(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070956
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】室内位置情報格納処理システム、室内位置情報検出システム、電力機器、室内位置情報処理装置、室内位置情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20230515BHJP
G06Q 30/0201 20230101ALI20230515BHJP
【FI】
G01S5/14
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183458
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 智之
【テーマコード(参考)】
5J062
5L049
【Fターム(参考)】
5J062AA02
5J062BB05
5J062BB08
5J062CC07
5J062CC18
5J062FF01
5L049BB02
5L049BB05
(57)【要約】
【課題】位置情報マーケティングを利用しやすくすることができる室内位置情報格納処理システム、室内位置情報検出システム、電力機器、室内位置情報処理装置、室内位置情報処理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】実施形態の室内位置情報格納処理システムは、電力機器と、第1発信器と、第1受信器と、位置検出器と、第1情報処理装置と、を持つ。第1情報処理装置は、前記測距波及び前記第1受信器の位置に基づく情報を処理する。第1距離算出部は、前記第1受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第1受信器の距離を算出する。第1位置算出部は、算出された前記距離及び前記第1受信器の位置に基づいて、前記第1発信器の位置を算出する。第1格納処理部は、算出された前記第1発信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に設けられた電力機器と、
前記電力機器に取り付けられ、測距波を発信する第1発信器と、
前記第1発信器により発信された測距波を受信する第1受信器と、
前記第1受信器の位置を検出する位置検出器と、
前記測距波及び前記第1受信器の位置に基づく情報を処理する第1情報処理装置と、を備え、
前記第1情報処理装置は、
前記第1受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第1受信器の距離を算出する第1距離算出部と、
算出された前記距離及び前記第1受信器の位置に基づいて、前記第1発信器の位置を算出する第1位置算出部と、
算出された前記第1発信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する第1格納処理部と、を備える、
室内位置情報格納処理システム。
【請求項2】
前記建築物内を移動する第1移動体を更に備え、
前記第1受信器は、前記第1移動体に搭載される、
請求項1に記載の室内位置情報格納処理システム。
【請求項3】
建築物に設けられた電力機器と、
測距波を発信する第2発信器と、
前記電力機器に取り付けられ、前記第2発信器により発信された測距波を受信する第2受信器と、
前記第2発信器の位置を検出する位置検出器と、
前記測距波及び前記第2発信器の位置に基づく情報を処理する第2情報処理装置と、を備え、
前記第2情報処理装置は、
前記第2受信器が受信した測距波に基づいて、前記第2発信器と前記第2受信器の距離を算出する第2距離算出部と、
算出された前記距離及び前記第2発信器の位置に基づいて、前記第2受信器の位置を算出する第2位置算出部と、
算出された前記第2受信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する格納処理部と、を備える、
室内位置情報格納処理システム。
【請求項4】
前記建築物内を移動する第2移動体を更に備え、
前記第2発信器は、前記第2移動体に搭載される、
請求項3に記載の室内位置情報格納処理システム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の室内位置情報格納処理システムと、前記第1格納処理部により格納された電力機器の位置に基づく情報を処理する第3情報処理装置と、を備え、
前記第3情報処理装置は、
前記第1発信器が発信し第3受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第3受信器の距離を算出する第3距離算出部と、
前記第3距離算出部により算出された前記距離及び前記電力機器の位置に基づいて、前記第3受信器の位置を検出する第1検出部と、を備える、
室内位置情報検出システム。
【請求項6】
請求項3または4に記載の室内位置情報格納処理システムと、前記格納処理部により格納された電力機器の位置に基づく情報を処理する第4情報処理装置を備え、
前記第4情報処理装置は、
測距波を発信する第4発信器が発信し前記第2受信器が受信した測距波に基づいて、前記第4発信器と前記第2受信器の距離を算出する第4距離算出部と、
前記第4距離算出部により算出された前記距離及び前記電力機器の位置に基づいて、前記第4発信器の位置を検出する第2検出部と、を備える、
室内位置情報検出システム。
【請求項7】
前記電力機器は、前記建築物の天井に設けられる、
請求項5または6に記載の室内位置情報検出システム。
【請求項8】
前記電力機器は、前記天井から露出して設けられる、
請求項7に記載の室内位置情報検出システム。
【請求項9】
前記電力機器は、照明器具、感知器、空調装置、スピーカ、またはコンセントのうち少なくともいずれか1つを含む、
請求項5から8のうちいずれか1項に記載の室内位置情報検出システム。
【請求項10】
前記建築物に設けられた複数の前記電力機器を備える、
請求項5から9のうちいずれか1項に記載の室内位置情報検出システム。
【請求項11】
請求項5に記載の室内位置情報検出システムに用いられ、前記第1発信器が取り付けられる、
電力機器。
【請求項12】
請求項6に記載の室内位置情報検出システムに用いられ、前記第2受信器が取り付けられる、
電力機器。
【請求項13】
建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第1発信器が発信し、第1受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第1受信器の距離を算出する第1距離算出部と、
算出された前記距離及び前記第1受信器の位置に基づいて、前記第1発信器の位置を算出する第1位置算出部と、
算出された前記第1発信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する第1格納処理部と、を備える、
室内位置情報処理装置。
【請求項14】
第2発信器が発信し、建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第2受信器が受信した測距波に基づいて、前記第2発信器と前記第2受信器の距離を算出する第2距離算出部と、
算出された前記距離及び前記第2発信器の位置に基づいて、前記第2受信器の位置を算出する第2位置算出部と、
