(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070980
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】バッテリ監視モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20230515BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H05K1/14 G
H05K3/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183518
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】代田 雄人
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA02
5E344AA23
5E344BB03
5E344CC09
5E344CD01
5E344CD12
5E344DD03
5E344EE21
5E344EE30
(57)【要約】
【課題】コストの低減を図りつつ、配線の並び方を変更可能なバッテリ監視モジュールを提供する。
【解決手段】ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第1の配線120Aを有し、かつ、複数の第1の配線120Aは、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される第1のFPC100Aと、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第2の配線120Bを有し、かつ、複数の第2の配線120Bは、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される第2のFPC100Bと、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第3の配線120Cを有する第3のFPC100Cと、を備え、複数の第3の配線120Cの電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の両側にそれぞれ正極と負極を備えるセルが、隣り合うセルの正極と負極が隣り合うように複数配列され、かつ隣り合うセルの正極と負極が接続されることで直列接続されるバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールにおいて、
前記バッテリは、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方により構成される電極の電位が、セルの配列方向に向かって、前記幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成されており、
前記電極における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とすると、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第1の配線を有し、かつ、これら複数の第1の配線は、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される第1のフレキシブルプリント配線板と、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第2の配線を有し、かつ、これら複数の第2の配線は、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される第2のフレキシブルプリント配線板と、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第3の配線を有する第3のフレキシブルプリント配線板と、
を備え、
第1のフレキシブルプリント配線板の一部が第3のフレキシブルプリント配線板に重ね合わされ、かつ、複数の第1の配線と、複数の第3の配線とが、第1のフレキシブルプリント配線板と第3のフレキシブルプリント配線板とが重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続され、
第2のフレキシブルプリント配線板の一部が第3のフレキシブルプリント配線板に重ね合わされ、かつ、複数の第2の配線と、複数の第3の配線とが、第2のフレキシブルプリント配線板と第3のフレキシブルプリント配線板とが重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続されて、
複数の第3の配線の電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶことを特徴とするバッテリ監視モジュール。
【請求項2】
第1のフレキシブルプリント配線板は、複数のフレキシブルプリント配線板から構成され、各フレキシブルプリント配線板の一部がそれぞれ第3のフレキシブルプリント配線板と重ね合わされることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項3】
第2のフレキシブルプリント配線板は、複数のフレキシブルプリント配線板から構成され、各フレキシブルプリント配線板の一部がそれぞれ第3のフレキシブルプリント配線板と重ね合わされることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項4】
第3のフレキシブルプリント配線板に対して表面実装により接続されるコネクタを備えることを特徴とする請求項1,2または3に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項5】
幅方向の両側にそれぞれ正極と負極を備えるセルが、隣り合うセルの正極と負極が隣り合うように複数配列され、かつ隣り合うセルの正極と負極が接続されることで直列接続されるバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールにおいて、
前記バッテリは、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方により構成される電極の電位が、セルの配列方向に向かって、前記幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成されており、
前記電極における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V
(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とすると、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第1の配線を有し、かつ、これら複数の第1の配線は、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される第1のフレキシブルプリント配線板と、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第2の配線を有し、かつ、これら複数の第2の配線は、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される第2のフレキシブルプリント配線板と、
を備え、
