(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070745
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】カウルカバー
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
B62D25/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183014
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】日置 崇彰
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB33
3D203BB38
3D203CA23
3D203CA32
3D203CA34
3D203CA35
3D203DA37
3D203DA38
(57)【要約】
【課題】衝撃緩和性能を向上できるカウルカバーを提供する。
【解決手段】カウルカバー7は、車両のフロントガラスとフードとの間のカウル部を覆う。カウルカバー7は、フードとフロントカウルとの間に位置する縦壁部15と、縦壁部15に車幅方向に形成された第一弱部21と、縦壁部15にて第一弱部21の位置で互いに交差して形成された複数の第二弱部22と、を備える。縦壁部15は、第一弱部21と第二弱部22との交差位置Cに向かい薄肉化されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドシールドと相手部材との間のカウル部を覆うカウルカバーであって、
前記相手部材と車体部材との間に位置する縦壁部と、
この縦壁部に車幅方向に形成された第一弱部と、
前記縦壁部にて前記第一弱部の位置で互いに交差して形成された複数の第二弱部と、を備え、
前記縦壁部は、前記第一弱部と前記第二弱部との交差位置に向かい薄肉化されている
ことを特徴とするカウルカバー。
【請求項2】
縦壁部は、車幅方向に延びて形成され、
第一弱部は、前記縦壁部の車幅方向両端に亘り設定されている
ことを特徴とする請求項1記載のカウルカバー。
【請求項3】
縦壁部は、第一弱部の位置で屈曲されている
ことを特徴とする請求項1または2記載のカウルカバー。
【請求項4】
縦壁部は、第二弱部間の部分の最大厚みが、その他の部分の厚みより大きく設定されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のカウルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドシールドと相手部材との間のカウル部を覆うカウルカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のフロントガラスの前端部とボンネットフードの後側部との間のいわゆるカウル部に配置され、このカウル部を覆って外観を向上するカウルカバーが用いられている。
【0003】
カウルカバーにおいては、近年、ボンネットフードに上方から物体が衝突した際などに、変形などにより衝撃を吸収する、衝撃緩和機能が付加されることがある。例えば、エンジンルームとカウル部とを仕切る縦壁部に、車幅方向に連なる菱形状の脆弱部を形成することで、衝撃を吸収するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-160505号公報 (第4-5頁、
図1-6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明の場合、菱形状に形成した弱部によって、縦壁部に対する上方からの衝撃による応力集中を分散し、縦壁部を座屈させにくくして、衝撃の吸収時間を持続させている。それに対し、より短時間で縦壁部を座屈させることで衝撃緩和性能を向上したいというニーズがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、衝撃緩和性能を向上できるカウルカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のカウルカバーは、車両のウインドシールドと相手部材との間のカウル部を覆うカウルカバーであって、前記相手部材と車体部材との間に位置する縦壁部と、この縦壁部に車幅方向に形成された第一弱部と、前記縦壁部にて前記第一弱部の位置で互いに交差して形成された複数の第二弱部と、を備え、前記縦壁部は、前記第一弱部と前記第二弱部との交差位置に向かい薄肉化されているものである。
【0008】
請求項2記載のカウルカバーは、請求項1記載のカウルカバーにおいて、縦壁部は、車幅方向に延びて形成され、第一弱部は、前記縦壁部の車幅方向両端に亘り設定されているものである。
【0009】
請求項3記載のカウルカバーは、請求項1または2記載のカウルカバーにおいて、縦壁部は、第一弱部の位置で屈曲されているものである。
【0010】
