IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特開-回転電機 図1
  • 特開-回転電機 図2
  • 特開-回転電機 図3
  • 特開-回転電機 図4
  • 特開-回転電機 図5
  • 特開-回転電機 図6
  • 特開-回転電機 図7
  • 特開-回転電機 図8
  • 特開-回転電機 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071102
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/18 20060101AFI20230515BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20230515BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20230515BHJP
【FI】
H02K3/18 J
H02K21/22 A
H02K3/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183712
(22)【出願日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼司
(72)【発明者】
【氏名】芹沢 誠
(72)【発明者】
【氏名】木村 政光
【テーマコード(参考)】
5H603
5H621
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603BB02
5H603BB07
5H603BB09
5H603CA01
5H603CA05
5H603CA10
5H603CB02
5H603CB04
5H603CB12
5H603CB18
5H603CD02
5H603CD05
5H621BB07
5H621BB10
5H621GA04
5H621GB14
(57)【要約】
【課題】銅線の絶縁保持性が高く、製造時の配線作業が容易に行える回転電機を提供すること。
【解決手段】円周方向に沿って配置された複数の鉄心と該複数の鉄心のそれぞれに巻回された巻線とを有するステータと、円周方向に異なる磁性となるように配置された永久磁石を有するロータと、を備えた回転電機であって、前記巻線は、それぞれ渡り線で直列接続された第1の相の巻線と第2の相の巻線と第3の相の巻線とがデルタ結線で接続されており、前記第1の相の巻線と前記第3の相の巻線とにおける巻線方向は第1の巻線方向であり、前記第2の相の巻線における巻線方向は前記第1の巻線方向とは逆の第2の巻線方向であり、前記第1の相の巻線を接続する前記渡り線と前記第3の相の巻線を接続する前記渡り線とが前記ステータの第1の側面に配置され、前記第2の相の巻線を接続する前記渡り線が前記第1の側面の反対の第2の面に配置されている、回転電機。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周方向に沿って配置された複数の鉄心と該複数の鉄心のそれぞれに巻回された巻線とを有するステータと、
円周方向に異なる磁性となるように配置された永久磁石を有するロータと、を備えた回転電機であって、
前記巻線は、それぞれ渡り線で直列接続された第1の相の巻線と第2の相の巻線と第3の相の巻線とがデルタ結線で接続されており、前記第1の相の巻線と前記第3の相の巻線とにおける巻線方向は第1の巻線方向であり、前記第2の相の巻線における巻線方向は前記第1の巻線方向とは逆の第2の巻線方向であり、前記第1の相の巻線を接続する前記渡り線と前記第3の相の巻線を接続する前記渡り線とが前記ステータの第1の側面に配置され、前記第2の相の巻線を接続する前記渡り線が前記第1の側面の反対の第2の面に配置されている、
回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記直列接続された前記第1の相の巻線の第1の終端と前記直列接続された前記第3の相の巻線の第2の終端とが結線されており、
前記直列接続された前記第2の相の巻線の第2の終端と前記直列接続された前記第1の相の巻線の第2の終端とが結線されており、