第1のフレキシブルプリント配線板と第2のフレキシブルプリント配線板のうちの一方の一部が他方に重ね合わされ、かつ、複数の第1の配線と、複数の第2の配線とが、第1のフレキシブルプリント配線板と第2のフレキシブルプリント配線板とが重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続されて、
他方のフレキシブルプリント配線板における複数の第1または第2の配線の電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶことを特徴とするバッテリ監視モジュール。
【請求項6】
前記一方のフレキシブルプリント配線板は一か所が折り返されることによって、複数の第1または第2の配線が前記バッテリにおける各電極に接続されつつ、前記他方のフレキシブルプリント配線板に対して一部が重ね合わされることを特徴とする請求項5に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項7】
前記他方のフレキシブルプリント配線板に対して表面実装により接続されるコネクタを備えることを特徴とする請求項5または6に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項8】
第1のフレキシブルプリント配線板は、端部同士が互いに重ね合わされ、かつ複数の配線同士が電気的に接続される複数のフレキシブルプリント配線板から構成されることを特徴とする請求項1または5に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項9】
第2のフレキシブルプリント配線板は、端部同士が互いに重ね合わされ、かつ複数の配線同士が電気的に接続される複数のフレキシブルプリント配線板から構成されることを特徴とする請求項1または5に記載のバッテリ監視モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリには、バッテリの電圧を監視するために電圧監視装置が設けられている。この電圧監視装置は、フレキシブルプリント配線板(以下、FPCと称する)を有するバッテリ監視モジュールが設けられている。
図8~
図10を参照して、従来技術に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。
図8はバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールの電気配線の説明図である。
図9はバッテリに従来技術に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
図10はFPCの素材から従来技術に係るバッテリ監視モジュールに用いられるFPCを切り出すレイアウトの説明図である。
【0003】
バッテリは、幅方向の両側にそれぞれ正極と負極を備えるセル10が、隣り合うセル10の正極と負極が隣り合うように複数配列される。そして、これら複数のセル10は、隣り合う正極と負極が、電極となるバスバ11によって電気的に接続されることで直列に接続されるように構成される。
【0004】
ここで、複数の電極における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とする。
図8及び
図9においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。
図8及び
図9に示すように、複数の電極の電位は、セルの配列方向に向かって、幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成される。
【0005】
このように構成されるバッテリの上部にバッテリ監視モジュール500が取り付けられる(
図9参照)。バッテリ監視モジュール500は、FPC510と、FPC510の端部に接続されるコネクタ520とを備えている。一般的に、FPCにおける隣り合う配線間、及び、FPCに接続されるコネクタにおける隣り合う端子間においては、電位差が大きいほど、マイグレーションなどによる短絡が発生し易くなる。特に、隣り合う配線間の距離や隣り合う端子間の距離が短いと、そのような問題が顕在化してしまう。また、配線間の電位差を小さくするのが望ましいことは、FPCと接続されるECU回路においても同様であり、FPC側で配線を極力電位順に並べることでECU回路での配線並び替えを最小限に抑えECU回路基板を簡略化することができる。このように、隣り合う配線間及び端子間については、極力、電位差を小さくすることが望まれる。従って、コネクタ520に接続される複数の配線における電位は、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶようにすることが望まれる(
図8参照)。
【0006】
しかしながら、ベースフィルムの一方の面にのみ導体(銅箔など)が設けられるFPC(片面FPC)の場合、配線の印刷パターンを工夫するだけでは、上記のような構成を得ることができない。何故なら、
図8に示すように、配線を交差させる必要があるためである。そこで、従来技術に係るバッテリ監視モジュールにおいては、ベースフィルムの両面にそれぞれ導体が設けられるFPC510(両面FPC)を採用していた。
図9においては、ベースフィルムの一方の面に設けられる配線を実線で示し、他方の面に設けられる配線を点線で示している。このように、両面FPCを採用するこで、コネクタ520に接続される複数の配線における電位を、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶようにすることが
できる。
【0007】
しかしながら、両面FPCの場合、大型化に伴って製造難易度が高くなり、コストが増加するといった課題がある。また、FPCの素材からバッテリ監視モジュールに用いるFPCを切り出した後の不要な部分の廃棄量が多くなるといった課題がある。すなわち、バッテリの幅方向の中央に排気経路を確保するために、FPC510は、バッテリの幅方向の一方側に配される部位511と他方側に配される部位512に分岐するように二股に分かれた形状である。そのため、
図10に示すようにFPCの素材510XからFPC510を切り出すと、分岐部間の部分Xは廃棄されるため、廃棄量が多くなってしまう。
【0008】
その他、片面FPCと両面FPCとをコネクタにより接続することで、複数の配線の電位を上記のように構成する技術も知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この技術においては、片面FPCと両面FPCとを接続するコネクタが別途必要になるため、コストの低減は難しい。
【0009】
また、コネクタへの配線部分を折り返すことで、片面FPCを用いて、複数の配線の電位を上記のように構成する技術も知られている(特許文献2参照)。しかしながら、この技術では、表面実装により接続されるコネクタ(SMTコネクタ)を採用することができず、コストの低減は難しい。
【0010】
更に、FPCを複数の箇所で折り返すことで、片面FPCを用いて、複数の配線の電位を上記のように構成する技術も知られている(特許文献3参照)。しかしながら、この技術の場合には、複数の箇所に折り返し部分が存在してしまうため、FPCの配置スペースが大きくなり、省スペース化に対応できないといった課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第6837033号公報
【特許文献2】特開2020-13829号公報
