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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070937
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】衝撃緩和材及び床構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/43 20060101AFI20230515BHJP
   E04B 1/98 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
E04B5/43 H
E04B1/98 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183424
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181733
【弁理士】
【氏名又は名称】淺田 信二
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】前澤 勇太
(72)【発明者】
【氏名】松井 邦彰
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DF06
2E001DH37
2E001FA13
2E001GA55
2E001HB03
2E001LA03
2E001LA08
2E001LA13
(57)【要約】
【課題】床構造における衝撃緩和材の耐久性を向上させる
【解決手段】衝撃緩和材100は、長手方向を有する平板状に形成され、床基版2が載置される床基版側平板部10と、床基版側平板部10の板厚方向に床基版側平板部10から間隔を空けて設けられ、支持部材3に載置される支持部材側平板部20と、床基版側平板部10から長手方向に沿う軸周りに曲がって支持部材側平板部20まで延び、床基版側平板部10と支持部材側平板部20とを連結する第1連結部30と、を備え、床基版側平板部10、支持部材側平板部20及び第1連結部30は、単一の金属板から形成されており、支持部材側平板部20における載置面は、床基版側平板部10における載置面よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物における床基版と棒状の支持部材との間に設けられて前記床基版と前記支持部材との間での衝撃の伝達を緩和する衝撃緩和材であって、
長手方向を有する平板状に形成され、前記床基版が載置される床基版側平板部と、
前記床基版側平板部の板厚方向に前記床基版側平板部から間隔を空けて設けられ、前記支持部材に載置される支持部材側平板部と、
前記床基版側平板部から前記長手方向に沿う軸周りに曲がって前記支持部材側平板部まで延び、前記床基版側平板部と前記支持部材側平板部とを連結する第1連結部と、を備え、
前記床基版側平板部、前記支持部材側平板部及び前記第1連結部は、単一の金属板から形成されており、
前記支持部材側平板部における載置面は、前記床基版側平板部における載置面よりも小さい、
衝撃緩和材。
【請求項2】
前記長手方向における前記支持部材側平板部の寸法は、前記長手方向における前記床基版側平板部の寸法よりも小さい、
請求項1に記載の衝撃緩和材。
【請求項3】
前記第1連結部は、前記支持部材側平板部から前記床基版側平板部とは反対側に膨出している、
請求項1又は2に記載の衝撃緩和材。
【請求項4】
前記長手方向に前記支持部材側平板部及び前記床基版側平板部を見て前記支持部材側平板部に対して前記床基版側平板部とは反対側に配置され、前記支持部材側平板部と協働して前記支持部材を挟む挟部を更に備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の衝撃緩和材。
【請求項5】
前記床基版側平板部から前記長手方向に沿う軸周りに曲がって前記挟部まで延び、前記床基版側平板部と前記挟部とを連結する第2連結部と、
前記挟部から前記第2連結部とは反対側に、前記第2連結部から離れるにつれ前記床基版側平板部から離れるように前記床基版側平板部に対して傾斜して延びる傾斜部と、を更に備える、
請求項4に記載の衝撃緩和材。
【請求項6】
建築物における床構造であって、
床基版と、
