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特開2023-70792建築物使用者分類装置及び建築物使用者分類方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070792
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】建築物使用者分類装置及び建築物使用者分類方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230515BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183130
(22)【出願日】2021-11-10
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000142425
【氏名又は名称】アズビル金門株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尹 聖在
(72)【発明者】
【氏名】村上 英治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガス使用量に関する情報に基づいて建築物の使用者の分類を行うことができる建築物使用者分類装置及び建築物使用者分類方法を提供する。
【解決手段】建築物使用者分類装置200において、建築物のガス使用量に関する情報を取得するガス使用量取得部204、建築物が設けられている場所の気象に関する情報を取得する気象情報取得部205及びガス使用量取得部204が取得したガス使用量に関する情報及び気象情報取得部205が取得した気象に関する情報に基づいて、建築物の使用者を分類する分類部206を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物のガス使用量に関する情報を取得するガス使用量取得部と、
前記建築物が設けられている場所の気象に関する情報を取得する気象情報取得部と、
前記ガス使用量取得部が取得したガス使用量に関する情報及び前記気象情報取得部が取得した気象に関する情報に基づいて、前記建築物の使用者を分類する分類部と、を備えた
建築物使用者分類装置。
【請求項2】
前記気象情報取得部は、前記建築物が設けられている場所の気温に関する情報を取得する
ことを特徴とする請求項1記載の建築物使用者分類装置。
【請求項3】
前記ガス使用量取得部は、前記建築物の単位期間におけるガス使用量を取得し、
前記気象情報取得部は、前記建築物が設けられている場所の単位期間における気温を取得し、
前記分類部は、前記気象情報取得部が取得した単位期間における気温を説明変数とし、前記ガス使用量取得部が取得した当該単位期間におけるガス使用量である単位ガス使用量を目的変数とし、複数の単位期間において取得された気温及び単位ガス使用量の単回帰分析によって算出される回帰式の傾きに基づいて、前記建築物の使用者を分類する
ことを特徴とする請求項2記載の建築物使用者分類装置。
【請求項4】
前記分類部は、前記単回帰分析を行う分析期間における平均気温である総平均気温と、前記分析期間における複数の単位ガス使用量の平均値である総平均ガス使用量と、前記回帰式の傾きと、に基づいて、前記建築物の使用者を分類する
ことを特徴とする請求項3記載の建築物使用者分類装置。
【請求項5】
前記分類部は、前記総平均気温と前記回帰式の傾きとの積を前記総平均ガス使用量で除して得られた特性値に基づいて、前記建築物の使用者を分類する
ことを特徴とする請求項4記載の建築物使用者分類装置。
【請求項6】
前記分類部は、前記特性値が所定範囲内かつ前記回帰式の傾きが所定範囲内である複数の建築物の複数のガス使用量を比較し、比較結果に基づいて前記複数の建築物の各使用者を分類する
ことを特徴とする請求項5記載の建築物使用者分類装置。
【請求項7】
前記分類部による前記建築物の使用者の分類結果に応じて、前記建築物の使用者の消費行動に関する複数の情報からいずれかの情報を選択する選択部と、
前記選択部が選択した情報を出力する出力部と、を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の建築物使用者分類装置。
【請求項8】
前記分類部による前記建築物の使用者の分類結果に応じて、前記建築物の使用者の消費行動に関する複数の情報に優先度を設定する優先度設定部と、
前記複数の情報を、前記優先度設定部が設定した優先度が判別可能となるように出力する出力部と、を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の建築物使用者分類装置。
【請求項9】
情報が入力される入力部を備え、
前記優先度設定部は、前記入力部に入力された情報に基づいて、前記優先度設定部が優先度を設定した情報の優先度を変更する
ことを特徴とする請求項8記載の建築物使用者分類装置。
【請求項10】
ガス使用量取得部と、気象情報取得部と、分類部と、を備えた装置が行う建築物使用者分類方法であって、
前記ガス使用量取得部が、建築物のガス使用量に関する情報を取得するステップと、
前記気象情報取得部が、前記建築物が設けられている場所の気象に関する情報を取得するステップと、
前記分類部が、前記ガス使用量取得部が取得したガス使用量に関する情報及び前記気象情報取得部が取得した気象に関する情報に基づいて、前記建築物の使用者を分類するステップと、を備えた
建築物使用者分類方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物使用者分類装置及び建築物使用者分類方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、世帯のエネルギー消費量と世帯人員数とには相関があることが知られている(例えば、非特許文献1、p31、p41参照)。近年、ガススマートメータの普及により、ガス使用量に関する情報の集約及び管理が従来よりも行いやすくなっており、ガス使用量に関する情報の新たな利用が期待されている。例えば、特定の世帯のガス使用量に関する情報と非特許文献1のデータとに基づいて、当該世帯の世帯人員数を間接的に推定することで、例えば、世帯人員が大きい需要家であるか否かを分類することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社三菱総合研究所、環境・エネルギー研究本部、“平成24年度エネルギー消費状況調査(民生部門エネルギー消費実態調査)”、2013年3月、p31、p41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した方法では、ガス使用量に関する情報によって可能となるのは世帯人員数の推定による分類のみであり、情報の利用目的が限られていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであり、ガス使用量に関する情報に基づいて建築物の使用者の分類を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建築物使用者分類装置は、建築物のガス使用量に関する情報を取得するガス使用量取得部と、建築物が設けられている場所の気象に関する情報を取得する気象情報取得部と、ガス使用量取得部が取得したガス使用量に関する情報及び気象情報取得部が取得した気象に関する情報に基づいて、建築物の使用者を分類する分類部と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記ガス使用量取得部が取得したガス使用量に関する情報及び気象情報取得部が取得した気象に関する情報に基づいて建築物の使用者を分類することで、ガス使用量のみによって分類する場合と比較して、建築物の使用者をより詳細に分類することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る営業支援システムの構成の一部を示す構成図である。
