供給異常を示すアラームの報知を報知部116に行わせてもよい。また、警告や供給異常を示すアラームを報知部116に報知させる動作については、例えば、通液量検知部410において行うこと等も考えられる。
【0076】
また、上記のように、本例においては、上記の所定の時間の経過によって供給異常が生じているとの判断をインク量検知部408が行った時点で、メンテナンス制御部406は、供給異常が検知されたサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、パージを禁止する。また、この場合、メンテナンス部114では、そのインクジェットヘッド102に対して、上記においても説明をしたように、フラッシング及びワイプを実行する。しかし、例えば図5(b)に示す状態のように、サブタンク202内のインクが更に減少した場合、上記においても説明をしたように、メンテナンス制御部406は、フラッシングについても更に禁止して、ワイプのみを許可する。
【0077】
図5(b)は、サブタンク202内のインクの量が図5(a)に示す状態から更に減少したインク量低下エラーが生じている状態を示す。本例において、インク量低下エラーが生じている状態については、例えば、サブタンク202内のインクの量が図4(a)に示す下限よりも少なくなった状態等と考えることができる。また、インクの量が下限よりも少なくなった状態については、例えば、インクを消費するメンテナンスを実行可能なインクの量(メンテナンス可能量)よりもサブタンク202内のインクの量が少なくなった状態等と考えることもできる。
【0078】
より具体的に、本例において、インク量検知部408は、OUT側貯留部304における第2貯留量がLowに対応する量になった時点で、インク量低下エラーが生じたと判断する。また、いずれかのサブタンク202においてインク量低下エラーが生じた場合、メンテナンス制御部406は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、更にフラッシングを禁止して、ワイプのみを許可する。また、これにより、メンテナンス部114は、そのインクジェットヘッド102に対するその後のメンテナンスとして、ワイプのみを実行する。このように構成すれば、例えば、サブタンク202内のインクが更に減少することを適切に防止することができる。
【0079】
以上のように、本例によれば、例えば、サブタンク202内のインクの量が少なくなった状態、またはこれに対応するエラーの発生状態等に応じて、実行を許可するメンテナンスの種類を適切に変更することができる。より具体的に、上記においても説明をしたように、サブタンク202内にインクの量が十分にある正常時において、メンテナンス制御部406は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、パージ、フラッシング、及びワイプを許可する。また、供給異常等によってサブタンク202内のインクが減少した場合、メンテナンス制御部406は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、パージを禁止して、フラッシング及びワイプを許可する。また、サブタンク202内のインクが更に減少して、インク量低下エラーが生じた場合、メンテナンス制御部406は、そのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスとして、フラッシングを更に禁止して、ワイプのみを許可する。本例によれば、例えば、サブタンク202内のインクの量が減少した場合にも、実行可能なメンテナンスを継続して実行することができる。また、これにより、例えば、インクジェットヘッド102の故障等を生じにくくすることができる。
【0080】
また、上記においても説明をしたように、本例において、インク量検知部408は、それぞれのサブタンク202毎に、サブタンク202内のインクの量を検知する。また、これにより、メンテナンス制御部406は、それぞれのサブタンク202内のインクの量に応じて、それぞれのサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスの種類を決定する。
【0081】
この点に関し、例えばメンテナンスの制御をより簡素に行うことを考えると、一部のサブタンク202のみでインクの量が少なくなった場合において、全てのインクジェットヘッド102に対するメンテナンスの動作を停止することや、実行するメンテナンスを全てのインクジェットヘッド102に対して一律に決定すること等が考えられる。しかし、全てのインクジェットヘッド102に対してメンテナンスの動作を停止すると、インクジェットヘッド102内やノズル面でインクが固化することで、全てのインクジェットヘッド102が故障することになる。また、実行するメンテナンスを全てのインクジェットヘッド102に対して一律に決定した場合、例えば、一部のサブタンク202においてインクの量が少なくなった場合に、十分な量のインクが貯留されているサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対しても、パージやフラッシングを禁止して、ワイプのみを行う構成になることが考えられる。しかし、メンテナンスの動作としてワイプのみを行う場合、パージやフラッシングを行う場合と比べてメンテナンスの効果が小さくなるため、インクジェットヘッド102の故障が生じやすくなる。そのため、この場合も、全てのインクジェットヘッド102が故障するおそれがある。
【0082】
これに対し、本例においては、サブタンク202内のインクの量をサブタンク202毎に個別に検知し、それぞれのサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスの種類をインクジェットヘッド102毎に決定することで、例えば、一部のサブタンク202においてインクの量が少なくなった場合にも、インクの量が正常になっている他のサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対し、パージ等を継続して実行することができる。また、この場合において、上記のように、インクの量が少なくなったサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対して、インクの量が下限よりも少なくなるまで、フラッシングを継続して実行することができる。そのため、本例によれば、複数のサブタンク202及び複数のインクジェットヘッド102を用いる構成において、それぞれのインクジェットヘッド102に対するメンテナンスをより適切に実行することができる。
【0083】