【特許文献3】特許第6774460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、コストの低減を図りつつ、配線の並び方を変更可能なバッテリ監視モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0014】
すなわち、本発明のバッテリ監視モジュールは、
幅方向の両側にそれぞれ正極と負極を備えるセルが、隣り合うセルの正極と負極が隣り合うように複数配列され、かつ隣り合うセルの正極と負極が接続されることで直列接続されるバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールにおいて、
前記バッテリは、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方により構成される電極の電位が、セルの配列方向に向かって、前記幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成されており、
前記電極における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とすると、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第1の配線を有し、かつ、これら複数の第1の
配線は、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される第1のフレキシブルプリント配線板と、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第2の配線を有し、かつ、これら複数の第2の配線は、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される第2のフレキシブルプリント配線板と、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第3の配線を有する第3のフレキシブルプリント配線板と、
を備え、
第1のフレキシブルプリント配線板の一部が第3のフレキシブルプリント配線板に重ね合わされ、かつ、複数の第1の配線と、複数の第3の配線とが、第1のフレキシブルプリント配線板と第3のフレキシブルプリント配線板とが重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続され、
第2のフレキシブルプリント配線板の一部が第3のフレキシブルプリント配線板に重ね合わされ、かつ、複数の第2の配線と、複数の第3の配線とが、第2のフレキシブルプリント配線板と第3のフレキシブルプリント配線板とが重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続されて、
複数の第3の配線の電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を有する3種類のフレキシブルプリント配線板を用いて、配線の並び方を変更することができ、また、隣り合う配線間の電位差を小さくすることができる。なお、本発明においては、第1~第3のフレキシブルプリント配線板にそれぞれ設けられる複数の配線が、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する場合も含む。すなわち、第1のフレキシブルプリント配線板に備えられる配線が、バッテリの電極に電気的に接続される複数の第1の配線以外の配線を有する場合も本発明に含まれる。第2のフレキシブルプリント配線板に備えられる配線、第3のフレキシブルプリント配線板に備えられる配線についても同様である。この場合、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線が、バッテリの電極に接続される複数の配線(第1~第3の配線)の間に設けられても構わない。そして、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線の電位と、バッテリの電極に接続される複数の配線(第1~第3の配線)の電位との関係については、特に限定されることはない。
【0016】
第1のフレキシブルプリント配線板は、複数のフレキシブルプリント配線板から構成され、各フレキシブルプリント配線板の一部がそれぞれ第3のフレキシブルプリント配線板と重ね合わされるとよい。
【0017】
これにより、第1のフレキシブルプリント配線板を構成する各々のフレキシブルプリント配線板が小さくても、第1のフレキシブルプリント配線板全体では大きくすることができる。
【0018】
第2のフレキシブルプリント配線板は、複数のフレキシブルプリント配線板から構成され、各フレキシブルプリント配線板の一部がそれぞれ第3のフレキシブルプリント配線板と重ね合わされるとよい。
【0019】
これにより、第2のフレキシブルプリント配線板を構成する各々のフレキシブルプリント配線板が小さくても、第2のフレキシブルプリント配線板全体では大きくすることができる。
【0020】
第3のフレキシブルプリント配線板に対して表面実装により接続されるコネクタを備え
るとよい。
【0021】
これにより、製造コストを低減することができる。
【0022】
また、本発明のバッテリ監視モジュールは、
幅方向の両側にそれぞれ正極と負極を備えるセルが、隣り合うセルの正極と負極が隣り合うように複数配列され、かつ隣り合うセルの正極と負極が接続されることで直列接続されるバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールにおいて、
前記バッテリは、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方により構成される電極の電位が、セルの配列方向に向かって、前記幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成されており、
前記電極における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とすると、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第1の配線を有し、かつ、これら複数の第1の配線は、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される第1のフレキシブルプリント配線板と、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の第2の配線を有し、かつ、これら複数の第2の配線は、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される第2のフレキシブルプリント配線板と、
を備え、
第1のフレキシブルプリント配線板と第2のフレキシブルプリント配線板のうちの一方の一部が他方に重ね合わされ、かつ、複数の第1の配線と、複数の第2の配線とが、第1のフレキシブルプリント配線板と第2のフレキシブルプリント配線板とが重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続されて、
