(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070708
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】内視鏡用プロセッサ、内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20230515BHJP
G02B 23/24 20060101ALN20230515BHJP
【FI】
A61B1/04 510
G02B23/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182972
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】笹村 大樹
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040CA02
2H040CA11
2H040FA13
2H040GA02
2H040GA05
2H040GA06
2H040GA11
4C161CC06
4C161JJ11
4C161JJ15
4C161LL02
4C161MM05
4C161SS01
(57)【要約】
【課題】内視鏡システムにおいて、生体組織の画像を処理する回路基板の耐圧性を従来よりも高める。
【解決手段】本発明の一態様は、体腔内に挿入され、かつ生体組織の撮像を行う撮像素子が先端部に配置され、導電性の外装を有する内視鏡、に接続される内視鏡用プロセッサである。この内視鏡プロセッサは、撮像素子によって取得される画像を処理する回路基板と、撮像素子と回路基板とを電気的に接続するコネクタと、外装と接地部位との間に接続される第1のサージアブソーバと、回路基板と接地部位との間に接続される第2のサージアブソーバと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入され、かつ生体組織の撮像を行う撮像素子が先端部に配置され、導電性の外装を有する内視鏡、に接続される内視鏡用プロセッサであって、
前記撮像素子によって取得される画像を処理する回路基板と、
前記撮像素子と前記回路基板とを電気的に接続するコネクタと、
前記外装と接地部位との間に接続される第1のサージアブソーバと、
前記回路基板と前記接地部位との間に接続される第2のサージアブソーバと、
を備えた、内視鏡用プロセッサ。
【請求項2】
前記第2のサージアブソーバを配置し、かつ前記回路基板と離間した第2の回路基板を備えた、
請求項1に記載された内視鏡用プロセッサ。
【請求項3】
前記第2の回路基板は、前記第2のサージアブソーバと並列に接続されたキャパシタ有する、
請求項2に記載された内視鏡用プロセッサ。
【請求項4】
体腔内に挿入され、かつ生体組織の撮像を行う撮像素子が先端部に配置され、導電性の外装を有する内視鏡と、
前記内視鏡と接続され、前記撮像素子によって取得される画像を処理する回路基板と、前記撮像素子と前記回路基板とを電気的に接続するコネクタと、を有する内視鏡用プロセッサと、
を含み、
前記内視鏡用プロセッサは、
前記外装と前記内視鏡用プロセッサに設けられる接地部位との間に接続される第1のサージアブソーバと、
前記回路基板と前記接地部位との間に接続される第2のサージアブソーバと、を備えた、
内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入されて生体組織の撮像を行う内視鏡に接続される内視鏡用プロセッサ、及び、内視鏡プロセッサを含む内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器分野においては、体腔内の生体組織を照明し、照明された体腔内の生体組織を被写体として撮像することにより、体腔内に潜む病変部の診断を行うのに好適な画像を生成することが可能な電子内視鏡システムが知られている。
電子内視鏡は術者によって操作(接触)されるため、一般的な電気機器と同様にESD(静電気放電)対策が施されている。例えば特許文献1には、内視鏡の外壁部の金属部材に対して静電気放電が生じた場合には第1サージアブソーバが導通状態となり、コンデンサを介して放電電流をアースに流すように構成されている内視鏡システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内視鏡システムには、さらなる安全性を保証するために、内視鏡の外装とグランドの間に1.5kVの耐電圧試験の規格(具体的には、IEC60601-1:2012 箇条8.8)を満たすことが要求されており、内視鏡の出荷検査において、耐電圧試験を実施することが推奨されている。
