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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070762
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】潮汐発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/26 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
F03B13/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183049
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】521264752
【氏名又は名称】今泉 八郎
(72)【発明者】
【氏名】今泉 八郎
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA06
3H074AA12
3H074BB10
3H074BB19
3H074CC03
3H074CC28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】潮汐の流れで二つの貯放水路ゲートを交互に稼働させて発電させる水導管フロート式の潮汐発電装置を提供する。
【解決手段】海岸縁に内海と外海を仕切る底板付き貯水外壁板と、その外壁板に囲まれた貯水槽内に、潮汐作動の外海と中海、遅延作動する中海と内海を仕切る二つの貯放水路ゲートを設置する。貯放水路ゲート内の連絡水路両端の水路幅より広くて深い水槽に、水路遮断用フロートタンクを、中央の水槽に発電装置のフロートタンクを浮かべる。これら3つのフロートタンクを水導管と連結ピンで連動させると、海面が高くなる方の狭い水路口をフロートタンクが水圧で遮断、海面落差の水流を水導管で中央のフロートタンクに装備した発電装置の水導室に誘導させて発電機を回す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海岸縁の海域に合った形の外海と中海を仕切る底板付き貯水槽外壁板と貯放水路ゲート壁板に囲まれた外中貯水槽内であって、前記外海の潮汐海水を内の外中貯水槽に出し入れする第1貯放水路ゲートの水路内において、互いに隣接して配置された第1~3の水槽と、前記第1~3の水槽内部に配置された底が無い第1~3のフロートタンクと、前記第1~3のフロートタンクに対して注排気を行って、前記第1~3のフロートタンクを前記第1~3の水槽内で浮沈させる注排気手段と、前記第2のフロートタンク上に搭載された水力発電装置と、前記第1の水槽内の海水を前記水力発電装置に導く第1の水導管と、前記前記水力発電装置を通過した海水を前記第3の水槽に導く第2の水導管と、を備えるとともに、前記第1の水導管の前記第1の水槽に接続される接続部は前記第1の水槽に対して昇降自在に取り付けられ、前記第2の水導管の前記第3の水槽に接続される接続部は前記第3の水槽に対して昇降自在に取り付けられ、前記第1の水槽と前記第2の水槽の間にあって、両者の間を連絡する第1の連絡水路と、前記第2の水槽と前記第3の水槽の間にあって、両者の間を連絡する第2の連絡水路と、を備え、更に、前記第1のフロートタンクの浮沈に従って、前記第1の水導管の前記第1の水槽に接続される接続部を前記第1の水槽に対して昇降させる第1の接続部昇降手段と、前記第3のフロートタンクの浮沈に従って、前記第2の水導管の前記第3の水槽に接続される接続部を前記第3の水槽に対して昇降させる第2の接続部昇降手段と、前記第1のフロートタンクの浮沈に従って、前記第1の連絡水路を開閉する第1の水路開閉手段と、前記第3のフロートタンクの浮沈に従って、前記第2の連絡水路を開閉する第2の水路開閉手段と,を備える第1貯放水路ゲートの潮汐発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の第1貯放水路ゲートで貯放水する外中貯水槽内において、前記第1貯放水路ゲートと同設備の第2貯放水路ゲートを配置されるとともに、前記第2貯放水路ゲートで貯放水する中内貯水槽を備えて、前記第1の貯放水路ゲートが潮止まりで発電が停止しても、前記外中貯水槽と中内貯水槽の海面差で発電ができる第2貯放水路ゲートの潮汐発電装置。
