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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070922
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】手持ち式装置の保持機構
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20230515BHJP
   H04M 1/11 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
G06F1/16 313B
G06F1/16 312G
H04M1/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183387
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】大石 桃未
(72)【発明者】
【氏名】中野 芳秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 大樹
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023AA07
5K023BB23
5K023KK04
5K023PP12
5K023PP13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】携帯端末を確実に保持できるだけでなく、様々な形状の携帯端末に対応でき、操作性を向上するタブレットを保持するための手持ち式装置の保持機構を提供する。
【解決手段】手持ち式装置1は、タブレットを載置するためのベース面20と、タブレットの一側面と対向するようにベース面20から立ち上がる壁部21とを有する装置本体2を備えている。保持機構3、4は、ベース面20に載置されたタブレットの一側面と相対する他側面側の左右の角部をそれぞれ保持する第1、第2の保持部30、40と、先端部31A、41Aに第1、第2の保持部30、40をそれぞれ有し、かつ、基端部31B、41Bが装置本体2に各々回動可能に支持された第1、第2のアーム部31、41とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を保持するための手持ち式装置の保持機構であって、
前記手持ち式装置が、携帯端末を載置するためのベース面と、携帯端末の一側面と対向するように前記ベース面から立ち上がる壁部とを有する装置本体を備え、
前記保持機構が、前記ベース面に載置された携帯端末の前記一側面と相対する他側面側の左右の角部をそれぞれ保持し得る第1、第2の保持部と、先端部に前記第1、第2の保持部をそれぞれ有しかつ基端部が前記装置本体に各々回動可能に支持された第1、第2のアーム部とを有している、
ことを特徴とする手持ち式装置の保持機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記装置本体が、当該装置本体にスライド可能に支持されかつ前記壁部に対して接近・離反可能なスライドベース部をさらに備え、前記第1、第2のアーム部の前記各基端部が前記スライドベース部に各々回動可能に支持されている、
ことを特徴とする手持ち式装置の保持機構。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1、第2のアーム部が、それぞれ長手方向に伸縮可能に構成されている、
ことを特徴とする手持ち式装置の保持機構。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1、第2のアーム部が、前記基端部を有する基端側アーム部と、前記基端側アームに対してスライド可能に設けられ、前記先端部を有する先端側アーム部と、前記先端側アーム部を前記基端側アーム部に対して接近する側に付勢する付勢手段とをそれぞれ有している、
ことを特徴とする手持ち式装置の保持機構。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1、第2の保持部が、前記第1、第2のアーム部のそれぞれの長手方向に沿って移動可能に設けられている、
ことを特徴とする手持ち式装置の保持機構。
【請求項6】
請求項1において、
前記壁部が携帯端末の一側面に当接する当接部を有しており、前記当接部が前記壁部に対して斜めに交差する方向に延びる傾斜面を有し、前記傾斜面が前記一側面に当接している、
ことを特徴とする手持ち式装置の保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を保持するための手持ち式装置の保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第6508151号公報の段落[0038]~[0039]および図3図6には、スマートフォンやタブレット端末等の携帯機器を保持するための操作端末(200)が記載されている。操作端末(200)は、本体部(210)と、本体部(210)の前面(214)に設けられ、携帯機器(300)を保持する保持部(230)とを備えている。
【0003】
保持部(230)は、同公報の段落[0046]~[0052]および図4図6に記載されるように、携帯機器(300)を挟持するための挟持部(260)と、付勢部(270)とから構成されている。挟持部(260)は、携帯機器(300)の下端部を支持する支持部(2612)を有する固定部材(261)と、携帯機器(300)の上端部を押さえる押さえ部(2622)を有し、固定部材(261)に対して接近・離反可能な可動部材(262)とを有している。可動部材(262)は、付勢部(270)の付勢力により固定部材(261)の側に付勢されている。
【0004】
このような操作端末(200)に携帯機器(300)が取り付けられると、携帯機器(300)は、固定部材(261)と可動部材(262)の間で挟持される(同公報の段落[0054]参照)。
【0005】
