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特開2023-70859外壁ユニット、建物構造および外壁ユニットの取付方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070859
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】外壁ユニット、建物構造および外壁ユニットの取付方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/90 20060101AFI20230515BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
E04B2/90
E04F13/08 101M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183239
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110664
【氏名又は名称】ナンカイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 克己
(72)【発明者】
【氏名】石田 博道
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知慈
(72)【発明者】
【氏名】金井 匠
(72)【発明者】
【氏名】豊島 一也
(72)【発明者】
【氏名】枩林 邦生
(72)【発明者】
【氏名】道端 更姓
【テーマコード(参考)】
2E002
2E110
【Fターム(参考)】
2E002EA02
2E002JC02
2E002JD01
2E002JD13
2E002MA01
2E110AA41
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA12
2E110BC02
2E110CA09
2E110CC04
2E110DA12
2E110DB16
2E110DC34
2E110DC36
2E110EA01
2E110GB02Y
2E110GB02Z
(57)【要約】
【課題】建物の被取付部材に対する取付作業の作業性に優れた外壁ユニット、建物構造および外壁ユニットの取付方法を提供する。
【解決手段】外壁ユニット1は、下パネル11および下フレーム20を含むフレームユニット15と、カバーパネル12とを有する。下パネル11は操作可能領域Sを残すように下フレーム20に固定されており、作業者は建物の外側から操作可能領域Sを通じて締結部材15Sを操作して、フレームユニット15を梁100に固定する。カバーパネル12は、操作可能領域Sを塞ぐとともに外壁面Hを構成するように下パネル11に隣接して下フレーム20に装着される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた被取付部材に取り付けられ、前記建物の外壁面を構成する外壁ユニットであって、
フレームユニットと、
前記フレームユニットが前記被取付部材に取り付けられた状態で、前記フレームユニットに装着されることが可能な矩形状のカバーパネルと、
を備え、
前記フレームユニットは、
前記被取付部材に設けられた被締結部に所定の締結部材を介して締結される締結部を含む枠型のフレーム本体と、
前記フレーム本体に固定され前記外壁面の一部を構成する矩形状の固定パネルと、を含み、
前記被締結部に対して前記締結部が位置合わせされた状態で、前記締結部材が前記建物の外部から操作されることを可能とする操作可能領域を残して前記固定パネルが前記外壁面の一部を構成するように前記固定パネルが前記フレーム本体の外側面に固定されており、
前記カバーパネルは、前記フレームユニットの前記締結部が前記被取付部材の前記被締結部に締結された状態で、前記操作可能領域を塞ぐとともに前記外壁面を構成するように前記固定パネルに隣接して前記フレーム本体に装着されることが可能である、外壁ユニット。
【請求項2】
前記フレーム本体に支持され、前記フレームユニットの前記締結部が前記被取付部材の前記被締結部に締結された状態で前記カバーパネルを第1の位置と第2の位置との間で移動可能に支持することが可能なパネル支持部材であって、前記第1の位置は前記カバーパネルが前記操作可能領域を塞ぎ前記固定パネルとともに前記外壁面を構成する位置であり、前記第2の位置は前記カバーパネルの表面が前記第1の位置よりも前記外壁面の外側に配置される位置である、パネル支持部材を更に備える、請求項1に記載の外壁ユニット。
【請求項3】
前記パネル支持部材は、
前記フレーム本体に取り付けられる第1取付部材と、
前記カバーパネルに取り付けられる第2取付部材と、
を有し、
前記第1取付部材は、
前記フレーム本体に取付可能な取付部と、
前記取付部に対して前記外壁面に沿った方向に延びる第1軸回りに回動可能なように前記取付部に軸支される回動部と、
を含み、
前記第2取付部材は、前記第1軸と平行な第2軸回りに回動可能なように前記回動部に軸支される被軸支部を含み、
前記回動部が前記取付部に対して前記第1軸回りに回動し、前記被軸支部が前記回動部に対して前記第2軸回りに回動することで、前記カバーパネルが前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動可能とされている、請求項2に記載の外壁ユニット。
【請求項4】
前記第2取付部材は、前記カバーパネルが前記第1の位置に配置された状態において、前記カバーパネルが移動することを阻止する移動阻止部を更に備える、請求項3に記載の外壁ユニット。
【請求項5】
前記第1取付部材の前記回動部と前記第2取付部材の前記被軸支部とは前記外壁面よりも外側で着脱可能となるよう軸部を介して軸支されている、請求項3または4に記載の外壁ユニット。
【請求項6】
前記フレーム本体に支持され、前記カバーパネルを前記第1の位置にロックすることが可能なロック部材を更に備え、
前記ロック部材は、前記カバーパネルと当該カバーパネルに隣接する他のパネル部材との間の隙間を通じて前記建物の外側から操作されることが可能なように前記パネル支持部材とは異なる位置で前記フレーム本体に支持されており、前記操作に伴って前記カバーパネルを前記第1の位置にロックするロック位置と前記カバーパネルのロックを解除するロック解除位置との間で移動可能である、請求項3乃至5の何れか1項に記載の外壁ユニット。
【請求項7】
前記フレームユニットの前記フレーム本体は、
縦方向に延びる一対の縦桟と、
横方向に延びるとともに前記一対の縦桟同士を互いに接続する一対の第1横桟と、
前記一対の第1横桟の間で前記一対の縦桟同士を互いに接続する第2横桟と、を有し、
前記操作可能領域は、前記一対の第1横桟のうちの一方の第1横桟と前記一対の縦桟と前記第2横桟とによって囲まれる領域に対向し、
前記固定パネルは、前記一対の第1横桟のうちの他方の第1横桟と前記一対の縦桟と前記第2横桟とによって囲まれる領域を塞ぐように前記フレーム本体に固定されている、請求項1乃至6の何れか1項に記載の外壁ユニット。
【請求項8】
被取付部材と、
前記被取付部材に取り付けられ、外壁面を構成する外壁ユニットと、
を備える建物構造であって、
前記外壁ユニットは、
フレームユニットと、
前記フレームユニットが前記被取付部材に取り付けられた状態で、前記フレームユニットに装着されることが可能な矩形状のカバーパネルと、
を有し、
前記フレームユニットは、
前記被取付部材に設けられた被締結部に所定の締結部材を介して締結される締結部を含む枠型のフレーム本体と、
前記フレーム本体に固定され前記外壁面の一部を構成する矩形状の固定パネルと、を含み、
前記被締結部に対して前記締結部が位置合わせされた状態で、前記締結部材が前記外壁面の外部から操作されることを可能とする操作可能領域を残して前記固定パネルが前記外壁面の一部を構成するように前記固定パネルが前記フレーム本体の外側面に固定されており、
前記カバーパネルは、前記フレームユニットの前記締結部が前記被取付部材の前記被締結部に締結された状態で、前記操作可能領域を塞ぐとともに前記外壁面を構成するように前記固定パネルに隣接して前記フレーム本体に装着されることが可能である、建物構造。
【請求項9】
建物の外壁面を構成する外壁ユニットを、前記建物に設けられた被取付部材に取り付けるための外壁ユニットの取付方法であって、
締結部を含む枠型のフレーム本体と所定の操作可能領域を残すように前記フレーム本体に固定された矩形状の固定パネルとを含むフレームユニットと、矩形状のカバーパネルとを準備する準備工程と、
