(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070876
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】メンテナンス装置およびメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183276
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 正良
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC08
5E353EE31
5E353HH08
5E353HH13
5E353HH46
5E353HH47
5E353HH48
5E353KK01
5E353KK11
5E353LL04
5E353NN18
5E353PP03
5E353QQ01
5E353QQ08
(57)【要約】
【課題】キャビティにおける収容部材の目詰まりの有無を判定可能なメンテナンス装置およびメンテナンス方法を開示する。
【解決手段】メンテナンス装置は、軌道部材とキャビティユニットとを具備するバルクフィーダに適用され、認識部と判定部とを備える。軌道部材は、受容領域と供給領域との間で部品が搬送される搬送路を備える。キャビティユニットは、軌道部材を加振することによって受容領域から供給領域に搬送された部品のうちの一つが収容されるべきキャビティを供給領域に複数備える。認識部は、受容領域から供給領域に部品を搬送する供給動作が行われる度に、キャビティに収容されている収容部材のキャビティにおける姿勢を認識する。判定部は、複数回の連続する供給動作について認識部によって認識された収容部材の姿勢に基づいて、キャビティにおける収容部材の目詰まりの有無を判定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品をバルク状態で収容する部品ケースから排出されて部品装着機に供給される前記部品を受容する受容領域と前記部品装着機が前記部品を採取可能な供給領域との間で前記部品が搬送される搬送路を備える軌道部材と、
前記軌道部材を加振することによって前記受容領域から前記供給領域に搬送された前記部品のうちの一つが収容されるべきキャビティを前記供給領域に複数備えるキャビティユニットと、
を具備するバルクフィーダに適用され、
前記受容領域から前記供給領域に前記部品を搬送する供給動作が行われる度に、前記キャビティに収容されている収容部材の前記キャビティにおける姿勢を認識する認識部と、
複数回の連続する前記供給動作について前記認識部によって認識された前記収容部材の姿勢に基づいて、前記キャビティにおける前記収容部材の目詰まりの有無を判定する判定部と、
を備えるメンテナンス装置。
【請求項2】
前記認識部は、前記供給動作が行われた後に撮像装置に前記キャビティユニットを撮像させて、前記撮像装置によって撮像された前記キャビティユニットの画像を画像処理して、前記キャビティにおける前記収容部材の姿勢を認識する請求項1に記載のメンテナンス装置。
【請求項3】
前記複数回の連続する前記供給動作における同一の前記キャビティに収容されている前記収容部材の中心位置のばらつきの範囲を第一姿勢範囲とし、前記複数回の連続する前記供給動作における同一の前記キャビティに収容されている前記収容部材の収容角度のばらつきの範囲を第二姿勢範囲とし、前記第一姿勢範囲および前記第二姿勢範囲のうちの少なくとも一方を姿勢範囲とするときに、
前記判定部は、前記収容部材が前記部品装着機によって採取可能な正常に前記キャビティに供給された前記部品の場合に想定される前記姿勢範囲と比べて、同一の前記キャビティに収容されている前記収容部材の前記姿勢範囲が狭い認識結果が、前記認識部によって取得された場合に、当該キャビティにおいて前記収容部材の目詰まりが有ると判定する請求項1または請求項2に記載のメンテナンス装置。
【請求項4】
同一の前記キャビティについて前回の前記供給動作について認識された前記収容部材の中心位置と今回の前記供給動作について認識された前記収容部材の中心位置との変化量を第一姿勢変化量とし、同一の前記キャビティについて前回の前記供給動作について認識された前記収容部材の収容角度と今回の前記供給動作について認識された前記収容部材の収容角度との変化量を第二姿勢変化量とし、前記第一姿勢変化量および前記第二姿勢変化量のうちの少なくとも一方を姿勢変化量とするときに、
前記判定部は、前記収容部材が前記部品装着機によって採取可能な正常に前記キャビティに供給された前記部品の場合に想定される前記姿勢変化量と比べて、同一の前記キャビティに収容されている前記収容部材の前記姿勢変化量が小さい認識結果が、前記認識部によって前記複数回、連続して取得された場合に、当該キャビティにおいて前記収容部材の目詰まりが有ると判定する請求項1または請求項2に記載のメンテナンス装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記収容部材の目詰まりの有無を判定する際に使用する前記供給動作の回数および判定閾値のうちの少なくとも一つを、前記部品の種類に応じて変更する請求項3または請求項4に記載のメンテナンス装置。
【請求項6】
前記判定部によって前記収容部材の目詰まりが有ると判定され、且つ、前記キャビティユニットのメンテナンスが必要であると判断したときに、前記収容部材の目詰まりの解消を試みる解消部を備える請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項7】
前記解消部は、基板製品の生産時に前記軌道部材を加振する場合と比べて前記軌道部材に付与する加振力を増大して前記軌道部材を加振させて、前記収容部材の目詰まりの解消を試みる請求項6に記載のメンテナンス装置。
【請求項8】
前記解消部は、前記判定部によって前記収容部材の目詰まりが有ると判定された前記キャビティの数が所定の許容数を超えたときに、前記キャビティユニットのメンテナンスが必要であると判断する請求項6または請求項7に記載のメンテナンス装置。
【請求項9】
前記解消部は、前記部品装着機のスループットが所定の閾値以下になったときに、前記キャビティユニットのメンテナンスが必要であると判断する請求項6~請求項8のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項10】
前記解消部によって前記収容部材の目詰まりが解消されない場合に、前記キャビティユニットのメンテナンスを案内する案内部を備える請求項6~請求項9のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項11】
前記案内部は、前記キャビティユニットにおいて前記収容部材の目詰まりが生じている前記キャビティの位置を案内する請求項10に記載のメンテナンス装置。
【請求項12】
前記バルクフィーダは、前記部品装着機の部品供給装置の複数のスロットのうちの所定のスロットに装備され、
前記案内部は、前記キャビティユニットのメンテナンスが必要な前記バルクフィーダが装備されているスロット位置を併せて案内する請求項11に記載のメンテナンス装置。
【請求項13】
前記収容部材には、前記キャビティに嵌まり込んでいる前記部品または前記キャビティに残存する異物が含まれる請求項1~請求項12のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項14】
部品をバルク状態で収容する部品ケースから排出されて部品装着機に供給される前記部品を受容する受容領域と前記部品装着機が前記部品を採取可能な供給領域との間で前記部品が搬送される搬送路を備える軌道部材と、
前記軌道部材を加振することによって前記受容領域から前記供給領域に搬送された前記部品のうちの一つが収容されるべきキャビティを前記供給領域に複数備えるキャビティユニットと、
を具備するバルクフィーダに適用され、
前記受容領域から前記供給領域に前記部品を搬送する供給動作が行われる度に、前記キャビティに収容されている収容部材の前記キャビティにおける姿勢を認識する認識工程と、
複数回の連続する前記供給動作について前記認識工程によって認識された前記収容部材の姿勢に基づいて、前記キャビティにおける前記収容部材の目詰まりの有無を判定する判定工程と、
を備えるメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、メンテナンス装置およびメンテナンス方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品が正常に収容されているキャビティから部品の採取を試行したにもかかわらず、部品が保持されていない採取ミスが発生した場合には、キャビティに見かけ上は正常に部品が収容されているものの、実際にはキャビティに部品が嵌り込んでいる場合があることが記載されている。そして、特許文献1に記載の判定部は、部品が採取されなかった場合に当該部品を収容していたキャビティを不良と判定し、キャビティ情報に記録する。
【0003】
