(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070862
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】ウェハ厚さ測定装置および該方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/06 20060101AFI20230515BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
G01B11/06 G
H01L21/66 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183242
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000130259
【氏名又は名称】株式会社コベルコ科研
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】田原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宇崎 良
【テーマコード(参考)】
2F065
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA30
2F065BB01
2F065CC19
2F065DD03
2F065FF52
2F065MM04
2F065MM07
2F065QQ25
2F065QQ31
4M106AA01
4M106BA05
4M106CA22
4M106CA48
4M106DJ18
4M106DJ19
4M106DJ27
(57)【要約】
【課題】本発明は、光干渉計の性能を活かして高精度にウェハの厚さを測定できるウェハ厚さ測定装置および該方法を提供する。
【解決手段】本発明のウェハ厚さ測定装置Sは、既知な厚さの基準測定点を持つ基準片における前記基準測定点をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによる第1および第2干渉計基準測定結果、前記基準測定点をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによる第1および第2距離計基準測定結果、前記ウェハの測定点をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによる第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記測定点をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによる第1および第2距離計測定結果に基づいて、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づく基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づく変位との間の位相数を求めて、前記測定点でのウェハの厚さを求める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置された1対の第1および第2光干渉計と、
前記測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置され、絶対距離を測定する1対の第1および第2距離計と、
既知な厚さの基準測定点を持つ基準片における前記基準測定点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計基準測定結果、前記基準測定点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計基準測定結果、前記測定対象のウェハにおける測定点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記測定点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計測定結果に基づいて、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位との間の位相数を求めて、前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める厚さ演算部とを備える、
ウェハ厚さ測定装置。
【請求項2】
前記既知な厚さをW0とし、前記位相数を整数Nとし、前記第1および第2光干渉計における測定光の波長をλとし、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位をWirefとし、前記第1および第2距離計基準測定結果に基づき求めた基準厚さをWmrefとし、前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位をWiとし、前記第1および第2距離計測定結果に基づき求めた厚さをWmとした場合、前記厚さ演算部は、Wm-Wmref-((Wi-Wiref)+N×(λ/2))を最小とする整数Nを求めることによって前記位相数Nを求め、((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+W0によって前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める、
請求項1に記載のウェハ厚さ測定装置。
【請求項3】
前記厚さ演算部は、前記ウェハ厚さ測定装置を校正する際に、所定の第1校正片における第1校正点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計基準校正測定結果、前記校正する際に、所定の第2校正片における第2校正点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計基準校正測定結果、前記校正後であって前記測定対象のウェハの厚さを測定する前に、前記第1校正点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計校正測定結果、前記測定する前に、前記第2校正点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計校正測定結果、前記第1および第2干渉計基準測定結果、前記第1および第2距離計基準測定結果、前記第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記第1および第2距離計測定結果に基づいて前記位相数を求めて、前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める、
請求項1または請求項2に記載のウェハ厚さ測定装置。
【請求項4】
前記既知な厚さをW0とし、前記位相数を整数Nとし、前記第1および第2光干渉計における測定光の波長をλとし、前記第1および第2干渉計基準校正測定結果に基づき求めた基準校正変位をWicrefとし、前記第1および第2距離計基準校正測定結果に基づき求めた基準校正厚さをWmcrefとし、前記第1および第2干渉計校正測定結果に基づき求めた校正変位をWicとし、前記第1および第2距離計校正測定結果に基づき求めた校正厚さをWmcとし、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位をWirefとし、前記第1および第2距離計基準測定結果に基づき求めた基準厚さをWmrefとし、前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位をWiとし、前記第1および第2距離計測定結果に基づき求めた厚さをWmとした場合、前記厚さ演算部は、Wm-Wmref-(Wmc-Wmcref)-((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))を最小とする整数Nを求めることによって前記位相数を求め、((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+W0によって前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める、
請求項3に記載のウェハ厚さ測定装置。
【請求項5】
測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置された1対の第1および第2光干渉計で、既知な厚さの基準測定点を持つ基準片における前記基準測定点を測定して第1および第2干渉計基準測定結果を取得する干渉計基準測定工程と、