また、特開2020-179452号公報の段落[0011]、[0013]、[0016]~[0017]、[0022]および図1図2図5には、タブレット型PCやスマートフォン等の携帯端末機器(350)を着脱可能に装着するための教示装置(300)が記載されている。教示装置(300)は、携帯端末機器(350)が装着される装着面(312)を有するケース部(310)を備えている。ケース部(310)は、第1部材(320)と、第1部材(320)に対して接近・離反方向に移動可能な第2部材(330)とを有している。
【0006】
同公報の段落[0018]、[0020]~[0023]および図2図5図6に記載されるように、第1部材(320)は、装着面(312)に直交する第1壁面(325)を含む第1規制壁(324)を有し、第2部材(330)は、装着面(312)に直交しかつ第1壁面(325)に対向する第2壁面(335)を含む第2規制壁(334)を有している。第1壁面(325)および第2壁面(335)には、携帯端末機器(350)を把持するための弾性変形可能な保持部材(314)がそれぞれ取り付けられている。
【0007】
このような教示装置(300)に携帯端末機器(350)が取り付けられると、携帯端末機器(350)は、第1壁面(325)の保持部材(314)と第2壁面(335)の保持部材(314)との間で把持または保持される(同公報の段落[0026]参照)。
【0008】
一方、特開2021-79539号公報の段落[0021]、[0022]、[0025]、[0028]および図1図6には、タブレット(2)を支持する手持ち式装置(1)が記載されている。手持ち式装置(1)は、タブレット(2)を支持して固定するためのホルダー部(4)を備えている。
【0009】
ホルダー部(4)は、タブレット(2)を支持するベース部(41)と、ベース部(41)にスライド可能に設けられ、互いに接近・離反可能な一対のスライドベース(42、43)と、各スライドベース(42、43)の先端に設けられ、タブレット(2)を係脱可能に係止する一対の係止部(44、45)を有している。各係止部(44、45)は、タブレット(2)を対角線方向から挟持して保持するように設けられている。
【0010】
このような手持ち式装置(1)にタブレット(2)が取り付けられると、各係止部(44、45)がタブレット(2)の対角線上で相対する角部の各端面に当接する(同公報の段落[0038]参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許第6508151号公報に記載の操作端末(200)では、固定部材(261)の支持部(2612)と可動部材(262)の押さえ部(2622)との間で、携帯機器(300)の上下端部を挟持するように構成されているため、携帯機器(300)に衝撃や振動が作用した場合には、携帯機器(300)の左右端部側から携帯機器(300)が抜け落ちる恐れがある。
【0012】
上記特開2020-179452号公報に記載の教示装置(300)では、第1規制壁(324)の第1壁面(325)と第2規制壁(334)の第2壁面(335)との間で、携帯端末機器(350)の上下端部を挟持するように構成されているため、上記特許第6508151号公報に記載の操作端末(200)と同様に、携帯端末機器(350)に衝撃や振動が作用した場合には、携帯端末機器(350)の左右端部側から携帯端末機器(350)が抜け落ちる恐れがある。
【0013】
上記特開2021-79539号公報に記載の手持ち式装置(1)では、各係止部(44、45)がタブレット(2)の対角線上で相対する角部の各端面に当接するように構成されており、タブレット(2)が上下方向のみならず左右方向からも挟持されて保持されることになるので、タブレット(2)に衝撃や振動が作用した場合でも、タブレット(2)の左右端部側からタブレット(2)が抜け落ちるのを防止できる。
【0014】
ところが、上記特開2001-79539号公報に記載の手持ち式装置(1)においては、タブレット(2)を取り付ける際には、タブレット(2)の対角方向を各係止部(44、45)の移動方向に合わせる必要があり、形状の異なるタブレット(2)に対しては、操作時にタブレット(2)の形状に応じて手持ち式装置(1)を適宜回転させる必要があった。そのため、より操作性の高い手持ち式装置(1)の要請があった。
【0015】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、携帯端末を確実に保持できるだけでなく、様々な形状の携帯端末に対応でき、操作性を向上できる手持ち式装置の保持機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、携帯端末を保持するための手持ち式装置の保持機構である。手持ち式装置は、携帯端末を載置するためのベース面と、携帯端末の一側面と対向するようにベース面から立ち上がる壁部とを有する装置本体を備えている。保持機構は、ベース面に載置された携帯端末の一側面と相対する他側面側の左右の角部をそれぞれ保持し得る第1、第2の保持部と、先端部に第1、第2の保持部をそれぞれ有しかつ基端部が装置本体に各々回動可能に支持された第1、第2のアーム部とを有している。ここで、本明細書中で用いられる「携帯端末」とは、スマートフォン、タブレット、タブレットPC、タブレット端末、モバイル端末、モバイル機器、タッチパネル、小型ノートパソコン等を含む。
【0017】
本発明において、携帯端末を手持ち式装置に保持させるには、携帯端末を手持ち式装置の装置本体のベース面に載置して、携帯端末の一側面を装置本体の壁部に対向させる。そして、保持機構の第1、第2のアーム部を装置本体に対してそれぞれ適宜回動させることにより、携帯端末の一側面と相対する他側面側の左右の角部を第1、第2の保持部によりそれぞれ保持する。
【0018】
本発明によれば、第1、第2の保持部が携帯端末の他側面側の左右の角部を保持することにより、携帯端末が、相対する一側面および他側面の方向のみならず、これと直交する方向からも保持されることになるので、携帯端末に衝撃や振動が作用した場合でも、携帯端末を確実に保持できるようになる。
