(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071140
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071949
(22)【出願日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0153890
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ムーン
(72)【発明者】
【氏名】リー、タク ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ホー
(72)【発明者】
【氏名】パク、セオル ギョン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
(57)【要約】
【課題】電気的特性、構造的安定性が向上した外部電極構造を有する積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成されて上記内部電極と接続された第1層及び上記第1層を覆う第2層を含む外部電極を含み、上記第1層はA元素を含む金属粒子、上記金属粒子に形成されたZ元素の酸化物及びA-B金属間化合物相を含み、ここで、上記Z元素は上記A元素よりもイオン化傾向が高い積層型キャパシタを提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の外部に形成されて前記内部電極と接続された第1層及び前記第1層を覆う第2層を含む外部電極と、を含み、
前記第1層は、A元素を含む金属粒子、前記金属粒子に形成されたZ元素の酸化物、及びA-Z金属間化合物相を含み、ここで、前記Z元素は前記A元素よりもイオン化傾向が高い、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記Z元素の酸化物は、前記金属粒子の表面に存在する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記A-Z金属間化合物相は、前記金属粒子の内部に存在する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記第1層は、前記A元素の酸化物をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記A元素の酸化物は、前記金属粒子の表面に存在する、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記金属粒子の一部は、前記A元素の酸化物を含まない、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記A元素は、Ni、Ag、Pd及びAuから構成された群から選択された少なくとも1つの元素である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記第2層はCuめっき層である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記Z元素は、Mn、Cr、Si、Sb、Fe、Nb、Al、B、及びZrから構成された群から選択された少なくとも1つの元素である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記第2層は、前記A元素の拡散領域を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記拡散領域は、前記第2層をなす金属成分の粒界に存在する、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記第2層は、前記Z元素の拡散領域を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記拡散領域は、前記第2層をなす金属成分の粒界に存在する、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記第2層は、前記A元素及び前記Z元素の拡散領域を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記拡散領域は、前記第2層をなす金属成分の粒界に存在する、請求項14に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記本体の内部に配置され、前記複数の内部電極の最上部及び最下部の少なくとも1つの位置に配置されたダミー電極をさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記複数の内部電極の積層方向から見たとき、一辺が(250+n×350)μmの-10%と+10%との間に該当する長さを有し、ここで、nは自然数である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
前記複数の内部電極の積層方向に測定した長さを厚さとするとき、70μm以下の厚さを有する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタは電気を蓄えることができる素子であり、一般的に2つの電極を対向させて電圧をかけると、各電極に電気が蓄積される原理を用いる。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されてキャパシタ内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合、電極の極性が交変しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
このようなキャパシタは、電極間に備えられる絶縁体の種類に応じて、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシタ、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシタ、電極間にチタン酸バリウムなどの高誘電率の誘電体を用いるセラミックキャパシタ、電極間に備えられる誘電体として高誘電率系セラミックを多層構造で用いる積層セラミックキャパシタ(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシタなど様々な種類に区分することができる。
【0004】
