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特開2023-70968吸着解離装置、及び、当該吸着解離装置を用いた電極材積層装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070968
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】吸着解離装置、及び、当該吸着解離装置を用いた電極材積層装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20230515BHJP
   B65G 57/04 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
B65G57/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183478
(22)【出願日】2021-11-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】関矢 光倫
(72)【発明者】
【氏名】板垣 卓真
(72)【発明者】
【氏名】及川 智彰
(72)【発明者】
【氏名】目黒 崇之
【テーマコード(参考)】
3F029
5H028
【Fターム(参考)】
3F029BA09
3F029CA57
3F029CA82
5H028BB19
(57)【要約】
【課題】電極材への吸着動作と解離動作を高速に切り替える。
【解決手段】吸着解離装置12は、負圧正圧切替部40と、吸着解離切替部50と、負圧正圧切替部と吸着解離切替部とを接続する作用管48と、を備えている。負圧正圧切替部は、負圧発生装置に接続する負圧発生口41aと正圧発生装置に接続する正圧発生口41bとが形成された回転しない非回転部材41と、作用管に接続する貫通口42aが形成された回転する回転部材42と、を有している。吸着解離切替部は、負圧発生モードにおいて吸着解離切替部の内部を負圧発生装置により負圧にして対象物(電極材19)を吸着し、一方、正圧発生モードにおいて吸着解離切替部の内部を正圧発生装置により正圧にして対象物を解離する。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に配された負圧発生装置と正圧発生装置に接続されて負圧と正圧とを切り替えることで平面上の対象物を吸着し解離する吸着解離装置であって、
負圧正圧切替部と、吸着解離切替部と、前記負圧正圧切替部と前記吸着解離切替部とを接続する作用管と、を備え、
前記負圧正圧切替部は、
前記負圧発生装置に接続する負圧発生口と前記正圧発生装置に接続する正圧発生口とが形成された回転しない非回転部材と、前記作用管に接続する貫通口が形成された回転する回転部材と、を有し、
前記吸着解離切替部は、
負圧発生モードにおいて前記吸着解離切替部の内部を前記負圧発生装置により負圧にして前記対象物を吸着し、一方、正圧発生モードにおいて前記吸着解離切替部の内部を前記正圧発生装置により正圧にして前記対象物を解離する、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着解離装置であって、
前記回転部材は、予め定めた回転角を往復動回転して、前記負圧発生モードにおいて、前記貫通口を前記負圧発生口に接続し、前記正圧発生モードにおいて、前記貫通口を前記正圧発生口に接続する、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項3】
請求項2に記載の吸着解離装置であって、
前記非回転部材は、前記負圧発生口と前記正圧発生口とが、少なくともそれぞれの開口部の縁が干渉しないように所定距離分離間して穿孔されている、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項4】
請求項2に記載の吸着解離装置であって、
外部に配された制御部からの指令信号により回転力発生装置を作動させて前記回転部材の往復動回転を行い、前記負圧発生口を基準点とした前記正圧発生口までの回転角を前記制御部にフィードバックして前記回転部材の往復動回転を停止する、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項5】
請求項1に記載の吸着解離装置であって、
前記非回転部材と前記回転部材とは、それぞれの対向する端面同士が少なくとも一つ以上の押圧部材により押圧されて密着接続されている、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項6】
請求項5に記載の吸着解離装置であって、
前記非回転部材と前記回転部材とが密着して接続している端面には、気体の漏洩を防ぐ潤滑剤を塗布している、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項7】
セパレータを含む二次電池用の電極材を積層する電極材積層装置であって、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の吸着解離装置を備え、
前記吸着解離装置は、
前記電極材を吸着解離する吸着解離切替部を先端部に取り付けた複数の水平回転する搬送用回転腕を所定回転速度で回転させる回転搬送機構を有し、
前記作用管により接続された前記負圧正圧切替部により前記吸着解離切替部の内部を所定の吸着位置において負圧にして前記電極材を吸着して所定の回転角を回転して搬送し、前記吸着解離切替部が所定の位置に配置された積層部に到達したときに、前記負圧正圧切替部により前記吸着解離切替部の内部を正圧にして前記電極材を解離して前記積層部に載置することを繰り返すことにより、所定の時間間隔で連続して前記電極材を前記積層部の上に積層する、
