(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070875
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】エレベータ停止装置及びエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 5/22 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
B66B5/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183271
(22)【出願日】2021-11-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 優馬
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304CA13
3F304DA43
3F304DA45
(57)【要約】
【課題】 上板が変形することを抑制することができるエレベータ停止装置を提供する。
【解決手段】 エレベータ停止装置は、移動体に固定される本体と、本体に取り付けられるベース体と、レールを横方向で挟むために、ベース体に対して上下方向へ移動する挟み体と、を備え、本体は、挟み体よりも上方に配置される上板を備え、上板は、レールを内部に挿入する開口を備え、ベース体は、上面が上板の下面に接するベース本体部と、ベース本体部の上端部から横方向へ突出し、挟み体の上面を当て止めするために、挟み体と上板との間に配置される当止部と、を備え、ベース体と上板とが上下方向で接する面積は、挟み体の上面と上板の下面とが上下方向視で重なる面積よりも、大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に固定される本体と、
前記本体に取り付けられるベース体と、
レールを横方向で挟むために、前記ベース体に対して上下方向へ移動する挟み体と、を備え、
前記本体は、前記挟み体よりも上方に配置される上板を備え、
前記上板は、前記レールを内部に挿入する開口を備え、
前記ベース体は、
上面が前記上板の下面に接するベース本体部と、
前記ベース本体部の上端部から前記横方向へ突出し、前記挟み体の上面を当て止めするために、前記挟み体と前記上板との間に配置される当止部と、を備え、
前記ベース体と前記上板とが上下方向で接する面積は、前記挟み体の上面と前記上板の下面とが上下方向視で重なる面積よりも、大きい、エレベータ停止装置。
【請求項2】
前記ベース体は、前記当止部から前記ベース本体部まで延びる補強部を備える、請求項1に記載のエレベータ停止装置。
【請求項3】
前記補強部は、前記当止部から前記ベース本体部まで前記横方向へ延びるように、前記当止部の上面及び前記ベース本体部の上面から上方へ突出し、
前記上板は、前記補強部が内部に挿入され且つ前記補強部を前記横方向へ案内する案内孔を備える、請求項2に記載のエレベータ停止装置。
【請求項4】
前記ベース体と前記上板とが上下方向で接する面積は、前記補強部の上下方向視の面積よりも、大きい、請求項3に記載のエレベータ停止装置。
【請求項5】
前記ベース体の硬度は、前記上板の硬度よりも、大きい、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ停止装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のエレベータ停止装置を備える、エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータ停止装置及びエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータ停止装置は、かごに固定される本体と、本体に取り付けられるベース体と、レールを横方向で挟むために、ベース体に対して上下方向へ移動する挟み体とを備えている。本体は、挟み体よりも上方に配置される上板を備え、上板は、レールを内部に挿入する開口を備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、挟み体が上方へ移動し、挟み体がレールを横方向で挟むときに、挟み体の上面は、上板の開口付近の部分に当たる。そして、例えば、挟み体が上板に当たるときの力が、大きいときに、上板が開口付近の部分で変形する場合がある。