算出された前記第2受信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する格納処理部と、を備える、
室内位置情報処理装置。
【請求項15】
前記第1発信器が発信し第3受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第3受信器の距離を算出する第3距離算出部と、
前記第3距離算出部により算出された前記距離及び前記電力機器の位置に基づいて、前記第3受信器の位置を検出する第1検出部と、を備える、
請求項13に記載の室内位置情報処理装置。
【請求項16】
測距波を発信する第4発信器が発信し前記第2受信器が受信した測距波に基づいて、前記第4発信器と前記第2受信器の距離を算出する第4距離算出部と、
前記第4距離算出部により算出された前記距離及び前記電力機器の位置に基づいて、前記第4発信器の位置を検出する第2検出部と、を備える、
請求項14に記載の室内位置情報処理装置。
【請求項17】
室内位置情報処理装置のコンピュータが、
建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第1発信器が発信し、第1受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第1受信器の距離を算出し、
算出された前記距離及び前記第1受信器の位置に基づいて、前記第1発信器の位置を算出し、
算出された前記第1発信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する、
室内位置情報処理方法。
【請求項18】
室内位置情報処理装置のコンピュータが、
第2発信器が発信し、建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第2受信器が受信した測距波に基づいて、前記第2発信器と前記第2受信器の距離を算出し、
算出された前記距離及び前記第2発信器の位置に基づいて、前記第2受信器の位置を算出し、
算出された前記第2受信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する、
室内位置情報処理方法。
【請求項19】
室内位置情報処理装置のコンピュータが、
建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第1発信器が発信し第3受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第3受信器の距離を算出し、
算出された前記第1発信器と前記第3受信器の距離及び、請求項16に記載の室内位置情報処理装置により格納された前記電力機器の位置に基づいて、前記第3受信器の位置を検出する、
室内位置情報処理方法。
【請求項20】
室内位置情報処理装置のコンピュータが、
第4発信器が発信し建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第2受信器が受信した測距波に基づいて、前記第4発信器と前記第2受信器の距離を算出し、
算出された前記第4発信器と前記第2受信器の距離及び請求項18に記載の室内位置情報処理方法により格納された前記電力機器の位置に基づいて、前記第4発信器の位置を検出する、
室内位置情報処理方法。
【請求項21】
室内位置情報処理装置のコンピュータに、
建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第1発信器が発信し、第1受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第1受信器の距離を算出させ、
算出された前記距離及び前記第1受信器の位置に基づいて、前記第1発信器の位置を算出させ、
算出された前記第1発信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納させる、
プログラム。
【請求項22】
室内位置情報処理装置のコンピュータに、
第2発信器が発信し、建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第2受信器が受信した測距波に基づいて、前記第2発信器と前記第2受信器の距離を算出させ、
算出された前記距離及び前記第2発信器の位置に基づいて、前記第2受信器の位置を算出させ、
算出された前記第2受信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納させる、
プログラム。
【請求項23】
室内位置情報処理装置のコンピュータに、
建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第1発信器が発信し第3受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第3受信器の距離を算出させ、
算出された前記第1発信器と前記第3受信器の距離及び、請求項16に記載の室内位置情報処理装置により格納された前記電力機器の位置に基づいて、前記第3受信器の位置を検出させる、
プログラム。
【請求項24】
室内位置情報処理装置のコンピュータに、
第4発信器が発信し建築物に設けられた電力機器に取り付けられた第2受信器が受信した測距波に基づいて、前記第4発信器と前記第2受信器の距離を算出させ、
算出された前記第4発信器と前記第2受信器の距離及び請求項18に記載の室内位置情報処理方法により格納された前記電力機器の位置に基づいて、前記第4発信器の位置を検出させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、室内位置情報格納処理システム、室内位置情報検出システム、電力機器、室内位置情報処理装置、室内位置情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小売業においては、新規顧客獲得や客単価の増大を目的とした位置情報マーケティングのニーズが増加している。位置情報マーケティングのためには、例えば、店舗内を移動する顧客の位置情報が取得される。このため、店舗内には、位置情報の収集に利用するビーコン設備や電源が必要となるが、これらの設備を確保することが容易でない場合がある。その結果、位置情報マーケティングの利用が難しくなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、位置情報マーケティングを利用しやすくすることができる室内位置情報格納処理システム、室内位置情報検出システム、電力機器、室内位置情報処理装置、室内位置情報処理方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の室内位置情報格納処理システムは、電力機器と、第1発信器と、第1受信器と、位置検出器と、第1情報処理装置と、を持つ。電力機器は、建築物に設けられる。第1発信器は、前記電力機器に取り付けられ、測距波を発信する。第1受信器は、前記第1発信器により発信された測距波を受信する。位置検出器は、前記第1受信器の位置を検出する。第1情報処理装置は、前記測距波及び前記第1受信器の位置に基づく情報を処理する。前記第1情報処理装置は、第1距離算出部と、第1位置算出部と、第1格納処理部と、を持つ。第1距離算出部は、前記第1受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第1受信器の距離を算出する。第1位置算出部は、算出された前記距離及び前記第1受信器の位置に基づいて、前記第1発信器の位置を算出する。第1格納処理部は、算出された前記第1発信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の室内位置情報処理システム1の一例を示す図である。