しかし、特許文献1に記載された従来の構成では、内視鏡の外装とグランド(保護接地)の間に1.5kVの電圧を印加した場合、その間に配置されているサージアブソーバが導通し、外装とグランドが同電位となる。その場合、患者回路と外装の間に電位差が生ずることになるため、患者回路と外装との距離が短い場合にアーク放電が生じ、患者回路が破壊される可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、内視鏡システムにおいて、生体組織の画像を処理する回路基板の耐圧性を従来よりも高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、体腔内に挿入され、かつ生体組織の撮像を行う撮像素子が先端部に配置され、導電性の外装を有する内視鏡、に接続される内視鏡用プロセッサである。
この内視鏡プロセッサは、
前記撮像素子によって取得される画像を処理する回路基板と、
前記撮像素子と前記回路基板とを電気的に接続するコネクタと、
前記外装と接地部位との間に接続される第1のサージアブソーバと、
前記回路基板と前記接地部位との間に接続される第2のサージアブソーバと、を備える。
【0007】
前記第2のサージアブソーバを配置し、かつ前記回路基板と離間した第2の回路基板を備えることが好ましい。
【0008】
前記第2の回路基板は、前記第2のサージアブソーバと並列に接続されたキャパシタ有することが好ましい。
【0009】
本発明の別の態様は、体腔内に挿入され、かつ生体組織の撮像を行う撮像素子が先端部に配置され、導電性の外装を有する内視鏡と、
前記内視鏡と接続され、前記撮像素子によって取得される画像を処理する回路基板と、前記撮像素子と前記回路基板とを電気的に接続するコネクタと、を有する内視鏡用プロセッサと、
を含む、内視鏡システムである。ここで、前記内視鏡用プロセッサは、
前記外装と前記内視鏡用プロセッサに設けられる接地部位との間に接続される第1のサージアブソーバと、
前記回路基板と前記接地部位との間に接続される第2のサージアブソーバと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
内視鏡システムにおいて、生体組織の画像を処理する回路基板の耐圧性を従来よりも高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態の内視鏡システムの電気的構成の一例を示す図である。
【
図2】一実施形態の内視鏡システムの電気的構成の一部を示す等価回路の実施例と比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、電子内視鏡システムについて添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
一実施形態の電子内視鏡システムは、体腔内に挿入され、かつ生体組織の撮像を行う撮像素子が先端部に配置され、導電性の外装を有する内視鏡と、当該内視鏡と接続され、内視鏡の撮像素子によって取得される画像を処理する患者回路を有する内視鏡用プロセッサと、を含む。
【0013】
一実施形態では、内視鏡用プロセッサは、撮像素子と患者回路とを電気的に接続するコネクタを備える。また、内視鏡用プロセッサは、内視鏡の外装と接地部位との間に接続される第1のサージアブソーバ、及び、患者回路と接地部位との間に接続される第2のサージアブソーバの2個のサージアブソーバを備える。この2個のサージアブソーバを備えることで、内視鏡の外装と接地部位の間に高電圧が印加された場合に患者回路を適切に保護することが可能となっている。
【0014】
すなわち、内視鏡の外装(金属部材)は術者によって操作されるため、静電気放電による高電圧が印加される可能性がある。従来の内視鏡用プロセッサでは、内視鏡の外装と保護接地の間にキャパシタとサージアブソーバが並列に接続され、内視鏡の外装に対して静電気放電が生じた場合には、サージアブソーバが導通状態となるように構成されている。しかし、この構成では、サージアブソーバが導通して内視鏡の外装と接地部位が同電位となる結果、患者回路と内視鏡の外装の間に電位差が生ずることになるため、患者回路と外装との距離が短い場合にアーク放電が生じ、患者回路が破壊される可能性がある。
