(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070781
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及び樹脂封止方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
H01L21/56 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183087
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】村松 吉和
(72)【発明者】
【氏名】花里 実
(72)【発明者】
【氏名】山本 修
【テーマコード(参考)】
5F061
【Fターム(参考)】
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061BA07
5F061CA21
5F061CA22
5F061DA13
5F061GA05
(57)【要約】
【課題】成形品の反りの発生を抑制して、品質の向上が可能な樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂封止装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、ワークWを樹脂Rにより封止して成形品Wpに加工する樹脂封止装置であって、成形品Wpのポストキュアを行う複数個の加熱室402と、成形品Wpを加熱室402に対して搬入・搬出する搬送装置102とを備え、加熱室402は、個別に任意の室内温度に設定可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型及び下型を備える封止金型を用いて、ワークを樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置であって、
前記成形品のポストキュアを行う複数個の加熱室と、
前記成形品を前記加熱室に対して搬入・搬出する搬送装置と、を備え、
前記加熱室は、個別に任意の室内温度に設定可能に構成されていること
を特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
内部に前記加熱室を複数個有するオーブンを一台もしくは複数台備えること
を特徴とする請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記オーブンは、前記加熱室として少なくとも相互に仕切られた第1加熱室及び第2加熱室を有すると共に、前記第1加熱室の室内温度と前記第2加熱室の室内温度とを、同一の温度及び異なる温度のいずれにも設定可能に構成されていること
を特徴とする請求項2記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記成形品のポストキュアを行う工程を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記成形品によってあらかじめ設定されたポストキュア条件に応じて、複数個の前記加熱室のうちから使用する加熱室として選択される第1加熱室~第n加熱室(n≧2)の室内温度がそれぞれ設定温度となるように調整すると共に、前記搬送装置によって前記成形品を設定された順番で前記第1加熱室~前記第n加熱室に対して搬入、ポストキュア、搬出するように制御すること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
上型及び下型を備える封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止方法であって、
前記成形品のポストキュアを行うポストキュア工程を備え、
前記ポストキュア工程は、前記成形品によってあらかじめ設定されたポストキュア条件に応じて、複数個の加熱室のうちから使用する第1加熱室~第n加熱室(n≧2)を選択すると共に使用する順番を決定する工程と、前記第1加熱室~前記第n加熱室の室内温度をそれぞれ設定温度となるように調整する工程と、前記成形品を前記順番で前記第1加熱室~前記第n加熱室に対して搬入、ポストキュア、搬出する工程と、を有すること
を特徴とする樹脂封止方法。
【請求項6】
前記ポストキュア工程は、前記第1加熱室~前記第n加熱室の室内温度を異なる設定温度となるように調整する工程とを有すること
を特徴とする請求項5記載の樹脂封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂(以下、単に「樹脂」と称する場合がある)により封止して成形品に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、トランスファ成形方式や圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