また、特許文献1には、上記の採取ミスの原因として、キャビティが不良である他に、バルクフィーダから部品カメラまで吸着ノズルを移動させる間に部品を落下させた場合、吸着ノズルの動作不良が生じた場合などが想定されることが記載されている。そのため、特許文献1に記載の判定部は、例えば、同一のキャビティから部品を採取する採取動作において、所定数連続して装着ミスが発生した場合に、当該キャビティを不良と判定することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャビティを複数備えるキャビティユニットを具備するバルクフィーダでは、キャビティに部品が嵌まり込んだスタックが生じる可能性がある。また、キャビティに異物が残存する可能性もある。このように、キャビティにおいて収容部材の目詰まりが発生するほど、部品装着機に部品を供給可能なキャビティの数が減少して基板製品の生産効率が低下する可能性がある。
【0006】
このような事情に鑑みて、本明細書は、キャビティにおける収容部材の目詰まりの有無を判定可能なメンテナンス装置およびメンテナンス方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、軌道部材と、キャビティユニットとを具備するバルクフィーダに適用されるメンテナンス装置を開示する。前記メンテナンス装置は、認識部と、判定部とを備える。前記軌道部材は、部品をバルク状態で収容する部品ケースから排出されて部品装着機に供給される前記部品を受容する受容領域と前記部品装着機が前記部品を採取可能な供給領域との間で前記部品が搬送される搬送路を備える。前記キャビティユニットは、前記軌道部材を加振することによって前記受容領域から前記供給領域に搬送された前記部品のうちの一つが収容されるべきキャビティを前記供給領域に複数備える。前記認識部は、前記受容領域から前記供給領域に前記部品を搬送する供給動作が行われる度に、前記キャビティに収容されている収容部材の前記キャビティにおける姿勢を認識する。前記判定部は、複数回の連続する前記供給動作について前記認識部によって認識された前記収容部材の姿勢に基づいて、前記キャビティにおける前記収容部材の目詰まりの有無を判定する。
【0008】
また、本明細書は、軌道部材と、キャビティユニットとを具備するバルクフィーダに適用されるメンテナンス方法を開示する。前記メンテナンス方法は、認識工程と、判定工程とを備える。前記軌道部材は、部品をバルク状態で収容する部品ケースから排出されて部品装着機に供給される前記部品を受容する受容領域と前記部品装着機が前記部品を採取可能な供給領域との間で前記部品が搬送される搬送路を備える。前記キャビティユニットは、前記軌道部材を加振することによって前記受容領域から前記供給領域に搬送された前記部品のうちの一つが収容されるべきキャビティを前記供給領域に複数備える。前記認識工程は、前記受容領域から前記供給領域に前記部品を搬送する供給動作が行われる度に、前記キャビティに収容されている収容部材の前記キャビティにおける姿勢を認識する。前記判定工程は、複数回の連続する前記供給動作について前記認識工程によって認識された前記収容部材の姿勢に基づいて、前記キャビティにおける前記収容部材の目詰まりの有無を判定する。
【発明の効果】
【0009】
上記のメンテナンス装置によれば、認識部および判定部を備えるので、複数回の連続する供給動作について認識部によって認識された収容部材の姿勢に基づいて、キャビティにおける収容部材の目詰まりの有無を判定することができる。メンテナンス装置について上述されていることは、メンテナンス方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図2のバルクフィーダの一部を模式的に示す側面図である。
【
図6】メンテナンス装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図7】メンテナンス装置による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】部品が供給されたキャビティユニットの一例を示す平面図である。
【
図9】
図8の3つのキャビティに収容されている部品の収容状態の一例を示す模式図である。
【
図10】収容部材が部品装着機によって採取可能な正常にキャビティに供給された部品の場合に想定される第一姿勢範囲および第二姿勢範囲の一例を示す模式図である。
【
図11】収容部材の目詰まりが発生している場合に想定される第一姿勢範囲および第二姿勢範囲の一例を示す模式図である。
【
図12】収容部材が部品装着機によって採取可能な正常にキャビティに供給された部品の場合に想定される第一姿勢変化量および第二姿勢変化量の一例を示す模式図である。
【
図13】収容部材の目詰まりが発生している場合に想定される第一姿勢変化量および第二姿勢変化量の一例を示す模式図である。
【
図14】キャビティユニットのメンテナンスの案内例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
1-1.部品装着機10の構成例
メンテナンス装置80が適用されるバルクフィーダ30は、基板90に部品91を装着する部品装着機10に部品91を供給する。
【0012】
図1に示すように、実施形態の部品装着機10は、基板搬送装置11、部品供給装置12、部品移載装置13、部品カメラ14、基板カメラ15および制御装置20を備えている。基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアなどによって構成され、基板90を搬送方向(X軸方向)に搬送する。基板90は、回路基板であり、電子回路、電気回路、磁気回路などが形成される。基板搬送装置11は、部品装着機10の機内に基板90を搬入し、機内の所定位置に基板90を位置決めする。基板搬送装置11は、部品装着機10による装着処理が終了した後に、基板90を部品装着機10の機外に搬出する。
【0013】
部品供給装置12は、部品91を供給する。部品供給装置12は、基板90の搬送方向(X軸方向)に沿って設けられる複数のフィーダ12bを備えている。複数のフィーダ12bの各々は、スロット12aに着脱可能に取り付けられている。フィーダ12bは、テープフィーダ、バルクフィーダ30などを用いることができる。テープフィーダは、部品91が収納されているキャリアテープをピッチ送りして、供給位置において部品91を採取可能に供給する。バルクフィーダ30は、部品91をバルク状態(部品91の姿勢が不規則な状態)で収容する部品ケース70から排出された部品91を採取可能に供給する。
【0014】
実施形態では、バルクフィーダ30は、部品装着機10の部品供給装置12の複数のスロット12aのうちの所定のスロット12aに装備される。バルクフィーダ30が装備されるスロット12aは、基板製品の生産計画において決定される。例えば、部品装着機10のスループット(単位時間当たりの基板製品の生産量)が所定値以上になるように、テープフィーダなどの他のフィーダ12bが装備されるスロット12aと共に、バルクフィーダ30が装備されるスロット12aが決定される。
【0015】
部品移載装置13は、ヘッド駆動装置13a、移動台13b、装着ヘッド13cおよび保持部材13dを備えている。ヘッド駆動装置13aは、直動機構によって移動台13bをX軸方向およびY軸方向(水平面においてX軸方向と直交する方向)に移動可能に構成されている。移動台13bには、クランプ部材によって装着ヘッド13cが着脱可能(交換可能)に設けられている。装着ヘッド13cは、少なくとも一つの保持部材13dを用いて、部品供給装置12によって供給された部品91を採取し保持して、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90に部品91を装着する。保持部材13dは、例えば、吸着ノズル、チャックなどを用いることができる。
【0016】
部品カメラ14および基板カメラ15は、公知の撮像装置を用いることができる。部品カメラ14は、光軸が鉛直方向(X軸方向およびY軸方向に直交するZ軸方向)の上向きになるように部品装着機10の基台に固定されている。部品カメラ14は、保持部材13dに保持されている部品91を下方から撮像することができる。
【0017】
基板カメラ15は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の下向きになるように部品移載装置13の移動台13bに設けられている。基板カメラ15は、例えば、基板90、バルクフィーダ30のキャビティユニット50などを上方から撮像することができる。部品カメラ14および基板カメラ15は、制御装置20から送出される制御信号に基づいて撮像を行う。部品カメラ14および基板カメラ15によって撮像された画像の画像データは、制御装置20に送信される。
【0018】
制御装置20は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置20には、部品装着機10に設けられる各種センサから出力される情報、画像データなどが入力される。制御装置20は、制御プログラムおよび予め設定されている装着条件などに基づいて、各装置に対して制御信号を送出する。