前記測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置され、絶対距離を測定する1対の第1および第2距離計で、前記基準測定点を測定して第1および第2距離計基準測定結果を取得する距離計基準想定工程と、
前記測定対象のウェハにおける測定点を前記第1および第2光干渉計で測定して第1および第2干渉計測定結果を取得する干渉計測定工程と、
前記測定点を前記第1および第2距離計で測定して第1および第2距離計測定結果を取得する距離計測定工程と、
前記干渉計基準測定工程で取得した第1および第2干渉計基準測定結果、前記距離計基準測定工程で取得した第1および第2距離計基準測定結果、前記干渉計測定工程で取得した第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記距離計測定工程で取得した第1および第2距離計測定結果に基づいて、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位との間の位相数を求めて、前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める厚さ演算工程とを備える、
ウェハ厚さ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハの厚さを測定するウェハ厚さ測定装置およびウェハ厚さ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば磁気ディスクの基板や集積回路の素材等となるウェハは、近年、記録密度の高密度化や回路の高集積化等のために、高い平坦度が要求されている。例えば、集積回路では、7ナノルールや5ナノルールが実現されている。この平坦度を求めるためには、例えば10ナノメートル以下のオーダーで高精度にウェハの厚さを測定することが必要となる。このウェハの厚さを測定するウェハ厚さ測定装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示されたウェハ厚さ測定装置は、光ヘテロダイン干渉測定装置によるウェハ厚さ測定装置であって、前記ウェハの高さ位置に対応して配置され前記ウェハの撓みによる傾斜角に実質的に対応する所定の角度で傾斜して配置され前記ウェハと等価の既知の一定の厚さを有する試料片と、前記ウェハの表面側の所定の基準位置から前記光ヘテロダイン干渉測定装置の測定点に対応する前記ウェハの表面位置までの距離に応じた検出信号を発生する第1の検出器と、前記ウェハの裏面側の所定の基準位置から前記光ヘテロダイン干渉測定装置の測定点に対応する前記ウェハの裏面位置までの距離に応じた検出信号を発生する第2の検出器と、前記試料片の前記表面あるいは裏面の変位量を多数の測定点において前記光ヘテロダイン干渉測定装置により測定し、このときに各前記測定点で得られる前記第1および第2の検出器の前記検出信号による検出値を各前記測定点対応にその測定点の前記変位量に対応して記憶するデータ採取/記憶手段とを備え、表裏が前記試料片の表裏の高さ範囲にある前記ウェハの任意の測定点において前記第1および第2の検出器の検出信号によるそれぞれの検出値を得て、このそれぞれの検出値からデータ採取/記憶手段により記憶された前記光ヘテロダイン干渉測定装置により測定された前記検出値に対応する前記変位量をそれぞれ得て、得られたそれぞれの変位量と前記試料片の厚さとに基づいて前記ウエハの厚さを算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示されたウェハ厚さ測定装置は、その[0006]段落および[0007]段落等の各記載によれば、基準となる厚さ一定の試料片の厚さから表裏のずれ量分を加減算することで測定すべきウェハの厚さを求めている。このため、前記特許文献1に開示されたウェハ厚さ測定装置における測定精度は、試料片の厚さの一定性に依存してしまう。高精度にウェハの厚さを測定しようとすると、高精度で厚さ一定の試料片が必要となってしまい、前記特許文献1に開示されたウェハ厚さ測定装置は、光干渉計(前記特許文献1では光ヘテロダイン干渉計)の性能を活かし切れていない。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、光干渉計の性能を活かして高精度にウェハの厚さを測定できるウェハ厚さ測定装置およびウェハ厚さ測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるウェハ厚さ測定装置は、測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置された1対の第1および第2光干渉計と、前記測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置され、絶対距離を測定する1対の第1および第2距離計と、既知な厚さの基準測定点を持つ基準片における前記基準測定点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計基準測定結果、前記基準測定点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計基準測定結果、前記測定対象のウェハにおける測定点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記測定点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計測定結果に基づいて、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位との間の位相数を求めて、前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める厚さ演算部とを備える。
【0008】
このようなウェハ厚さ測定装置は、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位との間の位相数を求めるので、第1および第2光干渉計での測定結果に基づきウェハの厚さを求めることができるから、光干渉計の性能を活かして高精度にウェハの厚さを測定できる。上記ウェハ厚さ測定装置は、基準測定点が1点でよいので、任意の部材を基準片に利用できる。
【0009】
他の一態様では、上述のウェハ厚さ測定装置において、前記既知な厚さをW0とし、前記位相数を整数Nとし、前記第1および第2光干渉計における測定光の波長をλとし、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位をWirefとし、前記第1および第2距離計基準測定結果に基づき求めた基準厚さをWmrefとし、前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位をWiとし、前記第1および第2距離計測定結果に基づき求めた厚さをWmとした場合、前記厚さ演算部は、Wm-Wmref-((Wi-Wiref)+N×(λ/2))を最小とする整数Nを求めることによって前記位相数Nを求め、((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+W0によって前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める。好ましくは、上述のウェハ厚さ測定装置において、前記基準片は、前記測定対象のウェハであり、前記基準測定点は、前記測定対象のウェハにおける所定の点であり、前記既知な厚さW0は、基準厚さWmrefであり、前記厚さ演算部は、((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+Wmrefによって前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める。
【0010】
このようなウェハ厚さ測定装置は、第1および第2光干渉計での測定結果を用いた((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+W0によって前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求めることができるから、光干渉計の性能を活かして高精度にウェハの厚さを測定できる。
【0011】