他方のフレキシブルプリント配線板における複数の第1または第2の配線の電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶことを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を有する2種類のフレキシブルプリント配線板を用いて、配線の並び方を変更することができ、また、隣り合う配線間の電位差を小さくすることができる。なお、本発明においては、第1及び第2のフレキシブルプリント配線板にそれぞれ設けられる複数の配線が、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する場合も含む。すなわち、第1のフレキシブルプリント配線板に備えられる配線が、バッテリの電極に電気的に接続される複数の第1の配線以外の配線を有する場合も本発明に含まれる。第2のフレキシブルプリント配線板に備えられる配線についても同様である。この場合、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線が、バッテリの電極に接続される複数の配線(第1及び第2の配線)の間に設けられても構わない。そして、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線の電位と、バッテリの電極に接続される複数の配線(第1及び第2の配線)の電位との関係については、特に限定されることはない。
【0024】
前記一方のフレキシブルプリント配線板は一か所が折り返されることによって、複数の第1または第2の配線が前記バッテリにおける各電極に接続されつつ、前記他方のフレキシブルプリント配線板に対して一部が重ね合わされるとよい。
【0025】
前記他方のフレキシブルプリント配線板に対して表面実装により接続されるコネクタを備えるとよい。
【0026】
これにより、製造コストを低減することができる。
【0027】
第1のフレキシブルプリント配線板は、端部同士が互いに重ね合わされ、かつ複数の配線同士が電気的に接続される複数のフレキシブルプリント配線板から構成されるとよい。
【0028】
これにより、第1のフレキシブルプリント配線板を構成する各々のフレキシブルプリント配線板が小さくても、第1のフレキシブルプリント配線板全体では大きくすることができる。
【0029】
第2のフレキシブルプリント配線板は、端部同士が互いに重ね合わされ、かつ複数の配線同士が電気的に接続される複数のフレキシブルプリント配線板から構成されるとよい。
【0030】
これにより、第2のフレキシブルプリント配線板を構成する各々のフレキシブルプリント配線板が小さくても、第2のフレキシブルプリント配線板全体では大きくすることができる。
【0031】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明によれば、コストの低減を図りつつ、配線の並び方を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1はバッテリに本発明の実施例1に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図2】
図2はフレキシブルプリント配線板の素材から本発明の実施例1に係るバッテリ監視モジュールに用いられるフレキシブルプリント配線板を切り出すレイアウトの説明図である。
【
図3】
図3は2つのフレキシブルプリント配線板の配線同士を電気的に接続する構造を示す模式的断面図である。
【
図4】
図4はバッテリに本発明の実施例2に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図5】
図5はフレキシブルプリント配線板の素材から本発明の実施例2に係るバッテリ監視モジュールに用いられるフレキシブルプリント配線板を切り出すレイアウトの説明図である。
【
図6】
図6はバッテリに本発明の実施例3に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図7】
図7はバッテリに本発明の実施例4に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図8】
図8はバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールの電気配線の説明図である。
【
図9】
図9はバッテリに従来技術に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図10】
図10はフレキシブルプリント配線板の素材から従来技術に係るバッテリ監視モジュールに用いられるフレキシブルプリント配線板を切り出すレイアウトの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定
する趣旨のものではない。
【0035】
(実施例1)
図1~
図3を参照して、本発明の実施例1に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。本実施例に係るバッテリ監視モジュールは、例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリの電圧を監視するための電圧監視装置に好適に設けられる。
【0036】
<バッテリ監視モジュールの構成>
図1はバッテリに本発明の実施例1に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
図1においては、点線で囲んだ部分を拡大した図も示している。バッテリは、幅方向の両側にそれぞれ正極と負極を備えるセル10が、隣り合うセル10の正極と負極が隣り合うように複数配列される。そして、これら複数のセル10は、隣り合う正極と負極が、電極となるバスバ11によって電気的に接続されることで直列に接続されるように構成される。
【0037】
ここで、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方により構成される電極の電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とする。なお、nは整数である。
図1においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。
図1に示すように、電極の電位は、セルの配列方向(
図1においては、上から下方向)に向かって、幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成される。
【0038】
このように構成されるバッテリの上部にバッテリ監視モジュール100が取り付けられる。バッテリ監視モジュール100は、第1のフレキシブルプリント配線板(以下、「第1のFPC100A」と称する)と、第2のフレキシブルプリント配線板(以下、「第2のFPC100B」と称する)と、第3のフレキシブルプリント配線板(以下、「第3のFPC100C」と称する)とを備えている。また、バッテリ監視モジュール100は、第3のFPC100Cに接続されるコネクタ110も備えている。バッテリ監視モジュール100が電気自動車に搭載される電圧監視装置に用いられる場合には、コネクタ110は、ECU50に設けられるコネクタ51に接続される。なお、
図1においては、バッテリ監視モジュールの要部の構成のみを示している。一般的に、バッテリ監視モジュールは、FPCを固定するためのケースやバッテリ(セル)の温度を測定するための温度センサなども備えられるが、
図1では省略している。
【0039】
第1のFPC100A、第2のFPC100B及び第3のFPC100Cは、いずれもベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
【0040】
第1のFPC100Aは、バッテリの上部であって、幅方向の一方に配される。そして、第1のFPC100Aにおける複数の第1の配線120Aは、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される。なお、