ことを特徴とする電極材積層装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電極材積層装置であって、
さらに前記電極材を供給する供給装置を備え、
前記供給装置は、
前記電極材を供給する供給部を先端部に取り付けた複数の水平回転する供給用回転腕を所定回転速度で回転させる回転供給機構を有し、
前記搬送用回転腕の回転速度に基づいて前記供給用回転腕の回転速度を調整し、または、前記供給用回転腕の回転速度に基づいて前記搬送用回転腕の回転速度を調整することにより、前記吸着位置において前記供給部が前記吸着解離切替部の下側に同期して重なり、前記吸着解離切替部に前記電極材を供給する、
ことを特徴とする電極材積層装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着解離装置、及び、当該吸着解離装置を用いた電極材積層装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、充電を行うことにより繰り返し使用することができる電池である。二次電池の製造では、正極の電極材と負極の電極材とセパレータ(以下、纏めて「電極材」と称する)を積層して積層体を製造する電極材積層装置が用いられる。その電極材積層装置では、電極材を吸着解離する吸着解離装置が用いられる。その吸着解離装置は、例えば特許文献1に記載されたダイ供給装置のチップを吸着解離する機構に類似した構造になっている。特許文献1に記載されたダイ供給装置は、チップをウェハから取り出す装置である。しかしながら、そのチップを吸着解離する機構は、従来の電極材積層装置の吸着解離装置に類似した構造になっている。特許文献1に記載されたダイ供給装置のチップを吸着解離する機構は、駆動用モータと一体的に回転するバルブ用カムがバルブの下端に摺接され、バルブ用カムの外周面の形状に応じたタイミング、速度で、バルブが上下方向に往復動することにより、負圧供給通路(負圧ライン)と大気圧供給通路(正圧ライン)とを選択的に切り替えて連通させることにより、チップの吸着動作と解離動作を行う。従来の電極材積層装置の吸着解離装置は、チップの代わりに、電極材の吸着動作と解離動作を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5877655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電極材積層装置の吸着解離装置は、電極材への吸着動作と解離動作を高速に切り替えることが望まれる。
【0005】
従来の電極材積層装置の吸着解離装置は、カム機構により、回転運動を上下動運動(いわゆる直線運動)に変換する。このような従来の電極材積層装置の吸着解離装置において、積層体の生産性を向上させるために、負圧供給通路(負圧ライン)と大気圧供給通路(正圧ライン)との切り替えを高速に行おうとすると、バルブに摺接したカムを180°高速に回転運動させなければならないが、高速で動かすためには構造が複雑となること、さらにコストアップすることが予想される。そのため、従来の電極材積層装置の吸着解離装置は、電極材への吸着動作と解離動作を高速に切り替えることを実現し難い。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、電極材への吸着動作と解離動作を高速に切り替え可能な吸着解離装置、及び、当該吸着解離装置を用いた電極材積層装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、外部に配された負圧発生装置と正圧発生装置に接続されて負圧と正圧とを切り替えることで平面上の対象物を吸着し解離する吸着解離装置であって、負圧正圧切替部と、吸着解離切替部と、前記負圧正圧切替部と前記吸着解離切替部とを接続する作用管と、を備え、前記負圧正圧切替部は、前記負圧発生装置に接続する負圧発生口と前記正圧発生装置に接続する正圧発生口とが形成された回転しない非回転部材と、前記作用管に接続する貫通口が形成された回転する回転部材と、を有し、前記吸着解離切替部は、負圧発生モードにおいて前記吸着解離切替部の内部を前記負圧発生装置により負圧にして前記対象物を吸着し、一方、正圧発生モードにおいて前記吸着解離切替部の内部を前記正圧発生装置により正圧にして前記対象物を解離する、構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電極材への吸着動作と解離動作を高速に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る電極材積層装置の模式構成図である。
図2A】実施形態に係る吸着解離装置における吸着時の負圧正圧切替部の正面方向から見た模式構成図である。
図2B】実施形態に係る吸着解離装置における吸着時の負圧正圧切替部の平面方向から見た模式構成図である。
図2C】実施形態に係る吸着解離装置における吸着時の負圧正圧切替部の側面方向から見た模式構成図である。
図3A】実施形態に係る吸着解離装置における解離時の負圧正圧切替部の正面方向から見た模式構成図である。
図3B】実施形態に係る吸着解離装置における解離時の負圧正圧切替部の平面方向から見た模式構成図である。
図3C】実施形態に係る吸着解離装置における解離時の負圧正圧切替部の側面方向から見た模式構成図である。
図4A】実施形態に係る吸着解離装置における吸着時の吸着解離切替部の説明図である。
