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  • 特開-炊飯器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070958
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
A47J27/00 103A
A47J27/00 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183460
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 大介
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA09
4B055BA13
4B055CA19
4B055CB02
4B055FB01
(57)【要約】
【課題】外枠のかしめ部に上下左右の位置ズレが発生することを防止し、炊飯器の外観が損なわれることを防止する。
【解決手段】炊飯器100は、炊飯器本体1と、炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋2と、鍋を誘導加熱する加熱コイル9と、加熱コイルの動作を制御する加熱制御部10と、を備えている。炊飯器本体は、鍋と加熱コイルとを覆う外枠4を有している。外枠は、長尺な四角形状の板金の長手方向における両方の端辺4a,4bをかしめることにより円筒状に形成されており、かつ、一方の端辺には穴部24が設けられ、他方の端辺には穴部に嵌合する凸部25が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、
前記炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、
前記鍋を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルの動作を制御する加熱制御部と、を備え、
前記炊飯器本体は、前記鍋と前記加熱コイルとを覆う外枠を有し、
前記外枠は、長尺な四角形状の板金の長手方向における両方の端辺をかしめることにより円筒状に形成されており、かつ、一方の端辺には穴部が設けられ、他方の端辺には前記穴部に嵌合する凸部が設けられている
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載の炊飯器において、
前記一方の端辺と前記他方の端辺は、互いが係合するようにコ字状の形状を呈しており、
前記穴部と前記凸部は、前記一方の端辺と前記他方の端辺において、円筒状の前記外枠の内周面に臨む位置に設けられている
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の炊飯器において、
前記外枠は、金属製である
ことを特徴とする炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯器などの外枠は、デザイン性等から、樹脂や金属で構成されているものが一般的である。また、炊飯器は、本体外へ漏れる磁界を低減するため、加熱コイルから発する磁界を防磁板を設けて低減することが一般的である。そのような炊飯器において、外枠が金属で構成される炊飯器は、防磁板を設置せずに、外枠の金属で外部に磁界が漏れるのを防いでいる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
外枠が金属で構成される炊飯器は、長尺な四角形状の板金(金属板)をリング状に湾曲させ、板金の一組の対辺(長手方向における両方の端辺)を互いにかしめる(継ぎ目を工具で固く密着させる)ことにより、長尺な四角形状の板金から円筒状の外枠を形成している。このような外枠が金属で構成される炊飯器は、加熱コイルから発する磁界を金属の外枠で防磁することにより、本体外へ漏れる磁界を低減している。このような外枠が金属で構成される炊飯器は、防磁板を排除できるため、部品数を減らすとともに、防磁板の設置によって外枠の外形が大型化してしまうのを回避することができるため、コンパクトなデザインが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-236859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来技術のように、外枠が金属で構成される炊飯器は、長尺な四角形状の板金の一組の対辺(長手方向における両方の端辺)を互いにかしめることにより外枠を形成する。その際の、かしめる前の板金をリング状に湾曲させたセット状態において、かしめを行う部位(かしめ部)に上下左右にズレが生じることがあり、ズレが生じた状態でかしめてしまう、という課題がある。