これにより、例えば、エレベータ停止装置を交換する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、上板が変形することを抑制することができるエレベータ停止装置及びエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータ停止装置は、移動体に固定される本体と、前記本体に取り付けられるベース体と、レールを横方向で挟むために、前記ベース体に対して上下方向へ移動する挟み体と、を備え、前記本体は、前記挟み体よりも上方に配置される上板を備え、前記上板は、前記レールを内部に挿入する開口を備え、前記ベース体は、上面が前記上板の下面に接するベース本体部と、前記ベース本体部の上端部から前記横方向へ突出し、前記挟み体の上面を当て止めするために、前記挟み体と前記上板との間に配置される当止部と、を備え、前記ベース体と前記上板とが上下方向で接する面積は、前記挟み体の上面と前記上板の下面とが上下方向視で重なる面積よりも、大きい。
【0007】
また、エレベータ停止装置においては、前記ベース体は、前記当止部から前記ベース本体部まで延びる補強部を備える、という構成でもよい。
【0008】
また、エレベータ停止装置においては、前記補強部は、前記当止部から前記ベース本体部まで前記横方向へ延びるように、前記当止部の上面及び前記ベース本体部の上面から上方へ突出し、前記上板は、前記補強部が内部に挿入され且つ前記補強部を前記横方向へ案内する案内孔を備える、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータ停止装置においては、前記ベース体と前記上板とが上下方向で接する面積は、前記補強部の上下方向視の面積よりも、大きい、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータ停止装置においては、前記ベース体の硬度は、前記上板の硬度よりも、大きい、という構成でもよい。
【0011】
また、エレベータは、前記のエレベータ停止装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るエレベータの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るエレベータ停止装置の正面図である。
【
図3】
図3は、同エレベータ停止装置の平面図であって、一部が
図2のIII-III線断面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るベース体の正面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係るエレベータ停止装置の平面図であって、挟み体が上方へ移動した状態を示す図である。
【
図9】
図9は、同エレベータ停止装置の平面図であって、挟み体とベース体との位置を示す図である。
【
図10】
図10は、同エレベータ停止装置の平面図であって、ベース体と上板との位置を示す図である。
【
図11】
図11は、同エレベータ停止装置の平面図であって、挟み体と上板との位置を示す図である。
【
図12】
図12は、他の実施形態に係るベース体の要部正面図である。
【
図13】
図13は、さらに他の実施形態に係るエレベータ停止装置の平面図である。
【
図14】
図14は、さらに他の実施形態に係るエレベータ停止装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、エレベータ及びエレベータ停止装置における一実施形態について、
図1~
図11を参照しながら説明する。なお、各図(
図12~
図14も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0014】
図1に示すように、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、人が乗るためのかご2と、かご2に接続されるかごロープ3と、かごロープ3に接続される釣合錘4と、かごロープ3を駆動してかご2を走行させるかご駆動部5と、かご2を案内するかごレール6と、釣合錘4を案内する錘レール7とを備えていてもよい。
【0015】
本実施形態に係るエレベータ1は、かご駆動部5が巻上装置5であるロープ式の駆動方式である、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ1は、かご駆動部5が油圧装置である油圧式の駆動方式である、という構成でもよく、また、かご駆動部5がリニアモータであるリニアモータ式の駆動方式である、という構成でもよい。
【0016】
また、本実施形態に係るエレベータ1においては、巻上装置5は、昇降路X1の上部に設けられる機械室X2の内部に配置されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、巻上装置5は、昇降路X1内に配置されている、という構成でもよい。なお、巻上装置5は、例えば、かごロープ3が巻き掛けられる綱車と、綱車を駆動する駆動源(例えば、モータ)とを備えていてもよい。