図2】実施の形態1に係る住居の構成の一部を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る需要家分類装置の構成の一部を示すブロック図である。
図4】実施の形態1に係る営業管理装置の構成の一部を示すブロック図である。
図5】実施の形態1に係る需要家分類装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
図6】実施の形態1に係る需要家分類装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
図7】実施の形態1に係る需要家分類装置が行う需要家分類処理を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1において回帰式の傾きを横軸に総平均ガス使用量を縦軸にした場合の需要家の分布を示す分布図である。
図9】実施の形態1に係る需要家を分類する条件を示す表である。
図10】実施の形態1に係る需要家の分類結果を示す表である。
図11】実施の形態1に係る需要家の分類結果を需要家調査情報に基づいて更新した状態を示す表である。
図12】実施の形態1に係る営業情報記憶部が記憶している営業情報の一覧である。
図13】実施の形態1に係る需要家の分類結果を優先度変更情報に基づいて更新した状態を示す表である。
図14】実施の形態1に係る営業管理装置の表示部に表示された内容を示す図である。
図15】実施の形態1に係る営業管理装置の表示部に表示された内容を示す図である。
図16】実施の形態1に係る営業管理装置の表示部に表示された内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
先ず、図1を参照して、実施の形態1に係る営業支援システム100の構成について説明する。図1は、営業支援システム100の構成の一部を示す構成図である。実施の形態1に係る営業支援システム100は、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、LNG(Liquefied Natural Gas)等のガス燃料の需要家を特性に応じて分類し、需要家に対する営業活動を支援するためのシステムである。なお、実施の形態1において需要家とは、ガス燃料を供給するガス事業者とガス燃料の小売供給契約を締結している自然人を意味する。
【0010】
営業支援システム100は、気象に関する統計情報を記憶するデータベースDBと、複数の需要家がそれぞれ使用する複数の住居300と、需要家を管理する需要家分類装置200と、営業管理装置400と、を備えており、これらデータベースDB、複数の住居300、需要家分類装置200及び営業管理装置400は、ネットワークNによって互いに接続されている。なお、実施の形態1において、需要家分類装置200は、建築物使用者分類装置を構成する。
【0011】
データベースDBは、例えば、行政機関、NGO、民間企業等の団体によって測定または情報の収集が行われた、気象に関する統計情報を蓄積して記憶する。データベースDBは、例えば、対象となる需要家が使用する住居300が設けられている場所の、気温、降雨量、積雪量、日照時間等、気象に関する統計情報を測定日時がわかるように取得して、取得した情報を外部に提供する。
【0012】
次に、図2を参照して、実施の形態1に係る住居300の構成について説明する。図2は、住居300の構成の一部を示すブロック図である。
住居300は、ガス供給部301と、ガス使用量測定装置302と、ガス燃料を消費する不図示のガス設備と、を有している。
【0013】
ガス供給部301は、例えば、ガス燃料を収容するガス容器、ガス容器からガス燃料を取り出す高圧ホース、及びガス容器内のガスを所定の圧力に減圧させる圧力調節器等によって構成されており、住居300に設けられた暖房設備、給湯設備、ガス調理機等のガス設備にガス燃料を供給する。
【0014】
ガス使用量測定装置302は、流量測定部302aと、計時部302cと、記憶部302bと、出力部302dと、を有している。流量測定部302aは、ガス供給部301からガス設備へ供給されたガス燃料の流量を測定する。計時部302cは、流量測定部302aによって測定されたガス燃料の流量の、測定日時を計時する。記憶部302bは、流量測定部302aによって測定されたガス燃料の流量の測定結果及び測定日時に関する情報を記憶する。
【0015】
出力部302dは、ガス供給部301からガス設備へ供給されたガス燃料の流量に関する情報をネットワークNを介して出力する。例えば、出力部302dは、記憶部302bに記憶されている情報を参照し、流量測定部302aによるガス燃料の流量の測定結果及び測定日時に関する情報を、ネットワークNを介して出力する。また、例えば、出力部302dは、所定の単位期間におけるガス使用量の合計を、当該単位期間毎にネットワークNを介して出力する。単位期間は、例えば、1日、1週間または1月等、である。
【0016】
このように構成されて、ガス使用量測定装置302は、ガス供給部301によって住居300のガス設備に供給されたガス燃料の量、即ち住居300のガス使用量に関する情報を取得して、取得した情報をネットワークを介して出力する。
【0017】
次に、図3を参照して、実施の形態1に係る需要家分類装置200の構成について説明する。図3は、需要家分類装置200の構成の一部を示すブロック図である。
需要家分類装置200は、入力部201と、出力部202と、ガス使用量取得部204と、気象情報取得部205と、分類部206と、記憶部203と、を有している。
【0018】
入力部201は、ネットワークN、及びキーボードまたはマウス等の入力デバイスに接続されて、各種情報が入力される。出力部202は、ネットワークN、及び液晶ディスプレイ等の出力デバイスに接続されて、各種情報を出力する。ガス使用量取得部204は、入力部201及びネットワークNを介して各住居300のガス使用量測定装置302からガス使用量に関する情報を取得する。例えば、ガス使用量取得部204は、各住居300の単位期間における合計のガス使用量を、単位期間よりも十分に大きい所定の調査期間(分析期間)において複数回取得する。具体的には、ガス使用量取得部204は、調査期間である10箇月の開始日から終了日までの、各住居300の1週間毎のガス使用量を取得する。
【0019】