【
図3】建築物Mの一室内を室内から見上げた状態を示す図。
【
図4】室内位置情報処理システム1が設けられた商業施設SPを模式的に示す図。
【
図5】照明器具10及び第1発信器20のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図6】第1の実施形態の店舗端末30のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図7】第1の実施形態の顧客端末40のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図8】第1の実施形態の管理装置100のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図9】第1の実施形態の店舗端末30の機能的な構成の一例を示す図。
【
図10】第1の実施形態の顧客端末40の機能的な構成の一例を示す図。
【
図11】第1の実施形態の管理装置100の機能的な構成の一例を示す図。
【
図12】発信器IDが対応付けられた照明器具10の位置を示す図。
【
図13】照明設置時における室内位置情報処理システム1における処理の一例を示すシーケンス図。
【
図14】店舗営業時における室内位置情報処理システム1における処理の一例を示すシーケンス図。
【
図15】第2の実施形態の室内位置情報処理システム2の一例を示す図。
【
図16】第2の実施形態の店舗端末50のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図17】第2の実施形態の顧客端末60のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図18】第2の実施形態の照明器具10及び送信波情報処理装置70のハードウェア構成の一例を示す図。
【
図19】第2の実施形態の管理装置200の機能的な構成の一例を示す図。
【
図20】第1移動体80が走行する建築物Mの室内の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の室内位置情報格納処理システム、室内位置情報検出システム、電力機器、室内位置情報処理装置、室内位置情報処理方法及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態の室内位置情報処理システム1の全体的な構成について説明する。
図1は、第1の実施形態の室内位置情報処理システム1の一例を示す図である。室内位置情報処理システム1は、例えば、複数の照明器具10と、複数の第1発信器20と、店舗端末30と、顧客端末40と、管理装置100と、を備える。
【0009】
複数の照明器具10は、例えば、商業施設となる建築物における天井Cに設置される。複数の照明器具10における建築物の室内側には、第1発信器20が内蔵されて取り付けられている。第1発信器20は、照明器具10に対して外付けされて取り付けられていてもよい。
【0010】
店舗端末30と管理装置100、顧客端末40と管理装置100は、それぞれネットワークNWにより互いに通信可能な態様で接続されている。イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、無線LANなどであり、一定水準以上の情報セキュリティが施されていることが好ましい。
【0011】
室内位置情報処理システム1は、店舗における照明を設置するとき(以下、照明設置時)と、店舗を営業している際に顧客の位置を検出するとき(以下、店舗営業時)に利用される。室内位置情報処理システム1は、照明設置時には、複数の照明器具10と、第1発信器20と、店舗端末30と、管理装置100と、を含む室内位置情報格納処理システム1Aとして機能する。室内位置情報処理システム1は、店舗営業時には、複数の照明器具10と、第1発信器20と、顧客端末40と、管理装置100と、室内位置情報検出システム1Bとして機能する。管理装置100は、第1情報処理装置及び第3情報処理装置の一例である。
【0012】
図2は、商業施設となる建築物Mの断面図である。建築物Mは、複数階、例えば第1フロアMF1、第2フロアMF2、第3フロアMF3の3階建てである。建築物Mは、1階建てや2階建てでもよいし、4階建て以上でもよい。建築物Mにおける第1フロアMF1、第2フロアMF2、第3フロアMF3は、いずれも小部屋に仕切られている。第1フロアMF1には、第1階第1室MF11、第1階第2室MF12、第1階第3室MF13が設けられている。第2フロアMF2には、第2階第1室MF21、第2階第2室MF22が設けられている。第3フロアMF3には、第3階第1室MF31、第3階第2室MF32、第3階第3室MF33が設けられている。フロアは、小部屋に仕切られていなくてもよい。
【0013】
各フロアの各部屋には、いずれも複数の照明器具10が設けられている。
図3は、建築物Mの一室内を見上げた状態を示す図である。
図3では、第3階第2室MF32を室内から見上げた状態を示す。第3階第2室MF32の天井Cには、5×5の25基の照明器具10が設置されている。25基の照明器具のうち、13基の照明器具には、第1発信器20が設けられている。5列の並んだ照明器具(以下、照明器具列)に含まれる照明器具10には、第1発信器20が内蔵されたものと内蔵されていないものが交互に配置される。
【0014】
このうち、第1列、第3列、第5列の照明器具列では、3基の照明器具10に第1発信器20が内蔵されており、第2列、第4列の照明器具列では、2基の照明器具10に第1発信器20が内蔵されている。このため、第3階第2室MF32を平面視した場合には、第1発信器20が内蔵された照明器具10は千鳥に配置されている。
【0015】
図4は、室内位置情報処理システム1が設けられた商業施設SPを模式的に示す図である。商業施設SPにおける各フロアには、売り場が設けられており、顧客Pや店員などの店舗関係者Sが滞在している。フロア間には、例えばエレベータEが設けられ、顧客Pや店舗関係者Sはエレベータを利用してフロア間を移動可能である。売り場には、レジRが設けられる。
【0016】
商業施設SPにおける天井Cには、複数の照明器具10が設けられ、照明器具10の一部または全部に第1発信器20が内蔵される。室内位置情報処理システム1は、照明設置時には、第1発信器20が発信する送信波を店舗関係者S等が操作する店舗端末30で受信することにより、管理装置100において照明位置を検出する。
【0017】
室内位置情報処理システム1は、店舗営業時には、第1発信器が発信する送信波を顧客Pが操作する顧客端末40で受信することにより、管理装置100において顧客Pの位置(以下、顧客位置)を検出する。管理装置100は、検出した顧客位置を時系列で複数検出し、検出した複数の顧客位置を時系列に並べた時系列顧客位置の情報をマーケティングセンター500に送信して提供する。マーケティングセンター500では、提供を受けた時系列顧客位置の情報を活用し、商業施設SPにおける新規顧客獲得や顧客Pへのクーポンの配信などのためのマーケティング情報を生成する。