前記直列接続された前記第3の相の巻線の第1の終端と前記直列接続された前記第2の相の巻線の第1の終端とが結線されている、
回転電機。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機であって、
前記第1の相の巻線の2つの前記終端と、前記第2の相の巻線の2つの前記終端と、前記第3の相の巻線の2つの前記終端とがそれぞれ結線された接点と外部への引き出し線との接続領域を前記第1の側面に有する、
回転電機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の回転電機であって、
前記回転電機は、前記ロータが回転することによって、前記巻線に起電力が生じる発電機として構成されている、
回転電機。
【請求項5】
円周方向に沿って配置された複数の鉄心と該複数の鉄心のそれぞれに巻回された巻線とを有するステータであって、
前記巻線は、それぞれ渡り線で直列接続された第1の相の巻線と第2の相の巻線と第3の相の巻線とがデルタ結線で接続されており、前記第1の相の巻線と前記第3の相の巻線とにおける巻線方向は第1の巻線方向であり、前記第2の相の巻線における巻線方向は前記第1の巻線方向とは逆の第2の巻線方向であり、前記第1の相の巻線を接続する前記渡り線と前記第3の相の巻線を接続する前記渡り線とが前記ステータの第1の側面に配置され、前記第2の相の巻線を接続する前記渡り線が前記第1の側面の反対の第2の面に配置されている、
ステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関し、詳細には、結線方式としてデルタ結線を採用した三相式回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三相式回転電機は、円周方向に交互にSN異なる磁性となるように配置された永久磁石を有するロータと対応するステータとを備え、ステータ上の円周方向に沿って配置された複数の鉄心に三相のコイルが巻回されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-254950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
三相のコイルの結線方式には、スター結線とデルタ結線という2つの結線方式があることが知られているが、デルタ結線方式のステータコイルの配線について考える。
【0005】
従来の三相式回転電機で用いられているデルタ結線方式のステータは、図6に示すように、円周に沿って並んだ鉄心に対して、三相のコイルを図7に示す順序で巻回して構成される。各相のコイルA、B、Cはそれぞれ渡り線で複数のコイルが直列接続されている。最初に、U相のコイルAをA1-A2-A3-A4-A5-A6の順に巻回し、次いでV相のコイルBをB1-B2-B3-B4-B5-B6の順に巻回し、W相のコイルCをC1-C2-C3-C4-C5-C6の順に巻回す。図7に示す順序では、すべての相のコイルが同じ方向に巻回されている。この際の端末処理は、接点XにおいてA1、C6が結線されており、接点YにおいてA6、B1が結線されており、接点ZにおいてB6、C1が結線されている。
【0006】
しかしながら、すべてのコイルが同じ方向に巻回されていると、接点XはA1、C6と近接しているが、接点YはA6、B1と接点ZはB6、C1と物理的に離れて配置されることとなる。このため、組み立て困難であり、かつ絶縁の保持にも不利であった。例えば、接点が離れていることによって、配線に浮きが出てきてしまうために接着剤の含浸作業が必要になったり、配線の取り間違えをしやすかったりする。
【0007】
図8はコイルが巻回された従来のデルタ結線方式のステータの外観を示す図である。図8(b)には、一方の面における外観を拡大した図である。従来のデルタ結線方式のステータでは、図8に示すように、各コイルを接続する渡り線は、同じ面で引き回されている。同じ面に渡り線が配置されているため、3本の渡り線が密集する箇所では、配線の重なりによる厚みが増大している。こうした厚みの増大は、近年の装置小型化の要請に沿ったものとはいえない。例えば、図8のステータを厚みに制限がある装置として構成する場合、渡り線が密集する箇所では慎重に製造時の配線作業をする必要があり、配線作業が容易ではない。