気象情報取得部205は、ガス使用量取得部204がガス使用量に関する情報を取得した住居300が設けられている場所の気象に関する統計情報を、入力部201及びネットワークNを介して、データベースDBから取得する。例えば、気象情報取得部205は、ガス使用量取得部204がガス使用量に関する情報を取得した住居300が設けられている地域の代表点における気温に関する統計情報を取得する。具体的には、気象情報取得部205は、ガス使用量取得部204が所定の住居300の単位期間におけるガス使用量を所定の調査期間において複数回取得した場合、当該住居300が設けられている行政区の代表点において、当該調査期間にガス使用量取得部204がガス使用量を取得した単位期間と同じ単位期間の平均気温を取得する。なお、ガス使用量及び気象に関する統計情報を取得する単位期間は、前後の単位期間と隣接していることが望ましい。このように複数の単位期間が設けられた場合、全ての単位期間の合計の長さは、調査期間の長さに等しくなる。
【0020】
分類部206は、ガス使用量取得部204が取得した各住居300のガス使用量に関する情報と、気象情報取得部205が取得したこれら住居300が設けられている場所の気象に関する統計情報と、に基づいて、各住居300を使用する各需要家を分類する。分類部206の詳細については、後述する。
【0021】
記憶部203は、入力部201から入力された情報、需要家分類装置200の各部が算出した情報、その他の情報を記憶する。記憶部203は、需要家情報記憶部203aと、気象情報記憶部203bと、営業情報記憶部203cと、を有している。需要家情報記憶部203aは、入力部201から入力された各需要家に関する情報を記憶する。例えば、需要家情報記憶部203aは、ガス使用量取得部204が取得した各住居300のガス使用量に関する情報、各住居300が設けられている場所を特定するための情報、各需要家を識別するための情報、各需要家の特性等を、住居300及び当該住居300を使用している需要家と対応付けて記憶する。需要家の特性は、例えば、需要家の同居家族の構成、需要家が使用している住居300の特性、需要家が使用している住居300の設備等である。
【0022】
気象情報記憶部203bは、気象情報取得部205が取得した各住居300が設けられている場所の気象に関する統計情報を記憶する。例えば、気象情報記憶部203bは、気象情報取得部205が取得した各住居300が設けられている地域の気温に関する情報を記憶する。営業情報記憶部203cは、複数の営業情報を記憶する。営業情報は、需要家の消費行動に関する情報である。例えば、営業情報には、需要家への購入を促す商品に関する情報、需要家が使用している住居300または住居300が備える設備の改変提案に関する情報、需要家がガス事業者と締結するガス燃料の小売供給契約に関する情報等が含まれる。
【0023】
次に、実施の形態1に係る営業管理装置400の構成について、図4を用いて説明する。図4は、営業管理装置400の構成の一部を示すブロック図である。
営業管理装置400は、入力部401と、出力部402と、記憶部403と、表示部404と、表示制御部405と、を有し、例えば、需要家に対して営業活動を行う営業員によって操作される。入力部401は、ネットワークN、及びキーボードやマウス等の入力デバイスに接続されて、営業情報を含む各種情報が入力される。例えば、入力部401は、ネットワークNを介して需要家分類装置200から営業情報が入力される。
【0024】
出力部402は、ネットワークNに接続されて、各種情報を出力する。例えば、出力部202は、入力デバイス等によって入力部401から入力された情報に応じた情報を、ネットワークNを介して需要家分類装置200に出力する。記憶部403は、入力部401から入力された情報、その他の情報を記憶する。表示部404は、入力部401から入力された情報、及び記憶部403に記憶されている情報に応じた画像を表示する。例えば、表示部404は、液晶ディスプレイによって構成されている。表示制御部405は、表示部404に表示される情報を制御する。例えば、表示制御部405は、入力部401から入力された情報、及び記憶部403に記憶されている情報に応じた画像を表示部404が表示するように、表示部404に表示される画像を制御する。
【0025】
このように構成されて、例えば、営業管理装置400は、入力部401に入力された営業情報を表示部404に表示させることで、表示部404に表示された営業情報に基づく需要家に対する営業活動を可能としている。営業管理装置400の詳細は、後述する。
【0026】
次に、図5及び図6を参照して、需要家分類装置200、ガス使用量測定装置302及び営業管理装置400のハードウェア構成について説明する。図5及び図6は、需要家分類装置200、ガス使用量測定装置302及び営業管理装置400のハードウェア構成の一部の一例を示す図である。
例えば、図5に示すように、需要家分類装置200は、専用のハードウェアである処理回路を有している。処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせによって構成される。また、例えば、図6に示すように、需要家分類装置200は、メモリとプロセッサとを有し、メモリに格納されるプログラムをプロセッサが読み出して実行するように構成される。このように、需要家分類装置200の各機能は、専用のハードウェアである処理回路またはプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0027】
同様に、ガス使用量測定装置302及び営業管理装置400は、専用のハードウェアである処理回路またはプロセッサを有しており、ガス使用量測定装置302及び営業管理装置400の各機能は、専用のハードウェアである処理回路またはプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0028】
次に、図1図3図7乃至図13を参照して、需要家分類装置200が行う需要家分類処理について説明する。図7は、実施の形態1に係る需要家分類装置200が行う需要家分類処理を示すフローチャートである。需要家分類処理は、需要家の特性を分析し、営業管理装置400を用いた需要家に対する営業活動を支援するための処理である。
まず、需要家分類装置200は、需要家分類処理を開始すると、調査対象である需要家について、異なる複数の単位期間におけるガス使用量に関する情報としての単位ガス使用量、及び気象に関する統計情報としての当該単位期間における当該需要家の住居300が設けられている場所の気温に関する情報を、ガス使用量取得部204及び気象情報取得部205によって取得したか否かを判定する(ステップST1)。
【0029】
単位ガス使用量は、調査対象である需要家の住居300での、調査期間における単位期間のガス使用量である。例えば、調査期間の開始日から単位期間毎に区切った期間を単位期間p1,p2,・・・pnとすると、需要家分類装置200は、それぞれの単位期間p1,p2,・・・pnにおける需要家の住居300のガス使用量である、複数の単位ガス使用量u1,u2,・・・unを取得する。また、この処理において、需要家分類装置200は、気温に関する情報として、例えば、調査期間の開始日から終了日までの、当該需要家の住居300が設けられている地域の日別の平均気温を取得する。ステップST1の処理において、異なる複数の単位期間における単位ガス使用量及び気温に関する情報を入手しなかった場合(ステップST1のNO)、需要家分類装置200は、以降の処理を待機する。
