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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070805
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】係合部付ボルト
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/00 20060101AFI20230515BHJP
   F16B 39/32 20060101ALI20230515BHJP
   F16B 23/00 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
F16B35/00 Q
F16B39/32 A
F16B23/00 J
F16B35/00 M
F16B35/00 X
F16B35/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183151
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(71)【出願人】
【識別番号】501415682
【氏名又は名称】株式会社横井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 誠
(72)【発明者】
【氏名】硲 昌也
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 徹
(72)【発明者】
【氏名】松村 信
(72)【発明者】
【氏名】横井 洋治
(72)【発明者】
【氏名】横井 慎一
(72)【発明者】
【氏名】柳田 和輝
(57)【要約】
【課題】締結用のボルトを、緩み止めが可能で、かつ、一方の被締結部材側からのみ締結可能なものにする。
【解決手段】係合部付ボルト1に、工具で掴んで締付可能なボルト頭部2と、このボルト頭部2に連続する棒状のボルト本体3と、このボルト本体3の先端側の雄ネジ部4と、この雄ネジ部4の先端における、周方向に間隔を開けて設けた緩み止め凸部5aを有する第1係合部5と、この第1係合部5の更に先端に、工具係合用凸部6aを有する第2係合部6とを設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具で掴んで締付可能なボルト頭部と、
上記ボルト頭部に連続する棒状のボルト本体と、
上記ボルト本体の先端側の雄ネジ部と、
上記雄ネジ部の先端における、周方向に間隔を開けて設けた緩み止め凸部を有する第1係合部と、
上記第1係合部の更に先端に設けた、工具係合用凸部を有する第2係合部とを備えている
ことを特徴とする係合部付ボルト。
【請求項2】
上記緩み止め凸部の周方向ピッチが、上記第2係合部の工具係合用凸部の周方向ピッチよりも小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の係合部付ボルト。
【請求項3】
上記第1係合部の最大外径が上記第2係合部の最大外径よりも大きく、
上記第1係合部と上記第2係合部との間に段差が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の係合部付ボルト。
【請求項4】
強化繊維樹脂製の一体成形品よりなる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の係合部付ボルト。
【請求項5】
上記第1係合部の最大径が、上記雄ネジ部の最大径よりも小さく、上記第2係合部の最大径よりも大きい
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の係合部付ボルト。
【請求項6】
上記第1係合部の緩み止め凸部が、上記ボルト本体の長手方向に延び、周方向に等間隔に並ぶ突条を構成し、
上記第2係合部が、断面多角形である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の係合部付ボルト。
【請求項7】
上記第1係合部の緩み止め凸部が、外歯爪車である
ことを特徴とする請求項6に記載の係合部付ボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄ネジ部の先端に係合部を有する係合部付ボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の係合部付ボルトとして、先端に、外周面に軸方向に延びる渦巻ベーン状バネを形成した係合部を設け、この係合部に対応する雌部材を係合することで、締結されたボルト及びナットの緩み止めを行うものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、被締結材間をボルト及びナットで締結する際に、被締結部材間に仮止めされたボルト及びナットの締付を、一方の被締結部材側からのみ行うことが可能ないわゆる「ワンサイドボルト」というものが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
更に、特許文献3のような、主桁の部品点数が少なく、かつ主桁の強度を確保しやすい繊維強化樹脂製歩廊が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-197925号公報
【特許文献2】特許第2723493号公報