前記床基版の下方に前記床基版に沿って配置され、前記床基版を支持する棒状の支持部材と、
前記床基版と前記支持部材との間に設けられ、前記床基版と前記支持部材との間での衝撃の伝達を緩和する衝撃緩和材と、を備え、
前記衝撃緩和材は、
前記支持部材に沿って長手方向を有するように平板状に形成され、前記床基版が載置された床基版側平板部と、
前記床基版側平板部の板厚方向に前記床基版側平板部から間隔を空けて設けられ、前記支持部材に載置された支持部材側平板部と、
前記床基版側平板部から前記長手方向に沿う軸周りに曲がって前記支持部材側平板部まで延び、前記床基版側平板部と前記支持部材側平板部とを連結する連結部と、を備え、
前記床基版側平板部、前記支持部材側平板部及び前記連結部は、単一の金属板から形成されており、
前記支持部材側平板部における載置面は、前記床基版側平板部における載置面よりも小さい、
床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃緩和材及び床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数階建ての建築物において、例えば階上の居住者が物を落下させるなどして床基版に衝撃が作用し床衝撃音が発生すると、床衝撃音が梁材、大引又は根太等の棒状の支持部材を通じて階下に伝わり階下の居住者に不快感を与えることがある。そこで、階下に伝わる床衝撃音を低減可能な床構造が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示された床構造は、床基版と梁材との間に設けられた衝撃緩和材(防音部材)を備えている。衝撃緩和材は、ゴム又はエラストマーから形成されており、床基版に加えられた衝撃を緩和し、梁材への衝撃力の振動伝達を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-16103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された衝撃緩和材の材料であるゴム及びエラストマーは、金属といった材料と比較して振動を減衰する性能に優れる。そのため、床構造の防音性の観点からは、衝撃緩和材の材料としてゴム又はエラストマーを用いることは有効である。
【0006】
しかしながら、ゴム及びエラストマーは、金属といった材料と比較して経年劣化が早い。そのため、ゴム又はエラストマーから形成された衝撃緩和材を備える床構造では、時間の経過とともに衝撃緩和材の性能が低下し、床構造の防音性が低下する。床構造では衝撃緩和材は床基版と支持部材との間に設けられるため、経年劣化した衝撃緩和材の交換は容易ではない。このような理由から、床構造における衝撃緩和材の耐久性を向上することが求められている。
【0007】
本発明は、床構造における衝撃緩和材の耐久性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、建築物における床基版と棒状の支持部材との間に設けられて床基版と支持部材との間での衝撃の伝達を緩和する衝撃緩和材に係り、衝撃緩和材は、長手方向を有する平板状に形成され、床基版が載置される床基版側平板部と、床基版側平板部の板厚方向に床基版側平板部から間隔を空けて設けられ、支持部材に載置される支持部材側平板部と、床基版側平板部から長手方向に沿う軸周りに曲がって支持部材側平板部まで延び、床基版側平板部と支持部材側平板部とを連結する第1連結部と、を備え、床基版側平板部、支持部材側平板部及び第1連結部は、単一の金属板から形成されており、支持部材側平板部における載置面は、床基版側平板部における載置面よりも小さい。
【0009】
また、本発明は、建築物における床構造に係り、床構造は、床基版と、床基版の下方に床基版に沿って配置され、床基版を支持する棒状の支持部材と、床基版と支持部材との間に設けられ、床基版と支持部材との間での衝撃の伝達を緩和する衝撃緩和材と、を備え、衝撃緩和材は、支持部材に沿って長手方向を有するように平板状に形成され、床基版が載置された床基版側平板部と、床基版側平板部の板厚方向に床基版側平板部から間隔を空けて設けられ、支持部材に載置された支持部材側平板部と、床基版側平板部から長手方向に沿う軸周りに曲がって支持部材側平板部まで延び、床基版側平板部と支持部材側平板部とを連結する連結部と、を備え、床基版側平板部、支持部材側平板部及び連結部は、単一の金属板から形成されており、支持部材側平板部における載置面は、床基版側平板部における載置面よりも小さい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、床構造における衝撃緩和材の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る衝撃緩和材を備える床構造を部分的に示す拡大断面図である。