【0030】
ステップST1の処理において、異なる複数の単位期間における単位ガス使用量及び気温に関する情報を入手した場合(ステップST1のYES)、需要家分類装置200は、取得した気温に関する情報に基づき、分類部206によって単位気温を算出する(ステップST2)。単位気温は、当該需要家の住居300が設けられている場所の単位期間における気温であり、取得した単位ガス使用量の単位期間に対応する単位期間の気温である。例えば、需要家分類装置200は、単位ガス使用量を取得したそれぞれの単位期間p1,p2,・・・pnにおける需要家の住居300が設けられている場所の平均気温である単位気温t1,t2,・・・tnを取得する。
【0031】
ステップST2の処理を行うと、需要家分類装置200は、分類部206によって、単位気温t1,t2,・・・tnを説明変数とし、単位ガス使用量を目的変数として、複数の単位期間p1,p2,・・・pnにおいて取得された単位気温及び単位ガス使用量の単回帰分析を行う(ステップST3)。この処理において、需要家分類装置200は、単位気温及び単位ガス使用量の単回帰分析の結果である、ガス消費量をu、気温をtとする以下の回帰式を得る。
[数1] u=m*t+k
【0032】
なお、単回帰分析の信頼性を確保するためには十分な数の単位気温及び単位ガス使用量が必要であるため、調査期間は、単位期間よりも十分に大きい期間であることが望ましい。しかしながら、調査期間が長すぎると、調査対象である需要家の特性が変化する可能性がある。このため、調査期間は、半年以上3年以内であることが望ましい。また、調査期間は、四季がある地域においては概ね3季節以上の期間、例えば、9箇月以上の期間であることが望ましい。より望ましくは、調査期間は、夏と冬がある地域においては夏と冬を含む9箇月以上1年以内である。
【0033】
ステップST3の処理を行うと、需要家分類装置200は、分類部206によって、調査期間における総平均ガス使用量、総平均気温を算出する(ステップST4)。総平均ガス使用量は、調査期間における単位ガス使用量の平均値である。総平均ガス使用量Uは、単位期間p1,p2,・・・pnにおいて取得した単位ガス使用量u1,u2,・・・unとサンプル数nとによって、以下のように表される。
[数2] U=(u1+u2+・・・+un)/n
【0034】
総平均気温は、調査期間における単位気温の平均値である。総平均気温Tは、上記複数の単位期間p1,p2,・・・pnにおいて算出された単位気温t1,t2,・・・tnとサンプル数nとによって、以下のように表される。
[数3] T=(t1+t2+・・・tn)/n
なお、総平均気温は、気象情報取得部205がデータベースDBから直接取得してもよいし、気象情報取得部205がデータベースDBから取得した調査期間における各日の気温と調査期間の日数とに基づいて分類部206が算出してもよい。また、単位気温が単位期間における平均気温である場合、かつ全ての単位期間の合計の長さが調査期間の長さに等しい場合、総平均気温は、調査期間における平均気温となる。
【0035】
ステップST4の処理を行うと、需要家分類装置200は、分類部206によって、調査期間における総平均ガス使用量と、総平均気温と、回帰式の傾きと、に基づき、調査対象である需要家の需要家特性値(特性値)を算出する(ステップST5)。需要家特性値は、調査対象である需要家の住居300が設けられている場所の気温の変化率に対する当該住居300のガス消費量変化率の比であり、言い換えると、需要家特性値は、当該需要家のガス消費量に対する気温弾力性である。需要家特性値εは、調査期間における総平均ガス使用量Uと、総平均気温Tと、回帰式の傾きmと、によって、以下のように表される。
[数4] ε=(dU/U)/(dT/T)=(T/U)*(dU/dT)=(T/U)m
なお、dT/Tは、気温の変化率であり、dU/Uは、ガス消費量の変化率である。
【0036】
例えば、需要家特性値εが、ε<0である需要家は、気温が低下するとガス消費量が増加する傾向があり、0<εである需要家は、気温が低下するとガス消費量が減少する傾向がある。また、例えば、需要家特性値εが、|ε|<1である需要家は、ガス消費量の気温弾力性が低く、需要家特性値εが、1<|ε|である需要家は、ガス消費量の気温弾力性が高い。言い換えると、需要家特性値εが、|ε|<1である需要家は、気温に対してガス消費量が非弾力的であり、1<|ε|である需要家は、気温に対してガス消費量が弾力的である。
【0037】
ステップST5の処理を行うと、需要家分類装置200は、分類部206によって、調査対象である需要家を、需要家特性値と、総平均ガス使用量と、回帰式の傾きと、に基づいて分類する(ステップST6)。
図8は、調査対象である需要家の需要家特性値、総平均ガス使用量、及び回帰式の傾きを視覚的な分析を可能にするため、統計上の総平均気温Tが同じである地域内において、回帰式の傾きを横軸に、総平均ガス使用量を縦軸にした場合の需要家の分布を示す分布図である。L1は、需要家特性値εがε=-1となる直線を示し、L0は、需要家特性値εがε=0となる直線を示し、L2は、需要家特性値εがε=1となる直線を示す。
【0038】
このため、L1よりも下方(左方)の領域である領域Aに位置する需要家は、需要家特性値εがε<-1となる需要家であり、L1とL0との間の領域である領域Bに位置する需要家は、需要家特性値εが0<ε<-1となる需要家であり、L0とL2との間の領域である領域Cに位置する需要家は、需要家特性値εが0<ε<1となる需要家であり、L2よりも下方(右方)の領域である領域Dに位置する需要家は、需要家特性値εが1<εとなる需要家である。例えば、ステップST6の処理において、需要家分類装置200は、分類部206によって、需要家特性値εが、ε<-1、ε=-1、-1<ε<0、ε=0、0<ε<1、1=ε、1<εのいずれであるか、総平均ガス使用量が相対的に高いか低いか、回帰式の傾きの絶対値が相対的に大きいか小さいかに基づいて、需要家を分類する。なお、総平均ガス使用量及び回帰式の傾きの絶対値が相対的に大きいか小さいかの判断は、領域A~領域Dの各領域における総平均ガス使用量及び回帰式の傾きの絶対値の平均値を基準に行ってもよいし、中央値を基準に行ってもよいし、他の基準に基づいて行ってもよい。
【0039】
図9は、需要家特性値と、総平均ガス使用量と、回帰式の傾きと、に基づいて需要家を分類する条件を示す表である。記憶部203の営業情報記憶部203cには、予め需要家の消費行動に関する複数の情報として、図9に示す項目a~fの内容が記憶されている。需要家分類装置200は、図9に示す条件に従い、需要家特性値と、総平均ガス使用量と、回帰式の傾きと、に基づいて需要家の特性を推定し、需要家を、大人数と同居している需要家であるか否か、高齢者と同居している需要家であるか否か、子供と同居している需要家であるか否か、断熱性の低い住居300を使用している需要家であるか否か、非ガス暖房設備を備えている住居300を使用している需要家であるか否か、ガスコージェネレーションシステムを備えた住居300を使用している需要家であるか否か、を分類する。