【特許文献3】特許第6915218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の係合部付ボルトでは、特許文献1のボルト及びナット並びに特許文献2のワンサイドボルトの両方の機能を備えたものは存在しない。また、特許文献3のような繊維強化樹脂製歩廊に適した締付が容易で緩まないワンサイドボルトが求められている。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、締結用のボルトを、緩み止めが可能で、かつ、一方の被締結部材側からのみ締結可能なものにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、第1係合部の更に先端に第2係合部を設けた。
【0009】
具体的には、第1の発明では、工具で掴んで締付可能なボルト頭部と、
上記ボルト頭部に連続する棒状のボルト本体と、
上記ボルト本体の先端側の雄ネジ部と、
上記雄ネジ部の先端における、周方向に間隔を開けて設けた緩み止め凸部を有する第1係合部と、
上記第1係合部の更に先端に設けられ締結工具が係合する工具係合用凸部を有する第2係合部とを備えている。
【0010】
上記の構成によると、第1係合部の緩み止め凸部を、緩み止めナットの緩み止め部に係合させることで、緩み止め効果を発揮する。また、先端側から工具係合用凸部に締結工具を係合して回転させることにより、雄ネジを螺進させて締結を行うことができる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記緩み止め凸部の周方向ピッチが、上記第2係合部の工具係合用凸部の周方向ピッチよりも小さい。
【0012】
上記の構成によると、緩み止め部の周方向ピッチを小さくすることで、緩み止め効果を向上させ、工具係合用凸部の周方向ピッチを大きくすることで、工具のトルクを伝達しやすくすることができる。
【0013】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記第1係合部の最大外径が上記第2係合部の最大外径よりも大きく、
上記第1係合部と上記第2係合部との間に段差が設けられている。
【0014】
上記の構成によると、両係合部の間に段差を設けることで、第2係合部に係合した工具により第1係合部に傷が付くのを防ぐことができる。
【0015】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明の係合部付ボルトは、強化繊維樹脂製の一体成形品よりなる。
【0016】
上記の構成によると、複雑な形状でも容易に比較的剛性の高いボルトを成形できる。また、強化繊維樹脂製の係合部付ボルトは、同質材料の強化樹脂製歩廊のような樹脂製構造物の締結に適する。
【0017】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
上記第1係合部の最大径が、上記雄ネジ部の最大径よりも小さく、上記第2係合部の最大径よりも大きい構成とする。
【0018】
上記の構成によると、先端側の第2係合部から緩み止めナットなどに差し込み、第2係合部を利用して工具で係合部付ボルトを締め込んで第1係合部を緩み止めナットなどの緩み止め部に係合させることにより、一方向から締め込んで緩み止め効果も得られる。
【0019】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、
上記第1係合部の緩み止め凸部が、上記ボルト本体の長手方向に延び、周方向に等間隔に並ぶ突条を構成し、
上記第2係合部が、断面多角形である構成とする。
【0020】
上記の構成によると、突条が形成された第1係合部により緩み止め効果が発揮されると共に、断面多角形状の第2係合部によりレンチやペンチなどの工具で締付が容易となる。
【0021】
第7の発明では、第6の発明において、
上記第1係合部の緩み止め凸部が、外歯爪車である構成とする。
【0022】
上記の構成によると、締付方向には回転を許容し、緩み方向には回転を阻止する最適な緩み止め凸部が得られる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、緩み止め用の第1係合部の更に先に工具係合用の第2係合部を設けたので、締結用のボルトを、緩み止めが可能で、かつ、一方の被締結部材側からのみ締結可能なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】係合部付ボルトの締結工具が固定された電動工具を示す正面図である。
図2】係合部付ボルトの締結工具が固定された電動工具を示す側面図である。
図3】係合部付ボルトを示し、(a)が左側面図で、(b)が正面図で、(c)が右側面図である。
図4】緩み止めナットが係合部付ボルトに締結されて緩み止められた状態を示す正面図である。
図5】緩み止めナットが係合部付ボルトに仮止めされた状態を示す正面図である。
図6】緩み止めナットを示し、(a)が左側面図で、(b)が正面図で、(c)が右側面図である。
図7】係合部付ボルトの締結工具に係合部付ボルト及び緩み止めナットが取り付けられた様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
-係合部付ボルトの構成-