また、ズレが生じた外枠は、本体を組み合わせたときに、上枠との間や下枠との間にズレが生じ、上枠との間や下枠との間に段差が生じてしまうため、炊飯器の外観を損なってしまう、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、炊飯器であって、炊飯器本体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納する鍋と、前記鍋を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルの動作を制御する加熱制御部と、を備え、前記炊飯器本体は、前記鍋と前記加熱コイルとを覆う外枠を有し、前記外枠は、長尺な四角形状の板金の長手方向における両方の端辺をかしめることにより円筒状に形成されており、かつ、一方の端辺には穴部が設けられ、他方の端辺には前記穴部に嵌合する凸部が設けられている構成とする。
その他の手段は、後記する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る炊飯器の断面図である。
図2】実施形態に係る炊飯器の外枠の斜視図である。
図3】実施形態に係る炊飯器の外枠におけるかしめ部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0009】
<炊飯器の構成>
以下、図1乃至図3を参照して、本実施形態に係る炊飯器100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る炊飯器100の断面図である。図2は、炊飯器100の外枠4の斜視図である。図3は、炊飯器100の外枠4におけるかしめ部23の断面図である。図3は、図2に示す外枠4をA1-A1線に沿って切断して得られる切り口すなわち断面を、上面方向(矢印方向)から見たレイアウトを示している。
【0010】
図1に示すように、炊飯器100は、炊飯器本体1の内部に、着脱自在な鍋2を備えている。鍋2は、外面が鉄で構成され、内面が表面にフッ素樹脂がコーティングされたアルミニウムで構成されている。炊飯器本体1の外郭は、上面部分が上枠3で構成され、側面部分が外郭のボディとなる外枠4で構成され、下面部分が下枠5で構成されている。外枠4は、磁性体金属材(例えばフェライト系ステンレス)で構成され、下枠5には冷却ファン6により外気を取り込むための吸気口(図示せず)を備えている。
【0011】
鍋2の収納部は、耐熱性のある樹脂で成形した保護枠7で構成されている。炊飯器100は、底部中央に鍋2の温度を検知するバネにより鍋2の方向へ押圧力を有する鍋温度検知手段8と、保護枠7の下面に鍋2を加熱する電磁誘導加熱方式の加熱コイル9を備えている。また、炊飯器100は、炊飯器本体1の前方に、電磁誘導加熱方式を制御する加熱制御部10を備えている。また、炊飯器100は、加熱制御部10の近傍において、吸気口(図示せず)に対向する位置に炊飯器本体1内に外気を取り込む冷却ファン6を備え、加熱制御部10を冷却している。また、炊飯器100は、コードリール12を本体後方部に備えている。
【0012】
炊飯器100は、加熱コイル9の外方に防磁性を有するフェライト11を均等に4ヶ所備えており、フェライト11によって、磁界が炊飯器本体1外へ漏れるのを防止するとともに、鍋2への誘導加熱を促進している。さらに炊飯器100は、加熱コイル9の下方に板状のアルミニウム板を折り曲げた防磁材13を備えており、防磁性能の向上を行っている。
【0013】
炊飯器100は、加熱コイル9が駆動して鍋2を加熱する。炊飯器100は、炊飯器本体1の前方に鍋2の操作表示部14を備える。また、炊飯器100は、炊飯器本体1の上面に鍋2を封止する蓋体15を備えている。蓋体15は、炊飯器本体1の後方に配置されたヒンジ部16に軸契合され、開閉自在に設置されている。操作表示部14の上面は、表示内容が視認できるよう透明に成形している。操作表示部14は、機能や動作状態を表示する手段、ブザーなどの音により警報をユーザに報知する手段、炊飯器100の動作や停止を操作するボタンなどの起動手段、炊飯動作を制御する制御部を有している。
【0014】
炊飯器100は、ヒンジ部16に蓋体15を開放方向に付勢するヒンジバネ17を備えている。蓋体15は、開放時にヒンジバネ17により自動で開放する。炊飯器100は、炊飯器本体1のヒンジ部16の反対方向にバネにより押圧力を有するフックボタン18を備え、蓋体15側のフックをフックボタン18で保持することにより蓋体15を閉状態で保持する。さらに炊飯器100は、蓋体15の鍋2の対向面に鍋2内を加熱する加熱板19を蓋体15に対して着脱自在に備え、また、蓋体15の内部に加熱板19を加熱するヒーター20を備えている。炊飯器100は、加熱板19に加熱板19の外周と鍋2の上端外周との間をシールする鍋パッキン21を備えている。炊飯器100は、加熱板19に鍋2内と蓋体15とを連通する蒸気孔を備え、蓋体15には外気と蒸気孔とを連通する蒸気筒22を備えている。