図4B】実施形態に係る吸着解離装置における解離時の吸着解離切替部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
本実施形態は、以下に説明するように、捲回式二次電池よりもエネルギー密度が高い角型二次電池(特に、枚葉方式二次電池)を高速に製造することが可能な電極材積層装置10(図1参照)を提供することも意図している。
【0012】
例えば、二次電池としては、リチウムイオンを用いたリチウムイオン二次電池がある。リチウムイオン二次電池は、電気自動車や再生可能エネルギーによる発電設備やその他の様々な産業の蓄電池として幅広い用途で活用されている。中でも電気自動車に使用する車載用蓄電池は、走行距離延長に対するニーズに伴い、蓄電能力の更なる高容量化を求められる。また、この種の二次電池としては、捲回式二次電池や角型二次電池がある。捲回式二次電池は、正極の電極材と負極の電極材とセパレータを積層して捲回状に形成した捲回体を矩形状の缶に収容した電池である。角型二次電池は、正極の電極材と負極の電極材とセパレータを交互に積層した矩形状の積層体を矩形状の缶に収容した電池である。
【0013】
捲回式二次電池は、捲回体とその捲回体を収容する矩形状の缶との間に隙間ができてしまうため、高密度化が困難である。また、捲回式二次電池は、高密度化を求めようとして缶の形状に合わせて捲回体を圧縮すると、捲回体が破断して、絶縁性能が低下してしまう可能性がある。これに対して、角型二次電池は、捲回式二次電池と異なり、積層体と缶との間に隙間ができないため、高密度化が容易である。また、角型二次電池は、捲回式二次電池と異なり、積層体を圧縮しないため、積層体が破断することがなく、絶縁性能の低下を抑制することができる。そのため、車載用蓄電池としては、性能面で捲回式蓄電池よりも角型二次電池の方が好ましい。しかしながら、角型二次電池は、捲回式二次電池に比べると、電極材(正極の電極材と負極の電極材とセパレータ)を積層する際の電極材への吸着動作と解離動作の切り替えに時間を要する。そのため、角型二次電池は、製造に際して、生産速度が遅くなり、生産能力の向上が求められる。
【0014】
本実施形態は、電極材への吸着動作と解離動作を高速に切り替え可能な吸着解離装置を提供することで、捲回式二次電池よりもエネルギー密度が高い角型二次電池を高速に製造することが可能な電極材積層装置10(図1参照)を提供するものである。
【0015】
なお、角型二次電池としては、正極電極と負極電極として機能する1枚のシート状の電極材を間にセパレータを挟みながらつづら折りに配置するつづら折り方式二次電池と、正極の電極材と負極の電極材とセパレータとを交互に配置する枚葉方式二次電池とがあるが、つづら折り方式二次電池よりもタクトタイムを向上可能な枚葉方式二次電池の方が好ましい。本実施形態は、特に、枚葉方式二次電池を高速に製造することが可能な電極材積層装置を提供するものでもある。例えば、枚葉方式二次電池の生産能力を向上させるためには、電極材(正極の電極材と負極の電極材とセパレータ)を高速で積層することが望まれる。これを実現するために、本実施形態では、高速で電極材(正極の電極材と負極の電極材とセパレータ)への吸着動作と解離動作の切り替えが可能な吸着解離装置12(図1参照)を提供する。さらに、吸着解離装置12(図1参照)を用いて電極材(正極の電極材と負極の電極材とセパレータ)への吸着動作と搬送動作と解離動作を連続して行うことによって、所定の位置(積層部15(図1参照))で途切れることなく高速で電極材(正極の電極材と負極の電極材とセパレータ)を積層する電極材積層装置10(図1参照)を提供する。
【0016】
<電極材積層装置の構成>
以下、図1を参照して、本実施形態に係る電極材積層装置10の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る電極材積層装置10の模式構成図である。本実施形態に係る電極材積層装置10は、二次電池用の電極材19を積層する装置である。本実施形態では、電極材19が正極の電極材と負極の電極材とセパレータの総称であるものとして説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る電極材積層装置10は、供給装置11と、吸着解離装置12と、を備えている。
【0018】
供給装置11は、電極材19を吸着解離装置12に供給する装置である。電極材19は、図示せぬ載置装置によって供給装置11の供給部13に載置される。供給部13は、電極材19を載置して吸着解離装置12に供給する構成要素である。供給装置11は、先端部に供給部13が取り付けられた複数本(本実施形態では、6本)の供給用回転腕21cを水平回転(水平回転移動)させる回転供給機構21を備えている。供給部13は、それぞれの供給用回転腕21cに1個設けられている。したがって、本実施形態では、6個の供給部13が供給装置11に設けられているものとして説明する。
【0019】
回転供給機構21は、前記した供給用回転腕21cと、供給用回転腕21cを支持する回転軸21aと、回転軸21aを回転させる回転力発生装置であるサーボモータ21bと、回転軸21aとサーボモータ21bとを収納する筐体(図示せず)と、を有している。各供給用回転腕21cは、回転軸21aを中心にして水平方向に放射状に配置されており、サーボモータ21bによって回転軸21aが回転することで、水平回転(水平回転移動)する。
【0020】