【0019】
例えば、制御装置20は、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90を基板カメラ15に撮像させる。制御装置20は、基板カメラ15によって撮像された画像を画像処理して、基板90の位置決め状態を認識する。また、制御装置20は、部品供給装置12によって供給された部品91を保持部材13dに採取させ保持させて、保持部材13dに保持されている部品91を部品カメラ14に撮像させる。制御装置20は、部品カメラ14によって撮像された画像を画像処理して、部品91の保持姿勢を認識する。
【0020】
制御装置20は、制御プログラムなどによって予め設定される装着予定位置の上方に向かって、保持部材13dを移動させる。また、制御装置20は、基板90の位置決め状態、部品91の保持姿勢などに基づいて、装着予定位置を補正して、実際に部品91を装着する装着位置を設定する。装着予定位置および装着位置は、位置(X軸座標およびY軸座標)の他に回転角度を含む。
【0021】
制御装置20は、装着位置に合わせて、保持部材13dの目標位置(X軸座標およびY軸座標)および回転角度を補正する。制御装置20は、補正された目標位置において補正された回転角度で保持部材13dを下降させて、基板90に部品91を装着する。制御装置20は、上記のピックアンドプレースサイクルを繰り返すことによって、基板90に複数の部品91を装着する装着処理を実行する。
【0022】
1-2.バルクフィーダ30の構成例
バルクフィーダ30は、部品91を供給することができれば良く、種々の形態をとり得る。
図2~
図5に示すように、実施形態のバルクフィーダ30は、フィーダ本体部31と、受容部材32と、ブラケット33と、軌道部材34と、ロックユニット35と、カバー36と、シャッタ37と、連結部材38と、エア供給装置39と、加振装置40と、キャビティユニット50と、フィーダ制御装置60と、部品ケース70とを備えている。
【0023】
図2に示すように、フィーダ本体部31は、扁平な箱状に形成されている。フィーダ本体部31は、部品供給装置12のスロット12aに着脱可能に装備される。フィーダ本体部31は、部品91の搬送方向の先端側に、コネクタ31aおよび複数(同図では、2つ)のピン31b,31bが形成されている。なお、部品91の搬送方向は、搬送路Rd0の延伸方向(矢印SD方向)であり、フィーダ本体部31がスロット12aに装備されたときの部品装着機10におけるY軸方向に相当する。
【0024】
コネクタ31aは、フィーダ本体部31がスロット12aに装備されたときに、制御装置20と通信可能に設けられる。また、バルクフィーダ30は、コネクタ31aを介して給電される。複数(2つ)のピン31b,31bは、スロット12aに設けられるガイド穴に挿入され、フィーダ本体部31がスロット12aに装備される際の位置決めに用いられる。
【0025】
フィーダ本体部31には、部品91をバルク状態で収容する部品ケース70が受容部材32を介して着脱可能に取り付けられる。
図3に示すように、部品ケース70には、部品91を排出する排出口71が形成されている。実施形態の部品ケース70は、バルクフィーダ30の外部装置である。例えば、作業者は、複数の部品ケース70の中から、基板90に供給すべき部品91を収容する部品ケース70を選択して、選択した部品ケース70をフィーダ本体部31に取り付ける。
【0026】
受容部材32は、フィーダ本体部31に取り付けられた部品ケース70を支持し、フィーダ本体部31に対して振動可能に設けられる。受容部材32は、部品ケース70から排出された部品91を受容する受容領域Ar0に設けられる。実施形態の受容部材32は、傾斜部32aと、送出部32bとを備える。傾斜部32aは、部品ケース70の排出口71から下方に傾斜する部位である。排出口71から排出された部品91は、下方に誘導される。送出部32bは、傾斜部32aの先端側から上方に延伸する部位である。送出部32bの先端側は開口しており、軌道部材34の搬送路Rd0に連通している。傾斜部32aによって下方に誘導された部品91は、エア供給装置39によって送出部32bにおいて上方に送出され、搬送路Rd0に送出される。
【0027】
ブラケット33は、フィーダ本体部31に対して振動可能に設けられる。ブラケット33は、部品91の搬送方向(搬送路Rd0の延伸方向(矢印SD方向))に延伸するブロック状に形成されている。ブラケット33の上面には、軌道部材34が取り付けられている。ブラケット33は、加振装置40の支持部材41によって支持される。ロックユニット35は、軌道部材34がブラケット33に取り付けられた状態で、軌道部材34を固定する。軌道部材34は、ロックユニット35によって固定されると、フィーダ本体部31に対してブラケット33と一体に振動可能になる。軌道部材34は、ロックユニット35の固定解除によって、ブラケット33から取り外し可能になる。
【0028】
軌道部材34は、部品ケース70から排出された部品91が搬送される溝状の搬送路Rd0を備えている。搬送路Rd0は、部品91を搬送可能であれば良く、種々の形態をとり得る。
図5に示すように、実施形態の搬送路Rd0は、一対の側壁面34a,34aと、先端側壁面34bと、一対の角部34c,34cと、導入部34dとを備えている。
【0029】
一対の側壁面34a,34aは、溝状の搬送路Rd0の延伸方向(矢印SD方向)に沿って延びる壁面である。先端側壁面34bは、溝状の搬送路Rd0の延伸方向(矢印SD方向)の先端側に設けられる壁面である。一対の角部34c,34cは、先端側壁面34bと一対の側壁面34a,34aとによって形成される角部である。導入部34dは、受容部材32の送出部32bに連通しており、送出部32bから送出された部品91を搬送路Rd0に送出する。
【0030】
フィーダ本体部31がスロット12aに装備されたときに、軌道部材34の少なくとも一部は、供給領域As0に配置される。供給領域As0は、部品装着機10が部品91を採取可能な領域である。具体的には、供給領域As0は、装着ヘッド13cに支持された保持部材13dによって部品91を採取可能な領域であり、装着ヘッド13cの可動範囲に含まれる。
【0031】
部品91は、溝状の搬送路Rd0の底部のうち、供給領域As0に設けられるキャビティユニット50に搬送される。キャビティユニット50は、軌道部材34を加振することによって受容領域Ar0から供給領域As0に搬送された部品91のうちの一つが収容されるべきキャビティ51を供給領域As0に複数(
図4に示す例では、120個)備える。キャビティユニット50は、軌道部材34に交換可能に取り付けられる。
【0032】
複数(120個)のキャビティ51の各々は、一つの部品91を収容することが予定されている。具体的には、
図4に示すように、複数(120個)のキャビティ51は、供給領域As0においてマトリックス状に配列されている。例えば、実施形態のキャビティユニット50は、搬送路Rd0の延伸方向(矢印SD方向)に10個、搬送路Rd0の幅方向(矢印WD方向)に12個それぞれ配列された合計120個のキャビティ51を備えている。
【0033】
複数(120個)のキャビティ51の各々は、搬送路Rd0の上方に開口しており、部品91を収容可能になっている。例えば、部品91が直方体形状の場合、キャビティ51の開口部は、長方形に形成され、部品91の外形寸法よりも僅かに大きい寸法に設定される。キャビティ51の深さは、部品91を収容可能に、部品91の大きさに応じて適宜設定される。また、キャビティ51の必要数、搬送性に影響し得る密集度を加味して、キャビティ51の数が適宜設定される。
【0034】
具体的には、キャビティユニット50のキャビティ51の数は、一回のピックアンドプレースサイクルにおいて採取される部品91の最大数よりも多く設定されると良い。なお、上記の最大数は、装着ヘッド13cが支持する保持部材13dの数に相当する。例えば、装着ヘッド13cが24本の吸着ノズルを支持する場合、キャビティ51の数は、少なくとも24個より多くなるように設定されると良い。
【0035】
また、軌道部材34には、少なくとも一つの基準部34eが設けられている。少なくとも一つの基準部34eは、供給領域As0に設けられ、キャビティユニット50の複数のキャビティ51の位置を認識する際に使用される。実施形態では、先端側壁面34bよりも先端側の領域に、複数(例えば、2つ)の基準部34e,34eが設けられている。複数(2つ)の基準部34e,34eは、円形のマークであり、軌道部材34の幅方向(矢印WD方向)に所定距離、離間して配置されている。
【0036】
カバー36は、軌道部材34に固定され、搬送路Rd0の上方を覆う。カバー36の上面には、排気口36aが形成されている。排気口36aには、目地が部品91の外形寸法より小さいメッシュが張られている。カバー36は、搬送路Rd0からの部品91の飛び出しを抑制し、且つ、排気口36aからエアを外部に排出する。
【0037】