【0017】
また、本実施形態においては、かごロープ3の一端がかご2に固定され、かごロープ3の他端が釣合錘4に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ3の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ3がかご2のシーブ及び釣合錘4のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ3がかご2及び釣合錘4にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0018】
また、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご2の走行速度を検出する調速機8と、かごレール6にかご2を停止させるエレベータ停止装置(以下、単に「停止装置」ともいう)9と、調速機8の動作を停止装置9に伝達する伝達部10とを備えていてもよい。
【0019】
調速機8は、例えば、本実施形態のように、伝達部10によってかご2に接続される無端環状のガバナロープ8aと、かご2の速度を検出するために、ガバナロープ8aが巻き掛けられるガバナ車8bと、ガバナロープ8aに張力を付与するために、ガバナロープ8aに吊り下げられる張り車8cと、ガバナロープ8aを把持する把持部8dとを備えていてもよい。これにより、調速機8は、ガバナ車8bの回転速度に基づいて、かご2の走行速度を検出する。
【0020】
かご2は、例えば、本実施形態のように、乗客を内部に乗せるかご室2aと、かご室2aを支持するかご枠2bとを備えていてもよい。伝達部10は、例えば、本実施形態のように、複数のリンク10aを備えており、複数のリンク10aは、かご枠2bに可動に接続されている、という構成でもよい。
【0021】
停止装置9は、例えば、本実施形態のように、上下方向D3へ移動する移動体2,4のうち、かご2のみに取り付けられ、釣合錘4に取り付けられていなくてもよい。なお、例えば、停止装置9は、かご2及び釣合錘4の両方に取り付けられている、という構成でもよく、また、例えば、停止装置9は、釣合錘4のみに取り付けられ、かご2に取り付けられていない、という構成でもよい。
【0022】
なお、停止装置9が釣合錘4に取り付けられている、という構成においては、ガバナロープ8aは、釣合錘4と接続され、停止装置9は、釣合錘4を錘レール7に停止させる、という構成でもよい。
【0023】
図2及び
図3に示すように、停止装置9は、例えば、本実施形態のように、かご2のかご枠2bに固定される本体11と、本体11に対して可動な可動部12と、可動部12に力を加える加力部13と、可動部12に固定されることによって、本体11に取り付けられるベース体14と、かごレール6を第1横方向D1で挟むために、ベース体14に対して上下方向D3へ移動する挟み体15と、ベース体14と挟み体15とを接続する接続体16と、ベース体14及び挟み体15間に配置される軸受体17とを備えていてもよい。
【0024】
なお、
図2(
図8も同様)においては、一方(
図2において右方)の接続体16は、図示していない。また、
図3においては、停止装置9の一方側(
図3においては左側)は、
図2のIII-III線における断面を図示している。特に限定されないが、停止装置9の構成は、例えば、本実施形態のように、上下方向D3に沿って延びる基準線に対して対称(
図2及び
図3においては、左右対称)であってもよい。
【0025】
各図において、第1方向D1は、第1横方向D1であり、第2方向D2は、第1横方向D1と直交する第2横方向D2であり、第3方向D3は、上下方向D3である。そして、停止装置9(具体的には、挟み体15)が第1横方向D1でかごレール6を挟むため、第1横方向D1は、挟み方向D1ともいう。
【0026】
本体11は、例えば、本実施形態のように、挟み体15よりも上方に配置される上板18と、上板18よりも下方に配置される下板19とを備えていてもよい。上板18は、例えば、本実施形態のように、かごレール6を内部に挿入する開口18aを備えていてもよい。特に限定されないが、上板18及び下板19のそれぞれは、例えば、締結手段(ボルト及びナット等)によって、かご枠2bの枠材2c,2dに固定されていてもよい。
【0027】