吸着解離装置12は、電極材19を吸着解離して積層部15の上に積層する装置である。吸着解離装置12は、先端部に吸着解離切替部50が取り付けられた複数本(本実施形態では、6本)の搬送用回転腕31cを水平回転(水平回転移動)させる回転搬送機構31と、吸着解離切替部50内の負圧と正圧とを切り替える複数個の負圧正圧切替部40と、を備えている。吸着解離切替部50は、電極材19への吸着動作と解離動作とを切り替える構成要素である。吸着解離切替部50は、それぞれの搬送用回転腕31cに1個設けられている。したがって、本実施形態では、6個の吸着解離切替部50が吸着解離装置12に設けられているものとして説明する。各吸着解離切替部50は、それぞれが作用管48に連通し、作用管48によりそれぞれに対応する負圧正圧切替部40に接続している。
【0021】
回転搬送機構31は、前記した搬送用回転腕31cと、搬送用回転腕31cを支持する回転軸31aと、回転軸31aを回転させる回転力発生装置であるサーボモータ31bと、回転軸31aとサーボモータ31bと負圧正圧切替部40とを収納する筐体(図示せず)と、を有している。各搬送用回転腕31cは、回転軸31aを中心にして水平方向に放射状に配置されており、サーボモータ31bによって回転軸31aが回転することで、水平回転(水平回転移動)する。負圧正圧切替部40は、吸着解離切替部50と同数設けられており、吸着解離切替部50内の負圧と正圧とを切り替える吸着バルブとして機能する。各負圧正圧切替部40は、負圧管46によって負圧発生装置である真空ポンプ17と接続され、正圧管47によって正圧発生装置であるコンプレッサ18と接続され、作用管48によって吸着解離切替部50と接続されている。
【0022】
供給装置11は、回転供給機構21により各供給用回転腕21cを水平回転(水平回転移動)させる(矢印C11参照)ことで、供給部13に載置された電極材19を吸着位置14(位置P1の箇所)に搬送する。
【0023】
一方、吸着解離装置12は、回転搬送機構31により各搬送用回転腕31cを水平回転(水平回転移動)させながら(矢印C12参照)、負圧正圧切替部40により吸着解離切替部50内の負圧と正圧とを切り替えることで、電極材19への吸着動作と解離動作を切り替える。その際に、吸着解離装置12の吸着解離切替部50は、吸着位置14で供給装置11の供給部13に載置された電極材19を吸着する。吸着位置14では、吸着解離装置12は、負圧正圧切替部40の後記する回転部材42の貫通口42a(図2A及び図2B参照)を後記する非回転部材41の負圧発生口41a(図2A及び図2B参照)に接続して連通させる。吸着解離装置12は、吸着解離切替部50の内部の気体(空気)を真空ポンプ17(負圧発生装置)により作用管48を経由して吸引することで電極材19を吸着解離切替部50に吸着させる。
【0024】
この後、吸着解離装置12は、吸着解離切替部50に電極材19を吸着した状態で搬送用回転腕31cを水平回転(水平回転移動)させて、吸着位置14から積層部15(位置P2の箇所)に電極材19を搬送する。
【0025】
この後、吸着解離装置12は、積層部15で吸着解離切替部50から電極材19を解離して、電極材19を積層部15の上に積層する。積層部15では、吸着解離装置12は、負圧正圧切替部40の後記する回転部材42の貫通口42a(図3A及び図3B参照)を後記する非回転部材41の正圧発生口41b(図3A及び図3B参照)に接続して連通させる。吸着解離装置12は、吸着解離切替部50の内部に気体(圧縮空気)をコンプレッサ18(正圧発生装置)により作用管48を経由して送り込む(注入する)ことで電極材19を吸着解離切替部50から解離して、電極材19を積層部15の上に積層する。
【0026】
電極材積層装置10は、吸着解離装置12によりこれらの一連の吸着動作と搬送動作と解離動作を各吸着解離切替部50において連続して行うことで、角型二次電池(特に、枚葉方式二次電池)を高速に製造することができる。角型二次電池は、捲回式二次電池と比べて、内部の積層体と積層体を内包する缶との間に隙間が形成され難いため、隙間が形成され易い捲回式二次電池よりもエネルギー密度を高くすることができる。そのため、電極材積層装置10は、捲回式二次電池よりもエネルギー密度が高い角型二次電池を高速に製造することができる。
【0027】
電極材積層装置10は、好ましくは、供給装置11の供給用回転腕21cと吸着解離装置12の搬送用回転腕31cとが6本以内の同じ本数であるとよい。このような電極材積層装置10は、供給装置11の回転軸21aと吸着解離装置12の回転軸31aとを結ぶ直線上に位置する吸着位置14で供給装置11の供給部13と吸着解離装置12の吸着解離切替部50とが上下に重なるように、供給用回転腕21cと搬送用回転腕31cを同期して水平回転することができる。
【0028】
このような電極材積層装置10は、吸着位置14で供給装置11の供給部13と吸着解離装置12の吸着解離切替部50とが上下に重なり、そのタイミングで供給部13に載置された電極材19を吸着解離切替部50が吸着するため、電極材19を確実に吸着することができる。これにより、電極材積層装置10は、供給装置11の供給部13から供給され、吸着解離装置12の吸着解離切替部50に吸着された電極材19を途切れることなく連続して積層部15に搬送して解離し、積層部15の上に積層することができる。
【0029】
ただし、供給装置11の供給用回転腕21cと吸着解離装置12の搬送用回転腕31cとは、必ずしも同じ本数である必要はなく、一方が5本以内の本数の構成となっていても良い。その場合は、本数が少ない側の回転腕の回転速度を速くしたり、又は、本数が多い側の回転腕の回転速度を遅くしたりする等の回転速度を調整して、供給装置11の供給部13と吸着解離装置12の吸着解離切替部50とが必ず吸着位置14で上下に重なるように同期して回転するようにすればよい。
【0030】
