(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070855
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/50 20180101AFI20230515BHJP
H02G 3/22 20060101ALI20230515BHJP
F21V 31/04 20060101ALI20230515BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230515BHJP
【FI】
F21S45/50
H02G3/22
F21V31/04
F21V23/00 160
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183224
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】黒田 正義
(72)【発明者】
【氏名】榎本 達成
【テーマコード(参考)】
3K014
5G363
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014BA02
5G363AA16
5G363BA01
5G363CA06
5G363CB08
(57)【要約】
【課題】車両用灯具において、ブッシングの未使用穴を適切に密閉する。
【解決手段】灯具ハウジング2に装着するブッシング4のコード穴41のうち、配線用コード5を挿通しない未使用穴41’に、配線として使用しないダミーコード6を挿通する。ダミーコード6は、中間部に折り返し部62を有し、両端部61をコード穴41に挿通し、挿通した両端部61およびコード穴41を被覆するように接着剤12を塗布する。また、ダミーコード6は、該ダミーコードの中間部で折り返した折り返し部62と、両端部61から折り返し部の間に所定長さの直線部63を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯具ハウジングに装着されるブッシングを備え、
前記ブッシングが、配線用のコードを挿通するコード穴を含み、
前記コード穴のうち、前記コードを挿通しない未使用穴に、配線として使用しないダミーコードを挿通した車両用灯具。
【請求項2】
前記ダミーコードは、前記ダミーコードの中間部で折り返した折り返し部を含み、
複数の前記未使用穴に、前記ダミーコードの両端部を挿通した請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ダミーコードが、両端部から前記折り返し部の間に所定長さの直線部を有し、
対向する一対の直線部は、互いに平行となるように設けられた請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記ダミーコードを挿通した前記未使用穴を接着剤により被覆した請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記ダミーコードは、灯室外側から灯室内側に向けて挿通された、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はブッシングの未使用穴を密閉した車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用灯具において、灯具ハウジングに配線用の開口部を設け、開口部に弾性を有するブッシングを嵌め込んで密閉し、さらに、ブッシングのコード通し穴を密閉して、開口部からの浸水を防止する技術が知られている。例えば、引用文献1には、コード束にブッシングを一体成形する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブッシングは、様々な車両用灯具に共通して用いられる部品であるため、車両用灯具によっては、配線コードを挿通しない未使用穴が生ずる場合がある。このとき、未使用穴に何ら手を加えることなくそのまま灯具を使用すると、灯具内部に水やほこり等が入り込むおそれがあった。
【0005】
そこで、本開示の目的は、ブッシングの未使用穴を密閉し、水やほこりの侵入を防止できる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の車両用灯具は、灯具ハウジングに装着されるブッシングを備え、ブッシングが、配線用のコードを挿通するコード穴を含み、コード穴のうち、コードを挿通しない未使用穴に、配線として使用しないダミーコードを挿通したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の車両用灯具によれば、未使用穴にダミーコードを挿通したため、密閉用の専用部品を新たに設けることなく未使用穴を密閉できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態を示す車両用灯具の背面図である。
【
図2】ダミーコードを取り付けたブッシングを(a)灯室外側、(b)灯室内側から観察した様子を示す模式図である。
【
図3】ダミーコードを取り付ける様子を示す端面模式図である。
【
図4】(a)折り返し部の無いダミーコード、(b)折り返し部を有するダミーコードの取り付け状態を示す端面模式図である。
【
図5】複数の未使用穴に、(a)折り返し部の無いダミーコード、(b)折り返し部を有するダミーコードを取り付けた様子を示す模式図である。
【