【請求項3】
前記第2フロートタンク上の水力発電装置の水導室内において、前記海水の流れを受けて回転する水車と、前記海水が流れる方向に応じて、前記水車の前記海水が衝突する部位を同回転に変更する半射板を備える、請求項1又は請求項2に記載の潮汐発電装置。

【請求項4】
前記潮汐発電装置全体の海底設置と構造において、貯水槽外壁板の底板には、海底の基礎アンカーボルトに取付けられる取付けアームを備え、前記貯放水路ゲートと貯水槽上の暗渠は、平らな多目的広場などを設け、前記平らな多目的広場には岸壁から車の出入りできるライトウエイ兼ハッチを備え、前記広場と、前記上甲板には本装置が稼働させられる全ての装置有する設備などを請求項とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、海岸縁の海域に合った形の外海と内海を仕切る底板付き貯水槽外壁板と第1貯放水路ゲート1A壁板に囲まれた外中貯水槽2Bを設置する。その外中貯水槽内に、第1貯放水路ゲートと同設備で遅延稼働用の第2貯放水路ゲート1Bで中内貯水槽2Cを設ける。その二つの貯放水路ゲート内に、それぞれ第1~3の水槽と、水槽間を連絡する水槽幅より小さい第1連絡水路6Aと第2連絡水路6Bの上部が、潮汐水位とメンテナンスのため開放された縦長の連絡水路を施工する。
【0002】
その連絡水路の第1と第3の水槽に、連絡水路幅より大きくて深い7A、7Cと幅のみ大きい中央の第2水槽7Bを設けて、その7A7C水槽に連絡水路幅より大きい上部連絡水路遮断用底板が無いフロートタンク10Aと10Cを浮かべ、その下中に10より小さな下部連絡水路遮断用フロートタンク12と12の中に、12より小さい13と、13の中に重りを収納して浮かべ、その10上には中央の発電装置の水導室9に水槽の海水を給排用の水導管口10A3と10C3を設ける。その水導管口と発電装置の水導室を装備したフロートタンクの3台を水導管二つと、1連結が左右2ヵ所の水導管連結ピン5によって連結して水槽に浮かべる。
【0003】
潮汐によって海面が高くなる方の連絡水路口に、連絡水路幅より大きいフロートタンクが浮き移動して水圧で上下の連絡水路口を遮断、内海と外海の海面差が大きくなる。その海面差の海水を保持しながら浮いて潮止まりまで、水導管で中央のフロートタンク中部に装着した発電装置の水導室に誘導して、潮汐発電を稼働させることが出来る。よって本発明は水導管フロート式の潮汐発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0004】
これまでの潮汐発電に関する文献調査で近い文献の形態を書くと、海岸線に沿い人工池・湖(これより「流水池」と称す)を設け、海と流水池との間を結ぶ流水管内部の水車で発電する。水流管には海水の流れを制御するためにゲートを設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-13069
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この文献1の図-2から察するに、堰中に流水管が固定されているので、潮汐の発電条件が良くなるまでのゲートを閉める時間が長く、発電効率が悪いし、発電装置全体が海中装備で、メンテナンスを考慮していないなど、この文献では説明不足で、本考案との比較ができないので、本発明で解決しようとする課題を説明する。
【0007】