また、吸着解離装置12は、回転軸31aの下部に設けられたロータリージョイントで作用管48と吸着解離切替部50とを接続し、特定の位置で吸着解離切替部50が電極材19を吸着及び解離できるように構成されている。
【0031】
また、供給装置11と吸着解離装置12は、吸着位置14において供給部13と吸着解離切替部50とが同じ方向に移動するように、供給用回転腕21cと搬送用回転腕31cを水平回転させる。
【0032】
<吸着解離装置の構成>
以下、図2A乃至図4Bを参照して、吸着解離装置12の構成について説明する。図2A図2B、及び図2Cは、それぞれ、吸着解離装置12における吸着時の負圧正圧切替部40の正面方向から見た模式構成図、平面方向から見た模式構成図、側面方向から見た模式構成図である。図2Bは、図2Aに示す矢印X1の方向から見た負圧正圧切替部40の模式的な構成を示している。図2Cは、図2Aに示す矢印Y1の方向から見た負圧正圧切替部40の模式的な構成を示している。また、図3A図3B、及び図3Cは、それぞれ、吸着解離装置12における解離時の負圧正圧切替部40の正面方向から見た模式構成図、平面方向から見た模式構成図、解離時の負圧正圧切替部40の側面方向から見た模式構成図である。図3Bは、図3Aに示す矢印X1の方向から見た負圧正圧切替部40の模式的な構成を示している。図3Cは、図3Aに示す矢印Y1の方向から見た負圧正圧切替部40の模式的な構成を示している。また、図4A及び図4Bは、それぞれ、吸着解離装置12における吸着時の吸着解離切替部50の説明図、解離時の吸着解離切替部50の説明図である。
【0033】
図2A乃至図3Cに示すように(特に図2B及び図3Bに示すように)、吸着解離装置12は、負圧正圧切替部40に、非回転部材41と、回転部材42と、往復動回転機構43(図2A参照)と、支持部材44と、押圧部材45a,45bと、これらを収納する筐体(図示せず)と、を備えている。
【0034】
非回転部材41は、固定配置された、回転しない部材である。非回転部材41は、好ましくは円形の板状に形成されているとよい。
回転部材42は、非回転部材41に当接するように配置された、回転する部材である。回転部材42は、好ましくは円形の板状に形成されているとよい。
往復動回転機構43は、回転部材42を往復動回転(揺動)させる機構である。往復動回転機構43は、回転部材42を支持する回転軸43aと、回転軸43aを回転させる回転力発生装置であるサーボモータ43bと、を有している。
支持部材44は、押圧部材45a,45bを支持する部材である。
押圧部材45a,45bは、回転部材42を非回転部材41に押し付ける部材である。
【0035】
非回転部材41には、負圧発生口41aと正圧発生口41bとが盤面を貫通して設けられている。負圧発生口41aは、負圧管46を介して、外部に配された負圧発生装置である真空ポンプ17(図1)に接続される開口部である。正圧発生口41bは、正圧管47を介して、外部に配された正圧発生装置であるコンプレッサ18(図1)に接続される開口部である。
【0036】
回転部材42には、貫通口42aが盤面を貫通して設けられている。貫通口42aは、作用管48を介して、吸着解離切替部50(図1)に接続される開口部である。
【0037】
回転部材42は、サーボモータ43b(回転力発生装置)に連結されている。吸着解離装置12は、サーボモータ43bが矢印A11(図2A)の方向又は矢印A12(図3A)の方向に予め定めた所定の角度で回転軸43aを往復して回転することにより、回転部材42を予め定めた所定の回転角で往復動回転させる。
【0038】
図2A乃至図2Cに示す吸着時において、吸着解離装置12は、負圧発生モードを実行する。図2Bに示すように、負圧発生モードでは、吸着解離装置12は、貫通口42aを負圧発生口41aに接続し、真空ポンプ17(負圧発生装置)を作動させて、作用管48から負圧管46の方向(図2Bの太線矢印参照)に気体(空気)を吸引する。作用管48は、吸着解離切替部50(図1参照)と連通している。そのため、図4Aに示すように、吸着解離装置12は、吸着解離切替部50の内部を真空ポンプ17(負圧発生装置)により負圧にして対象物(電極材19)を吸着する。
【0039】
一方、図3A乃至図3Cに示す解離時において、吸着解離装置12は、正圧発生モードを実行する。図3Bに示すように、正圧発生モードでは、吸着解離装置12は、貫通口42aを正圧発生口41bに接続し、コンプレッサ18(正圧発生装置)を作動させて、正圧管47から作用管48の方向(図3Bの太線矢印参照)に圧縮空気を送り込む。作用管48は、吸着解離切替部50(図1参照)と連通している。そのため、図4Bに示すように、吸着解離装置12は、吸着解離切替部50の内部をコンプレッサ18(正圧発生装置)により正圧にして対象物(電極材19)を解離する。
【0040】
なお、回転部材42を回転させて負圧発生口41a及び正圧発生口41bのいずれか一方と貫通口42aとの接続を切り替えることから、非回転部材41と回転部材42とは、同一直線状に中心点を有する円盤体であることが望ましい。
【0041】
また、非回転部材41に設けられている負圧発生口41aと正圧発生口41bとは、できるだけ近接した位置に穿孔されていることが望ましい。つまり、負圧発生口41aと正圧発生口41bとは、少なくともそれぞれの開口部の縁が干渉しないように所定距離分離間して穿孔されていれば十分である。これにより、吸着解離装置12は、ごく小さな回転角(切替角度)で負圧発生口41aと正圧発生口41bとの間を貫通口42aが移動するように、回転部材42を往復動回転する。そのため、吸着解離装置12は、対象物(電極材19)への吸着動作と解離動作を高速に切り替えることができる。なお、回転角(切替角度)は、回転部材の十分な強度を確保することができれば、また、負圧発生口41aと正圧発生口41bとが連通しない範囲で、小さくすることができる。