【0018】
次に、第1の実施形態の室内位置情報処理システム1における各装置のハードウェア構成について説明する。まず、照明器具10及び第1発信器20のハードウェア構成について説明する。
図5は、照明器具10及び第1発信器20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0019】
照明器具10は、例えば、電源部11と、照明部12と、を備える。電源部11は、例えば、外部電力を導入し、照明を点灯させるための電力を取得する。照明部12は、例えば、LED(Light Emitting Diode)回路を備え、電源部11により供給される電力でLEDを点灯させて周囲を照明する。
【0020】
照明器具10には、第1発信器20が内蔵されている。第1発信器20は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、Bluetooth(登録商標)、Wifi、NFC(Near Field Communication)などに用いられる送信波を発信する。送信波は、個体識別が可能であり、距離の測定に利用可能な電波である。送信波は、測距波の一例である。第1発信器20は、音波(超音波)を発信する発信器でもよい。
【0021】
第1発信器20は、例えば、照明器具10におけるLED回路に接続される。第1発信器20は、電源部11によりLED回路に供給される電力を利用して作動する。電源部11は、例えば、蓄電部を備え、蓄電された電力を照明部12に供給するものでもよい。第1発信器20は、電源部11により電力が供給されている間、一定時間間隔を置いて送信波を発信する。
【0022】
第1発信器20が発信する送信波には、送信波情報が含まれる。第1発信器20には、それぞれ固有の発信器IDが付与されている。第1発信器20が送信する送信波に含まれる送信波情報には、送信波を発信した第1発信器20を特定するための発信器IDを示す発信器特定情報が含まれる。
【0023】
送信波情報には、発信器IDを示す発信器特定情報が含まれていなくてもよい。発信器特定情報は、例えば、第1発信器20の外面または第1発信器20のパッケージに印刷された二次元コード、例えばQRコード(登録商標)を店舗端末30が読み込むことで取得できるようにしてもよいし、別途管理装置100等から提供されてもよい。
【0024】
次に、店舗端末30のハードウェア構成について説明する。
図6は、第1の実施形態の店舗端末30のハードウェア構成の一例を示す図である。店舗端末30は、例えば、プロセッサ31と、主記憶装置32と、通信インターフェース33と、補助記憶装置34と、入出力装置35と、センサ36と、第1受信器37と、位置検出器38と、バス39とを備える。
【0025】
プロセッサ31は、例えば、CPUであり、端末制御プログラムを読み出して実行し、店舗端末30が有する各機能を実現させる。端末制御プログラムは、例えば、照明器具10の位置を登録する位置情報登録アプリである。位置情報登録アプリは、例えば、照明器具10を天井に設置する際または天井に設置された照明器具10の位置を登録するためのアプリである。
【0026】
また、プロセッサ31は、端末制御プログラム以外のプログラムを読み出して実行し、店舗端末30が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。主記憶装置32は、例えば、RAMであり、プロセッサ31により読み出されて実行される端末制御プログラムその他プログラムを予め記憶している。
【0027】
通信インターフェース33は、ネットワークNWその他ネットワークを介して管理装置100等と通信を実行するためのインターフェース回路である。補助記憶装置34は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、ROMである。
【0028】
入出力装置35は、例えば、タッチパネルディスプレイである。センサ36は、例えば、角速度センサ及び加速度センサの少なくとも一方を含む。第1受信器37は、第1発信器20により発信される送信波を受信する。第1発信器20が音波(超音波)を送信する場合には第1受信器37は、音波(超音波)を受信するマイクであってもよい。
【0029】
位置検出器38は、店舗端末30の位置を検出する。位置検出器38は、例えば、GPS(Global Positioning System)に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)装置である。バス39は、プロセッサ31、主記憶装置32、通信インターフェース33、補助記憶装置34、入出力装置35、センサ36、第1受信器37及び位置検出器38を互いにデータの送受信が可能なように接続している。補助記憶装置34は、自身に割り当てられた固有の識別コードを示す端末識別データや第1発信器20を特定する発信器IDを記憶する。
【0030】
次に、第1の実施形態の顧客端末40について説明する。
図7は、第1の実施形態の顧客端末40のハードウェア構成の一例を示す図である。顧客端末40は、例えば、プロセッサ41と、主記憶装置42と、通信インターフェース43と、補助記憶装置44と、入出力装置45と、センサ46と、第3受信器47と、バス49と、を備える。顧客端末40は、位置検出器を備えない点を除いて、店舗端末30と同様の構成を有する。顧客端末40は、店舗端末30と同様に位置検出器を備えていてもよい。
【0031】
次に、第1の実施形態の管理装置100のハードウェア構成について説明する。
図8は、第1の実施形態の管理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。管理装置100は、プロセッサ101と、主記憶装置102と、通信インターフェース103と、補助記憶装置104と、入出力装置105と、バス107とを備える。
【0032】
プロセッサ101は、例えば、CPUであり、室内位置情報処理プログラムを読み出して実行し、管理装置100が有する各機能を実現させる。また、プロセッサ101は、室内位置情報処理プログラム以外のプログラムを読み出して実行し、管理装置100が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。主記憶装置102は、例えば、RAMであり、プロセッサ101により読み出されて実行される室内位置情報処理プログラムその他プログラムを予め記憶している。
【0033】
通信インターフェース103は、ネットワークNWその他ネットワークを介して店舗端末30や顧客端末40等と通信を実行するためのインターフェース回路である。補助記憶装置104は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、ROMである。
【0034】
入出力装置105は、例えば、タッチパネルディスプレイである。バス107は、プロセッサ101、主記憶装置102、通信インターフェース103、補助記憶装置104及び入出力装置105を互いにデータの送受信が可能なように接続している。入出力装置105は、入力装置と出力装置とが独立して構成されていてもよい。
【0035】
次に、室内位置情報処理システム1における機能的な構成について説明する。
