(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070906
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】空気供給装置
(51)【国際特許分類】
F15B 11/06 20060101AFI20230515BHJP
A47C 27/10 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
F15B11/06 C
A47C27/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183360
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】若林 尚之
(72)【発明者】
【氏名】村山 学
(72)【発明者】
【氏名】曽川 輝明
(72)【発明者】
【氏名】濱田 信吾
(72)【発明者】
【氏名】依田 英樹
【テーマコード(参考)】
3B096
3H089
【Fターム(参考)】
3B096AC12
3B096AC15
3H089AA02
3H089AA20
3H089BB27
3H089DA02
3H089DB43
3H089DC09
3H089EE36
3H089FF08
3H089GG03
3H089HH04
3H089JJ20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空気の漏れを抑制するとともに、回転部を滑らかに回転させることが可能な空気供給装置を提供する。
【解決手段】この空気供給装置は、台座部11と回転部12との間に配置されるとともに、回転部12から台座部11に向かう方向に積層される第1層13aと第2層13bとを有するシート部材13とを含み、第1層は、第2層よりも弾性係数が小さいとともに、第2層は、第1層よりも摩擦係数が小さい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を供給するように構成されたポンプと、
流路切替部とを備え、
前記流路切替部は、
前記ポンプから対象物までの流路を形成する台座部と、
前記台座部に対して回転可能に設けられ、流路を切り替えるための回転部と、
前記台座部と前記回転部との間に配置されるとともに、前記回転部から前記台座部に向かう方向に積層される第1層と第2層とを有するシート部材とを含み、
前記第1層は、前記第2層よりも弾性係数が小さいとともに、前記第2層は、前記第1層よりも摩擦係数が小さい、空気供給装置。
【請求項2】
前記シート部材は、前記台座部側に前記第1層が位置するとともに、前記回転部側に前記第2層が位置する、請求項1に記載の空気供給装置。
【請求項3】
前記第1層は、前記台座部の表面の微小な凹凸であるうねりに応じて密着するように構成されている、請求項2に記載の空気供給装置。
【請求項4】
前記シート部材は、前記第1層を構成する第1シートと、前記第1シートとは別個に設けられ、前記第2層を構成する第2シートにより構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の空気供給装置。
【請求項5】
前記シート部材は、エラストマーを含む前記第1層と、前記第1層よりも摩擦係数の小さい樹脂を含む前記第2層とから構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の空気供給装置。
【請求項6】
前記シート部材は、前記台座部側に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の空気供給装置。
【請求項7】
前記回転部の前記台座部側とは反対側の面に配置されるばね部材をさらに備え、
前記ばね部材は、前記回転部を前記台座部側に押圧するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の空気供給装置。
【請求項8】
前記ばね部材は、前記回転部の外周部近傍を押圧するように構成されている、請求項7に記載の空気供給装置。
【請求項9】
前記対象物に空気を供給するための対象物接続口をさらに備え、
前記ばね部材は、前記回転部を押圧する力が、前記対象物接続口の断面積の和と、前記対象物の内部の空気圧の最大値との積により得られる力よりも大きくなるように構成されている、請求項7または8に記載の空気供給装置。
【請求項10】
前記ばね部材と前記回転部との間に配置される円板状の押圧部材をさらに備え、前記ばね部材と、前記押圧部材とにより、前記回転部は前記台座部に押圧されるように構成されている、請求項7~9のいずれか1項に記載の空気供給装置。
【請求項11】
空気を供給するように構成されたポンプと、
流路切替部と、を備え、
前記流路切替部は、
前記ポンプから対象物までの流路を形成する台座部と、
前記台座部に対して回転可能に設けられ、流路を切り替えるための回転部と、
前記台座部と前記回転部との間に配置される摺動促進層を有するシート部材とを含む、空気供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気供給装置に関し、特に、流路切替部を備える空気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流路切替部を備える空気供給装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、給排気を行うためのエア切換え弁と、エア切換え弁に空気を供給するためのエアポンプとを備える装置が開示されている。上記特許文献1では、エア切換弁は、円板状の固定板と、固定板上に設けられた回転子と、回転子を固定板に圧接する圧縮ばねとを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように圧縮ばねにより回転部(回転子)と台座(固定板)とを圧接した場合に、ばね部材だけでは押圧する力が弱く回転部と台座との間に隙間が形成されて、空気が漏れるおそれがある。そこで、ばね部材を大型化し、押圧力を大きくすることが考えられるが、押圧力を大きくすることにより、回転部を回転させる際の摩擦係数が大きくなり、回転体が滑らかに回転しないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、空気の漏れを抑制するとともに、回転部を滑らかに回転させることが可能な空気供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による空気供給装置は、空気を供給するように構成されたポンプと、流路切替部とを備え、流路切替部は、ポンプから対象物までの流路を形成する台座部と、台座部に対して回転可能に設けられ、流路を切り替えるための回転部と、台座部と回転部との間に配置されるとともに、回転部から台座部に向かう方向に積層される第1層と第2層とを有するシート部材とを含み、第1層は、第2層よりも弾性係数が小さいとともに、第2層は、第1層よりも摩擦係数が小さい。