シャッタ37は、軌道部材34の上部に設けられ、供給領域As0の開口を閉塞することができる。バルクフィーダ30は、シャッタ37を開閉することによって、部品91の飛び出し、供給領域As0における異物の混入などを抑制することができる。実施形態のシャッタ37は、開閉動作によって、開状態、閉状態または中間状態に切り替えられる。シャッタ37の閉状態は、シャッタ37が軌道部材34に接触し、供給領域As0の開口が完全に閉塞された状態である。このとき、
図4の破線で示すように、シャッタ37は、軌道部材34において、複数(2つ)の基準部34e,34eよりも部品91の搬送方向(搬送路Rd0の延伸方向(矢印SD方向))の基端側に位置し、上方視において、複数(2つ)の基準部34e,34eは、視認可能および撮像可能になる。
【0038】
シャッタ37の開状態は、供給領域As0の開口が閉塞されておらず、且つ、キャビティユニット50が露出されている状態である。このとき、装着ヘッド13cが支持する保持部材13dは、キャビティユニット50の複数のキャビティ51のいずれについても、部品91の採取を試みることができる。シャッタ37の中間状態は、閉状態と開状態の間の状態であって、シャッタ37が加振装置40の加振によって振動する軌道部材34の振幅よりも軌道部材34から離間し、且つ、供給領域As0の開口から部品91の飛び出しを規制する状態である。シャッタ37は、駆動装置によって開閉動作が行われ、駆動装置の駆動状態に応じて閉状態、開状態または中間状態にされる。
【0039】
軌道部材34の導入部34dは、受容部材32の送出部32bに連通しており、送出部32bから送出された部品91を搬送路Rd0に送出する。具体的には、導入部34dの先端部は、開口しており、連結部材38を介して送出部32bの先端部と連結されている。連結部材38は、管状に形成されており、受容部材32の送出部32bおよび軌道部材34の導入部34dを連結する。実施形態の連結部材38は、密着コイルばねであり、可撓性を有する。
【0040】
連結部材38は、受容領域Ar0と搬送路Rd0との間を部品91が流通可能に、受容部材32の送出部32bおよび軌道部材34の導入部34dを連結する。また、連結部材38は、フィーダ本体部31に対する受容部材32の振動および軌道部材34の振動に応じて変形することによって、これらの振動を吸収する。連結部材38は、互いに独立して振動する受容部材32および軌道部材34の間で伝達される振動を軽減または遮断する。
【0041】
エア供給装置39は、受容領域Ar0の下方からエア(正圧エア)を供給して、受容部材32から連結部材38を介して軌道部材34に、部品91を流通させる。実施形態のエア供給装置39は、フィーダ制御装置60の指令に基づいて、外部から供給される正圧エアを受容領域Ar0の下方から供給する。エア供給装置39は、フィーダ制御装置60の指令に基づいて、正圧エアの供給を遮断することもできる。
【0042】
エア供給装置39が正圧エアを供給すると、受容領域Ar0に滞留している部品91は、正圧エアによって上方に吹き上げられる。正圧エアおよび部品91は、受容部材32の送出部32b、連結部材38および導入部34dの順に流通して、軌道部材34の搬送路Rd0に到達する。搬送路Rd0に到達した正圧エアは、カバー36の排気口36aから外部に排気される。搬送路Rd0に到達した部品91は、自重によって軌道部材34の搬送路Rd0に落下する。
【0043】
加振装置40は、軌道部材34を加振して、溝状の搬送路Rd0の底部のうち部品装着機10が部品91を採取可能な供給領域As0に設けられるキャビティユニット50に、部品91を搬送する。加振装置40は、部品91をキャビティユニット50に搬送することができれば良く、種々の形態をとり得る。実施形態の加振装置40は、複数(例えば、4つ)の支持部材41と、複数(例えば、4つ)の振動子42と、複数(例えば、2つ)の振動センサ43と、給電装置44とを備えている。複数(4つ)の支持部材41は、フィーダ本体部31とブラケット33を連結して、ブラケット33および軌道部材34を支持する。
【0044】
複数(4つ)の支持部材41は、前進用支持部材41aおよび後退用支持部材41bの二種類の支持部材41を備えている。前進用支持部材41aは、搬送路Rd0において部品ケース70の側からキャビティユニット50の側に向かって延伸方向(矢印SD方向)に沿って部品91を搬送する前進搬送に用いられる。後退用支持部材41bは、搬送路Rd0においてキャビティユニット50の側から部品ケース70の側に向かって延伸方向(矢印SD方向)に沿って部品91を搬送する後退搬送に用いられる。前進用支持部材41aおよび後退用支持部材41bは、鉛直方向(Z軸方向)に対する傾斜方向が互いに相違する。
【0045】
具体的には、前進用支持部材41aの一端側は、フィーダ本体部31に連結され、前進用支持部材41aの他端側は、ブラケット33に連結されている。前進用支持部材41aは、鉛直方向(Z軸方向)に対して後退方向(部品91が後退搬送される方向)に傾斜している。また、後退用支持部材41bの一端側は、フィーダ本体部31に連結され、後退用支持部材41bの他端側は、ブラケット33に連結されている。後退用支持部材41bは、鉛直方向(Z軸方向)に対して前進方向(部品91が前進搬送される方向)に傾斜している。
【0046】
複数(4つ)の振動子42は、給電装置44から給電され、所定の振幅および周波数で振動する。複数(4つ)の振動子42は、例えば、圧電素子を用いることができ、支持部材41に貼付される。また、実施形態では、複数(4つ)の支持部材41は、前進用支持部材41aおよび後退用支持部材41bの二種類の支持部材41を備える。そのため、複数(4つ)の振動子42は、前進用支持部材41aに設けられる前進用振動子42aおよび後退用支持部材41bに設けられる後退用振動子42bの二種類の振動子42を備えている。
【0047】
複数(4つ)の振動子42のうちの少なくとも一つが振動することにより、ブラケット33を介して軌道部材34に振動が付与される。また、振動子42に給電する交流電力の電圧および周波数に応じて、軌道部材34に付与される振動の振幅および周波数が変動する。複数(2つ)の振動センサ43は、加振装置40によって加振される軌道部材34の振動状態を検出する。複数(2つ)の振動センサ43は、例えば、軌道部材34の振動の振幅、周波数、減衰時間、振動軌跡(振動に伴う特定部位の移動軌跡)などを検出することができる。実施形態では、複数(2つ)の振動センサ43は、一対の前進用支持部材41aおよび後退用支持部材41bにそれぞれ設けられている。
【0048】
なお、加振装置40が軌道部材34を加振すると、軌道部材34は、側方視において楕円運動する。これにより、搬送路Rd0上の部品91には、軌道部材34の楕円運動の回転方向に応じて、前進方向かつ上方の外力または後退方向かつ上方の外力が加えられる。その結果、搬送路Rd0上の部品91は、前進方向または後退方向に搬送される。
【0049】
給電装置44は、フィーダ制御装置60の指令に基づいて、振動子42に給電する交流電力の電圧および周波数を変動させる。これにより、軌道部材34に付与される振動の振幅および周波数が調整され、軌道部材34の楕円運動の回転方向が規定される。軌道部材34の振動の振幅、周波数、振動による楕円運動の回転方向が変動すると、搬送される部品91の搬送速度、分散度合い、搬送方向などが変動する。
【0050】
フィーダ制御装置60は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。フィーダ制御装置60は、フィーダ本体部31がスロット12aに装備された状態において、コネクタ31aを介して給電され、部品装着機10の制御装置20と通信可能な状態になる。フィーダ制御装置60は、加振装置40を駆動制御して軌道部材34を加振させて、搬送路Rd0上の部品91を搬送させる。
【0051】
1-3.メンテナンス装置80の構成例
メンテナンス装置80は、軌道部材34と、キャビティユニット50とを具備するバルクフィーダ30に適用される。既述したように、軌道部材34は、部品91をバルク状態で収容する部品ケース70から排出されて部品装着機10に供給される部品91を受容する受容領域Ar0と部品装着機10が部品91を採取可能な供給領域As0との間で部品91が搬送される搬送路Rd0を備える。また、キャビティユニット50は、軌道部材34を加振することによって受容領域Ar0から供給領域As0に搬送された部品91のうちの一つが収容されるべきキャビティ51を供給領域As0に複数(120個)備える。
【0052】
メンテナンス装置80は、制御ブロックとして捉えると、認識部81と、判定部82とを備えている。メンテナンス装置80は、解消部83を備えることもできる。メンテナンス装置80は、案内部84を備えることもできる。
図6に示すように、実施形態のメンテナンス装置80は、認識部81と、判定部82と、解消部83と、案内部84とを備えている。
【0053】