【0019】
しかも、本発明によれば、第1、第2の保持部を有する第1、第2のアーム部が回動可能に設けられているので、形状の異なる各種携帯端末のそれぞれの対角方向に応じて第1、第2のアーム部を適宜回動させることにより、様々な形状の携帯端末に対応できるようになるとともに、操作時に装置本体を回転させることなく操作が可能になるので、手持ち式装置の操作性を向上できる。
【0020】
本発明では、装置本体が、当該装置本体にスライド可能に支持されかつ壁部に対して接近・離反可能なスライドベース部をさらに備え、第1、第2のアーム部の各基端部がスライドベース部に各々回動可能に支持されている。
【0021】
本発明によれば、スライドベース部を適宜スライドさせることでスライドベース部とともに第1、第2のアーム部が移動するので、第1、第2の保持部と壁部との距離を調節することができ、これにより、さらに様々な形状の携帯端末に対応できるようになる。
【0022】
本発明では、第1、第2のアーム部がそれぞれ長手方向に伸縮可能に構成されている。これにより、第1、第2の保持部と壁部との距離を調節することができ、これにより、さらに様々な形状の携帯端末に対応できるようになる。
【0023】
本発明では、第1、第2のアーム部が、基端部を有する基端側アーム部と、基端側アームに対してスライド可能に設けられ、先端部を有する先端側アーム部と、先端側アーム部を基端側アーム部に対して接近する側に付勢する付勢手段とをそれぞれ有している。
【0024】
本発明によれば、先端側アーム部を基端側アームに対してスライドさせることで先端側アーム部とともに第1、第2の保持部が移動するので、第1、第2の保持部と壁部との距離を調節することができ、これにより、さらに様々な形状の携帯端末に対応できるようになる。また、本発明によれば、付勢手段により、先端側アーム部が基端側アーム部に接近する側に付勢されているので、各保持部により携帯端末を保持した際には、携帯端末の角部に付勢力が作用することになり、これにより、携帯端末を一層確実に保持できるようになる。
【0025】
本発明では、第1、第2の保持部が第1、第2のアーム部のそれぞれの長手方向に沿って移動可能に設けられている。これにより、携帯端末を保持する際には、第1、第2の保持部を適宜移動させることで、さらに様々な形状の携帯端末に対応できるようになる。
【0026】
本発明では、壁部が携帯端末の一側面に当接する当接部を有しており、当接部が壁部に対して斜めに交差する方向に延びる傾斜面を有し、傾斜面が一側面に当接している。
【0027】
本発明によれば、当接部の傾斜面が携帯端末の一側面に対して斜めに当接するので、携帯端末の厚みが変化した場合でも、厚みの異なる各種携帯端末の一側面に当接部の傾斜面が当接することになり、様々な厚みの携帯端末に対応できるようになる。また、当接部の傾斜面が携帯端末の一側面に対して斜めに当接することで、携帯端末は、当接部および第1、第2の保持部間で保持されるだけでなく、当接部と装置本体のベース面との間で保持されることになるので、携帯端末をより確実に保持できるようになる。さらに、当接部の傾斜面が携帯端末の一側面に対して斜めに当接することで、携帯端末の上方への抜け落ち(つまり、ベース面から離れる方向への移動による外れ)を防止できる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、携帯端末を確実に保持できるだけでなく、様々な形状の携帯端末に対応でき、操作性を向上できるようになる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置において、タブレット保持前の平面図である。
図2】前記手持ち式装置(図1)の底面図である。
図3】前記手持ち式装置(図1)のIII矢視図である。
図4】前記手持ち式装置(図1)のIV矢視図である。
図5】前記手持ち式装置(図1)のV矢視図である。
図6】前記手持ち式装置(図1)のVI矢視図である。
図7】前記手持ち式装置(図1)において、タブレット保持後の平面図である。
図8】前記手持ち式装置(図7)の底面図である。
図9】前記手持ち式装置(図7)のIX矢視図である。
図10】前記手持ち式装置(図7)のX矢視図である。
図11】前記手持ち式装置(図7)のXI矢視図である。
図12】前記手持ち式装置(図7)のXII矢視図である。
図13図11の壁部側の一部拡大図である。
図14図11の保持部側の一部拡大図である。
図15】前記第1の実施例の作用効果を説明するための図である。
図16】前記第1の実施例の作用効果を説明するための図である。
図17】前記第1の実施例の作用効果を説明するための図である。
図18】本発明の第2の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置において、タブレット保持前の平面図である。
図19】本発明の第3の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置において、タブレット保持前の平面図である。
図20】前記第3の実施例の作用効果を説明するための図である
図21】本発明の第4の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置において、タブレット保持前の底面図であって、スライドベース部のロック時の状態を示している。
図22図21の一部拡大図である。
図23】本発明の第4の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置において、タブレット保持前の底面図であって、スライドベース部のアンロック時の状態を示している。
図24図23の一部拡大図である。
図25】本発明の第5の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置において、タブレット保持前の平面図である。
図26】本発明の第6の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置において、タブレット保持前の平面図である。
