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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070927
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】配管接続用挟持治具
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/02 20060101AFI20230515BHJP
   F16L 23/036 20060101ALI20230515BHJP
   B25B 7/00 20060101ALI20230515BHJP
   B25B 7/12 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
B25B27/02 B
F16L23/036
B25B7/00
B25B7/12
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183402
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】591056097
【氏名又は名称】淀川ヒューテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 祥博
(72)【発明者】
【氏名】大庭 直之
(72)【発明者】
【氏名】大原 武
【テーマコード(参考)】
3C020
3C031
3H016
【Fターム(参考)】
3C020NN02
3C020PP03
3C020SS02
3C031DD48
3H016AC06
(57)【要約】
【課題】本発明は、メタル汚染を低減できる配管接続用挟持治具を提供する。
【解決手段】本発明の配管接続用挟持治具10は、鍔部73が突設された配管70、70を相対させ、一方の配管の鍔部に軸方向外側から嵌まる第1挟持部21と、他方の配管の鍔部に軸方向外側から嵌まる第2挟持部31と、を接近させる配管接続用挟持治具であって、金属材料製の部材20,30,40,50を組み合わせて構成され、前記部材は、少なくとも一部が樹脂コーティングされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍔部が突設された配管を相対させ、一方の配管の鍔部に軸方向外側から嵌まる第1挟持部と、他方の配管の鍔部に軸方向外側から嵌まる第2挟持部と、を接近させる配管接続用挟持治具であって、
金属材料製の部材を組み合わせて構成され、
前記部材は、少なくとも一部が樹脂コーティングされている、
配管接続用挟持治具。
【請求項2】
前記樹脂コーティングに用いられる樹脂は、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される一種の樹脂である、
請求項1に記載の配管接続用挟持治具。
【請求項3】
前記部材は、
先端に前記第1挟持部が形成され、基端に枢支部を有する第1部材と、
先端に前記第2挟持部が形成され、基端が前記枢支部に枢支される第2部材と、
前記第1部材から前記第2部材を貫通して延び、先端に支持部が形成された支持部材と、
先端が前記支持部材の前記支持部に枢支され、基端にレバー把持部が形成されたレバー部材と、
前記支持部材よりも前記枢支部側に配置され、前記第2部材と前記レバー部材とを連繋するリンク部材、
を含む、
請求項1又は請求項2に記載の配管接続用挟持治具。
【請求項4】
前記部材は、さらに、前記第1挟持部と前記第2挟持部が離間する方向に前記第1部材と前記第2部材を付勢する付勢部材を具える、
請求項3に記載の配管接続用挟持治具。
【請求項5】
前記付勢部材は、非金属材料である、
請求項4に記載の配管接続用挟持治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手付きの配管どうしを接続する際に用いられる配管接続用挟持治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体などのエレクトロニクス分野、医薬分野、バイオテクノロジー分野等における製造、洗浄、組立等の各種装置では、原料用流体、洗浄用流体、燃料用流体等の供給、移送にフッ素樹脂製の配管が用いられる。
【0003】
これら配管として、先端に継手の設けられた継手付き配管が提案されている。継手付き配管は、継手のフランジ間に環状のシール部材を介在させて接続され、フランジを外周からクリップで挟み込んで連結状態を維持するようにしている(たとえば特許文献1等参照)。
【0004】
継手は、後方に円環状の鍔部を有しており、配管どうしを接続するときに、挟持治具を用いて鍔部を挟持し、シール部材に向けて押圧することで配管どうしをシール部材に密着させている。
【0005】