トランスファ成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる二個の上下型の封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給するポットを設け、当該各封止領域に対応する位置にワークをそれぞれ配置して、上型と下型とでクランプしポットからキャビティに樹脂を流し込む操作によって樹脂封止する技術である(特許文献1:特許第5716227号公報参照)。また、圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うフィルム及び樹脂を供給して成形する技術等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ウェハ等のような板状のワークを樹脂封止する場合には、当該ワークの外形が大きい程、封止後(成形後)の製品(成形品)における反りが大きく生じ易く、その抑制が課題となる。この課題に対し、特許文献1等に例示される従来の樹脂封止装置においては、封止金型内で加熱・加圧による樹脂硬化を行い、製品を封止金型から取出した後、装置内に設けられるポストキュアオーブン(以下、単に「オーブン」と称する場合がある)に入れて、ポストキュア(アフターキュアとも言う)を行うことより、反りの抑制を図っていた。尚、オーブンが樹脂封止装置外に設けられる構成も知られている。
【0006】
ここで、成形後の製品は温度変化(低下)に伴って反りが増大するため、製品を封止金型から取出した後、出来る限り速やかにポストキュアを行うことが望ましい。しかしながら、樹脂封止工程の次工程として実施するポストキュア工程において、樹脂封止装置から取出した時点で温度低下が始まり、成形品をオーブンへ入れるまでに時間が掛かってしまうことによって温度低下が進んで、反りが増加してしまう結果となる。特に、オーブンが樹脂封止装置外に設けられる場合には、より一層、顕著となる。
【0007】
また、ポストキュア工程は、単に成形品を加熱すればよいという訳ではなく、成形品の材質・形状等に応じて、ポストキュア条件(温度、時間等のシーケンス)を適切に設定することが重要となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、成形品に応じた適切なポストキュアの実施を可能とすることによって、成形後の温度低下に起因する成形品の反りの発生を抑制して、成形品質を向上させることが可能な樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
本発明に係る樹脂封止装置は、上型及び下型を備える封止金型を用いて、ワークを樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置であって、前記成形品のポストキュアを行う複数個の加熱室と、前記成形品を前記加熱室に対して搬入・搬出する搬送装置と、を備え、前記加熱室は、個別に任意の室内温度に設定可能に構成されていることを要件とする。
【0011】
これによれば、成形品のポストキュアを行う加熱室を複数個備え、それぞれ異なる温度設定が可能となるため、一つの成形品を、設定された順番で各加熱室に搬入して、異なる温度で異なる時間のポストキュアを連続的に行うができる。したがって、細やかなポストキュアを行うことが可能となり、特に反り等の発生を効果的に抑制することができるため、成形品質の向上を図ることができる。
【0012】
また、内部に前記加熱室を複数個有するオーブンを一台もしくは複数台備えることが好ましい。これによれば、各オーブンにおける加熱室単位で温度設定をすることができる。また、オーブン全体で一括して温度設定をすることもできるため、使用するオーブンの台数を低減することができ、部品の共通化による構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0013】
また、前記オーブンは、前記加熱室として少なくとも相互に仕切られた第1加熱室及び第2加熱室を有すると共に、前記第1加熱室の室内温度と前記第2加熱室の室内温度とを、同一の温度及び異なる温度のいずれにも設定可能に構成されていることが好ましい。これによれば、複数個の加熱室を異なる室内温度に設定すれば、成形品を順次移動させて、細やかなポストキュアを行うことができるため、成形品質の向上を図ることができる。一方、複数個の加熱室を同一の室内温度に設定すれば、一度に多くの個数の成形品のポストキュアを行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る樹脂封止方法は、上型及び下型を備える封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載されたワークを樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止方法であって、前記成形品のポストキュアを行うポストキュア工程を備え、前記ポストキュア工程は、前記成形品によってあらかじめ設定されたポストキュア条件に応じて、複数個の加熱室のうちから使用する第1加熱室~第n加熱室(n≧2)を選択すると共に使用する順番を決定する工程と、前記第1加熱室~前記第n加熱室の室内温度をそれぞれ設定温度となるように調整する工程と、前記成形品を前記順番で前記第1加熱室~前記第n加熱室に対して搬入、ポストキュア、搬出する工程と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成形品に応じた適切で細やかなポストキュアの実施が可能となる。したがって、成形後の温度低下に起因する成形品の反りの発生を抑制することが可能となり、成形品質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る樹脂封止装置の例を示す平面図である。
【
図2】
図1の樹脂封止装置の保持移動機構の例を示す側面図である。
【
図3】
図2の保持移動機構のハンドの例を示す平面図である。
【
図4】
図1の樹脂封止装置の封止金型の例を示す断面図である。
【
図5】
図1の樹脂封止装置のオーブンの例を示す断面図である。
【
図6】
図1の樹脂封止装置のオーブンの例を示す断面図である。
【
図7】