図9は、第1の実施形態の店舗端末30の機能的な構成の一例を示す図である。店舗端末30は、例えば、送信波情報取得部301と、位置情報取得部302と、送受信処理部303と、を備える。
【0036】
送信波情報取得部301は、第1発信器20により発信され、第1受信器37が受信した送信波に含まれる送信波情報を取得する。送信波情報には、第1発信器20と第1受信器37の距離(以下、第1距離)を算出するための距離情報と、第1発信器20を特定するための発信器IDを示す発信器特定情報が含まれる。距離情報は、例えば、第1発信器20がUWBを利用する発信器である場合には、送信波の周波数、第1発信器20がBluetooth(登録商標)やWifiを利用する発信器である場合には、第1受信器37が受信した送信波の電波強度などである。
【0037】
位置情報取得部302は、位置検出器38により検出された店舗端末30の位置を取得する。送受信処理部303は、送信波情報取得部301により取得された距離情報及び発信器特定情報、並びに位置情報取得部302により取得された店舗端末30の位置に関する位置情報を管理装置100に送信する。
【0038】
店舗端末30は、例えば、店舗端末30を所持する店舗関係者等に伴って移動する。店舗端末30は、例えば、移動した際に第1発信器20により発信される送信波を受信する。店舗端末30は、送信波を受信するごとに距離情報、発信器特定情報、及び位置情報を管理装置100に送信する。このため、店舗端末30は、距離情報、発信器特定情報、及び位置情報を管理装置100に複数回送信する。送受信処理部303は、一定時間の経過や店舗端末30を操作する店舗関係者S等の操作に基づいて、各種情報を管理装置100に送信するようにしてもよい。
【0039】
次に、顧客端末40の機能的な構成について説明する。
図10は、第1の実施形態の顧客端末40の機能的な構成の一例を示す図である。顧客端末40は、例えば、送信波情報取得部401と、送受信処理部402と、を備える。送信波情報取得部401は、店舗端末30の送信波情報取得部301と同様に、それぞれ送信波情報を取得する。
【0040】
送受信処理部402は、送信波情報取得部401により取得された送信波情報に含まれる距離情報及び発信器特定情報を管理装置100に送信する。ここでの距離情報は、第1距離を算出するための情報である。顧客端末40は、例えば、顧客端末40を所持する顧客等に伴って移動する。顧客端末40の送受信処理部402は、店舗端末30と同様に、距離情報及び発信器特定情報を管理装置100に複数回送信する。送受信処理部402は、一定時間の経過や店舗端末30を操作する店舗関係者S等の操作に基づいて、各種情報を管理装置100に送信するようにしてもよい。
【0041】
次に、管理装置100の機能的な構成について説明する。
図11は、第1の実施形態の管理装置100の機能的な構成の一例を示す図である。管理装置100は、例えば、送受信部111と、第1距離算出部112と、第1位置算出部113と、格納処理部114と、第3距離算出部115と、第1検出部116と、記憶部117と、を備える。
【0042】
送受信部111は、店舗端末30及び顧客端末40により送信される各種情報を受信する。送受信部111は、店舗端末30及び顧客端末40により送信される複数の距離情報、発信器特定情報、及び位置情報を受信する。送受信部111は、店舗端末30及び顧客端末40が移動するごとに、店舗端末30及び顧客端末40により送信される距離情報及び発信器特定情報、並びに位置情報を受信する。
【0043】
第1距離算出部112は、店舗端末30により送信され送受信部111により受信された距離情報及び発信器特定情報に基づいて、照明器具10に内蔵された第1発信器20と店舗端末30に設けられた第1受信器37の距離(以下、第1距離)を算出する。第1距離算出部112は、複数の第1発信器20ごとに、第1距離を算出する。
【0044】
第1位置算出部113は、第1距離算出部112により算出された第1距離及び送受信部111により受信された位置情報に基づいて、第1発信器20の位置を、第1発信器20が内蔵された照明器具10の位置(以下、第1位置)として算出する。このときの位置情報は、第1距離を算出した際に位置検出器38により検出された店舗端末30の位置を示す位置情報である。
【0045】
第1距離算出部112及び第1位置算出部113は、例えば、管理装置100に代えて、店舗端末30が備えていてもよい。この場合、店舗端末30は、算出した第1距離や第1位置を示す情報を、送受信処理部303により管理装置100に送信するようにすればよい。
【0046】
商業施設SPにおける室内には、複数の照明器具10が設けられている。これらの複数の照明器具10の一部または全部に第1発信器20が内蔵されている。第1位置算出部113は、第1発信器20が内蔵された複数の照明器具10のそれぞれの第1位置を算出する。第1位置算出部113は、第1位置を算出する際に、照明器具10に内蔵された第1発信器20の発信器IDを対応付ける。
【0047】
照明器具10の位置を算出する際には、店舗端末30が2か所以上で取得した、1つの第1発信器20が発信した送信波に基づいて算出された第1距離を用いる。例えば、店舗端末30が任意の位置にある場合の第1距離及び店舗端末30の位置(第1受信器37の位置)と、店舗端末30がその他の位置にある場合の第1距離と店舗端末30の位置(第1受信器37の位置)に基づいて、照明器具10の位置を算出する。第1位置算出部113は、このときの照明器具10に内蔵された第1発信器20に発信器IDを第1位置に対応付ける。
【0048】
格納処理部114は、発信器IDが対応付けられた第1位置を記憶部117に格納して登録する。記憶部117は、複数の照明器具10についての第1位置を記憶する。
図12は、発信器IDが対応付けられた照明器具10の位置を示す図である。この例では、
図3に示す建築物Mの一室内の天井を視覚化し、天井に設置された照明器具10に内蔵された第1発信器20の発信器IDを示している。
【0049】
例えば、最上段最左列の照明器具10に内蔵された第1発信器20の発信器IDは、「1111」である。その隣の照明器具10には、第1発信器20が内蔵されていないため、発信器IDが示されない。その隣の照明器具10に内蔵された第1発信器20の発信器IDは、「2222」。同様にして、他の照明器具10に内蔵された第1発信器20の発信器IDが示される。
【0050】
第1位置は、例えば、照明器具10の配置を示す天井の設計図などが予め用意されている場合には、設計図に含まれる照明器具10の位置に対応付けて算出してもよい。天井における照明器具10の配置は、設計図により示されていてもよいし、建築物Mの室内で撮影された天井の画像を台形補正した補正画像に示されていてもよい。
【0051】
設計図などの照明器具10の配置を示す情報がない場合には、店舗端末30の位置検出器38により検出された店舗端末30の位置を基準の位置として照明器具10の位置を算出してもよい。この場合には、2つ以上の店舗端末30の位置と第1距離に基づいて、照明器具10の位置を算出することができる。また、店舗端末30に対する第1発信器20の方位(以下、第1方位)を検出できる場合には、店舗端末30の位置と、第1距離と、第1方位に基づいて、第1位置を算出してもよい。
【0052】
