(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070643
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】流体から反応生成物を分離するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B01D 61/44 20060101AFI20230512BHJP
B01D 61/00 20060101ALI20230512BHJP
B01D 61/46 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
B01D61/44 500
B01D61/00 500
B01D61/44 510
B01D61/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166579
(22)【出願日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】17/522,079
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン、ベー
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ、イー.、トレス
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA14
4D006GA18
4D006HA48
4D006JA14A
4D006JA18A
4D006JA42A
4D006JA43A
4D006JA44A
4D006JA56A
4D006KA31
4D006KB30
4D006MA03
4D006MA10
4D006MA13
4D006MA14
4D006MA31
4D006MB02
4D006PA01
4D006PA03
4D006PB20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レドックスフロー電気化学分離デバイス内で流体から反応生成物を除去するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】電気化学システムは、第1の流体と、触媒と、を含む第1のリザーバを含み、第1の流体は、反応して第1、第2の生成物を形成する反応混合物を含み、第2のリザーバは、第2の流体を含む。第1の電極は、レドックス活性電解質材料溶液と接触し、電解質材料と可逆的レドックス反応をして少なくとも1つのイオンを受け入れる。第2の電極は、レドックス活性電解質材料溶液と接触し、電解質材料と可逆的レドックス反応して、電位が供給される際に少なくとも1つのイオンを第2の流体に駆動する。第2の生成物及び触媒を含む希釈流出物は、第2のリザーバを出、ここで第2の生成物は、電気浸透を介して、任意選択で並行して浸透を介して、第1のリザーバから除去され、第1の生成物を含む生成物ストリームは、第1のリザーバを出る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体ストリームから反応生成物を分離するための電気化学システムであって、
第1のリザーバであって、前記第1のリザーバに投入された前記第1の流体ストリームと、前記第1のリザーバに投入された触媒と、を含み、前記第1の流体ストリームは、反応して、前記第1のリザーバ内に、第1の生成物及び第2の生成物を形成する反応混合物を含む、第1のリザーバと、
第2のリザーバであって、前記第2のリザーバに投入された第2の流体ストリームを含む、第2のリザーバと、
第1のレドックス活性電解質材料の第1の溶液と接触した第1の電極であって、前記第1のレドックス活性電解質材料との可逆的なレドックス反応をさせるように、及び前記第1のリザーバ内の前記触媒から少なくとも1つのイオンを受容するように構成された、第1の電極と、
第2のレドックス活性電解質材料の第2の溶液と接触した第2の電極であって、前記第2のレドックス活性電解質材料との可逆的なレドックス反応をさせるように、及び前記第2のリザーバ内の前記第2の流体中に少なくとも1つのイオンを駆動するように構成された、第2の電極と、
前記第1及び第2の電極に電位を供給するように構成されたエネルギー供給源と、
前記第1のリザーバと第2のリザーバとの間に配置された第1のタイプの不活性イオン交換膜と、
前記第1の電極と前記第1のリザーバとの間に配置され、前記第2の電極と前記第2のリザーバとの間に配置された、前記第1のタイプとは異なる第2のタイプの不活性イオン交換膜と、
前記第2のリザーバから産出された前記第2の生成物及び前記触媒を含む廃棄物流出ストリームであって、前記第2の生成物が電気浸透を介して前記第1のリザーバから除去された、廃棄物流出ストリームと、
前記第1のリザーバから産出された前記第1の生成物を含む生成物流出ストリームと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記反応混合物が、前記第1のリザーバ内で縮合反応する、第1の成分及び第2の成分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記縮合反応が進み、前記第2の生成物が前記第1のリザーバから除去されると完了する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の生成物が水である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の溶液及び前記第2の溶液が同じであり、電位が前記電極に印加された際に、前記第1及び第2の溶液が、前記第1の電極と前記第2の電極との間で循環される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のリザーバ、前記第2のリザーバ、前記第1のタイプの膜、及び前記第2のタイプの膜が、電池を形成し、前記システムが、前記第1及び第2の電極の間で共に結合された複数の電池を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記廃棄物流出ストリームに結合された液体濃縮器であって、前記第2の生成物を含む濃縮された第2の流体ストリーム及び反応物廃棄ストリームを生成するように構成された、液体濃縮器を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記濃縮された第2の流体ストリームが、前記第2の流体ストリームとして前記第2のリザーバに供給される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記濃縮された第2の流体ストリームの一部分が、前記第1のリザーバに供給されて、前記触媒を投入する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記液体濃縮器が、レドックスシャトルを利用する電気化学液体乾燥剤再生器である、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の生成物が、浸透を介して前記第1のリザーバから並行して除去される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