【0008】
この発明の第1の局面による空気供給装置では、上記のように、台座部と回転部との間に配置されるとともに、回転部から台座部に向かう方向に積層される第1層と第2層とを有するシート部材とを含み、第1層は、第2層よりも弾性係数が小さいとともに、第2層は、第1層よりも摩擦係数が小さい。これにより、シート部材の第1層が第2層よりも弾性係数が小さいため、第1層が弾性変形することにより回転部または台座部とシート部材とが密着し、隙間が形成されることを抑制することができる。その結果、第1層がシール層として機能するため、空気の漏れを抑制することができる。また、第2層が第1層よりも摩擦係数が小さいため、第1層だけを設ける場合に比べて回転部の台座部に対する摺動を促進することができることから、回転部を台座部に対して滑らかに回転させることができる。この結果、空気の漏れを抑制するとともに、回転部を滑らかに回転させることができる。
【0009】
上記第1の局面による空気供給装置において、好ましくは、シート部材は、台座部側に第1層が位置するとともに、回転部側に第2層が位置する。このように構成すれば、台座部と弾性係数の小さい第1層とが接することにより、シート部材と台座部とを密着させることができる。また、回転部と摩擦係数の小さい第2層とが接することにより、回転部をより滑らかに回転させることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、第1層は、台座部の表面の微小な凹凸であるうねりに応じて密着するように構成されている。このように構成すれば、台座部の表面に微小な凹凸であるうねりがある場合でも、台座部とシート部材とが密着するため、台座部とシート部材との間に隙間が形成されることを抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による空気供給装置において、好ましくは、シート部材は、第1層を構成する第1シートと、第1シートとは別個に設けられ、第2層を構成する第2シートにより構成される。このように構成すれば、第1層と第2層とが別体であることにより、第1シートを弾性係数のより小さい第1シートに適宜変更できるとともに、第2シートを摩擦係数のより小さい第2シートに適宜変更することができるため、シート部材と台座部とをより適切に密着させることができるとともに、回転部をより適切に滑らかに回転させることができる。
【0012】
上記第1の局面による空気供給装置において、好ましくは、エラストマーを含む第1層と、第1層よりも摩擦係数の小さい樹脂を含む第2層とから構成される。このように構成すれば、たとえば、第2層が摩擦係数の小さい樹脂であるナイロンを含む場合に、エラストマーは、ナイロンよりも弾性係数が小さいため、第1層の弾性係数を第2層よりも小さくすることができるとともに、第2層の摩擦係数を第1層よりも小さくすることができる。
【0013】
上記第1の局面による空気供給装置において、好ましくは、シート部材は、台座部側に取り付けられる。このように構成すれば、シート部材と台座部とに対して流路を形成するための孔を各々設ける場合に、シート部材に設ける孔と台座部に設ける孔とを位置合わせすることが容易となる。
【0014】
上記第1の局面による空気供給装置において、好ましくは、回転部の台座部側とは反対側の面に配置されるばね部材をさらに備え、ばね部材は、回転部を台座部側に押圧するように構成されている。このように構成すれば、ばね部材により回転部が押圧されているため、台座部とシート部材と回転部とをより密着させることができる。この結果、回転部と台座部との間に隙間が形成されることを抑制することができるとともに、空気の漏れをより一層抑制することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、ばね部材は、回転部の外周部近傍を押圧するように構成されている。このように構成すれば、回転部を介して押圧されるシート部材の外周部が、押圧される方向とは反対の方向に変形することを抑制することができる。なお、外周部近傍は、外周部と、外周部から少し離れた位置とを含む。
【0016】
上記第1の局面による空気供給装置において、好ましくは、対象物に空気を供給するための対象物接続口をさらに備え、ばね部材は、回転部を押圧する力が、対象物接続口の断面積の和と、対象物の内部の空気圧の最大値との積により得られる力よりも大きくなるように構成されている。このように構成すれば、ばね部材による回転部を押圧する力が、対象物接続口の断面積の和と対象物の内部の空気圧の最大値との積により得られる対象物から流路切替部にかかる内圧よりも大きいため、対象物からの内圧により台座部が押し上げられて、隙間が形成されることを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面による空気供給装置において、好ましくは、ばね部材と回転部との間に配置される円板状の押圧部材をさらに備え、ばね部材と、押圧部材とにより、回転部は台座部に押圧されるように構成されている。このように構成すれば、押圧部材により回転部が台座部に押圧されるため、ばね部材の押圧力を大きくするためにばね部材を大きくする必要がない。その結果、小さいばね部材でも、回転部と台座部との間に隙間が形成されることを抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による空気供給装置は、空気を供給するように構成されたポンプと、流路切替部と、を備え、流路切替部は、ポンプから対象物までの流路を形成する台座部と台座部に対して回転可能に設けられ、流路を切り替えるための回転部と、台座部と回転部との間に配置される摺動促進層を有するシート部材とを含む。
【0019】
この発明の第2の局面による空気供給装置では、上記のように、台座部と回転部との間に配置される摺動促進層を有するシート部材とを含む。これにより、シート部材の摺動促進層により、回転部の回転を滑らかにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の局面によれば、空気の漏れを抑制するとともに、回転部を滑らかに回転させることが可能な空気供給装置を提供することができる。また、第2の局面によれば、回転部の回転を滑らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】第1実施形態による流路切替部の構造を示す断面図である。