他の一態様では、これら上述のウェハ厚さ測定装置において、前記厚さ演算部は、前記ウェハ厚さ測定装置を校正する際に、所定の第1校正片における第1校正点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計基準校正測定結果、前記校正する際に、所定の第2校正片における第2校正点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計基準校正測定結果、前記校正後であって前記測定対象のウェハの厚さを測定する前に、前記第1校正点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計校正測定結果、前記測定する前に、前記第2校正点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計校正測定結果、前記第1および第2干渉計基準測定結果、前記第1および第2距離計基準測定結果、前記第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記第1および第2距離計測定結果に基づいて前記位相数を求めて、前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める。
【0012】
このようなウェハ厚さ測定装置は、校正片によって校正でき、第1および第2光干渉計や第1および第2距離計が例えば経年変化によって測定結果にドリフト(シフト)が生じた場合でも、それを補正(修正)したウェハの厚さを求めることができる。
【0013】
他の一態様では、上述のウェハ厚さ測定装置において、前記既知な厚さをW0とし、前記位相数を整数Nとし、前記第1および第2光干渉計における測定光の波長をλとし、前記第1および第2干渉計基準校正測定結果に基づき求めた基準校正変位をWicrefとし、前記第1および第2距離計基準校正測定結果に基づき求めた基準校正厚さをWmcrefとし、前記第1および第2干渉計校正測定結果に基づき求めた校正変位をWicとし、前記第1および第2距離計校正測定結果に基づき求めた校正厚さをWmcとし、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位をWirefとし、前記第1および第2距離計基準測定結果に基づき求めた基準厚さをWmrefとし、前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位をWiとし、前記第1および第2距離計測定結果に基づき求めた厚さをWmとした場合、前記厚さ演算部は、Wm-Wmref-(Wmc-Wmcref)-((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))を最小とする整数Nを求めることによって前記位相数を求め、((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+W0によって前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める。好ましくは、上述のウェハ厚さ測定装置において、前記基準片は、前記測定対象のウェハであり、前記基準測定点は、前記測定対象のウェハにおける所定の点であり、前記既知な厚さW0は、基準厚さWmrefであり、前記厚さ演算部は、((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+Wmrefによって前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める。
【0014】
このようなウェハ厚さ測定装置は、((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+W0によって、補正後の厚さを求めることができる。
【0015】
本発明の他の一態様にかかるウェハ厚さ測定方法は、測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置された1対の第1および第2光干渉計で、既知な厚さの基準測定点を持つ基準片における前記基準測定点を測定して第1および第2干渉計基準測定結果を取得する干渉計基準測定工程と、前記測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置され、絶対距離を測定する1対の第1および第2距離計で、前記基準測定点を測定して第1および第2距離計基準測定結果を取得する距離計基準想定工程と、前記測定対象のウェハにおける測定点を前記第1および第2光干渉計で測定して第1および第2干渉計測定結果を取得する干渉計測定工程と、前記測定点を前記第1および第2距離計で測定して第1および第2距離計測定結果を取得する距離計測定工程と、前記干渉計基準測定工程で取得した第1および第2干渉計基準測定結果、前記距離計基準測定工程で取得した第1および第2距離計基準測定結果、前記干渉計測定工程で取得した第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記距離計測定工程で取得した第1および第2距離計測定結果に基づいて、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位との間の位相数を求めて、前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める厚さ演算工程とを備える。
【0016】
このようなウェハ厚さ測定方法、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位との間の位相数を求めるので、第1および第2光干渉計での測定結果に基づきウェハの厚さを求めることができるから、光干渉計の性能を活かして高精度にウェハの厚さを測定できる。上記ウェハ厚さ測定方法は、基準測定点が1点でよいので、任意の部材を基準片に利用できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかるウェハ厚さ測定装置およびウェハ厚さ測定方法は、光干渉計の性能を活かして高精度にウェハの厚さを測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態におけるウェハ厚さ測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】前記ウェハ厚さ測定装置における第1ステージの構成を示す模式図である。
【
図3】前記ウェハ厚さ測定装置における搬送部の構成を示す模式図である。
【
図4】前記ウェハ厚さ測定装置における厚さの演算手法を説明するための図である。
【
図5】前記ウェハ厚さ測定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】前記ウェハ厚さ測定装置の第1変形形態を説明するための図である。
【
図7】前記ウェハ厚さ測定装置の第2変形形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0020】
実施形態におけるウェハ厚さ測定装置は、高精度に測定可能な光干渉計を主体に、例えば磁気ディスクの基板や集積回路の素材等のウェハの厚さを測定する装置である。このウェハ厚さ測定装置は、測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置された1対の第1および第2光干渉計と、前記測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置され、絶対距離を測定する1対の第1および第2距離計と、既知な厚さの基準測定点を持つ基準片における前記基準測定点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計基準測定結果、前記基準測定点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計基準測定結果、前記測定対象のウェハにおける測定点を前記第1および第2光干渉計で測定することによって得られた第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記測定点を前記第1および第2距離計で測定することによって得られた第1および第2距離計測定結果に基づいて、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位との間の位相数を求めて、前記測定点での測定対象のウェハの厚さを求める厚さ演算部とを備える。以下、このようなウェハ厚さ測定装置およびこれに実装されるウェハ厚さ測定方法について、より具体的に説明する。