正浸透膜接触器であって、
少なくとも1つの正浸透膜と、
第1のチャネルであって、前記第1のチャネルに投入された前記第1の流体ストリーム及び前記触媒を含み、前記反応混合物及び触媒が反応して、前記第1のチャネル内で前記第1の生成物及び前記第2の生成物を形成する、第1のチャネルと、
前記少なくとも1つの正浸透膜によって前記第1のチャネルから分離され、イオン種の濃縮溶液を含む駆動溶液を含む、第2のチャネルと、
前記第2のチャネルから産出された前記駆動溶液及び前記第2の生成物を含む駆動溶液流出ストリームであって、前記第2の生成物が浸透によって前記第1のチャネルから除去された、駆動溶液流出ストリームと、
前記第1の生成物と、前記第2のチャネルから産出された前記触媒産出物と、を含む中間生成物流出ストリームであって、前記中間生成物流出ストリームが、前記第1のリザーバに投入された前記第1の流体ストリームである、中間生成物流出ストリームと、
を含む、正浸透膜接触器を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記正浸透膜接触器が、複数の正浸透膜を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記駆動溶液流出ストリームに結合された液体濃縮器であって、前記第2の生成物を含む、濃縮された駆動溶液ストリームと、第2の廃棄物ストリームと、を生成するように構成された、液体濃縮器を更に含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
正浸透膜接触器であって、
少なくとも1つの正浸透膜と、
第1のチャネルであって、前記第1のチャネルに投入された前記生成物流出ストリームを含む、第1のチャネルと、
前記少なくとも1つの正浸透膜によって前記第1のチャネルから分離され、イオン種の濃縮溶液を含む駆動溶液を含む、第2のチャネルと、
前記第2のチャネルから産出された前記駆動溶液及び前記第2の生成物を含む駆動溶液流出ストリームであって、前記第2の生成物が浸透によって前記第1のチャネルから除去された、駆動溶液流出ストリームと、
前記第1のチャネルから産出された前記第1の生成物を含む最終生成物流出ストリームと、
を含む、正浸透膜接触器を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
第1の流体ストリームから反応生成物を分離するための方法であって、
電気化学電池の第1のイオン交換膜及び第2のイオン交換膜によって画定される第1のリザーバに、反応混合物を含む第1の流体ストリームを投入することであって、前記第2のイオン交換膜は、前記第1のイオン交換膜とは異なるタイプの膜である、投入することと、
触媒を前記第1のリザーバに投入することと、
前記電気化学電池の第2のリザーバに第2の流体ストリームを投入することであって、前記第2のリザーバが、前記第1のイオン交換膜及び第3のイオン交換膜によって画定され、前記第3のイオン交換膜及び前記第2のイオン交換膜が、同じタイプのものである、投入することと、
前記反応混合物の第1の成分及び第2の成分が、前記第1のリザーバ内で縮合反応して、第1の生成物及び第2の生成物を形成することと、
前記電気化学電池の第1及び第2の電極に外部電位を印加することと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間にレドックス活性電解質材料を含む溶液を循環させることであって、前記レドックス活性電解質材料が、前記第1の電極と接触する際に還元し、前記第2の電極と接触する際に酸化する、循環させることと、
前記レドックス活性電解質材料の前記還元及び酸化に応答して、前記イオン交換膜の各々にわたってイオンを輸送して、前記第1のリザーバから前記触媒及び前記第2の生成物を除去することと、
前記第2の生成物及び前記触媒を含む廃棄物流出ストリームを前記第2のリザーバから産出することと、
前記第1のリザーバから産出された前記第1の生成物を含む生成物流出ストリームを産出することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記イオン交換膜にわたって前記第2の生成物のイオンを輸送することが、前記縮合反応を推進し、完了させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記廃棄物流出ストリームを液体濃縮器に産出することと、
前記触媒と、前記第2の生成物を含む反応物廃棄ストリームと、を含む濃縮された第2の流体ストリームを生成することと、
廃棄のために前記反応物廃棄ストリームを産出することと、
前記第2の流体ストリームとして前記濃縮された第2の流体ストリームを前記第2のリザーバに循環させることと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記反応混合物を含む第3の流体ストリームを正浸透膜接触器の第1のチャネルに投入することと、
触媒を前記第1のチャネルに投入することと、
イオン種の濃縮された溶液を含む駆動溶液を前記正浸透膜接触器の第2のチャネルに投入することであって、前記第2のチャネルが、正浸透膜によって前記第1のチャネルから分離されてい
る、投入することと、
前記反応混合物の前記第1の成分及び前記第2の成分が、前記第1のチャネル内で縮合反応して、前記第1の生成物及び前記第2の生成物を形成することと、
前記第2の生成物の形成に応答して、前記第2の生成物を前記正浸透膜にわたって輸送して、前記第1のチャネルから前記第2の生成物を除去することと、