【0042】
また、吸着解離装置12は、外部に配された制御装置16(制御部)からの指令信号によりサーボモータ43bを作動させて回転部材42の往復動回転を行い、負圧発生口41aを基準点とした正圧発生口41bまでの回転角、又は正圧発生口41bを基準点とした負圧発生口41aまでの回転角を制御装置16にフィードバックして回転部材42の往復動回転を停止する。これにより、吸着解離装置12は、回転部材42の貫通口42aを正確に負圧発生口41a又は正圧発生口41bに一致させて往復動回転を停止させることができる。
【0043】
なお、対象物(電極材19)を高速に吸着して解離するためには(即ち吸着動作と乖離動作を高速に行うためには)、負圧発生口41a又は正圧発生口41bと貫通口42aとで形成する気体の流路から気体が漏れないように、負圧正圧切替部40における非回転部材41と回転部材42との密着性を高めることが望ましい。
【0044】
そのため、非回転部材41と回転部材42とは、それぞれの対向する端面SU41と端面SU42とが少なくとも一つ以上の押圧部材45a,45bにより押圧されて密着接続されているとよい。押圧部材45a,45bは、バネやゴム等の弾性体により構成されることが好ましい。また、押圧部材45a,45bは、図示するように支持部材44に取り付けて二つ以上の組み合わせにより構成してもよく、一つのみ使用する場合は、回転軸43aの周りにバネ等を取り付けて回転部材42を非回転部材41に押し付けるようにしても良い。
【0045】
また、より気密性を高めるためには、非回転部材41と回転部材42とが密着して接続している端面SU41と端面SU42とに、気体の漏洩を防ぐ真空グリス等の気密性の高い潤滑剤を塗布していることが好ましい。
【0046】
図4A及び図4Bに示すように、吸着解離装置12は、吸着解離切替部50に、搬送ヘッド51を備えている。搬送ヘッド51は、内部が中空な空間(空洞)を有する蓋状の形状を呈しており、かつ、対象物(電極材19)と当接する吸着面51aには複数の吸着穴51bが空けられている。吸着解離装置12は、吸着位置14(図1参照)で対象物(電極材19)を吸着する。吸着時において、吸着解離装置12は、吸着解離切替部50(搬送ヘッド51)の内部の気体を吸引する(太線矢印参照)ことにより負圧状態(真空状態)にする。このとき、大気圧Patにより複数の吸着穴51bに対象物(電極材19)が吸着される(白抜き矢印B11参照)。吸着解離装置12は、吸着後に対象物(電極材19)を吸着位置14(図1参照)から積層部15(図1参照)に搬送する。この移動の間、吸着解離装置12は、対象物(電極材19)が移動時の慣性力により脱落しないだけの十分な吸着力により吸着する。吸着解離装置12は、積層部15(図1参照)で対象物(電極材19)を解離する。解離時において、吸着解離装置12は、吸着解離切替部50(搬送ヘッド51)に圧縮空気を送り込む(太線矢印参照)ことによって負圧状態を解除する。このとき、対象物(電極材19)が吸着穴51bから解離される。
【0047】
なお、負圧正圧切替部40と吸着解離切替部50とを接続する作用管48は、可撓性を有する材質のものであることが好ましい。
【0048】
本実施形態では、吸着解離装置12は、サーボモータ43b(図2A及び図3A参照)による所定の回転角での回転部材42の回転運動に連動してバルブ(負圧正圧切替部40)を切り替えることを可能とする。このような吸着解離装置12は、特許文献1のようにカム機構で回転運動を上下動運動(いわゆる直線運動)に変換する動作を行わなくてよい。また、吸着解離装置12は、所定の回転角(例えば30°)の回転運動の往復で(つまり小さな運動量で)バルブ(負圧正圧切替部40)の切り替えを可能とする。そのため、吸着解離装置12は、短時間(具体的には、38msec以下の時間)でバルブ(負圧正圧切替部40)を切り替えることができる。また、吸着解離装置12は、シンプルな構造にすることができ、コストを低減することができる。
【0049】
<吸着解離装置と電極材積層装置の主な特徴>
(1)図2A乃至図3Cに示すように、本実施形態に係る吸着解離装置12は、外部に配された負圧発生装置として機能する真空ポンプ17と正圧発生装置として機能するコンプレッサ18に接続されて負圧と正圧とを切り替えることで平面上の対象物である電極材19を吸着し解離する吸着解離装置12である。吸着解離装置12は、負圧正圧切替部40と、吸着解離切替部50と、負圧正圧切替部40と吸着解離切替部50とを接続する作用管48と、を備えている。負圧正圧切替部40は、真空ポンプ17に接続する負圧発生口41aとコンプレッサ18に接続する正圧発生口41bとが形成された回転しない非回転部材41と、作用管48に接続する貫通口42aが形成された回転する回転部材42と、を有している。吸着解離切替部50は、負圧発生モードにおいて吸着解離切替部50の内部を真空ポンプ17により負圧にして電極材19を吸着し、一方、正圧発生モードにおいて吸着解離切替部50の内部をコンプレッサ18により正圧にして電極材19を解離する。
【0050】
このような本実施形態に係る吸着解離装置12は、回転部材42を水平回転(揺動)させるだけで負圧発生モード(吸着モード)と正圧発生モード(解離モード)のいずれか一方を選択的に実行することができるため、電極材19への吸着動作と解離動作を高速に切り替えることができる。
【0051】
(2)図2A乃至図3Cに示すように、本実施形態に係る吸着解離装置12において、回転部材42は、予め定めた回転角(切替角度)を往復動回転して、負圧発生モードにおいて、貫通口42aを負圧発生口41aに接続し、正圧発生モードにおいて、貫通口42aを正圧発生口41bに接続する。