また、メンテナンス装置80は、種々の制御装置に設けることができる。例えば、メンテナンス装置80は、バルクフィーダ30のフィーダ制御装置60に設けることができる。メンテナンス装置80は、部品装着機10の制御装置20に設けることもできる。メンテナンス装置80は、部品装着機10を含む対基板作業ラインを制御する制御装置に設けることもできる。メンテナンス装置80は、少なくとも一つの対基板作業ラインを制御する制御装置に設けることもできる。メンテナンス装置80は、クラウド上に形成することもできる。
図6に示すように、実施形態のメンテナンス装置80は、部品装着機10の制御装置20に設けられている。
【0054】
さらに、メンテナンス装置80は、
図7に示すフローチャートに従って、制御を実行する。認識部81は、ステップS11に示す処理を行う。判定部82は、ステップS12に示す処理を行う。解消部83は、ステップS13に示す判断およびステップS14に示す処理を行う。案内部84は、ステップS15に示す判断およびステップS16に示す処理を行う。
【0055】
1-3-1.認識部81および判定部82
図8は、部品91が供給されたキャビティユニット50の一例を示している。同図は、部品91の搬送方向(搬送路Rd0の延伸方向(矢印SD方向))に10個、搬送路Rd0の幅方向(矢印WD方向)に12個それぞれ配列された合計120個のキャビティ51における部品91の収容状態の一例を示している。また、
図9は、
図8の3つのキャビティ51に収容されている部品91の収容状態の一例を示している。
【0056】
図9の紙面左側のキャビティ51に収容されている部品91のように、キャビティ51に適正に収容されている部品91が存在する(
図8の領域AR1など)。また、部品91が収容されていないキャビティ51が存在する(
図8の領域AR2など)。さらに、
図9の紙面中央のキャビティ51に収容されている部品91のように、他の部品91が堆積している部品91が存在する(
図8の領域AR3など)。
【0057】
また、部品91以外の異物92が収容されているキャビティ51が存在する(
図8の領域AR4など)。さらに、
図9の紙面右側のキャビティ51に収容されている部品91のように、一つのキャビティ51に複数(同図では、2つ)の部品91が収容されているものが存在する(
図8の領域AR5など)。
図9の紙面右側のキャビティ51では、2つの部品91が正規の姿勢と異なる姿勢(部品91が立った姿勢)で収容されている。
【0058】
部品91の採取が困難な領域AR2~領域AR5のうち、領域AR2および領域AR3に示すキャビティ51は、部品91の供給が繰り返されるうちに部品91が適正に収容されて、部品91の採取が可能になる可能性がある。しかしながら、領域AR4および領域AR5に示すキャビティ51は、部品91の供給が繰り返されても部品91の採取が困難な可能性がある。例えば、異物92には、部品91の電極の少なくとも一部の部位が剥がれ落ちた電極部材が含まれる。また、異物92には、粘着性のあるごみなどが含まれる。これらの部材は、キャビティ51に嵌まり込んで残存する可能性がある。
【0059】
さらに、複数の部品91が一つのキャビティ51に収容されると、一つのキャビティ51に部品91が嵌まり込んだスタックが生じる可能性がある。このように、キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが発生するほど、部品91を供給可能なキャビティ51の数が減少して基板製品の生産効率が低下する可能性がある。そこで、メンテナンス装置80は、認識部81および判定部82を備えている。
【0060】
認識部81は、受容領域Ar0から供給領域As0に部品91を搬送する供給動作が行われる度に、キャビティ51に収容されている収容部材90mのキャビティ51における姿勢を認識する(
図7に示すステップS11)。また、判定部82は、複数回の連続する供給動作について認識部81によって認識された収容部材90mの姿勢に基づいて、キャビティ51における収容部材90mの目詰まりの有無を判定する(
図7に示すステップS12)。
【0061】
例えば、収容部材90mには、
図9の紙面左側のキャビティ51(
図8の領域AR1など)に収容されている部品91のように、部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給されている部品91が含まれる。また、収容部材90mには、
図9の紙面右側のキャビティ51(
図8の領域AR5など)に収容されている部品91のように、キャビティ51に嵌まり込んでいる部品91が含まれる。さらに、収容部材90mには、キャビティ51に残存する異物92が含まれる(
図8の領域AR4など)。
【0062】
認識部81は、上記の収容部材90mの姿勢を認識することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、認識部81は、供給動作が行われた後に、公知の計測器を用いて、キャビティ51に収容されている収容部材90mの姿勢を認識することもできる。しかしながら、キャビティ51の数が増加するほど、計測作業が煩雑になり、収容部材90mの姿勢の認識に要する所要時間が増加する可能性がある。
【0063】
そこで、認識部81は、供給動作が行われた後に、撮像装置CU0にキャビティユニット50を撮像させて、撮像装置CU0によって撮像されたキャビティユニット50の画像を画像処理して、キャビティ51における収容部材90mの姿勢を認識すると良い。撮像装置CU0は、キャビティユニット50を撮像することができれば良く、公知の撮像装置を用いることができる。例えば、撮像装置CU0は、基板カメラ15を用いることができる。
【0064】
基板カメラ15は、キャビティユニット50に含まれる少なくとも一部のキャビティ51を上方から撮像する。基板カメラ15は、キャビティユニット50に含まれるすべてのキャビティ51を一度に撮像することが困難な場合、キャビティユニット50を複数の領域に分割して、分割された領域ごとに少なくとも一つのキャビティ51を撮像することができる。
【0065】
画像処理は、キャビティユニット50の画像から収容部材90mを抽出可能な処理であれば良く、種々の方法をとり得る。例えば、認識部81は、撮像装置CU0によって撮像されたキャビティユニット50の画像を二値化処理して、収容部材90mの外形形状を認識することができる。認識部81は、認識した収容部材90mの外形形状に基づいて、収容部材90mの中心位置90aを認識することができる。
【0066】
また、認識部81は、少なくとも一つの基準部34e(実施形態では、複数(2つ)の基準部34e,34e)に基づいて、複数のキャビティ51の配列および複数のキャビティ51の各々の位置を認識することができる。認識部81は、認識した収容部材90mの中心位置90a、キャビティ51の配列および位置に基づいて、収容部材90mが収容されているキャビティ51、当該キャビティ51における収容部材90mの位置を認識することができる。
【0067】
さらに、認識部81は、認識した収容部材90mの外形形状およびキャビティ51の形状情報に基づいて、キャビティ51に収容されている収容部材90mの収容角度90bを認識することもできる。このように、認識部81は、収容部材90mの中心位置90aおよび収容角度90bによって、キャビティ51における収容部材90mの姿勢を認識することができる。
【0068】
認識部81は、収容部材90mが収容されている全てのキャビティ51について、収容部材90mの姿勢を認識する。収容部材90mが収容されているキャビティ51は、収容部材90mが収容されていないキャビティ51と比べて、キャビティユニット50の画像において輝度が異なる。よって、認識部81は、キャビティユニット50の画像において所定の輝度が得られたキャビティ51について、収容部材90mの姿勢を認識することもできる。これにより、認識部81は、全てのキャビティ51について収容部材90mの姿勢の認識を試行する場合と比べて、収容部材90mの姿勢の認識に要する所要時間を短縮することができる。
【0069】
認識部81は、認識した収容部材90mの姿勢に関する情報(収容されているキャビティ51を特定する情報、収容部材90mの中心位置90aおよび収容角度90bの情報を含む。)を記憶装置に記憶する。記憶装置は、上記の情報を記憶することができれば良く、公知の記憶装置を用いることができる。例えば、認識部81は、制御装置20に設けられている記憶装置に上記の情報を記憶することができる。
【0070】
判定部82は、複数回の連続する供給動作について認識部81によって認識された収容部材90mの姿勢に基づいて、キャビティ51における収容部材90mの目詰まりの有無を判定する。判定部82は、収容部材90mの目詰まりの有無を判定することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、目詰まりが生じている収容部材90mは、複数回の連続する供給動作が行われたときに、目詰まりが生じていない収容部材90mと比べて、収容部材90mの中心位置90aのばらつきが小さくなる。また、目詰まりが生じている収容部材90mは、複数回の連続する供給動作が行われたときに、目詰まりが生じていない収容部材90mと比べて、収容部材90mの収容角度90bのばらつきが小さくなる。