前記駆動溶液及び前記第2の生成物を含む駆動溶液流出ストリームを前記第2のチャネルから産出することと、
前記第1の生成物及び前記触媒を含む中間生成物流出ストリームを前記第1のチャネルから産出することと、
前記中間生成物流出ストリームを前記第1の流体ストリームとして前記電気化学電池の前記第1のリザーバに投入することと、
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第1の流体ストリームから反応生成物を分離するための方法であって、
反応混合物を含む第1の流体ストリームを正浸透膜接触器の第1のチャネルに投入することと、
触媒を前記第1のチャネルに投入することと、
イオン種の濃縮溶液を含む駆動溶液を前記正浸透膜接触器の第2のチャネルに投入することであって、前記第2のチャネルが、正浸透膜によって前記第1のチャネルから分離されている、投入することと、
前記反応混合物の前記第1の成分及び前記第2の成分を、前記第1のチャネル内の縮合反応で反応させて、第1の生成物及び第2の生成物を形成することと、
前記第2の生成物の形成に応答して、前記第2の生成物を前記正浸透膜にわたって輸送して、前記第1のチャネルから前記第2の生成物を除去することと、
前記駆動溶液及び前記第2の生成物を含む駆動溶液流出ストリームを前記第2のチャネルから産出することと、
前記第1の生成物及び前記触媒を含む生成物流出ストリームを前記第1のチャネルから産出することと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記駆動溶液流出ストリームを液体濃縮器に産出することと、
前記触媒及びイオン種を含む濃縮された第2の流体ストリームを生成し、前記第2の生成物を含む反応物廃棄ストリームを生成することと、
廃棄のために前記反応物廃棄ストリームを産出することと、
前記濃縮された第2の流体ストリームを前記駆動溶液として前記第2のチャネルに循環させることと、
を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記濃縮された第2の流体ストリームの一部分を前記第1のリザーバに循環させることを更に含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、レドックスフロー電気化学分離デバイス内で流体から反応生成物を除去するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
縮合反応は、2つの分子又は同じ分子の2つの部分が組み合わされて、より小さな分子の排除を伴うより大きな分子を形成する反応である。同様に、重縮合反応は、モノマー分子の共有結合に関与し、多数の小分子の放出を伴う高分子量ポリマーをもたらす。縮合及び重縮合反応の例には、(重縮合を介した)ポリエステル合成及び(エステル化又はエステル交換による)バイオディーゼル生成等の工業的に重要なプロセスが含まれる。
【0003】
反応は、より大きな分子生成物及びより小さい分子生成物の形成と平衡状態にある。したがって、反応を推進し、完了させ、所望の生成物(例えば、より大きな分子)を回収し、より小さい分子が反応流体から分離される。より小さい分子生成物を除去するための現在の技術は、熱エネルギー、高価な手順、及び/又は不経済な量の反応物質を伴うため、本明細書に記載されるのは、レドックスフロー電気化学分離デバイスを使用してより小さい分子生成物をその場で分離するためのシステム及び方法である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の実施形態は、第1の流体ストリームから反応生成物を分離するための電気化学システムに関する。システムは、第1のリザーバであって、第1のリザーバに投入された第1の流体ストリームと、第1のリザーバに投入された触媒と、を含む、第1のリザーバを含み、第1の流体ストリームは、反応して、第1のリザーバ内に、第1の生成物及び第2の生成物を形成する反応混合物を含む。第2のリザーバは、第2のリザーバに投入された第2の流体ストリームを含む。第1の電極は、第1のレドックス活性電解質材料の第1の溶液と接触しており、第1のレドックス活性電解質材料との可逆的なレドックス反応をさせるように、及び第1のリザーバ内の触媒から少なくとも1つのイオンを受容するように構成される。第2の電極は、第2のレドックス活性電解質材料の第2の溶液と接触しており、第2のレドックス活性電解質材料との可逆的なレドックス反応をさせるように、及び第2のリザーバ内の第2の流体中に少なくとも1つのイオンを駆動するように構成される。システムはまた、第1及び第2の電極に電位を供給するように構成されたエネルギー供給源を含む。第1のタイプの不活性イオン交換膜は、第1のリザーバと第2のリザーバとの間に配置され、第1のタイプとは異なる第2のタイプの不活性イオン交換膜は、第1の電極と第1のリザーバとの間に配置され、第2の電極と第2のリザーバとの間に配置される。第2の生成物及び触媒を含む廃棄物流出ストリームは、第2のリザーバから産出され、第2の生成物は、電気浸透を介して第1のリザーバから除去され、第1の生成物を含む生成物流出ストリームは、第1のリザーバから産出される。
【0005】
他の実施形態は、第1の流体ストリームから反応生成物を分離するための方法に関する。方法は、電気化学電池の第1のイオン交換膜及び第2のイオン交換膜によって画定される第1のリザーバに、反応混合物を含む第1の流体ストリームを投入することを含み、ここで第2のイオン交換膜は、第1のイオン交換膜とは異なる種類の膜である。触媒も第1のリザーバに投入される。第2の流体ストリームは、電気化学電池の第2のリザーバに投入され、第2のリザーバは、第1のイオン交換膜及び第3のイオン交換膜によって画定され、ここで第3のイオン交換膜及び第2のイオン交換膜は、同じタイプである。反応混合物の第1の成分及び第2の成分は、第1のリザーバ内で縮合反応して、第1の生成物及び第2の生成物を形成する。電気化学電池の第1及び第2の電極に外部電圧が印加され、レドックス活性電解質材料を含む溶液は、第1の電極と第2の電極との間で循環される。レドックス活性電解質材料は、第1の電極と接触した際に還元し、第2の電極と接触した際に酸化する。レドックス活性電解質材料の還元及び酸化に応答して、イオンは、イオン交換膜の各々にわたって輸送されて、触媒及び第2の生成物を第1のリザーバから除去する。第2の生成物及び触媒を含む廃棄物流出ストリームは、第2のリザーバから産出され、第1の生成物を含む生成物流出ストリームは、第1のリザーバから産出される。