【0015】
図2に示すように、外枠4は、長尺な四角形状の板金(金属板)をリング状に湾曲させ、板金の長手方向における両方の端辺4a,4b(図3参照)をヒンジ部16(図1参照)に対向する部位とし、その部位(かしめ部23)でかしめることにより、円筒状に形成されている。外枠4は、磁性を有する金属材料で製造されている。
【0016】
図3に示すように、かしめ部23の一方の端辺4aには穴部24が設けられ、他方の端辺4bには穴部24に嵌合する凸部25が設けられている。穴部24と凸部25は、一方の端辺4aと他方の端辺4bにおいて、円筒状の外枠4の内周面に臨む位置に設けられている。一方の端辺4aと他方の端辺4bは、互いが係合するようにコ字状の形状を呈している。したがって、穴部24は、コ字状の形状に形成された一方の端辺4aの内周面側の位置に設けられ、また、凸部25は、コ字状の形状に形成された他方の端辺4bの内周面側の位置に設けられている。外枠4は、それぞれがコ字状の形状に形成された2つの端辺4aと端辺4bとを嵌め合わせ、穴部24と凸部25とでかしめ部23の位置を合わせてから、その部分をかしめることで、密着(圧着)させ、かしめ部23が形成される。なお、「かしめる」とは、金属の接合部分を打ったり締めたりして固く止めることをいう(広辞苑第7版)。
【0017】
このような外枠4は、穴部24と凸部25とでかしめ部23の位置を正確に合わせることができるため、かしめ部23に上下左右の位置ズレが発生することを防止することができる。そのため、炊飯器100は、上枠3と下枠5とに外枠4を組み合わせたときに上枠3と外枠4との間及び下枠5と外枠4との間に段差が生じことを防止することができ、炊飯器100の外観が損なわれることを防止することができる。
【0018】
<炊飯器の主な特徴>
(1)図1に示すように、本実施形態に係る炊飯器100は、炊飯器本体1と、炊飯器本体1に着脱自在に収納する鍋2と、鍋を誘導加熱する加熱コイル9と、加熱コイル9の動作を制御する加熱制御部10と、を備えている。炊飯器本体1は、鍋2と加熱コイル9とを覆う外枠4を有している。図2に示すように、外枠4は、長尺な四角形状の板金の長手方向における両方の端辺4a,4bをかしめることにより円筒状に形成されている。図3に示すように、一方の端辺4aには穴部24が設けられ、他方の端辺4bには穴部24に嵌合する凸部25が設けられている。
【0019】
このような本実施形態に係る炊飯器100は、外枠4をかしめるときに、四角形状の板金における一方の端辺4aの穴部24と他方の端辺4bの凸部25が互いに嵌合している。そのため、本実施形態に係る炊飯器100は、外枠4のかしめ部23に上下左右の位置ズレが発生することを防止を防止することができる。このような本実施形態に係る炊飯器100は、上枠3と下枠5とに外枠4を組み合わせたときに、上枠3と外枠4との間及び下枠5と外枠4との間に段差が生じことを防止することができ、炊飯器100の外観が損なわれることを防止することができる。
【0020】
(2)図3に示すように、本実施形態に係る炊飯器100において、一方の端辺4aと他方の端辺4bは、互いが係合するようにコ字状の形状を呈している。穴部24と凸部25は、一方の端辺4aと他方の端辺4bにおいて、円筒状の外枠4の内周面に臨む位置に設けられているとよい。
【0021】
このような本実施形態に係る炊飯器100は、外枠4をかしめるときに、作業者が目視で穴部24を介して穴部24と凸部25が嵌合していることを確認することができるため、穴部24と凸部25が確実に嵌合した状態で(つまり、かしめ部23に上下左右の位置ズレが発生していない状態で)、かしめ部23をかしめることができる。これにより、外枠4の形状の安定性(正確性)を向上させることができる。
【0022】
(3)本実施形態に係る炊飯器100において、外枠4は、金属製であるとよい。
【0023】
このような本実施形態に係る炊飯器100は、加熱コイル9やヒーター20等で発生する電磁波が炊飯器本体1から(特に炊飯器本体1の側面部から)外部に漏れ出ることを抑制することができる。
【0024】
以上の通り、本実施形態に係る炊飯器100によれば、外枠4のかしめ部23に上下左右の位置ズレが発生することを防止し、炊飯器100の外観が損なわれることを防止することができる。
【0025】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 炊飯器本体
2 鍋
3 上枠
4 外枠(ボディ)
4a,4b 端辺
5 下枠
6 冷却ファン
7 保護枠
8 鍋温度検知手段
9 加熱コイル
10 加熱制御部
11 フェライト
12 コードリール
13 防磁材
14 操作表示部
15 蓋体
16 ヒンジ部
17 ヒンジバネ
18 フックボタン
19 加熱板
20 ヒーター
21 鍋パッキン
22 蒸気筒
23 かしめ部
25 凸部
24 穴部
100 炊飯器
図1
図2
図3