【
図9】第1実施形態によるばね部材が回転部に設けられた状態を示す図である。
【
図12】対象物(袋状部材)に給気する際の制御部の制御フローである。
【
図13】対象物(袋状部材)から排気する際の制御部の制御フローである。
【
図14】第2実施形態による流路切替部の構造を示す断面図である。
【
図15】第2実施形態によるばね部材が回転部に設けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して、第1実施形態による空気供給装置100の構成について説明する。
【0024】
本実施形態による空気供給装置100は、
図1に示すように、物品110に空気を供給するための装置である。具体的には、空気供給装置100は、物品110内の袋状部材10に空気を供給することで、袋状部材10を膨張させたり、袋状部材10の空気を排出することにより袋状部材10を収縮させたりする装置である。物品110は、たとえば、エアマット、マッサージチェアなどである。なお、袋状部材10は、特許請求の範囲の「対象物」の一例である。
【0025】
図2に示すように、空気供給装置100は、流路切替部1と、ポンプ2と、筐体3と、制御部4と、本体部5と、圧力センサ6と、駆動部8とを備える。
【0026】
図3に示すように、流路切替部1は、筐体3の底面3aに取り付けられている。流路切替部1は、台座部11と、回転部12と、シート部材13と、ばね部材14とを備える。流路切替部1は、袋状部材10(
図2参照)に空気を供給する流路と、対象物から排気する流路とを切り替えるように構成されている。また、流路切替部1は、複数の対象物のうち排気または給気の対象となる対象物を切り替えるように構成されている。なお、筐体3の上下方向をZ方向とし、上面側をZ1とし、底面3a側をZ2側とする。
【0027】
図4に示すように、Z1側からZ2側に見て、台座部11は、円形形状を有している。台座部11は、樹脂で形成されている。台座部11は、第1孔部11aと、第2孔部11bと、第3孔部11cとを含む。
【0028】
図3に示すように、第1孔部11aは、Z1側からZ2側に見て、筐体3に設けられた対象物接続口31と同じ位置に設けられる。第1孔部11aは、筐体3に設けられた対象物接続口31と連通している。第1孔部11a(対象物接続口31)は、台座部11の外周部に周方向に一定の間隔で複数配置される。第1孔部11a(対象物接続口31)は、回転部12の回転中心から一定距離の間隔で複数配置される。第1実施形態では、第1孔部11a(対象物接続口31)は、4つ設けられる。
【0029】
第2孔部11bは、Z1側からZ2側に見て、筐体3に設けられた空気排出口32と同じ位置に設けられる。第2孔部11b(空気排出口32)は、第1孔部11aよりも中心に近い内周側に設けられる。第2孔部11bは、筐体3に設けられた空気排出口32と連通している。
【0030】
第3孔部11cは、Z1側からZ2側に見て、筐体3に設けられた外部給排気口33と同じ位置に設けられる。第3孔部11cは、筐体3に設けられた外部給排気口33と連通している。第3孔部11c(外部給排気口33)は、台座部11の外周部に周方向に一定の間隔で複数配置される。また、第3孔部11cは、第1孔部11aと円の中心を挟んで点対称になるように配置される。第3孔部11c(外部給排気口33)は、回転部12の回転中心から一定距離の間隔で複数配置される。第1実施形態では、第3孔部11c(外部給排気口33)は、4つ設けられる。
【0031】
図3に示すように、回転部12は、シート部材13(
図3参照)の上面を覆うように設けられる。また、回転部12は、シート部材13に対して回転可能に設けられる。回転部12は、樹脂により構成されている。
【0032】
図5に示すように、回転部12は、Z2側からZ1側に見て円形状を有している。回転部12は、台座部11と略同じ大きさである。回転部12は、回転することにより、排気状態と、給気状態と維持状態とを切り替える。維持状態とは、給排気を停止し袋状部材10の膨張状態または収縮状態を維持する状態である。なお、排気状態と給気状態と維持状態とに切替える際の回転する向きは、同じでもよく、異なっていてもよい。回転部12は、筐体内部空間連通部12aと溝部12bとを備える。筐体内部空間連通部12aと溝部12bとは各々、台座部11側(Z2側)に開口するとともに空気の流路を形成する。具体的には、台座部11に設けられた第1孔部11a、第2孔部11bおよび第3孔部11cと、回転部12の筐体内部空間連通部12aおよび溝部12bとによって流路を形成する。また、回転部12の筐体内部空間連通部12aと溝部12bとを形成する部分を以下では、壁部12fとする。
【0033】
筐体内部空間連通部12aは、回転部12の外周部に設けられる。筐体内部空間連通部12aは、台座部11(
図3参照)側に開口するとともに、筐体3の内部空間を介して空気供給口34と連通するように筐体3側(
図3参照)に開口する。筐体内部空間連通部12aは、回転部12の外表面(外周面)が開口するように設けられている。筐体内部空間連通部12aは、Z2側からZ1側に見て、内周部に向かって窪む楕円形状を有している。
【0034】
図6に示すように、筐体内部空間連通部12aは、第1孔部11aまたは第3孔部11cと連通するように、回転部12の外周部に配置される。給気時には、筐体内部空間連通部12aは、回転することにより、筐体内部空間連通部12aの台座部11側(Z2側)に開口した部分と台座部11に設けられた第1孔部11aとが連通して流路が形成される。給気時には、筐体内部空間連通部12aの台座部11側(Z2側)に開口した部分と第3孔部11cとは連通しない。このとき、回転部12の壁部12fにより第3孔部11cが塞がれる。また、回転部12は、回転位置により、いずれかの第1孔部11aと筐体内部空間連通部12aとを選択的に連通させる。
【0035】
排気時には、回転部12が回転することにより、筐体内部空間連通部12aの台座部11側(Z2側)に開口した部分と台座部11に設けられた第3孔部11cとが連通して流路が形成される。排気時には、筐体内部空間連通部12aの台座部11側(Z2側)に開口した部分と第1孔部11aとは連通しない。このとき、回転部12の壁部12fにより第1孔部11aが塞がれる。また、回転部12は、回転位置により、いずれかの第3孔部11cと筐体内部空間連通部12aとを選択的に連通させる。
【0036】