【0071】
そこで、複数回の連続する供給動作における同一のキャビティ51に収容されている収容部材90mの中心位置90aのばらつきの範囲を第一姿勢範囲AR11とする。また、複数回の連続する供給動作における同一のキャビティ51に収容されている収容部材90mの収容角度90bのばらつきの範囲を第二姿勢範囲AR21とする。さらに、第一姿勢範囲AR11および第二姿勢範囲AR21のうちの少なくとも一方を姿勢範囲AR01とする。姿勢範囲AR01は、例えば、分散、標準偏差などによって統計的に表現することができる。
【0072】
このとき、判定部82は、認識部81によって以下に示す認識結果が取得された場合に、当該キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが有ると判定することができる。収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される姿勢範囲AR01と比べて、同一のキャビティ51に収容されている収容部材90mの姿勢範囲AR01が狭い。なお、判定部82は、認識部81によって所定の姿勢範囲AR01について上記の認識結果が取得されない場合に、当該キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが無いと判定することができる。
【0073】
図10は、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢範囲AR11および第二姿勢範囲AR21の一例を示している。
図11は、収容部材90mの目詰まりが発生している場合に想定される第一姿勢範囲AR11および第二姿勢範囲AR21の一例を示している。
図10および
図11に示す破線の三つの長方形は、三回の連続する供給動作において、同一のキャビティ51に収容された収容部材90mを認識した認識結果(収容部材90mの外形形状)の一例を示している。
【0074】
また、
図10および
図11に示す第一姿勢範囲AR11は、三回の連続する供給動作において同一のキャビティ51に収容された収容部材90mの中心位置90aのばらつきの範囲を破線の円によって模式的に示したものである。さらに、
図10および
図11に示す第二姿勢範囲AR21は、三回の連続する供給動作において同一のキャビティ51に収容された収容部材90mの収容角度90bのばらつきの範囲を矢印によって模式的に示したものである。なお、収容角度90bは、図示の便宜上、一つの収容部材90mについて記載されている。また、収容角度90bは、目標収容角度(この場合、収容部材90mの長手方向が紙面上下方向に沿って収容部材90mが収容されている状態)に対する角度で示されている。
【0075】
図11に示す第一姿勢範囲AR11は、
図10に示す第一姿勢範囲AR11、すなわち収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢範囲AR11と比べて、狭い。また、
図11に示す第二姿勢範囲AR21は、
図10に示す第二姿勢範囲AR21、すなわち収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第二姿勢範囲AR21と比べて、狭い。よって、判定部82は、
図11に示す認識結果について、キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが有ると判定する。なお、判定部82は、
図10に示す認識結果について、キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが無いと判定する。
【0076】
また、認識部81は、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢範囲AR11よりも任意の量だけさらに狭い範囲を閾値として、
図11に示す第一姿勢範囲AR11が閾値としての上記範囲よりも狭いか否かを認識してもよい。認識部81は、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第二姿勢範囲AR21よりも任意の量だけさらに狭い範囲を閾値として、
図11に示す第二姿勢範囲AR21が閾値としての上記範囲よりも狭いか否かを認識してもよい。さらに、認識部81は、収容部材90mの姿勢範囲AR01として、第一姿勢範囲AR11および第二姿勢範囲AR21の両方を認識してもよく、いずれか一方のみを認識してもよい。認識部81が第一姿勢範囲AR11および第二姿勢範囲AR21のうちの一方のみを認識する場合、判定部82は、認識部81が認識した姿勢範囲AR01の認識結果のみに基づいて、キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが有るか否かを判定する。
【0077】
収容部材90mの目詰まりの有無を判定する際に使用する供給動作の回数(上記の例では、三回)は、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得することができる。収容部材90mの目詰まりの有無を判定する際に使用する判定閾値は、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得することができる。上記の場合、判定閾値には、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢範囲AR11および第二姿勢範囲AR21が含まれる。また、判定閾値には、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢範囲AR11よりも任意の量だけさらに狭い範囲が含まれる。判定閾値には、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第二姿勢範囲AR21よりも任意の量だけさらに狭い範囲が含まれる。
【0078】
目詰まりが生じている収容部材90mは、複数回(例えば、三回)の連続する供給動作が行われたときに、目詰まりが生じていない収容部材90mと比べて、前回(例えば、一回目)の供給動作と今回(例えば、二回目)の供給動作とにおける収容部材90mの中心位置90aの変化量が小さくなる。また、目詰まりが生じている収容部材90mは、複数回(例えば、三回)の連続する供給動作が行われたときに、目詰まりが生じていない収容部材90mと比べて、前回(例えば、一回目)の供給動作と今回(例えば、二回目)の供給動作とにおける収容部材90mの収容角度90bの変化量が小さくなる。
【0079】
そこで、同一のキャビティ51について前回の供給動作について認識された収容部材90mの中心位置90aと今回の供給動作について認識された収容部材90mの中心位置90aとの変化量を第一姿勢変化量AR12とする。また、同一のキャビティ51について前回の供給動作について認識された収容部材90mの収容角度90bと今回の供給動作について認識された収容部材90mの収容角度90bとの変化量を第二姿勢変化量AR22とする。さらに、第一姿勢変化量AR12および第二姿勢変化量AR22のうちの少なくとも一方を姿勢変化量AR02とする。
【0080】
このとき、判定部82は、以下に示す認識結果が、認識部81によって複数回、連続して取得された場合に、当該キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが有ると判定することができる。収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される姿勢変化量AR02と比べて、同一のキャビティ51に収容されている収容部材90mの姿勢変化量AR02が小さい。
【0081】
なお、判定部82は、認識部81によって所定の姿勢変化量AR02について上記の認識結果が取得されない場合に、当該キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが無いと判定することができる。また、判定部82は、上記の認識結果が複数回、連続して取得されない場合に、当該キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが無いと判定することができる。
【0082】
図12は、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢変化量AR12および第二姿勢変化量AR22の一例を示している。
図13は、収容部材90mの目詰まりが発生している場合に想定される第一姿勢変化量AR12および第二姿勢変化量AR22の一例を示している。
図12および
図13に示す破線の三つの長方形は、
図10および
図11に示す例と同様に、三回の連続する供給動作において、同一のキャビティ51に収容された収容部材90mを認識した認識結果(収容部材90mの外形形状)の一例を示している。
【0083】
また、