図1中の拡大図には、配線の一部のみを示している。
【0041】
第2のFPC100Bは、バッテリの上部であって、幅方向の他方に配される。そして、第2のFPC100Bにおける複数の第2の配線120Bは、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される。
【0042】
そして、第1のFPC100Aの一部が第3のFPC100Cに重ね合わされ、かつ、複数の第1の配線120Aと、第3のFPC100Cにおける複数の第3の配線120Cとが、FPC同士が重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続される。
【0043】
また、第2のFPC100Bの一部が第3のFPC100Cに重ね合わされ、かつ、複数の第2の配線120Bと、複数の第3の配線120Cとが、FPC同士が重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続される。
【0044】
より具体的には、複数の第3の配線120Cのうち、
図1中最も左端の第3の配線120Cは、電位がV(0)となる第1の配線120Aと接続部P0によって電気的に接続される。そして、複数の第3の配線120Cのうち、
図1中左から2番目の第3の配線120Cは、電位がV(1)となる第2の配線120Bと接続部P1によって電気的に接続される。また、複数の第3の配線120Cのうち、
図1中左から3番目の第3の配線120Cは、電位がV(2)となる第1の配線120Aと接続部P2によって電気的に接続される。更に、複数の第3の配線120Cのうち、
図1中左から4番目の第3の配線120Cは、電位がV(3)となる第2の配線120Bと接続部P3によって電気的に接続される。複数の第3の配線120Cのうち、
図1中左から5番目以降の第3の配線120Cについても、電位がV(4),V(5),…,V(2n)となる第1または第2の配線とそれぞれ接続される。
【0045】
これにより、複数の第3の配線120Cの電位は、図中左から、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶように構成される。
【0046】
第1のFPC100Aは、バッテリの上部に配される部位が直線状に構成され、第3のFPC100Cに重ね合わされる部分において側方に突出するように構成され、全体としてL字形状となっている。
図2(a)には、FPCの素材100AXから第1のFPC100Aを切り出すレイアウトを示している。第1のFPC100Aは、従来技術のように二股に分かれた構成ではないため、廃棄部分AXの面積は小さく、廃棄量を少なくすることができる。
【0047】
第2のFPC100Bも、バッテリの上部に配される部位が直線状に構成され、第3のFPC100Cに重ね合わされる部分において側方に突出するように構成され、全体としてL字形状となっている。
図2(b)には、FPCの素材100BXから第2のFPC100Bを切り出すレイアウトを示している。第2のFPC100Bにおいても、第1のFPC100Aと同様、廃棄部分BXの面積は小さく、廃棄量を少なくすることができる。
【0048】
第3のFPC100Cは、全体が直線状に構成されている。
図2(c)には、FPCの素材100CXから第3のFPC100Cを切り出すレイアウトを示している。第3のFPC100Cにおいては廃棄量をほぼなくすことができる。
【0049】
第1のFPC100Aと第2のFPC100Bは、バッテリの上部において、幅方向に分かれて配置されるため、バッテリの幅方向の中央には排気経路が確保される。
【0050】
<電気接続部>
第1の配線120Aと第3の配線120Cとの電気的接続部、及び、第2の配線120Bと第3の配線120Cとの電気的接続部については、各種公知技術を採用することができる。以下、
図3を参照して、2種類の電気的接続部の構成について説明する。なお、
図3においては、第2の配線120Bと第3の配線120Cとの電気的接続部を例示している。
【0051】
図3(a)はスルーホール方式の電気的接続部を採用した場合について、電気的接続部の構造を模式的断面図にて示している。第2のFPC100Bは、ベースフィルム101
Bと、ベースフィルム101Bの一方の面に設けられる銅箔などの導体部102B(配線120Bに相当)と、導体部102Bを覆うカバーフィルム103Bとを備えている。なお、素材における導体部102Bにエッチングが施されることによって、複数の配線120Bが形成され、その後、カバーフィルム103Bが接合される。第3のFPC100Cについても、第2のFPC100Bの構成と同様であり、ベースフィルム101Cと、導体部102C(配線120Cに相当)と、カバーフィルム103Cとを備えている。第2のFPC100Bと第3のFPC100Cは、接着剤(粘着剤)211によって接合される。なお、特に、図示しないが、第1のFPC100Aの構成も同様である。
【0052】
そして、第3のFPC100Cにおいては、カバーフィルム103Cに貫通孔103HCが設けられることで、導体部102Cの一部が露出されている。また、第2のFPC100Bにおいては、導体部102Cの露出する部分に対応する位置に貫通孔100HBが設けられている。そして、これらの貫通孔103HCと貫通孔100HBの内部に充填するように設けられる半田部230によって、導体部102Bと導体部102Cが電気的に接続されている。つまり、配線120Bと配線120Cが電気的に接続されている。
【0053】
以上の電気的接続部においては、クリーム半田を印刷した後にリフロー炉により加熱することで、半田部230を得ることができる。また、半田メッキを施した後にホットプレスにより加熱することで半田部230を得ることもできる。リフロー工程の制約によって前者の方法を採用できない場合には、後者の方法を採用し、局所的な加熱によって半田部230を得ることができる。
【0054】
なお、バッテリ監視モジュール100に外力が作用した際に電気的接続部に応力が作用することを抑制するために、第3のFPC100Cにおける電気的接続部の真裏の位置に補強部材220を接着剤(粘着剤)212によって接合するのが望ましい。これにより、剛性が高まるため、耐振動性も向上する。なお、この補強部材を不図示のケースに固定すれば、より一層、耐振動性が向上する。補強部材については、板状の部材を採用することもできるし、フィルム状の部材を採用することもできる。また、短絡や電気的接続部の劣化を抑制するために、半田部230は樹脂材料などの絶縁性の材料によってコーティングするのが望ましい(コーティング部240参照)。
【0055】
図3(b)は異なる方式の電気的接続部を採用した場合について、電気的接続部の構造を模式的断面図にて示している。第2のFPC100Bは、上記の通り、ベースフィルム101Bと、導体部102B(配線120Bに相当)と、カバーフィルム103Bとを備えている。第3のFPC100Cについても、同様に、ベースフィルム101Cと、導体部102C(配線120Cに相当)と、カバーフィルム103Cとを備えている。第2のFPC100Bと第3のFPC100Cは、接着剤(粘着剤)250によって接合される。
【0056】