一対の可動部12,12は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1において、かごレール6を挟むようにして配置されていてもよい。また、ベース体14は、例えば、本実施形態のように、可動部12に固定されていてもよい。これにより、ベース体14は、可動部12と一体となって、本体11の上板18及び下板19に対して可動である。
【0028】
ベース体14は、例えば、本実施形態のように、可動部12と別体であり、締結手段等(例えば、ボルト及びナット)によって、可動部12に固定されている、という構成でもよい。なお、ベース体14は、例えば、可動部12と分離不能に一体である、という構成でもよい。
【0029】
加力部13は、例えば、本実施形態のように、弾性変形することによって、可動部12,ベース体14及び挟み体15に第1横方向D1への力を加える、という構成でもよい。これにより、挟み体15は、かごレール6を第1横方向D1で挟むことができる。なお、加力部13の構成は、特に限定されず、例えば、加力部13は、圧力媒体が封入されたピストンである、という構成でもよい。
【0030】
また、可動部12及び加力部13は、例えば、本実施形態のように、分離不能に一体であってもよい。特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、停止装置9は、U字状に形成される弾性体9aを備え、弾性体9aは、本体11に固定される固定部20を中央に備え、可動部12は、弾性体9aの両先端部に配置され、弾性を有する加力部13は、固定部20と可動部12との間に配置され、固定部20と可動部12とを接続する、という構成でもよい。
【0031】
ベース体14は、例えば、本実施形態のように、軸受体17を介して、挟み体15を案内するベース本体部21を備えていてもよい。例えば、本実施形態のように、ベース本体部21の上面21aは、上板18の下面18bに接し、ベース本体部21の下面21bは、下板19の上面19aに接する、という構成でもよい。これにより、上板18及び下板19は、ベース本体部21を上下方向D3で挟んでいる。
【0032】
例えば、本実施形態のように、ベース本体部21は、挟み体15を案内するために、軸受体17に接する案内面21cを備え、挟み体15は、ベース本体部21に案内されるために、軸受体17に接する被案内面15aを備えている、という構成でもよい。これにより、案内面21c及び被案内面15aは、対向して配置され、軸受体17を第1横方向D1で挟んでいる。
【0033】
そして、案内面21c及び被案内面15aのそれぞれは、例えば、上方へ行くにつれてかごレール6へ近づくように、配置されていてもよい。これにより、案内面21c及び被案内面15aは、互いに平行(完全に平行だけでなく、±5°以下で交差する略平行も含む。以下同様。)となるように配置されている。
【0034】
挟み体15は、例えば、本実施形態のように、かごレール6に加圧して接する挟み面15bを備えていてもよい。挟み面15bは、例えば、かごレール6と平行となるように、配置されていてもよい。これにより、挟み体15がベース体14に対して上方へ移動することに伴って、ベース本体部21が軸受体17を介して挟み体15を案内するため、挟み体15の挟み面15bは、かごレール6に近づくことになる。
【0035】
接続体16は、例えば、本実施形態のように、図示していない締結手段等(例えば、ボルト及びナット)によってベース体14に固定されており、接続体16及び挟み体15は、接続体16が挟み体15を案内するように、互いに係合する係合部16a,15cを備えている、という構成でもよい。これにより、接続体16は、ベース体14と挟み体15とを接続している。
【0036】
そして、例えば、本実施形態のように、第1係合部15c(本実施形態においては、挟み体15の係合部15c)は、上下方向D3に延びる溝であり、第2係合部16a(本実施形態においては、接続体16の係合部16a)は、第1係合部15cの内部に挿入される突条である、という構成でもよい。これにより、挟み体15の係合部15cは、接続体16の係合部16aに、上下方向D3へ案内される。
【0037】
軸受体17は、例えば、本実施形態のように、転動する複数の転動部17aを備えていてもよい。これにより、挟み体15は、ベース体14に対して円滑に移動することができる。なお、軸受体17は、例えば、ベース体14及び挟み体15のそれぞれに対して可動であってもよい。
【0038】
ところで、挟み体15がベース体14に対して上下方向D3へ移動することに対して、
図2~
図7に示すように、ベース体14は、例えば、本実施形態のように、挟み体15の上面15dを当て止めするために、挟み体15と上板18との間に配置される当止部22と、当止部22を補強するために、当止部22からベース本体部21まで延びる補強部23とを備えていてもよい。
【0039】