【0015】
そこで、一実施形態の内視鏡用プロセッサでは、内視鏡の外装と接地部位との間に接続される第1のサージアブソーバに加えて、患者回路と接地部位との間に接続される第2のサージアブソーバが設けられる。この構成では、内視鏡の外装に対して静電気放電が生じた場合には第1のサージアブソーバが導通して内視鏡の外装と接地部位が同電位となるが、第2のサージアブソーバも導通して患者回路と接地部位が同電位となる。そのため、内視鏡の外装と患者回路とはほぼ同電位となるため、患者回路と外装との距離が短い場合であってもアーク放電が生じず、患者回路が保護される。
【0016】
図1は、一実施形態の電子内視鏡システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、電子内視鏡100、電子内視鏡用プロセッサ200、モニタ300、及び、周辺機器400を備えている。
電子内視鏡100は、導電性の外装を有する内視鏡であり、その先端部には、体腔内に挿入され、かつ生体組織の撮像を行う撮像素子14が配置されている。
電子内視鏡用プロセッサ200は、電子内視鏡100と接続され、撮像素子14によって取得される画像を処理する回路基板(例えば後述する患者回路26)と、を有する。電子内視鏡用プロセッサ200は、電子内視鏡100と内視鏡コネクタ201を介して接続されている。
なお、
図1は、システム内の各部の電源ラインやグランドラインGLの接続関係を示すものであり、システム内の信号の送受信のための伝送ラインは省略している。
【0017】
図1に示すように、電子内視鏡用プロセッサ200は、例えば商用の交流電源であるAC電源5に接続されて給電される。また、電子内視鏡用プロセッサ200のグランドラインGLは、電子内視鏡用プロセッサ200の導電性の外装等を介して保護接地に接続されている。
【0018】
電子内視鏡用プロセッサ200は、ラインフィルタ21、1次回路22、ランプ電源23、2次回路24、患者電源25、及び、患者回路26(回路基板の一例)を備える。
図1に示す実施形態では、モニタ300が電子内視鏡用プロセッサ200の筐体内に内蔵された例を示しているが、モニタ300は、電子内視鏡用プロセッサ200の外部に設けられてもよい。
【0019】
ラインフィルタ21は、AC電源5に接続された電源ラインのノイズを除去するためのフィルタである。ラインフィルタ21は、図示の構成に限られず、さらにインダクタを含めてもよい。
1次回路22は、トランスTR1及び図示しない整流回路を含み、AC電源5から供給される交流電圧を、2次回路24及びモニタ300が動作するのに適した直流電源に変換する。
【0020】
ランプ電源23は、ラインフィルタ21に対して1次回路22と並列に接続されている。ランプ電源23は、トランスTR2及び図示しない整流回路を含み、AC電源5から供給される交流電圧を、ランプ電源23が動作するのに適した直流電源に変換する。ランプ電源23によって生成された直流電源は、ランプ28に提供される。
【0021】
ランプ28は、所定の色の波長帯域の光を出射する複数のLEDによる光源を備える。LEDに代えてレーザダイオードを光源として用いることもできる。LED及びレーザダイオードは、他の光源と比較して、低消費電力、発熱量が小さい等の特徴があるため、消費電力や発熱量を抑えつつ明るい画像を取得できるというメリットがある。明るい画像が取得できることにより、病変部の病変の程度に関する評価の精度を向上させることができる。
ランプ28による照明光は、図示されない集光レンズにより集光された後、図示されない調光装置を介して電子内視鏡100の光ファイバ素線の束であるLCB(Light Carrying Bundle)11の入射端に入射される。
入射端よりLCB11内に入射した照明光は、LCB11内を伝播して電子内視鏡100の先端部内に配置されたLCB11の射出端より射出され、配光レンズ(図示せず)を介して被写体に照射される。被写体からの反射光は、対物レンズ(図示せず)を介して撮像素子14の受光面上で光学像を結ぶ。
なお、ランプ28は、電子内視鏡用プロセッサ200に内蔵されていてもよいし、電子内視鏡100の先端部に設けられてもよい。後者の場合、照明光を導光するLCB11は不要である。
【0022】
1次回路22によって生成された直流電源は、患者電源25に対しても供給される。
患者電源25は、スコープ回路12及び撮像素子14を駆動するための電源を生成する。