【0008】
特許文献1には、従来の配線方式とは異なり、三相のコイルのうちの一相のコイルのみの巻線方向を逆に巻回すことが提案されている。しかしながら、この文献に記載された方法では、渡り線は依然として同じ面で引き回されるため、以下のような問題がある。
【0009】
図9には、(a)従来のデルタ結線方式のステータにおける渡り線の構成と(b)特許文献1における渡り線の構成とが示されている。従来の構成では、図9(a)に示すとおり、すべての相の巻線方向は同じであったため、すべての鉄心において渡り線は同様に配線されている。しかしながら、特許文献1の構成では、図9(b)に示すとおり、三相のコイルのうちの一相のコイルのみの巻線方向を逆に巻回すために、逆に巻回したコイルの渡り線が斜めになってしまう。
【0010】
特許文献1の構成では、第1に、斜めになった渡り線が、隣接する鉄心にコイルを巻回す巻線作業の妨げになってしまう。巻線作業は、相ごとに行う必要があるが、特許文献1の構成では2番目に巻線作業を行う相を逆に巻回しているために、斜めとなった渡り線が、最後に巻線作業を行う相のコイルを巻回す巻き線作業の妨げになってしまう。
【0011】
さらに、特許文献1の構成では、図9(b)に示すように、斜めになった渡り線には他相の渡り線との接触箇所が生じる。斜めになった渡り線は、他相の渡り線と接触しながら反対面に引っ張られるため、接触箇所にかかるテンションによってすれが発生し、銅線のエナメル被膜に損傷が発生するおそれがある。銅線の被膜に損傷が発生すると、絶縁保持ができなくなる可能性がある。この場合、接触箇所においてショートを起こすおそれがある。
【0012】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、銅線の絶縁保持性が高く、製造時の配線作業が容易に行える回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
〔1〕上記課題を解決するために、本発明に係る回転電機は、円周方向に沿って配置された複数の鉄心と該複数の鉄心のそれぞれに巻回された巻線とを有するステータと、円周方向に異なる磁性となるように配置された永久磁石を有するロータと、を備えた回転電機であって、前記巻線は、それぞれ渡り線で直列接続された第1の相の巻線と第2の相の巻線と第3の相の巻線とがデルタ結線で接続されており、前記第1の相の巻線と前記第3の相の巻線とにおける巻線方向は第1の巻線方向であり、前記第2の相の巻線における巻線方向は前記第1の巻線方向とは逆の第2の巻線方向であり、前記第1の相の巻線を接続する前記渡り線と前記第3の相の巻線を接続する前記渡り線とが前記ステータの第1の側面に配置され、前記第2の相の巻線を接続する前記渡り線が前記第1の側面の反対の第2の面に配置されている。
【0014】
この態様によれば、銅線の絶縁保持性が高く、製造時の配線作業が容易に行える回転電機を提供することができる。
【0015】
〔2〕上記〔1〕に記載された回転電機において、前記直列接続された前記第1の相の巻線の第1の終端と前記直列接続された前記第3の相の巻線の第2の終端とが結線されており、前記直列接続された前記第2の相の巻線の第2の終端と前記直列接続された前記第1の相の巻線の第2の終端とが結線されており、前記直列接続された前記第3の相の巻線の第1の終端と前記直列接続された前記第2の相の巻線の第1の終端とが結線されていることとしてもよい。
【0016】
この態様によれば、巻線方向が逆であっても、電気的には従来と同じ回転電機として取り扱いすることができる。
【0017】
〔3〕上記〔2〕に記載された回転電機において、前記第1の相の巻線の2つの前記終端と、前記第2の相の巻線の2つの前記終端と、前記第3の相の巻線の2つの前記終端とがそれぞれ結線された接点と外部への引き出し線との接続領域を前記第1の側面に有することとしてもよい。
【0018】
この態様によれば、隣接する鉄心に渡る際および接続箇所に向かう際に使用する導線の量を減らすことができる。
【0019】
〔4〕上記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の回転電機において、前記回転電機は、前記ロータが回転することによって、前記巻線に起電力が生じる発電機として構成されていることとしてもよい。