【0040】
例えば、領域A~領域Gの各領域において、総平均ガス使用量が大きい需要家は、総平均ガス使用量が小さい需要家よりも、住居300に同居している人数が多い可能性が高く、項目aに該当する大人数同居世帯の需要家に分類される。また、例えば、高齢者は、非高齢者よりも気温が低下した際のガス消費量が大きくなる傾向があることが経験によって明らかになっている。このため、例えば、需要家特性値εがε<-1、かつ総平均ガス使用量が大きい需要家は、高齢者と同居している需要家であるか、または需要家本人が高齢者である可能性が高く、項目bに該当する高齢者同居世帯の需要家に分類される。
【0041】
同様の理由から、総平均ガス使用量が大きいにもかかわらず需要家特性値εが-1<ε<0である需要家は、相対的に若い年代の世帯の需要家である可能性が高く、項目cに該当する子供同居世帯の需要家に分類される。また、例えば、需要家特性値εがε<-1、かつ回帰式の傾きの絶対値が大きい需要家は、断熱性の低い住居300を使用している需要家である可能性が高く、項目dに該当する低断熱性住居を使用する需要家に分類される。
【0042】
また、例えば、需要家特性値εが-1<ε<0かつ総平均ガス使用量が小さい需要家は、非ガス暖房設備を備えた住居300を使用している需要家である可能性が高く、項目eに該当する非ガス暖房設備使用住居を使用する需要家に分類される。また、例えば、需要家特性値εが0≦εである需要家、及び需要家特性値εが-1<ε<0かつ総平均ガス使用量が大きくかつ回帰式の傾きの絶対値が小さい需要家は、ガス燃料を暖房、給湯、調理以外に使用している可能性が高いため、ガスコージェネレーションシステムを備えた住居300を使用している需要家である可能性が高く、項目fに該当するガスコージェネレーションシステム住居を使用する需要家に分類される。
【0043】
図10は、図9に示す条件にしたがって需要家を分類した結果を一覧にまとめた分類結果を示す表である。
ステップST6の処理において、需要家分類装置200は、各需要家の分類結果を各需要家を識別するための情報である需要家IDに対応付けて、需要家情報記憶部203aに記憶させる。例えば、需要家分類装置200は、需要家の分類を行った際に、図9に示す項目a~fのうち該当する項目の値をA、該当しない項目の値をBとして、分類結果を需要家情報記憶部203aに記憶させる。例えば、需要家ID000001である需要家は、大人数世帯、高齢者同居世帯、低断熱性住居を使用している可能性が高く、子供同居世帯、非ガス暖房設備を備えた住居及びガスコージェネレーションシステム住居を使用している可能性が低い需要家として分類されている。
【0044】
ステップST6の処理を行うと、需要家分類装置200は、需要家情報記憶部203aに需要家調査情報が記憶されているか否かを判定する(ステップST7)。需要家調査情報は、需要家に対するアンケート調査、需要家が使用している住居300の目視調査等、需要家の特性を示す確定情報であり、各需要家を対象として予め行われた調査に基づいて入力部201から入力されて、需要家情報記憶部203aに記憶されている。
【0045】
ステップST6で行った需要家の分類は、ガス使用量及び気温に関する情報に基づいた需要家の特性の推定による分類であるため、確定情報である需要家調査情報がある場合には、推定による分類結果を更新することが望ましい。ステップST7の処理において、需要家分類装置200は、需要家情報記憶部203aに記憶されている情報を参照し、調査対象である需要家の有効な需要家調査情報が記憶されているか否かを判定している。ステップST7の処理において、需要家情報記憶部203aに有効な需要家調査情報が記憶されている場合(ステップST7のYES)、需要家分類装置200は、分類部206により、需要家調査情報に基づいて分類結果を更新する(ステップST8)。
【0046】
図11は、需要家分類装置200が、分類結果を需要家調査情報に基づいて更新した状態を示す表である。
例えば、ステップST8の処理において、需要家分類装置200は、需要家調査情報に基づいて、項目a~fのうち、該当することが確定した項目の値をA+に、該当しないことが確定した項目の値をCに更新する。例えば、ステップST8の処理において、需要家調査情報が、需要家IDが000001である需要家が大人数同居世帯であるとする確定情報であった場合、項目aの値をA+に更新する。なお、ステップST8の処理において、需要家分類装置200は、特定の項目について値を更新する需要家調査情報を有していない場合、当該項目の値を保持する。
【0047】
このように分類結果を更新することにより、取得した需要家調査情報が一部の項目、または一部の需要家についての情報であった場合でも、推定による分類結果と確定情報である分類結果とを識別することが可能になる。また、ステップST6及びステップST8での需要家の分類結果は、需要家の分類結果の確実度を示している。具体的には、図10においては、項目a~fの値が、B<Aの順で確実度が高いことを表しており、図11においては、項目a~fの値が、C<B<A<A+の順で確実度が高いことを表している。
【0048】
図12は、営業情報記憶部203cが記憶している営業情報の一覧である。
営業情報記憶部203cは、予め項目a~fの各項目に対応させて営業情報を記憶しており、需要家の分類結果の確実度は、これら営業情報を用いて需要家に対する営業活動を行う際の優先度となる。例えば、需要家に対して需要家の特性に応じた営業活動を行う際には、情報の確実度が高い特性に応じた営業情報を用いて営業活動を行うことが効果的である。例えば、需要家の分類結果がBである項目に応じた営業情報を用いて営業活動を行うよりも、Aである項目に応じた営業情報を用いて営業活動を行う方が優先度が高い。
【0049】
図12に示すように、営業情報記憶部203cは、需要家の分類結果に基づいて、需要家毎に営業情報と営業情報の優先度とを対応付けて記憶する。例えば、営業情報記憶部203cは、需要家を分類した項目に対応する営業情報である大項目の営業情報と、大項目の営業情報を細分化した小項目の営業情報と、需要家IDと、営業情報の優先度と、を対応付けて記憶している。
【0050】
ステップST8の処理を行った場合、及びステップST7の処理において需要家調査情報を取得しなかった場合(ステップST7のNO)、需要家分類装置200は、需要家情報記憶部203aまたは営業情報記憶部203cに優先度変更情報が記憶されているか否かを判定する(ステップST9)。需要家に対する営業活動を支援するにあたり、ステップST6及びステップST8での需要家の分類結果に基づく優先度以上に重視すべき項目や、逆に重視すべきでない項目がある場合がある。
【0051】
例えば、高齢者向けの物販に強い企業に対して営業活動の支援を行う場合、需要家が項目bに該当し、高齢者同居世帯の需要家に分類されていることは、該当していると分類された他の項目よりも重要度が高い場合がある。また、例えば、ステップST6及びステップST8での需要家の分類結果では、需要家が項目cに該当せず、子供同居世帯の需要家に分類されていない場合であっても、アンケート調査等によって子供向けの物販に関する情報に関心が高い需要家であることが分かっている場合、子供同居世帯の需要家と同じように扱うことが営業活動を支援する上で望ましい場合がある。優先度変更情報は、例えば、上述したような個別の事情を勘案して、分類結果の項目毎に優先度を変更するための情報である。