当止部22は、例えば、本実施形態のように、ベース本体部21の上端部から、かごレール6へ向けて第1横方向D1へ、平板状に突出していてもよい。これにより、当止部22が上下方向D3視で挟み体15の上面15dと重なっているため、挟み体15の上面15dは、当止部22に当て止めされる。したがって、当止部22は、挟み体15の上方への移動を規制することができる。
【0040】
補強部23は、例えば、本実施形態のように、当止部22の上面22a及びベース本体部21の上面21aから上方へ突出し、第1横方向D1へ延びていてもよい。これにより、補強部23が、当止部22の上面22a及びベース本体部21の上面21aに亘って配置されているため、当止部22が補強部23によって補強されている。したがって、挟み体15の上面15dが当止部22に当て止めされたときに、当止部22が変形することを抑制することができる。
【0041】
なお、本実施形態においては、補強部23は、当止部22の上面22aの第1横方向D1の一部で且つベース本体部21aの上面21aの第1横方向D1の全部に、配置されているが、補強部23の配置は、特に限定されない。例えば、補強部23は、当止部22の上面22aにも、第1横方向D1の全部に配置されていてもよい。また、例えば、補強部23は、ベース本体部21aの上面21aも、第1横方向D1の一部に配置されていてもよい。
【0042】
そして、上板18は、例えば、本実施形態のように、補強部23を第1横方向D1へ案内する案内孔18cを備えていてもよい。そして、例えば、本実施形態のように、案内孔18cは、第1横方向D1へ延びており、補強部23は、案内孔18cの内部に挿入されていてもよい。
【0043】
これにより、加力部13が弾性変形することによって、可動部12及びベース体14が本体11に対して移動するときに、案内孔18cは、補強部23を第1横方向D1へ案内する。したがって、ベース体14及び挟み体15が本体11に対して第1横方向D1へ移動するため、挟み体15は、第1横方向D1でかごレール6を挟むことができる。このように、補強部23は、当止部22を補強する機能だけでなく、ベース体14を第1横方向D1へ案内する機能も有している。
【0044】
なお、例えば、本実施形態のように、ベース体14は、ベース本体部21の下面21bから下方へ突出する被案内部24を備えており、下板19は、被案内部24を内部に挿入して且つ被案内部24を第1横方向D1へ案内する凹状の案内部19bを備えていてもよい。これにより、例えば、ベース体14を本体11に対して第1横方向D1へ正確に移動させることができる。
【0045】
また、本体11、ベース体14、挟み体15、接続体16等の材質は、弾性変形しないような剛性を有していれば、特に限定されない。例えば、本体11、ベース体14、挟み体15、接続体16等は、例えば、金属で形成されていてもよい。また、ベース本体部21、当止部22及び補強部23は、例えば、同じ材質(金属)で、一体成形されていてもよい。
【0046】
そして、ベース体14の硬度は、例えば、本実施形態のように、上板18の硬度よりも、大きくてもよい。これにより、挟み体15の上面15dが当止部22に当て止めされたときに、当止部22が変形することを抑制することができる。なお、硬度とは、例えば、ビッカース硬さとし、JIS Z2244に準拠して測定される値とすることができる。
【0047】
ここで、停止装置9がかご2をかごレール6に停止させる動作について、説明する。
【0048】
図1~
図3に戻り、例えば、かご2の下降速度が設定速度を超えることによって、調速機8において、ガバナロープ8aが把持部8dによって把持され、さらに、かご2が下降し続ける場合には、調速機8の動作が、伝達部10によって、停止装置9に伝達される。これにより、挟み体15は、
図2に示す待機位置から、ベース体14に対して上方へ移動する。
【0049】
そして、ベース体14及び接続体16が挟み体15を案内するため、挟み体15の挟み面15bは、かごレール6に近づき、その後、かごレール6に接する。さらに、
図8に示すように、挟み体15がベース体14に対して上方へ移動することによって、ベース体14及び可動部12は、かごレール6から離れるように移動する。
【0050】
これにより、加力部13が弾性変形するため、加力部13は、可動部12、ベース体14及び挟み体15に、かごレール6に近づく方向へ弾性復元力を加える。したがって、一対の挟み体15,15は、かごレール6を挟んで加圧して接する。このように、挟み体15が
図8に示す停止位置まで上方へ移動してかごレール6を挟むことによって、停止装置9は、かご2をかごレール6に停止させる。
【0051】