特許文献1では、支点により回動可能に支持された上下一対の支持部材の先端に、鍔部を軸方向外側から挟持する挟持治具を開示している。当該挟持治具では、下側支持部材先端が支持され、上側支持部材を上側から押し付けるレバーを具える。このレバーは、押圧部材、具体的には押圧ローラーによって上側支持部材を押し付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-190495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
半導体等の製造、洗浄、組立等の分野では、原料流体等或いはその構成部品のメタル汚染を防ぐ必要がある。
【0008】
挟持治具は、強い力で配管の鍔部を挟持する必要があるため、ステンレス鋼などの金属材料が使用される。しかしながら、特許文献1の挟持治具は、レバーの押圧部材が上側支持部材を押し付ける際に、押圧部材と上側支持部材が擦れてしまう。その結果、微細な金属粉が発生してメタル汚染する虞がある。
【0009】
本発明は、メタル汚染を低減できる配管接続用挟持治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の配管接続用挟持治具は、
鍔部が突設された配管を相対させ、一方の配管の鍔部に軸方向外側から嵌まる第1挟持部と、他方の配管の鍔部に軸方向外側から嵌まる第2挟持部と、を接近させる配管接続用挟持治具であって、
金属材料製の部材を組み合わせて構成され、
前記部材は、少なくとも一部が樹脂コーティングされている。
【0011】
前記樹脂コーティングに用いられる樹脂は、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される一種の樹脂とすることができる。
【0012】
前記部材は、
先端に前記第1挟持部が形成され、基端に枢支部を有する第1部材と、
先端に前記第2挟持部が形成され、基端が前記枢支部に枢支される第2部材と、
前記第1部材から前記第2部材を貫通して延び、先端に支持部が形成された支持部材と、
先端が前記支持部材の前記支持部に枢支され、基端にレバー把持部が形成されたレバー部材と、
前記支持部材よりも前記枢支部側に配置され、前記第2部材と前記レバー部材とを連繋するリンク部材、
を含む構成を挙げることができる。
【0013】
上記部材は、さらに、前記第1挟持部と前記第2挟持部が離間する方向に前記第1部材と前記第2部材を付勢する付勢部材を具えることができる。
【0014】
前記付勢部材は、非金属材料とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の配管接続用挟持治具は、金属材料製の部材を樹脂コーティングしているから、ユーザー(施工者)の手袋等のメタル汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る配管接続用挟持治具の開状態の左側面図である。
図2図2は、開状態の挟持治具の斜視図である。
図3図3は、開状態の挟持治具を斜め下方から見た斜視図である。
図4図4は、レバー部材を取り外した挟持治具の斜視図である。
図5図5は、第2部材を取り外した挟持治具の斜視図である。
図6図6は、図2の線A-Aに沿う断面図である。
図7図7は、開状態の挟持治具の(a)正面図、(b)背面図である。
図8図8は、閉状態の挟持治具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る配管接続用挟持治具10について、図面を参照しながら説明を行なう。なお、説明のため、図1の紙面右側を基端或いは前、左側を先端或いは後ろ、また、紙面上側を上、下側を下と称する。
【0018】
本発明の配管接続用挟持治具10は、図1に示すように、継手付き配管70,70どうしを連結する際に用いられる治具である。各配管70は、先端にフランジ72が設けられており、フランジ72からやや後退した位置に円環状の鍔部73が突設された継手71を有する。配管70,70どうしは、フランジ72,72間に円環状のシール部材74を挟んで対向させ、挟持治具10を用いて鍔部73,73どうしを引き寄せて挟持、押圧することで、フランジ72,72とシール部材74が密着して連結される。必要に応じて、連結部分には円環状のクリップ(図示せず)を装着することができる。なお、配管70は、直管に限らず、分岐管であってもよいし、バルブや流量計を具える、或いは、各種流体機器から延出される配管であってもよい。
【0019】