【0006】
更なる実施形態は、第1の流体ストリームから反応生成物を分離するための方法に関する。方法は、反応混合物を含む第1の流体ストリームを正浸透膜接触器の第1のチャネルに投入することと、触媒を第1のチャネルに投入することと、を含む。イオン種の濃縮溶液を含む駆動溶液は、正浸透膜接触器の第2のチャネルに投入され、ここで第2のチャネルは、正浸透膜によって第1のチャネルから分離される。反応混合物の第1の成分及び第2の成分は、第1のチャネル内で縮合反応して、第1の生成物及び第2の生成物を形成する。第2の生成物の形成に応答して、第2の生成物は、正浸透膜を横切って輸送されて、第1のチャネルから第2の生成物を除去する。駆動溶液及び第2の生成物を含む駆動溶液流出ストリームは、第2のチャネルから産出され、第1の生成物及び触媒を含む生成物流出ストリームは、第1のチャネルから産出される。
【0007】
上記の概要は、開示される各実施形態又は本開示の全ての実施を説明することを意図したものではない。図面及び以下の詳細な説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の考察は、以下の図を参照し、同じ参照番号は、複数の図において類似の構成要素/同じ構成要素を識別するために使用することができる。しかしながら、所与の図の構成要素を指す数字の使用は、同じ数字でラベル付けされた別の図における構成要素を制限することを意図していない。図面は、必ずしも縮尺どおりではない。
【0009】
【
図1】特定の実施形態によるレドックスフロー電気化学分離システムにおける流体の流れの概略図である。
【
図2】特定の実施形態による正浸透膜接触器における流体の流れの概略図である。
【
図3A】特定の実施形態による、
図1の分離システムと
図2の正浸透膜接触器との間の関係のブロック図である。
【
図3B】特定の実施形態による、
図1の分離システムと
図2の正浸透膜接触器との間の関係のブロック図である。
【
図4】特定の実施形態による方法のフロー図である。
【
図5】特定の実施形態による方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、レドックスフロー電気化学塩分離システムに関する。特定の実施形態では、レドックスフロー電気化学分離システムは、とりわけ暖房、換気、及び空調(Heating,Ventilation,and Air-Conditioning:HVAC)で使用される液体乾燥剤システムとしての除湿システムの一部であり得る。レドックス補助除湿システムは、空気接触器を通して供給された液体乾燥剤(一般に塩化リチウム等の無機塩の水溶液)を利用し、これは、投入湿潤空気から湿気を吸収し、希釈又は弱化される。次いで、弱い乾燥剤を、レドックスシャトルを使用して1つの液体ストリームから別の液体ストリームに塩を移動させる電気化学再生器(例えば、電池又はスタック)に供給する。他の実施形態では、レドックスフロー電気化学分離システムは、脱水用途に使用され得る。
【0011】
上記のように、縮合及び重縮合反応(以下、集合的に「縮合反応」と呼ばれる)は、より大きな分子である第1の生成物及びより小さい分子である第2の生成物を生成する。より小さい分子である第2の生成物は、水又はメタノール等の低炭素数アルコールであり得る。本明細書に記載のシステム及び方法は、水等のより小さい分子である第2の生成物を除去し、これは、その場で縮合又は重縮合反応において生成され、それによって反応を完了まで前進させる。これにより、熱又は相変化なしに、反応混合物からより小さい分子である第2の生成物を連続的に除去することが可能になる。より大きい分子である第1の生成物とより小さい分子である第2の生成物との逆反応(望ましくないもの、例えば加水分解)の速度を低下させる可能性があるため、熱及び/又は相変化の回避は、反応混合物中の反応物又は溶媒が、揮発性、例えば、水よりも揮発性が高い場合に有用である。
【0012】
縮合反応によって生成されたより小さい分子は、反応が完了して所望の生成物(例えば、より大きな分子)を得る方法を制限又は決定することができる。典型的な縮合反応は、有機酸がアルコールと反応して、エステル及び水分子を形成するか、又は他の典型的な縮合反応において、有機酸がアミンと反応してアミド及び水分子を形成することを含む。反応を完了させるために、より小さい分子である第2の生成物(例えば、水)を除去して、反応の平衡状態を乱す。排除されたより小さい分子である第2の生成物が反応物のいずれよりも揮発性が高い場合、熱は、ある特定の状況では、揮発性除去生成物を沸騰させて取り除くように供給され得る。これは、より小さい分子である第2の生成物が揮発性である場合に機能し得るが、熱エネルギーを使用することは、反応物のうちの1つがアルコール(例えば、エタノールが酢酸と反応して酢酸エチル及び水を形成する場合)、又はメチルアミン等のアミン等のより小さい分子である第2の生成物よりも揮発性が高い場合、選択肢にはない。
【0013】
反応物の揮発性によって熱エネルギーが推奨されないか、又は利用可能でない場合、縮合反応を完了させるために他の技術が使用される。例えば、反応物のうちの1つを大過剰に使用して反応を促進することができる。しかし、これは不経済であり、高価であり得、揮発性反応物は更に凝縮され、回収され、水、又はより小さい分子である第2の生成物から再分離される必要がある。水に対して高い親和性を有する触媒、又は濃縮硫酸等のより小さい分子を反応混合物に添加して反応を促進してもよいが、硫酸は腐食性であり、反応が完了した後に中和されなければならない。別の技術は、ゼオライト又はモレキュラーシーブ等の吸水性材料中で混合することであるが、吸収性材料は通常固体であり、特に酸性触媒では、限定された化学的適合性を有する。例えばカルボン酸を塩化アシルに変換することによって、反応物のうちの1つを前活性化することにより、反応を促進することができる。しかし、これは化学量論量の試薬を必要とし、高価である。更に、回収水及び揮発性反応物の分留蒸留を使用することができ、再濃縮された反応物を反応混合物に戻すことができる。これらの技術の各々は、コストがかかり(例えば、時間、コスト、及び/又はエネルギー)、特定の状況では、反応速度を低下させる可能性がある。代わりに、本明細書に記載されるその場技術及びそのためのシステムは、レドックスシャトルを利用してイオン運動を駆動して、縮合反応混合物からより小さい分子である第2の生成物を除去する。