続いて、上記において説明をした構成に関する補足説明や、変形例の説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例において、メンテナンス制御部406は、それぞれのサブタンク202に貯留されているインクの量に応じて、インクジェットヘッド102毎に、実行するメンテナンスを決定する。そして、この場合、印刷装置100において実行する印刷の動作について、例えば、いずれかのサブタンク202においてインクの量が減少し、いずれかのインクジェットヘッド102に対するメンテナンスとしてパージを禁止する時点で停止することが考えられる。このように構成すれば、例えば、異常が生じている状態で印刷の動作を継続することで不測の事態が生じること等と適切に防止することができる。また、この場合、印刷の動作を停止した後において、印刷装置100は、例えば、それぞれのインクジェットヘッド102に対して実行可能なメンテナンスを定期的に行いつつ、ユーザの指示や対処等を待つ。このように構成すれば、例えば、貯留しているインクの量が少ないサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスを正常時と異ならせることで、より長時間の間、メンテナンスを継続することが可能になる。また、これにより、例えば、印刷の動作を停止した後にノズルの乾燥等でインクジェットヘッド102が故障すること等を適切に防止することができる。
【0084】
また、印刷装置100の動作の変形例では、例えば、いずれかのサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対するパージを禁止する時点では印刷の動作を停止せずに、そのインクジェットヘッド102に対するフラッシングを禁止する時点で印刷の動作を停止すること等も考えられる。このように構成すれば、例えば、いずれかのサブタンク202に対して供給異常等が生じた場合にも、より長い時間、印刷の動作を継続することができる。また、印刷装置100の動作の更なる変形例では、例えば一部のサブタンク202においてのみインクの量が減少した場合において、その他のサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102のみを用いて印刷の動作を継続すること等も考えられる。
【0085】
また、いずれかのサブタンク202においてインクの量が減少した場合、単にパージを禁止するのではなく、その後に実行するフラッシングの頻度を変化させること等も考えられる。この場合、フラッシングの頻度については、例えば、単位時間あたりのフラッシングの回数等と考えることができる。また、より具体的に、例えば、サブタンク202におけるインクの量の減少によってそのサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対するパージを禁止する場合、そのインクジェットヘッド102に対してその後に実行するフラッシングの頻度について、供給異常が生じていないサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対して実行するフラッシングの頻度よりも少なくすることが考えられる。このように構成すれば、例えば、いずれかのサブタンク202において供給異常が生じた場合に、そのサブタンク202におけるインクの消費量をより適切に低減することができる。また、この場合、供給異常が生じているサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対して実行するフラッシングの頻度について、例えば、単位時間あたり、インクジェットヘッド102におけるノズルの性能を維持するために必要な最小の回数である必要最低回数にすることが考えられる。また、このような構成については、例えば、単位時間あたりのフラッシングの必要最低回数を予め定めておき、サブタンク202におけるインクの量が閾値を下回った場合に単位時間あたりのフラッシングの回数を必要最低回数に強制的に変更する構成等と考えることもできる。
【0086】
また、印刷装置100の構成の更なる変形例においては、例えば、いずれかのサブタンク202においてインクの量が減少した場合において、パージを禁止する前に、パージの頻度を減らすこと等も考えられる。この場合、メンテナンス制御部406は、例えば、サブタンク202におけるインクの量の減少に応じて、先ず、そのサブタンク202に対応するインクジェットヘッド102に対して単位時間あたりに実行するパージの回数を少なくする。そして、サブタンク202におけるインクの量が更に減少した場合に、そのインクジェットヘッド102に対するパージを禁止する。
【0087】
また、上記のように、本例において、パージは、正常時メンテナンスの一例である。フラッシングは、低消費メンテナンスの一例である。しかし、印刷装置100の構成の変形例や、それぞれのメンテナンスに対する視点を異ならせた場合には、それぞれのメンテナンスと正常時メンテナンス及び低消費メンテナンスとの関係について、上記と異なるように考えることもできる。より具体的に、例えば、フラッシングとワイプとの関係に着目した場合、フラッシングを正常時メンテナンスと考え、ワイプを低消費メンテナンスと考えること等も可能である。また、メンテナンス制御部406については、例えば、正常時メンテナンスに関する制御手段等と考えることもできる。この場合、正常時メンテナンスに関する制御手段については、例えば、インクの残量が閾値よりも少ないと判断されたサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102におけるノズルに対する正常時メンテナンスを禁止しつつ、閾値以上のインクの残量を有するサブタンク202からインクが供給されるインクジェットヘッド102におけるノズルに対する正常時メンテナンスを許可する手段等と考えることもできる。
【0088】
また、上記においては、印刷装置100について、主に、媒体に対してインクを吐出する場合の構成を説明した。この場合、印刷装置100について、例えば、媒体上に2次元の画像を描くインクジェットプリンタ等と考えることができる。これに対し、印刷装置100の構成の変形例においては、印刷装置100として、例えば、立体的な造形物を造形する3Dプリンタ(3D印刷装置)等を用いることも考えられる。また、この場合、造形中の造形物を支持する造形台や、造形中の造形物について、インクを吐出する対象と考えることができる。この場合も、上記と同様にしてそれぞれのインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスを決定することで、それぞれのインクジェットヘッド102に対して実行するメンテナンスをより適切に管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、例えば印刷装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0090】
50・・・媒体、100・・・印刷装置、102・・・インクジェットヘッド、104・・・プラテン、106・・・メインタンク、108・・・インク供給系、110・・・キャリッジ、112・・・走査駆動部、114・・・メンテナンス部、116・・・報知部、120・・・制御部、202・・・サブタンク、204・・・供給用流路、206・・・循環用流路、212・・・ポンプ、214・・・ポンプ、216・・・脱気モジュール、218・・・フィルタ、300・・・仕切り壁、302・・・IN側貯留部、304・・・OUT側貯留部、306・・・液面検出センサ、308・・・液面検出センサ、312・・・フロート、314・・・フロート、402・・・走査制御部、404・・・ポンプ制御部、406・・・メンテナンス制御部、408・・・インク量検知部、410・・・通液量検知部、412・・・記憶部
図1
図2
図3
図4
図5