この発明は、干満差の大小関係なく、世界中の海岸縁であれば何処でも、外中貯水槽と中内貯水槽の水量で発電量が決まるので計算がし易い。動力源が全て自己製造で、大気中の空気をコンプレッサーで圧縮貯蔵された圧縮空気と電磁弁を作動させる電源だけの自動制御なので発電コストが安い。
【0008】
潮止まり時には、水路を開放するので、自然環境に優しい。また、発電装置が水上に浮いているので、装備している発電機や制御用機器のメンテナンスがし易い。外板の強度が大きいので、上に発電所や変電所、送電設備などが造られる。
【0009】
これまで艤装岸壁としか使用されていなかった造船所岸壁に設置すると、高額の電気代支払いが無くなり、時間外の余った電気を売れば会社の収入源にもなる。また埠頭に停泊する船舶の電気として使用すると燃料の節約にもなる。それからコンテナ埠頭の敷地に装備のクレーンなどの動力源として使用できる。
【0010】
満潮から干潮、干潮から満潮に変化する時は、潮止まりで2A,2Bの海面差がなくなり、貯放水路ゲート1Aの発電は一旦停止するが、同設備の貯放水路ゲート1Bを外中貯水槽2B内に造ることで、今度は中内貯水槽2Cとの海面差で、1Bを遅延稼働させ、一日中フルに発電された電気を供給することが出来る。
【0011】
日本は資源が貧しい島国ではあるが、この装置を全国の海辺に設置することで、これまで天候に左右される太陽光、風力発電や、危険で高価な原発と比較しても、安価で安全、安定性がある。また火力発電では、化石燃料の節約と同時に大気中の汚染物質COを削減して、地球温暖化の抑制に貢献出来きる。
【0012】
この装置が実用化されると、全自動無人化できるので、月々の電気代を格安にすることができる。また余った電気を他の地方に売れば、地元の収入源にもなる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の本発明に係る潮汐発電装置は、海岸縁の海域に合った形の外海と中海を仕切る底板付き貯水槽外壁板と第1貯放水路ゲート壁板に囲まれた外中貯水槽内において、
【0014】
前記潮汐により発生する潮流を利用して発電する第1貯放水路ゲート内であって、互いに隣接して配置された第1~3の水槽と、前記第1~3の水槽のそれぞれの内部に配置された、底が無い第1~3のフロートタンクと、前記第1~3のフロートタンクに対して注排気を行って、前記第1~3のフロートタンクを前記第1~3の水槽内で浮沈させる注排気手段と、
【0015】
前記第2のフロートタンク上に搭載された水力発電装置と、前記第1の水槽内の海水を前記水力発電装置に導く第1の水導管と、前記前記水力発電装置を通過した海水を前記第3の水槽に導く第2の水導管と、を備えるとともに、
【0016】
前記第1の水導管の前記第1の水槽に接続される接続部は前記第1の水槽に対して昇降自在に取り付けられ、前記第2の水導管の前記第3の水槽に接続される接続部は前記第3の水槽に対して昇降自在に取り付けられ、
【0017】
前記第1の水槽と前記第2の水槽の間にあって、両者の間を連絡する第1の連絡水路と、前記第2の水槽と前記第3の水槽の間にあって、両者の間を連絡する第2の連絡水路と、を備え、更に、
【0018】
前記第1のフロートタンクの浮沈に従って、前記第1の水導管の前記第1の水槽に接続される接続部を前記第1の水槽に対して昇降させる第1の接続部昇降手段と、前記第3のフロートタンクの浮沈に従って、前記第2の水導管の前記第3の水槽に接続される接続部を前記第3の水槽に対して昇降させる第2の接続部昇降手段と、
【0019】
前記第1のフロートタンクの浮沈に従って、前記第1の連絡水路を開閉する第1の水路開閉手段と、前記第3のフロートタンクの浮沈に従って、前記第2の連絡水路を開閉する第2の水路開閉手段とを備えて、外海と外中貯水槽の海面差で発電ができる第1貯放水路ゲートの潮汐発電装置を設けてあることを特徴とする。
【0020】