【0052】
このような本実施形態に係る吸着解離装置12は、回転角(切替角度)を小さくすることができるため、電極材19への吸着動作と解離動作を高速に切り替えることができる。
【0053】
(3)図2A乃至図3Cに示すように、本実施形態に係る吸着解離装置12において、非回転部材41は、負圧発生口41aと正圧発生口41bとが、少なくともそれぞれの開口部の縁が干渉しないように所定距離分離間して穿孔されているとよい。
【0054】
このような本実施形態に係る吸着解離装置12は、ごく小さな回転角(切替角度)で負圧発生口41aと正圧発生口41bとの間を貫通口42aが移動するように、回転部材42を往復動回転する。そのため、吸着解離装置12は、対象物(電極材19)への吸着動作と解離動作を高速に切り替えることができる。
【0055】
(4)図2A乃至図3Cに示すように、本実施形態に係る吸着解離装置12は、外部に配された制御装置16(制御部)からの指令信号によりサーボモータ31b(回転力発生装置)を作動させて回転部材42の往復動回転を行い、負圧発生口41aを基準点とした正圧発生口41bまでの回転角を制御装置16にフィードバックして回転部材42の往復動回転を停止するとよい。
【0056】
このような本実施形態に係る吸着解離装置12は、回転部材42の貫通口42aを正確に負圧発生口41a又は正圧発生口41bに一致させて往復動回転を停止させることができる。
【0057】
(5)図2A乃至図3Cに示すように、本実施形態に係る吸着解離装置12において、非回転部材41と回転部材42とは、それぞれの対向する端面SU41,SU42同士が少なくとも一つ以上の押圧部材45a,45bにより押圧されて密着接続されているとよい。
【0058】
このような本実施形態に係る吸着解離装置12は、非回転部材41と回転部材42とを密着接続することができるため、回転部材42を円滑に水平回転させることができ、また、気体の漏洩を抑制することができる。
【0059】
(6)図2A乃至図3Cに示すように、本実施形態に係る吸着解離装置12は、非回転部材41と回転部材42とが密着して接続している端面SU41,SU42には、気体の漏洩を防ぐ潤滑剤を塗布しているとよい。
【0060】
このような本実施形態に係る吸着解離装置12は、気体の漏洩を防ぐことができる。
【0061】
(7)図1に示すように、電極材積層装置10は、セパレータを含む二次電池用の電極材19を積層する電極材積層装置10であって、前記した吸着解離装置12を備えている。吸着解離装置12は、電極材19を吸着解離する吸着解離切替部50を先端部に取り付けた複数の水平回転する搬送用回転腕31cを所定回転速度で回転させる回転搬送機構31を有している。吸着解離装置12は、作用管48により接続された負圧正圧切替部40により吸着解離切替部50の内部を所定の吸着位置において負圧にして電極材19を吸着して所定の回転角を回転して搬送し、吸着解離切替部50が所定の位置に配置された積層部15に到達したときに、負圧正圧切替部40により吸着解離切替部50の内部を正圧にして電極材19を解離して積層部15に載置することを繰り返すことにより、所定の時間間隔で連続して電極材19を積層部15の上に積層する。
【0062】
このような本実施形態に係る電極材積層装置10は、搬送用回転腕31cを水平回転させるだけで負圧発生モード(吸着モード)と正圧発生モード(解離モード)のいずれか一方を選択的に実行することができるため、電極材19への吸着動作と解離動作を高速に切り替えて、電極材19を積層部15の上に高速に積層することができる。
【0063】
(8)図1に示すように、電極材積層装置10は、さらに電極材19を供給する供給装置11を備えている。供給装置11は、電極材19を供給する供給部13を先端部に取り付けた複数の水平回転する供給用回転腕21cを所定回転速度で回転させる回転供給機構21を有している。供給装置11は、搬送用回転腕31cの回転速度に基づいて供給用回転腕21cの回転速度を調整し、または、供給用回転腕21cの回転速度に基づいて搬送用回転腕31cの回転速度を調整することにより、吸着位置14において供給部13が吸着解離切替部50の下側に同期して重なり、吸着解離切替部50に電極材19を供給する。
【0064】
このような本実施形態に係る電極材積層装置10は、吸着位置14で供給装置11の供給部13と吸着解離装置12の吸着解離切替部50とが上下に重なり、そのタイミングで供給部13に載置された電極材19を吸着解離切替部50が吸着するため、電極材19を確実に吸着することができる。これにより、電極材積層装置10は、供給装置11の供給部13から供給され、吸着解離装置12の吸着解離切替部50に吸着された電極材19を途切れることなく連続して積層部15に搬送して解離し、積層部15の上に積層することができる。
【0065】
以上の通り、本実施形態に係る吸着解離装置12によれば、電極材19への吸着動作と解離動作を高速に切り替えることができる。
【0066】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 電極材積層装置
11 供給装置
12 吸着解離装置
13 供給部
14 吸着位置
15 積層部
16 制御装置(制御部)
17 真空ポンプ(負圧発生装置)
18 コンプレッサ(正圧発生装置)
19 電極材
21 回転供給機構
21a,31a,43a 回転軸
21b,31b,43b サーボモータ(回転力発生装置)
21c 供給用回転腕(回転腕)
31 回転搬送機構
31c 搬送用回転腕(回転腕)
40 負圧正圧切替部
41 非回転部材
41a 負圧発生口