【0052】
例えば、優先度変更情報は、各需要家を対象として予め行われた調査や、営業活動を支援する対象である顧客からの情報に基づいて入力部201から入力されて、需要家情報記憶部203aまたは営業情報記憶部203cに記憶されている。ステップST9の処理において、需要家分類装置200は、需要家情報記憶部203a及び営業情報記憶部203cに記憶されている情報を参照し、分類結果の項目の優先度を変更する優先度変更情報が需要家情報記憶部203aまたは営業情報記憶部203cに記憶されているか否かを判定している。ステップST9の処理において、需要家情報記憶部203aまたは営業情報記憶部203cに優先度変更情報が記憶されている場合(ステップST9のYES)、需要家分類装置200は、分類部206により、優先度変更情報に基づいて分類結果を更新する(ステップST10)。
【0053】
図13は、需要家分類装置200が、ステップST6及びステップST8での需要家の分類結果を優先度変更情報に基づいて更新した状態を示す表である。図13においては、項目a~fの値が、C-<C<B<B+<A<A+<A++の順で優先度が高いことを表している。例えば、ステップST10において、値がAである項目の優先度を高くする優先度変更情報がある場合、需要家分類装置200は、分類部206により、当該項目の値をA+またはA++に更新する。また、例えば、ステップST10において、値がCである項目の優先度を低くする優先度変更情報がある場合、需要家分類装置200は、分類部206により、当該項目の値をC-に更新する。
【0054】
このように、分類部206は、ステップST6、ステップST8、ステップST10のそれぞれの処理において、需要家の分類結果に応じて、需要家の消費行動に関する複数の情報である項目a~fに優先度を設定している。なお、実施の形態1において、分類部206は、需要家の分類結果に応じて、需要家の消費行動に関する複数の情報に優先度を設定する優先度設定部を構成する。ステップST10の処理を行うと、需要家分類装置200は、需要家分類処理を終了する。
【0055】
次に、図1図3図14乃至図16を参照して、営業支援システム100において、営業管理装置400を用いる営業員の需要家に対する営業活動を支援する処理について説明をする。
営業管理装置400から需要家分類装置200へ営業支援情報を要求する支援情報要求信号が出力されると、需要家分類装置200は、営業管理装置400に対し、営業支援情報を出力する。例えば、営業管理装置400から需要家分類装置200へ特定の需要家IDを含む支援情報要求信号が出力されると、需要家分類装置200は、営業管理装置400に対し、支援情報要求信号に含まれる需要家IDに応じた営業支援情報を出力する。また、例えば、営業支援情報は、需要家IDと、営業情報記憶部203cに記憶されている営業情報と、営業情報の優先度を示す情報と、を含む。
【0056】
なお、営業支援情報は、営業情報記憶部203cに記憶されている営業情報のうち、一部を抜粋したものであってもよい。例えば、需要家分類装置200は、営業管理装置400からの支援情報要求信号に基づいて、営業情報記憶部203cに記憶されている複数の営業情報のうち一部または全部を分類部206によって選択し、選択された営業情報を出力部202によって出力する。また、例えば、需要家分類装置200は、営業管理装置400からの支援情報要求信号に基づいて、営業情報記憶部203cに記憶されている複数の営業情報のうち一部または全部を、それぞれの優先度に基づいて選択し、選択された営業情報を出力部202によって出力する。なお、支援情報要求信号は、需要家分類装置200が営業管理装置400に出力する営業情報を選択または選別するための情報を含んでいてもよい。例えば、支援情報要求信号は、需要家分類装置200が出力する営業情報の優先度の閾値、営業情報の更新日に関する情報または営業情報の種類に関する情報を含んでいてもよい。営業の種類に関する情報は、例えば、物販に関する情報か否か、営業管理装置400を使用する営業員または企業等の業務内容に応じた情報等である。
【0057】
具体的には、需要家分類装置200は、営業管理装置400からの営業支援情報を要求する信号に基づいて、営業情報記憶部203cに記憶されている複数の営業情報のうち優先度の高い営業情報を選択し、出力部202によって出力する。例えば、需要家分類装置200は、需要家の分類結果に応じた項目の値がB以上の優先度である項目に対応する営業情報を選択して出力する。なお、実施の形態1において、分類部206は、需要家の分類結果に応じて、需要家の消費行動に関する複数の情報からいずれかの情報を選択する選択部を構成する。営業管理装置400は、需要家分類装置200から情報が入力されると、入力された情報に応じた内容を表示部404に表示させる。
【0058】
図14乃至図16は、需要家分類装置200から入力された情報に応じて、営業管理装置400の表示部404に表示された内容を示す図である。表示部404は、需要家ID表示部404aと、営業情報表示部404bと、優先度表示部404cと、スクロールバー404dと、ポインタ404eと、を有している。
【0059】
需要家ID表示部404aは、需要家IDを表示する。営業情報表示部404bは、表示されている需要家IDの需要家に対して営業活動を行うための営業情報を表示する。優先度表示部404cは、表示されている営業情報の優先度を示す情報を表示する。スクロールバー40dは、操作されることによって営業情報表示部404bに収まりきらない営業情報を表示させる。ポインタ404eは、表示部404に表示されている内容のうち、選択されている部分を示す画像である。
【0060】
例えば、営業管理装置400は、需要家分類装置200から情報が入力されると、図14に示す内容を表示部404に表示させる。例えば、図14に示す内容が表示部404に表示されている状態で、最も優先度が高い「おすすめ順位」の1に対応する営業情報である「住居リフォーム(高断熱化)のご提案」に関する営業活動が需要家に対して実施された場合、営業員は、「住居リフォーム(高断熱化)のご提案」をポインタ404eによって選択し、削除操作を行う。
【0061】
図15は、営業員の操作によって、図14に示す「住居リフォーム(高断熱化)のご提案」に対応する営業情報が営業情報表示部404bの表示内容から削除された状態である。
営業管理装置400は、ポインタ404eによっていずれかの営業情報が選択されて削除操作が行われると、当該営業情報を表示部404の表示内容から削除し、例えば、削除された営業情報よりも優先度が低い営業情報の優先度を1ずつ高く変更して表示部404に表示させる。例えば、営業活動を既に行ったことにより表示させる必要がなくなった営業情報が表示部404の表示内容から削除されることで、営業情報が見やすくなり、営業管理装置400を操作する営業員等の営業活動の支援を行いやすくすることができる。