この貯放水路ゲートの連絡水路には、発電装置などのトラブルが発生した時にその水路だけの給排口を遠隔と手動でも開閉できる装置を水槽上の両端に設ける。また給排口は、大波とゴミの影響を少なくするために水槽底の両端に設ける。
【0021】
また発電装置本体の整備のためドックに運ぶときは、干潮潮位の時、外海側の給排口を閉めて、貯水槽内の海水を少量にして、満ち潮になると発電装置本体に浮力が作動する。本体底板の海底取付けアームと海底の基礎アンカーボルトの結合を外すと、本体が浮いて移動ができる状態で、もう1度外海側の給排口を開いて貯水槽内に給水することで、本体を沈め安定したドック移動ができる。
【0022】
また貯放水路ゲート内の連絡水路両端に浮かぶフロートタンク10Aと10Cは、浮いて上部の連絡水路を開閉し、下中に下部の連絡水路を開閉する遮断用タンク12と13と重りを収納し、エアーを排出して上の水導管口10A3を沈めるなど、潮汐発電装置で重要なタンクである。
【0023】
フロートタンクの下中に下部の連絡水路を開閉する遮断用タンク12と13は、連結用上下限ストッパー20で一体化するがストッパーを外すと個別に各タンクの保守点検ができる。
【0024】
第2の本発明に係る潮汐発電装置は、第1貯放水路ゲートで貯放水する外中海貯水槽2B内に第1貯放水路ゲートと同設備の第2貯放水路ゲートを配置されるとともに、第2の前記貯放水路ゲートで貯放水する中内海貯水槽2Cを備えて、前記第1の貯放水路ゲートが潮止まりで発電が停止しても、外中海貯水槽と中内海貯水槽の海面差で発電できる第2貯放水路ゲートの潮汐発電装置で遅延稼働させることを特徴とする。
【0025】
また貯放水路ゲート1A,1Bの上面と貯水槽2B2C海面上は、平な暗渠にして作業スペースと車道スペースにする。
【0026】
第3の本発明に係る潮汐発電装置は、水力発電装置の水導室に海水の流れを受けて回転する水車と、前記海水が流れる方向に応じて、前記水車の前記海水が衝突する部位を同回転に変更する半射板で構成されることを特徴とする。
【0027】
この水導室内の半射板は、満潮、引き潮の時でも水車の回転を同じ方向に回し、水路幅が狭くなるので水流圧が大きくなって水車軸を高速回転させることが出来る。
【0028】
また水導管は中央接続側の床部を、スライド式で傾斜と水流方向で自動開閉ができて、水車を回した大半の海水を水路に落とす。
【0029】
この連絡水路両端に浮かぶフロートタンクと連絡水路口間の密着シート内に、圧力センサーを片側に上部17Aと下部17B 2か所に取付けると、水流方向や、装置のトラブルを察知できて、連絡水路の開閉と水導管口を沈めるタイミングの自動化ができる。
【0030】
第4の本発明に係る潮汐発電装置全体の海底設置と構造について、貯水槽外壁板の底板には、海底の基礎アンカーボルトに取付けられる取付けアームを備え、前記貯放水路ゲートと貯水槽上の暗渠は、平らな多目的広場などを設け、前記平らな多目的広場には岸壁から車の出入りできるライトウエイ兼ハッチを備え、前記広場と、前記上甲板には本装置が稼働させられる全ての装置を有する設備などを請求項とする。
【0031】
この潮汐発電装置本体は、常時、海上と海中に設置されているので、塩害防止ため、数年に1度はドックで整備する必要がある。よって、貯水槽外壁板の底板には、海底の基礎アンカーボルトに取付けられる取付けアームを備え、海底に沈めて固定させ、潮汐海水を貯水槽に出し入れして、貯放水路ゲートで発電させる装置である。
【0032】
また外海側の貯放水路ゲート上には、岸壁から車両の交通ができるライトウエイ兼ハッチを設け、貯放水路ゲートと貯水槽上の暗渠は、平らな作業場と車両走行用スペースの車両甲板にする。
【0033】
その車両甲板の天井には、発電装置のメンテナスのため、走行クレーンと照明を設け、その上の甲板には、発電装置の制御装置と発電、変電所を有する送電設備などを設置する。
【発明の効果】
【0034】