ところで、挟み体15が停止位置に位置しているときに、挟み体15の上面15dは、当止部22に当て止めされている。このとき、例えば、本実施形態のように、
図9に示す、挟み体15と当止部22とが上下方向D3で接する面積(以下、「第1の面積」ともいう)S1に対して、
図10に示す、ベース体14と上板18とが上下方向D3で接する面積(以下、「第2の面積」ともいう)S2は、大きくなっていてもよい。
【0052】
これにより、挟み体15が当止部22に当て止めされるときに発生する力は、ベース体14を経由することによって、十分に小さくなった圧力として、上板18へ加えられている。なお、第1の面積S1は、
図9において、網掛け領域で図示しており、第2の面積S2は、
図10において、右上がりの網掛け領域で図示している。
【0053】
しかも、
図10に示すように、第2の面積S2は、例えば、本実施形態のように、補強部23の上下方向D3視の面積(以下、「第3の面積」ともいう)S3よりも、大きくなっていてもよい。これにより、第2の面積S2を十分に確保することができている。なお、第3の面積S3は、
図10において、左上がりの網掛け領域で図示している。
【0054】
このように、
図11に示す、挟み体15の上面15dと上板18の下面18bとが上下方向D3視で重なる面積(以下、「第4の面積」ともいう)S4に対して、第2の面積S2は、十分に大きくなっている。これにより、当止部22が存在しない場合に、挟み体15と上板18とが上下方向D3で接する面積は、第4の面積S4になることに対して、当止部22が存在することによって、上板18に力が加えられる面積は、十分に大きい第2の面積S2となる。
【0055】
したがって、挟み体15が当止部22に当て止めされるときに発生する力は、第2の面積S2で分散されるため、十分に小さくなった圧力として、上板18へ加えられている。その結果、当止部22が存在することによって、例えば、上板18が開口18a付近の部分で変形することを抑制することができる。
【0056】
以上より、本実施形態のように、エレベータ1は、前記のエレベータ停止装置9を備える。
【0057】
そして、本実施形態のように、エレベータ停止装置9は、移動体(本実施形態においては、かご)2に固定される本体11と、前記本体11に取り付けられるベース体14と、レール(本実施形態においては、かごレール)6を横方向D1で挟むために、前記ベース体14に対して上下方向D3へ移動する挟み体15と、を備え、前記本体11は、前記挟み体15よりも上方に配置される上板18を備え、前記上板18は、前記レール6を内部に挿入する開口18aを備え、前記ベース体14は、上面21aが前記上板18の下面18bに接するベース本体部21と、前記ベース本体部21の上端部から前記横方向D1へ突出し、前記挟み体15の上面15dを当て止めするために、前記挟み体15と前記上板18との間に配置される当止部22と、を備え、前記ベース体14と前記上板18とが上下方向D3で接する面積S2は、前記挟み体15の上面15dと前記上板18の下面18bとが上下方向D3視で重なる面積S4よりも、大きい、という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、当止部22が、挟み体15と上板18との間に配置されているため、挟み体15は、当止部22に当て止めされる。そして、ベース体14と上板18とが上下方向D3で接する面積S2は、挟み体15の上面15dと上板18の下面18bとが上下方向D3視で重なる面積S4よりも、大きくなっている。
【0059】
これにより、挟み体15が当止部22に当て止めされるときに発生する力は、ベース体14を経由することによって、小さくなった圧力として、上板18に加えられる。したがって、挟み体15が当止部22に当て止めされたときに、上板18が変形することを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態のように、エレベータ停止装置9においては、前記ベース体14は、前記当止部22から前記ベース本体部21まで延びる補強部23を備える、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、補強部23が、当止部22からベース本体部21まで延びているため、当止部22は、補強部23によって補強されている。これにより、挟み体15が当止部22に当て止めされたときに、当止部22がベース本体部21に対して変形することを抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態のように、エレベータ停止装置9においては、前記補強部23は、前記当止部22から前記ベース本体部21まで前記横方向D1へ延びるように、前記当止部22の上面22a及び前記ベース本体部21の上面21aから上方へ突出し、前記上板18は、前記補強部23が内部に挿入され且つ前記補強部23を前記横方向D1へ案内する案内孔18cを備える、という構成が好ましい。