そして、第2のFPC100Bと第3のFPC100Cには、それぞれ貫通孔100HBと貫通孔100HCが連通するように設けられている。また、第3のFPC100Cにおける第2のFPC100Bとの接合面とは反対側の面にはピン状部261を有する補強部材260が設けられている。ピン状部261は、第2のFPC100Bと第3のFPC100Cにそれぞれ設けられた貫通孔100HB及び貫通孔100HCを挿通するように配されている。そして、貫通孔100HB及び貫通孔100HCの内部に充填するように設けられる半田部270によって、導体部102Bと導体部102Cが電気的に接続されている。つまり、配線120Bと配線120Cが電気的に接続されている。このような構成を採用した場合でも、短絡や電気的接続部の劣化を抑制するために、半田部270は樹脂材料などの絶縁性の材料によってコーティングするのが望ましい(コーティング部280参照)。
【0057】
これら
図3に示す構造は一例であり、その他、異方性導電膜(ACF)や銀ペーストなどを用いた電気的接続部を採用することもできる。
【0058】
<本実施例に係るバッテリ監視モジュールの優れた点>
本実施例に係るバッテリ監視モジュール100によれば、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を有する3種類の片面FPCを用いて、配線の並び方を変更することができる。このように、本実施例では、両面FPCを用いる必要がなく、配線の並び方を変更することができる。そして、FPCの素材からバッテリ監視モジュールに用いるFPCを切り出した後の廃棄部分の廃棄量を少なくすることができる。また、コネクタ110は、第3のFPC100Cの一方の面に設けられた複数の第3の配線120Cと電気的に接続すればよいので、表面実装により接続されるコネクタ(SMTコネクタ)を採用することができる。従って、コストの低減を図ることができる。なお、本実施例の場合には、FPCにおいて折り返し部分を設ける必要がないため、FPCの配置スペースが大きくなることもない。
【0059】
また、FPCにおける隣り合う配線間、及び、第3のFPC100Cに接続されるコネクタ110における隣り合う端子間の電位差を小さくすることができる。従って、マイグレーションなどによる短絡の発生を抑制することができる。また、ECU50に設けられるコネクタ51における隣り合う端子間の電位差も小さくなり、かつ、ECU50における回路基板を簡略化することもできる。なお、第1~第3のFPCにそれぞれ設けられる複数の配線については、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することもできる。すなわち、第1のFPC100Aに備えられる配線が、バッテリの電極に電気的に接続される複数の第1の配線120A以外の配線を有する構成を採用することもできる。第2のFPC100Bに備えられる第2の配線120B、第3のFPC100Cに備えられる第3の配線120Cについても同様である。この場合、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線が、バッテリの電極に接続される複数の配線(第1~第3の配線)の間に設けられても構わない。そして、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線の電位と、バッテリの電極に接続される複数の配線(第1~第3の配線)の電位との関係については、特に限定されることはない。従って、例えば、第3の配線120Cにおいて、電位がV(2)となる配線とV(3)となる配線との間に、他の目的で用いられる配線が設けられてもよい。そして、この場合に、当該配線の電位がV(2)よりも高く、かつV(3)よりも低くなる必要なない。一般的に、バッテリ監視モジュールにおいては、電圧測定用の配線以外にも温度測定用の配線も設けられており、温度測定用の配線の電位は、電圧測定用の配線の電位に比べて小さくなる。この温度測定用の配線を電圧測定用の配線の間に設ける場合には、マイグレーションなどの発生を抑制するために、配線間の距離を十分長くするのが望ましい。従って、例えば、温度測定用の配線を、電位がV(2)となる配線とV(3)となる配線との間に設ける場合には、温度測定用の配線と電位がV(2)となる配線との間と、温度測定用の配線と電位がV(3)となる配線との間の距離を広くするとよい。
【0060】
(実施例2)
図4及び
図5を参照して、本発明の実施例2に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリの電圧を監視するための電圧監視装置に好適に設けられる。
【0061】
<バッテリ監視モジュールの構成>
図4はバッテリに本発明の実施例2に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
図4においては、点線で囲んだ部分を拡大した図も示している。バッテリの構成については実施例1で説明した通りである。実施例1と同様に、正極及び
負極のうちの少なくともいずれか一方により構成される電極の電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とする。なお、nは整数である。
図4においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。
図4に示すように、実施例1と同様に、電極の電位は、セルの配列方向に向かって、幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成される。
【0062】
このように構成されるバッテリの上部にバッテリ監視モジュール100が取り付けられる。本実施例に係るバッテリ監視モジュール100は、第1のフレキシブルプリント配線板(以下、「第1のFPC100D」と称する)と、第2のフレキシブルプリント配線板(以下、「第2のFPC100E」と称する)とを備えている。また、バッテリ監視モジュール100は、第2のFPC100Eに接続されるコネクタ110も備えている。バッテリ監視モジュール100が電気自動車に搭載される電圧監視装置に用いられる場合には、コネクタ110は、ECU50に設けられるコネクタ51に接続される。なお、
図4においては、実施例1と同様、バッテリ監視モジュールの要部の構成のみを示している。
【0063】
第1のFPC100D及び第2のFPC100Eは、いずれもベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
【0064】
第1のFPC100Dは、バッテリの上部であって、幅方向の一方に配される。そして、第1のFPC100Dにおける複数の第1の配線120Dは、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される。なお、
図1中の拡大図には、配線の一部のみを示している。
【0065】
第2のFPC100Eは、バッテリの上部であって、幅方向の他方に配される。そして、第2のFPC100Eにおける複数の第2の配線120Eは、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される。なお、本実施例の場合には、複数配列される第2の配線120Eにおいて、一つ置きの配線(図中、左から偶数番目の配線)が、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される。
【0066】
そして、第1のFPC100Dの一部が第2のFPC100Eに重ね合わされ、かつ、複数の第1の配線120Dと、複数の第2の配線120Eとが、FPC同士が重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続される。なお、第1のFPC100Dは1か所の折り返し部100bDによって折り返されることで、第1のFPC100Dの一部が第2のFPC100Eに重ね合わされる。また、複数の第1の配線120Dは、複数配列される第2の配線120Eにおいて、一つ置きの配線(図中、左から奇数番目の配線)とそれぞれ電気的に接続される。