図1の樹脂封止装置におけるポストキュア条件の設定例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る樹脂封止装置1の例を示す平面図(概略図)である。尚、説明の便宜上、図中において矢印により樹脂封止装置1における前後、左右、上下の方向を説明する場合がある。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
本実施形態に係る樹脂封止装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wを樹脂封止する装置である。以下、樹脂封止装置1として、下型206でワークWを保持し、上型204に設けられたキャビティ208(金型面204aを一部含む)をリリースフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)Fで覆って、上型204と下型206とのクランプ動作を行い、ワークWを樹脂Rで樹脂封止する圧縮成形装置を例として説明する。
【0019】
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに複数個の電子部品Wbが行列状に搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、長方形状、円形状等に形成された樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状部材が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0020】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装等による搭載方法がある。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0021】
一方、樹脂Rの例として、液状の熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等)が用いられる。尚、樹脂Rは、上記の状態に限定されるものではなく、粒状(顆粒状、粉砕状、粉末状等の総称として用いる)、板状、シート状等、他の状態(形状)であってもよく、エポキシ系熱硬化性樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0022】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。本実施形態においては、フィルムFとしてロール状のフィルムが用いられる。尚、他の例として、短冊状のフィルムを用いる構成としてもよい(不図示)。
【0023】
続いて、本実施形態に係る樹脂封止装置1の概要について説明する。
図1に示すように、樹脂封止装置1は、ワークW及び成形品Wpの搬送を主に行う搬送ユニット100A、ワークWの供給を主に行うワーク供給ユニット100B、樹脂Rの供給を主に行う樹脂供給ユニット100C、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工を主に行うプレスユニット100D、樹脂封止後の成形品Wpのポストキュアを主に行うポストキュアユニット100E、ポストキュア後の成形品Wpの収納を主に行う成形品収納ユニット100F、各機構及び各工程の制御を主に行う制御ユニット100G、を主要構成として備えている。
【0024】
本実施形態においては、搬送ユニット100Aが装置中央に配置されると共に、各ユニットが当該搬送ユニット100Aを囲むように配置されている。具体的に、搬送ユニット100Aの前側にワーク供給ユニット100B、樹脂供給ユニット100C、成形品収納ユニット100Fが配置されている。また、搬送ユニット100Aの後側にプレスユニット100Dが配置されている。また、搬送ユニット100Aの右側及び右前側にポストキュアユニット100Eが配置されている。また、搬送ユニット100Aの右後側に制御ユニット100Gが配置されている。但し、この構成に限定されるものではない。
【0025】
尚、樹脂封止装置1は、ユニットの構成を変えることによって、全体の構成態様を変更することができる。例えば、
図1に示す構成は、プレスユニット100Dを二台設置した例であるが、プレスユニット100Dを一台のみ設置する、あるいは三台以上設置する構成等も可能である。また、他のユニットを追加設置する構成等も可能である(いずれも不図示)。
【0026】
(搬送ユニット)
先ず、樹脂封止装置1が備える搬送ユニット100Aについて説明する。
【0027】
搬送ユニット100Aは、ワークW及び成形品Wpの搬送を行う搬送装置102を備えている。一例として、搬送装置102は、ガイドレール104と、ガイドレール104に沿って所定方向(一例として、左右方向)に往復動するベース部106と、ベース部106に固定されてワークW及び成形品Wpの保持、移動を行う保持移動機構108と、を備えて構成されている。これにより、ワークWや成形品Wpを保持して、各ユニット間の搬送及び各機構への搬入・搬出等を行うことができる。
【0028】
本実施形態においては、保持移動機構108としての多関節ロボットを備えている。
図2に示すように、多関節ロボット108は、上下方向に移動可能な垂直移動部108Aと、水平面内で移動、回転が可能な水平移動回転部108Bと、水平移動回転部108Bの先端に配置されてワークW及び成形品Wpの保持を行うハンド108Cと、を備えている。尚、垂直移動部108A及び水平移動回転部108Bの駆動には、サーボモータ(不図示)等が用いられる。