図2】(a)は、図1に示す衝撃緩和材を床基版側から見た斜視図であり、(b)は、図2(a)に示す衝撃緩和材の上下を反転した斜視図である。
図3】(a)は、図1に示すIIIA-IIIA線に沿う拡大断面図であり、(b)は、図3(a)に示すIIIB-IIIB線に沿う断面図であり、(c)は、図3(a)に示すIIIC-IIIC線に沿う断面図である。
図4図1に示す衝撃緩和材の素材の一例を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態における第1変形例に係る衝撃緩和材を備える床構造の断面図であり、図3(b)に対応して示す。
図6】本発明の実施形態における第2変形例に係る衝撃緩和材を備える床構造の断面図であり、図3(b)に対応して示す。
図7】本発明の実施形態における第3変形例に係る衝撃緩和材の斜視図であり、図2(b)に対応して示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る衝撃緩和材100について、図面を参照して説明する。衝撃緩和材100は、建築物における床構造1に用いられる。
【0013】
図1は、床構造1を部分的に示す拡大断面図である。図1に示すように、床構造1は、床基版2と、床基版2の下方に床基版2に沿って配置され床基版2を支持する棒状の支持部材3と、を備えている。衝撃緩和材100は、床基版2と支持部材3との間に設けられ、床基版2と支持部材3との間での衝撃の伝達を緩和する。衝撃緩和材100は、1つだけであってもよいし、支持部材3に沿って複数設けられていてもよい。
【0014】
床基版2は、例えば、無機質床版、木質床パネル又は複合床パネルである。無機質床版は、例えば、ALC(autoclaved lightweight aerated concrete)床版、PC(Prestressed Concrete)床版又は中空押出セメント床版である。木質床パネルは、例えば、合板、パーチクルボード及び根太等の木質材を組み合わせて形成されたパネルである。複合床パネルは、例えば、無機質材、木質材、金属材及び吸音材を任意に組み合わせて形成されたパネルである。
【0015】
支持部材3は、例えば、梁、大引又は根太である。図1では、支持部材3としてH形鋼を用いた例が示されているが、支持部材3は、I型鋼、T型鋼、山形鋼、角鋼であってもよい。また、支持部材3は、金属材により形成された部材に限られず、無機質材、木質材、又は金属材、無機質材及び木質材のうちの少なくとも2つを組み合わせて形成されていてもよい。
【0016】
図2(a)は、図1に示す衝撃緩和材100を床基版2の側から見た斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す衝撃緩和材100の上下を反転した斜視図である。図3(a)は、図1に示すIIIA-IIIA線に沿う拡大断面図であり、図3(b)は、図3(a)に示すIIIB-IIIB線に沿う断面図であり、図3(c)は、図3(a)に示すIIIC-IIIC線に沿う断面図である。
【0017】
図2及び図3に示すように、衝撃緩和材100は、長手方向を有する平板状に形成された床基版側平板部10と、床基版側平板部10の板厚方向に床基版側平板部10から間隔を空けて設けられた支持部材側平板部20と、床基版側平板部10と支持部材側平板部20とを連結する第1連結部30と、を備えている。床基版2は、床基版側平板部10に載置される。床基版2は、床基版側平板部10に直接載置されていてもよいし、ゴム板等を介して床基版側平板部10に載置されていてもよい。
【0018】
支持部材側平板部20は、床基版側平板部10の長手方向に複数設けられており、支持部材3に複数の支持部材側平板部20が載置される。つまり、支持部材側平板部20は、支持部材3に沿って複数設けられており、床基版側平板部10は、支持部材3に沿って長手方向を有するように平板状に形成されている。支持部材側平板部20は、支持部材3に直接載置されていてもよいし、ゴム板等を介して支持部材3に載置されていてもよい。