【0067】
より具体的には、複数の第2の配線120Eのうち、
図1中最も左端の第2の配線120Eは、電位がV(0)となる第1の配線120Dと接続部P0によって電気的に接続される。そして、複数の第2の配線120Eのうち、
図1中左から2番目の第2の配線120Eは、電位がV(1)となる電極に直接接続される。また、複数の第2の配線120Eのうち、
図1中左から3番目の第2の配線120Eは、電位がV(2)となる第1の配線120Dと接続部P2によって電気的に接続される。更に、複数の第2の配線120Eのうち、
図1中左から4番目の第2の配線120Eは、電位がV(3)となる電極に直接接続される。複数の第2の配線120Eのうち、
図1中左から5番目以降の奇数番目の第2の配線120Eについても、電位がV(4),V(6),…,V(2n)となる第1の配線120Dとそれぞれ接続される。また、複数の第2の配線120Eのうち、
図1中左から6番目以降の偶数番目の第2の配線120Eについても、電位が(5),V(7),…
,V(2n-1)となる電極にそれぞれ直接接続される。
【0068】
これにより、複数の第2の配線120Eの電位は、図中左から、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶように構成される。
【0069】
第1のFPC100Dは、全体が直線状に構成されている。
図5(a)には、FPCの素材100DXから第1のFPC100Dを切り出すレイアウトを示している。第1のFPC100Dにおいては、廃棄量をほぼなくすことができる。
【0070】
第2のFPC100Eも、全体が直線状に構成されている。
図5(b)には、FPCの素材100EXから第2のFPC100Eを切り出すレイアウトを示している。第2のFPC100Eにおいても、廃棄量をほぼなくすことができる。
【0071】
第1のFPC100Dと第2のFPC100Eは、バッテリの上部において、幅方向に分かれて配置されるため、バッテリの幅方向の中央には排気経路が確保される。
【0072】
第1の配線120Dと第2の配線120Eとの電気的接続部の構成については、実施例1で示した
図3に示す構造の他、実施例1で説明した通り、各種公知技術を採用することができる。
【0073】
以上のように構成される本実施例に係るバッテリ監視モジュール100においても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。実施例1と同様に、第1及び第2のFPCにそれぞれ設けられる複数の配線が、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することができる。なお、本実施例においても、コネクタ110は、第2のFPC100Eの一方の面に設けられた複数の第2の配線120Eと電気的に接続すればよいので、表面実装により接続されるコネクタ(SMTコネクタ)を採用することができる。また、本実施例の場合には、第1のFPC100Dの一箇所に折り返し部を有するものの、2種類のFPCを用いればよいので、より一層、コストを抑制することができる。また、本実施例においては、第1のFPC100Dの一箇所に折り返し部を設けて、その一部を第2のFPC100Eに重ね合わせて、第1の配線120Dと第2の配線120Eを電気的に接続する場合の構成を示した。しかしながら、第2のFPC100Eの一箇所に折り返し部を設けて、その一部を第1のFPC100Dに重ね合わせて、第1の配線120Dと第2の配線120Eを電気的に接続する構成を採用することもできる。この場合には、複数の第1の配線120Dの電位を、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶように構成することができる。そして、第1のFPC100Dにコネクタ110が接続される。
【0074】
(実施例3)
図6には、本発明の実施例3が示されている。上記実施例1の構成において、バッテリの大型化に伴って配列されるセルの数が多いと、FPCの素材の大きさなど各種の理由から1つのFPCのみでは全てのセルの上部に取り付けられない場合がある。そこで、本実施例においては、上記実施例1の構成において、第1のフレキシブルプリント配線板と第2のフレキシブルプリント配線板がいずれも複数のフレキシブルプリント配線板により構成される場合を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0075】
図6はバッテリに本発明の実施例3に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。バッテリの構成については実施例1で説明した通りである。正極
及び負極のうちの少なくともいずれか一方により構成される電極の電位についても、実施例1で説明した通りである。なお、
図6においては、配線を省略している。
【0076】
本実施例に係るバッテリ監視モジュール100も、実施例1と同様に、第1~第3のフレキシブルプリント配線板を備えている。本実施例の場合には、第1のフレキシブルプリント配線板は2つのフレキシブルプリント配線板(以下、「第1のFPC100F1」「第1のFPC100F2」と称する)から構成される。また、第2のフレキシブルプリント配線板も2つのフレキシブルプリント配線板(以下、「第2のFPC100G1」「第2のFPC100G2」と称する)から構成される。また、バッテリ監視モジュール100は、第3のFPC100Hに接続されるコネクタ110も備えている。バッテリ監視モジュール100が電気自動車に搭載される電圧監視装置に用いられる場合には、コネクタ110は、ECUに設けられるコネクタに接続される。なお、
図6においては、バッテリ監視モジュールの要部の構成のみを示している。
【0077】
第1のFPC100F1、第1のFPC100F2、第2のFPC100G1、第2のFPC100G2及び第3のFPC100Hは、いずれもベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
【0078】
第1のFPC100F1と第1のFPC100F2とから構成される第1のFPCがバッテリの上部であって、幅方向の一方に配される点は実施例1と同様である。そして、第1のFPCにおける複数の第1の配線は、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される点についても実施例1と同様である。
【0079】
また、第2のFPC100G1と第2のFPC100G2とから構成される第2のFPCがバッテリの上部であって、幅方向の他方に配される点も実施例1と同様である。そして、第2のFPC100における複数の第2の配線は、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される点についても実施例1と同様である。
【0080】
そして、本実施例においては、第1のFPC100F1の一部と第1のFPC100F2の一部がそれぞれ第3のFPC100Hに重ね合わされる。そして、複数の第1の配線と、第3のFPC100Hにおける複数の第3の配線とが、FPC同士が重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続される。
【0081】