【0014】
縮合反応によって形成されたより小さい分子、例えば水のその場での除去は、反応混合物が電気化学電池内の複数のイオン交換膜を含むデバイスに供給される際に生じる。電気化学電池は、2つの電極間を循環する溶液相レドックスシャトルを利用し、その間にイオン交換膜-交互のカチオン交換膜及びアニオン交換膜がある。2つの電極間に電位が印加されると、レドックスシャトルは同時に、一方の電極で還元され、反対の電極で再酸化される。2つの電極間で、カチオン及びアニオンは、介在するイオン交換膜を介して選択的に輸送されて、反応混合物中に存在するイオンが廃棄物ストリームに除去される。除去されたイオンは、触媒、添加された支持電解質、又はその両方に由来し得る。更に、より小さい分子(例えば、水)は、電気浸透を介して反応ストリームから除去される。廃棄物ストリームが、反応混合物よりも小さい分子に対してより高い親和性を有する場合、より小さい分子はまた、正浸透のために廃棄物ストリームに移動し得る。このデバイスは、以下で更に説明される。
【0015】
図1は、様々な実施形態による流体及びイオン移動を示す電気化学システム100の図である。電気化学デバイス150は、2つの電極116、118、少なくとも3つのイオン交換膜110、112、114、エネルギー供給部152、反応混合物、及び受容流体を含む。各電極116、118は、レドックス活性電解質材料を含むレドックスシャトル溶液と接触している。レドックスシャトル溶液の例としては、1,1’-ビス((3-トリメチルアンモニオ)プロピル)フェロセン([BTMAP-Fc]
2+)及び1,1’-ビス((3-トリメチルアンモニオ)プロピル)フェロセニウム([BTMAP-Fc]
3+)、又は1,1’-ビス((3-ジメチルエチルアンモニオ)プロピル)フェロセン([BDMEAP-Fc]
2+)及び1,1’-ビス((3-ジメチルエチルアンモニオ)プロピル)フェロセニウム([BDMEAP-Fc]
3+)(これらは非毒性であり、非常に安定であり、非常に迅速な電気化学反応速度及び無視できる膜透過性を有する)、又はフェロシアン化物/フェリシアン化物([Fe(CN)
6]
4-/[Fe(CN)
6]
3-)が挙げられる。更なる詳細、例えばレドックスシャトル溶液は、同一出願人が所有する米国特許出願第17/390,600号(代理人整理番号20210171US01/0600.382US01)に見出すことができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0016】
レドックスシャトルは、ループ154によって示されるように、2つの電極116、118の間で循環される。エネルギー供給部152によって各電極116、118に電位が印加されると、レドックスシャトルは、第1の電極(例えば、116)で還元され、反対の電極(例えば、118)で酸化される。エネルギー供給部152は、バッテリ、光起電性パネル、ガルバー二電池、ポテンショスタット、AC/DC電力変換器等の任意の様々な直流(DC)エネルギー供給部であってもよく、その極性は、全体的に同じに保持されるか、又は周期的に逆転してもよく、エネルギー供給部は、電気化学デバイス150内に収容されてもよく、又はデバイス150に対して、外付け及び結合されてもよい。したがって、シャトルが電極間を循環するにつれて、シャトルの一部分は、レドックス状態間で連続的に交流する。特定の実施形態では、各電極116、118は、同じレドックスシャトル溶液がループで流れる代わりに、別個のレドックス活性溶液に接触し得る。別個のレドックス活性溶液は、同じレドックス活性電解質材料又は異なるレドックス活性電解質材料を有し得る。異なるレドックス活性溶液がそれぞれの電極116、118に使用される際、エネルギー供給部は、電極に供給される電位を周期的に逆転させて、レドックス活性電解質材料溶液の各々の電荷状態(すなわち、還元状態と比較して酸化状態にある各溶液のレドックス活性電解質材料の比率)を回復する。
【0017】
電極116、118の間に位置付けられているのは、交換されるイオンのタイプが交互である3つ以上のイオン交換膜である。例えば、
図1に示すように、3つの膜のうち、中央膜110は、第2のアニオン交換膜112及び第3のアニオン交換膜114に隣接するカチオン交換膜であってもよい。しかし、他の実施形態では、中央の第1の膜は、アニオン交換膜であり得、第2及び第3の膜は、カチオン交換膜であり得る。膜110、112、114は、電気化学デバイス150内にチャネル又はリザーバを画定する。分かるように、第1の膜110及び第2の膜112は、第1のリザーバ106を画定する。第1の膜110は、第3の膜114と組み合わせて、第2のリザーバ108も画定する。膜は、イオン選択性及び水透過性であり、有機溶媒に不溶性であり、反応混合物及び/又は生成物において不活性である(すなわち、化学的に変化しない)。特定の実施形態では、膜を通る正浸透水輸送の速度を最大化するために、膜は可能な限り薄い(例えば、10~50μm)。特定の実施形態では、膜は、膜自体に統合されたポリマーメッシュで補強され、他の実施形態では、膜は補強されない。
【0018】
第1のリザーバ106内は、反応混合物104である。反応混合物は、供給ストリームとして第1のリザーバ106に供給され得る。反応混合物は、縮合反応して第1のより大きい分子生成物、及び第2のより小さい分子生成物を形成する、少なくとも2つの成分(例えば、有機酸及びアルコール)を含む。反応混合物はまた、触媒(例えば、硫酸、あるいはスカンジウムトリフロウロメタンスルホナート、又は塩化インジウム(III)等のルイス酸塩)及び/又は支持電解質を含み得る。触媒及び/又は支持電解質は、反応混合物が電気化学デバイス150に入る前に反応混合物102中に存在してもよく、又は反応混合物104と混合するために第1のリザーバに添加されてもよい。第1のリザーバ106において、反応混合物の第1及び第2の成分(例えば、試薬)は、縮合反応して、第1のリザーバ106内に第1及び第2の生成物を形成する。上述のように、所望の生成物(例えば、第1のより大きい分子生成物)を回収するか、又は得るために、他の成分が第1のリザーバ106から除去される。電位が電極116、118に印加されると、シャトル溶液の酸化及び還元は、膜110、112、114にわたってイオンを駆動する。示されるように、触媒及び/又は支持電解質材料のイオン(例えば、M+、X-)は、第1のリザーバ106を反対に帯電した電極116、118に向かって画定する、それぞれのカチオン及びアニオン交換膜110、112を横切って132、134に輸送される。