前記フレーム本体の前記締結部を前記被取付部材の被締結部に位置合わせするとともに、前記建物の外部から前記操作可能領域を通じて前記締結部を所定の締結部材によって前記被締結部に締結することで、前記固定パネルが前記外壁面の一部を構成するように前記フレームユニットを前記被取付部材に固定するユニット固定工程と、
前記カバーパネルが前記操作可能領域を塞ぐとともに前記外壁面を構成するように、前記カバーパネルを前記固定パネルに隣接して前記フレーム本体に装着するカバーパネル装着工程と、
を備える、外壁ユニットの取付方法。
【請求項10】
前記準備工程は、前記フレームユニットの前記締結部が前記被取付部材の前記被締結部に締結された状態で、前記カバーパネルを第1の位置と第2の位置との間で移動可能に支持することが可能なパネル支持部材であって、前記第1の位置は前記カバーパネルが前記操作可能領域を塞ぎ前記外壁面を構成する位置であって、前記第2の位置は前記カバーパネルの表面が前記第1の位置よりも前記外壁面の外側に配置される位置である、パネル支持部材を準備することを含み、
前記カバーパネル装着工程は、前記パネル支持部材によって前記カバーパネルを支持しながら、前記カバーパネルを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させることを含む、請求項9に記載の外壁ユニットの取付方法。
【請求項11】
前記準備工程は、前記パネル支持部材として、前記フレーム本体に取り付けられる第1取付部材と前記カバーパネルに取り付けられる第2取付部材とを有し、前記第1取付部材が、前記フレーム本体に取付可能な取付部と、前記取付部に対して前記外壁面に沿った方向に延びる第1軸回りに回動可能なように前記取付部に軸支される回動部とを有し、前記第2取付部材が、前記回動部に対して前記第1軸と平行な第2軸回りに回動可能に軸支される被軸支部を有するものを準備することを含み、
前記カバーパネル装着工程は、前記フレーム本体に取り付けられた前記第1取付部材の前記回動部を前記取付部に対して前記第1軸回りに前記建物の外側に向かって回動させ、前記カバーパネルに取り付けられた前記第2取付部材の前記被軸支部を前記回動部に接続した後に、前記被軸支部を前記回動部に対して前記第2軸回りに回動させながら前記回動部を前記取付部に対して前記第1軸回りに回動させることで、前記カバーパネルを前記第2の位置から前記第1の位置に移動されることを含む、請求項10に記載の外壁ユニットの取付方法。
【請求項12】
前記準備工程は、前記カバーパネルを載置可能な載置面を含むパネル支持用治具を更に準備することを含み、
前記カバーパネル装着工程は、前記第1取付部材の前記回動部を前記取付部に対して前記第1軸回りに前記建物の外側に向かって回動させ、当該回動部に前記パネル支持用治具を係合させ、前記第1取付部材によって前記パネル支持用治具を支持しながら前記載置面に前記カバーパネルを載置した状態で、前記第2取付部材の前記被軸支部を前記回動部に接続した後、前記回動部から前記パネル支持用治具を取り外すことを含む、請求項11に記載の外壁ユニットの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁を構成する外壁ユニット、建物構造および外壁ユニットの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の躯体(被取付部材)に固定され、前記建物の外壁を構成する外壁パネルが知られており、上下左右に複数の外壁パネルが格子状に配列されることで、前記外壁が構成される。特許文献1には、予め躯体に固定されたパネル下地と、当該パネル下地に固定された第1の係止金具と、前記第1の係止金具と係合可能な第2の係止金具を含むパネルと、前記パネル下地と前記パネルとを接離可能に接続する屈伸リンクとを含む外壁構造が開示されている。
【0003】
当該外壁構造では、屈伸リンクの一端部が予め外壁パネルの裏面に回動可能に支持された状態で、屈伸リンクの他端部がパネル下地に回動可能に固定される。そして、パネルがパネル下地側に押圧されると、屈伸リンクが屈曲しながら、第2の係止金具が第1の係止金具に係合し(スナップイン)、パネルが建物の外壁面を構成する位置に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-360207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された外壁構造では、予めパネル下地を躯体に取り付けた後、各パネルをパネル下地に順に取り付ける必要があり、作業現場でのパネル取付作業に多くの時間がかかるという問題がある。また、すべてのパネルが屈伸リンクおよびスナップイン構造によって支持されるため、パネルのサイズが大きい場合にはその重量によってパネルが脱落しやすく、また、パネルのサイズが小さい場合には、相対的にパネル下地および屈伸リンクの数も増大し接続作業に多くの時間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、建物の被取付部材に対する取付作業の作業性に優れた外壁ユニット、建物構造および外壁ユニットの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は、上記のような作業現場における取付作業性を向上するために、フレーム本体と外壁パネルとを予め一体のユニットとし、前記フレーム本体のうち前記被取付部材に取り付ける部分を建物の外部に露出させることで、作業現場において建物の外側から前記ユニットを被取付部材に取り付けることを可能とするとともに、前記露出した限られた部分を他のパネルによって塞ぐという新たな着想を得るに至った。
【0008】
このような着想に基づく本発明によって提供されるのは、建物に設けられた被取付部材に取り付けられ、前記建物の外壁面を構成する外壁ユニットである。外壁ユニットは、フレームユニットと、前記フレームユニットが前記被取付部材に取り付けられた状態で、前記フレームユニットに装着されることが可能な矩形状のカバーパネルと、を備える。前記フレームユニットは、前記被取付部材に設けられた被締結部に所定の締結部材を介して締結される締結部を含む枠型のフレーム本体と、前記フレーム本体に固定され前記外壁面の一部を構成する矩形状の固定パネルと、を含む。前記被締結部に対して前記締結部が位置合わせされた状態で、前記締結部材が前記建物の外部から操作されることを可能とする操作可能領域を残して前記固定パネルが前記外壁面の一部を構成するように前記固定パネルが前記フレーム本体の外側面に固定されている。前記カバーパネルは、前記フレームユニットの前記締結部が前記被取付部材の前記被締結部に締結された状態で、前記操作可能領域を塞ぐとともに前記外壁面を構成するように前記固定パネルに隣接して前記フレーム本体に装着されることが可能である。
【0009】
本構成によれば、予め固定パネルがフレーム本体に固定されているため、フレームユニットを被取付部材に取り付けるだけで、建物の外壁の広い部分を効率的に形成することができる。この際、フレーム本体の締結部を被取付部材の被取付部に締結するための操作可能領域を残すように固定パネルがフレーム本体に固定されているため、作業現場において建物の外側からフレームユニットを被取付部材に容易に取りつけることが可能となる。更に、前記操作可能領域を塞ぐようにカバーパネルをフレーム本体に装着することで、外壁の一部が欠落することなく、作業性に加え外観にも優れた外壁を提供することができる。また、フレーム本体の全体を覆うような寸法を有する大きなパネルを、予め被支持部材に取り付けられたフレーム本体に後から固定する場合と比較して、作業現場においてパネルの位置合わせ作業に多くの時間を要することがなく、建物の外側から外壁パネルを取り付ける作業性を向上することができる。また、作業者は、カバーパネルをフレーム本体に取り付ける際にも、作業可能領域を通じ締結部材の周辺を視認しフレームユニットの取付状態を確認することができるため、フレームユニットの取付不良が発生したままカバーフレームが取り付けられることを防止することができる。
【0010】
上記の構成において、前記フレーム本体に支持され、前記フレームユニットの前記締結部が前記被取付部材の前記被締結部に締結された状態で前記カバーパネルを第1の位置と第2の位置との間で移動可能に支持することが可能なパネル支持部材であって、前記第1の位置は前記カバーパネルが前記操作可能領域を塞ぎ前記固定パネルとともに前記外壁面を構成する位置であって、前記第2の位置は前記カバーパネルの表面が前記第1の位置よりも前記外壁面の外側に配置される位置である、パネル支持部材を更に備えることが望ましい。
【0011】
本構成によれば、パネル支持部材がカバーパネルを第1の位置と第2の位置との間で移動可能に支持することができるため、カバーパネルを第2の位置から第1の位置に精度良く装着することができる。
【0012】