また、第2のFPC100G1の一部と第2のFPC100G2の一部がそれぞれ第3のFPC100Hに重ね合わされる。そして、複数の第2の配線と、複数の第3の配線とが、FPC同士が重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続される。どの配線とどの配線とを接続するかについては、実施例1の場合と同様である。これにより、本実施例においても、複数の第3の配線の電位は、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶように構成される。電気的接続部の構成については、実施例1で説明した通りである。
【0082】
以上のように構成される本実施例に係るバッテリ監視モジュール100においても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。実施例1と同様に、第1~第3のFPCにそれぞれ設けられる複数の配線が、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することができる。なお、本実施例においては、FPCの個数は増えるものの、大型のバッテリにも適用することができる。また、本実施例では、第1のFPCと第2のFPCはいずれも2つのFPCにより構成される場合を示したが、第3のFPCの長さを長くすることで、第1のFPCと第2のFPCをそれぞれ3つ以上で構成してもよい。なお、第3のFPCについても、複数のFPCを繋げて長
くするようにしてもよい。
【0083】
(実施例4)
図7には、本発明の実施例4が示されている。本実施例においても、上記実施例3と同様に、上記実施例1の構成において、第1のフレキシブルプリント配線板と第2のフレキシブルプリント配線板がいずれも複数のフレキシブルプリント配線板により構成される場合を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0084】
図7はバッテリに本発明の実施例4に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。バッテリの構成については実施例1で説明した通りである。正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方により構成される電極の電位についても、実施例1で説明した通りである。なお、
図7においては、配線を省略している。
【0085】
本実施例に係るバッテリ監視モジュール100も、実施例1と同様に、第1~第3のフレキシブルプリント配線板を備えている。本実施例の場合には、第1のフレキシブルプリント配線板は2つのフレキシブルプリント配線板(以下、「第1のFPC100I1」「第1のFPC100I2」と称する)から構成される。また、第2のフレキシブルプリント配線板も2つのフレキシブルプリント配線板(以下、「第2のFPC100J1」「第2のFPC100J2」と称する)から構成される。また、バッテリ監視モジュール100は、第3のFPC100Kに接続されるコネクタ110も備えている。バッテリ監視モジュール100が電気自動車に搭載される電圧監視装置に用いられる場合には、コネクタ110は、ECUに設けられるコネクタに接続される。なお、
図7においては、バッテリ監視モジュールの要部の構成のみを示している。
【0086】
第1のFPC100I1、第1のFPC100I2、第2のFPC100J1、第2のFPC100J2及び第3のFPC100Kは、いずれもベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
【0087】
本実施例においては、第1のFPC100I1の端部と、第1のFPC100I2の端部が接合され、かつ、それぞれに設けられた複数の第1の配線同士が電気的に接続されている。また、第2のFPC100J1の端部と、第2のFPC100J2の端部も接合され、かつ、それぞれに設けられた複数の第2の配線同士が電気的に接続されている。なお、複数の配線同士の電気的接続部については、実施例1で説明した構造を採用することができる。
【0088】
第1のFPC100I1と第1のFPC100I2とから構成される第1のFPCがバッテリの上部であって、幅方向の一方に配される点は実施例1と同様である。そして、第1のFPCにおける複数の第1の配線は、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる電極にそれぞれ接続される点についても実施例1と同様である。
【0089】
また、第2のFPC100J1と第2のFPC100J2とから構成される第2のFPCがバッテリの上部であって、幅方向の他方に配される点も実施例1と同様である。そして、第2のFPCにおける複数の第2の配線は、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる電極にそれぞれ接続される点についても実施例1と同様である。
【0090】
そして、本実施例においては、第1のFPC100I1の一部が第3のFPC100Kに重ね合わされる。そして、複数の第1の配線と、第3のFPC100Kにおける複数の第3の配線とが、FPC同士が重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続される。
【0091】
また、第2のFPC100J1の一部が第3のFPC100Kに重ね合わされる。そして、複数の第2の配線と、複数の第3の配線とが、FPC同士が重ね合わされた領域内でそれぞれ電気的に接続される。どの配線とどの配線とを接続するかについては、実施例1で説明した通りである。これにより、本実施例においても、複数の第3の配線の電位は、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶように構成される。電気的接続部の構成については、実施例1で説明した通りである。
【0092】
以上のように構成される本実施例に係るバッテリ監視モジュール100においても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。実施例1と同様に、第1~第3のFPCにそれぞれ設けられる複数の配線が、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することができる。なお、本実施例においては、FPCの個数は増えるものの、大型のバッテリにも適用することができる。また、本実施例では、第1のFPCと第2のFPCはいずれも2つのFPCにより構成される場合を示したが、第1のFPCと第2のFPCをそれぞれ3つ以上で構成してもよい。また、上記実施例2の構成においても、本実施例と同様に、第1のFPC100Dを複数のFPCで構成し、第2のFPC100Eを複数のFPCで構成することも可能である。
【符号の説明】
【0093】
10 セル
11 バスバ
50 ECU
51 コネクタ
100 バッテリ監視モジュール
100A,100D,100F1,100F2,100I1,100I2 第1のFPC
100B,100E,100G1,100G2,100J1,100J2 第2のFPC
100C,100H,100K 第3のFPC
100AX,100BX,100CX,100DX,100EX 素材
100HB,100HC 貫通孔
100bD 折り返し部
101B,101C ベースフィルム
102B,102C 導体部
103B,103C カバーフィルム
103HC 貫通孔
110 コネクタ
120A,120D 第1の配線
120B,120E 第2の配線
120C 第3の配線
211,212,250 接着剤(粘着剤)
220,260 補強部材
230,270 半田部
240,280 コーティング部
261 ピン状部