よってこの装置は、地球環境を考えた自然に優しい発電を、24時間地球上の全ての海辺の国々に、安く簡単な方法で永久的に供給する事が出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】外壁と貯放水路ゲートの1部拡大上面図と干潮時の側面図である
図2】(1)満ち潮(2)潮止まり前(3)満潮(4)引き潮(5)潮止まり前(6)干潮時の側面図である。
図3】1A干潮時の潮止まり側面図である。
図4】1A満ち潮時の上面図である。
図5】1A満ち潮時の側面図である。
図6】1A満ち潮時の横側面図である。(外海側水槽より10Aを見る)
図7】1A引き潮時の側面図である。
図8】1A水導管内の水流方向とスライド床の動作図である。
図9】1A水導室の水車軸と半射板の上断面図である。
図10】連絡水路内の潮流方向と開閉蓋の説明図である。
図11】水面センサーの動作を説明する説明図である。
図12】潮汐発電装置本体の設置図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に本発明の形態を述べると、図1の上図は、底板付き貯水槽外壁板1C内の外海側に設置された貯放水路ゲート1Aと、その内海の貯水槽内に潮止まりでも発電できる少し小さめの貯水槽を保持する貯放水路ゲート1Bの設置上面図である。
【0037】
中図は、1A一つの連絡水槽内に3個のフロートタンクを浮かべ、そのタンクを3A3Bの水導管で連結している拡大上面図で、下図は干潮の潮止まりで1Aの連絡水路は開放され、1Bの2Bと2Cの水位差で発電している状態の側面図である。
【0038】
この図では1Aに3台、1Bに3台の合計6台の発電装置が配置されているが、必要電力量や海域海底の状態に応じて1A,1B各1台から貯水外壁板が広ければ何台でも設置できる。
【0039】
図2は、潮の満ち引きは1日に約4回(満ち潮2回+引き潮2回)行われるので、干潮時から満ち潮の時の形態と、満潮時から引き潮の時の形態を(1)~(6)図で説明する。
【0040】
図2-(1)は、潮が満って来て貯放水路ゲート1Aの発電装置が稼働している状態図で、2Aと2B間の1A貯放水路ゲートの10Aフロートタンクと下部の12、13Aの浮力エアーを排出して沈めて連絡水路6Aを遮断、海面差の海水を3Aの水導管で10Bの発電装置に誘導して発電させ、3Bの水導管で2Bに放水している図である。
【0041】
図2-(2)は、2B,Cの海面水位が満潮水位の半分位で、今度は貯放水路ゲート1Bの連絡水路を10aが遮断し2B,2Cに海面差が生じる。2Bの水位が2Aに近くなると10a3の水導管口を2B水面下に10aの浮力エアーを排出して沈める。
【0042】
水面下に沈んだ10a3の水導管口は、2Bの海水を10bに誘導して発電させ2Cに放水する。貯放水路ゲート1Aの発電が停止するまで、貯放水路ゲート1A,1Bの発電はパラ運転する。
【0043】
図2-(3)は、満潮の潮止まりで貯放水路ゲート1Aの連絡水路を遮断していた10Aの12,13Aに圧縮空気を給入して浮かせ連絡水路を開放し、貯水路ゲート1Bの発電装置が稼働している図である。
【0044】
図2-(4)は、引き潮になって貯放水路ゲート1Aの10Cが連絡水路を遮断、2Bの海水を3Bから10Bの発電装置に誘導発電させ、2Aに放水させるようになると、またしばらく貯放水路ゲート1A,1Bのパラ発電運転が始まり、貯放水路ゲート1Bの発電が停止して連絡水路を開放している図である。
【0045】
図2-(5)は、2B,2Cの干潮潮位が半分位になると、今度は貯放水路ゲート1Bのフロートタンク10cで連絡水路を遮断、2Cの水位を保持して、2Bだけの海水で貯放水路ゲート1Aの発電装置を稼働させると、2B,2Cに海面差が生じる。発電できる海面差(設定水圧)になると、10cの浮力エアーを排出して3bの給水口を沈め、2Cの海水で10bの発電装置を稼働するようになる。
【0046】