上記の構成において、前記パネル支持部材は、前記フレーム本体に取り付けられる第1取付部材と、前記カバーパネルに取り付けられる第2取付部材と、を有し、前記第1取付部材は、前記フレーム本体に取付可能な取付部と、前記取付部に対して前記外壁面に沿った方向に延びる第1軸回りに回動可能なように前記取付部に軸支される回動部と、を含み、前記第2取付部材は、前記第1軸と平行な第2軸回りに回動可能なように前記回動部に軸支される被軸支部を含み、前記回動部が前記取付部に対して前記第1軸回りに回動し、前記被軸支部が前記回動部に対して前記第2軸回りに回動することで、前記カバーパネルが前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動可能とされていることが望ましい。
【0013】
本構成によれば、カバーパネルを第1の位置と第2の位置との間でスムーズに移動させることができる。
【0014】
上記の構成において、前記第2取付部材は、前記カバーパネルが前記第1の位置に配置された状態において、前記カバーパネルが移動することを阻止する移動阻止部を更に備えることが望ましい。
【0015】
本構成によれば、カバーパネルが第1の位置から第2の位置に移動することを阻止することができる。
【0016】
上記の構成において、前記第1取付部材の前記回動部と前記第2取付部材の前記被軸支部とは前記外壁面よりも外側で着脱可能となるよう軸部を介して軸支されていることが望ましい。
【0017】
本構成によれば、カバーパネルの周囲に配置される他の外壁パネルの影響を受けずに、カバーパネルとパネル支持部材とを容易に着脱することができる。
【0018】
上記の構成において、前記フレーム本体に支持され、前記カバーパネルを前記第1の位置にロックすることが可能なロック部材を更に備え、前記ロック部材は、前記カバーパネルと当該カバーパネルに隣接する他のパネル部材との間の隙間を通じて前記建物の外側から操作されることが可能なように前記パネル支持部材とは異なる位置で前記フレーム本体に支持されており、前記操作に伴って前記カバーパネルを前記第1の位置にロックするロック位置と前記カバーパネルのロックを解除するロック解除位置との間で移動可能であることが望ましい。
【0019】
本構成によれば、カバーパネルが第1の位置から脱離することを防止することができる。特に、ロック部材がカバーパネルに隣接する隙間(目地)を通じて操作されることができるため、外壁パネルを密に配置しつつ、カバーパネルの取付を完遂することができる。
【0020】
上記の構成において、前記フレームユニットの前記フレーム本体は、縦方向に延びる一対の縦桟と、横方向に延びるとともに前記一対の縦桟同士を互いに接続する一対の第1横桟と、前記一対の第1横桟の間で前記一対の縦桟同士を互いに接続する第2横桟と、を有し、前記操作可能領域は、前記一対の第1横桟のうちの一方の第1横桟と前記一対の縦桟と前記第2横桟とによって囲まれる領域に対向し、前記固定パネルは、前記一対の第1横桟のうちの他方の第1横桟と前記一対の縦桟と前記第2横桟とによって囲まれる領域を塞ぐように前記フレーム本体に固定されていることが望ましい。
【0021】
本構成によれば、カバーパネルと固定パネルとの間に第2横桟があるため、フレームユニットの剛性を高く維持するとともに、フレームユニットのフレーム本体によってカバーパネルを安定して支持することができる。
【0022】
また、本発明によって提供されるのは、被取付部材と、前記被取付部材に取り付けられ、外壁面を構成する外壁ユニットと、を備える建物構造である。前記外壁ユニットは、フレームユニットと、前記フレームユニットが前記被取付部材に取り付けられた状態で、前記フレームユニットに装着されることが可能な矩形状のカバーパネルと、を有し、前記フレームユニットは、前記被取付部材に設けられた被締結部に所定の締結部材を介して締結される締結部を含む枠型のフレーム本体と、前記フレーム本体に固定され前記外壁面の一部を構成する矩形状の固定パネルと、を含み、前記被締結部に対して前記締結部が位置合わせされた状態で、前記締結部材が前記外壁面の外部から操作されることを可能とする操作可能領域を残して前記固定パネルが前記外壁面の一部を構成するように前記固定パネルが前記フレーム本体の外側面に固定されており、前記カバーパネルは、前記フレームユニットの前記締結部が前記被取付部材の前記被締結部に締結された状態で、前記操作可能領域を塞ぐとともに前記外壁面を構成するように前記固定パネルに隣接して前記フレーム本体に装着されることが可能である。
【0023】
本構成によれば、予め固定パネルがフレーム本体に固定されているため、フレームユニットを被取付部材に取り付けるだけで、外壁の広い部分を効率的に形成することができる。この際、フレーム本体の締結部を被取付部材の被取付部に締結するための操作可能領域を残すように固定パネルがフレーム本体に固定されているため、作業現場において建物構造(外壁面)の外側からフレームユニットを被取付部材に容易に取りつけることが可能となる。更に、前記操作可能領域を塞ぐようにカバーパネルをフレーム本体に装着することで、外壁の一部が欠落することなく、作業性に加え外観にも優れた外壁を提供することができる。また、フレーム本体の全体を覆うような寸法を有する大きなパネルを、予め被支持部材に取り付けられたフレーム本体に後から固定する場合と比較して、作業現場においてパネルの位置合わせ作業に多くの時間を要することがなく、建物構造の外側から外壁パネルを取り付ける作業性を向上することができる。また、作業者は、カバーパネルをフレーム本体に取り付ける際にも、作業可能領域を通じ締結部材の周辺を視認しフレームユニットの取付状態を確認することができるため、フレームユニットの取付不良が発生したままカバーフレームが取り付けられることを防止することができる。
【0024】
また、本発明によって提供されるのは、建物の外壁面を構成する外壁ユニットを、前記建物に設けられた被取付部材に取り付けるための外壁ユニットの取付方法であって、締結部を含む枠型のフレーム本体と所定の操作可能領域を残すように前記フレーム本体に固定された矩形状の固定パネルとを含むフレームユニットと、矩形状のカバーパネルとを準備する準備工程と、前記フレーム本体の前記締結部を前記被取付部材の被締結部に位置合わせするとともに、前記建物の外部から前記操作可能領域を通じて前記締結部を所定の締結部材によって前記被締結部に締結することで、前記固定パネルが前記外壁面の一部を構成するように前記フレームユニットを前記被取付部材に固定するユニット固定工程と、前記カバーパネルが前記操作可能領域を塞ぐとともに前記外壁面を構成するように、前記カバーパネルを前記固定パネルに隣接して前記フレーム本体に装着するカバーパネル装着工程と、を備える。
【0025】
上記の方法において、前記準備工程は、前記フレームユニットの前記締結部が前記被取付部材の前記被締結部に締結された状態で、前記カバーパネルを第1の位置と第2の位置との間で移動可能に支持することが可能なパネル支持部材であって、前記第1の位置は前記カバーパネルが前記操作可能領域を塞ぎ前記外壁面を構成する位置であって、前記第2の位置は前記カバーパネルの表面が前記第1の位置よりも前記外壁面の外側に配置される位置である、パネル支持部材を準備することを含み、前記カバーパネル装着工程は、前記パネル支持部材によって前記カバーパネルを支持しながら、前記カバーパネルを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させることを含むことが望ましい。
【0026】
上記の方法において、前記準備工程は、前記パネル支持部材として、前記フレーム本体に取り付けられる第1取付部材と前記カバーパネルに取り付けられる第2取付部材とを有し、前記第1取付部材が、前記フレーム本体に取付可能な取付部と、前記取付部に対して前記外壁面に沿った方向に延びる第1軸回りに回動可能なように前記取付部に軸支される回動部とを有し、前記第2取付部材が、前記回動部に対して前記第1軸と平行な第2軸回りに回動可能に軸支される被軸支部を有するものを準備することを含み、前記カバーパネル装着工程は、前記フレーム本体に取り付けられた前記第1取付部材の前記回動部を前記取付部に対して前記第1軸回りに前記建物の外側に向かって回動させ、前記カバーパネルに取り付けられた前記第2取付部材の前記被軸支部を前記回動部に接続した後に、前記被軸支部を前記回動部に対して前記第2軸回りに回動させながら前記回動部を前記取付部に対して前記第1軸回りに回動させることで、前記カバーパネルを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させることを含むことが望ましい。
【0027】