【0029】
また、ハンド108Cは、
図3に示すように、吸着孔108aとこれに連通する吸引路108bとを有してワークW及び成形品Wpの一面(例えば、下面)を吸着して保持する構成を備えている。但し、これに限定されるものではなく、チャックを有してワークW及び成形品Wpを挟持等して保持する構成としてもよい(不図示)。さらに、ハンド108Cは、水平移動回転部108Bに対して回転(垂直軸を中心とする回転、及び水平軸を中心とする回転の両方もしくは一方)が可能な構成としてもよい(不図示)。
【0030】
尚、保持移動機構108は、上記の多関節ロボットに限定されるものではなく、公知のローダ装置を備えて構成してもよい(不図示)。
【0031】
(ワーク供給ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備えるワーク供給ユニット100Bについて説明する。
【0032】
ワーク供給ユニット100Bは、ワークWの収容に用いられるワークストッカ110を備えている。一例として、ワークストッカ110には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、複数個のワークWを一括して収容可能となっている。当該複数個のワークWは、保持移動機構108によって、一つずつ搬出される構成となっている。
【0033】
尚、ワーク供給ユニット100Bにおいて、ワークWの外観検査を行う検査機構や、ワークWの予熱を行うワークヒータ等を備える構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0034】
本実施形態においては、搬送装置102によって、ワークWが次工程を実施するユニット(ここでは、樹脂供給ユニット100C)へ搬送される。
【0035】
(樹脂供給ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える樹脂供給ユニット100Cについて説明する。この樹脂供給ユニット100Cでは、搬送装置102によってワーク供給ユニット100Bから搬入されたワークWに対して、樹脂Rの供給(載置)が行われる。
【0036】
樹脂供給ユニット100Cは、シリンジ314内の樹脂R(ここでは、液状樹脂)をワークW上へ吐出して供給する一対のディスペンサ312と、当該一対のディスペンサ312の間に交換用の複数個のシリンジ314を回転可能に保持するリボルバ式のシリンジ供給部316と、を備えて構成されている。各ディスペンサ312は、共用のシリンジ供給部316から順次、交換用のシリンジ314の供給を受けながら、樹脂Rの吐出を行う構成となっている。
【0037】
本実施形態においては、保持移動機構108のハンド108CにワークWが保持された状態で、ワークW上に樹脂Rを供給する構成としている。但し、これに限定されるものではなく、ワークWをハンド108Cからディスペンステーブル上に移し、その状態でワークW上に樹脂Rを供給する構成としてもよい(不図示)。また、樹脂Rに関しても、液状樹脂に限定されるものではなく、例えば、顆粒状樹脂を用いる場合には、公知の顆粒状樹脂ストッカ及び顆粒状樹脂ディスペンサを備える構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0038】
尚、樹脂供給ユニット100Cにおいて、樹脂Rの予熱を行う樹脂ヒータ等を備える構成としてもよい(不図示)。
【0039】
本実施形態においては、搬送装置102によって、ワークW(樹脂Rが載置された状態)が次工程を実施するユニット(ここでは、プレスユニット100D)へ搬送される。
【0040】
(プレスユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備えるプレスユニット100Dについて説明する。このプレスユニット100Dでは、搬送装置102によって樹脂供給ユニット100Cから搬入されたワークW(樹脂Rが載置された状態)に対して、樹脂封止が行われる。
【0041】
プレスユニット100Dは、開閉される一対の金型(例えば、複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等が組み付けられたもの)を有する封止金型202を備えている。また、ワークW及び成形品Wpの搬入・搬出を行う搬送ローダ210を備えている。この搬送ローダ210は、搬送装置102からワークWを受け取って、搬送し、封止金型202へ受け渡す作用をなすと共に、封止金型202から成形品Wpを受け取って、搬送し、搬送装置102へ受け渡す作用をなす。尚、ワークW及び成形品Wpの保持には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0042】
また、搬送ローダ210は、ワークW及び成形品Wpを加熱するヒータを備えている(不図示)。一例として、ヒータには、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられる。これにより、ワークWが封止金型202へ搬入されて加熱される前に予備加熱することができる。また、成形品Wpが封止金型202から搬出されて搬送装置102へ受け渡されるまでの間の温度低下を抑制することができる。尚、ヒータを備えない構成としてもよい。
【0043】
また、本実施形態に係る封止金型202は、一対の金型として、鉛直方向上方側の上型204と、下方側の下型206とを備えている。この上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きがなされる構成となっている。すなわち、鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる。