【0020】
この態様によれば、銅線の絶縁保持性が高く、製造時の配線作業が容易に行える発電機を提供することができる。
【0021】
〔5〕上記課題を解決するために、本発明に係るステータは、円周方向に沿って配置された複数の鉄心と該複数の鉄心のそれぞれに巻回された巻線とを有するステータであって、前記巻線は、それぞれ渡り線で直列接続された第1の相の巻線と第2の相の巻線と第3の相の巻線とがデルタ結線で接続されており、前記第1の相の巻線と前記第2の相の巻線とにおける巻線方向は第1の巻線方向であり、前記第3の相の巻線における巻線方向は前記第1の巻線方向とは逆の第2の巻線方向であり、前記第1の相の巻線を接続する前記渡り線と前記第2の相の巻線を接続する前記渡り線とが前記ステータの第1の側面に配置され、前記第3の相の巻線を接続する前記渡り線が前記第1の側面の反対の第2の面に配置されている。
【0022】
この態様によれば、銅線の絶縁保持性が高く、製造時の配線作業が容易に行える回転電機に用いることができるステータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施の形態に係る発電機の概略構成を示す図である。
図2】コイルを巻く前のステータを示す図である。
図3】ステータにおいて巻回されるコイルの構成を示す図である。
図4】本実施の形態に係るステータにおけるコイルの渡り線の配置例を示す図である。
図5】本実施の形態に係る発電機のステータにおける巻線構造を示す図である。
図6】従来のステータにおいてコイルを巻く前のステータを示す図である。
図7】従来のステータにおいてステータにおいて巻回されるコイルの構成を示す図である。
図8】従来の発電機に用いられるステータにおけるコイルの渡り線を示す図である。
図9】従来の発電機に用いられるステータにおける巻線構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。以下の実施形態では、回転電機の一例として発電機を例に挙げて説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る発電機の概略構成を示す図である。図1において、(a)は、正面から見た発電機を示す図であり、(b)は(a)の発電機の断面を示す図である。
【0026】
図1に示すように、発電機1は、同軸に配置されたロータ10とステータ20とを備えて構成される。本実施の形態の発電機1は、アウターロータ型の発電機であり、ロータ10が端部においてステータ20を取り囲むように構成されている。
【0027】
ロータ10は、ロータ本体11と、マグネット12と、マグネットケース13とを有している。ロータ本体11は、クランクシャフトなどの回転体が挿入される回転軸Rを中心にロータ10が回転可能に構成されている。すなわち、クランクシャフトが回転すると、ロータ10が連動して回転軸Rを中心に回転することができる。ロータ本体11には、さらに、冷却用の孔h1が設けられている。
【0028】
マグネット12はマグネットケース13に保持された状態でロータ本体11の端部において円周状に配置されている。マグネット12は、円周方向に異なる磁性となるように配置された永久磁石である。例えば、着磁前のマグネット12を円周方向に配置した後に、一定間隔でN極とS極とが交互に並ぶように磁化されている。
【0029】
ステータ20は、ステータ本体21と、鉄心22と、コイル(巻線)23とを有している。コイル23は、周囲が絶縁被膜で覆われた導電性部材で構成することができる。ステータ本体21の外周に鉄心22が突出するように設けられており、鉄心22にはコイル23が巻回されている。ステータ本体21には、発電機1を固定するための固定ねじ等が挿入される孔h2が設けられている。
【0030】
発電機1では、ロータ10のマグネット12とステータ20のコイル23が巻回された鉄心22とが相対するように構成されている。かかる構成の発電機1において、ロータ10がクランクシャフトなどの回転体によって回転軸Rを中心に回転させられると、円周方向に交互にN極とS極とに磁化されたマグネット12が回転する。ロータ10の回転によって、マグネット12とステータ20の鉄心22との間に形成される磁界が変化する結果、電磁誘導作用によって鉄心22に巻回されたコイル23に生じた起電力によって誘起電流が流れることにより発電することができる。