上記の方法において、前記準備工程は、前記カバーパネルを載置可能な載置面を含むパネル支持用治具を更に準備することを含み、前記カバーパネル装着工程は、前記第1取付部材の前記回動部を前記取付部に対して前記第1軸回りに前記建物の外側に向かって回動させ、当該回動部に前記パネル支持用治具を係合させ、前記第1取付部材によって前記パネル支持用治具を支持しながら前記載置面に前記カバーパネルを載置した状態で、前記第2取付部材の前記被軸支部を前記回動部に接続した後、前記回動部から前記パネル支持用治具を取り外すことを含むことが望ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、建物の被取付部材に対する取付作業の作業性に優れた外壁ユニット、建物構造および外壁ユニットの取付方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る建物の外壁を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す正面図である。
図3図2の一部を拡大した拡大正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る建物の外壁を示す側面図である。
図5図4の一部を拡大した拡大側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る建物の外壁を示す底面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るパネル支持部材の第2取付部材の側面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るパネル支持部材の第2取付部材の背面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るパネル支持部材の第2取付部材の平面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るパネル支持部材の第1取付部材の側面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るパネル支持部材の第1取付部材の背面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るパネル支持部材の第1取付部材の平面図である。
図13】本発明の一実施形態に係るロック部材の側面図である。
図14】本発明の一実施形態に係るロック部材の正面図である。
図15】本発明の一実施形態に係るロック部材の平面図である。
図16】本発明の一実施形態に係るパネル支持用治具の正面図である。
図17】本発明の一実施形態に係るパネル支持用治具の側面図である。
図18】本発明の一実施形態に係るパネル支持用治具の平面図である。
図19】本発明の一実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す側面図であって、カバーパネルが装着される工程を示す図である。
図20】本発明の一実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す側面図であって、カバーパネルが装着される工程を示す図である。
図21】本発明の一実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す側面図であって、カバーパネルが装着される工程を示す図である。
図22】本発明の一実施形態に係る建物の外壁を示す正面図であって、カバーパネルが装着される工程を示す図である。
図23】本発明の一実施形態に係る建物の外壁を示す正面図であって、カバーパネルが装着される工程を示す図である。
図24】本発明の第1変形実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す側面図である。
図25】本発明の第1変形実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す正面図である。
図26】本発明の第1変形実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す底面図であって、カバーパネルが装着される工程を示す図である。
図27】本発明の第1変形実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す底面図であって、カバーパネルが装着される工程を示す図である。
図28】本発明の第1変形実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す底面図であって、カバーパネルが装着される工程を示す図である。
図29】本発明の第1変形実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す底面図であって、カバーパネルが装着された様子を示す図である。
図30】本発明の第1変形実施形態に係る建物の外壁を示す側面図であって、カバーパネルが装着された様子を示す図である。
図31】本発明の第2変形実施形態に係る建物の外壁を示す正面図であって、カバーパネルが装着される様子を示す図である。
図32】本発明の第3変形実施形態に係るカバーパネルがフレームユニットに装着される様子を示す図である。
図33】本発明の第3変形実施形態に係るカバーパネルがフレームユニットに装着される様子を示す図である。
図34】本発明に係る外壁ユニットと比較される他の建物の外壁を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態に係る外壁ユニットについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る建物の外壁を示す正面図である。図2は、本実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す正面図であり、図3は、図2の一部を拡大した拡大正面図である。図4は、本実施形態に係る建物の外壁を示す側面図であり、図5は、図4の一部を拡大した拡大側面図である。図6は、本実施形態に係る建物の外壁を示す底面図である。なお、各図では、上下方向、左右方向、前後方向が図示されているが、当該方向は本実施形態に係る外壁ユニットを説明するために示すものであり、本発明に係る建物構造、外壁ユニットの構造、使用態様などを限定するものではない。上記の各方向は、図1に示す建物(建物構造)の外壁に面する作業者の視点を基準としている。また、図4を含む一部の図では、上記の作業者から見た前方向が、建物の内部に向かう方向(内)として図示され、作業者から見た後方向が建物の外部に向かう方向(外)として図示されている。
【0031】
図1に示すように、上下方向および左右方向に複数の外壁パネル10が並んで配置されることで、住宅などの建物の外壁が構成されている。たとえば、外壁パネル10は、窯業系サイディングなどである。一例として、外壁パネル10の左右方向の幅は、30cmから50cmのサイズに設定されている。本実施形態では、左右方向において3列の外壁構造が図示されており、これらは互いに同じ構造を有しているため、以下では1列の外壁構造について説明する。また、建物は内部に、左右方向に延びる梁100(被取付部材)を備えており、上記の外壁構造は梁100に支持されている。梁100は、上下一対のフランジ101と、これらのフランジ101同士を上下方向に接続するウェブ102とを有する。図4図5に示すように、梁100は、H型鋼から構成されている。
【0032】
前記外壁構造は、下パネル11(図1図4)と、カバーパネル12と、上パネル13と、下フレーム20(フレーム本体)と、左右一対の下ファスナ21(図2)と、左右一対の上ファスナ22と、上フレーム25とを有する。下パネル11(固定パネル)、カバーパネル12、上パネル13は、いずれも外壁パネル10を構成するものであり、図1に示すように、下から順に並ぶように配設されている。下フレーム20は、下パネル11およびカバーパネル12を支持する枠型の鋼製フレームである。同様に、上フレーム25は、上パネル13を支持する枠型の鋼製フレームである。
【0033】
下フレーム20(図2)は、上下方向(縦方向)に延びる一対の縦桟203と、左右方向(横方向)に延びるとともに一対の縦桟203同士を互いに接続する一対の横桟202(第1横桟)と、一対の横桟202の間で一対の縦桟203同士を互いに接続する横桟201(第2横桟)とを有する。なお、図2図3では、下側(縦桟23の下端側)の横桟202の図示を省略している。各下ファスナ21(図4)(締結部材15S)は、下フレーム20を梁100の下側のフランジ101(被締結部)に締結するための部材であり、図4に示すように側面視で略S字形状を有する。下ファスナ21の上側部分は、梁100の下側のフランジ101に形成された下取付穴105(被締結部)にボルトV(締結部材15S)によって締結される。同様に、下ファスナ21の下側部分は、下フレーム20の横桟201(締結部)に形成された取付穴205(図3図5)にボルトVによって締結される。なお、下パネル11は、一対の横桟202のうちの下側の横桟202(不図示)と一対の縦桟203と横桟201とによって囲まれる領域を塞ぐように下フレーム20に固定されている(図1)。