図3は本発明の実施形態に係る係合部付ボルト1を示し、この係合部付ボルト1は、例えば、ガラス繊維、炭素繊維などが含有される強化繊維合成樹脂などの強化繊維樹脂製の一体成形品よりなる。合成樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。このように、係合部付ボルト1が強化繊維樹脂製の一体成形品よりなるので、複雑な形状でも容易に比較的剛性の高いボルトを成形できるようになっている。
【0027】
係合部付ボルト1は、トルクレンチなどの工具で掴んで締付可能な、例えば、六角のボルト頭部2を備えている。これは、六角穴付頭部でもよい。
【0028】
係合部付ボルト1は、ボルト頭部2に連続する棒状のボルト本体3を有し、本実施形態では、このボルト本体3は、凹凸のない円柱状部分と、先端側の雄ネジ部4とを有する。
【0029】
そして、この雄ネジ部4の先端には、周方向に間隔を開けて設けた緩み止め凸部5aを有する第1係合部5を備える。この緩み止め凸部5aは、ボルト本体3の長手方向に延び、周方向に等間隔に並ぶ突条を構成している。
【0030】
緩み止め凸部5aは、図3(c)に一部拡大して示すように、同形同大の断面略三角形をした外歯爪車で構成されている。具体的には、この外歯爪車は、ボルト本体3の軸心と同一仮想面内に含まれる外側噛み合い面5bと、この外側噛み合い面5bの先端から緩み止めナット10の締付方向側に向かって外側噛み合い面5bに対して傾斜する外側テーパ面5cとを備えている。外歯爪車により、締付方向には回転を許容し、緩み方向には回転を阻止する最適な緩み止め凸部5aが得られる。なお、この外側噛み合い面5bに嵌合する緩み止めナット10の緩み止め部11については後述する。
【0031】
この第1係合部5の更に先端には、後述する締結工具20のインナ部材25の先端が係合する工具係合用凸部6aを有する第2係合部6が設けられている。この第2係合部6は、例えば、角部が工具係合用凸部6aを構成する正六角柱である。但し、工具が係合可能であれば、三角柱、四角柱等でもよい。断面多角形状の第2係合部6であれば、レンチやペンチなどの工具で締付が容易である。
【0032】
図3(c)に示すように、緩み止め凸部5aの周方向ピッチP1は、第2係合部6の工具係合用凸部6aの周方向ピッチP2(すなわち、六角柱の頂点間の距離)よりも小さい(P1<P2)。このように、緩み止め部11の周方向ピッチP1を小さくすることで、緩み止め効果を向上させ、工具係合用凸部6aの周方向ピッチP2を大きくすることで、工具のトルクを伝達しやすくすることができるようになっている。
【0033】
図3(b)に拡大して示すように、第1係合部5の最大外径D1が第2係合部6の最大外径D2よりも大きい(D1>D2)。そして、第1係合部5と第2係合部6との間に段差部7が設けられている。 このように、両係合部5,6の間に段差部7を設けることで、第2係合部6に係合した工具により第1係合部5に傷が付くのを防ぐことができるようになっている。段差部7の大きさは、特に限定されないが、小さすぎると効果が低くなる。また、図示するように、第1係合部の最大径D1が、雄ネジ部の最大径D3よりも小さく、第2係合部の最大径D2よりも大きくなっている(D2<D1<D3)。
【0034】
-係合部付ボルトの締結工具の構成-
図1及び図2に示すように、本実施形態では、上述した係合部付ボルト1を締結するために専用の締結工具20が用いられる。本発明の締結工具20は、基端側が電動工具21に固定され、この電動工具21の回転軸21aの半径方向に距離を空けて配置され、先端側で係合部付ボルト1に仮止めされた緩み止めナット10を回り止めする筒状のアウタ部材24を備えている。具体的には、アウタ部材24は、基端側が電動工具21の本体に固定され、先端側が円盤状のフランジ部23の脚部取付孔23cに固定される、例えば、4本の脚部22を備えている。脚部22は、それぞれ周方向に90°空けて配置され、それぞれが、電動工具21の回転軸21aから径方向に十分な間隔を保っている。この脚部22を利用して電動工具21に取り付けることで、電動工具21の形状が異なる場合でも、比較的容易かつ確実な取り付けが可能となる。
【0035】
図2に一部拡大して示すように、アウタ部材24は、断面正六角形筒状であり、その基端部は、フランジ部23の貫通孔23aに挿入され、その面取部24cが貫通孔23aに形成した平坦面23bに当接し、その平坦面23bにおいて、図示しない締結部材等で固定されている。
【0036】
アウタ部材24の先端側には、断面正六角形状のナット用貫通孔24bが設けられており、このナット用貫通孔24bに後述する緩み止めナット10を嵌合可能となっている。
【0037】
図7に示すように、アウタ部材24の例えば上面側には、アウタ部材24に回り止めされた緩み止めナット10及び係合部付ボルト1の先端側を露出させる開口部24aが設けられている。なお、このような開口部は、下面側にも設けてもよい。下面側にも設けることで、作業性が向上する。
【0038】
アウタ部材24の内部には、径方向に間隔を開けてインナ部材25が配置されている。図2に一部拡大して示すように、インナ部材25は、例えば、断面正六角形筒状であり、内部に六角形状の被係合孔25aが貫通形成されている。その被係合孔25aの基端側が回転軸21aに回転一体に固定されると共に、先端側が係合部付ボルト1の先端の第2係合部6に係合するようになっている。
【0039】
なお、アウタ部材24及びインナ部材25は、防食のために塗装、メッキ等を施してもよい。
【0040】