図27】本発明の第1の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置において、タブレット保持前の平面図であって、当接部の第1の変形例を示している。
図28図27のXXVIII矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
〔第1の実施例〕
図1ないし図17は、本発明の第1の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置を説明するための図である。これらの図において、図1ないし図6はタブレット保持前の手持ち式装置の外観図、図7ないし図14はタブレット保持後の手持ち式装置の外観図、図15ないし図17は本実施例の作用効果を説明するための図である。
【0031】
本実施例(後述する第2ないし第6の実施例ならびに第1および第2の変形例においても同様)の保持機構により保持される携帯端末として、タブレットの名称を用いるが、上述したように、携帯端末としては、タブレットに限定されず、スマートフォン、タブレットPC、タブレット端末、モバイル端末、モバイル機器、タッチパネル、小型ノートパソコン等を含む。また、携帯端末としては、手持ち式装置専用のタブレット等でなくてもよく、市販のタブレット等のスマートデバイスであってもよい。
【0032】
以下の説明文においては(後述する第2ないし第6の実施例ならびに第1および第2の変形例においても同様)、説明の便宜上、「上」、「上側」、「上方」とは、手持ち式装置のタブレット載置用のベース面を水平または略水平に支持した状態において、手持ち式装置の「上」、「上側」、「上方」を指し、「下」、「下側」、「下方」とは、同様にベース面を水平または略水平に支持した状態において、手持ち式装置の「下」、「下側」、「下方」を指すものとする。また、「左」、「左側」、「左方」とは、手持ち式装置のタブレット載置用のベース面を水平または略水平に支持した状態において、手持ち式装置の「左」、「左側」、「左方」を指し、「右」、「右側」、「右方」とは、同様にベース面を水平または略水平に支持した状態において、手持ち式装置の「右」、「右側」、「右方」を指すものとする。
【0033】
図1および図2に示すように、手持ち式装置1は、装置本体2と、装置本体2に設けられ、タブレットを保持するための保持機構3、4とを備えている。装置本体2は、タブレットが載置される載置面としての平坦状のベース面20と、その一端側に設けられ、ベース面20から上方(図1紙面手前側方向)に立ち上がりつつ左右方向(同図左右方向)に延びるとともに、ベース面20に載置されたタブレットの一側面と対向するように設けられた壁部21とを有している。ベース面20は、この例では、平面視六角形状に形成されているが、四角形状や五角形状でもよく、その他の任意の適切な形状を採用し得る。保持機構3、4は、ベース面20の他端側近傍において装置本体2の左右外側方に張り出している。
【0034】
図1図5および図6に示すように、壁部21は、ベース面20に対して直交または略直交しつつ上方に延びる立壁面21aを有している。立壁面21aの左右端部寄りの位置には、立壁面21aに突設された左右一対の当接部22が設けられている。各当接部22は、ベース面20に載置されたタブレットの一側面に当接するように設けられている。各当接部22は、先端に向かって斜め上方に延びる傾斜面22aを有しており、側面視テーパー状に形成されている。タブレットの一側面には、傾斜面22aが当接するようになっている。各当接部22はたとえば樹脂製の部材であって、各当接部22のいずれか一方または双方は、壁部21と別体に設けられかつ壁部21に対して着脱可能(つまり取付け可能かつ取外し可能)に設けられていてもよい。また、各当接部22のいずれか一方または双方は、壁部21と別体に設けられかつ固着されていてもよい(つまり取付け可能かつ取外し不能でもよい)。あるいは、各当接部22のいずれか一方または双方は、壁部21と一体成形されていて壁部21と一体でもよい。
【0035】
図1図3ないし図6に示すように、壁部21の上面21bには、非常停止スイッチ11やその他のスイッチ12が設けられている。手持ち式装置1は、表示・操作パネルとしてのタブレットが装着された状態で、図示しない外部機器(たとえばロボットのコントローラやその他の機械の制御機器等)に対して信号(たとえば非常停止信号を含む操作信号や制御信号等)を出力するためのものである。
【0036】
図2図3ないし図6に示すように、手持ち式装置1の装置本体2の下部には、操作者が把持するための把持部5が設けられている。操作者が把持部5を把持したとき、ベース面20の一端側の壁部21が操作者の体から離れた位置でたとえば操作者の体と正対する位置に配置され、ベース面20の他端側が操作者の体と接近する位置でたとえば操作者の体と正対する位置に配置されるようになっている。なお、把持部5は、装置本体2に対して、ベース面20に平行な面内で回動可能に取り付けられていてもよい。
【0037】
図1ないし図6に示すように、保持機構3は、第1のアーム部31を有している。第1のアーム部31の先端部31Aは、装置本体2の外部に配置され、タブレットの一側面と相対する他側面側の左側角部を保持するための第1の保持部30を有しており、第1のアーム部31の基端部31Bは、装置本体2の内部に設けられた支軸31Baの中心回りに回動可能に支持されている。第1の保持部30は、上側に配置された上側保持部30Aと、上側保持部30Aとの間に所定の間隔を隔てて下側に配置された下側保持部30Bと、これら上下側保持部30A、30B間を上下に連結する左右一対のピン30とから構成されている。
【0038】
同様に、保持機構4は、第2のアーム部41を有している。第2のアーム部41の先端部41Aは、装置本体2の外部に配置され、タブレットの一側面と相対する他側面側の右側角部を保持するための第2の保持部40を有しており、第2のアーム部41の基端部41Bは、装置本体2の内部に設けられた支軸41Baの中心回りに回動可能に支持されている。第2の保持部40は、上側に配置された上側保持部40Aと、上側保持部40Aとの間に所定の間隔を隔てて下側に配置された下側保持部40Bと、これら上下側保持部40A、40B間を上下に連結する左右一対のピン40とから構成されている。