また、維持状態時には、回転部12が回転することにより、筐体内部空間連通部12aの台座部11側(Z2側)に開口した部分と台座部11に設けられた第1孔部11aおよび第3孔部11cとが連通しない。つまり第1孔部11aと第3孔部11cとが塞がれ、袋状部材10に給気もされないとともに、袋状部材10から排気もされない。
【0037】
図5に示すように、溝部12bは、回転部12の内周部に設けられる。溝部12bは、筐体内部空間連通部12aと連通しない。溝部12bは、Z2側の面以外は開口しておらず、壁部12fに囲まれているため外周面に開口しない。溝部12bは、円形部分12cと、突出部分12dとを有している。
【0038】
図6に示すように、円形部分12cは、第2孔部11bと連通可能である。給気時には、突出部分12dは、回転することにより第3孔部11cと連通する。これにより、第3孔部11cと第2孔部11bとが連通する。この時、第1孔部11aは、突出部分12dと連通せずに壁部12fにより塞がれるため、第1孔部11aと第2孔部11bとは連通しない。回転部12は、回転位置により、いずれかの第3孔部11cと第2孔部11bとを選択的に連通させる。
【0039】
また、排気時には、突出部分12dは、回転することにより第1孔部11aと連通する。これにより、第1孔部11aと第2孔部11bとが連通する。この時、第3孔部11cは、突出部分12dと連通せずに壁部12fにより塞がれるため、第3孔部11cと第2孔部11bとは連通しない。回転部12は、回転位置により、いずれかの第3孔部11cと第2孔部11bとを選択的に連通させる。
【0040】
また、維持状態時には、突出部分12dは、回転することにより第1孔部11aおよび第3孔部11cには連通しない。これにより、第1孔部11aおよび第3孔部11cは壁部12fにより塞がれて、第1孔部11aおよび第3孔部11cは第2孔部11bに連通しない。これにより、袋状部材10に給気もされないとともに、袋状部材10から排気もされない。
【0041】
図3に示すように、シート部材13は、シール層と摺動促進層とを有している。シート部材13は、Z方向に積層されている。なお、「シール層」は、特許請求の範囲に記載した「第1層」の一例である。また、「摺動促進層」は、特許請求の範囲に記載した「第2層」の一例である。
【0042】
シート部材13は、シール層を構成する第1シート13aと、摺動促進層を構成する第2シート13bとから構成される。シート部材13は、台座部11側に取り付けられる。シート部材13は、第1シート13aと第2シート13bとが積層された積層体から構成される。
【0043】
図3および
図7に示すように、Z1側からZ2側に見て、第1シート13aは、台座部11の上面(Z1側の面)と同じ円形状を有している。第1シート13aは、エラストマーであり、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴムまたはEPDMを含む。つまり、シール層は、エラストマーを含む。第1シート13aは、第2シート13bよりも弾性係数が小さい。つまり、シール層は、摺動促進層よりも弾性係数が小さい。第1シート13aの硬度は、好ましくは30度程度であるが、空気の漏れが許容できる範囲では、たとえば、20度以上75度以下(デュロメーター タイプAによる測定)、または20度以上70度以下であってもよい。なお、本発明者は、硬度が20度、30度および50度にした場合に、回転部12の回転に問題がなく、空気の漏れが生じないか生じても問題ない程度であることを確認している。第1シート13aの厚み(Z方向の長さ)は、たとえば、0.5mm以上3mm以下である。第1シート13aは、台座部11の上面を覆うように取り付けられる。第1シート13aは、台座部11の第1孔部11aに対応する位置に、第1孔部11a(
図4参照)に連通する第4孔部131aが設けられている。第1シート13aは、台座部11の第2孔部11b(
図4参照)に対応する位置に、第2孔部11bに連通する第5孔部131bが設けられている。第1シート13aは、台座部11の第3孔部11cに対応する位置に、第3孔部11c(
図4参照)に連通する第6孔部131cが設けられている。
【0044】
台座部11の上面およびシート部材13の表面はともに平坦であり、隙間なく密着する。ここで、台座部11は、微小な凹凸であるうねりが発生することがあるが、第1シート13aは、台座部11の表面の微小な凹凸であるうねり応じて密着するように構成されている。具体的には、第1シート13aの台座部11に接触する面が台座部11の表面に沿って弾性変形する。これにより微小な凹凸であるうねりが生じたとしても、台座部11とシート部材13とを密着させることができる。
【0045】
図8に示すように、第2シート13bは、台座部11および第1シート13aと同じ円形状を有している。第2シート13bは、第1シート13aよりも摩擦係数が小さい樹脂を含む。つまり、摺動促進層は、シール層よりも摩擦係数の小さい樹脂を含むとともに、摺動促進層は、シール層よりも摩擦係数が小さい。第2シート13bは、たとえば、テフロン(登録商標)、超高分子量ポリエチレン、ナイロンまたはポリアセタールを含む。第2シート13bは、台座部11の第1孔部11a(
図4参照)に対応する位置に、第7孔部132aが設けられている。第2シート13bは、台座部11の第2孔部11b(
図4参照)に対応する位置に第8孔部132bが設けられている。第2シート13bは、台座部11の第3孔部11c(
図4参照)に対応する位置に第9孔部132cが設けられている。
【0046】
台座部11の第1孔部11aと、第1シート13aの第4孔部131aと、第2シート13bの第7孔部132aとは連通している。そのため、空気は、台座部11から回転部12に流れることが可能であるとともに、空気は、回転部12から台座部11に流れることも可能である。また、台座部11の第2孔部11bと、第1シート13aの第5孔部131bと、第2シート13bの第8孔部132bとは連通している。そのため、空気は、台座部11から回転部12に流れることが可能であるとともに、空気は、回転部12から台座部11に流れることも可能である。さらに、台座部11の第3孔部11cと、第1シート13aの第6孔部131cと、第2シート13bの第9孔部132cとは連通している。そのため、空気は、台座部11から回転部12に流れることが可能であるとともに、空気は、回転部12から台座部11に流れることも可能である。
【0047】
第2シート13bは、第1シート13aの第2シート13bに接する面の変形に倣って変形する。そのため、第2シート13bの厚み(Z方向の長さ)は、第1シート13aの厚みより小さいほうが好ましい。第2シート13bの厚みは、たとえば、0.1mm以上0.5mm以下である。
【0048】