請求項4記載のカウルカバーは、請求項1ないし3いずれか一記載のカウルカバーにおいて、縦壁部は、第二弱部間の部分の最大厚みが、その他の部分の厚みより大きく設定されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のカウルカバーによれば、加わった荷重が一般面へ逃げにくく交差位置に集中して交差位置で縦壁部に容易に割れが発生するとともに、第一弱部及び第二弱部に沿って割れが拡がることで、荷重に対する反力を軽減することにより、衝撃緩和性能を向上できる。
【0012】
請求項2記載のカウルカバーによれば、請求項1記載のカウルカバーの効果に加えて、第一弱部の割れが縦壁部の車幅方向全体に亘り拡がるので、荷重に対する反力を車幅方向全体に亘り効果的に低減できる。
【0013】
請求項3記載のカウルカバーによれば、請求項1または2記載のカウルカバーの効果に加えて、加わった荷重に対して第一弱部の位置で縦壁部が折れやすくなり、荷重に対する反力をより抑制するとともに、割れをより効果的に拡げることができる。
【0014】
請求項4記載のカウルカバーによれば、請求項1ないし3いずれか一記載のカウルカバーの効果に加えて、第二弱部間の部分を荷重に対する剛体エリアとして作用させ、第二弱部の交差位置に荷重を効率よく作用させて、交差位置での割れをより生じさせやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のカウルカバーの
図5のZ矢視図である。
【
図2】同上カウルカバーの
図1のI-I相当位置の断面図である。
【
図3】同上カウルカバーの
図1のII-II相当位置の断面図である。
【
図4】同上カウルカバーの
図1のIII-III相当位置の断面図である。
【
図6】同上カウルカバーを備える車体を有する車両を示す斜視図である。
【
図7】同上カウルカバーの一実施例と比較例との変位量と反力との関係を示すグラフである。
【
図8】本発明の第2の実施の形態のカウルカバーの正面図である。
【
図9】本発明の第3の実施の形態のカウルカバーの一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図6において、1は車両としての自動車の車体である。車体1には、エンジンルーム2を覆う相手部材であるフード3と、車室4の前側に位置するウインドシールドであるフロントガラス5と、の間のカウル部6を覆って車両用部品であるカウルカバー7が配置されている。なお、以下、前後、上下、及び両側などの方向については、車体1の直進方向を基準として説明し、矢印FR方向が前方、矢印RR方向が後方、矢印U方向が上方、矢印D方向が下方、矢印L方向が車幅方向左方、矢印Rが車幅方向右方である。
【0018】
カウル部6は、エアボックスなどとも呼ばれるもので、例えば鉄板にて形成された車体部材であるフロントカウル8(
図4)により、上側を開口した樋状に形成されている。そして、カウル部6には、車室4内に外気を導入する空調装置の空気取入部(エアインテーク)が前後方向に開口されているとともに、カウル部6の一側には、ワイパのワイパアームを駆動するモータやワイパリンクなどが配置されている。
【0019】
フード3は、車体1の前部に位置してエンジンルーム2を開閉可能に覆うボンネットフードである。
【0020】
そして、
図4ないし
図6に示すカウルカバー7は、カウルトップカバーとも呼ばれ、フロントガラス5とフード3との間のカウル部6すなわちフロントカウル8の上側を覆って外観を向上するものである。カウルカバー7の前側の上部にフード3が位置し、フロントガラス5とフロントカウル8とにより支持される。
【0021】
カウルカバー7は、合成樹脂などの部材により長手状に形成されている。カウルカバー7は、車幅方向に長手状に配置される。
【0022】
カウルカバー7は、本体部10を有する。本体部10は、概略として平板状に形成されている。本体部10は、フロントガラス5と略平行に傾斜して長手方向に連続して形成されている。本体部10は、全体的に後部から前部へと下方に傾斜した状態で配置される。なお、本体部10には、突出部が形成されていてもよい。突出部により、フード3とカウルカバー7との隙間を狭くするとともにカウルカバー7を積雪などのフロントガラス5側からの荷重に対して補強することが可能となる。
【0023】
本体部10には、空気取入穴部11が形成されている。空気取入穴部11は、空気取入部と連通する。本実施の形態において、空気取入穴部11は、本体部10の長手方向の一端寄り、つまり車幅方向の一側に偏って形成されている。
【0024】
また、本体部10には、ワイパピボット穴部12が形成されている。ワイパピボット穴部12には、ワイパ装置のシャフトが挿通される。本実施の形態において、ワイパピボット穴部12は、本体部10の長手方向の一端寄り、つまり車幅方向の一側に偏って複数形成されている。
【0025】
本体部10のフロントガラス5に対向する後部には、保持部13が形成されている。保持部13は、本体部10との間でフロントガラス5の前縁部を受ける部分である。保持部13は、本体部10の長手方向に間欠的に複数の箇所に形成されていてもよいし、本体部10の後縁部全体に亘り形成されていてもよい。
【0026】