【0034】
同様に、上フレーム25(図2)は、上下方向(縦方向)に延びる一対の縦桟253と、左右方向(横方向)に延びるとともに一対の縦桟253同士を互いに接続する一対の横桟251と、一対の横桟252の間で一対の縦桟253同士を互いに接続する横桟252とを有する。なお、図2図3では、上側(縦桟253の上端側)の横桟251の図示を省略している。上ファスナ22は、上フレーム25を梁100の上側のフランジ101に接続する部材であり、図4に示すように側面視で略L字形状を有する。上ファスナ22(締結部材15S)の下側部分は、梁100の上側のフランジ101に形成された上取付穴106にボルトV(締結部材15S)によって締結される。同様に、上ファスナ22の上側部分は、上フレーム25の横桟251にボルトVによって締結される。
【0035】
本実施形態では、前記外壁構造の各部材を製造する工場において、上パネル13が上フレーム25に固定された状態で、作業現場において上パネル13および上フレーム25が一体で建物の外側から梁100に固定される。同様に、前記工場において下パネル11が下フレーム20に固定された状態で、作業現場において下パネル11および下フレーム20が一体で建物の外側から梁100に固定される。カバーパネル12は、図1の左側の列に示すように、下パネル11と上パネル13との間の空間を塞ぐように、建物の外側から下フレーム20に装着される。この際、カバーパネル12は、下フレーム20を梁100に固定するための操作可能領域S(図1図19)を塞ぐように配置される。なお、操作可能領域Sは、上下一対の横桟202のうちの上側(一方)の横桟202と一対の縦桟203と横桟201とによって囲まれる領域に対向する(図1図3)。
【0036】
上記の外壁構造について換言すれば、本実施形態では、前記外壁構造は、梁100に取り付けられ前記建物の外壁面Hを構成する外壁ユニット1(図4)を有する。外壁ユニット1は、下パネル11および下フレーム20を含むフレームユニット15と、矩形状のカバーパネル12とを備える。カバーパネル12は、フレームユニット15が梁100に取り付けられた状態で、フレームユニット15に装着されることが可能とされている。
【0037】
外壁ユニット1は、更に、左右一対の取付金具30(図3)(パネル支持部材)と、3つの固定用金具35(図3)と、左右一対のパネル支持用治具50(図9)(支持用治具)と、を備える。
【0038】
取付金具30は、下フレーム20に支持され、フレームユニット15の横桟201が梁100の下側のフランジ101に締結された状態でカバーパネル12を第1の位置と第2の位置との間で移動可能に支持することが可能である。前記第1の位置(図4図5)は、カバーパネル12が操作可能領域S(図1図19)を塞ぎ、下パネル11とともに建物の外壁面Hを構成する位置である。一方、前記第2の位置(図20)は、カバーパネル12の表面が前記第1の位置よりも外壁面Hの外側に配置される位置である。
【0039】
各取付金具30は、カバーパネル12に取り付けられるパネル側金具31(第2取付部材)と、下フレーム20に取り付けられるフレーム側金具32(第1取付部材)とを有する。
【0040】
左右のパネル側金具31は、カバーパネル12の裏面(建物の内部に対向する面)に左右方向に間隔をおいてそれぞれ固定される(図19参照)。なお、図3では、カバーパネル12に装着されたパネル側金具31も描かれている。図7図8および図9は、本実施形態に係るパネル側金具31の側面図、背面図および平面図である。パネル側金具31は、本体部31Aと、補助部31Bと、ばね部31C(係合部)とを有する。なお、図7図9は、左右のパネル側金具31のうちの右側のパネル側金具31について図示するものであり、左側のパネル側金具31も同様の構造を有している。この際、左側のパネル側金具31と右側のパネル側金具31とは左右対称の形状を有するものでもよい。後記のフレーム側金具32も同様である。
【0041】
本体部31Aは、正面視で上下に長く延びる矩形形状を有している。図8において本体部31Aに描かれる複数の円形部は、パネル側金具31をカバーパネル12の背面に接合するための複数の接合部である。本体部31Aは、本体プレート311と、本体プレート311の上端部から直交する方向に延びる被軸支部312とを有する。被軸支部312は、左右方向に延びる回動軸(第1軸と平行な第2軸)回りに回動可能なようにフレーム側金具32の後記の回動部32Aに軸支される。このため、被軸支部312には、図7に示すような円形の孔部312Aが形成されている。
【0042】
補助部31Bは、本体部31Aの上下方向の中央部であって被軸支部312の下方に配置されるように、本体部31Aの本体プレート311に接合されている。補助部31Bは、挟持部313を有する。挟持部313は、後記の回動部32Aを挟持する機能を有している。挟持部313は、第1突片314と、当該第1突片314の上下に配置された一対の第2突片315とを有する。図8に示すように、第1突片314と上下一対の第2突片315との間には、左右方向に所定の幅を有する隙間Lが前方(建物の内側)に向かって開口するように形成されており、当該隙間Lに後記の回動部32Aが挿入可能とされている。
【0043】
ばね部31Cは、本体部31Aの本体プレート311に固定された弾性変形可能な板ばねであり、本体プレート311に固定された固定部と、当該固定部の右端部から前方に向かって延びる延び部とを有する。ばね部31Cは、カバーパネル12が前記第1の位置に配置された際に、フレーム側金具32に係合する機能を有する。
【0044】
なお、左右のパネル側金具31がカバーパネル12の裏面に装着された状態において、その上方にはパネル係合部121(図19)が配置されている。パネル係合部121は、カバーパネル12の裏面の上端部において左右方向に延びるように固定されており、L字形状を有する金具である。
【0045】
図3に示すように、左右一対のフレーム側金具32は、一対の縦桟203の直ぐ内側において横桟201の上面部にそれぞれ固定される。図10図11および図12は、本実施形態に係るフレーム側金具32の側面図、背面図および平面図である。フレーム側金具32は、回動部32Aと、横桟201に取り付け可能な取付部32Bと、回動ピン32Cとを有する。
【0046】
回動部32Aは、取付部32Bに対して左右方向に延びる回動軸(外壁面Hに沿った方向に延びる第1軸)回りに回動可能なように取付部32Bに軸支される。回動部32Aは、一の方向に長く延びる板状部材であり、その一端部には円形の孔部321が形成されている。また、図10に示す回動部32Aの姿勢において、回動部32Aの前側の側縁には、その一部が部分的に切り欠かれた治具係合部322が形成されている。回動部32Aのうち孔部321とは反対側の他端部には、孔部321よりも小径の孔部323が形成されている。また、回動部32Aのうち孔部323よりも更に端部には係合突起324が形成されている。
【0047】
取付部32Bは、図11に示す背面視で左側が開口したU字形状を有し、その上端部には鉛直方向に延びる鉛直部を有している。当該鉛直部には、孔部323と略同径の孔部325が形成されており、孔部323および孔部325に回動ピン32Cが挿通されることで、回動部32Aが取付部32Bに対して回動可能とされる。この際、取付部32Bに形成された切欠き326の端面32Kに係合突起324が当接することで、回動部32Aが図10に示す状態よりも更に時計回りに回動することが規制される。一方、取付部32Bのうち前記鉛直部に接続される水平部には支持面32Hが形成されている。支持面32Hは、図10に示す状態から回動部32Aが反時計回りに約90度回転すると、回動部32Aの当接部32Jを受け止め、回動部32Aが更に回動することを阻止する。この結果、回動部32Aの回動範囲が、図10の状態から反時計回りに90度の範囲に限定される。なお、取付部32Bの下面部には、フレーム側金具32を横桟201に固定するためのボルトが挿通される固定穴327が形成されている。なお、当接部32Jおよび支持面32Hの関係において、回動部32Aの回動範囲は90度に限定されるものではなく、その他の回動範囲であってもよい。
【0048】