【0019】
同じイオン輸送は、電気化学デバイス150全体を通して触媒及び/又は支持電解質材料イオン136に対して起こる。したがって、触媒は、第1のリザーバ106から除去され、第2のリザーバ108内で濃縮され、ここでイオンは、廃棄物流体ストリームとして動作する流体中で触媒を再形成する。第2のリザーバ内の流体は、水、メタノール、アセトニトリル、ブライン、異なるシステムからのプロセス廃水等を含んでもよい。第2のリザーバ内の流体は、緩衝液、糖、アミノ酸、塩、より多くの又は異なるタイプの触媒、グリセロール、エチレングリコール等の1つ又は複数の溶解溶質を更に含んでもよい。イオン交換膜110,112,114を横切るイオン132,134,136の移動はまた、電気浸透に起因して膜を横切る縮合反応の第2の生成物のより小さい分子138,140,142を誘導する。第2のリザーバ108内の流体が反応混合物よりも小さい分子に対してより高い親和性を有する特定の実施形態では、より小さい分子はまた、正浸透のために第2のリザーバ108に移動し得る。したがって、触媒及び第2の生成物の両方が、電気化学デバイス150から産出されると、第1のリザーバ106から除去され、回収され得るか、又は更に処理され得る濃縮生成物ストリーム144を残す。濃縮生成物ストリームはまた、反応物、第2の生成物、及び触媒の残留量(すなわち、出発反応混合物102よりも低い)を依然として含有し得る。
【0020】
ブラケット120によって示されるように、2つの膜110、114及び対応する第1及び第2のリザーバ106、108は、電気化学デバイス150内で繰り返される単一の電池対と見なすことができる。例えば、複数のこれらの電池対は、最大10、最大20、最大50、最大100、最大200、最大500、又はそれを超える膜、交互のイオン交換タイプで、電極116、118の間で、膜の総数が奇数であるスタックをもたらし得る。最終膜(例えば、112)は、スタックに結合して、nthの第1のリザーバを画定する。電気化学デバイス150内の電池対の数を増加させることは、デバイス内の膜領域全体を増加させ、全体的により小さなフットプリントを達成することを可能にする。更に、1st~(n-1)thの第1のリザーバ106が、1種類の第2のリザーバ108及びシャトル溶液ではなく、2種類の第2のリザーバ108と接触するため、第2のリザーバ108が、小分子に対するシャトル溶液の親和性よりも小分子に対する親和性が高い流体を含む場合、水除去速度は更に向上するであろう。複数の電池対がスタックに組み合わされると、凝縮生成物流出ストリーム144が産出に組み合わされ、それぞれの第2のリザーバの廃棄物流出ストリーム122が組み合わされ、電気化学デバイス150から産出される。
【0021】
第2のリザーバ内の流体は触媒を取り込むが、第2の生成物もまた取り込む。第2の生成物が水、又はアルコールである場合、第2のリザーバ内の流体は、取り込まれた触媒又は他のイオンの量に対して取り込まれた第2の生成物の量に応じて希釈され得る。触媒及び第2の生成物のみを例として使用すると、第2のリザーバ内の流体が、出発第2の生成物:触媒比と比較して、触媒よりも第2の生成物をより取り込む場合、第2のリザーバ内の流体は、初期の第2の流体組成物に対して希釈される。第2のリザーバ内の流体が、出発第2の生成物:触媒比と比較して、第2の生成物よりも多くの触媒を取り込む場合、第2のリザーバ内の流体は、初期の第2の流体組成物よりも触媒中で濃縮される。更に、第2のリザーバ内の流体が、出発第2の生成物:触媒比と比較して、比例した量の触媒及び第2の生成物の両方を取り込む場合、廃棄物流出ストリーム122の組成物は、初期の第2の流体の組成物と実質的に等しい可能性がある。
【0022】
第2のリザーバからの廃棄物流出ストリーム122は、再生システム124に循環されて、不要なより小さい分子である第2の生成物を排出ストリーム126として除去し、第2のリザーバ108に供給された流体を産出ストリーム128として濃縮する。産出ストリーム128の一部分130もまた、第1のリザーバ106に迂回されて、触媒を反応混合物102に供給することができる。再生システム124は、従来の再生器(例えば、熱再生、電気透析、逆浸透、正浸透、膜浸透気化、流下膜蒸発等)又はレドックス支援再生器であってもよい。
【0023】
レドックス支援再生器は、電気化学デバイス150と同様の構成を有する。再生システム124がレドックス支援再生器を利用する場合、再生器は、内部濃縮物ストリーム及び内部希釈ストリーム(例えば、第2のリザーバ108からの廃棄物流出ストリーム122)からのそれぞれの電極近傍の外側レドックスシャトルチャネルを分離する2つの外側イオン交換膜を有する。外側イオン交換膜は、第1のタイプのイオン交換膜(例えば、アニオン交換膜(AEM))のものであり、濃縮物及び希釈ストリームは、対向するイオン交換タイプ(例えば、カチオン交換膜(CEM))の中央イオン交換膜によって分離される。他の構成では、中央イオン交換膜は、AEMであり得、外側膜が、CEMであり得る。
【0024】
外部電圧が、それぞれの電極でレドックス活性シャトル分子における酸化又は還元を誘発する際(上記のレドックスシャトル溶液の例を参照)、廃棄物流出ストリーム122からのイオン(例えば、液体乾燥剤、駆動溶液、又はイオン触媒)は、水を分解することなく、又は生成物によって他のガスを生成することなく(例えば、塩素、酸素、水素)、膜にわたって駆動される。イオン移動は、再濃縮触媒ストリーム128(以前は廃棄物流出ストリーム122)及び第2の生成物(例えば、水)の排出ストリーム126の2つのストリームを作り出す。再生はまた、複数の段階にわたって、又は上述のスタックと同様の膜スタックで達成することができる。システムの移動部分は、液体循環用の低圧ポンプ及び空気循環用ファンを含み得る。再生システム124は、電源152を共有するか、又は専用の電源を有し得る。このタイプの4チャネル、電気透析、レドックスシャトル支援を有するスタックの追加の詳細は、共通所有の米国特許第10,821,395号に見出すことができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