【0044】
尚、封止金型202は、公知の型開閉機構(不図示)によって型開閉が行われる。例えば、型開閉機構は、一対のプラテンと、一対のプラテンが架設される複数の連結機構(タイバーや柱部)と、プラテンを可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)等を備えて構成されている(いずれも不図示)。
【0045】
ここで、封止金型202は、当該型開閉機構の一対のプラテンの間に配設されている。本実施形態においては、固定型となる上型204が固定プラテン(連結機構に固定されるプラテン)に組み付けられ、可動型となる下型206が可動プラテン(連結機構に沿って昇降するプラテン)に組み付けられている。但し、この構成に限定されるものではない。
【0046】
次に、封止金型202の上型204について詳しく説明する。
図4に示すように、上型204は、上プレート222、キャビティ駒226、クランパ228等を備え、これらが組み付けられて構成されている。本実施形態においては、上型204の下面(下型206側の面)にキャビティ208が設けられている。
【0047】
より具体的に、キャビティ駒226は、上プレート222の下面に対して固定して組み付けられる。一方、クランパ228は、キャビティ駒226を囲うように環状に構成されると共に、付勢部材232を介して、上プレート222の下面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる。このキャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、クランパ228がキャビティ208の側部を構成する。尚、本実施形態においては、一つの上型204にキャビティ208が一つ設けられている。但し、この構成に限定されるものではなく、左右方向(もしくは前後方向)に複数並設される構成としてもよい。
【0048】
また、本実施形態においては、フィルム供給機構250(後述)から供給されるフィルムFを上型204に吸引保持する吸着機構が設けられている。この吸着機構は、一例として、クランパ228を貫通して配設された吸引路230a、230b、及び上プレート222、キャビティ駒226を貫通して配設された吸引路230cを介して吸引装置(不図示)に連通している。尚、クランパ228の内周面とキャビティ駒226の外周面との間には、シール部材234(例えば、Oリング)が配設されている。
【0049】
このように、キャビティ208の内面、及び上型204の金型面204a(一部)を覆うフィルムFを設けることにより、成形品Wpの上面における樹脂Rの部分を容易に剥離させることができるため、成形品Wpを封止金型202(上型204)から容易に取り出すことが可能となる。
【0050】
また、本実施形態においては、上型204を所定温度に加熱する上型加熱機構が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等(いずれも不図示)を備えており、制御部150によって加熱制御が行われる。一例として、ヒータは、上プレート222やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に上型204全体及び樹脂Rに熱を加える構成となっている(後述)。これにより、上型204が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0051】
また、本実施形態においては、ロール状でシート面に開口(孔)の無いフィルムFを封止金型202の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構250が設けられている。このフィルム供給機構250は、未使用のフィルムFが巻出し部252から送り出されて型開きした封止金型202に供給され、封止金型202で樹脂封止に使用された後、使用済みのフィルムFとして巻取り部254で巻取られる構成となっている。尚、巻出し部252と巻取り部254とは左右方向において逆に配置してもよい(不図示)。
【0052】
次に、封止金型202の下型206について詳しく説明する。
図4に示すように、下型206は、下プレート224、保持プレート236等を備え、これらが組み付けられて構成されている。ここで、保持プレート236は、下プレート224の上面(上型204側の面)に対して固定して組み付けられている。
【0053】
また、本実施形態においては、ワークWを保持プレート236の下面における所定位置に保持するワーク保持部205が設けられている。このワーク保持部205は、一例として、保持プレート236及び下プレート224を貫通して配設された吸引路240aを介して吸引装置(不図示)に連通している。尚、吸引路240aを備える構成と並設して、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。
【0054】
本実施形態においては、前述の上型204の構成(キャビティ208が一つ設けられる構成)に対応して、一つの下型206にワーク保持部205が一つ設けられて、ワークWを一つずつ同時に樹脂封止する構成となっている。但し、この構成に限定されるものではない。
【0055】