図12に示す第一姿勢変化量AR12は、三回の連続する供給動作について、前回の供給動作について認識された収容部材90mの中心位置90aと今回の供給動作について認識された収容部材90mの中心位置90aとの変化量を矢印によって模式的に示したものである。
図13に示す第一姿勢変化量AR12は、上記変化量が極めて小さく、矢印によって図示することが困難であるので、図示されるべき領域を示している。さらに、
図12および
図13に示す第二姿勢変化量AR22は、三回の連続する供給動作について、前回の供給動作について認識された収容部材90mの収容角度90bと今回の供給動作について認識された収容部材90mの収容角度90bとの変化量を矢印によって模式的に示したものである。収容角度90bの図示の方法について既述されていることは、
図12および
図13についても同様に言える。
【0084】
図13に示す第一姿勢変化量AR12は、
図12に示す第一姿勢変化量AR12、すなわち収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢変化量AR12と比べて、小さい。また、
図13に示す第二姿勢変化量AR22は、
図12に示す第二姿勢変化量AR22、すなわち収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第二姿勢変化量AR22と比べて、小さい。よって、判定部82は、
図13に示す認識結果について、キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが有ると判定する。なお、判定部82は、
図12に示す認識結果について、キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが無いと判定する。
【0085】
また、認識部81は、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢変化量AR12よりも任意の量だけさらに小さい変化量を閾値として、
図13に示す第一姿勢変化量AR12が閾値としての上記変化量よりも小さいか否かを認識してもよい。認識部81は、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第二姿勢変化量AR22よりも任意の量だけさらに小さい変化量を閾値として、
図13に示す第二姿勢変化量AR22が閾値としての上記変化量よりも小さいか否かを認識してもよい。さらに、認識部81は、収容部材90mの姿勢変化量AR02として、第一姿勢変化量AR12および第二姿勢変化量AR22の両方を認識してもよく、いずれか一方のみを認識してもよい。認識部81が第一姿勢変化量AR12および第二姿勢変化量AR22のうちの一方のみを認識する場合、判定部82は、認識部81が認識した姿勢変化量AR02の認識結果のみに基づいて、キャビティ51において収容部材90mの目詰まりが有るか否かを判定する。
【0086】
既述したように、収容部材90mの目詰まりの有無を判定する際に使用する供給動作の回数(上記の例では、三回)は、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得することができる。また、収容部材90mの目詰まりの有無を判定する際に使用する判定閾値は、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得することができる。上記の場合、判定閾値には、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢変化量AR12および第二姿勢変化量AR22が含まれる。また、判定閾値には、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢変化量AR12よりも任意の量だけさらに小さい変化量が含まれる。判定閾値には、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第二姿勢変化量AR22よりも任意の量だけさらに小さい変化量が含まれる。
【0087】
例えば、部品91の質量が重くなるほど、部品91は、キャビティ51において移動し難い。このように、部品91の種類が異なると、判定に必要なサンプル数が変動する可能性があり、収容部材90mの目詰まりの有無を判定する際に使用する供給動作の回数が変動する可能性がある。また、部品91の種類が異なると、既述した判定閾値のうちの少なくとも一つを変更した方が良い場合がある。
【0088】
そこで、判定部82は、収容部材90mの目詰まりの有無を判定する際に使用する供給動作の回数および判定閾値のうちの少なくとも一つを、部品91の種類に応じて変更することもできる。これにより、判定部82は、部品91の種類に応じた適切な回数および判定閾値を用いて、収容部材90mの目詰まりの有無を判定することができる。なお、部品91の種類に応じた上記の回数および判定閾値は、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得することができる。また、部品91の種類は、作業者によって指定することができ、制御プログラムなどに基づいて、自動で指定することもできる。
【0089】
さらに、収容部材90mの目詰まりの有無を判定する際に使用する供給動作の回数が増加するほど、部品91の姿勢に関する情報量が増大し、記憶装置に必要な記憶領域が増加する。また、キャビティユニット50に含まれるキャビティ51の数が増加するほど、部品91の姿勢に関する情報量が増大し、記憶装置に必要な記憶領域が増加する。
【0090】
そこで、認識部81は、所定の認識結果が取得された場合に、部品91の姿勢に関する情報を記憶装置に記憶させることもできる。また、認識部81は、所定の認識結果が取得されなかった場合に、記憶されている部品91の姿勢に関する情報を記憶装置から削除することもできる。例えば、二回目の供給動作についての収容部材90mの第一姿勢範囲AR11が、収容部材90mが部品装着機10によって採取可能な正常にキャビティ51に供給された部品91の場合に想定される第一姿勢範囲AR11と比べて広く、所定の認識結果が取得されなかったと仮定する。
【0091】
この場合、認識部81は、二回目の供給動作についての部品91の姿勢に関する情報を記憶装置に記憶しない。また、認識部81は、一回目の供給動作についての部品91の姿勢に関する情報を記憶装置から削除することもできる。第一姿勢範囲AR11について上述されていることは、第一姿勢変化量AR12、第二姿勢範囲AR21および第二姿勢変化量AR22についても同様に言える。
【0092】
また、
図9の紙面右側のキャビティ51に収容されている部品91のように、一つのキャビティ51に複数(2つ)の部品91が収容されている場合を想定する。この場合の複数(2つ)の部品91の収容状態は、一つの部品91の電極の配置に相当する。そのため、破線で示すように、認識部81は、一つのキャビティ51に収容されている複数(2つ)の部品91を一つの部品91として、部品91の姿勢を認識する可能性がある。このような誤認識が生じた場合であっても、判定部82は、一つのキャビティ51に部品91が嵌まり込んだスタック(部品91の目詰まり)を認識することができる。よって、部品装着機10によるスタック状態の部品91の採取の試行が抑制され、スループット(単位時間当たりの基板製品の生産量)の低下が抑制される。
【0093】
1-3-2.解消部83
解消部83は、判定部82によって収容部材90mの目詰まりが有ると判定され、且つ、キャビティユニット50のメンテナンスが必要であると判断したときに、収容部材90mの目詰まりの解消を試みる(
図7に示すステップS13およびステップS14)。なお、
図7では、図示の便宜上、記載が簡略化されている。
図7に示す所定の条件の成立は、判定部82によって収容部材90mの目詰まりが有ると判定され、且つ、解消部83がキャビティユニット50のメンテナンスが必要であると判断した場合である。
【0094】
解消部83は、目詰まりの解消を試みることができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、解消部83は、公知の吸引装置を用いて、目詰まりが生じた収容部材90mを吸引することにより、目詰まりの解消を試みることができる。しかしながら、目詰まりが生じた収容部材90mの数が増加するほど、吸引作業が煩雑になり、吸引作業に要する所要時間が増加する可能性がある。
【0095】
そこで、解消部83は、基板製品の生産時に軌道部材34を加振する場合と比べて軌道部材34に付与する加振力を増大して軌道部材34を加振させて、収容部材90mの目詰まりの解消を試みると良い。例えば、既述したように、加振装置40の給電装置44は、フィーダ制御装置60の指令に基づいて、振動子42に供給する交流電力の印加電圧および周波数を変動させる。これにより、軌道部材34に付与される振動の振幅および周波数が調整される。
【0096】