図6】ダミーコードを取り付けるバリエーションを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を車両用灯具に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示す車両用灯具1は、車体に取り付けられる灯具ハウジング2と、透明樹脂材料からなる透光カバー3を備えている。灯具ハウジング2に開設された配線コード用の開口部2aには、ブッシング4が嵌め込まれている。ブッシング4は、エチレンプロピレンゴム等の弾性を有する樹脂材から形成され、ブッシング4の外周面には、開口部2aに密着係合する環状溝42(
図3参照)が形成されている。
【0010】
図2(a)は、ブッシング4を灯室外側から観察した模式図、
図2(b)は、ブッシング4を灯室内側から観察した模式図である。
図2(a)に示すように、ブッシング4のコード穴41には配線用コード5が挿通され、配線用コード5は結束部材11によりまとめられている。コード穴41のうち、配線用コード5を挿通しない未使用穴41’には、配線として使用しないダミーコード6が挿通されている。配線用コード5は、芯線13(
図3参照)を絶縁体14で被覆した、例えば、直径2.0mm程度の耐熱電線を選択できる。ダミーコード6は、配線用コード5と同じく、芯線13を絶縁体14で被覆した、例えば、直径2.4mmの耐熱電線を選択できる。
【0011】
図2(b)に示すように、配線用コード5は結束部材11によりまとめられている。未使用穴41’には、ダミーコード6の端部61を被覆するように、灯室内側から接着剤12が塗布される。接着剤12は、シアノアクリレート系の瞬間接着剤等を採用することができる。
【0012】
図3に示すように、ダミーコード6は、ダミーコード6の中間部において折り返された折り返し部62と、端部61から折り返し部62までの間の直線部63を有する。
【0013】
折り返し部62は、作業者がダミーコード6を把持する持ち手として機能する。また、折り返し部62は、持ち手として扱い易いように、高さ35mm程度に設けられている。この例では、折り返し部62をU字状に形成しているが、例えば、V字状、コ字状に形成することも可能である。
【0014】
直線部63は、未使用穴41’に埋設される部分であり、対向する一対の直線部63は、一対の未使用穴41’の間隔dと同じ幅、かつ、互いに平行となるように設けられている。コード穴41の内壁には、ダミーコード6の太さよりも狭い狭窄部43が複数形成されている。ダミーコード6の直線部63を、間隔dと同じ幅、かつ、互いに平行に設けることで、直線部63が未使用穴41’に垂直に挿通され、また、狭窄部43がダミーコード6の外周面に均等に圧着され、コード穴41が適切に密閉される。
【0015】
図4(a)に示すように、未使用穴41’が一つの場合には、折り返し部62の無いダミーコード6’を採用できる。配線用コード5の切れ端をダミーコード6’として流用したため、未使用穴41’を密閉するための専用部品を新たに開発する必要がなくなり、開発コストを抑制できる。
【0016】
一方、
図4(b)に示すように、未使用穴41’が2つの場合には、折り返し部62を有するダミーコード6を採用できる。ここで、
図5(a)のように、複数本のダミーコード6’を挿通することも可能であるが、
図5(a)の場合には、ダミーコード6’の端部61において、被覆(絶縁体14、
図3参照)からむき出し状態の芯線13が外気にさらされ、経年経過により芯線13に錆・水入りが発生するおそれがある。
図4(b),5(b)のように、折り返した1本のダミーコード6の両方の端部61を一対の未使用穴41’に挿通し、被覆むき出し状態の芯線13を灯室内側に配置することで、芯線13の錆・水入りを防止できる。なお、灯室外側に配置される端部61を接着剤12により密封し、さびや水入りを防止することも可能である。
【0017】
図6に、ダミーコード6を取り付けるバリエーションを示す。偶数個の未使用穴41’に取り付ける場合には、折り返し部を有するダミーコード6のみを使用し、奇数個の未使用穴41’に取り付ける場合には、ダミーコード6を取り付け後の余りの穴にダミーコード6’を使用できる。
【0018】
続いて、以上の構成の車両用灯具1のブッシング4にダミーコード6を取り付ける方法について説明する。まず、ダミーコード6を中間部で折り返し、折り返し部62と直線部63を設ける。このとき、対向する直線部63の間隔を、未使用穴41’同士の間隔dに合わせる。直線部63を、灯室外側方向から灯室内側方向に向けて未使用穴41’に差し込み、ブッシング4に挿通した端部61および未使用穴41’を被覆するように、灯室内側方向から接着剤12を塗布する。
【0019】
したがって、この実施形態の車両用灯具1によれば、未使用穴41’を配線用コード5と同じ構成のダミーコード6,6’を挿通して密栓したため、開発コストを抑えつつ、ブッシング4のコード穴41から水やほこりの侵入を手軽に防止することができる。また、折り返し部62を備えたダミーコード6の両端を複数の未使用穴41’に挿通した場合には、芯線の錆・水入りを防止できる。
【0020】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 車両用灯具
2 灯具ハウジング(a:開口部)
3 透光カバー
4 ブッシング
5 配線用コード
6 ダミーコード(折り返し部あり)
6’ ダミーコード(折り返し部無し)
11 結束部材
12 接着剤
41 コード穴
41’ 未使用穴
42 環状溝
43 狭窄部
61 端部
62 折り返し部
63 直線部
d コード穴同士の間隔