【0019】
なお、支持部材側平板部20は、1つであってもよい。
【0020】
第1連結部30は、床基版側平板部10から床基版側平板部10の長手方向に沿う軸周りに曲がって支持部材側平板部20まで延びている。そのため、第1連結部30と床基版側平板部10との間の隅部は、床基版側平板部10の長手方向に延びる。したがって、第1連結部30を床基版側平板部10の長手方向に延ばすことができ、第1連結部30の剛性を高めることができる。これにより、第1連結部30が床基版2の荷重により潰れるのを防止することができる。
【0021】
床基版側平板部10、支持部材側平板部20及び第1連結部30は、単一の金属板から形成されている。そのため、衝撃緩和材100は、床基版側平板部10と支持部材側平板部20とが近づいたり離れたりする板バネとして動作する。したがって、床基版2に加えられた衝撃を衝撃緩和材100によって吸収、蓄積することができる。
【0022】
金属は、ゴム及びエラストマーといった材料と比較して経年劣化が遅い。そのため、ゴム又はエラストマーで形成された衝撃緩和材と比較して、衝撃緩和材100の経年劣化は緩やかである。したがって、衝撃緩和材100の耐久性を向上させることができる。
【0023】
衝撃緩和材100に用いられる金属は、バネ鋼であることが好ましく、高炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼であることがより好ましい。
【0024】
ところで、金属は、ゴム及びエラストマーといった材料と比較して、振動を減衰する性能に劣る。そのため、衝撃緩和材100では、ゴム又はエラストマーで形成された衝撃緩和材と比較して、床基版2から支持部材3に伝達される衝撃が大きくなる可能性がある。
【0025】
これに対して、本発明者らは、鋭意研鑽の結果、ある部材と板バネとが接触している場合に、板バネと当該部材との間で伝達される衝撃は、当該部材と板バネとの接触面が小さいほど小さくなることを見出した。
【0026】
見出された内容によれば、衝撃緩和の観点からは、床基版側平板部10における載置面と、支持部材側平板部20における載置面と、をできるだけ小さくすることが好ましい。しかしながら、床基版側平板部10における載置面を小さくした場合には、床基版側平板部10と床基版2との間の接触面が小さくなり、衝撃が床基版2に加えられたときに当該接触面に局所的な引張応力が生じることになる。床基版2の引張強度は圧縮強度に比べて小さいことが多く、局所的な引張応力により床基版2が破損するおそれがある。
【0027】
そこで、本実施形態では、支持部材側平板部20における載置面が、床基版側平板部10における載置面よりも小さくされている。そのため、支持部材側平板部20と支持部材3との間の接触面は、床基版側平板部10と床基版2との間の接触面よりも小さくなる。したがって、床基版2と床基版側平板部10との間の接触面に局所的な引張応力が生じるのを防ぎつつ、衝撃緩和材100と支持部材3との間で伝達される衝撃を小さくすることができる。
【0028】
このように、本実施形態では、衝撃緩和材100が単一の金属板から形成され、従来床基版2と衝撃緩和材100との接触面積と同程度であった支持部材3と衝撃緩和材100との接触面積が小さくなる。そのため、衝撃緩和材100の耐久性を向上させつつ、床基版2に衝撃が加えられたときに床基版2から支持部材3に伝達される衝撃を緩和することができる。したがって、床構造1における所期の防音性能を時間の経過に関わらず維持させることができる。
【0029】
床基版側平板部10の長手方向における支持部材側平板部20の寸法は、床基版側平板部10の長手方向における床基版側平板部10の寸法よりも小さい。そのため、支持部材側平板部20における載置面を床基版側平板部10における載置面よりも小さくしつつ、床基版側平板部10の幅方向(長手方向及び板厚方向と直交する方向)における床基版側平板部10と支持部材側平板部20の寸法を同等とすることができる。したがって、衝撃緩和材100が床基版側平板部10の長手方向に沿う軸周りに倒れるのを防ぐことができ、衝撃緩和材100を安定して支持部材3に載置することができる。
【0030】