図1に示すように、患者電源25は、トランスTR3を含み、1次回路22によって生成された直流電圧を、スコープ回路12及び撮像素子14が動作するのに適した直流電圧に変換する。
【0023】
電子内視鏡100には、スコープ回路12及び撮像素子14が設けられており、撮像素子14を用いて、体腔内の生体組織を撮像するように構成されている。
撮像素子14は、例えば、IR(Infra Red)カットフィルタ、ベイヤ配列カラーフィルタの各種フィルタが受光面に配置された単板式カラーCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサであり、受光面上で結像した光学像に応じたR(Red)、G(Green)、B(Blue)の各原色信号を生成する。単板式カラーCCDイメージセンサの代わりに、単板式カラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることもできる。
スコープ回路12は、撮像素子14を駆動する駆動信号(クロック信号等)を生成して撮像素子14に送出する。スコープ回路12はまた、撮像素子14から入力される原色信号に対して色補間、マトリックス演算等の所定の信号処理を施して画像信号を生成し、生成された画像信号を患者回路26に送出する。
【0024】
患者回路26は、スコープ回路12から伝送された画像信号を取得して、その画像信号に対して画質補正ための信号処理を行う後処理回路を有している。後処理回路で行う信号処理として例えば、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、ゲイン補正などがある。この後処理回路によって信号処理が施された画像信号が2次回路24に送られる。
【0025】
2次回路24は、患者回路26から伝送された画像信号を基に、モニタ300に表示させるためのビデオ信号の生成や出力を行う表示制御回路を有している。これによって、撮像部によって撮像された体腔内の被写体の画像がモニタ300に表示されるようになっている。
また、2次回路24は、モニタ300に表示する操作案内画像等を生成する回路や、2次回路24に接続された入力装置(図示せず)からの操作信号等に基づいて患者回路26に対して各種指示を行う制御信号を患者回路26に与える処理回路なども有している。
2次回路24はまた、必要に応じて、生成したビデオ信号等を周辺機器400に送出する処理を行う。
【0026】
なお、スコープ回路12、患者回路26、及び、2次回路24において行われる処理内容についての上記説明は一例に過ぎない。各回路によって行われる処理内容は、当業者であれば適宜変更、改変、集約等させることができる。
【0027】
図1をさらに参照すると、電子内視鏡100の内視鏡外装H100は、好ましくは導電性材料によりシールドされており、キャパシタC11を介して電子内視鏡用プロセッサ200のグランドラインGLに接続されている。つまり、内視鏡外装H100は、キャパシタC11を介して接地されている。なお、内視鏡外装H100から電子内視鏡用プロセッサ200のグランドラインGLに向かうラインは、
図1では内視鏡コネクタ201を通っていないが、その限りではなく、内視鏡コネクタ201を通ってグランドラインGLに接続されてもよい。
【0028】
電子内視鏡100の内視鏡外装H100とグランドラインGLの間には、キャパシタC11と並列にサージアブソーバSU1(第1のサージアブソーバの一例)が接続される。サージアブソーバSU1は、内視鏡外装H100に高電圧が印加された場合に導通して、内視鏡外装H100の電圧をグランドラインGLに逃がすために設けられている。
【0029】
電子内視鏡用プロセッサ200において、患者回路26の低圧側の信号ラインL26は、キャパシタC10を介してグランドラインGLに接続されている。つまり、患者回路26は、キャパシタC10を介して接地されている。
同様に、患者電源25の低圧側の信号ラインL25は、キャパシタC12を介してグランドラインGLに接続されている。つまり、患者電源25は、キャパシタC12を介して接地されている。
キャパシタC11及びキャパシタC10は、それぞれ内視鏡外装H100及び患者回路26を交流的に接地させ、高周波ノイズを除去するために設けられている。
【0030】