図3および
図9に示すように、ばね部材14は、圧縮コイルバネである。ばね部材14は、回転部12の外周部近傍を押圧するように構成されている。外周部近傍とは、回転部12の中心から半径の2分の1の長さの位置よりも外周部側の位置、より好ましくは、回転部12の中心から半径の3分の1の長さの位置よりも外周部側である。また、ばね部材14は、突出部分12dよりも外周部側に設けられていることが好ましい。これにより、台座部11に設けられた第1孔部11aおよび第3孔部11cよりも外周部側を押圧することができるため、壁部12fが薄く、空気が漏れやすい部分をより密着させることができる。
【0049】
ばね部材14の押圧力は、対象物接続口31の断面積の和と、袋状部材20(
図2参照)の空気圧の最大値との積により得られる力(袋状部材10の内圧)よりも大きい。袋状部材10の空気圧の最大値は、袋状部材10が複数ある場合は、最も膨張している袋状部材10の空気圧となる。第1実施形態では、4つの対象物接続口31が設けられているため、各々の断面積の和となる。また、第1実施形態では、袋状部材10が4つ設けられているため、4つのうち最も膨張している袋状部材10の空気圧を空気圧の最大値とする。
【0050】
図3に示すように、駆動部8は流路切替部1を切り替えるように構成される。駆動部8が、モータ8aとギア8bとを備える。なお、駆動部8は、ギヤードモータで構成されていてもよい。駆動部8は、モータ8aによりギア8bが回転し、回転部12を回転させる。具体的には、回転部12には、ギア部12gが設けられており、ギア部12gとギア8bとが係合した状態で回転する。なお、第1実施形態では、モータ8aを筐体3の内部に設けているが、モータ8aを筐体3の外に設けてもよい。モータ8aを筐体3の外に設ける場合には回転軸と筐体3の隙間からのエア漏れが極力低減できるように筐体3とモータ8aの回転軸との隙間にシーリング部材を付加し、構成してもよい 。
【0051】
図3および
図11に示すように空気供給装置100は、位相検出部9を含む。位相検出部9は、たとえば、所定の間隔でスリットが形成されたエンコーダを含む検知板91である。検知板91は、第1検知部91aと第2検知部91bとが取り付けられている。第1検知部91aおよび第2検知部91bは、各々、図示しない発光部と検知部とを有している。また、検知板91には、初期位置を示す第1スリット91cと、所定角度毎に設けられた第2スリット91dとを有する。第2スリット91dは、台座部11の第1孔部11aと、第3孔部11cと、維持状態の位置とに合わせて設けられる。本実施形態では、4つの第1孔部11aに対応して4個、4つの第3孔部11cに対応して4個、および維持状態位置が2個の合計10個の第2スリット91dが、等間隔(36度ごと)に設けられる。第1検知部91aが、第1スリット91cを通過した発光部からの光を検知部で検知することによって初期位置であることが検知される。また、第2検知部91bが第2スリット91dを通過した光を検知した回数により回転の角度を検出する。エンコーダのスリットの位置に応じて、給気状態、排気状態、および、維持状態を切り替えることができる。なお、位相検出部9は、流路切替部1に取り付けられていてもよく、流路切替部1から離れていてもよい。また、位相検出部9は、流路切替部1の回転部12の位相の変化(回転の程度)を取得できるものであれば、たとえば、検出回路を含むセンサ部品で構成されていてもよい。
【0052】
図2に示すように、ポンプ2は、本体部5の内部に設けられる。また、ポンプ2は、筐体3の外部に設けられる。ポンプ2は、筐体3の内部空間に空気を供給するように構成されている。ポンプ2は、空気供給装置100の空気を流通させる駆動源となる。ポンプ2は、後述する流路切替部1の回転部12を回転させる際に停止される。
【0053】
筐体3は、樹脂で形成されている。筐体3は、たとえば、直方体形状または立方体形状の箱である。筐体3は、密閉されている。筐体3は内部に流路切替部1が取り付けられている。筐体3は、本体部5の内部に配置されている。
【0054】
筐体3は、バッファタンクの機能を有している。バッファタンクは、配管が接続される入口よりも体積が大きくなるように設定されるタンクである。バッファタンクは、体積が大きいことによりバッファタンク内の空気圧の変動を小さくし、出口圧力が脈動することを抑制するためのタンクである。
【0055】
図10に示すように、筐体3の底面3aには、空気供給口34と、空気排出口32と、対象物接続口31と、外部給排気口33とが設けられている。
【0056】
空気供給口34は、ポンプ2から送風された空気を筐体3の内部空間に供給するための孔である。空気供給口34は、ポンプ2の排出口と空気供給口34とを連通させる第1配管30a(
図6参照)が、隙間を形成しないように取り付けられる。空気供給口34は、筐体3に1つ設けられている。
【0057】
空気排出口32は、溝部12bからポンプ2に空気を排出するための孔である。空気排出口32は、ポンプ2の空気取り込み口と空気排出口32とを連通させる第2配管30b(
図6参照)が、隙間を形成しないように取り付けられている。空気排出口32は、筐体3に1つ設けられている。
【0058】
対象物接続口31は、袋状部材10に給気するか、または袋状部材10から排気するための孔である。対象物接続口31は、袋状部材10と対象物接続口31とを連通させる第3配管30c(
図6参照)が、隙間を形成しないように取り付けられている。対象物接続口31の数は、袋状部材10の数と同じであり、第1実施形態では4つである。
【0059】
外部給排気口33は、筐体3の外部から内部に給気するか、または筐体3の内部から外部に排気するための孔である。外部給排気口33は一端が外部に開口した第4配管30d(
図6参照)が隙間を形成しないように取り付けられる。外部給排気口33は、袋状部材10の数と同じ数だけ設けられ、第1実施形態では4つである。
【0060】
図6に示すように、外部給排気口33に取り付けられる第4配管8dの外部に開口する一端には、複数の孔が設けられる。また、外部給排気口33に取り付けられる第4配管30dの外部に開口する一端には、サイレンサ7が取り付けられる。サイレンサ7は、たとえば、ウレタン製のカバー部材である。サイレンサ7は、外部給排気口33から排気する際の音と、外部給排気口33に給気する際の音とを小さくする消音装置である。
【0061】