緩み止めナット10は、図6に示すように、係合部付ボルト1の雄ネジ部4に螺合する雌ネジ部12を基端側内周面に有し、先端側には、係合部付ボルト1の第1係合部5の緩み止め凸部5aに係合する緩み止め部11を有する分割部13が一体成形されている。本実施形態では、緩み止め部11は、第1係合部5の緩み止め凸部5a(外側爪車)に嵌合する内側爪車よりなる。緩み止めナット10は、例えば係合部付ボルト1と同じ強化繊維樹脂一体成形品である。
【0041】
図6(c)に一部拡大して示すように、この緩み止め部11は、緩み止めナット10の軸心と同一仮想面内に含まれる内側噛み合い面11aと、この内側噛み合い面11aの先端から雌ネジ部12の締め込み方向側に向かって内側噛み合い面11aに対して傾斜する内側テーパ面11bを備えている。
【0042】
緩み止め部11と雌ネジ部12との間には、凹凸のない緩衝部14が設けられており、また、分割部13には、周方向に間隔を開けて複数の、例えば4つの切欠15が形成されている。
【0043】
そして、インナ部材25は、係合部付ボルト1の第2係合部6を軸方向に進退可能に支持する被係合孔25aを有する。本実施形態では、被係合孔25aは、第2係合部6の正六角柱形状に合わせて正六角形状貫通孔で構成されている。これにより、電動工具21により係合部付ボルト1を螺進させるときに、アウタ部材24で緩み止めナット10を固定したまま、第2係合部6が被係合孔25a内を進むので、係合部付ボルト1が螺進するのを妨げないようになっている。
【0044】
-係合部付ボルトの締結方法-
まず、準備工程において、上述した締結工具20を準備し、電動工具21に固定しておく。上述した係合部付ボルト1及び緩み止めナット10を必要な分だけ用意する。特に図示しないが、必要な場合は、例えば同じく繊維強化樹脂製のワッシャも用意してもよい。
【0045】
次いで、仮止め工程において、第1被固定部材31及び第2被固定部材32の貫通孔に第1被固定部材31側から係合部付ボルト1を挿通し、図5に示すように、この係合部付ボルト1の先端に第2被固定部材32側から緩み止めナット10を仮止めする。仮止めは、手で容易に回転できる範囲で行えばよいが、係合部付ボルト1の雄ネジ部4と緩み止めナット10の雌ネジ部12とが係合することが望ましい。
【0046】
次いで、ボルト係合工程において、緩み止めナット10側からアウタ部材24の先端を挿入し、インナ部材25の先端の被係合孔25aを係合部付ボルト1の第2係合部6に係合させる。
【0047】
次に、締結工程において、電動工具21の回転軸21aを回転させ、係合部付ボルト1を螺進させ、図4に示すように、第1被固定部材31及び第2被固定部材32を締め付けると共に、ナット10の緩み止め部11に係合部付ボルト1の第1係合部5を係合させて緩み止めする。このとき、図7に示すように、アウタ部材24の開口部24aから緩み止めナット10と係合部付ボルト1の先端部とが露出するので、これらを見ながら確実に締付作業を行うことができる。
【0048】
この締結工程において、図5に矢印で示すように、係合部付ボルト1を緩み止めナット10内に螺進させながら、係合部付ボルト1の第2係合部6をインナ部材25の被係合孔25a内に侵入させる。このように、電動工具21により係合部付ボルト1を螺進させるときに、アウタ部材24でナット10を固定したまま、係合部が被係合孔25a内を進むので、係合部付ボルト1が螺進するのを妨げない。
【0049】
本実施形態では、第1係合部5を、緩み止めナット10の緩み止め部11に締結することで、緩み止め効果を発揮する。また、先端側から工具係合用凸部6aを利用して締結工具20を係合して回転させることにより、雄ネジ部4を螺進させて締結を行うことができる。
【0050】
本実施形態では、仮止めした状態の係合部付ボルト1及び緩み止めナット10をアウタ部材24及びインナ部材25の先端側でそれぞれ固定した状態で、電動工具21の回転軸21aを回転させることにより、係合部付ボルト1の雄ネジ部4が緩み止めナット10の雌ネジ部を螺進させるようにして第1被固定部材31と第2被固定部材32とを確実に固定すると共に、第1係合部5と緩み止め部11との緩み止め効果が得られる。
【0051】
以上説明したように、本発明によれば、緩み止め用の第1係合部5の更に先に工具係合用の第2係合部6を設けたので、係合部付ボルト1を、緩み止めが可能で、かつ、一方の被締結部材側からのみ締結可能なものにすることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る係合部付ボルト1によると、緩み止め用の第1係合部5の更に先に工具係合用の第2係合部6を設けたので、締結用のボルトを、緩み止めが可能で、かつ、一方の被締結部材側からのみ締結可能なものにすることができる。
【0053】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0054】
1 ボルト
1 係合部付ボルト
2 ボルト頭部
3 ボルト本体
4 雄ネジ部
5 第1係合部
5a 緩み止め凸部
5b 外側噛み合い面
5c 外側テーパ面
6 第2係合部
6a 工具係合用凸部
7 段差部
10 緩み止めナット
11 緩み止め部
11a 内側噛み合い面
11b 内側テーパ面
12 雌ネジ部
14 緩衝部
15 切欠
20 締結工具
21 電動工具
21a 回転軸
22 脚部
23 フランジ部
23a 貫通孔
23b 平坦面
23c 脚部取付孔
24 アウタ部材
24a 開口部
24b ナット用貫通孔
24c 面取部
25 インナ部材
25a 被係合孔
31 第1被固定部材
32 第2被固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7