【0063】
斯かる構成によれば、補強部23が当止部22からベース本体部21まで横方向D1へ延びることによって、補強部23が、当止部22の上面22a及びベース本体部21の上面21aに亘って配置されている。これにより、挟み体15が当止部22に当て止めされたときに、当止部22がベース本体部21に対して変形することを抑制することができる。
【0064】
しかも、補強部23は、案内孔18cの内部に挿入され、案内孔18cは、補強部23を横方向D1へ案内する。これにより、ベース体14が、本体11に対して横方向D1へ移動することができるため、補強部23は、当止部22を補強する機能だけでなく、ベース体14を横方向D1へ案内する機能も有している。
【0065】
また、本実施形態のように、エレベータ停止装置9においては、前記ベース体14と前記上板18とが上下方向D3で接する面積S2は、前記補強部23の上下方向D3視の面積S3よりも、大きい、という構成が好ましい。
【0066】
斯かる構成によれば、ベース体14と上板18とが上下方向D3で接する面積S2が、補強部23の上下方向D3視の面積S3よりも、大きいため、ベース体14と上板18とが上下方向D3で接する面積S2を、十分に確保することができる。これにより、挟み体15が当止部22に当て止めされるときに発生する力は、十分に小さくなった圧力として、上板18に加えられる。
【0067】
また、本実施形態のように、エレベータ停止装置9においては、前記ベース体14の硬度は、前記上板18の硬度よりも、大きい、という構成が好ましい。
【0068】
斯かる構成によれば、ベース体14の硬度が、上板18の硬度よりも、大きいため、挟み体15が当止部22に当て止めされたときに、ベース体14が変形することを抑制することができる。これにより、当止部22がベース本体部21に対して変形することを抑制することができる。
【0069】
なお、エレベータ1及びエレベータ停止装置9は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及びエレベータ停止装置9は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0070】
(1)上記実施形態に係るエレベータ停止装置9においては、補強部23は、当止部22からベース本体部21まで第1横方向D1へ延びるように、当止部22の上面22a及びベース本体部21の上面21aから上方へ突出する、という構成である。しかしながら、エレベータ停止装置9は、斯かる構成に限られない。
【0071】
例えば、
図12に示すように、補強部23は、当止部22の側面及びベース本体部21の側面に亘って配置されている、という構成でもよい。そして、特に限定されないが、例えば、
図12に示すように、ベース体14の上面は、全体に亘って平面であってもよい。これにより、例えば、ベース体14と上板18とが上下方向D3で接する面積S2を、さらに大きくすることができる。
【0072】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ停止装置9においては、可動部12及び加力部13は、分離不能に一体である、という構成である。しかしながら、エレベータ停止装置9は、斯かる構成に限られない。例えば、
図13に示すように、可動部12及び加力部13は、別体であり、締結手段等(例えば、ボルト及びナット)によって、互いに固定されている、という構成でもよい。
【0073】
図13に係る構成においては、可動部12は、例えば、軸部12aを中心に回転可能となるように、本体11に接続されていてもよい。これにより、一対の可動部12,12が軸部12aを中心に回転することによって、第1端部12b,12b同士及び第2端部12c,12c同士のうち、一方が近づき、他方が離れることになる。そして、例えば、ベース体14は、可動部12の第1端部12bに固定され、加力部13は、可動部12の第2端部12cに固定されている、という構成でもよい。
【0074】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ停止装置9においては、ベース体14に対して上下方向D3へ移動する挟み体15は、かごレール6を第1横方向D1で挟むように一対備えられている、という構成である。しかしながら、エレベータ停止装置9は、斯かる構成に限られない。例えば、
図14に示すように、ベース体14に対して上下方向D3へ移動する挟み体15は、かごレール6の一方側(