第3距離算出部115は、顧客端末40により送信され送受信部111により受信された距離情報及び発信器特定情報に基づいて、複数の第1発信器20ごとに、第1発信器20と第3受信器47の距離(以下、第3距離)を算出する。第3距離算出部115は、第1発信器20が内蔵された複数の照明器具10のそれぞれに対する第3距離を算出する。
【0053】
第1検出部116は、第3距離算出部115により算出された複数の第3距離及び格納処理部114により格納された複数の第1位置に基づいて、顧客端末40の位置を検出する。格納処理部114は、第1検出部116により検出された顧客端末40の位置(以下、顧客端末位置)を顧客の位置として記憶部117に格納して登録する。第1検出部116は、例えば、少なくとも2つの第1発信器20に対する第3距離と、これらの第1発信器20の第1位置に基づいて、顧客端末位置を顧客が位置する顧客位置として検出する。
【0054】
第1検出部116は、顧客が移動して複数の場所に位置する際の顧客位置を検出する。第1検出部116は、検出した複数の顧客位置を時系列に並べた時系列顧客位置を記憶部117に格納して登録する。送受信部111は、記憶部117に格納され時系列顧客位置を、例えば、マーケティングセンター500などに送信する。
【0055】
第3距離算出部115及び第1検出部116は、例えば、管理装置100に代えて、顧客端末40が備えていてもよい。この場合、顧客端末40は、算出した第3距離や顧客端末位置を示す情報を、送受信処理部402により管理装置100に送信するようにすればよい。
【0056】
次に、室内位置情報処理システム1における処理について説明する。室内位置情報処理システム1は、照明設置時に室内位置情報格納処理システム1Aとして機能し、管理装置100とともに店舗端末30を使用する。室内位置情報処理システム1は、店舗営業時に室内位置情報検出システム1Bとして機能し、管理装置100とともに顧客端末40を使用する。以下、照明設置時の処理について説明し、と店舗営業時の処理について説明する。
図13は、照明設置時における室内位置情報処理システム1における処理の一例を示すシーケンス図である。
【0057】
まず、照明設置時の処理について説明する。照明設置時の前段階において、商業施設SPでは、建築物M内における所定フロアにある所定の部屋に照明器具10が設置され、照明器具10に設置される第1発信器20の発信器IDに基づいて、第1位置が算出されて記憶される。
【0058】
店舗端末30を用いた照明器具10の第1の算出にあたり、管理装置100は、例えば、店舗関係者Sによる店舗端末30の操作に基づいて、第1位置を算出する部屋がある建築物Mの住所、建築物M内におけるその部屋が設置されたフロア、フロア内における部屋の位置等が登録される。建築物Mの住所、部屋があるフロア、フロア内の部屋の位置は、他の手段により登録されてもよい。例えば、建築物Mの設計図や天井が撮像された画像が用意されている場合には、その設計図や画像の情報に建築物の住所や部屋のフロアが示されていてもよい。
【0059】
室内位置情報処理システム1では、照明設置時に、建築物Mの天井Cに複数の照明器具10が順次設置される。照明器具10には、第1発信器20が内蔵されたものと内蔵されていないものがある。天井Cに設置された照明器具10に内蔵された第1発信器20のうち、電源部11に接続された第1発信器20は、一定時間間隔をおいて送信波を発信する。店舗関係者Sは、店舗端末30を所持して室内を移動し、例えば照明器具10に近づいて、第1発信器20により発信される送信波を第1受信器37に受信させる。
【0060】
店舗関係者Sに所持された店舗端末30は、第1発信器20により発信される送信波を第1受信器37が受信したか否かを送信波情報取得部301において判定する(ステップS101)。第1受信器37が送信波を受信していないと判定した場合、送信波情報取得部301は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0061】
第1受信器37が送信波を受信したと判定した場合、送信波情報取得部301は、第1受信器37が受信した送信波情報に基づいて、送信波に基づく距離情報及び発信器特定情報を取得する(ステップS103)。続いて、位置情報取得部302は、位置検出器38により検出された店舗端末30の位置を取得し、店舗端末30の位置に関する位置情報を生成して取得する(ステップS105)。
【0062】
続いて、送受信処理部303は、送信波情報取得部301が取得した距離情報及び発信器特定情報、位置情報取得部302が取得した位置情報を管理装置100に送信する(ステップS107)。店舗端末30は、天井Cに設置する予定の照明器具10がすべて設置され、天井Cに設置された照明器具10に内蔵された第1発信器20の全ての距離情報及び発信器特定情報を取得するまで、ステップS101からステップS107の処理を継続する。
【0063】
管理装置100は、店舗端末30により距離情報、発信器特定情報、及び位置情報が送信されるごとに、これらの情報を送受信部111により取得する(ステップS201)。続いて、第1距離算出部112は、送受信部111が取得した距離情報及び発信器特定情報に基づいて、発信器特定情報により発信器IDが特定された第1発信器20の第1距離を算出する(ステップS203)。
【0064】
第1距離算出部112において、特定の第1発信器20における第1距離を複数算出した後、第1位置算出部113は、特定の第1発信器20の位置を算出し、その第1発信器20が内蔵された照明器具10の第1位置として算出する(ステップS205)。続いて、格納処理部114は、第1位置算出部113が算出した第1位置を記憶部117に格納して登録する(ステップS207)。
【0065】
続いて、第1位置算出部113は、天井Cに設置される照明器具10のうち、第1発信器20が内蔵されたものの全ての第1位置を算出したか否かを判定する(ステップS209)。第1発信器20が内蔵されたものの全ての第1位置を算出していないと判定した場合、第1位置算出部113は、処理をステップS201に戻し、管理装置100は、ステップS201からステップS207の処理を繰り返す。
【0066】
第1位置算出部113では、複数の照明器具10第1位置を算出し、格納処理部114は、複数の第1位置を記憶部117に格納して登録する。記憶部117には、時系列顧客位置が記憶される。第1発信器20が内蔵されたものの全ての第1位置を第1位置算出部113が算出したと判定した場合、管理装置100は、室内位置情報処理システム1における照明設置時の処理を終了する。
【0067】
続いて、店舗営業時の処理について説明する。
図14は、店舗営業時における室内位置情報処理システム1における処理の一例を示すシーケンス図である。室内位置情報処理システム1では、店舗営業時に、照明器具10に内蔵された第1発信器20は、一定時間間隔をおいて送信波を発信する。商業施設SPを訪れた顧客Pは、顧客端末40を所持して商業施設SP内を移動する。
【0068】
顧客Pに所持された顧客端末40は、照明器具10に近づくと、第3受信器47により第1発信器20により発信される送信波を受信する。顧客端末40は、第1発信器20により発信される送信波を第3受信器47が受信したか否かを送信波情報取得部401において判定する(ステップS301)。第3受信器47が送信波を受信していないと判定した場合、送信波情報取得部401は、ステップS301の処理を繰り返す。
【0069】