図2-(6)は, 貯放水路ゲート1A、1Bのパラ発電運転が終わり干潮の潮止まりで、貯放水路ゲート1Aの連絡水路を開放、これから2Aが満ち潮になって貯放水路ゲート1Aと貯放水路ゲート1Bのパラ発電運転するまで、貯放水路ゲート1Bだけの発電稼働図である。
【0047】
図2は、1回分の海水の満ち引きを6図に分けて説明したもので、あとはその繰り返しで、永久的に発電装置が故障しない限り、稼働し続けることになる。
【0048】
満ち潮時の形態から詳しく説明する。
図3は干潮時、外中海の海面差がない時間、貯放水路ゲート1Aのフロートタンク10A,Cは、下の水路開閉用タンクにエアーを注入してブロック内の連絡水路6A,Bを開放する。潮が満ちて来ると、2Aから2Bに、連絡水路には潮の流れが生じる。その時、外海側の水路口密着シート内に設置された圧力センサー17Aに、外海側のフロートタンクが接触する。
【0049】
連絡水路内の水流が大きくなると、接触圧力が大きくなり設定圧力で12A、13A開閉用タンクのエアーを排出する電磁弁を作動させてタンクを沈めると、連絡水路6Aが遮断される。その時の上面図が図4である。
【0050】
図5は、連絡水路を遮断すると、2Aの海面が2Bより高くなり、圧力センサー17A,Bの圧力値も大きくなってある設定値で、フロートタンク10A2中部の浮力エアーを電磁弁で排出して、水導管口10A3を海面下に沈める。
【0051】
図6は、図5を外海側連絡水槽から10Aを見た横側面図で、水導管口10A3を海面下に沈め、圧力センサー17A,Bが連絡水路縁に位置し、水密点検窓18と給排ホース15A1~3の配管、各フロートタンク上下限ストッパーと連結金具20を図示した。
【0052】
水導管口に入った海水は、激流となって水導管3Aを下りスライド床3A1を押し下げ開放口を遮断(図8-a)、中央の水導室内(図9)の半射板9B1で半面水車羽に送られ、水車軸に直結された立型発電機を潮止まり前まで稼働させる。
【0053】
水導室を通過した水流は、水導管3Bに流れ込んで3Bのスライド床3B1を押し下げ開口させ、海水を連絡水路に流す。(図8-b)その間8Aの発電された電気は発電所に送電される。
【0054】
図8は、水導管傾斜と内の水流方向で、スライド床の開閉と連結ピンに取付け取り外しが簡単にできる、はめ込み型の連結ピン溝5B、そのセットレバー5Aと連結解除5Cを図示したものである。
【0055】
密着シートに取付けた圧力センサー17A,Bで維持させながら満ち潮に対応、満潮時間が近くなっても内外海面差が大きい時は、下の連絡水路開閉用タンクにエアーを注入して連絡水路を解放、水量調節を発電所から遠隔操作で行う。
【0056】
中海と外海の海面差が小さくなると、圧力センサーが作動してフロートタンク10A2と12A、13A上下連絡水路遮断用タンクにも注入して水導管口を水中から浮かせ連絡水路を開放する。
【0057】
貯放水路ゲート1Aの発電が停止しても、貯放水路ゲート1Bの発電装置が遅れて作動するため、発電所に発電供給が中断することがない。
【0058】
これから引き潮時の形態を詳しく説明する。
貯放水路ゲート1Bが、その2C内に海水を供給発電させている間に、貯放水路ゲート1Aでは、引き潮になって、2Bの海水が2Aへ連絡水路内を流れる様になる。
【0059】
今度は、内海側水路口密着シート内の圧力センサー17Cが、内海側水路6B縁に接触してある設定値で遮断用フロートタンク12C、13Cの電磁弁を作動させ、連絡水路遮断用タンク内のエアーを排出、沈めて内海側水路6Bをタンク重みと水圧で遮断させる。
【0060】
外海の海面が、中海側より設定値まで下がると、圧力センサーが電磁弁を作動、10C2の中部のエアーを排出して水導管口10C3を沈める。満ち潮のときは、排水口だった水導管口が、今度は給水口になる。
【0061】
図7は、中海2Bの海水を10Bの水導室9A(図9)に送ると、設置した発電機の水車軸羽が、満ち潮時と同回転する様に室内の水流を半射板9B2で反対側半分に当てて、満ち潮同様、潮止まり前まで稼働させることが出来る。
【0062】