配管70や継手71、シール部材74は、半導体などのエレクトロニクス分野、医薬分野、バイオテクノロジー分野等における製造、洗浄、組立等の各種装置に用いられる場合、フッ素樹脂材料などの熱溶融性、耐腐食性にすぐれる材料を採用することができる。この種のフッ素樹脂材料として、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適であり、その他、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオライド三元共重合体等を例示することができる。なお、配管70、継手71及びシール部材74の材料や特性は上記に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態の挟持治具10は、主要部材を樹脂コーティングしたことを特徴とする。挟持治具10自体は、図1図2に示すように、主要部材として、第1部材20、第2部材30、レバー部材40及びリンク部材50(図1)を含む構成を例示できる。第1部材20と第2部材30は枢支軸27、第1部材20とレバー部材40は支持軸26、さらには、第2部材30とリンク部材50、レバー部材40とリンク部材50は夫々リンク軸51,52によって連繋される。また、本実施形態では、挟持治具10に復元用の付勢部材28を含む。もちろん、挟持治具10の構成は、本実施形態に限らず、種々の構成を採ることができる。
【0021】
第1部材20、第2部材30、レバー部材40、リンク部材50は、所定の強度、剛性を具備することが求められ、また、長期使用しても錆が発生しないように、ステンレス鋼などの金属材料から作製される。また、軸部材である枢支軸27、支持軸26、リンク軸51,52も金属材料から作製できる。付勢部材28は、後述するとおり非金属材料から作製される。
【0022】
上記各部材のうち、少なくとも第1部材20、第2部材30、レバー部材40、リンク部材50を含む部材には、樹脂コーティングが施される。樹脂コーティングは、各部材の望ましくは全面に施すことが好適である。樹脂コーティングを施すことで、金属面の露出を防止でき、ユーザーが配管70,70の連結施工を行なう際に、手袋等がメタル汚染することを好適に防止でき、また、部材どうしの摺接によって金属粉が発生し、飛散等することによるメタル汚染を防止できる。
【0023】
樹脂コーティングに用いられる樹脂は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリプロピレン(PP)を例示できる。その他樹脂でも採用可能である。
【0024】
樹脂コーティングは、部材の表面に好ましくは20μm~100μm、より好ましくは30μm~70μmの厚さとなるように形成する。たとえば、樹脂コーティングは、部材を樹脂に浸漬、部材に樹脂をスプレー、塗布等することで形成することができる。
【0025】
樹脂コーティングは、各部材の少なくとも一部、具体的には、ユーザーが触れることが可能な位置や各部材どうしが摺接する位置に施すことが望ましい。ユーザーが触れることが可能な位置に樹脂コーティングを施すことで、手袋等のメタル汚染を防止できる。また、各部材どうしが摺接する位置に樹脂コーティングを施すことで、部材どうしの摺接により発生する金属粉によるメタル汚染を防止できる。
【0026】
本実施形態では、第1部材20、第2部材30、レバー部材40、リンク部材50の全面に厚さ50μmのポリプロピレンコーティングを施している。以下、各部材について詳述する。
【0027】
図1乃至図7に示す挟持治具10は、挟持治具10の先端の挟持部21,31が離間した開状態を示す図、図8は、挟持部21,31が接近した閉状態を示す図である。
【0028】
第1部材20は、先端に配管70(図1)を嵌めて鍔部73を押圧する第1挟持部21が設けられ、基端にユーザーが握る第1把持部23を具える。第1挟持部21は、図2等に示すように先端側に配管70に嵌まる略U字状の第1挟持溝22が形成されている。図示の実施形態では、第1挟持部21と第1把持部23は上下方向に延びる第1プレート24で連繋している。第1挟持部21は、第1プレート24の先端に取り付けられている。また、第1プレート24の基端は先端よりも上向きにずれた段部を有し、当該段部部分に第1把持部23が第1挟持部21と段差をもって取り付けられている。第1挟持部21と第1把持部23の段差は、ユーザーの指が挿入可能な程度とすることが好適である。
【0029】
第1プレート24には、基端側に枢支軸27が装着されており、第2部材30との枢支部を構成する。また、第1プレート24の基端側には、上向きに支持部材となる支持杆25が突設されており、支持杆25の先端は、第2部材30を貫通し、先端に支持部となる支持軸26が装着されている。支持杆25は、第1部材20の先端側、望ましくは、第1部材20の中央よりも先端、より望ましくは、第1部材20の先端から1/3程度までの位置に設けることが好適である。
【0030】
第1プレート24の上面には、支持杆25よりも基端側に付勢部材28が配備されている。付勢部材28は、後述する第2部材30を押し下げたときに、上向きの反力を付与するように第2部材30を付勢する。付勢部材28は、非金属材料から作製することが好適であり、たとえば、ゴム製である。なお、付勢部材28は樹脂製のバネであってもよい。
【0031】