41b 正圧発生口
42 回転部材
42a 貫通口
43 往復動回転機構
44 支持部材
45a,45b 押圧部材
46 負圧管
47 正圧管
48 作用管
50 吸着解離切替部
51 搬送ヘッド
51a 吸着面
51b 吸着穴
P1,P2 位置
Pat 大気圧
SU41,SU42 端面
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
【手続補正書】
【提出日】2022-04-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に配された負圧発生装置と正圧発生装置に接続されて負圧と正圧とを切り替えることで、角型リチウムイオン二次電池を製造する電極材積層装置において、対象物である電極材又はセパレータを搬送する吸着解離装置であって、
負圧正圧切替部と、吸着解離切替部と、前記負圧正圧切替部と前記吸着解離切替部とを接続する作用管と、を備え、
前記負圧正圧切替部は、
前記負圧発生装置に接続する負圧発生口と前記正圧発生装置に接続する正圧発生口とが形成された回転しない非回転部材と、前記作用管に接続する貫通口が形成された回転する回転部材と、を有し、
前記非回転部材と前記回転部材とは、それぞれの対向する端面同士が少なくとも一つ以上の押圧部材により押圧されて密着接続され、
前記吸着解離切替部は、
負圧発生モードにおいて前記吸着解離切替部の内部を前記負圧発生装置により負圧にして前記対象物を吸着し、一方、正圧発生モードにおいて前記吸着解離切替部の内部を前記正圧発生装置により正圧にして前記対象物を解離する、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸着解離装置であって、
前記回転部材は、予め定めた回転角を往復動回転して、前記負圧発生モードにおいて、前記貫通口を前記負圧発生口に接続し、前記正圧発生モードにおいて、前記貫通口を前記正圧発生口に接続する、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項3】
請求項2に記載の吸着解離装置であって、
前記非回転部材は、前記負圧発生口と前記正圧発生口とが、少なくともそれぞれの開口部の縁が干渉しないように所定距離分離間して穿孔されている、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項4】
請求項2に記載の吸着解離装置であって、
外部に配された制御部からの指令信号により回転力発生装置を作動させて前記回転部材の往復動回転を行い、前記負圧発生口を基準点とした前記正圧発生口までの回転角を前記制御部にフィードバックして前記回転部材の往復動回転を停止する、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項5】
請求項に記載の吸着解離装置であって、
前記非回転部材と前記回転部材とが密着して接続している端面には、気体の漏洩を防ぐ潤滑剤を塗布している、
ことを特徴とする吸着解離装置。
【請求項6】
セパレータを含む二次電池用の電極材を積層する電極材積層装置であって、
請求項1から請求項の何れか一項に記載の吸着解離装置を備え、
前記吸着解離装置は、
前記電極材を吸着解離する吸着解離切替部を先端部に取り付けた複数の水平回転する搬送用回転腕を所定回転速度で回転させる回転搬送機構を有し、
前記作用管により接続された前記負圧正圧切替部により前記吸着解離切替部の内部を所定の吸着位置において負圧にして前記電極材を吸着して所定の回転角を回転して搬送し、
前記吸着解離切替部が所定の位置に配置された積層部に到達したときに、前記負圧正圧切替部により前記吸着解離切替部の内部を正圧にして前記電極材を解離して前記積層部に載置することを繰り返すことにより、所定の時間間隔で連続して前記電極材を前記積層部の上に積層する、
ことを特徴とする電極材積層装置。
【請求項7】
請求項に記載の電極材積層装置であって、
さらに前記電極材を供給する供給装置を備え、
前記供給装置は、
前記電極材を供給する供給部を先端部に取り付けた複数の水平回転する供給用回転腕を所定回転速度で回転させる回転供給機構を有し、
前記搬送用回転腕の回転速度に基づいて前記供給用回転腕の回転速度を調整し、または、前記供給用回転腕の回転速度に基づいて前記搬送用回転腕の回転速度を調整することにより、前記吸着位置において前記供給部が前記吸着解離切替部の下側に同期して重なり、前記吸着解離切替部に前記電極材を供給する、
ことを特徴とする電極材積層装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、外部に配された負圧発生装置と正圧発生装置に接続されて負圧と正圧とを切り替えることで、角型リチウムイオン二次電池を製造する電極材積層装置において、対象物である電極材又はセパレータを搬送する吸着解離装置であって、負圧正圧切替部と、吸着解離切替部と、前記負圧正圧切替部と前記吸着解離切替部とを接続する作用管と、を備え、前記負圧正圧切替部は、前記負圧発生装置に接続する負圧発生口と前記正圧発生装置に接続する正圧発生口とが形成された回転しない非回転部材と、前記作用管に接続する貫通口が形成された回転する回転部材と、を有し、前記非回転部材と前記回転部材とは、それぞれの対向する端面同士が少なくとも一つ以上の押圧部材により押圧されて密着接続され、前記吸着解離切替部は、負圧発生モードにおいて前記吸着解離切替部の内部を前記負圧発生装置により負圧にして前記対象物を吸着し、一方、正圧発生モードにおいて前記吸着解離切替部の内部を前記正圧発生装置により正圧にして前記対象物を解離する、構成とする。
その他の手段は、後記する。