図2に示すように、制御部4は、ポンプ2と、回転部12とを制御するように構成されている。制御部4は、外部からの入力を受け付けることにより、ポンプ2と回転部12とを制御し、袋状部材10に対する空気の供給、または袋状部材10から空気の排出を行うように構成されている。また、制御部4は、検知板91で検知した結果から、回転部12の回転を停止させる制御を行う。また、制御部4は、圧力センサ6で測定した筐体3の内部空間の空気の圧力に基づいて、ポンプ2の駆動を止めるとともに、回転部12を回転させて、給気状態または排気状態から維持状態に切り替える制御を行うように構成されている。また、制御部4は、外部からの入力に応じて、給排気する対象物を切り替える制御を行うように構成されている。
【0062】
本体部5には、ポンプ2と、筐体3と、制御部4と、圧力センサ6とが内部に配置される。本体部5は、たとえば、樹脂製の箱である。また、本体部5には、ポンプ2および流路切替部1を駆動させるための電源(図示せず)が設けられている。
【0063】
圧力センサ6は、筐体3の内部空間に給気されるか、または筐体3の内部空間から排気される空気の圧力を測定する。圧力センサ6は、ポンプ2の排気口側の第1配管30aと、吸気口側の第2配管30bとに設けられる。排気口側の圧力センサ6が、所定値以上の圧力を検知した場合、制御部4は、ポンプ2を停止させる制御を行うように構成されている。また。吸気口側の圧力センサ6が所定値未満の圧力を検知した場合、制御部4はポンプ2を停止させる制御を行うように構成されている。2つの圧力センサ6の所定値は異なっており、たとえば、排気口側の所定値は正の値であり、吸気口側は0または負の値である。
【0064】
(給気時の制御)
図12に基づいて、給気時の制御部4の制御を説明する。まず、ステップS1として、制御部4は、給気をする対象の袋状部材10の入力を受け付ける。入力は、たとえば、リモコンまたは操作ボタンによる入力である。
【0065】
ステップS2では、制御部4は、ポンプ2を停止させる制御を行う。ステップS3では、制御部4は、駆動部15のモータ15aを駆動させて、回転部12を所定角度または所定間隔で回転させる制御を行う。回転部12の所定角度は、第1検知部91aおよび第2検知部91bがともに光を検知した位置を初期位置(すべての袋状部材10に対する給排気も停止されている状態の位置)を0度にして、第1孔部11aおよび第3孔部11cが配置される間隔に合わせて設定される。制御部4は、回転部12が初期位置にある場合は、予め設定された角度に回転させる。具体的には、第2検知部91bが所定回数光を検知するまで、制御部4は、回転部12を回転させる制御を行う。また、制御部4は、回転部12が初期位置から回転している状態(他の袋状部材10に給気している状態)の場合は、初期位置から対象の袋状部材10までの回転角度から、すでに回転している角度を引いた差の分だけ回転させるように構成されている。具体的には、第2検知部91bが所定回数光を検知するまで、制御部4は、回転部12を回転させる制御を行う。
【0066】
ステップS4では、制御部4は、回転部12の回転角度が所定角度か否かで次の制御が異なる。具体的には、検知板91で検出した検出結果を制御部4が取得し、回転部12の回転角度が所定角度である場合、いいかえると、第2検知部91bが所定回数光を検知した場合は、ステップS5に進む。一方で、第2検知部91bが所定回数光を検知していない場合は、所定角度になるまで(所定回数光を検知するまで)ステップS4が繰り返される。
【0067】
ステップS5では、制御部4は、駆動部15のモータ15aを停止させて、回転部12の回転を停止させる制御を行うように構成されている。
【0068】
ステップS6では、制御部4はポンプ2を駆動させて袋状部材10に空気を供給する。ステップS7では、第1配管30aに設けた圧力センサ6で検知した圧力が所定値以上であるか否かにより制御部4の制御が変わる。所定値以上である場合、ステップS8に進み、制御部4は、ポンプ2を停止させる制御を行う。所定値未満の場合は、所定値以上になるまでステップS7が繰り返される。
【0069】
ステップS8でポンプ2を停止させた後、ステップS9では、制御部4は、回転部12を維持状態時の位置に回転させる制御を行う。ステップS10では、制御部4は、回転部12の回転角度が所定角度か否かで次の制御が異なる。具体的には、検知板91で検出した検出結果を制御部4が取得し、回転部12の回転角度が所定角度である場合にステップS11に進む。回転部12の回転角度が所定角度である場合とは、第2検知部91bが所定回数光を検知した場合である。一方で、第2検知部91bが所定回数光を検知していない場合は所定角度になるまで(所定回数光を検知するまで)ステップS10が繰り返される。ステップS11では、制御部4は、駆動部15のモータ15aを停止させて、回転部12の回転を停止させる制御を行うように構成されている。これにより、袋状部材10が膨張した状態を維持することができる。
【0070】
(排気時の制御)
図13に基づいて、排気時の制御部4の制御を説明する。まず、ステップS21として、制御部4は、排気をする対象の袋状部材10の入力を受け付ける。
【0071】
ステップS22では、制御部4は、ポンプ2を停止させる制御を行う。ステップS23では、制御部4は、駆動部15のモータ15aを駆動させて、回転部12を所定角度または所定間隔で回転させる制御を行う。回転部12の所定角度は、第1検知部91aおよび第2検知部91bがともに光を検知した位置を初期位置(すべての袋状部材10に対する給排気も停止されている状態の位置)を0度にして、第1孔部11aおよび第3孔部11cが配置される間隔に合わせて設定される。制御部4は、回転部12が初期位置にある場合は、予め設定された角度に回転させる。具体的には、第2検知部91bが所定回数光を検知するまで回転部12を回転する。また、制御部4は、回転部12が初期位置から回転している状態(他の袋状部材10から排気している状態)の場合は、初期位置から対象の袋状部材10までの回転角度から、すでに回転している角度を引いた差の分だけ回転させるように構成されている。具体的には、第2検知部91bが所定回数光を検知するまで、制御部4は、回転部12を回転させる制御を行う。
【0072】
ステップS24では、制御部4は、回転部12の回転角度が所定角度か否かで次の制御が異なる。具体的には、検知板91で検出した検出結果を制御部4が取得し、回転部12の回転角度が所定角度である場合、いいかえると、第2検知部91bが所定回数光を検知した場合は、ステップS25に進む。一方で、第2検知部91bが所定回数光を検知していない場合は、所定角度になるまで(所定回数光を検知するまで)ステップS24が繰り返される。
【0073】
ステップS25では、制御部4は、駆動部15のモータ15aを停止させて、回転部12の回転を停止させる制御を行うように構成されている。
【0074】