2C水量が半分を目安に、貯放水路ゲート1Bの連絡水路開閉用フロートタンクを作動させるが貯放水路ゲート1Aでの発電中の時は、2C水量が半分近くになるまで貯放水路ゲート1Bの水路は開放されている。
【0063】
図10は、貯放水路ゲート1Aの連絡水槽内のフロートタンク3台を陸揚げして、連絡水槽内の両端吸排口4Eを開き、潮の流れと干満差CとDを図示した図で、発電装置の点検などでタンクを陸揚げしたときは、他の装置との影響を無くすため、両側の連絡水槽吸排口を遠隔電動4Aか、上から手動4Bで水路開閉軸ネジ4Dを回し蓋4Cで連絡水槽吸排口を閉める。
【0064】
図11は、浮力用圧縮空気ホースをフロートタンクに接続して、電磁弁の給入で浮かせ、排出で沈めるが、タンク内の水位が異常に上昇してホース内に水が入らない様に、タンク内の吸排口に取付ける水面センサー図である。(a)は正常状態、(b)は異常で海面が水面フロート16Cを押し上げ玉フロート16Bでエアー給排口16Aの穴を塞いでいる動作図である。
【0065】
図12は、潮汐発電装置本体の海中設置図である。この図では、これまで解説した潮汐発電装置の配置と全体の全容を図示したものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
一般社団法人グリーンピースジャパン(2012年11月発行)の調べによると、業種ごとの生産額に占める電気代の割合が一番高い企業は、圧縮ガス液化ガス製造業、二位は製氷業になっているが、海岸縁の工業地帯に、この発電装置を設置して電気を供給してやると、生産性向上で、企業が潤うと思う。
また現在日本の造船業界では、高い電気代の支払いで利益が少なく、造船価格が安い他国に隻数で負けてきた。そこでこの装置を近くの艤装岸壁内に設置して電気代の支払いをなくすと、日本の造船業界の未来が開けてゆくと思う。また装置に使用する資材と人材が会社内にあるので工事費も安くできる。
【符号の説明】
【0067】
1A 貯放水路ゲート
1B 貯放水路ゲート
1C 貯水槽外壁板
2A 外海
2B 外中貯水槽
2b 2B外中貯水槽暗渠
2C 中内貯水槽
2c 2C中内貯水槽暗渠
3A 1A 第1水導管
3A1 1A第1水導管スライド床
3a 1B 第1水導管
3B 1A 第2水導管
3B1 1A第2水導管スライド床
3b 1B 第2水導管
4A 水路開閉電動モーター
4B 水路開閉手動ハンドル
4C 水路開閉蓋
4D 水路開閉軸ネジ
4E 水路給排口
5 水導管連結ピン
5A 連結ピンセットレバー
5B 連結ピン溝
5C 連結解除
6A 第1連絡水路
6B 第2連絡水路
6C 連絡水路上蓋
7A 第1連絡水槽
7B 第2連絡水槽
8A 1A発電機
8B 1B発電機
9A 1A水導室
9B 1B水導室
9A1 水車軸
9A2 半射板
9A3 軸バネ
9A4 発電機軸キー
10A 1A第1フロートタンク
10A1 第1タンク内エアー区画
10A2 下部水路開閉タンク収納部
10A3 水導管口
10a 1B第1フロートタンク
10B 1A第2フロートタンク
10b 1B第2フロートタンク
10C 1A第3フロートタンク
10c 1B第3フロートタンク
11 密着シート
12A 下部1水路開閉タンク
13A 下部2水路開閉タンク
14A 重り
15A エアーホースターミナル
15A1 10A2 給排ホース
15A2 12A給排ホース
15A3 13A給排ホース
16 水面センサー
16A エアー吸排口
16B 玉フロート
16C 水面フロート
17A 上部圧力センサー
17B 下部圧力センサー
18 水密点検窓
19 アイボルト
20 上下限ストッパー
21 海底取付けアーム
22 ランプウエイ
23 タラップ
24 発電制御室
25 送電設備
26 岸壁スロープ
A 潮流方向
B 潮流方向
C 満潮潮位
D 干潮潮位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12