【0039】
図7ないし図14は、手持ち式装置1のベース面20上にタブレットTが載置されて、保持機構3、4によりタブレットTが保持された状態を示している。図7ないし図12図1ないし図6にそれぞれ対応している。
【0040】
図7および図13に示すように、タブレットTの一側面Tは、壁部21の立壁面21aに対向配置されており、一側面Tには、当接部22の傾斜面22aが当接している。タブレットTにおいて、一側面Tと上面(表面/ディスプレイ)Tdの間は曲面状の周縁部Teにより連設されている。当接部22の傾斜面22aは、タブレットTの周縁部Teに当接している。
【0041】
図7図8および図14に示すように、タブレットTの一側面Tと相対する他側面Tの左右の角部Tc、Tc’は、それぞれ第1、第2の保持部30、40により保持されている。
【0042】
図9ないし図12および図14に示すように、タブレットTの左側の角部Tcは、第1の保持部30の上側保持部30Aおよび下側保持部30B間に挿入されている。タブレットTの上面Td側には上側保持部30Aが配置され、タブレットTの下面(裏面)側には下側保持部30Bが配置されている。角部Tcを構成する他側面Tと左側側面Tは、第1の保持部30の各ピン30にそれぞれ当接しており、角部Tcは各ピン30により挟持されている。
【0043】
同様に、図9ないし図12に示すように、タブレットTの右側の角部Tc’は、第2の保持部40の上側保持部40Aおよび下側保持部40B間に挿入されている。タブレットTの上面Td側には上側保持部40Aが配置され、タブレットTの下面側には下側保持部40Bが配置されている。角部Tc’を構成する他側面Tと右側側面Tは、第2の保持部40の各ピン40にそれぞれ当接しており、角部Tc’は各ピン40により挟持されている。
【0044】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
手持ち式装置1によりタブレットTを保持する際には、装置本体2のベース面20にタブレットTを載置するとともに、各保持機構3、4の第1、第2のアーム部31、41をそれぞれ適宜回動させることにより、タブレットTの他側面T側の左右の角部Tc、Tc’を第1、第2の保持部30、40によりそれぞれ保持する(図7参照)。
【0045】
この場合には、タブレットTの左側の角部Tcを第1の保持部30の上下側保持部30A、30B間に挿入して、角部Tcを構成する各側面T、Tを各ピン30に当接させるとともに、タブレットTの右側の角部Tc’を第2の保持部40の上下側保持部40A、40B間に挿入して、角部Tc’を構成する各側面T、Tを各ピン40に当接させる(図10ないし図12図14参照)。そして、タブレットTの一側面Tを装置本体2の壁部21の立壁面21aに対向させつつ、タブレットTの一側面Tまたは周縁部Teを当接部22の傾斜面22aに当接させる(図11図12図13参照)。これにより、タブレットTは、第1、第2の保持部30、40と当接部22との間で挟持されることになる。
【0046】
このように本実施例によれば、第1、第2の保持部30、40がタブレットTの他側面T側の左右の角部Tc、Tc’を保持するので、タブレットTが、相対する一側面Tおよび他側面Tの方向のみならず、これと直交する方向(つまり相対する左側側面Tおよび右側側面Tの方向)からも保持されることになるので、タブレットTに衝撃や振動が作用した場合でも、タブレットTを確実に保持できるようになる。また、本実施例によれば、操作者がタブレットTを手持ち式装置1のベース面20に載置する際、タブレットTがベース面20に対して左右方向に多少ずれていたとしても、タブレットTの他側面T側の左右の角部Tc、Tc’が左側側面Tおよび右側側面Tの側から保持されることにより、タブレットTの左右方向の中心位置が手持ち式装置1のベース面20の左右方向の中心位置と自然と一致または略一致するようになる。これにより、手持ち式装置1のベース面20へのタブレットTの載置および位置決めを容易に行えるようになる。
【0047】
しかも、本実施例によれば、第1、第2の保持部30、40を有する第1、第2のアーム部31、41が回動可能に設けられているので、形状の異なる各種タブレットTのそれぞれの対角方向に応じて第1、第2のアーム部31、41を適宜回動させることにより、様々な形状のタブレットTに対応できるとともに、操作時に装置本体2を回転させることなく操作が可能になるので、手持ち式装置1の操作性を向上できる。
【0048】
これを図15ないし図17を用いて説明する。
各図には、形状の異なる各種タブレットTの外形線が一点鎖線で示されており、各図中、タブレットT内において斜め方向に延びる一点鎖線D、DはタブレットTの対角線を示している(各図では対角線の一部のみ図示)。
【0049】
図15図7のタブレットTの例を示し、図16は、図15のタブレットTと比較して、長手方向寸法が長くかつ短手方向寸法が短い横長のタブレットTを横姿勢で保持する例を示し、図17は、図15のタブレットTと比較して、長手方向寸法が短くかつ短手方向寸法が長いタブレットTを縦姿勢で保持する例を示している。各図に示すように、形状の異なる各タブレットTはそれぞれの対角線D、Dの傾き(つまり対角方向)が異なっている。対角線D、Dがなす角度α(ここでは、タブレットTの長辺を底辺とする三角形の頂点の内角を指す)は、タブレットTを横姿勢で保持する場合には、タブレットTが横長になるほど大きくなり、タブレットTを縦姿勢で保持する場合には、タブレットTが縦長になるほど小さくなる(なお、角度αは図16図17では図示を省略)。
【0050】