また、本実施形態においては、下型206を所定温度に加熱する下型加熱機構が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等(いずれも不図示)を備えており、制御部150によって加熱制御が行われる。一例として、ヒータは、下プレート224やこれらを収容する金型ベース(不図示)に内蔵され、主に下型206全体及びワークWに熱を加える構成となっている。これにより、下型206が所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整されて加熱される。
【0056】
本実施形態においては、搬送装置102によって、樹脂封止後の成形品Wpが次工程を実施するユニット(ここでは、ポストキュアユニット100E)へ搬送される。
【0057】
(ポストキュアユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備えるポストキュアユニット100Eについて説明する。このポストキュアユニット100Eでは、搬送装置102によってプレスユニット100Dから搬入された成形品Wpに対して、ポストキュアが行われる。
【0058】
ポストキュアユニット100Eは、搬送装置102によって搬入される成形品Wpを内部に保持すると共に設定温度で加熱することによってポストキュアを行う加熱室402を複数個備えている。当該複数個の加熱室402は、個別に任意の室内温度に設定可能に構成されている。この構成によれば、複数個の加熱室402を備え、それぞれ異なる温度設定が可能となるため、一つの成形品Wpを、設定された順番で各加熱室402に搬入して、異なる温度で異なる時間のポストキュアを連続的に行うことができる。したがって、細やかなポストキュアが可能となり、特に反り等の発生を抑制でき、成形品質の向上を図ることができる。
【0059】
上記のように、複数個の加熱室402を設ける場合、当該加熱室402を複数個有するオーブン(ポストキュアオーブン)400を一台もしくは複数台備える構成とすることが好適である。当該構成によれば、各オーブン400における加熱室単位で温度設定をすることができる。尚、必要に応じてオーブン全体で一括して温度設定をすることもできる。また、加熱室が一室のオーブンを複数台用いる構成と比較して、部品の共通化による構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0060】
本実施形態においては、加熱室402を複数個(一例として二個)有するオーブン400を複数台(一例として二台)備える構成としている。具体的に、第1オーブン400(400A)は、相互に仕切られた第1加熱室402(402Aa)及び第2加熱室402(402Ab)を有している。また、第2オーブン400(400B)は、相互に仕切られた第1加熱室402(402Ba)及び第2加熱室402(402Bb)を有している。尚、オーブン400の設置数は二台に限定されるものではなく、各オーブン400における加熱室402の設置数は二個に限定されるものではない。
【0061】
ここで、
図5(
図1のV-V線断面図)及び
図6(
図5のVI-VI線断面図)を用いてオーブン400の構成について説明する。尚、オーブン400Aの構成を例に挙げて説明するが、オーブン400Bの構成も同様である。オーブン400Aは、上記の通り、相互に仕切られた二個の加熱室402(402Aa、402Ab)を有している。各加熱室402の基本構成は同一であり、室内には、対向配置されたスリット状の成形品保持部410が、上下方向に所定ピッチで設けられている。また、室内を所定温度(一例として、50℃から250℃の範囲)で温度調整が可能なヒータ(不図示)が設けられている。これにより、室内に搬入された成形品Wpを成形品保持部410で保持し、所定温度で加熱(ポストキュア)を行うことができる。一例として、各加熱室402には、六個の成形品保持部410が設けられている。また、ヒータには、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、シーズヒータ、等)が用いられる。但し、これらの構成に限定されるものではない。
【0062】
また、各加熱室402は、成形品Wpの搬入・搬出を行うための内扉412が設けられている。この内扉412には、成形品Wpが通過可能な面積を有する開口部412aが、成形品保持部410に対応して複数個(ここでは、六個)形成されている。さらに、各開口部412aを開閉する回動式のシャッター414が設けられている。この構成によれば、シャッター414を個別に開閉することで成形品Wpを加熱室402内に搬入・搬出することができる。したがって、開口部412aからの放熱を抑制し、加熱室402内の温度低下を防ぐことができる。
【0063】
本実施形態において、第1オーブン400(400A)は、第1加熱室402(402Aa)の室内温度と第2加熱室402(402Ab)の室内温度とを同一の温度及び異なる温度のいずれにも設定可能に構成されている。同様に、第2オーブン400(400B)は、第1加熱室402(402Ba)の室内温度と第2加熱室402(402Bb)の室内温度とを同一の温度及び異なる温度のいずれにも設定可能に構成されている。
【0064】
この構成によれば、様々なポストキュア条件の設定が可能となる。具体的に、複数個の加熱室402(上記の例では、四個の加熱室402Aa、402Ab、402Ba、402Bb)を、異なる室内温度に設定すれば、成形品Wpを順次移動させて、細やかなポストキュアができるため、成形品質の向上を図ることができる。一方、複数個の加熱室402を、同一の室内温度に設定すれば、一度に多くの個数の成形品Wpのポストキュアができる。仮に、加熱室が一室のオーブンを複数台用いて実施しようとすると、複数台のオーブン全てを完全に同一となるように室内温度を調整することは不可能(極めて困難)であり、成形品質にばらつきが生じてしまう。この点、本実施形態の構成によれば、同一オーブン400内に設けられる複数個の加熱室402において実施できるため、完全同一の温度調整が可能で、成形品質のばらつきを防止することが可能となる。尚、具体的な制御方法(設定方法)の例については後述する。