また、本体部10の前部には、縦壁部15が形成されている。縦壁部15は、カウル部6とエンジンルーム2との間に介在される隔壁部である。縦壁部15は、カウルカバー7の前端部を構成する。縦壁部15は、本体部10の前部にて下方に延びている。縦壁部15は、車幅方向に延びて形成されている。縦壁部15は、前方上側に向かい傾斜している。縦壁部15の下端部には、フロントカウル8の上部に支持される被支持部16が形成されている。また、縦壁部15の上端部で、かつ、本体部10の前部には、シール部材であるフードシールが取り付けられる支持部17が前方に突出して形成されている。したがって、縦壁部15は、フロントカウル8とフード3との間に位置している。なお、本実施の形態において、縦壁部15の上端部近傍、つまり支持部17の近傍には、縦壁部15の後部に、弱部である溝部18が形成されている。同様に、支持部17の基端部である後端部と本体部10の前端部とが連なる位置には、弱部である溝部19が形成されている。
【0027】
支持部17は、エンジンルーム2を閉塞したフード3の下部に対向する位置にある。フードシールは、フード3の後部下面に圧接される。そして、フードシールが、閉じた状態のフード3に液密に密着することで、エンジンルーム2からの熱気や臭気を遮蔽するようになっている。
【0028】
そして、
図1ないし
図4に示すように、縦壁部15には、第一弱部21が形成されている。第一弱部21は、幅方向ノッチとも呼ばれる断面三角形状の薄肉部または溝部である。第一弱部21は、縦壁部15の前面に車幅方向に延びて形成されている。好ましくは、第一弱部21は、縦壁部15の車幅方向の両端に亘り連なって形成されている。第一弱部21は、縦壁部15の上下方向の略中央部に形成されている。また、第一弱部21の位置で縦壁部15が屈曲されている。図示される例では、第一弱部21の位置で縦壁部15が後方または上方に突出するように屈曲されている。つまり、縦壁部15は、第一弱部21の位置で断面く字状となっている。
【0029】
また、縦壁部15には、複数の第二弱部22が形成されている。本実施の形態において、第二弱部22は、対をなして、例えば一対設定されている。第二弱部22は、上下方向ノッチとも呼ばれる断面三角形状の薄肉部または溝部である。第二弱部22は、縦壁部15の前面にて第一弱部21の位置で互いに交差するように形成されている。すなわち、第一弱部21と複数の第二弱部22とは、縦壁部15の同一主面上に設定されている。第一弱部21と複数の第二弱部22とは、交差位置Cの一点で交差している。第二弱部22は、正面から見てX字状に形成されており、互いの交点が第一弱部21上に位置する。第二弱部22は、縦壁部15の上端部から下端部に亘り連なって形成されている。そのため、縦壁部15には、第一弱部21及び第二弱部22の交差位置Cの周囲に、第一弱部21と第二弱部22との間の領域A1,A2と、第二弱部22,22の間の領域A3,A4と、が形成される。領域A1~A4の各頂点が交差位置Cとなっている。
【0030】
領域A1は、縦壁部15において、第一弱部21の一側である上側にて、第一弱部21と第二弱部22とにより区画される部分である。領域A1は、車幅方向に延びて形成されている。
【0031】
領域A2は、縦壁部15において、第一弱部21の他側である下側にて、第一弱部21と第二弱部22とにより区画される部分である。領域A2は、車幅方向に延びて形成されている。領域A2は、交差位置Cまたは第一弱部21から見て、領域A1とは反対側に位置する。
【0032】
領域A3は、縦壁部15において、第一弱部21の上側にて、一方の第二弱部22と他方の第二弱部22との間に区画される部分である。つまり、領域A3は、縦壁部15において、第一弱部21の上側にて、車幅方向に隣り合う第二弱部22,22間に位置する部分である。領域A3は、交差位置Cを頂点とする逆三角形状に形成されている。領域A3は、領域A1,A1間に位置する。
【0033】
領域A4は、縦壁部15において、第一弱部21の下側にて、一方の第二弱部22と他方の第二弱部22との間に区画される部分である。つまり、領域A4は、縦壁部15において、第一弱部21の下側にて、車幅方向に隣り合う第二弱部22,22間に位置する部分である。領域A4は、交差位置Cを頂点とする三角形状に形成されている。領域A4は、領域A2,A2間に位置する。領域A4は、交差位置Cまたは第一弱部21から見て、領域A3とは反対側に位置する。
【0034】
そして、縦壁部15は、第一弱部21と第二弱部22との交差位置Cに向かい薄肉化されている。つまり、領域A1~A4、第一弱部21、及び、第二弱部22は、それぞれ交差位置Cに近づくほど肉厚が薄くなるように肉厚が徐変して設定されている。交差位置Cが縦壁部15またはカウルカバー7において最も厚みが薄い部分となっている。
【0035】
また、本実施の形態において、第二弱部22の間の領域A3,A4は、剛体エリアであり、縦壁部15のその他の部分、つまり領域A1,A2、第一弱部21及び第二弱部22の厚みよりも大きい最大厚みを有する。すなわち、領域A3,A4については、交差位置Cにおいて領域A1,A2と同一厚みとなっているものの、交差位置Cから離れるにしたがい厚みが大きく、少なくとも交差位置Cから最も離れた位置において、領域A1,A2の最大厚みよりも厚みが大きく設定されている。また、領域A3,A4は、車幅方向に沿う断面(