【0031】
本実施の形態に係る発電機では、ステータに巻回されるコイルの構成によって、銅線の絶縁保持性が高く、製造時の配線作業が容易に行える構成としている。ステータに巻回されるコイルの構成についてさらに説明する。
【0032】
本実施の形態に係る発電機に用いられるステータ20は、3相のコイル23がデルタ結線により鉄芯22に巻回されている。本実施形態では、説明のために、3相18極構成のステータを例に挙げて説明するが、極数は特に限定されない。
【0033】
図2は、本実施形態のコイルを巻く前のステータを示す図である。図3は、本実施形態のステータにおいて巻回されるコイルの構成を示す図である。
【0034】
図2には、18極の鉄心22_1、22_2、22_3、22_4、22_5、22_6、22_7、22_8、22_9、22_10、22_11、22_12、22_13、22_14、22_15、22_16、22_17、22_18が示されている。なお、鉄心22_1~22_18のそれぞれを区別しない場合には、単に、「鉄心22」と表記する場合がある。
【0035】
図3には、渡り線24aで直列接続されたコイル23_1(U1)、23_2(U2)、23_3(U3)、23_4(U4)、23_5(U5)、23_6(U6)と、渡り線24bで直列接続されたコイル23_7(V1)、23_8(V2)、23_9(V3)、23_10(V4)、23_11(V5)、23_12(V6)と、渡り線24cで直列接続されたコイル23_13(W1)、23_14(W2)、23_15(W3)、23_16(W4)、23_17(W5)、23_18(W6)が示されている。なお、コイル23_1~23_18のそれぞれを区別しない場合には、単に、「コイル23」と表記する場合がある。同様に、渡り線24a、24b、24cのそれぞれを区別しない場合には、単に、「渡り線24」と表記する場合がある。
【0036】
図3に示すコイルの構成においては、コイル23_1(U1)、23_2(U2)、23_3(U3)、23_4(U4)、23_5(U5)、23_6(U6)がU相(第1の相)に巻回されるコイル23Uであり、コイル23_7(V1)、23_8(V2)、23_9(V3)、23_10(V4)、23_11(V5)、23_12(V6)がV相(第2の相)に巻回されるコイル23Vであり、コイル23_13(W1)、23_14(W2)、23_15(W3)、23_16(W4)、23_17(W5)、23_18(W6)がW相(第3の相)に巻回されるコイル23Wである。なお、23U、23V、23WにおけるU1~U6、V1~V6、W~W6は、各相を識別するために便宜的に用いている。
【0037】
図2、3に示す構成では、18極の鉄心22_1(U1)、22_2(V1)、22_3(W1)、22_4(U2)、22_5(V2)、22_6(W2)、22_7(U3)、22_8(V3)、22_9(W3)、22_10(U4)、22_11(V4)、22_12(W4)、22_13(U5)、22_14(V5)、22_15(W5)、22_16(U6)、22_17(V6)、22_18(W6)に対して、18個のコイル23_1(U1)、23_2(U2)、23_3(U3)、23_4(U4)、23_5(U5)、23_6(U6)、23_7(V1)、23_8(V2)、23_9(V3)、23_10(V4)、23_11(V5)、23_12(V6)、コイル23_13(W1)、23_14(W2)、23_15(W3)、23_16(W4)、23_17(W5)、23_18(W6)をそれぞれ対応する位置に巻回すことができる。
【0038】
すなわち、U相については、鉄心22_1(U1)にコイル23_1(U1)を巻回し、鉄心22_4(U2)にコイル23_2(U2)を巻回し、鉄心22_7(U3)にコイル23_3(U3)を巻回し、鉄心22_10(U4)にコイル23_4(U4)を巻回し、鉄心22_13(U5)にコイル23_5(U5)を巻回し、鉄心22_16(U6)にコイル23_6(U6)を巻回す。
【0039】