ステップS26では、制御部4はポンプ2を駆動させて袋状部材10から排気する。ステップS27では、第2配管30bに設けられた圧力センサ6で検知した圧力が所定値未満であるか否かにより制御部4の制御が変わる。所定値未満である場合、ステップS18に進み、制御部4は、ポンプ2を停止させる制御を行う。所定値以上の場合は、所定値未満になるまでステップS27を繰り返す。
【0075】
ステップS28でポンプ2を停止させた後、ステップS29では、制御部4は、回転部12を維持状態時の位置に回転させる制御を行う。ステップS30では、制御部4は、回転部12の回転角度が所定角度か否かで次の制御が異なる。具体的には、検知板91で検出した検出結果を制御部4が取得し、回転部12の回転角度が所定角度である場合、いいかえると、第2検知部91bが所定回数光を検知した場合は、ステップS31に進む。一方で、第2検知部91bが所定回数光を検知していない場合は所定角度になるまで(第2検知部91bが所定回数光を検知するまで)ステップS30が繰り返される。ステップS31では、制御部4は、駆動部15のモータ15aを停止させて、回転部12の回転を停止させる制御を行うように構成されている。これにより、袋状部材10が収縮した状態を維持することができる。
【0076】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
第1実施形態では、上記のように、空気供給装置100では、台座部11と回転部12との間に配置されるとともに、回転部12から台座部11に向かう方向に積層される第1層と第2層とを有するシート部材13とを含み、第1層は、第2層よりも弾性係数が小さいとともに、第2層は、第1層よりも摩擦係数が小さい。これにより、シート部材13の第1層が第2層よりも弾性係数が小さいため、第1層が弾性変形することにより回転部12または台座部11とシート部材13とが密着し、隙間が形成されることを抑制することができる。その結果、第1層がシール層として機能するため、空気の漏れを抑制することができる。また、第2層が第1層よりも摩擦係数が小さいため、第1層だけを設ける場合に比べて回転部12の台座部11に対する摺動を促進することができることから、回転部12を台座部11に対して滑らかに回転させることができる。この結果、空気の漏れを抑制するとともに、回転部12を滑らかに回転させることができる。
【0078】
また、第1実施形態では、上記のように、シート部材13は、台座部11側に第1層が位置するとともに、回転部12側に第2層が位置する。これにより、台座部11と弾性係数の小さい第1層とが接することにより、シート部材13と台座部11とを密着させることができる。また、回転部12と摩擦係数の小さい第2層とが接することにより、回転部12をより滑らかに回転させることができる。
【0079】
また、第1実施形態では、上記のように、第1層は、台座部11の表面の微小な凹凸であるうねりに応じて密着するように構成されている。これにより、台座部11の表面に微小な凹凸であるうねりがある場合でも、台座部11とシート部材13とが密着するため、台座部11とシート部材13との間に隙間が形成されることを抑制することができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、シート部材13は、第1層を構成する第1シート13aと、第1シート13aとは別個に設けられ、第2層を構成する第2シート13bにより構成される。これにより、第1層と第2層とが別体であることにより、第1シート13aを弾性係数のより小さい第1シート13aに適宜変更できるとともに、第2シート13bを摩擦係数のより小さい第2シート13bに適宜変更することができるため、シート部材13と台座部11とをより適切に密着させることができるとともに、回転部12をより適切に滑らかに回転させることができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、エラストマーを含む第1層と、第1層よりも摩擦係数の小さい樹脂を含む第2層とから構成される。これにより、たとえば、第2層が、摩擦係数の小さい樹脂であるナイロンを含む場合に、エラストマーは、ナイロンよりも弾性係数が小さいため、第1層の弾性係数を第2層よりも小さくすることができるとともに、第2層の摩擦係数を第1層よりも小さくすることができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、シート部材13は、台座部11側に取り付けられる。これにより、シート部材13と台座部11とに対して流路を形成するための孔を各々設ける場合に、シート部材13に設ける孔と台座部11に設ける孔とを位置合わせすることが容易となる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、回転部12の台座部11側とは反対側の面に配置されるばね部材14をさらに備え、ばね部材14は、回転部12を台座部11側に押圧するように構成されている。これにより、ばね部材14により回転部12が押圧されているため、台座部11とシート部材13と回転部12とをより密着させることができる。この結果、回転部12と台座部11との間に隙間が形成されることを抑制することができるとともに、空気の漏れをより一層抑制することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、ばね部材14は、回転部12の外周部近傍を押圧するように構成されている。これにより、回転部12を介して押圧されるシート部材13の外周部が、押圧される方向とは反対の方向に変形することを抑制することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、対象物に空気を供給するための対象物接続口31をさらに備え、ばね部材14は、回転部12を押圧する力が、対象物接続口31の断面積の和と、対象物の内部の空気圧の最大値との積により得られる力よりも大きくなるように構成されている。これにより、ばね部材14の回転部12を押圧する力が、対象物接続口31の断面積の和と対象物の内部の空気圧の最大値との積により得られる対象物から流路切替部1にかかる内圧よりも大きいため、対象物からの内圧により、台座部11が押し上げられて隙間が形成されることを抑制することができる。
【0086】
[第2実施形態]
図14および
図15を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、空気供給装置200の流路切替部1が、円板状の押圧部材17をさらに備える構成について説明する。
【0087】