他の実施形態では、代替分離システム200は、反応混合物からより小さい分子である第2の生成物を除去するように構成される。
図2は、正浸透膜接触器250における流体の流れを示す。正浸透膜接触器250は、少なくとも1つの正浸透膜を含む。接触器250が単一の正浸透膜を含む場合、膜は、接触器250を2つのチャネル又はリザーバに分割し、第1のリザーバは、反応混合物を含み、第2のリザーバは、濃縮イオン種の駆動溶液を含有する。正浸透膜接触器250は、単一の正浸透膜を含んでもよいが、複数の2つ以上の正浸透膜を含んでもよい。
図2に示す例は、3つの正浸透膜、210、212、214を含み、3膜正浸透接触器250の以下の説明は、1つ、2つ、又は3つを超える膜を含む接触器250に同様に適用される。
【0026】
正浸透膜210、212、214は、縮合反応のより小さい分子である第2の生成物(例えば、水)に対して高い透過性を有するように選択される。示される3膜構成では、第1の膜210及び第2の膜212は、第1のチャネル又はリザーバ206を画定し、第1の膜210及び第3の膜214は、第2のチャネル又はリザーバ208を画定する。膜210、212、214の各々は同じであってもよく、又は材料、サイズ、形状等が異なっていてもよい。
【0027】
第1のリザーバ206内は、反応混合物204である。反応混合物は、供給ストリーム202として第1のリザーバ206に供給され得る。反応混合物は、縮合反応して第1のより大きい分子生成物、及び第2のより小さい分子生成物を形成する、少なくとも2つの成分(例えば、有機酸及びアルコール)を含む。反応混合物はまた、触媒(例えば、硫酸、スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート、塩化インジウム(III)等)及び/又は支持電解質を含んでもよい。触媒及び/又は支持電解質は、反応混合物が正浸透接触器250に入る前に反応混合物202中に存在してもよく、又は第1のリザーバ206に添加されて、反応混合物204と混合してもよい。第1のリザーバ206において、反応混合物の第1及び第2の成分(例えば、試薬)は、縮合反応して、第1のリザーバ206内に第1及び第2の生成物を形成する。上述のように、所望の生成物(例えば、第1のより大きい分子生成物)を回収するか、又は得るために、第2の生成物が第1のリザーバ206から除去される。
【0028】
第2のリザーバ208内は、濃縮イオン種の駆動溶液である。駆動溶液中の溶解種は、反応混合物中の支持電解質(例えば、塩化ナトリウム)と同一であるか、又は触媒(例えば、硫酸、スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート、塩化インジウム(III)等)と同一であり得るか、又は両方を含むことができる。より小さい分子である第2の生成物は、正浸透によって、238、242を、第2のリザーバ208内の駆動溶液に移動させるか、又は第1のリザーバ206の240から出る。第1のリザーバ内の脱水された、又は濃縮された反応ストリームは、縮合反応が推進され、少なくとも実質的に完了しており、第1の生成物、触媒、及び場合によっては第2の生成物の微量残留物を含む流出ストリーム244として産出される。特定の実施形態では、第1の反応生成物は、再生システム124に関連して上述したようなレドックス支援再生器、又は濾過、蒸留、結晶化、沈殿、クロマトグラフィ、電気透析等の従来の分離プロセスを使用して、触媒から更に分離され得る。
【0029】
上述し、ブラケット220によって示されるように、正浸透膜接触器250は、正浸透膜212に加えて、複数(n)の正浸透膜を含み得る。ブラケット220の位置によって、合計で示されるように、容器を2n+2チャネル又はリザーバに分割する容器内に配置された2n+1正浸透膜が存在する。n=0の場合、単一の膜は上述のように2つのチャネルを画定する。チャネルは、交互の構成で、反応物ストリーム及び駆動溶液ストリームを受け入れ、流動させ、それによって脱水(例えば、濃縮)反応ストリーム244及び流出ストリーム222を産出するように構成される。総正浸透膜は、最大10、最大20、最大50、最大100、最大200、最大500、又はそれを超える膜のスタックを形成し得る。膜、例えば212は、スタックに結合してnthの第1のリザーバを画定する。正浸透膜接触器250内の電池の数を増加させることは、デバイス内の膜領域全体を増加させ、全体的により小さなデバイスフットプリントを達成することを可能にする。複数の膜がスタックに組み合わされて、複数の第1及び第2のチャネルを画定する場合、凝縮された第1の生成物流出ストリーム244が産出物に組み合わされ、それぞれの第2のリザーバ222の流出ストリームは、正浸透膜接触器250から組み合わされ、産出される。
【0030】
第2の生成物の第2のリザーバ(複数可)208への流入輸送により、第2のリザーバ(複数可)208内の流体は、希釈される。第2のリザーバ222からの希釈流出ストリームは、再生システム224に循環されて、不要なより小さな分子である第2の生成物を排出ストリーム226として除去し、第2のリザーバ208に供給された流体を産出ストリーム228として再濃縮する。産出ストリーム228の一部分230もまた、第1のリザーバ206に迂回されて、触媒を反応混合物202に供給することができる。上述のように、再生システム224は、従来の再生器(例えば、熱再生、電気透析、逆浸透、正浸透、膜浸透気化、流下膜蒸発等)又はレドックス支援再生器であってもよい。
【0031】
図3Aに示される特定の実施形態では、分離システム200は、電気化学システム100の産出に結合されて、より小さい分子である縮合反応のための第2の生成物に対する除去システム300Aを形成する。したがって、産出物144は、正浸透膜接触器250への投入物244である。分離システム100は、反応混合物から第2の生成物の大部分を除去するが、正浸透膜接触器ベースの分離システム200における正浸透によって任意の残りを除去することができる。システム300A全体は、熱エネルギーなしで、反応混合物から水又は他の小分子を駆動するためにレドックスシャトルを利用する。
【0032】