【0065】
本実施形態においては、搬送装置102によって、ポストキュア後の成形品Wpが次工程を実施するユニット(ここでは、成形品収納ユニット100F)へ搬送される。
【0066】
(成形品収納ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える成形品収納ユニット100Fについて説明する。この成形品収納ユニット100Fでは、搬送装置102によってポストキュアユニット100Eから搬入された成形品Wpの収納が行われる。
【0067】
成形品収納ユニット100Fは、成形品Wpの収容に用いられる成形品ストッカ112を備えている。一例として、成形品ストッカ112には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられ、複数個の成形品Wpを一括して収容可能となっている。当該複数個の成形品Wpは、保持移動機構108によって、一つずつ搬入される構成となっている。
【0068】
尚、成形品収納ユニット100Fにおいて、成形品Wpの外観検査を行う検査機構等を備える構成としてもよい(不図示)。
【0069】
(制御ユニット)
続いて、樹脂封止装置1が備える制御ユニット100Gについて説明する。この制御ユニット100Gは、オペレータが樹脂封止装置1の作動条件の入力等を行う操作部152と、オペレータによって入力された作動条件及びあらかじめ記憶された作動条件に沿って樹脂封止装置1における各機構の作動制御を行う制御部150と、を備えて構成されている。尚、操作部152は、制御ユニット100G内に配置される構成に限定されるものではなく、他のユニット内もしくはその隣接位置等に配置される構成としてもよい。
【0070】
本実施形態に係る樹脂封止装置1は、特に、ポストキュア工程において成形品Wpのポストキュアを行う制御方法に特徴を有しており、後述の「樹脂封止動作」の中で詳しく説明する。
【0071】
(樹脂封止動作)
続いて、本実施形態に係る樹脂封止装置1を用いて樹脂封止を行う動作(すなわち、本実施形態に係る樹脂封止方法)について説明する。ここでは、一個の上型204に一組のキャビティ208を設けると共に、一個の下型206に一個のワークWを配置して樹脂封止を行い、一個の成形品Wpを得る構成を例に挙げる。但し、この構成に限定されるものではなく、複数個のワークWを一括して樹脂封止する構成としてもよい。
【0072】
準備工程として、上型加熱機構によって、上型204を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構によって、下型206を所定温度(例えば、100℃~200℃)に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。さらに、フィルム供給機構250によって、巻出し部252から巻取り部254へフィルムFを搬送して(送り出して)封止金型202における所定位置(上型204と下型206との間の位置)にフィルムFを供給する工程(フィルム供給工程)を実施する。
【0073】
次いで、搬送装置102によって、ワークストッカ110からワークWを一つずつ搬出し、樹脂供給ユニット100Cへ搬送する工程を実施する。
【0074】
次いで、搬送装置102によって、ワークWがディスペンサ312のシリンジ314の直下位置となるように搬送し、当該シリンジ314からワークWの上面に規定量の樹脂Rを供給(吐出)して載置する工程を実施する。この工程においては、樹脂ヒータ(不図示)によってシリンジ314内の樹脂Rの加熱(予備加熱)を行う。その際の加熱温度は、樹脂Rが硬化しない温度(例えば、60℃~80℃)に設定される。尚、予備加熱工程を省略してもよい。
【0075】
次いで、搬送装置102によって、ワークW(上面に樹脂Rが載置された状態)をプレスユニット100Dへ搬送し、搬送ローダ210に受け渡す工程を実施する。
【0076】
次いで、搬送ローダ210によって、ワークWを封止金型202内へ搬送する工程を実施する。この工程においては、搬送ローダ210に設けられたヒータによってワークWの予備加熱を行ったうえで、当該搬送ローダ210によって封止金型202内へ搬入したワークWを下型206のワーク保持部205に載置する。これにより、ワークWが封止金型202へ搬入されて加熱される前に予備加熱することができ、成形品質の向上を図ることができる。尚、予備加熱工程を省略してもよい。
【0077】
次いで、封止金型202の型閉じを行い、上型204と下型206とでワークWをクランプして樹脂封止する工程(樹脂封止工程)を実施する。このとき、キャビティ208において、キャビティ駒226が相対的に下降して、ワークWに対して樹脂Rを加熱加圧する。これにより、樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が行われ、成形品Wpが形成される。
【0078】
次いで、封止金型202の型開きを行い、搬送ローダ210によって、成形品Wpを封止金型202内から取り出す工程を実施する。この工程においては、取り出した成形品Wpに対して、搬送ローダ210に設けられたヒータによって加熱(成形後加熱)を行う。これにより、成形品Wpが封止金型202から搬出されて搬送装置102へ受け渡されるまでの間の温度低下を抑制することができる。尚、成形後加熱工程を省略してもよい。
【0079】