【0021】
図1は、実施形態におけるウェハ厚さ測定装置の構成を示すブロック図である。
図2は、前記ウェハ厚さ測定装置における第1ステージの構成を示す模式図である。
図3は、前記ウェハ厚さ測定装置における搬送部の構成を示す模式図である。
図4は、前記ウェハ厚さ測定装置における厚さの演算手法を説明するための図である。
【0022】
なお、説明の便宜上、測定対象のウェハWAの一方面(一方主面)は、A面と適宜に呼称され、このA面と表裏関係にあるウェハWAの多方面(他方主面)は、B面と適宜に呼称される。
図1ないし
図3に示す例では、ウェハWAが第1および第2ステージ4、5に載置された場合に、A面は、上面であり、B面は、下面である。
【0023】
実施形態におけるウェハ厚さ測定装置Sは、例えば、
図1に示すように、A面光干渉計1Aと、B面光干渉計1Bと、A面距離計2Aと、B面距離計2Bと、演算制御部3と、第1ステージ4と、第2ステージ5と、搬送部6と、入力部7と、出力部8とを備える。
【0024】
A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bは、
図1ないし
図3に示すように、測定対象のウェハWAを介して互いに対向するように配置された光干渉計である。すなわち、A面光干渉計1Aは、ウェハWAのA面に対向配置され、B面光干渉計1Bは、ウェハWAのB面に対向配置され、これらA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bは、ウェハWAの表裏で同一の測定点を測定するように配置される。厚み測定に関する光干渉計は、可干渉な2個の第1および第2光を、第1および第2光路を伝播させた後に、干渉させ、これら第1光路の第1光路長と第2光路の第2光路長との差に応じて生じる位相差に基づいて前記第1および第2光路長差を求めるものであり、前記第1光を参照光とし、前記第2光を測定光とし、前記第2光路に測定対象が無い場合に前記第1および第2光路長を等しくして前記第2光路に測定対象を配置することによって、前記測定対象の厚さ変化量(変位量)を前記第1および第2光路長差として検出し、前記測定対象の厚さ変化量を測定するものである。このような光干渉計は、例えば、ヘテロダイン光干渉計、ホモダイン光干渉計およびフィゾー光干渉計等の種々の装置が知られている。前記へテロダイン光干渉計は、周波数の異なる2つのレーザ光を干渉させてそれらの差の周波数を持つビート信号を生成し、この生成したビート信号の位相変化を検波するものであり、このビート信号の位相変化は、前記2つのレーザ光の間における光路長の差に対応し、したがって、測定対象の厚さ変化量(変位量)に関係する。このようなヘテロダイン光干渉計を用いた厚さ測定に関する装置は、例えば、特開2008-180708号公報や特開2019-168339号公報等に開示されている。前記ホモダイン光干渉計は、前記へテロダイン光干渉計に対し、同一周波数とするために同一光源からのレーザ光を例えばビームスプリッタで2つに分配し、一方を参照光とし、他方を測定光とするものである。このようなホモダイン光干渉計を用いた厚さ測定に関する装置は、例えば、特開2010-197376号公報等に開示されている。前記フィゾー光干渉計は、測定光を、基準平面で反射する第1光路を伝播する第1測定光(参照光)と、測定対象の表面で反射する第2光路を伝播する第2測定光とに分配し、前記基準平面で反射した第1測定光と、前記測定対象の表面で反射した第2測定光とを干渉させるものである。このようなフィゾー干渉計を用いた厚さ測定に関する装置は、例えば、特開2016-095276号公報や特開2016-176784号公報等に開示されている。
【0025】
A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bには、本実施形態では、ヘテロダイン光干渉計が用いられ、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bは、それぞれ、演算制御部3に接続され、演算制御部3の制御に従って測定し、その測定結果を演算制御部3へ出力する。
【0026】
A面距離計2AおよびB面距離計2Bは、
図1ないし
図3に示すように、測定対象のウェハWA介して互いに対向するように配置され、絶対距離を測定する距離計である。すなわち、A面距離計2Aは、ウェハWAのA面に対向配置され、B面距離計2Bは、ウェハWAのB面に対向配置され、これらA面距離計2AおよびB面距離計2Bは、ウェハWAの表裏で同一の測定点を測定するように配置される。このような距離計には、例えば、静電容量センサ、共焦点センサ、三角測量センサおよび分光干渉レーザ変位計等が用いられる。A面距離計2Aは、演算制御部3に接続され、演算制御部3の制御に従って当該A面距離計2Aの配置位置からウェハWAのA面までの距離を測定し、その測定結果を演算制御部3へ出力する。B面距離計2は、演算制御部3に接続され、演算制御部3の制御に従って当該B面距離計2Bの配置位置からウェハWAのB面までの距離を測定し、その測定結果を演算制御部3へ出力する。前記測定点でのウェハWAの厚さTは、A面距離計2Aの配置位置とB面距離計2Bの配置位置との間の距離Labから、A面距離計2Aで測定したウェハWAのA面までの距離LaとB面距離計2Bで測定したウェハWAのB面までの距離Lbとを減算することによって求められる(T=Lab-(La+Lb))。
【0027】
第1ステージ4は、演算制御部3に接続され、演算制御部3の制御に従って、測定対象のウェハWAの厚さ方向に直交する水平方向にウェハWAを移動する装置である。第1ステージ4は、ウェハWAの厚さ方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を設定した場合に、X軸方向およびY軸方向にウェハWAを移動することができるXYステージであってもよいが、本実施形態では、ウェハWAが半導体ウェハである場合に、一般に、半導体ウェハが円盤状の形状であることから、第1ステージ4は、ウェハWAを回転移動することができるとともに、前記回転の径方向にも移動することができる装置である。
【0028】
このような第1ステージ4は、より具体的には、例えば、
図2に示すように、ウェハWAの振動による影響を受けることなく、ウェハWAの測定点MPにおける厚さを高精度にかつ高速に測定できるように、中央部材から径方向に延びる3個のアーム部材を備え、前記アーム部材の先端で、ウェハWAをその縁部(エッジ領域)において円周上の3箇所で3点支持する支持部44と、前記支持部44の中央部材に連結される回転軸41と、回転軸41を回転駆動する回転駆動部42と、回転駆動部42を所定の移動範囲内で直線移動する直線駆動部43とを備えている。これら回転駆動部42や直線駆動部43は、例えばサーボモータ等のアクチュエータや減速ギヤ等の駆動機構を備えて構成される。
【0029】
このような構成の第1ステージ4では、ウェハWAが支持部44における3個のアーム部材の各先端に載せられて支持部44によって3点支持される。そして、このようにウェハWAが第1ステージ4に載置された場合に、ウェハWAのA面およびB面がA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bによって測定することができるように、第1ステージ4がA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの配置位置に対して配設される。
【0030】
このような構成の第1ステージ4では、演算制御部3の制御に従って回転駆動部42が回転することで、回転軸41を介して支持部44が回転し、ウェハWAが回転軸41(支持部44の中央部材)を中心に回転する。そして、演算制御部3の制御に従って直線駆動部43が回転駆動部42を直線移動することで、ウェハWAが径方向に沿って移動する。このような回転駆動部42によるウェハWAの回転移動と、直線駆動部43によるウェハWAの直線方向の移動とを併用することによって、第1ステージ4の移動範囲内においてウェハWAの所望の測定点MPを測定できる。
【0031】
第2ステージ5は、演算制御部3に接続され、演算制御部3の制御に従って測定対象のウェハWAの厚さ方向に直交する水平方向にウェハWAを移動する装置であり、本実施形態では、第1ステージ4と同様に構成されている。ウェハWAが第2ステージ5に載置された場合に、ウェハWAのA面およびB面がA面距離計2AおよびB面距離計2Bによって測定することができるように、第2ステージ5がA面距離計2AおよびB面距離計2Bの配置位置に対して配設される。