図14に示すように、第2実施形態による空気供給装置では、円板状の押圧部材17をさらに備える。押圧部材17は、断面視でZ1側に窪む凹状を有している。
【0088】
図14および
図15に示すように、押圧部材17は、回転部12の台座部11に取り付ける方向(Z方向)においてばね部材14と回転部12との間に配置される。押圧部材17は、底面(Z2側の面)から回転部12側(Z2側)に突出する突出部17aを有する。押圧部材17は、突出部17aにより回転部12の外周部近傍の上面(Z1側の面)を押圧するように構成されている。外周部近傍とは、回転部12の中心から半径の2分の1の長さの位置よりも外周部側の位置、より好ましくは、回転部12の中心から半径の3分の1の長さの位置よりも外周部側である。また、押圧部材17は、突出部分12dよりも外周部側に設けられていることが好ましい。これにより、台座部11に設けられた第1孔部11aおよび第3孔部11cよりも外周部側を押圧することができるため、壁部12fが薄く、空気が漏れやすい部分をより密着させることができる。
【0089】
押圧部材17は、突出部17aの底面(Z2側の面)17b以外の部分は、台座部11に接触しない。そのため、回転部12の外周部にのみ押圧力を作用させることができる。突出部17aは、押圧部材17の外周に沿って円環状に配置されている。突出部17aは、断続的に設けてもよいが、回転部12の外周を均一に押圧する観点から連続的に設けられる方が好ましい。押圧部材17は、Z方向に見て、回転部12と同じ大きさである。なお、
図15では、便宜上、押圧部材17を回転部12よりも小さく記載している。
【0090】
第2実施形態では、ばね部材141は、押圧部材17の中心近傍に配置される。ばね部材141の大きさは、押圧部材17よりも小さい。そのため、押圧部材17の中央部が回転部12側に向かってわずかに変形する(凹む)おそれがある。そのため、突出部17aの突出量は、押圧部材17の中央部が回転部12側に向かってわずかに変形した場合に、押圧部材17の中央部が回転部12に接触することを回避できる大きさに設定される。
【0091】
なお、第2実施形態による空気供給装置200のその他の構成は、上記第1実施形態による空気供給装置100の構成と同様である。
【0092】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0093】
第2実施形態では、上記のように、空気供給装置200では、台座部11と回転部12との間に配置されるとともに、回転部12から台座部11に向かう方向に積層される第1層と第2層とを有するシート部材13とを含み、第1層は、第2層よりも弾性係数が小さいとともに、第2層は、第1層よりも摩擦係数が小さい。これにより、シート部材13の第1層が第2層よりも弾性係数が小さいため、第1層が弾性変形することにより回転部12または台座部11とシート部材13とが密着し、隙間が形成されることを抑制することができる。その結果、第1層がシール層として機能するため、空気の漏れを抑制することができる。また、第2層が第1層よりも摩擦係数が小さいため、第1層だけを設ける場合に比べて回転部12の台座部11に対する摺動を促進することができることから、回転部12を台座部11に対して滑らかに回転させることができる。この結果、空気の漏れを抑制するとともに、回転部12を滑らかに回転させることができる。
【0094】
また、第2実施形態では、上記のように、ばね部材141と回転部12との間に配置される円板状の押圧部材17をさらに備え、ばね部材141と、押圧部材17とにより、回転部12は台座部11に押圧されるように構成されている。これにより、押圧部材17により回転部12が台座部11に押圧されるため、ばね部材141の押圧力を大きくするためにばね部材141を大きくする必要がない。その結果、小さいばね部材141でも、回転部12と台座部11との間に隙間が形成されることを抑制することができる。
【0095】
なお、第2実施形態による空気供給装置200のその他の効果は、上記第1実施形態による空気供給装置100の効果と同様である。
【0096】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0097】
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、シート部材は、第1シートと第2シートとにより構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、シート部材は、2つ以上の異なる材料を一体的に組み合わせた複合材料であってもよい。
【0098】
また、第1実施形態および第2実施形態では、台座部側に第1層が位置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、台座部側に第2層が位置してもよい。
【0099】
また、第1実施形態および第2実施形態では、シート部材が台座部側に取り付けられる例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、シート部材が回転部側に取り付けられてもよい。この場合、シート部材には、回転部の溝部の位置に合わせて孔が設けられる。
【0100】
また、第1実施形態および第2実施形態では、シート部材が台座部側に取り付けられる例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、第1層が回転部に取り付けられるとともに、第2層が台座部に取り付けられてもよく、第1層が台座部に取り付けられてもよく、第2層が回転部に取り付けられてもよい。
【0101】
また、第1実施形態および第2実施形態では、筐体3の底面に外部給排気口が設けられる例を示したが、本発明はこれに限らなお。たとえば、外部給排気口が設けられていなくともよい。この場合、空気排出口は、ポンプと接続されずに外部に開口して溝部からの空気を排出するように構成されていてもよい。
【0102】
また、第1実施形態および第2実施形態では、筐体を備える例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、筐体を設けずに、回転部の外周部に溝を設けてもよい。
【0103】
また、第2実施形態では、断面視で押圧部材が凹状を有している例を示したが、本発明はこれに限定されない、押圧部材は、断面視で平板状であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 流路切替部
2 ポンプ
11 台座部
12 回転部
13 シート部材
13a 第1シート
13b 第2シート
14 ばね部材
17 押圧部材
31 対象物接続口
100、200 空気供給装置