3つの固定用金具35(図3)は、取付金具30とは異なる位置(横桟202)で下フレーム20に支持され、カバーパネル12を前記第1の位置にロックすることが可能とされている。図13図14および図15は、本実施形態に係る固定用金具35の側面図、正面図および平面図である。固定用金具35は、金具本体35Aと、押さえ部35B(ロック部材)と、回動ボルト35Cとを有する。金具本体35Aは、図13に示す側面視で後側が開口したU字形状を有し、その上端部には鉛直方向に延びる鉛直部を有している。当該鉛直部に、押さえ部35Bが回動ボルト35Cを介して回動(移動)可能に支持されている。図14において、押さえ部35Bが右方に延びる姿勢では、カバーパネル12のパネル係合部121(図19参照)が係合空間Q(図13)に進入することができる。一方、パネル係合部121が係合空間Qに進入した状態で、作業者によって回動ボルト35Cが回動されると、押さえ部35Bが図14において下方に延びる姿勢とされる。この結果、パネル係合部121が係合空間Qから脱離することを押さえ部35Bが阻止する。本実施形態では、押さえ部35Bは、カバーパネル12と当該カバーパネル12に隣接する上パネル13(他のパネル部材)との間の隙間を通じて(図4の矢印R)建物の外側から操作されることで、カバーパネル12を第1の位置にロックするロック位置と、カバーパネル12のロックを解除するロック解除位置との間で移動可能なように金具本体35Aを介して下フレーム20に支持されている。
【0049】
各パネル支持用治具50は、取付金具30に着脱可能に装着され(図19図20参照)、前記第2の位置においてパネル側金具31の被軸支部312とフレーム側金具32の回動部32Aとの着脱が可能なようにカバーパネル12を支持することが可能とされている。図16図17および図18、本実施形態に係るパネル支持用治具50の正面図、側面図および平面図である。パネル支持用治具50は、治具本体50Aと、ハンドル50Bとを有する。
【0050】
治具本体50Aは、図17に示す側面視で略L字形状を有している。詳しくは、治具本体50Aは、水平部511と、鉛直部512と、係合部513とを有する。水平部511は、図18に示す平面視で略矩形形状を有する板状部である。水平部511の上面部には、カバーパネル12が載置可能な載置面50Hが形成されている。鉛直部512は、水平部511の前端部から上方に延びている。なお、鉛直部512の背面(全面)には、外壁パネル10に傷がつくことを防止するための弾性パッド512Kが設けられている。係合部513は、鉛直部512の左右方向に中央部から上方に延びるように配置されており、その上端部はフック形状を有している。当該フック部分の係合切欠き部50Kが、前述のフレーム側金具32の治具係合部322(図10)に係合することで、パネル支持用治具50がフレーム側金具32に装着される。
【0051】
ハンドル50Bは、図18の平面視で略U字形状を有する。ハンドル50Bは、水平部511の後端部にそれぞれ配置された一対のハンドルガイド514に挿通されており、治具本体50Aに対して前後方向にスライド移動可能とされている。なお、ハンドル50Bの一対のハンドル基端部515は、ハンドルガイド514から脱離することを防止するために、部分的に大きな幅寸法を有している。
【0052】
<外壁ユニットの取付手順>
次に、本実施形態に係る外壁ユニット1の梁100への取付手順について説明する。図19乃至図21は、本実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す側面図であって、カバーパネル12が装着される工程を示す図である。図22図23は、同様に、本実施形態に係る建物の外壁を示す正面図であって、カバーパネル12が装着される工程を示す図である。取付に際して、作業現場では、下フレーム20および下パネル11を含むフレームユニット15と、カバーパネル12とが準備される(準備工程)。この際、左右一対の取付金具30のフレーム側金具32は、フレームユニット15の横桟201に固定されている。左右一対のパネル側金具31はカバーパネル12の裏側に固定されている。また、左右一対のパネル支持用治具50が準備されることが望ましい。
【0053】
予め、図19図22に示すように、左右3列の外壁構造において、上パネル13および上フレーム25が上ファスナ22を介して一体で梁100の上側のフランジ101に固定される。そして、下パネル11および下フレーム20(フレームユニット15、図4)が下ファスナ21を介して一体で梁100の下側のフランジ101に固定される(ユニット固定工程)。この際、フレームユニット15(図22)の上端部に操作可能領域Sが形成されるように下パネル11が下フレーム20に固定されているため、作業者は下フレーム20によって囲まれる前記領域Sを通じて下ファスナ21の周辺に容易にアクセスすることができる。したがって、作業者は、下フレーム20の横桟201を梁100の下側のフランジ101に対して位置合わせするとともに、建物の外部から操作可能領域Sを通じて横桟201を締結部材15Sによってフランジ101に締結することで、下パネル11が外壁面H(図4)の一部を構成するようにフレームユニット15を梁100に固定することができる。
【0054】
次に、作業者は、操作可能領域Sを塞ぐようにカバーパネル12を下フレーム20に装着する(カバーパネル装着工程)。なお、図22では右側のカバーパネル12が既に取り付けられた状態を示している。作業者は、左右のフレーム側金具32の回動部32Aをそれぞれ後方に倒し、治具係合部322にパネル支持用治具50の係合切欠き部50Kを係合させる(図19)。作業者は、パネル支持用治具50のハンドル50Bを後方に引き出し、載置面50Hにカバーパネル12を載置する(図20)。なお、前述のように、回動部32Aの当接部32J(図10)が、取付部32Bの支持面32Hに当接することで、回動部32Aの更なる回動が規制され、パネル支持用治具50がフレーム側金具32によって安定して支持される。また、パネル支持用治具50の弾性パッド512Kが下パネル11の表面に当接することで、パネル支持用治具50の載置面50Hが略水平方向に延びるように、パネル支持用治具50の姿勢が維持されるとともに、下パネル11の表面に傷がつくことが抑止される。本実施形態では、パネル支持用治具50が上記のような姿勢をとることができるように、係合切欠き部50Kおよび弾性パッド512Kの位置が設定されている。
【0055】
図20に示すように、パネル支持用治具50の載置面50Hにカバーパネル12が載置された状態で、作業者は、第2の位置においてカバーパネル12に取り付けられたパネル側金具31の被軸支部312と回動部32Aとを回動軸ボルト30Sによって接続する。この結果、カバーパネル12が回動軸ボルト30S(第2軸)回りに回動可能に支持される。本実施形態では、回動軸ボルト30Sの挿入位置が、外壁面H(図4)よりも外側に位置するため、周囲の外壁パネル10が邪魔になることなく、上記の接続作業を行うことができる。
【0056】
次に、作業者は、カバーパネル12を回動させながら回動部32Aからパネル支持用治具50を取り外し、カバーパネル12の下フレーム20への装着を準備する。この際、図20に示すように、カバーパネル12の回動における支点(回動軸ボルト30S)はカバーパネル12の上下方向における略中央部に配置されているため、カバーパネル12は回動軸ボルト30Sを中心として、その上側部分が後方に、その下側部分が前方に移動するように回動することができる。したがって、作業者は、カバーパネル12を梁100側に移動させる前に、操作可能領域Sを更に拡げて、下ファスナ21の周辺の装着状態を容易に確認することができる。
【0057】
その後、作業者はカバーパネル12を梁100側に押し込むように移動させる。この結果、図21図23の各矢印に示すように、パネル側金具31を含むカバーパネル12が回動軸ボルト30S回りに回動しながら、回動部32Aが取付部32Bに対して回動する。やがて、カバーパネル12が、第2の位置から第1の位置に移動し、操作可能領域Sを塞ぐとともに外壁面Hを構成するように、下パネル11に隣接して下フレーム20に装着される(図1図4図5)。
【0058】
次に、作業者は、左右3箇所の固定用金具35に対して、カバーパネル12と上パネル13との間の隙間(目地)からドライバーを挿入して(図4の矢印R)、回動ボルト35Cを操作し、押さえ部35Bを水平姿勢(ロック解除位置)から下方に延びる姿勢(ロック位置)に変更する(図14)。この結果、押さえ部35Bが、カバーパネル12の上端部に配置されたパネル係合部121の先端部を押さえ、カバーパネル12が脱離することを防止する。また、図5に示すように、カバーパネル12が下フレーム20に装着され第1の位置に配置されると、パネル側金具31の挟持部313(図7図8)が回動部32Aを左右方向(回動軸ボルト30Sと平行な方向)において拘束するように回動部32Aを両側から挟持する。換言すれば、挟持部313の第1突片314と上下一対の第2突片315との間の隙間L(図8)に回動部32Aの後側の側縁が挟み込まれる。この結果、カバーパネル12が左右方向においてガタつくことが抑止される。更に、パネル側金具31のばね部31C(図9)が、回動部32Aを左右方向に付勢するように回動部32Aに係合する。このため、カバーパネル12が第1の位置に配置された状態において、取付部32Bに対する回動部32Aの回動が阻止される。上記のようにカバーパネル12が装着された後、各外壁パネル10同士の間の目地にシーリング処理が施される。