【0062】
営業管理装置400は、営業員等によって営業情報の削除操作が行われると、当該営業情報の削除操作が行われたことを示す信号を、出力部402(図4参照)からネットワークNを介して需要家分類装置200へ出力する。需要家分類装置200は、営業管理装置400からいずれかの営業情報の削除操作が行われたことを示す信号が入力部201に入力されると、需要家情報記憶部203aに記憶されている入力された信号に対応する需要家の営業情報の優先度を最低の優先度となるように変更する。これにより、例えば、営業管理装置400が、再び需要家分類装置200から営業情報を取得する際に、不要な営業情報が営業管理装置400の表示部404に表示されることを抑制し、営業管理装置400を操作する営業員等の営業活動の支援を行いやすくすることができる。
【0063】
図16は、営業管理装置400が、「高齢者向け商品のご案内」に対応する営業情報の細分化された小項目を表示部404に表示させた状態の図である。例えば、営業管理装置400は、営業員が営業情報の大項目に対応する「高齢者向け商品のご案内」をポインタ404eによって選択し、小項目表示操作を行うと、表示部404に「高齢者向け商品のご案内」に対応する小項目を表示させる。
【0064】
営業管理装置400を使用する営業員は、営業情報表示部404bに表示されている営業情報、営業情報に対応する優先度及び需要家IDに基づいて、当該需要家IDに対応する需要家に対して営業活動を行うことにより、優先度に応じた効率的な営業活動を行うことが可能になる。
【0065】
このように、実施の形態1に係る需要家分類装置200は、住居300のガス使用量に関する情報を取得するガス使用量取得部204と、住居300が設けられている場所の気象に関する統計情報を取得する気象情報取得部205と、ガス使用量取得部204が取得したガス使用量に関する情報及び気象情報取得部205が取得した気温に関する統計情報に基づいて、住居300の使用者である需要家を分類する分類部206と、を備えたので、ガス使用量に関する情報及び気温に関する情報に基づいて建築物の使用者を分類することで、ガス使用量のみで需要家を分類する場合と比較して、需要家をより詳細に分類することができる。また、気温の変化を推定材料として加えたことにより、需要家の世帯人数を推定して需要家を分類する際においても、ガス使用量のみで分類する場合と比較して、需要家をより高い精度で分類することができる。
【0066】
また、実施の形態1に係る需要家分類装置200は、気象情報取得部が、住居300が設けられている場所の気温に関する情報を取得するので、比較的入手しやすくかつガス消費量との相関の強さが需要家の特性に影響を受けやすい情報である気温に関する情報と、ガス消費量と、の関係によって需要家の特性を推定することで、需要家の特性の高精度な推定を容易に行うことができる。
【0067】
また、実施の形態1に係る需要家分類装置200は、分類部206による需要家の分類結果に応じて、需要家の消費行動に関する複数の営業情報に優先度を設定し、複数の営業情報を、設定された優先順位が判別可能となるように出力するので、需要家に対して営業活動を行う際に、営業情報の優先度に応じた効率的な営業活動を行うことが可能になり、需要家に対する営業活動を支援することができる。
【0068】
また、実施の形態1に係る営業支援システム100は、需要家分類装置200と、営業管理装置400と、を備え、需要家分類装置200は、建築物のガス使用量に関する情報を取得するガス使用量取得部204と、建築物が設けられている場所の気象に関する情報を取得する気象情報取得部205と、ガス使用量取得部204が取得したガス使用量に関する情報及び気象情報取得部205が取得した気象に関する情報に基づいて、建築物の使用者を分類する分類部206と、を有し、営業管理装置400は、分類部206による需要家の分類結果及び需要家の消費行動に関する複数の情報を表示する表示部404と、を有し、表示部404は、需要家の消費行動に関する複数の情報を、分類部206による分類結果に基づく優先度が判別可能となるように表示する。これにより、需要家に対して営業活動を行う際に、営業情報の優先度に応じた効率的な営業活動を行うことが可能になり、需要家に対する営業活動を支援することができる。
【0069】
なお、実施の形態1において、需要家分類装置200が分類する対象として、住居300を使用する需要家を例に説明したが、需要家分類装置200が分類する対象は、これに限定されない。需要家分類装置200が分類する対象は、ガス使用量に関する情報を取得可能な建築物の使用者であればよく、例えば、建築物は、商業施設でもよいし、公共施設でもよいし、医療施設でもよいし、介護施設でもよいし、工場、研究施設、プラント等の工業設備でもよい。また、建築物は、独立した建造物であるものに限らず、集合住宅の賃貸契約や分譲の単位となる1居室でもよいし、集合住宅1棟でもよいし、複数の企業が入居するオフィスビルでもよい。また、需要家分類装置200が分類する対象は、建築物の所有者、ガス燃料の小売供給契約を直接締結している者に限らず、このような契約を直接締結していない賃借人でもよいし、定住していない利用者でもよい。また、分類部206によって分類される対象である建築物の使用者は、個人に限らず、集団であってもよく、例えば、建築物の利用客等の不特定の利用者でもよいし、特定の行政区画や地域の住人の集合でもよい。
【0070】
また、実施の形態1に係る需要家分類装置200は、単位期間よりも十分に大きい所定の調査期間(分析期間)において複数回取得した単位期間における合計のガス使用量と、住居300が設けられている場所の当該単位期間における平均気温と、によって需要家を分類するが、これに限定されない。需要家分類装置は、建築物のガス使用量に関する情報と、建築物が設けられている場所の気象に関する情報と、に基づいて需要家を分類するものであればよく、例えば、需要家分類装置は、複数の単位期間におけるガス使用量と、当該複数の単位期間における最低気温や最高気温と、に基づいて需要家を分類するものでもよいし、調査期間における最低気温と、最低気温を記録した際の時間当たりのガス使用量と、に基づいて需要家を分類するものでもよいし、調査期間における総ガス使用量と、調査期間における平均気温と、に基づいて需要家を分類するものでもよい。
【0071】
また、実施の形態1に係る気象情報取得部205は、データベースDBから気温に関する統計情報を取得するが、これに限定されない。気象情報取得部は、建築物が設けられている場所の気象に関する情報を取得するものであればよく、例えば、統計情報ではなく、瞬間の気温を取得するものでもよい。また、気象情報取得部は、気温以外の気象に関する情報を取得するものでもよく、例えば、気象情報取得部は、気温、日照時間、積雪量、降雨量等のいずれかまたは複数の情報を取得し、需要家分類装置は、これらいずれかまたは複数の気象に関する情報とガス消費量に関する情報とに基づいて需要家を分類してもよい。具体的には、ガス消費量の日照時間弾力性、即ち日照時間の変化率に対するガス消費量の変化率が高く、かつ日照時間の減少に伴いガス消費量が増大する傾向がある需要家は、ガス暖房機、電気暖房機及び太陽光発電システムを全て備える住居を使用する需要家として分類してもよい。また、具体的には、高齢者に積雪量が上昇すると外出頻度が低下する傾向がある場合、ガス消費量の気温弾力性及びガス消費量の積雪量弾力性、即ち積雪量の変化率に対するガス消費量の変化率が高く、気温の低下及び積雪量の上昇に伴いガス消費量が増大する需要家は、高齢者同居世帯の需要家として分類してもよい。