【0032】
搬送部6は、演算制御部3に接続され、演算制御部3の制御に従って測定対象のウェハWAを第1および第2ステージ4、5の間で搬送する装置である。搬送部6は、より具体的には、例えば、
図3に示すように、測定対象のウェハWAを掴むアーム部64と、アーム部64をXY平面内で回転移動させる第1回転部63と、第1回転部63をXY平面内で回転移動させる第2回転部62と、第2回転部62を第1および第2ステージ4、5の間で移動させる移動部61とを備える搬送ロボット6により構成される。
【0033】
入力部7は、演算制御部3に接続され、例えば、厚さ測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、測定対象のウェハWAの名称(例えばシリアル番号等)等のウェハ厚さ測定装置Sを動作させる上で必要な各種データをウェハ厚さ測定装置Sに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチやキーボードやマウス等である。出力部8は、演算制御部3に接続され、演算制御部3の制御に従って、入力部7から入力されたコマンドやデータ、および、測定結果等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0034】
なお、入力部7および出力部8からいわゆるタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部7は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部8は、表示装置である。このタッチパネルでは、前記表示装置の表示面上に前記位置入力装置が設けられ、前記表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、前記位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容としてウェハ厚さ測定装置Sに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易いウェハ厚さ測定装置Sが提供される。
【0035】
演算制御部3は、ウェハ厚さ測定装置Sの各部を当該機能に応じて制御する回路であり、例えば、ウェハ厚さ測定装置Sの各部を当該機能に応じて制御するための制御プログラムやウェハWAの厚さをA面光干渉計1A、B面光干渉計1B、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの各出力に基づいて求める演算プログラム等の各種の所定のプログラム、および、前記所定のプログラムの実行に必要なデータ等の各種の所定のデータ等を記憶する、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、前記所定のプログラムを読み出して実行することによって所定の演算処理や制御処理を行うCPU(Central Processing Unit)、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる前記CPUのワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)、ならびに、これらの周辺回路を備えたマイクロコンピュータ等によって構成される。演算制御部3は、機能的に、厚さ演算部31およびステージ搬送制御部32を備えている。
【0036】
ステージ搬送制御部32は、ウェハWAにおける複数の測定点MPを測定するために、ウェハWAが厚さ方向に直交する水平方向に移動するように、第1ステージ4における回転駆動部42および直線駆動部43の各動作を制御し、第1および第2ステージ4、5の間でウェハWAを搬送するように、搬送部6における各部61~64を制御し、ウェハWAにおける複数の測定点MPを測定するために、ウェハWAが厚さ方向に直交する水平方向に移動するように、第2ステージ5における回転駆動部および直線駆動部の各動作を制御するものである。
【0037】
厚さ演算部31は、既知な厚さの基準測定点を持つ基準片における前記基準測定点をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって得られた第1および第2干渉計基準測定結果、前記基準測定点をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって得られた第1および第2距離計基準測定結果、測定対象のウェハWAにおける測定点を前記A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって得られた第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記測定点を前記A面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって得られた第1および第2距離計測定結果に基づいて、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位と前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位との間の位相数を求めて、前記測定点での測定対象のウェハWAの厚さを求めるものである。
【0038】
より具体的には、
図4に示すように、ウェハWAの厚さTが求められる。
図4には、既知な厚さの基準測定点を持つ基準片における前記基準測定点をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって得られた第1および第2距離計基準測定結果に基づき求めた基準厚さWmrefが示され、測定対象のウェハWAにおける測定点をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって得られた第1および第2距離計測定結果に基づき求めた厚さWmが示されている。基準厚さWmrefは、上述したように、A面距離計2Aの配置位置とB面距離計2Bの配置位置との間の距離から、A面距離計2Aで測定したウェハWAのA面までの距離(第1距離計基準測定結果)とB面距離計2Bで測定したウェハWAのB面までの距離(第2距離計基準測定結果)とを減算することによって求められ、同様に、厚さWmは、A面距離計2Aの配置位置とB面距離計2Bの配置位置との間の距離から、A面距離計2Aで測定したウェハWAのA面までの距離(第1距離計測定結果)とB面距離計2Bで測定したウェハWAのB面までの距離(第2距離計測定結果)とを減算することによって求められる。同様に、前記基準測定点をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって得られた第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位Wirefが示され、前記測定点をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって得られた第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位Wiが示されている。ヘテロダイン光干渉計を用いた変位測定では、測定光のビート信号強度をIsとし、参照光のビート信号強度をIrとし、2つのレーザ光の周波数をそれぞれf1、f2とし、測定光のビート信号と参照光のビート信号との位相差をφとし、基準光の波長をλsとし、ヘテロダイン光干渉計と測定対象との間の変位をzとすると、次式1ないし式4が成り立ち、変位zが求められる。ここで、測定光のビート信号および参照光のビート信号は、周波数f1、f2の光の干渉によって生成され、周波数f1、f2の光は、波長λsの基準光を変調して生成したものである。また、周波数f1、f2の光を生成後、参照光は、周波数f1、f2の光をそのまま干渉させたもので、測定光は、周波数f1、f2のどちらか一方の光がウェハ表面で反射する光路を通った後に干渉したものとする。
式1;Is∝I
0×cos(△ωt-φ)
式2;Ir∝I
0×cos(△ωt)
式3;△ω=2π|f1-f2|
式4;φ=(4π/λs)×z
図4に示す基準変位Wirefおよび変位Wiは、それぞれ、上記式4の位相φをA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで足し合わせ、0~2πの範囲で規格化し、さらに、λs/4πを乗算して変位zに変換することによって求められた。