次いで、搬送装置102によって、成形品Wpを搬送ローダ210から受け取り、ポストキュアユニット100Eへ搬送する工程を実施する。
【0080】
これと並行して(もしくは、その後に)、フィルム供給機構250によって、巻出し部252から巻取り部254へフィルムFを搬送することにより、使用済みフィルムFを送り出す工程を実施する。
【0081】
次いで、搬送装置102によって、成形品Wpを所定のオーブン400に搬入し、ポストキュア(成形後加熱)を行う工程(ポストキュア工程)を実施する。ここで、ポストキュア工程において制御部150が行う制御の具体例を以下に示す。先ず、成形品毎に(すなわち、成形品Wpの種類、形状、材質等に対応させて)あらかじめ設定されたポストキュア条件に応じて、複数個の加熱室402のうちから使用する第1加熱室~第n加熱室(n≧2)を選択すると共に使用する順番を決定する。次いで、第1加熱室~第n加熱室の室内温度をそれぞれ設定温度となるように調整する。次いで、第1加熱室~第n加熱室に対して上記の順番で成形品Wpを搬入し、設定時間の加熱(ポストキュア)をし、搬出する動作を連続的に実施する。尚、加熱室402の選択には、オペレータの決定に基づく場合と、制御部150の決定に基づく場合との両方が含まれる。
【0082】
一例として、四個の加熱室402(具体的に、402Aa、402Ab、402Ba、402Bb)を備える本実施形態に係る樹脂封止装置1を用いたポストキュア工程において、各加熱室402の室内温度を異なる設定温度となるように調整する。これによれば、複数個の加熱室402をそれぞれ異なる室内温度に設定することで、細やかなポストキュアが可能となる。例えば、
図7(a)に示すように、四個の加熱室402のうち全て(402Aa、402Ab、402Ba、402Bb)を、その順番で使用する選択をすると共に、一番目に使用する加熱室402Aaを室内温度200℃で加熱時間を60分に設定し、二番目に使用する加熱室402Abを室内温度150℃で加熱時間を60分に設定し、三番目に使用する加熱室402Baを室内温度120℃で加熱時間を60分に設定し、四番目に使用する加熱室402Bbを室内温度100℃で加熱時間を10分に設定することができる。これは、封止金型202から搬出された後の成形品Wpに対して、徐々に設定温度を下げてポストキュアを行う場合の一例である。あるいは、
図7(b)に示すように、四個の加熱室402のうち三個(402Aa、402Ab、402Ba)を、その順番で使用する選択をすると共に、一番目に使用する加熱室402Aaを室内温度150℃で加熱時間を30分に設定し、二番目に使用する加熱室402Abを室内温度180℃で加熱時間を30分に設定し、三番目に使用する加熱室402Baを室内温度120℃で加熱時間を60分に設定することができる(加熱室402Bbは不使用)。これは、封止金型202から搬出された後の成形品Wpに対して、徐々に設定温度を上げた後、設定温度を下げてポストキュアを行う場合の一例である。このように、成形品Wpの種類に応じて、複数個の加熱室402をそれぞれ適切な室内温度及び加熱時間に設定し、細やかなポストキュアを行うことができるため、従来の装置と比較して、反り等の発生を抑制する効果を大幅に高めることができ、成形品質の向上を図ることができる。尚、複数個の加熱室402のうち、幾つかを同一の室内温度に設定することも可能である。
【0083】
また、別の例として、上記ポストキュア工程において、各加熱室402の室内温度を異なる設定温度となるように調整する。これによれば、複数個の加熱室402を全て同一の室内温度に設定することで、一度に多くの個数の成形品Wpのポストキュアを行うことができる。
【0084】
ポストキュア工程の実施後は、搬送装置102によって、最後に使用されたオーブン400の加熱室402から成形品Wpを搬出し、成形品収納ユニット100Fへ搬送する工程を実施する。次いで、搬送装置102によって、成形品Wpを一つずつ成形品ストッカ112へ搬入する工程を実施する。
【0085】
以上が樹脂封止装置1を用いて行う樹脂封止の主要動作である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。例えば、本実施形態においては、二台のプレスユニット100Dを備える構成であるため、上記の動作を並行して実施することで、効率的な成形品形成が可能となる。
【0086】
以上、説明した通り、本発明に係る樹脂封止装置及び樹脂封止方法によれば、成形品に応じた適切で細やかなポストキュアの実施が可能となる。したがって、成形後の温度低下に起因する成形品の反りの発生を抑制することが可能となり、成形品質を向上させることが可能となる。
【0087】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、封止樹脂として、液状の熱硬化性樹脂を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、顆粒状、粉砕状、粉末状、板状、シート状等の樹脂を用いる構成にも適用し得る。また、一回のプレスで成形されるワークの数も一つに限定されるものではない。
【0088】
また、上記の実施形態においては、上型にキャビティを備える圧縮成形装置を例に挙げて説明したが、下型にキャビティを備える圧縮成形装置にも適用可能である。また、トランスファ成形方式の樹脂封止装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 樹脂封止装置
100E ポストキュアユニット
102 搬送装置
202 封止金型
400 オーブン
402 加熱室
Wp 成形品