図2)では、一定または略一定の厚みに設定されており、交差位置Cに接近するほど厚みが薄く設定されている。
【0036】
複数の第二弱部22を設定する位置は、縦壁部15において、車幅方向の任意の位置としてよい。本実施の形態では、複数の第二弱部22は、例えば車幅方向の一端側に配置されている(
図5)。
【0037】
そして、カウルカバー7は、保持部13にフロントガラス5の前縁部を挟み込み、フロントカウル8に対しクリップなどにより固定することで、カウル部6を覆って車体1に組み付けられる。
【0038】
カウル部6を覆うカウルカバー7は、カウル部6や車室4内などへの水や異物の侵入を防止するとともに、フード3を閉じた状態で、フードシールが変形してフード3に密着し、エンジンルーム2からの熱気や臭気を遮蔽する。
【0039】
また、フード3に対して上方から例えば障害物が衝突するなどして荷重(外力)が加わると、フード3が下方に変形することでフードシールを介してカウルカバー7の支持部17に対して下方に荷重が加わることで、縦壁部15に対して下方に向かう荷重Fが加わる。このとき、縦壁部15の第一弱部21よりも上側の領域については、下方に向かって荷重が生じ、第一弱部21よりも下側の領域については、荷重Fに対する反力がフロントカウル8側から上方に向かって荷重が生じる。
【0040】
本実施の形態では、第一弱部21の位置で複数の第二弱部22が交差しているとともに、縦壁部15が、第一弱部21と第二弱部22との交差位置Cに向かい薄肉化されているため、加わった荷重が領域A1,A2などの一般面へ逃げにくく交差位置Cに集中して交差位置Cで縦壁部15に容易に割れが発生するとともに、第一弱部21及び第二弱部22に沿って割れが拡がることで、荷重に対する反力を軽減する。これにより、衝撃緩和性能を向上できる。したがって、仮に歩行者などがフード3に対し上方から衝突した際であっても、その衝突により生じる荷重の反力を緩和できることで、歩行者保護性能を向上できる。
【0041】
特に、第一弱部21を縦壁部15の車幅方向両端に亘り設定することで、第一弱部21の割れが縦壁部15の車幅方向全体に亘り拡がるので、荷重に対する反力を車幅方向全体に亘り効果的に低減できる。
【0042】
また、縦壁部15を第一弱部21の位置で屈曲させているので、加わった荷重に対して第一弱部21の位置で縦壁部15が折れやすくなり、荷重に対する反力をより抑制するとともに、割れをより効果的に拡げることができる。
【0043】
さらに、縦壁部15において、第二弱部22,22間の部分である領域A3,A4の最大厚みを、その他の部分である領域A1,A2の厚みより大きく設定することで、領域A3,A4を荷重に対する剛体エリアとして作用させ、第二弱部22,22の交差位置Cすなわち頂点に荷重を効率よく作用させて、交差位置Cでの割れをより生じさせやすくすることができる。
【0044】
図7に、本実施の形態の一実施例と、各弱部を備えない従来例に対応する比較例とについて、変位量(変形量)に対する反力のグラフを示す。一実施例は比較例に対して変位量に対する反力が低減されており、衝撃緩和性能が向上していることが分かる。
【0045】
このように、仕様上剛性が高くなる縦壁部15に局所的に弱部を設定することができるので、組み付けに必要な最低限の合成は確保しつつ、レイアウトの幅を拡げ、かつ、歩行者保護性能を満足するカウルカバー7を提供できる。
【0046】
しかも、縦壁部15については、薄肉部を交差位置C周辺の最小限の範囲に抑えることができるので、薄肉部による樹脂流動性を損ないにくく、ショートショットなどの成形不良の発生を抑制できる。したがって、カウルカバー7の成形型にゲートを多数設定する必要がなく、製造コストを削減できる。
【0047】
なお、第1の実施の形態において、
図8に示す第2の実施の形態のように、第二弱部22の角度は、入力される荷重Fの方向に応じて変えてもよい。
【0048】
また、車両レイアウト、衝撃レイアウトに応じて、対をなす第二弱部22、すなわち領域A3,A4は、縦壁部15の車幅方向の複数箇所に設定してもよい。例えば、
図9に示す第3の実施の形態のように、対をなす第二弱部22は、車幅方向に等間隔または略等間隔に、左右二箇所ずつなどに配置されていてもよい。
【0049】
さらに、各実施の形態において、第二弱部22は、対をなして設定しているが、必要な衝撃緩和性能に応じて、3本以上の複数を設定してもよい。
【0050】
また、カウルカバー7は、車体1の前部以外の部分に設け、例えば、ウインドシールドとしてのリアガラスと相手部材であるリアのトランクフードとの間などに配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、自動車のフロントガラスとボンネットフードとの間に配置されるカウルカバーに適用できる。
【符号の説明】
【0052】
3 相手部材であるフード
5 ウインドシールド
6 カウル部
7 カウルカバー
8 車体部材であるフロントカウル
15 縦壁部
21 第一弱部
22 第二弱部
C 交差位置