よって、解消部83は、振動子42に供給する交流電力の印加電圧を基板製品の生産時に軌道部材34を加振する場合と比べて高くする指令を、フィーダ制御装置60から給電装置44に送出させて、軌道部材34に付与する振動の振幅を大きくする。また、解消部83は、振動子42に供給する交流電力の周波数を基板製品の生産時に軌道部材34を加振する場合と比べて高くする指令を、フィーダ制御装置60から給電装置44に送出させて、軌道部材34に付与する振動の周波数を高くする。
【0097】
さらに、解消部83は、振動子42に供給する交流電力の印加電圧および周波数の両方を基板製品の生産時に軌道部材34を加振する場合と比べて高くする指令を、フィーダ制御装置60から給電装置44に送出させて、軌道部材34に付与する振動の振幅を大きくし且つ周波数を高くすることもできる。なお、加振装置40の加振力の増加割合(軌道部材34に付与する振動の振幅の増加割合または周波数の増加割合)は、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得することができる。
【0098】
また、解消部83は、基板製品の生産時に軌道部材34を加振する場合と比べて軌道部材34を加振させる加振時間を長くして、収容部材90mの目詰まりの解消を試みることもできる。さらに、解消部83は、既述した加振力の増大と共に、上記の加振時間を長くして、収容部材90mの目詰まりの解消を試みることもできる。
【0099】
判定部82によって収容部材90mの目詰まりが有ると判定されたキャビティ51の数が多くなるほど、部品91を供給可能なキャビティ51の数が減少し、基板製品の生産効率が低下し易い。そこで、解消部83は、判定部82によって収容部材90mの目詰まりが有ると判定されたキャビティ51の数が所定の許容数を超えたときに、キャビティユニット50のメンテナンスが必要であると判断することができる。
【0100】
また、収容部材90mの目詰まりに起因して、部品装着機10のスループット(単位時間当たりの基板製品の生産量)が低下するほど、キャビティユニット50のメンテナンスの必要度が増す。そこで、解消部83は、部品装着機10のスループットが所定の閾値以下になったときに、キャビティユニット50のメンテナンスが必要であると判断することもできる。
【0101】
なお、解消部83は、判定部82によって収容部材90mの目詰まりが有ると判定されたキャビティ51の数が所定の許容数を超え、且つ、部品装着機10のスループットが所定の閾値以下になったときに、キャビティユニット50のメンテナンスが必要であると判断することもできる。また、目詰まりが生じているキャビティ51の許容数およびスループットの閾値は、シミュレーション、実機による検証などによって予め取得することができる。
【0102】
例えば、バルクフィーダ30は、一回のピックアンドプレースサイクルにおける採取動作によって採取する部品91の最大数を確保できないと見込まれる場合に、部品91の供給動作を行う。解消部83は、判定部82によって収容部材90mの目詰まりが有ると判定され、且つ、キャビティユニット50のメンテナンスが必要であると判断した場合に、上記の供給動作の前に、収容部材90mの目詰まりの解消を試みることができる。
【0103】
1-3-3.案内部84
案内部84は、解消部83によって収容部材90mの目詰まりが解消されない場合に、キャビティユニット50のメンテナンスを案内する(
図7に示すステップS15およびステップS16)。解消部83によって収容部材90mの目詰まりが解消されたか否かは、収容部材90mの目詰まりの有無を判定する場合と同様にして、判定部82によって判断することができる。
【0104】
案内部84は、キャビティユニット50のメンテナンスを案内することができれば良く、種々の形態をとり得る。例えば、案内部84は、
図1および
図6に示す表示装置21を用いて、キャビティユニット50のメンテナンスを案内することができる。表示装置21は、公知の表示装置を用いることができる。
図14は、案内部84によるキャビティユニット50のメンテナンスの案内例を示している。
【0105】
案内部84は、キャビティユニット50において収容部材90mの目詰まりが生じているキャビティ51の位置を案内することができる。
図14の太線の長方形は、収容部材90mの目詰まりが生じているキャビティ51の案内方法の一例を示している。なお、説明の便宜上、目詰まりが生じているキャビティ51は、
図8に示すキャビティユニット50における目詰まりに対応している。
【0106】
また、
図1に示すように、実施形態のバルクフィーダ30は、部品装着機10の部品供給装置12の複数のスロット12aのうちの所定のスロット12aに装備される。複数のバルクフィーダ30が部品供給装置12の複数のスロット12aに装備されていると、作業者は、キャビティユニット50のメンテナンスが必要なバルクフィーダ30を認識し難い。
【0107】
そこで、案内部84は、キャビティユニット50のメンテナンスが必要なバルクフィーダ30が装備されているスロット位置を併せて案内することができる。
図14に示す案内例では、スロット位置を示すスロット番号(×××)が案内される。また、同図に示す案内例では、フィーダタイプがバルクフィーダ30であることを示す略語(バルク)と、メンテナンス原因を示す(キャビティの不良)とが併せて案内される。
【0108】
キャビティユニット50は、複数(120個)のキャビティ51の各々に固有のアドレスが付されている。固有のアドレスは、複数(120個)のキャビティ51の配列に関連した連続性を有する。具体的には、固有のアドレスは、単に(001)から(120)までの数値であっても良い。また、固有のアドレスは、行数を示す(01)から(10)までの数値と、列数を示す(01)から(12)までの数値の組み合わせ(例えば、7行12列のキャビティ51の場合(0712))であっても良い。さらに、固有のアドレスは、複数(120個)のキャビティ51に一対一で関連付けられる固有情報であれば良く、数値の他に文字列などが含まれても良い。
【0109】
複数(120個)のキャビティ51の各々に固有のアドレスが付されている場合、案内部84は、収容部材90mの目詰まりが生じているキャビティ51のアドレスを案内することもできる。
図14に示す例では、行数を示す(01)から(10)までの数値と、列数を示す(01)から(12)までの数値の組み合わせによって、複数(120個)のキャビティ51の各々に固有のアドレスが付されている。案内部84は、収容部材90mの目詰まりが生じているキャビティ51について、行数を示す数値と列数を示す数値の組み合わせによるアドレスを案内する。アドレスは、既述した太線の長方形から引き出される引き出し線に付されている。
【0110】
既述したように、収容部材90mには、キャビティ51に嵌まり込んでいる部品91またはキャビティ51に残存する異物92が含まれる。よって、判定部82は、キャビティ51に嵌まり込んでいる部品91またはキャビティ51に残存する異物92の姿勢に基づいて、キャビティ51における部品91または異物92の目詰まりの有無を判定することができる。また、解消部83は、キャビティ51に嵌まり込んでいる部品91またはキャビティ51に残存する異物92の目詰まりの解消を試みることができる。さらに、案内部84は、キャビティ51に嵌まり込んでいる部品91またはキャビティ51に残存する異物92の目詰まりが解消されない場合に、キャビティユニット50のメンテナンスを案内することができる。
【0111】
2.メンテナンス方法
メンテナンス装置80について既述されていることは、メンテナンス方法についても同様に言える。具体的には、メンテナンス方法は、軌道部材34と、キャビティユニット50とを具備するバルクフィーダ30に適用され、認識工程と、判定工程とを備える。認識工程は、認識部81が行う制御に相当する。判定工程は、判定部82が行う制御に相当する。また、メンテナンス方法は、解消工程を備えることもできる。解消工程は、解消部83が行う制御に相当する。メンテナンス方法は、案内工程を備えることもできる。案内工程は、案内部84が行う制御に相当する。
【0112】
3.実施形態の効果の一例
メンテナンス装置80によれば、認識部81および判定部82を備えるので、複数回の連続する供給動作について認識部81によって認識された収容部材90mの姿勢に基づいて、キャビティ51における収容部材90mの目詰まりの有無を判定することができる。メンテナンス装置80について上述されていることは、メンテナンス方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0113】
10:部品装着機、12:部品供給装置、12a:スロット、30:バルクフィーダ、
34:軌道部材、50:キャビティユニット、51:キャビティ、70:部品ケース、
80:メンテナンス装置、81:認識部、82:判定部、83:解消部、84:案内部、
90m:収容部材、90a:中心位置、90b:収容角度、91:部品、92:異物、
AR01:姿勢範囲、AR02:姿勢変化量、AR11:第一姿勢範囲、
AR12:第一姿勢変化量、AR21:第二姿勢範囲、AR22:第二姿勢変化量、
Ar0:受容領域、As0:供給領域、CU0:撮像装置、Rd0:搬送路。