【0039】
なお、これら基準厚さWmref、厚さWm、基準変位Wirefおよび変位Wiそれぞれを表す丸印(○、●)の大きさは、測定精度を象徴的に表している。A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bによって測定される変位の測定精度は、A面距離計2AおよびB面距離計2Bによって測定される厚さの測定精度より高精度であり、例えば、A面距離計2AおよびB面距離計2Bによって測定される厚さの測定精度は、10nm程度であり、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bによって測定される変位の測定精度は、1nm程度である。
【0040】
光干渉計では、測定光の波長をλ(例えばヘリウムネオンレーザ光の波長λ=632.8nm等)とすると、±λ/4(上記の例では±158.2nm等)の範囲でしか測定できないため、厚さがλ/2以上で異なるウェハWAを測定しても、
図4に示すように、±λ/4の範囲での測定結果となる。このため、光干渉計を用いた変位の測定には、通常、或る点の厚さを測定して光位相接続することによって、前記或る点を基準とした相対的な変位が±λ/4の範囲を超えて求められている。本実施形態では、
図4から分かるように、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位Wirefと前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位Wiとの間の位相数を整数Nとし、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで求めた測定結果とA面距離計2AおよびB面距離計2Bで求めた測定結果との間の誤差をεとすると、次式5が成り立つ。
式5;|ε|=Wm-Wmref-((Wi-Wiref)+N×(λ/2))
したがって、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定精度がλ/4に対して1/2以下であれば、Wm-Wmref-((Wi-Wiref)+N×(λ/2))を最小とする整数Nを求めることによって前記位相数Nが求められる。前記位相数Nが求められれば、前記既知な厚さをW0とすると、前記測定点での測定対象のウェハWAの厚さTは、次式6によって求められる。
式6;T=((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+W0
【0041】
ここで、既知な厚さの基準測定点を持つ基準片を用いることによって、上記式6により、ウェハWAの厚さTは、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定精度に影響されずに求めることができ、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定精度で測定できる。しかしながら、上述の算出方法から分かるように、位相数Nを求める際に、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定精度が排除されている。このため、前記基準片は、前記測定対象のウェハであり、前記基準測定点は、前記測定対象のウェハにおける所定の点であり、前記既知な厚さW0は、基準厚さWmrefであり、ウェハWAの厚さTが次式7によって求められてよく、この場合でも、ウェハWAの厚さTは、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定精度に影響されずに求めることができ、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定精度で測定できる。
式7;T=((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+Wmref
【0042】
なお、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bは、測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置された1対の第1および第2光干渉計の一例に相当し、A面距離計2AおよびB面距離計2Bは、前記測定対象のウェハを介して互いに対向するように配置され、絶対距離を測定する1対の第1および第2距離計の一例に相当する。
【0043】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図5は、前記ウェハ厚さ測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0044】
例えば、図略の電源スイッチがオンされると、ウェハ厚さ測定装置Sが起動され、演算制御部3によって必要な各部の初期化が行われ、演算制御部3には、厚さ演算部31およびステージ搬送制御部32が機能的に構成される。
【0045】
実施形態におけるウェハ厚さ測定装置Sでは、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bを用いた測定と、A面距離計2AおよびB面距離計2Bを用いた測定とは、同じ位置の測定点MPに対し、実施される必要がある。このため、測定前に、正確に位置決めが実施される。まず、XY方向の位置決めでは、第1ステージ4の中心に、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bにおける各測定スポット(測定光の照射箇所(照射位置))が位置するように、機械的に調整される。同様に、第2ステージ5の中心に、A面距離計2AおよびB面距離計2Bにおける各測定スポットが位置するように、機械的に調整される。そして、ウェハWAを第1ステージ4に搬送した場合に、第1ステージ4の中心に、ウェハWAの中心が位置してクランプされるように、搬送部6が調整され、ウェハWAを第2ステージ4に搬送した場合に、第2ステージ4の中心に、ウェハWAの中心が位置してクランプされるように、搬送部6が調整される。回転方向の位置決めでは、ウェハWAのけがき位置を、例えば図略のカメラ等によって検出し、この検出したけがき位置が予め設定された初期位置に位置するように、第1ステージ4が駆動される。同様に、ウェハWAのけがき位置を、例えば図略のカメラ等によって検出し、この検出したけがき位置が予め設定された初期位置に位置するように、第2ステージ5が駆動される。けがき位置は、例えばウェハWAが半導体ウェハである場合、300mm以上では、けがき位置を表すノッチと呼ばれる切り欠きが前記半導体ウェハに形成されており、200mm以下では、ウェハの結晶方位を示すオリフラ(オリエンテーション フラット)が前記半導体ウェハに形成されており、このオリフラがけがき位置として利用できる。
【0046】
このような位置決めの調整後に、例えば入力部7から測定開始を指示するコマンドを受け付けると、
図5において、ウェハ厚さ測定装置Sは、演算制御部3のステージ搬送制御部32によって、予め設定されたウェハWAの基準測定点MP0に、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定スポットが位置するように、第1ステージ4を駆動し、前記基準測定点MP0をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定する(S1)。これによって第1および第2干渉計基準測定結果が得られる。
【0047】
次に、ウェハ厚さ測定装置Sは、ステージ搬送制御部32によって、予め設定されたウェハWAの各測定点MPkに、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定スポットが位置するように、第1ステージ4を駆動し、前記各測定点MPkをA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定する(S2)。これによって第1および第2干渉計測定結果が得られる。
【0048】