V相については、鉄心22_2(V1)にコイル23_7(V1)を巻回し、鉄心22_5(V2)にコイル23_8(V2)を巻回し、鉄心22_8(V3)にコイル23_9(V3)を巻回し、鉄心22_11(V4)にコイル23_10(V4)を巻回し、鉄心22_14(V5)にコイル23_11(V5)を巻回し、鉄心22_17(V6)にコイル23_12(V6)を巻回す。
【0040】
W相については、鉄心22_3(W1)にコイル23_13(W1)を巻回し、鉄心22_6(W2)にコイル23_14(W2)を巻回し、鉄心22_9(W3)にコイル23_15(W3)を巻回し、鉄心22_12(W4)にコイル23_16(W4)を巻回し、鉄心22_15(W5)にコイル23_17(W5)を巻回し、鉄心22_18(W6)にコイル23_18(W6)を巻回す。
【0041】
このように、鉄心22に対して、U相、V相、W相のコイル23を巻回す位置は、真ん中の相であるV相のみ異なる。この構成によれば、真ん中の相であるV相のコイルの巻線方向のみ巻線方向が逆であっても、U相、V相、W相のコイル23U、23V、23Wの終端における電気的性質は、図6、7に示した従来のステータ20と同じとなる。
【0042】
図3に示すコイルの構成においては、U相(第1相)のコイル23UとW相(第3相)のコイル23Wとは同じ巻線方向で巻回されており、V相(第2相)のコイル23Vのみが逆の巻線方向で巻回されている。また、3相のコイル23U、23V、23Wは、デルタ結線により接続されている。すなわち、U相(第1相)に巻回されるコイル23Uの終端U1(第1の終端)とW相(第3相)に巻回されるコイル23Wの終端W6(第2の終端)とが接点Xにおいて接続されており、V相(第2相)に巻回されるコイル23Vの終端V6(第2の終端)とU相(第1相)に巻回されるコイル23Uの終端U6(第2の終端)とが接点Yにおいて接続されており、W相に巻回されるコイル23Wの終端W1(第1の終端)とV相に巻回されるコイル23Vの終端V1(第1の終端)とが接点Zにおいて接続されている。
【0043】
本実施形態のステータ20では、3相のうちの真ん中の相であるV相のコイル23Vのみが逆の巻線方向で巻回されているので、V相のコイル23Vは接点に対して逆向きの並びになる。すなわち、U相のコイル23UとV相のコイル23Vとは、コイル23_6(U6)の終端(第2の終端)とコイル23_12(V6)の終端(第2の終端)とにおいて接続され、V相のコイル23VとW相のコイル23Wとは、コイル23_7(V1)の終端(第1の終端)とコイル23_13(W1)の終端と(第1の終端)において接続されている。さらに、W相のコイル23WとU相のコイル23Uとは、コイル23_18(W6)の終端(第2の終端)とコイル23_1(U1)の終端(第1の終端)とにおいて接続される。
【0044】
このように、V相のコイル23Vのみが逆の巻線方向で巻回されていることによって、各接点X、Y、Zでは、隣接する鉄心に巻回されるコイルの終端が接続されることとなる。すなわち、接点Xでは、隣接する鉄心W6とU1に巻回されるコイルの終端において接続され、接点Yでは、隣接する鉄心U6とV6に巻回されるコイルの終端において接続され、接点Zでは、隣接する鉄心V1とW1に巻回されるコイルの終端において接続される。この構成により、接続されるコイルの終端が物理的に近接することとなり、組み立てが容易であり、かつ絶縁の保持にも有利となる。
【0045】
また、本実施形態のステータ20では、U相とW相のコイル23U、23Wの渡り線24a、24cは同じ面に配置されており、V相のコイル23Vの渡り線24bのみが反対の面に配置されている。
【0046】
図4は、本実施形態に係るステータにおけるコイルの渡り線の配置例を示す図である。
【0047】
図4には、U相のコイル23_1(U1)、23_2(U2)の渡り線24aと、V相のコイル23_7(V1)、23_8(V2)の渡り線24bと、W相のコイル23_13(W1)、23_14(W2)の渡り線24cとが示されている。本実施形態に係るステータ20においては、図4に示すように、U相のコイル23Uの渡り線24aとW相のコイル23Wの渡り線24cとはA面に配置されており、V相のコイル23Vの渡り線24bのみがA面とは反対に位置するB面に配置されている。このような構成にすることにより、V相のコイル23Vのみを他相のコイル23U、23Wとは巻線方向が逆方向となるように巻回されていても、斜めの渡り線が形成されることがない。このため、渡り線24が他相のコイル23の巻き線作業の妨げとなりにくく、他相のコイル23の渡り線24との接触箇所における絶縁被膜の損傷が生じにくい。