第3受信器47が送信波を受信したと判定した場合、送信波情報取得部401は、第3受信器47が受信した送信波情報に基づいて、送信波に基づく距離情報及び発信器特定情報を取得する(ステップS303)。続いて、送受信処理部402は、送信波情報取得部301が取得した距離情報及び発信器特定情報を管理装置100に送信する(ステップS305)。
【0070】
管理装置100は、店舗端末30により距離情報及び発信器特定情報が送信されるごとに、これらの情報を送受信部111により取得する(ステップS401)。続いて、第3距離算出部115は、送受信部111が取得した距離情報及び発信器特定情報に基づいて、発信器特定情報により発信器IDが特定された第1発信器20に対する第3距離を算出する(ステップS403)。
【0071】
第3距離算出部115において、複数の第1発信器20に対する第3距離を算出した後、第1検出部116は、顧客端末位置を検出する(ステップS405)。続いて、格納処理部114は、第1検出部116が検出した顧客端末位置を記憶部117に格納して登録する(ステップS407)。その後、第1検出部116は、処理をステップS401に戻し、管理装置100は、ステップS401からステップS407の処理を繰り返す。
【0072】
第1の実施形態の室内位置情報処理システム1においては、照明器具10に第1発信器20が内蔵され、店舗端末30に第1受信器37が設けられている。このため、移動する店舗端末30と照明器具10の距離を算出することができるので、店舗端末30の位置に基づいて、照明器具10の位置を算出することができる。
【0073】
第1の実施形態の室内位置情報処理システム1は、算出した照明器具10の位置を利用して、顧客Pの位置情報を算出し、顧客の位置情報をマーケティングセンター500に提供する。このため、位置情報マーケティングを利用しやすくすることができる。顧客の位置情報は、位置情報マーケティング以外の用途に利用することもできる。顧客の位置情報は、例えば、顧客Pを特定の売り場に誘導したり、非常時の避難経路案内に利用したりすることができる。
【0074】
位置情報を収集するための送信器及び受信器を設けるにあたり、顧客端末40における受信器を利用することを想定すると、商業施設SPに送信器を設置することとなるが、位置情報を正確に収集するために多数の箇所に送信器を設置する場合、電源の確保が問題となる。この点、第1の実施形態の室内位置情報処理システム1においては、第1発信器20が照明器具10に内蔵されている。このため、第1発信器20における電源の確保が容易となる。また、照明器具10は、商業施設SP内に広く設置される。このため、第1発信器20も多数の箇所に設置することができる。
【0075】
このように第1発信器20を設置する場合、照明器具10に内蔵される第1発信器20を、固有の発信器IDなどによって特定できるようにする必要がある。第1発信器20を特定するための情報を収集することに手間がかかることがある。この点、第1の実施形態の室内位置情報処理システム1では、店舗端末30を用いて第1発信器20の発信器IDを照明設置時などに収集する。このため、照明器具10の位置を取得するために第1発信器20の特定するための情報を容易に取得することができる。
【0076】
また、顧客の位置情報を収集するために、第1発信器20により送信される送信波を顧客端末40の第3受信器47により受信する。このため、照明器具10の位置を特定するための情報を取得することに使用した第1発信器20を、顧客位置情報の収集に利用することができるので、その分、室内位置情報処理システム1の全体としての部材点数の削減に寄与することができる。
【0077】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と共通する部材や機能については、図面において同一の符号を付して、その説明を省略することがある。まず、第2の実施形態の室内位置情報処理システム1の全体的な構成について説明する。
【0078】
図15は、第2の実施形態の室内位置情報処理システム2の一例を示す図である。室内位置情報処理システム2は、例えば、複数の照明器具10と、店舗端末50と、顧客端末60と、複数の送信波情報処理装置70と、管理装置200と、を備える。管理装置200は、第2情報処理装置及び第4情報処理装置の一例である。
【0079】
照明器具10は、第1の実施形態と比較して、第1発信器20に代えて送信波情報処理装置70が内蔵されるほか、第1の実施形態と共通の構成を備える。店舗端末50と管理装置100、顧客端末60と管理装置100は、それぞれネットワークNWにより互いに通信可能な態様で接続されている。
【0080】
室内位置情報処理システム2は、照明設置時には、複数の照明器具10と、店舗端末50と、送信波情報処理装置70と、管理装置100と、を含む室内位置情報格納処理システム2Aとして機能する。室内位置情報処理システム1は、店舗営業時には、複数の照明器具10と、顧客端末60と、送信波情報処理装置70と、管理装置100と、室内位置情報検出システム2Bとして機能する。
【0081】
図16は、第2の実施形態の店舗端末50のハードウェア構成の一例を示す図である。店舗端末50は、第1の実施形態の店舗端末30と同様のプロセッサ31、主記憶装置32、通信インターフェース33、補助記憶装置34、入出力装置35、センサ36、及び位置検出器38を備える。
【0082】
店舗端末50は、さらに、送信波を発信する第2発信器51を備える。第2発信器51は、第1の実施形態の第1発信器20と同様に、UWB、Bluetooth、Wifi、NFCなどに用いられる送信波を発信する。送信波には送信波情報が含まれており、送信波情報には、店舗端末50を特定するための店舗端末IDが含まれる。
【0083】
図17は、第2の実施形態の顧客端末60のハードウェア構成の一例を示す図である。顧客端末60は、第1の実施形態の顧客端末40と同様のプロセッサ41、主記憶装置42、通信インターフェース43、補助記憶装置44、入出力装置45、及びセンサ46を備える。顧客端末60は、位置検出器を備えていてもよい。
【0084】
顧客端末60は、さらに、送信波を発信する第4発信器61を備える。第4発信器61は、第1の実施形態の第1発信器20と同様に、UWB、Bluetooth、Wifi、NFCなどに用いられる送信波を発信する。送信波には送信波情報が含まれており、送信波情報には、顧客端末60を特定するための顧客端末IDが含まれる。
【0085】
図18は、第2の実施形態の照明器具10及び送信波情報処理装置70のハードウェア構成の一例を示す図である。照明器具10は、第1の実施形態と同様に、電源部11と照明部12とを備える。送信波情報処理装置70は、例えば、第2受信器71と、制御器72と、送受信器73と、を備える。
【0086】
第2受信器71は、店舗端末50に設けられる第2発信器51や顧客端末60に設けられる第4発信器61により送信される送信波を受信する。第2受信器71には、第2受信器71を特定する受信器IDが付与されている。受信器IDは、例えば、受信器特定情報に含まれる。
【0087】
制御器72は、第2受信器71により受信された送信波に含まれる送信波情報を取得する。制御器72は、送信波情報には、第2発信器51と第2受信器71の距離(以下、第2距離)や第4発信器61と第2受信器71との距離(以下、第4距離)を算出するための距離情報と、店舗端末50や顧客端末60を特定する店舗端末IDや顧客端末IDを示す端末特定情報が含まれる。距離情報は、第1の実施形態と同様の周波数や電波強度などである。