図14においては、右側)のみに、一つ備えられている、という構成でもよい。
【0075】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ停止装置9においては、上板18は、補強部23が内部に挿入され且つ補強部23を第1横方向D1へ案内する案内孔18cを備える、という構成である。しかしながら、エレベータ停止装置9は、斯かる構成に限られない。例えば、上板18は、補強部23が内部に挿入され且つ補強部23から離れる(即ち、補強部23を案内しない)挿入孔を備える、という構成でもよい。
【0076】
(5)また、上記実施形態に係るエレベータ停止装置9においては、ベース体14と上板18とが上下方向D3で接する第2の面積S2は、補強部23の上下方向D3視の第3の面積S3よりも、大きい、という構成である。しかしながら、エレベータ停止装置9は、斯かる構成に限られない。第2の面積S2は、例えば、第3の面積S3と同じ、という構成でもよく、また、例えば、第3の面積S3よりも小さい、という構成でもよい。
【0077】
(6)また、上記実施形態に係るエレベータ停止装置9においては、ベース体14の硬度は、上板18の硬度よりも、大きい、という構成である。しかしながら、エレベータ停止装置9は、斯かる構成に限られない。ベース体14の硬度は、例えば、上板18の硬度と、同じ、という構成でもよく、また、例えば、上板18の硬度よりも、小さい、という構成でもよい。
【0078】
(7)また、上記実施形態に係るエレベータ停止装置9は、挟み体15は、軸受体17を介して、ベース体14のベース本体部21に間接的に案内される、という構成である。しかしながら、エレベータ停止装置9は、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ停止装置9は、軸受体17を備えておらず、挟み体15は、ベース体14のベース本体部21に直接的に案内される、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…エレベータ、2…かご(移動体)、2a…かご室、2b…かご枠、2c…枠材、2d…枠材、3…かごロープ、4…釣合錘(移動体)、5…かご駆動部、6…かごレール、7…錘レール、8…調速機、8a…ガバナロープ、8b…ガバナ車、8c…張り車、8d…把持部、9…エレベータ停止装置、9a…弾性体、10…伝達部、10a…リンク、11…本体、12…可動部、12a…軸部、12b…第1端部、12c…第2端部、13…加力部、14…ベース体、15…挟み体、15a…被案内面、15b…挟み面、15c…係合部、15d…上面、16…接続体、16a…係合部、17…軸受体、17a…転動部、18…上板、18a…開口、18b…下面、18c…案内孔、19…下板、19a…上面、19b…案内部、20…固定部、21…ベース本体部、21a…上面、21b…下面、21c…案内面、22…当止部、22a…上面、23…補強部、24…被案内部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、X1…昇降路、X2…機械室
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に固定される本体と、
前記本体に取り付けられるベース体と、
レールを横方向で挟むために、前記ベース体に対して上下方向へ移動する挟み体と、を備え、
前記本体は、前記挟み体よりも上方に配置される上板を備え、
前記上板は、前記レールを内部に挿入する開口を備え、
前記ベース体は、
上面が前記上板の下面に接するベース本体部と、
前記ベース本体部の上端部から前記横方向へ突出し、前記挟み体の上面を当て止めするために、前記挟み体と前記上板との間に配置される当止部と、を備え、
前記ベース体と前記上板とが上下方向で接する面積は、前記挟み体の上面と前記上板の下面とが上下方向視で重なる面積よりも、大きい、エレベータ停止装置であって、
前記ベース体は、前記当止部から前記ベース本体部まで延びる補強部を備え、
前記補強部は、前記当止部から前記ベース本体部まで前記横方向へ延びるように、前記当止部の上面及び前記ベース本体部の上面から上方へ突出し、
前記上板は、前記補強部が内部に挿入され且つ前記補強部を前記横方向へ案内する案内孔を備える、エレベータ停止装置。
【請求項2】
前記ベース体と前記上板とが上下方向で接する面積は、前記補強部の上下方向視の面積よりも、大きい、請求項1に記載のエレベータ停止装置。
【請求項3】
前記ベース体の硬度は、前記上板の硬度よりも、大きい、請求項1又は2に記載のエレベータ停止装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータ停止装置を備える、エレベータ。