【0048】
さらに、本実施の形態に係る発電機では、ステータに巻回される3相のコイル23を3本別々に用意して、鉄心22にコイル23巻いてから接点X、Y、Zにおいて結線するのではなく、接点X、Y、Zにおいて予め1本に結線した3相のコイル23を、鉄心22に巻くこととしてもよい。
【0049】
この場合、最初に、U相のコイル23UをU1-U2-U3-U4-U5-U6の順に巻回し、次いでV相のコイル23VをV6-V5-V4-V3-V2-V1の順に巻回し、W相のコイル23WをW1-W2-W3-W4-W5-W6の順に巻回すことができる。このような順番でコイル23を巻回すことによって、巻き線作業が容易になる。巻線作業には、例えば、ニードル式巻線器を用いることができる。
【0050】
図5は、本実施形態に係る発電機のステータにおける巻線構造を示す図である。図5において、(a)はコイルが巻回されたステータの外観を示しており、(b)は、A面における一部の外観を拡大した図であり、(c)は、B面における一部の外観を拡大した図である。
【0051】
図5に示すように、本実施の形態に係る発電機のステータ20は、U相のコイル23Uの渡り線24aとW相のコイル23Wの渡り線24cとはA面に配置されており、V相のコイル23Vの渡り線24bはB面に配置されている。このため、渡り線24の重なりは最大でも2本となるため、厚みに制約がある製造工程において線を押し込んだり、接着剤の含浸作業をしたりする必要がなくなるため、巻き線作業が容易となる。
【0052】
また、図5(a)に示す実施形態では、U相のコイル23Uの2つの終端と、V相のコイル23Vの2つの終端と、W相のコイル23Wの2つの終端とがそれぞれ結線された接点X、Y、Zと外部への引き出し線との接続領域をA面に有している。このように接点X、Y、Zと外部への引き出し線との接続領域を、2つの渡り線24a、24cが配置された面であるA面に配置することによって、隣接する鉄心に渡る際および接続箇所に向かう際に使用する導線の量を減らすことができる。しかしながら、この構成は必須ではなく、接続領域をB面に有することとしてもよい。
(実施の形態の拡張)
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0053】
以上の実施形態では、回転電機として発電機を例に挙げて説明したがこれに限定されない、モータなどの他の回転電機であってもよい。モータとして構成する場合は、コイル23に電流を流すことによって、電磁誘導作用によって鉄心22が磁化されて、マグネット12と反発したり引き合ったりすることによって、ロータ10が回転する。
【0054】
以上の実施形態では、巻線の第1の相がU相、巻線の第2の相がV相、巻線の第3の相がW相である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。さらに巻線を巻く順番も、第1の相、第2の相、第3の相の順番に巻くことに限定されない。
【符号の説明】
【0055】
1・・・発電機、10・・・ロータ、11・・・ロータ本体、12・・・マグネット、13・・・マグネットケース、20・・・ステータ、21・・・ステータ本体、22(22_1、22_2、22_3、22_4、22_5、22_6、22_7、22_8、22_9、22_10、22_11、22_12、22_13、22_14、22_15、22_16、22_17、22_18)・・・鉄心、23(23_1(U1)、23_2(U2)、23_3(U3)、23_4(U4)、23_5(U5)、23_6(U6)、23_7(V1)、23_8(V2)、23_9(V3)、23_10(V4)、23_11(V5)、23_12(V6)、コイル23_13(W1)、23_14(W2)、23_15(W3)、23_16(W4)、23_17(W5)、23_18(W6) )・・・コイル(巻線)、h1、h2・・・孔、24(24a、24b、24c)・・・渡り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9