【0088】
送受信器73は、送信波を発信した第2発信器51を備える店舗端末50や第4発信器61を備える顧客端末60に、制御器72が取得した送信波情報及び受信器特定情報を送信する。送信波を発信した第2発信器51を備える店舗端末50や第4発信器61を備える顧客端末60は、制御器72により取得された店舗端末IDや顧客端末IDに基づいて判定される。
【0089】
店舗端末50や顧客端末60は、送信波情報処理装置70により送信された送信波情報及び受信器情報を受信する。店舗端末50及び顧客端末60は、送信波情報に含まれる距離情報及び端末特定情報を取得する。店舗端末50及び顧客端末60は、それぞれ同時刻における複数の距離情報及び端末特定情報を複数の第2受信器71ごとに取得する。店舗端末50及び顧客端末60は、取得した複数の第2受信器71ごとの同時刻の距離情報及び端末特定情報を、店舗端末50や顧客端末60の位置に関する位置情報とともに管理装置200に送信する。
【0090】
図19は、第2の実施形態の管理装置200の機能的な構成の一例を示す図である。管理装置200は、例えば、送受信部111と、第2距離算出部201と、第2位置算出部202と、格納処理部114と、第4距離算出部203と、第2検出部204と、記憶部117と、を備える。送受信部111及び記憶部117の構成は、第1の実施形態の管理装置100の構成と同様である。
【0091】
第2距離算出部201は、店舗端末50により送信され送受信部111により受信された距離情報及び受信器特定情報に基づいて、第2距離を算出する。第2距離算出部201は、複数の第2受信器71ごとに、第2距離を算出する。
【0092】
第2位置算出部202は、第2距離算出部201により算出された第2距離及び送受信部111により受信された位置情報に基づいて、第2受信器71の位置を、第2受信器71が内蔵された照明器具10の位置(以下、第2位置)として算出する。このときの位置情報は、第2距離を算出した際に位置検出器38により検出された店舗端末30の位置を示す位置情報である。格納処理部114は、発信器IDが対応付けられた第2位置を記憶部117に格納して登録する。
【0093】
第4距離算出部203は、顧客端末60により送信され送受信部111により受信された距離情報及び受信器特定情報に基づいて、複数の第2受信器71ごとに、第4距離を算出する。第4距離算出部203は、第2受信器71が内蔵された複数の照明器具10のそれぞれに対する第4距離を算出する。
【0094】
第2検出部204は、第4距離算出部203により算出された複数の第4距離及び格納処理部114により記憶部117に格納された複数の第2位置に基づいて、顧客端末位置を検出する。格納処理部114は、第2検出部204により検出された顧客端末位置を顧客の位置として記憶部117に格納して登録する。第2検出部204は、例えば、少なくとも2つの照明器具10に対する第4距離と、これらの照明器具10の第2位置に基づいて、顧客端末位置を顧客が位置する顧客位置として検出する。
【0095】
第2の実施形態の室内位置情報処理システム2は、第1の実施形態の室内位置情報処理システム1と同様の作用効果を奏する。また、第2の実施形態の室内位置情報処理システム2は、第2発信器51が店舗端末50に、第4発信器61が顧客端末60に設けられ、第2受信器71が照明器具10に内蔵されている。このように、端末と聡明器具の距離を測定する送信器及び受信器の取り付け位置を多様化することができる。
【0096】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
図20は、第1移動体80が走行する建築物Mの室内の断面図である。建築物Mは商業施設であり、建築物Mには、室内を巡回しながら移動する第1自律走行型移動体(以下、第1移動体)80が走行する。第1移動体80には、第1受信器37が含まれる店舗端末30が搭載されている。その他の点は、第1の実施形態と同様の構成を有する。
【0097】
第3の実施形態の室内位置情報処理システムは、第1の実施形態の室内位置情報処理システム1と同様の作用効果を奏する。また、第3の実施形態の室内位置情報処理システム1では、店舗端末30が第1移動体80に搭載されている。このため、店舗関係者Sが建築物M内を移動することなく、第1位置を登録することができる。
【0098】
第1位置の登録は、照明設置時以外の時に実行されてもよい。例えば、照明器具10を交換したときや定期的な点検時などに第1位置の登録が実行されてもよい。照明器具10を交換したときや定期的な点検時などに第1位置の登録を行う場合には、第1移動体80に店舗端末30を搭載して送信波情報などを収集することにより、店舗関係者等の手間を軽減することができる。
【0099】
第3の実施形態では、店舗端末30が第1移動体に搭載されているが、顧客端末40が建築物M内を移動する移動体(以下、第2移動体)に搭載されていてもよい。この場合、顧客端末40を所持する顧客Pは、顧客端末40とともに第2移動体に搭乗するようにしてもよい。第2移動体には、顧客端末40を保持するためのホルダなどが設けられていてもよい。
【0100】
上記の各実施形態では、建築物Mに設けられた電力機器は、照明器具10であるが、電力機器は、電源から電力の供給を受ける他の機器でもよい。例えば、感知器、空調装置、スピーカ、またはコンセントでもよい。感知器は、室内の煙を感知する感知器でもよいし、熱を感知する感知器でもよい。これらの電電力気機器は、天井から露出していてもよいし、天井裏に設置されていてもよい。
【0101】
実施形態の室内位置情報格納処理システムは、建築物に設けられた電力機器と、前記電力機器に取り付けられ、測距波を発信する第1発信器と、前記第1発信器により発信された測距波を受信する第1受信器と、前記第1受信器の位置を検出する位置検出器と、前記測距波及び前記第1受信器の位置に基づく情報を処理する第1情報処理装置と、を備え、前記第1情報処理装置は、前記第1受信器が受信した測距波に基づいて、前記第1発信器と前記第1受信器の距離を算出する第1距離算出部と、算出された前記距離及び前記第1受信器の位置に基づいて、前記第1発信器の位置を算出する第1位置算出部と、算出された前記第1発信器の位置を前記電力機器の位置として記憶部に格納する第1格納処理部と、を備えることにより、位置情報マーケティングを利用しやすくすることができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
1,2…室内位置情報処理システム、1A,2A…室内位置情報格納処理システム、1B,2B…室内位置情報検出システム、10…照明器具、20…第1発信器、30,50…店舗端末、37…第1受信器、38…位置検出器、40,60…顧客端末、47…第3受信器、51…第2発信器、61…第4発信器、70…送信波情報処理装置、71…第2受信器、80…第1移動体、100,200…管理装置、111…送受信部、112…第1距離算出部、113…第1位置算出部、114…格納処理部、115…第3距離算出部、116…第1検出部、117…記憶部、201…第2距離算出部、202…第2位置算出部、203…第4距離算出部、204…第2検出部、301,401…送信波情報取得部、302…位置情報取得部、303,402…送受信処理部、500…マーケティングセンター、M…建築物、NW…ネットワーク、P…顧客、R…レジ、S…店舗関係者