より具体的には、例えば、本実施形態では、ステージ搬送制御部32は、第1ステージ4の回転駆動部42を制御することによってウェハWAを回転させつつ、第1ステージ4の直線駆動部43を制御することによってウェハWAを直線方向に移動させる。このようなステージ搬送制御部32による第1ステージ4を制御している間に、演算制御部3は、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定スポットが予め設定された所定の位置(測定点)MPになるごとに、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定する。このような動作によって、複数の測定点MPkの軌跡が螺旋を描くように、ウェハWAにおける各測定点MPkで第1および第2干渉計測定結果が得られる。あるいは、例えば、ステージ搬送制御部32は、第1ステージ4の回転駆動部42を制御することによってウェハWAを回転させつつ、この間に、演算制御部3は、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定スポットが予め設定された所定の位置(測定点)MPになるごとに、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定する。続いて、ウェハWAが1回転したところで、第1ステージ4の直線駆動部43を制御することによってウェハWAを直線方向に所定の距離だけ移動させる。そして、この直線方向に所定の距離だけ移動したところで、上述と同様に、演算制御部3は、ウェハWAを回転させつつ、この間に、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定する。このような動作によって、半径の異なる円周上の各位置での各測定点MPkで第1および第2干渉計測定結果が得られる。
【0049】
ウェハWAの基準測定点MP0は、ウェハWA上に適宜に設定されてよいが、上述のように測定される各測定点MPkの最初の測定点MP1がウェハWAの基準測定点MP0とされてもよい。これにより処理S1および処理S2がスムーズに連続的に実行できる。
【0050】
次に、ウェハ厚さ測定装置Sは、ステージ搬送制御部32によって、ウェハWAを第1ステージ4から第2ステージ5へ搬送する(S3)。
【0051】
次に、ウェハ厚さ測定装置Sは、ステージ搬送制御部32によって、前記基準測定点MP0に、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定スポットが位置するように、第2ステージ5を駆動し、前記基準測定点MP0をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定する(S4)。これによって第1および第2距離計基準測定結果が得られる。
【0052】
次に、ウェハ厚さ測定装置Sは、ステージ搬送制御部32によって、前記各測定点MPkに、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定スポットが位置するように、第2ステージ4を駆動し、前記各測定点MPkをA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定する(S5)。これによって第1および第2距離計測定結果が得られる。
【0053】
次に、ウェハ厚さ測定装置Sは、演算制御部3の厚さ演算部31によって、処理S1で前記基準測定点MP0を前記A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって得られた第1および第2干渉計基準測定結果、処理S4で前記基準測定点MP0を前記A面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって得られた第1および第2距離計基準測定結果、処理S2で各測定点MPkを前記A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって得られた前記各測定点MPkの第1および第2干渉計測定結果、ならびに、処理S5で各測定点MPkを前記A面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって得られた前記各測定点MPkの第1および第2距離計測定結果に基づいて、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位Wirefと前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位Wiとの間の位相数Nを求めて、前記各測定点MPkでのウェハWAの各厚さTkを求める(S6)。本実施形態では、前記各測定点MPkそれぞれにおいて、Wm-Wmref-((Wi-Wiref)+N×(λ/2))を最小とする整数Nが求められ、((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+WmrefによってウェハWAの厚さTが求められる。
【0054】
そして、ウェハ厚さ測定装置Sは、処理S6で求めた記各測定点MPkでのウェハWAの各厚さTkを出力部8に出力し、本処理を終了する(S7)。
【0055】
以上説明したように、実施形態におけるウェハ厚さ測定装置Sおよびこれに実装されたウェハ厚さ測定方法は、前記第1および第2干渉計基準測定結果に基づき求めた基準変位Wirefと前記第1および第2干渉計測定結果に基づき求めた変位Wiとの間の位相数Nを求めるので、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bでの測定結果に基づきウェハWAの厚さTを求めることができるから、光干渉計の性能を活かして高精度にウェハWAの厚さTを測定できる。上記ウェハ厚さ測定装置Sおよびウェハ厚さ測定方法は、例えば、数ナノメートルの精度でウェハWAの厚さを測定できる。上記ウェハ厚さ測定装置Sおよびウェハ厚さ測定方法は、基準測定点が1点でよいので、任意の部材を基準片に利用できる。
【0056】
上記ウェハ厚さ測定装置Sおよびウェハ厚さ測定方法は、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bを用いた((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+W0、上述の例では((Wi-Wiref)+N×(λ/2))+Wmrefによって前記測定点MPでの測定対象のウェハWAの厚さTを求めることができるから、光干渉計の性能を活かして高精度にウェハWAの厚さTを測定できる。
【0057】
なお、上述の実施形態において、ウェハ厚さ測定装置Sは、例えば、
図6に示すように、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bを校正するための第1校正片CB1およびA面距離計2AおよびB面距離計2Bを校正するための第2校正片CB2をさらに備え、これら第1および第2校正片CB1、CB2によって校正されてもよい。
【0058】
図6は、前記ウェハ厚さ測定装置の第1変形形態を説明するための図である。このような第1変形形態におけるウェハ厚さ測定装置Sでは、より具体的には、予め適宜な部材が第1および第2校正片CB1、CB2として用意され、第1校正片CB1がA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定可能な位置に配置され、第2校正片CB2がA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定可能な位置に配置される。例えば、第1校正片CB1は、第1ステージ4の支持部44における3個のアーム部材のうちのいずれか1つのアーム部材に、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定可能に取り付けられる。同様に、第2校正片CB2は、第2ステージ4の支持部における3個のアーム部材のうちのいずれか1つのアーム部材に、A面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定可能に取り付けられる。
【0059】
そして、厚さ演算部31は、ウェハ厚さ測定装置Sを校正する際に、第1校正片CB1における第1校正点をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって得られた第1および第2干渉計基準校正測定結果、前記校正する際に、第2校正片CB2における第2校正点をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって得られた第1および第2距離計基準校正測定結果、前記校正後であって測定対象のウェハWAの厚さTを測定する前に、前記第1校正点を前記A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって得られた第1および第2干渉計校正測定結果、前記測定する前に、前記第2校正点を前記A面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって得られた第1および第2距離計校正測定結果、前記第1および第2干渉計基準測定結果、前記第1および第2距離計基準測定結果、前記第1および第2干渉計測定結果、ならびに、前記第1および第2距離計測定結果に基づいて前記位相数Nを求めて、前記測定点での測定対象のウェハWAの厚さTを求める。