図1に示すように、患者回路26の低圧側の信号ラインL26とグランドラインGLの間には、サージアブソーバSU2(第2のサージアブソーバの一例)とキャパシタC13が並列に接続される。サージアブソーバSU2は、患者回路26に高電圧が印加された場合に導通して、患者回路26の電圧をグランドラインGLに逃がすために設けられている。
一実施形態では、サージアブソーバSU2とキャパシタC13は、患者回路26とは別個の基板27に実装される。
【0031】
次に、
図2を参照して、一実施形態の電子内視鏡システム1の動作を説明する。
図2は、電子内視鏡システムにおいて、内視鏡の外装とグランドの間の耐電圧試験を行うときに関連する部分、つまり、内視鏡外装H100、患者電源25及び患者回路26の信号ラインL25,L26と、グランドラインGL(つまり、保護接地)との接続関係を示す等価回路を示している。
図2において、(a)は比較例(従来の回路構成)であり、(b)は実施例(
図1に示した回路構成)である。
【0032】
先ず
図2(a)を参照すると、比較例の内視鏡用プロセッサでは、内視鏡外装H100と保護接地の間にキャパシタC11とサージアブソーバSU1が並列に接続され、内視鏡外装H100に対して静電気放電が生じた場合には、サージアブソーバSU1が導通状態となり、内視鏡外装H100から保護接地に向かって電流が流れる。しかし、サージアブソーバSU1が導通して内視鏡外装H100と接地部位が同電位となる結果、患者回路26の信号ラインL26と内視鏡外装H100の間に電位差が生ずることになるため、患者回路26の信号ラインL26と内視鏡外装H100との距離が短い場合にアーク放電が生じ、患者回路26が破壊される可能性がある。
【0033】
それに対して、
図2(b)に示す実施例の電子内視鏡用プロセッサ200では、内視鏡外装H100と接地部位との間に接続されるサージアブソーバSU1に加えて、患者回路26の信号ラインL26と接地部位との間に接続されるサージアブソーバSU2が設けられる。その結果、内視鏡外装H100に対して静電気放電が生じた場合にはサージアブソーバSU1が導通して内視鏡外装H100と接地部位が同電位となるが、サージアブソーバSU2も導通して患者回路26から保護接地に向かって電流が流れ、患者回路26の信号ラインL26と接地部位が同電位となる。その結果、内視鏡外装H100と患者回路26の信号ラインL26とはほぼ同電位となるため、患者回路26の信号ラインL26と内視鏡外装H100との距離が短い場合であってもアーク放電が生じず、患者回路26が保護される。
【0034】
以上説明したように、実施形態の電子内視鏡システム1によれば、電子内視鏡用プロセッサ200は、内視鏡外装H100と接地部位との間に接続されるサージアブソーバSU1、及び、患者回路26と接地部位との間に接続されるサージアブソーバSU2の2個のサージアブソーバを備える。この2個のサージアブソーバを備えることで、内視鏡外装H100と接地部位の間に高電圧が印加された場合に患者回路26を適切に保護することができる。
【0035】
なお、
図1では、サージアブソーバSU2を患者回路26とは別個の、保護接地に近い基板27(第2の回路基板の一例)に実装される場合について示したが、その限りではない。つまり、サージアブソーバSU2は患者回路26と同一の基板に組み込むこともできる。しかし、基板27を患者回路26と分離することで、患者回路26を外部からの高周波信号や静電気放電による影響を受け難くすることができる。
【0036】
図1及び
図2では、サージアブソーバSU2と並列にキャパシタC13が接続されている場合について示したが、その限りではない。しかし、キャパシタC13をサージアブソーバSU2と並列に接続することで、サージアブソーバSU2の導通時のノイズを効果的に除去することができる。
【0037】
以上、本発明の電子内視鏡システムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0038】
1…電子内視鏡システム
5…AC電源
100…電子内視鏡
200…電子内視鏡用プロセッサ
11…LCB
12…スコープ回路
14…撮像素子
21…ラインフィルタ
22…1次回路
23…ランプ電源
24…2次回路
25…患者電源
26…患者回路
27…基板
28…ランプ
201…内視鏡コネクタ
300…モニタ
400…周辺機器
C10,C11,C12,C13…キャパシタ
H100…内視鏡外装
L25,L26…信号ライン
SU1,SU2…サージアブソーバ
TR1,TR2,TR3…トランス
GL…グランドライン