衝撃緩和材100は、床基版側平板部10の長手方向に床基版側平板部10及び支持部材側平板部20を見て支持部材側平板部20に対して床基版側平板部10とは反対側に配置された挟部40を更に備えている。挟部40は、支持部材側平板部20と協働して支持部材3を挟む。そのため、支持部材側平板部20は、挟部40により支持部材3に押付けられる。したがって、衝撃緩和材100をより安定して支持部材3に載置することができる。
【0031】
図1及び図3に示す例では、支持部材側平板部20と挟部40とは、支持部材3としてのH形鋼のフランジのみを挟んでいるが、支持部材3の全体を挟んでもよい。
【0032】
挟部40は、第2連結部50を介して床基版側平板部10に連結されている。第2連結部50は、第1連結部30と同様に、床基版側平板部10から床基版側平板部10の長手方向に沿う軸周りに曲がって延びている。支持部材3は、挟部40に対して第2連結部50とは反対側から第2連結部50に向かって(図3(a)及び(b)における紙面右方向に)挟部40と支持部材側平板部20との間に差し込まれる。支持部材3が第2連結部50まで達したところで、挟部40と支持部材側平板部20との間への支持部材3の差し込みが完了となる。
【0033】
衝撃緩和材100は、挟部40から第2連結部50とは反対側に、第2連結部50から離れるにつれ床基版側平板部10から離れるように床基版側平板部10に対して傾斜して延びる傾斜部60を更に備える。そのため、床基版側平板部10の長手方向に見て支持部材側平板部20と傾斜部60との間の間隔は、第2連結部50から離れるほど大きくなる。したがって、支持部材3を支持部材側平板部20と傾斜部60との間に容易に差し込むことができ、支持部材3を支持部材側平板部20と挟部40とで容易に挟むことができる。
【0034】
なお、本実施形態では、挟部40により支持部材3に支持部材側平板部20を押付けることにより衝撃緩和材100を安定して支持部材3に載置しているが、本発明はこの形態に限られない。例えば、挟部40に代えて、ボルト及びナットを用いて支持部材側平板部20と支持部材3とを締結し、衝撃緩和材100を安定して支持部材3に載置してもよい。
【0035】
図4は、衝撃緩和材100の素材100aの一例を示す平面図である。衝撃緩和材100の素材100aは、一枚の平板状の金属板であり、素材100aに曲げ加工を施すことによって衝撃緩和材100が形成される。図4において、一点鎖線は曲げ箇所を示している。
【0036】
図4に示すように、衝撃緩和材100の素材100aは、床基版側平板部10となる第1平板部10aと、第1平板部10aから第1平板部10aの幅方向に延びる第2平板部20a及び第3平板部30aと、を有する。第2平板部20aは、第1平板部10aの長手方向に間隔を空けて複数設けられており、第3平板部30aは、隣り合う第2平板部20aどうしの間に設けられている。第2平板部20aが曲げられると、第1連結部30及び支持部材側平板部20が形成される。第3平板部30aが曲げられると、第2連結部50、挟部40及び傾斜部60が形成される。
【0037】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0038】
衝撃緩和材100では、床基版側平板部10、支持部材側平板部20及び第1連結部30は、単一の金属板から形成されており、支持部材側平板部20における載置面は、床基版側平板部10における載置面よりも小さい。そのため、衝撃緩和材100の耐久性を向上させつつ、床基版2に衝撃が加えられたときに床基版2から支持部材3に伝達される衝撃を緩和することができる。したがって、床構造1における所期の防音性能を時間の経過に関わらず維持させることができる。
【0039】
また、衝撃緩和材100では、床基版側平板部10の長手方向における支持部材側平板部20の寸法は、床基版側平板部10の長手方向における床基版側平板部10の寸法よりも小さい。そのため、支持部材側平板部20における載置面を床基版側平板部10における載置面よりも小さくしつつ、床基版側平板部10の幅方向における床基版側平板部10と支持部材側平板部20の寸法を同等とすることができる。したがって、衝撃緩和材100が床基版側平板部10の長手方向に沿う軸周りに倒れるのを防ぐことができ、衝撃緩和材100を安定して支持部材3に載置することができる。
【0040】