【0060】
より具体的には、前記第1および第2干渉計基準校正測定結果に基づき求めた基準校正変位をWicrefとし、前記第1および第2距離計基準校正測定結果に基づき求めた基準校正厚さをWmcrefとし、前記第1および第2干渉計校正測定結果に基づき求めた校正変位をWicとし、前記第1および第2距離計校正測定結果に基づき求めた校正厚さをWmcとすると、上述の式5と同様に、次式8が成り立つから、Wm-Wmref-(Wmc-Wmcref)-(((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref)))を最小とする整数Nを求めることによって前記位相数Nが求められ、前記測定点MPでの測定対象のウェハWAの厚さTは、次式9によって求められる。あるいは、前記測定点MPでの測定対象のウェハWAの厚さTは、次式10によって求められてもよい。
式8;|ε|=Wm-Wmref-(Wmc-Wmcref)-((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))
式9;T=((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+W0
式10;T=((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+Wmref
【0061】
このようなウェハ厚さ測定装置Sでは、校正時として、例えば、出荷段階にメーカによって、あるいは、例えば、納品後測定開始前にユーザによって、第1校正片CB1における第1校正点をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定することによって第1および第2干渉計基準校正測定結果が得られ、第2校正片CB2における第2校正点をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定することによって第1および第2距離計基準校正測定結果が得られ、これら第1および第2干渉計基準校正測定結果ならびに第1および第2距離計基準校正測定結果が演算制御部3に記憶される。
【0062】
そして、測定の際には、
図5を用いて上述した処理S1の前に、第1校正点に、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定スポットが位置するように、第1ステージ4を駆動し、前記第1校正点をA面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定する処理が実施される。これによって第1および第2干渉計校正測定結果が得られる。続いて、
図5を用いて上述した処理S1ないし処理S3の各処理が順次に実施される。続いて、
図5を用いて上述した処理S4の前に、第2校正点に、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定スポットが位置するように、第2ステージ5を駆動し、前記第2校正点をA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定する処理が実施される。これによって第1および第2距離計校正測定結果が得られる。続いて、
図5を用いて上述した処理S4ないし処理S6の各処理が順次に実施される。この処理S6では、厚さ演算部31は、Wm-Wmref-(Wmc-Wmcref)-((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))を最小とする整数Nを前記位相数Nとして求め、((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+Wmrefによって前記測定点MPでのウェハWAの厚さTを求める。そして、
図5を用いて上述した処理S7が実施され、測定が終了される。
【0063】
このようなウェハ厚さ測定装置Sおよびウェハ厚さ測定方法は、第1および第2校正片CB1、CB2によって校正でき、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1BやA面距離計2AおよびB面距離計2Bが例えば経年変化によって測定結果にドリフト(シフト)が生じた場合でも、それを補正(修正)したウェハWAの厚さTを求めることができる。上記ウェハ厚さ測定装置Sおよびウェハ厚さ測定方法は、((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+W0、上述の例では((Wi-Wiref)+N×(λ/2)-(Wic-Wicref))+Wmrefによって、補正後のウェハWAの厚さTを求めることができる。
【0064】
また、上述の実施形態では、ウェハ厚さ測定装置Sは、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1B用に、第1ステージ4を備え、A面距離計2AおよびB面距離計2B用に、第2ステージ5を備え、これら第1および第2ステージ4、5間でのウェハWAの搬送用に搬送部6を備えたが、第1および第2ステージ4、5を、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1B用ならびにA面距離計2AおよびB面距離計2B用に、1つのステージに纏めてもよい。これによれば、第2ステージ5および搬送部6が省略でき、第2ステージ5の位置決めも省略できる。
【0065】
図7は、前記ウェハ厚さ測定装置の第2変形形態を説明するための図である。このような第2変形形態におけるウェハ厚さ測定装置Sでは、より具体的には、例えば、
図7に示すように、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1BならびにA面距離計2AおよびB面距離計2Bは、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定スポットが図略のステージに載置されたウェハWA上に位置するとともに、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定スポットが前記ウェハWA上に位置するように、配置される。前記図略のステージは、例えば、
図2に示す第1ステージ4と同構成である。そして、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bの測定スポットの位置と、A面距離計2AおよびB面距離計2Bの測定スポットの位置との位置関係が演算制御部3に記憶される。演算制御部3は、前記位置関係に基づいて、A面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定した測定点とA面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定した測定点とが互いに一致するように、前記図略のステージを駆動する。
【0066】
なお、
図7に示すように、第1および第2校正片CB1、CB2が用いられてよく、この場合では、例えば、第1校正片CB1は、前記図略のステージの支持部における3個のアーム部材のうちのいずれか1つのアーム部材に、A面光干渉計1AおよびB面光干渉計1Bで測定可能に取り付けられ、第2校正片CB2は、前記図略のステージの支持部における3個のアーム部材のうちのいずれか他の1つのアーム部材に、A面距離計2AおよびB面距離計2Bで測定可能に取り付けられる。
【0067】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0068】
S ウェハ厚さ測定装置
1A A面光干渉計(第1光干渉計の一例)
1B B面光干渉計(第2光干渉計の一例)
2A A面距離計(第1距離計の一例)
2B B面距離計(第2距離計の一例)
3 演算制御部
4 第1ステージ
5 第2ステージ
6 搬送部
31 厚さ演算部