【0059】
以上のように、本実施形態では、外壁ユニット1がフレームユニット15とカバーパネル12とを有する。フレームユニット15は、梁100に設けられたフランジ101(被締結部)に所定の締結部材15S(下ファスナ21、ボルトV)を介して締結される横桟201(締結部)を含む枠型の下フレーム20と、下フレーム20に固定され外壁面Hの一部を構成する矩形状の下パネル11と、を含む。特に、フレームユニット15を梁100に取り付ける際には、フランジ101に対して横桟201が位置合わせされると、締結部材15Sが建物の外部から操作されることを可能とする操作可能領域Sを残して下パネル11が外壁面Hの一部を構成するように下パネル11が下フレーム20の外側面に予め固定されている。そして、フレームユニット15の横桟201が梁100のフランジ101に締結された状態で、カバーパネル12は、操作可能領域Sを塞ぐとともに外壁面Hを構成するように下パネル11に隣接して下フレーム20に装着されることが可能である。
【0060】
このような構成によれば、予め下パネル11が下フレーム20に固定されているため、フレームユニット15を梁100に取り付けることで、建物の外壁の広い部分を効率的に形成することができる。この際、下フレーム20の横桟201を梁100の下側のフランジ101に締結するための操作可能領域Sを残すように下パネル11が下フレーム20に固定されているため、作業現場において建物(外壁面)の外側からフレームユニット15を梁100に容易に取りつけることが可能となる。なお、他の実施形態において、フレームユニット15を梁100に設置する前に、作業現場で下パネル11を下フレーム20に固定してもよい。この場合、上記の作業は、本発明の準備工程に含まれる。更に、本実施形態では、操作可能領域Sを塞ぐようにカバーパネル12を下フレーム20に装着することで、外壁の一部が欠落することなく、作業性に加え外観にも優れた外壁を提供することができる。また、下フレーム20の全体を覆うような寸法を有する大きなパネルを、予め梁100に取り付けられた下フレーム20に後から固定する場合と比較して、作業現場においてパネルの位置合わせ作業に多くの時間を要することがなく、建物の外側から外壁パネルを取り付ける作業性を向上することができる。また、作業者は、カバーパネル12を下フレーム20に取り付ける際にも、締結部材15Sの周辺を視認しフレームユニット15の取付状態を確認することができるため、フレームユニット15の取付不良が発生したままカバーパネル12を取り付けることを防止することができる。
【0061】
図34は、本実施形態に係る外壁ユニット1と比較される他の建物の外壁を示す側面図である。当該構造では、下フレーム20Zに予め大きな外壁パネル10Zが固定され、下フレーム20Zの横桟202Zが下ファスナ21を介して外壁パネル10の下側のフランジ101に固定される。このような構成の場合、外壁パネル10Zが下ファスナ21の周辺を塞いでいるため、作業者は建物の外側から下フレーム20Zを梁100に固定することはできない。この場合、建物の内側から下フレーム20Zを梁100に固定する必要があるため、建物の内装の一部を取り壊す必要がある。一方、本実施形態では、上記のように下パネル11が操作可能領域Sを残すように下フレーム20に固定されているため、下パネル11および下フレーム20を含むフレームユニット15を建物の外側から容易に梁100に固定することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、建物の経年での不具合や破損、汚損などによって外壁の交換が必要になった場合には、内装を解体することなく、屋外から外壁を交換することができる。この場合、既に取り付けられているカバーパネル12は、目地のシーリングを除去したのち固定用金具35にアクセスしてカバーパネル12のロックを外して、カバーパネル12を第1の位置から第2の位置に移動させてもよいし、周囲の外壁構造と共に屋外から切断等によって取り外してもよい。その後、上記と同様の手順で、上パネル13を含む上フレーム25、下パネル11を含む下フレーム20を梁100に固定したのち、操作可能領域Sを塞ぐようにカバーパネル12を装着すればよい。
【0063】
上記のように、本実施形態では、建物の外部からの交換を可能とすることによって、施工性向上、コスト削減効果が実現されることに加えて、外壁の交換のために、建物の内部において家財道具を移動する必要がないこと、内装、設備解体工事が発生しないこと、仮住まいの必要がないこと、施工者が建物内に進入する頻度が減ること、短期間で現状復帰できることなどの利点を得ることができる。
【0064】
また、下フレーム20および上フレーム25のみを梁100に取り付けた後に、すべての外壁パネル10(下パネル11、カバーパネル12および上パネル13)を下フレーム20、上フレーム25に順に取り付ける場合と比較して、本実施形態では、垂直面に対して外壁パネル10(表面材)を位置合わせする必要がなく、容易に施工することができる。
【0065】
なお、他の実施形態において、取付金具30(パネル側金具31、フレーム側金具32)および固定用金具35の代わりに、カバーパネル12をビス打ちによって下フレーム20に固定する態様でもよいが、本実施形態では取付金具30などを用いることでビス打ちをする必要がなく、施工性を高めることができる。また、このようなビス打ち後には、ビス頭をパテ埋めしタッチアップ塗装する必要があり、経年によってタッチアップ部分が劣化し目立つ場合がある。一方、本実施形態ではカバーパネル12の外観を損なうことがないため、このような取り付け後の手間をなくすことができる。
【0066】
また、本実施形態では、取付金具30がカバーパネル12を第1の位置と第2の位置との間で移動可能に支持することができるため、外壁面Hを構成する第1の位置にカバーパネル12を精度良く装着することができる。
【0067】
特に、本実施形態では、フレーム側金具32の回動部32Aが取付部32Bに対して第1軸回りに回動し、パネル側金具31の被軸支部312が回動部32Aに対して第2軸回りに回動することで、カバーパネル12を第1の位置と第2の位置との間でスムーズに移動させることができる。特に、カバーパネル12が上下方向(第1軸と直交する方向)に沿ってスライド移動しながら第1の位置と第2の位置との間を移動するため、作業者が内部の状況を確認しながら、カバーパネル12を装着することができる。
【0068】
また、本実施形態では、カバーパネル12が第1の位置に配置されると、挟持部313がフレーム側金具32の回動部32Aを左右両側から挟持することで、取り付け後のカバーパネル12の左右方向におけるガタツキを抑止することができる。すなわち、挟持部313は、カバーパネル12が第1の位置から第2の位置に移動することを阻止する移動阻止部として機能する。
【0069】
更に、本実施形態では、パネル側金具31のうち弾性変形可能なばね部31Cがフレーム側金具32に係合することで、取付部32Bに対する回動部32Aの回動を阻止し、カバーパネル12の取付状態を安定して保持することができる。
【0070】
また、本実施形態では、被軸支部312は、カバーパネル12が第2の位置に配置された状態において、外壁面Hよりも外側でフレーム側金具32の回動部32Aに着脱可能に装着される。すなわち、回動部32Aと被軸支部312とは、外壁面Hよりも外側で着脱可能となるよう軸部を介して軸支されている。このため、カバーパネル12の周囲に配置される他の外壁パネル10に邪魔されることなく、カバーパネル12と取付金具30とを容易に着脱することができる。
【0071】
この際、予めパネル支持用治具50を回動部32Aに取り付けることで、パネル支持用治具50によってカバーパネル12を支持しながら、カバーパネル12と取付金具30とを更に容易に着脱することができる。
【0072】
また、固定用金具35によってカバーパネル12をロックすることができるため、カバーパネル12が脱離することを確実に防止することができる。特に、固定用金具35の押さえ部35Bが、カバーパネル12に隣接する隙間(目地)を通じて操作されることができるように取付金具30とは異なる位置で下フレーム20に支持されているため、外壁パネル10を密に配置しつつ、カバーパネル12の取付を完遂することができる。