また、衝撃緩和材100は、床基版側平板部10の長手方向に支持部材側平板部20及び床基版側平板部10を見て支持部材側平板部20に対して床基版側平板部10とは反対側に配置され、支持部材側平板部20と協働して支持部材3を挟む挟部40を備える。そのため、支持部材側平板部20は、挟部40により支持部材3に押付けられる。したがって、衝撃緩和材100をより安定して支持部材3に載置することができる。
【0041】
また、衝撃緩和材100は、挟部40から第2連結部50とは反対側に、第2連結部50から離れるにつれ床基版側平板部10から離れるように床基版側平板部10に対して傾斜して延びる傾斜部60を更に備える。そのため、床基版側平板部10の長手方向に見て支持部材側平板部20と傾斜部60との間の間隔は、第2連結部50から離れるほど大きくなる。したがって、支持部材3を支持部材側平板部20と傾斜部60との間に容易に差し込むことができ、支持部材3を支持部材側平板部20と挟部40とで容易に挟むことができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0043】
図5は、本発明の実施形態における第1変形例に係る衝撃緩和材101を備える床構造1の断面図であり、図3(b)に対応して示す。図3(b)に示す衝撃緩和材100では、第1連結部30は、床基版側平板部10から丸みなく曲がっており、支持部材側平板部20は、第1連結部30から丸みなく曲がっている。図5に示す衝撃緩和材101では、第1連結部30は、床基版側平板部10から丸みを帯びて曲がっており、支持部材側平板部20は、第1連結部30から丸みを帯びて曲がっている。衝撃緩和材101においても、衝撃緩和材100と同様に、床構造1における所期の防音性能を時間の経過に関わらず維持させることができる。
【0044】
図6は、本発明の実施形態における第2変形例に係る衝撃緩和材102を備える床構造1の断面図であり、図3(b)に対応して示す。図6に示すように、衝撃緩和材102では、第1連結部30の全体が湾曲している。衝撃緩和材102においても、衝撃緩和材100と同様に、床構造1における所期の防音性能を時間の経過に関わらず維持させることができる。
【0045】
また、衝撃緩和材102では、第1連結部30は、支持部材側平板部20から床基版側平板部10とは反対側に膨出している。そのため、第1連結部30の曲率半径は、支持部材側平板部20から膨出しないように形成された場合の曲率半径よりも大きくなる。したがって、曲げ加工により第1連結部30を容易に形成することができ、衝撃緩和材102を容易に形成することができる。第1連結部30は、床基版側平板部10とは反対側に膨出しているため、膨出している部分が床基版2に当たることはない。したがって、床基版2に局所的な引張応力が作用することを防ぐことができる。
【0046】
図7は、本発明の実施形態における第3変形例に係る衝撃緩和材103の斜視図であり、図2(b)に対応して示す。図1乃至図3に示す衝撃緩和材100では、複数の支持部材側平板部20に対応して第1連結部30が複数設けられている。図7に示すように、衝撃緩和材103では、1つの第1連結部30が床基版側平板部10と複数の支持部材側平板部20とを連結している。
【0047】
また、図1乃至図3に示す衝撃緩和材100では、第1連結部30と第2連結部50とが床基版側平板部10の幅方向における同じ側に設けられている。図7に示すように、衝撃緩和材103では、第1連結部30と第2連結部50とは、床基版側平板部10の幅方向における逆側に設けられている。
【0048】
衝撃緩和材103においても、衝撃緩和材100と同様に、床構造1における所期の防音性能を時間の経過に関わらず維持させることができる。
【0049】
図示を省略するが、衝撃緩和材103における第1連結部30と同様に、1つの第2連結部50が床基版側平板部10と複数の挟部40とを連結していてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1・・・床構造
2・・・床基版
3・・・支持部材
100,101,102,103・・・衝撃緩和材
10・・・床基版側平板部
20・・・支持部材側平板部
30・・・第1連結部
40・・・挟部
50・・・第2連結部
60・・・傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7