図16に示すように、図15のタブレットTよりも横長の(すなわち、対角線D、Dがなす角度αが大きい)タブレットTを保持する際には、各保持機構3、4の第1、第2のアーム部31、41をそれぞれ第1、第2の保持部30、40が壁部21に接近する側に回動させる。このとき、第1、第2のアーム部31、41がなす交差角は、図15に示すものより大きくなる。また、図17に示すように、図15のタブレットTに対して対角線D、Dがなす角度αが小さいタブレットTを保持する際には、各保持機構3、4の第1、第2のアーム部31、41をそれぞれ第1、第2の保持部30、40が壁部21から離反する側に回動させる。このとき、第1、第2のアーム部31、41がなす交差角は、図15に示すものより小さくなる。図15ないし図17のいずれの場合においても、タブレットTの一側面Tは、装置本体2の壁部21の立壁面21aに対向配置されており、タブレットTは装置本体2に対して回転していない。
【0051】
このように、形状の異なる各種タブレットTのそれぞれの対角方向に応じて第1、第2のアーム部31、41を適宜回動させることによって、第1、第2の保持部30、40により様々な形状のタブレットTを保持できるようになるとともに、操作時には装置本体2を回転させることなく操作が可能になるので、手持ち式装置1の操作性を向上できる。
【0052】
また、本実施例によれば、タブレットTを壁部21の当接部22に当接させたとき、当接部22の傾斜面22aがタブレットTの一側面Tまたは周縁部Teに当接し(図13参照)、傾斜面22aがタブレットTの一側面Tまたは周縁部Teから上向きの力を受けるが、このとき、タブレットTは、当接部22の傾斜面22aから下向きの反力を受けることで、タブレットTが手持ち式装置1のベース面20に押し付けられ、これにより、タブレットTをベース面20上で確実に保持できる。すなわち、この場合には、タブレットTは、当接部22および各保持部30、40間で挟持されるだけでなく、当接部22およびベース面20間で挟持されている。
【0053】
さらに、当接部22の傾斜面22aがタブレットTの一側面Tに被さるように一側面Tに対して斜めに当接するので、タブレットTの上方への抜け落ち(つまり、ベース面20から離れる方向への移動による外れ)を防止できる。
【0054】
なお、当接部22の傾斜面22aがタブレットTの一側面Tに対して斜めに当接することにより、タブレットTの厚みが変化した場合でも、厚みの異なる各種タブレットの側面に当接部22の傾斜面22aを当接させることができるので、様々な厚みのタブレットに対応できるようになる。
【0055】
〔第2の実施例〕
図18は、本発明の第2の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置を説明するための図である。同図中、前記第1の実施例(とくに図1)と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0056】
前記第1の実施例では、保持機構3、4の第1、第2のアーム部31、41が各々独立して回動するように設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。第2の実施例では、第1、第2のアーム部31、41のいずれか一方の回動に連動して、他方が回動するように構成されている。
【0057】
図18に示すように、第1のアーム部31の基端部31Bには半円弧状のギア32が固定され、第2のアーム部41の基端部41Bには半円弧状のギア33が固定されており、各ギア32、33は噛み合っている。各ギア32、33の中心はそれぞれ支軸31Ba、41Baの各中心と一致している。
【0058】
この構成により、第1のアーム部31を矢印a方向に回動させると、ギア32が矢印c方向に回転して、これと噛み合うギア33が矢印d方向に回転し、その結果、第2のアーム部41が矢印b方向に回動する。これとは逆に、第1のアーム部31を矢印a方向に回動させると、ギア32が矢印c方向に回転して、これと噛み合うギア33が矢印d方向に回転し、その結果、第2のアーム部41が矢印b方向に回動する。このようにして、第1のアーム部31の回動に連動して第2のアーム部41が回動することになる。なお、第2のアーム部41側から回動させた場合も同様に、第2のアーム部41の回動に連動して第1のアーム部31が回動することになる。
【0059】
〔第3の実施例〕
図19および図20は、本発明の第3の実施例による保持機構が適用された手持ち式装置を説明するための図である。各図中、前記第1の実施例(とくに図1)と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0060】
図19および図20に示すように、装置本体2の内部には、スライドベース部23が矢印e方向にスライド可能に支持されており、スライドベース部23は、装置本体2の壁部21に対して接近・離反可能に設けられている。スライドベース部23の一端23は、装置本体2の内部の壁面2Aに当接可能に設けられており、他端23には、装置本体2の内部に配設された圧縮ばね24の一端が当接している。保持機構3、4の第1、第2のアーム部31、41の各基端部31B、41Bは、それぞれ支軸31Ba、41Baを介してスライドベース部23に回動可能に支持されている。
【0061】
この場合には、保持すべきタブレットTの形状や大きさ等に応じてスライドベース部23を矢印e方向に適宜スライドさせることにより、スライドベース部23とともに第1、第2のアーム部31、41が移動するので、第1、第2の保持部30、40と壁部21との距離を調節することができ、これにより、さらに様々な形状や大きさ等のタブレットTに対応できるようになる。なお、圧縮ばね24が圧縮した際には、圧縮ばね24の圧縮変形にともなう弾性反発力がスライドベース部23を介して各保持機構3、4の第1、第2の保持部30、40に作用するので、タブレットTを弾性保持することができ、タブレットTを一層確実に保持できるようになる。
【0062】
〔第4の実施例〕
図21ないし図24は、本発明の第4の実施例を示している。各図中、前記第1および第3の実施例(とくに図19図20)と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0063】