【0073】
また、本実施形態では、下フレーム20によって囲まれる矩形状の領域のうち、横桟201よりも下方部分(一端側)を下パネル11が塞ぐとともに、横桟201よりも上方部分(他端側)をカバーパネル12が塞ぐように、下フレーム20に対する下パネル11の固定領域が設定されている。このため、カバーパネル12と下パネル11との間に横桟201があるため、フレームユニット15の剛性を高く維持するとともに、フレームユニット15の下フレーム20によってカバーパネル12を安定して支持することができる。また、下パネル11およびカバーパネル12の間に位置する横桟201が締結部材15Sによって梁100に固定されるため、その上下においてカバーパネル12および下パネル11を更に安定して支持することができる。
【0074】
更に、本実施形態では、第1の位置においてカバーパネル12を保持する各フレーム側金具32が横桟201に支持される一方、各固定用金具35が上側の横桟202に支持されている。このため、カバーパネル12を上下方向の2か所において安定して支持することができる。
【0075】
以上、本発明の一実施形態に係る外壁ユニット1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0076】
(1)先の実施形態では、カバーパネル12が左右方向に延びる回動軸回りに回動することで、上下にスライド移動しながら第1の位置と第2の位置との間で移動する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図24および図25は、本発明の第1変形実施形態に係る建物の外壁の内部の構造を示す側面図および正面図である。図26乃至図28は、カバーパネル12が装着される工程を示す底面図である。同様に、図29および図30は、カバーパネル12が装着された様子を示す底面図および側面図である。なお、図24乃至図30では、先の実施形態と同じ機能を有する部材には同じ符号を付している。
【0077】
本変形実施形態では、カバーパネル12が上下方向に延びる回動軸回りに回動することで、左右にスライド移動しながら第1の位置と第2の位置との間で移動する。このため、カバーパネル12の裏側には上下一対のパネル側金具31M(図25)が装着され、下フレーム20の左側の縦桟203には、上下一対のフレーム側金具32Mが装着されている。フレーム側金具32Mは、回動部32Aと取付部32Bとを有する。回動部32Aは上下方向に延びる回動軸(第1軸)回りに回動可能なように取付部32Bに支持されている。また、パネル側金具31Mは、回動軸ボルト30S(図24)によって上下方向に延びる第2軸回りに回動可能なようにフレーム側金具32Mの回動部32Aに装着される。
【0078】
図26図27に示すように、カバーパネル12のパネル側金具31Mの被軸支部312がフレーム側金具32Mの回動部32Aに回動軸ボルト30Sによって接続されると、図28の矢印のように、カバーパネル12が右方向に移動しながら第2の位置から第1の位置に移動する(図29図30)。その後、先の実施形態と同様に、一対の縦桟203のうち右側の縦桟203に固定された固定用金具35において、押さえ部35Bが回動されると、カバーパネル12のパネル係合部121をロックし、カバーパネル12の脱離が阻止される。以上のように、本変形実施形態では、カバーパネル12が左右方向に移動しながら第1の位置と第2の位置との間を移動することが可能となる。
【0079】
(2)先の実施形態では、フレームユニット15の下フレーム20の上端部に操作可能領域Sが形成されるように下パネル11が下フレーム20に固定される態様(図1)にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図31は、本発明の第2変形実施形態に係る建物の外壁を示す正面図であって、カバーパネル12が装着される様子を示す図である。
【0080】
本変形実施形態では、フレームユニット15の下フレーム20の下端部に操作可能領域Sが形成されるように上パネル13が下フレーム20に固定される。下フレーム20は、上下一対の横桟206と左右一対の縦桟203とを有し、更に、図31の上パネル13の下端部に隠れるように不図示の横桟が配置されている。この場合、下フレーム20の下側の横桟206が梁100の下側のフランジ101に固定されてもよいし、上記の不図示の横桟が梁100の上側のフランジ101に固定されてもよい。上パネル13は、下フレーム20を梁100に締結するための締結部材(ファスナ、ボルト)を建物の外側に露出するように操作可能領域Sを残して下フレーム20に固定されている。カバーパネル12は、先の実施形態と同様の取付金具を介して図31の矢印で示すように下フレーム20に装着される。この結果、建物の外側から、上パネル13および下フレーム20を一体で梁100に固定することが可能になるとともに、カバーパネル12によって操作可能領域Sを塞ぐようにカバーパネル12を下フレーム20に装着することができる。
【0081】
(3)先の実施形態では、カバーパネル12が取付金具30(パネル側金具31およびフレーム側金具32)によって支持されながら第1の位置と第2の位置との間を移動する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図32および図33は、本発明の第3変形実施形態に係るカバーパネル12がフレームユニットに装着される様子を示す図である。本変形実施形態では、上記の取付金具30がパネル側金具33およびフレーム側金具34を有する。
【0082】
パネル側金具33は、カバーパネル12の裏面の下端部に嵌め込まれた金属製の部材であり、側面視でC型の本体部と当該本体部から下方に延びる挿入部331とを有する。一方フレーム側金具34は、下フレーム20の横桟201にボルトVで固定された固定部341と、当該固定部341と交差するように配置される回動部342と、固定部341と回動部342とを左右方向に延びる回動軸回りに回動可能に接続する板ばね343とを有する。回動部342の後面部には回動部342との間で挿入部331を受け入れる押さえ部344が固定されている。
【0083】
本変形実施形態では、図32の矢印で示すように、カバーパネル12の下端部に配置された挿入部331が、下フレーム20側の回動部342と押さえ部344との間に挿通され、図33の矢印で示すようにカバーパネル12が前方に押し込まれると、カバーパネル12が下パネル11とともに建物の外壁面を構成する。なお、本変形実施形態においても、先の実施形態と同様に固定用金具35によってカバーパネル12を固定することができる。
【0084】
(4)上記の実施形態では、カバーパネル12を取り付ける際にパネル支持用治具50が用いられる態様にて説明したが、パネル支持用治具50は必須ではない。
【0085】
(5)上記の実施形態では、下パネル11の左右側縁とカバーパネル12の左右側縁とが上下方向に連なっている態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。下パネル11の左右側縁とカバーパネル12の左右側縁とは上下方向において連なっていない態様でもよい。カバーパネル12は、下フレーム20を覆う矩形形状のパネル部分の一部を構成する形状でもよい。この場合も、カバーパネル12は、作業者がフレームユニット15を梁100に締結するために建物の外側から締結部材15Sにアクセス(操作)する領域(操作可能領域S)を開放および塞ぐように配置されればよい。
【符号の説明】
【0086】
1 外壁ユニット
10 外壁パネル
100 梁(被取付部材、躯体)
101 フランジ(被取付部)
102 ウェブ
11 下パネル(固定パネル)
12 カバーパネル
121 パネル係合部
13 上パネル
15 フレームユニット
15S 締結部材
20 下フレーム
201 横桟(締結部、第2横桟)
202 横桟(第1横桟)
203 縦桟
30 取付金具(パネル支持部材)
30S 回動軸ボルト
31 パネル側金具(第2取付部材)
311 本体プレート
312 被軸支部
313 挟持部
31A 本体部
31B 補助部
31C ばね部
32 フレーム側金具(第1取付部材)
322 治具係合部
324 係合突起
32A 回動部
32B 取付部
32C 回動ピン
35 固定用金具
35A 金具本体
35B 押さえ部(ロック部材)
35C 回動ボルト
50 パネル支持用治具(支持用治具)
50A 治具本体
50B ハンドル
50H 載置面
50K 係合切欠き部
S 操作可能領域
V ボルト
図1
図2
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