図3Bに示される特定の他の実施形態では、分離システム200は、電気化学システム100の投入に結合されて、より小さい分子である縮合反応のための第2の生成物に対する除去システム300Bを形成する。したがって、産出物244は、電気化学デバイス150への投入物144である。分離システム200は反応混合物から第2の生成物の大部分を除去するが、電気化学システム100内の触媒を用いた電気浸透によって任意の残りを除去することができる。システム100、300A、及び/又は300B全体は、熱エネルギーなしで、反応混合物から水又は他の小分子を駆動するためにレドックスシャトルを利用する。したがって、それぞれのシステムは、揮発性反応物との縮合反応と共に使用され得るが、遊離第2の生成物(例えば、水)からのそれらの反応物のコストのかかる再蒸留は伴わない。システム300A、300B、電気化学システム100単独、又は正浸透ベースの分離システム200単独はまた、コストがかかり、反応速度を低下させる可能性のある過剰な化学量論量の揮発性反応物を使用する必要性を回避する。
【0033】
縮合反応混合物からより小さい分子生成物を除去するための分離プロセスを、
図4に更に示す。反応混合物は、
図1に関連して上述したような電気化学電池の第1のリザーバに投入され、反応混合物の第1及び第2の成分は、反応して、第1のより大きな分子生成物及び第2のより小さい分子生成物402を形成する。特定の実施形態では、第1及び第2の成分は、縮合反応する有機酸及びアルコールである。他の実施形態では、第1及び第2の成分は、縮合反応する有機アミン及び有機酸である。別の流体ストリームは、電気化学電池404の隣接する第2のリザーバに投入される。電気化学電池の第1及び第2の電極に外部電圧が印加され、レドックスシャトルが電極間で循環される際、膜を横切って電気化学電池内のイオン移動を、反対に帯電した電極406に向かって駆動する。具体的には、反応混合物中の触媒のイオンは、第1のリザーバから駆動され、電気浸透408のために第2の生成物のより小さな分子をイオンと共に取り出す。第2の生成物及び触媒を含む廃棄物流出ストリームは、第2のリザーバ410から産出され、第1の生成物を含む生成物流出ストリームは、第1のリザーバ412から産出される。第1及び第2の生成物は、分離されているが、それらは各々、更に処理され得るか、又は望ましくない場合(例えば、第2の生成物)、廃棄物として廃棄され得る。
【0034】
縮合反応混合物から小分子生成物を除去するための別の分離プロセスを
図5に示す。反応混合物は、
図2に関連して上述したように、正浸透膜接触器の第1のチャネルに投入され、反応混合物の第1及び第2の成分が反応して、第1のより大きな分子生成物及び第2のより小さな分子生成物502を形成する。特定の実施形態では、第1及び第2の成分は、縮合反応する有機酸及びアルコールである。他の実施形態では、第1及び第2の成分は、縮合反応する有機アミン及び有機酸である。駆動溶液ストリームは、正浸透膜接触器504の隣接する第2のチャネルに投入される。駆動溶液は、より小さい分子である第2の生成物に対して高い親和性を有する塩濃度を有するため、第2の生成物は、正浸透膜を横切って、正浸透506を介して第1のチャネルから第2のチャネルに輸送される。第2の生成物を含む廃棄物流出ストリームは、第2のチャネル508から産出され、第1の生成物を含む生成物流出ストリームは、第1のチャネル510から産出される。廃棄物流出ストリームは、上記のように任意選択的に再生され、再循環されて、第2のチャネル512に投入される。第1及び第2の生成物は、分離されているが、それらは各々、更に処理され得るか、又は望ましくない場合(例えば、第2の生成物)、廃棄物として廃棄され得る。
【0035】
上記のように、反応混合物から縮合反応のより小さい分子生成物(例えば、水)を分離することに関する様々な実施形態は、レドックス支援シャトル分離システム及び/又は正浸透膜接触器を利用して、反応を完了させ、所望の反応生成物を回収することができる。電気化学電池は、一方の電極から他方の電極に循環され、再び戻されたレドックスシャトルの溶液相ストリームを含有する。電極間には、一連の実質的に平行な交互のカチオン及びアニオン交換膜がある。電気化学電池の第1のリザーバ内に存在する反応混合物を含む流体の第1のストリームは、電気化学電池の隣接するリザーバ内の第2の流体ストリームと混合しないが、2つの流体ストリームは、2つのチャネルを分離する膜の反対側を介して互いに接触する。電池の電極への外部電圧の適用は、第1の流体ストリームから膜を横切る第2の流体ストリームへのイオン種及び小分子(すなわち、反応混合物の第2の生成物)の選択的輸送を開始する。電気化学電池及び/又は接触器の正浸透におけるイオン輸送は、熱エネルギー又は高価な材料及び/又はプロセスを使用せずに第1の反応生成物を第2の反応生成物から分離する。
【0036】
上記の全ての実施形態では、小分子である第2の生成物は、直接的(正浸透を通して)、又は間接的(電気浸透を通して)に、システム又はプロセスのある時点で1つの流体ストリームから別の流体ストリームに輸送される。これはまた、第2の生成物がシステム又はプロセスに導入される前に、反応混合物中にある小分子である第2の生成物と同一の他の分子も包含すると理解されるべきである。例えば、有機酸及びアルコールの反応混合物はまた、硫酸触媒と共に開始時に水を含み得、有機酸とアルコールとの間の反応中に水の更なる分子が生成されて、エステルを形成する。上記のシステム及びプロセスは、反応中に生成された水だけでなく、所望に応じて開始時に存在する水も除去することを意図している。
【0037】
特段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、それと異なる指示がない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。端点による数値範囲の使用は、その範囲内の全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、並びにその範囲内の任意の範囲を含む。
【0038】
前述の説明は、例解示及び説明の目的のために提示されている。これは、網羅的であること、又は実施形態を、開示される形態に厳密に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。開示される実施形態の任意の又は全ての特徴は、個別に又は任意の組み合わせで適用することができ、限定することを意図するものではなく、単に例解的なものである。本発明の範囲は、この「発明を実施するための形態」に限定されるものではなく、むしろ本明細書に添付の「特許請求の範囲」によって決定されることが意図される。