その他、第1部材20には、接続された配管70,70のクリップ等を取り外すための爪片29を基端に形成している。
【0032】
第2部材30は、先端に第2挟持部31が形成された第2プレート33と、第2プレート33の両側から下方に伸びるサイドプレート35、第2プレート33の裏面に形成された内プレート36を具える。
【0033】
第2挟持部31は、第1挟持部21と同様、先端側に配管70に嵌まる略U字状の第2挟持溝32が形成されている。
【0034】
また、第2プレート33には、図4に示すように、第1プレート24の支持杆25及び後述のリンク部材50が余裕を持って挿通する挿通孔34が開設されている。挿通孔34は前後に長い貫通孔であり、前側に支持杆25が挿通し、後ろ側にリンク部材50が挿通する。
【0035】
サイドプレート35は、枢支軸27、第2リンク軸51が装着される機能を有すると共に、第1部材20と第2部材30との間の異物の挟み込みを防止するガード機能を有する。
【0036】
サイドプレート35の基端は、第1部材20に装着された枢支軸27に枢支されており、第2部材30は、第1部材20に対して揺動可能となっている。また、サイドプレート35には、図4に示すように、挿通孔34の下方基端側に第2リンク軸51が装着されている。第2リンク軸51には、リンク部材50の下端が枢支される。第2リンク軸51は、第2部材30を第1部材20に装着したときに、支持杆25よりも後方となり、第2リンク軸51及びリンク部材50が支持杆25と干渉しない位置に配置する。
【0037】
また、内プレート36は、図8に示すように、付勢部材28の上面が当たって第2部材30を上向きに付勢する。
【0038】
第2部材30は、次に説明するレバー部材40の揺動により、図1及び図6に示すように、第2挟持部31が約3°~10°傾いた状態から、図8に示すように略水平になる状態まで揺動可能となっている。
【0039】
レバー部材40は、基端にユーザーが握るレバー把持部41を有する。また、先端側には、垂直方向に立設された一対のサブプレート42を有する。サブプレート42は、図6に示すように上記した支持杆25の支持軸26に枢支され、レバー部材40を第1部材20の上側で揺動可能としている。
【0040】
また、レバー部材40には、レバー側リンク軸52が装着されている。レバー側リンク軸52は、支持軸26よりも後方に配備され、リンク部材50の上端が枢支される。
【0041】
具体的実施形態として、レバー部材40は、図1及び図6に示すように、第1部材20に対して基端側を約20°~30°上向きに傾けた状態から、図8に示すように、第1部材20と略平行になる状態まで揺動可能とすることができる。
【0042】
レバー部材40は、図1図6及び図8に示すように、開状態、閉状態及び揺動中を含め、サブプレート42が第2部材30と直接当接、摺接することはない形状に構成する。これにより、レバー部材40と第2部材30の擦れによる金属粉の発生などのメタル汚染を防止できる。
【0043】
リンク部材50は、図6及び図8に示すように上記した第2部材30とレバー部材40を連繋する。具体的には、リンク部材50は、下端が第2部材30の第2リンク軸51に枢支され、上端がレバー部材40のレバー側リンク軸52に枢支される。
【0044】
リンク部材50とリンク軸51,52は、支持軸26を中心として揺動するレバー部材40に対し、レバー部材40を図6の開状態から図8に示す閉状態に押し下げたときに、リンク部材50が第2部材30を下方に押し下がるように揺動する位置、長さに形成される。本実施形態では、開状態では、第2部材30は、3°~10°傾斜しており、レバー部材40が20°~30°に傾斜した状態から、レバー部材40が略水平になるまで押し込むことで、第2部材30も略水平となるようよう揺動するようにしている。
【0045】
上記構成の挟持治具10は、初期状態となる開状態では、付勢部材28に第2部材30が押し上げられて、図6に示すように、挟持部21,31どうしの間隔が開いている。この状態から、ユーザーが第1把持部23とレバー把持部41を握ると、レバー部材40は、先端の支持軸26を中心に基端が下向きに移動する(図1中矢印)。そして、リンク部材50がレバー部材40により下向きに移動する。リンク部材50の下方移動により、第2部材30は、内プレート36が付勢部材28を圧縮させながら、支持軸26を中心に先端の第2挟持部31が下向きに揺動する。その結果、挟持部21,31が接近して、挟持治具10は図8に示す閉状態に至る。
【0046】
他方、閉状態からユーザーが握りを開放し、グリップ力を解くと、挟持治具10は、付勢部材28の復元力により、第2部材30が上向きに押し上げられ、図1及び図6等に示す開状態に復帰する。
【0047】
本発明の挟持治具10は、第1部材20、第2部材30、レバー部材40及びリンク部材50に樹脂コーティングを施している。従って、ユーザーが配管70,70の連結施工を行なう際に、手袋等がメタル汚染することを好適に防止できる。