図21および図23に示すように、第4の実施例においても、前記第3の実施例と同様に、装置本体2の内部にスライドベース部23がスライド可能に支持されており、スライドベース部23の一端23が装置本体2の内部の壁面2Aに当接可能に設けられるとともに、保持機構3、4の第1、第2のアーム部31、41の各基端部がスライドベース部23に回動可能に支持されている。
【0064】
第4の実施例では、前記第3の実施例と異なり、スライドベース部23のロック機構25が設けられている(図21図23参照)。ロック機構25は、図22および図24に示すように、装置本体2側に固定されたピン25cの回りを揺動可能な揺動部25Aと、揺動部25Aに取り付けられた爪部材25aとを有している。一方、スライドベース部23には、ラチェット歯23aが形成されたラチェット部23Aが設けられている。爪部材25aは、ラチェット部23Aのラチェット歯23aと係合して噛み合う係合歯25aを有している。
【0065】
ラチェット歯23aおよび係合歯25aが噛み合った状態では、スライドベース部23は、壁部21から離れる側(つまり図22下側)に移動できないようにロックされており、ラチェット歯23aおよび係合歯25aが噛み合っていない状態では、スライドベース部23は、壁部21から離れる側(図22下側)に移動できるようにロック解除(アンロック)されている。ロックおよびロック解除の切替えは、手持ち式装置1の底側に設けられたロックボタン26をロック(LOCK)側またはアンロック(UNLOCK)側に切替操作することにより(図21図23参照)行われるようになっている。
【0066】
ロックボタン26をロック(LOCK)側に切り替えると、ロック機構25の揺動部25Aがピン25cの回りを回動して、爪部材25aがラチェット部23Aに接近し、爪部材25aの係合歯25aがラチェット部23Aのラチェット歯23aと係合して噛み合うようになっている(図22参照)。また、ロックボタン26をアンロック(UNLOCK)側に切り替えると、ロック機構25の揺動部25Aがピン25cの回りを回動して、爪部材25aがラチェット部23Aから離れ、爪部材25aの係合歯25aがラチェット部23Aのラチェット歯23aから外れるようになっている(図24参照)。
【0067】
この場合、タブレットTを保持する際には、ロックボタン26をアンロック(UNLOCK)側に切り替えた状態で(図23図24参照)、スライドベース部23を適宜スライドさせて第1、第2の保持部30、40と壁部21との距離を調節した後、第1、第2の保持部30、40によりタブレットTを保持する。次に、ロックボタン26をロック(LOCK)側に切り替えて(図21図22参照)、スライドベース部23の移動をロックする。
【0068】
〔第5の実施例〕
図25は、本発明の第5の実施例を示している。同図中、前記第1の実施例(とくに図1)と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0069】
図25に示すように、保持機構3の第1のアーム部(先端側アーム部)31は、前記第1の実施例と同様に、先端部31Aに第1の保持部30を有しているが、前記第1の実施例と異なり、基端部31Bには、長手方向に延びる支持穴31aが形成されている。装置本体2の内部には、支軸34cの回りを回転可能に支持された基部34が設けられており、基部34には、第1のアーム部31の基端部31Bの支持穴31aにスライド自在に支持される軸部34aが設けられている。基部34と第1のアーム部31の基端部31Bとの間には、引張ばね(付勢手段)35が設けられており、引張ばね35の一端は基部34に係止され、他端は基端部31Bに係止されている。この構成により、基部34が第1のアーム部31の実質的な基端部として機能していて、基部34および軸部34aにより構成される基端側アーム部に対して第1のアーム部(先端側アーム部)31がスライド可能に設けられており、第1のアーム部31は長手方向に伸縮可能になっている。また、引張ばね(付勢手段)35は、第2のアーム部(先端側アーム部)31が基端側アーム部に対して接近する側に付勢している。
【0070】
同様に、保持機構4の第2のアーム部(先端側アーム部)41は、前記第1の実施例と同様に、先端部41Aに第2の保持部40を有しているが、前記第1の実施例と異なり、基端部41Bには、長手方向に延びる支持穴41aが形成されている。装置本体2の内部には、支軸44cの回りを回転可能に支持された基部44が設けられており、基部44には、第2のアーム部41の基端部41Bの支持穴41aにスライド自在に支持される軸部44aが設けられている。基部44と第2のアーム部41の基端部41Bとの間には、引張ばね(付勢手段)45が設けられており、引張ばね45の一端は基部44に係止され、他端は基端部41Bに係止されている。この構成により、基部44が第2のアーム部41の実質的な基端部として機能していて、基部44および軸部44aにより構成される基端側アーム部に対して第2のアーム部(先端側アーム部)41がスライド可能に設けられており、第2のアーム部41は長手方向に伸縮可能になっている。また、引張ばね(付勢手段)45は、第2のアーム部(先端側アーム部)41が基端側アーム部に対して接近する側に付勢している。
【0071】
この場合、タブレットTを保持する際には、保持機構3、4の第1、第2のアーム部(先端側アーム部)31、41を基端側アーム部に対して適宜スライドさせて、第1、第2の保持部30、40と壁部21との距離を調節した後、第1、第2の保持部30、40によりタブレットTを保持する。これにより、さらに様々な形状や大きさ等のタブレットTに対応できるようになる。また、第1、第2の保持部30、40によりタブレットTを保持した際には、各引張ばね35、45の伸長変形にともなう弾性反発力が第1、第2の保持部30、40に作用するので、タブレットTを弾性保持することができ、タブレットTを一層確実に保持できるようになる。
【0072】
〔第6の実施例〕
図26は、本発明の第6の実施例を示している。同図中、前記第1の実施例(とくに図1)と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0073】