【0072】
また、気象情報取得部は、複数の需要家の住居が設けられている地域の代表点における気温を取得するものに限定されない。気象情報取得部は、需要家の住居が設けられている地域の複数の代表点における気温の平均値を取得してもよいし、需要家の住居が設けられている場所の気象に関する情報を取得するものであればよく、例えば、需要家の住居に個別に設けられている温度計が測定した気温を取得してもよい。
【0073】
また、実施の形態1に係る需要家分類装置200は、住居300が設けられている場所の単位期間における気温を説明変数とし、住居300の単位期間におけるガス使用量を目的変数とする単回帰分析によって算出される回帰式の傾きmに基づいて需要家を分類するが、これに限定されない。需要家分類装置は、気温とガス使用量とによって算出される他の値に基づいて需要家を分類してもよく、例えば、住居が設けられている場所の単位期間における気温を説明変数とし、住居の単位期間におけるガス使用量を目的変数とする単回帰分析によって算出される回帰式の切片kに基づいて需要家を分類してもよい。具体的には、回帰式の切片kが大きく、かつ気温の減少に伴いガス消費量が増大する傾向がある需要家は、暖房設備以外でのガス使用量が大きい可能性があり、需要家分類装置は、回帰式の切片kが大きい需要家を、ガス調理器具を使用した調理頻度が高い需要家、または入浴頻度が高い需要家に分類してもよい。
【0074】
また、実施の形態1に係る需要家分類装置200は、総平均気温と回帰式の傾きとの積を総平均ガス使用量で除して得られた需要家特性値εと、総平均ガス使用量の大小と、回帰式の傾きの大小と、に基づいて需要家を分類するが、これに限定されない。需要家分類装置は、建築物のガス使用量に関する情報と、建築物が設けられている場所の気象に関する情報と、に基づいて需要家を分類するものであればよく、例えば、需要家特性値εのみによって需要家を分類してもよいし、需要家特性値εと、ガス使用量及び回帰式の傾きのいずれか一方の大小と、に基づいて需要家を分類してもよいし、ガス使用量及び回帰式の傾きは、相対的な大小いずれであるかによって分類するものに限定されず、ガス使用量及び回帰式の傾きは、大中小の三段階のいずれであるかによって需要家を分類してもよいし、4つ以上の段階のいずれであるかによって需要家を分類してもよい。
【0075】
また、需要家分類装置は、需要家特性値と、ガス使用量と、回帰式の傾きと、に基づいて、上述した以外のアルゴリズムによって需要家を分類してもよい。例えば、図8において、矩形で囲まれた領域Aaの内側に配置された需要家は、いずれも需要家特性値εがε<-1で、かつ回帰式の傾きの差が小さく、総平均ガス使用量の分散が大きい。高齢者同居世帯のガス使用量が高齢者同居世帯以外の世帯のガス使用量と比較して大きい傾向があることを考慮すれば、領域Aaの内側に配置された需要家のうち、総平均ガス使用量が大きい需要家は、高齢者同居世帯である可能性が高い。このため、需要家分類装置は、例えば、分類部が、需要家特性値が所定範囲内かつ回帰式の傾きが所定範囲内である複数の建築物の複数のガス使用量を比較し、比較結果に基づいて複数の建築物の各使用者を分類してもよい。
【0076】
また、実施の形態1に係る営業支援システム100は、需要家分類装置200と、営業管理装置400と、を備え、需要家分類装置200は、建築物のガス使用量に関する情報を取得するガス使用量取得部204と、建築物が設けられている場所の気象に関する情報を取得する気象情報取得部205と、ガス使用量取得部204が取得したガス使用量に関する情報及び気象情報取得部205が取得した気象に関する情報に基づいて、建築物の使用者を分類する分類部206と、を有し、営業管理装置400は、分類部206による需要家の分類結果及び需要家の消費行動に関する複数の情報を表示する表示部404と、を有し、表示部404は、需要家の消費行動に関する複数の情報を、分類部206による分類結果に基づく優先度が判別可能となるように表示する。
【0077】
また、実施の形態1に係る需要家分類装置200は、需要家分類処理おいて、需要家調査情報及び優先度変更情報基づいて、分類部206による分類結果を更新するように構成されているが、これに限定されない。需要家分類装置は、営業支援システムにおいて、営業員による営業活動を支援するための営業情報を出力可能であればよく、例えば、需要家特性値、総平均ガス使用量、及び回帰式傾きよって分類された需要家の分類結果をそのまま営業管理装置へ出力してもよい。
【0078】
また、実施の形態1に係る営業支援システム100は、需要家分類装置200と、需要家分類装置200とネットワークNを介して接続された営業管理装置400と、を備え、需要家分類装置200から営業管理装置400へ営業情報及び営業情報の優先度に関する情報が入力されるが、これに限定されない。例えば、営業支援システムは、需要家分類装置と営業管理装置とが1つのコンピュータによって構成されていてもよいし、需要家分類装置と営業管理装置とがそれぞれ独立した複数のコンピュータによって構成されていてもよいし、需要家分類装置の各機能と営業管理装置の各機能とが1つの処理回路またはプロセッサがプログラムを実行することによって実現されるように構成されていてもよいし、上述した需要家分類装置の機能の一部を営業管理装置が有していてもよい。具体的には、営業管理装置は、複数の営業情報を記憶しており、需要家分類装置から入力された分類結果に応じて、営業管理装置が営業情報に優先順位を設定してもよい。
【0079】
また、実施の形態1に係る分類部206は、需要家を、需要家特性値と、総平均ガス使用量と、回帰式の傾きと、に基づいて分類するように構成されているが、これに限定されない。分類部は、ガス使用量に関する情報及び気象に関する情報に基づいて、建築物の使用者を分類するように構成されていればよく、例えば、気温に関する情報と、ガス使用量又はガス使用量の気温弾力性が変化したことに基づいて、建築物の使用者を分類するように構成されていてもよい。具体的には、前年の平均気温と当年の平均気温との差が小さい場合で、かつ前年のガス消費量よりも当年のガス使用量が増加した需要家は、世帯人員数が前年よりも増加した需要家であると分類してもよいし、このような需要家の世帯人数が増加した理由を推定して、このような需要家を新たに子供が生まれた需要家、又は新たに親と同居するようになった需要家等と、特性が変化した需要家として分類してもよい。
【符号の説明】
【0080】
200 需要家分類装置(建築物使用者分類装置)
201 入力部
202 出力部
204 ガス使用量取得部
205 気象情報取得部
206 分類部(選択部、優先度設定部)
300 住居(建築物)
m 回帰式の傾き
T 総平均気温
U 総平均ガス使用量
ε 需要家特性値(特性値)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16