【0048】
また、開状態から閉状態への移行、閉状態から開状態への移行の間、第2部材30とレバー部材40は直接当接、摺接しない。従って、これらが擦れることによる金属粉の発生によるメタル汚染も防止できる。
【0049】
本発明の挟持治具10は、小さいグリップ力で挟持部21,31間に大きな挟持力を発生させることができる。具体的には、挟持治具10を開状態から閉状態に移行させる際、図6及び図8に示すように、レバー部材40は、支持軸26を支点a1とし、ユーザーが握るレバー把持部41を力点a2、レバー側リンク軸52を作用点a3とするてこを構成する。支点a1と力点a2の距離を、支点a1と作用点a3の距離よりも長く採っているから、小さいグリップ力で作用点a3を下向きに押し込むことができる。
【0050】
また、第2部材30は、枢支軸27を支点b1、第2リンク軸51を力点b2、第2挟持部31を作用点b3とするてこを構成する。支点b1と力点b2の距離を、支点b1と作用点b3の距離よりも長く採っているから、力点b2に作用する力、すなわち、レバー部材40の作用点a3からリンク部材50により加えられる力を増幅して作用点b3に作用させることができる。
【0051】
そして、これらレバー部材40と第2部材30の2つのてこの組合せにより、小さいグリップ力で、第2挟持部31を下向きに移動させ、挟持部21,31間に強い挟持力を作用させることができる。
【0052】
上記挟持治具10を用いた配管70,70の連結について説明する。まず、図1及び図6に示すように、開状態の挟持治具10について、挟持部21,31間に予め一方の配管70のフランジ72にシール部材74を装着し、他方の配管70のフランジ72をシール部材74に押し当てておく。図1及び図6は、上側の配管70が完全にはシール部材74と密着していない状態を示している。
【0053】
そして、この状態の配管70,70に対し、開状態の挟持治具10を接近させて、第1挟持溝22と第2挟持溝32を鍔部73,73の軸方向外側から配管70,70に嵌める。
【0054】
続いて、ユーザーが第1把持部23とレバー部材40を握ることで、レバー部材40はてことして機能し、力点a2への押し込み力により、支点a1となる支持軸26を中心に揺動し、基端が第1部材20に接近する。これにより、作用点a3となるレバー側リンク軸52が下方に移動して、リンク部材50を下向きに押し込む。
【0055】
リンク部材50の下方移動によって、第2部材30は枢支軸27を支点b1、第2リンク軸51を力点b2とするてことして機能する。そして、第2部材30は、枢支軸27を中心として先端の第2挟持部31が下向きに揺動し、挟持部21,31間に挟まれた鍔部73への作用点b3として機能しつつ第1挟持部21に接近する。その結果、図8に示すように、第1挟持部21と第2挟持部31は、配管70,70の鍔部73,73を引き寄せる方向に締付力を作用させ、両鍔部73,73が押圧される。そして、フランジ72,72は、押圧力を受けてシール部材74と密着し、配管70,70どうしを連結することができる。
【0056】
本発明の挟持治具10は、挟持部21,31が略平行な状態を維持したまま鍔部73,73を押圧することができる。従って、フランジ72をシール部材74に傾くことなく密着させることができ、シール性を高めることができる。なお、フランジ72,72がシール部材74に密着した状態で、フランジ72,72を挟み込むように別途クリップを取り付けることで、これらの密着状態を好適に維持することができる。
【0057】
配管70,70どうしを連結した後は、ユーザーが握りを開放し、グリップ力を解く。これにより、付勢部材28の復元力により第2部材30、リンク部材50及びレバー部材40は図1及び図6に示す開状態に復帰する。その後、配管70,70から挟持治具10を取り外せばよい。
【0058】
本発明の挟持治具10によれば、上記構成としたことで、大きな締付力により鍔部73,73を引き寄せることができ、漏れのない配管70,70どうしの連結を行なうことができる。
【0059】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0060】
たとえば、図示した各部材の構成、形状、角度等は一例であり、種々の変形が可能であることは理解されるべきである。また、配管70も、鍔部73を有する構造或いはこれに類似の構造を有するものであれば、例示した構造に限定されない。
【符号の説明】
【0061】
10 配管接続用挟持治具
20 第1部材
21 第1挟持部
26 支持軸(支持部)
27 枢支軸(枢支部)
30 第2部材
31 第2挟持部
40 レバー部材
50 リンク部材
51 第2リンク軸
52 レバー側リンク軸
70 継手付き配管
71 継手
73 鍔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8