図26に示すように、保持機構3の第1の保持部30は、第1のアーム部31の長手方向に沿ってスライド可能に設けられており、同様に、保持機構4の第2の保持部40は、第2のアーム部41の長手方向に沿ってスライド可能に設けられている。なお、第1、第2のアーム部31、41にラック歯を形成し、これらのラック歯と係合して噛み合う係合歯を第1、第2の保持部30、40に形成するようにしてもよい。このとき、ラック歯および係合歯の形状としては、第1、第2の保持部30、40が第1、第2のアーム部31、41の長手方向に沿って双方向に移動するような形状にしてもよい。これにより、第1、第2の保持部30、40の移動時には、ある程度の力を作用させないと各保持部30、40が移動しないようになるので、各保持部30、40の位置を維持できるようになる。
【0074】
この場合、タブレットTを保持する際には、第1、第2の保持部30、40を適宜移動させることで、さらに様々な形状のタブレットTに対応できるようになる。
【0075】
〔第1の変形例〕
前記第1ないし第6の実施例では、当接部22が壁部21の長手方向の双方の側にそれぞれ一つずつ設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0076】
図27および図28は、当接部の第1の変形例を示している。これらの図において、前記各実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0077】
図27に示すように、壁部21の長手方向の双方の側に3つの当接部22、22、22がそれぞれ設けられている。各当接部22、22、22は、壁部21の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。当接部22は壁部21の壁面21aからの突出長さが最も長く、当接部22は壁面21aからの突出長さが最も短く、当接部22の壁面21aからの突出長さは当接部22および当接部22の間の中間の長さになっている。この例では、壁部21の長手方向の側部に最も近い位置に当接部22が配置され、その内側に当接部22が配置され、最も内側に当接部22が配置されているが、各当接部22、22、22の配列はこれに限定されない。
【0078】
図27のXXVIII矢視図である図28に示すように、当接部22はベース面20からの高さが最も高い位置に配置され、当接部22はベース面20からの高さが最も低い位置に配置され、当接部22のベース面20からの高さは当接部22および当接部22の間の中間の高さになっている。また、当接部22、22、22はそれぞれ傾斜面22a、22a、22aを有している。
【0079】
当接部22、22、22の少なくともいずれか一つは、壁部21に対して着脱可能に設けられていてもよく、残りの当接部は壁部21の立壁面21aに一体成形されていてもよい。また、着脱可能な当接部は、装着後、壁部21に接着等により固着されていてもよい。あるいは、当接部22、22、22のすべてが壁部21の立壁面21aに一体成形されていてもよい。
【0080】
この場合には、当接部22、22、22がそれぞれ傾斜面22a、22a、22aを有しており(図28参照)、傾斜面22a、22a、22aがそれぞれタブレットT、T’、T”に対して斜めに当接することにより、タブレットT、T’、T”のそれぞれの厚みの変化に対応できる。しかも、この場合には、当接部22が極厚のタブレットTに対応し、当接部22が極薄のタブレットT”に対応し、22が中間の厚みのタブレットT’に対応しているので、当接部22、22、22がそれぞれ傾斜面22a、22a、22aを有していることと相俟って、当接部を交換することなく、極薄から極厚まで様々な厚みのタブレットに対応できるようになる。
【0081】
〔第2の変形例〕
前記第1ないし第6の実施例および前記第1の変形例では、当接部22が長手方向長さの短い部材から構成されることにより、タブレットTの一側面Tの一部の領域を保持するようにした例を示したが、当接部22は長手方向に延びる長い(たとえば壁部21の長手方向長さ全体にわたって延びる)部材から構成するようにしてもよい。この場合には、タブレットTの一側面Tの全体領域を保持できるようになる。
【0082】
〔その他の変形例〕
上述した各実施例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、携帯端末を保持するための手持ち式装置の保持機構に有用である。
【符号の説明】
【0084】
1: 手持ち式装置

2: 装置本体
20: ベース面
21: 壁部
22: 当接部
23: スライドベース部

3、4: 保持機構

30: 第1の保持部
31: 第1のアーム部/先端側アーム部
31A: 先端部
31B: 基端部
34: 基部(基端部)
34、34a: 基端側アーム部
35: 引張ばね(付勢手段)

40: 第2の保持部
41: 第2のアーム部/先端側アーム部
41A: 先端部
41B: 基端部
44: 基部(基端部)
44、44a: 基端側アーム部
45: 引張ばね(付勢手段)

T: タブレット(携帯端末)
: 一側面
: 他側面
Tc、Tc’: 角部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特許第6508151号公報(段落[0038]~[0039]、[0046]~[0052]、[0054]および図3図6参照)
【特許文献2】特開2020-179452号公報(段落[0011]、[0013]、[0016]~[0018]、[0020]~[0023]、[0026]および図1図2図5図6参照)
【特許文献3】特開2021-79539号公報(段落[0021]、[0022]、[0025]、[0028]、[0038]および図1図6参照)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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