この中で、積層セラミックキャパシタは温度特性及び周波数特性に優れ、小型で実現可能であるという利点を有しており、最近では、高周波回路などの多様な分野で多く応用されている。最近では、積層セラミックキャパシタをさらに小さく実現するための試みが続けられており、このために誘電体層、内部電極、外部電極を薄く形成している。
【0005】
最近では、電子部品の厚さの減少要求が高まっており、これにより、積層セラミックキャパシタの厚さを薄くするための研究が続けられているが、厚さが薄くなる場合、積層セラミックキャパシタの電気的特性を十分に確保することは難しい。また、外部電極を薄く形成する場合、電極の機械的強度や電気的特性が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的のうち一つは、電気的特性が向上した外部電極構造を有する積層型キャパシタを提供することである。本発明の目的のうち他の一つは、構造的安定性が向上した外部電極構造を有する積層型キャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は一例によって積層型キャパシタの新規構造を提案しようとするものであり、具体的には、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に形成されて上記内部電極と接続された第1層及び上記第1層を覆う第2層を含む外部電極を含み、上記第1層は、A元素を含む金属粒子、上記金属粒子に形成されたB元素の酸化物及びA-B金属間化合物相を含み、ここで、上記BはAよりもイオン化傾向がさらに高い形態である。
【0008】
一実施形態において、上記Z元素の酸化物は上記金属粒子の表面に存在することができる。
【0009】
一実施形態において、上記A-B金属間化合物相は上記金属粒子の内部に存在することができる。
【0010】
一実施形態において、上記第1層は上記A元素の酸化物をさらに含むことができる。
【0011】
一実施形態において、上記A元素の酸化物は上記金属粒子の表面に存在することができる。
【0012】
一実施形態において、上記金属粒子の一部は、上記A元素の酸化物を含まないことができる。
【0013】
一実施形態において、上記A元素は、Ni、Ag、Pd及びAuから構成された群から選択された少なくとも1つの元素であることができる。
【0014】
一実施形態において、上記第2層はCuめっき層であることができる。
【0015】
一実施形態において、上記Z元素は、Mn、Cr、Si、Sb、Fe、Nb、Al、B、及びZrから構成された群から選択された少なくとも1つの元素であることができる。
【0016】
一実施形態において、上記第2層は上記A元素成分の拡散領域を含むことができる。
【0017】
一実施形態において、上記拡散領域は、上記第2層をなす金属成分の粒界に存在することができる。
【0018】
一実施形態において、上記第2層は上記Z元素成分の拡散領域を含むことができる。
【0019】
一実施形態において、上記第2層は上記A元素成分及びZ元素成分の拡散領域を含むことができる。
【0020】
一実施形態において、上記本体の内部に配置され、上記複数の内部電極の最上部及び最下部の少なくとも1つの位置に配置されたダミー電極をさらに含むことができる。
【0021】
一実施形態において、上記複数の内部電極の積層方向から見たとき、一辺が(250+n×350)μmの-10%と+10%との間に該当する長さを有し、ここで、nは自然数であることができる。
【0022】
一実施形態において、上記積層型キャパシタは上記複数の内部電極の積層方向に測定した長さを厚さとするとき、70μm以下の厚さを有することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一例による積層型キャパシタに含まれる外部電極の場合、構造的安定性、電気的特性の少なくとも1つの特性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの外観を概略的に示した斜視図である。
【
図4】外部電極の一部領域を拡大して示した図面である。
【
図5】外部電極の金属粒子を拡大して示した図面である。
【
図6】外部電極の一部領域を拡大して示した図面である。
【
図7】本発明の変形例による積層型キャパシタを示した図面である。
【
図8】本発明の変形例による積層型キャパシタを示した図面である。
【
図9】本発明の変形例による積層型キャパシタを示した図面である。
【
図10】本発明の変形例による積層型キャパシタを示した図面である。
【
図11】本発明の変形例による積層型キャパシタを示した図面である。
【
図12】本発明の変形例による積層型キャパシタを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0026】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの外観を概略的に示した斜視図であり、
図2及び
図3は、
図1の断面図に該当する図面であり、
図4及び
図6は、外部電極の一部領域を拡大して示した図面であり、
図5は、外部電極の金属粒子を拡大して示した図面である。
【0028】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタ100は、誘電体層111及びこれを間に挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110、そして、外部電極131、132を含む。ここで、外部電極131、132は、第1層131a、132a及び第2層131b、132bを含み、さらに第3層131c、132cを含むことができる。
図4及び
図5に示した形態のように、第1層131a、132aの場合、金属粒子140、これに形成されたZ元素の酸化物141及びA-Z金属間化合物相142を含むが、ここで、上記Aは金属粒子に含まれた金属元素である。そして、上記Z元素は上記A元素よりもイオン化傾向がさらに高い。
【0029】
本体110は、複数の誘電体層111が第1方向(X方向)に積層された積層構造を含み、例えば、複数のグリーンシートを積層した後に焼結して得られる。このような焼結工程によって、複数の誘電体層111は一体化した形態を有することができ、複数のグレインを含むことができる。そして、
図1に示した形態のように、本体110は直方体と類似した形状を有することができる。本体110に含まれた誘電体層111は、高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えば、BT系、すなわち、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量が得られる限り、当技術分野で知られている他の物質も使用可能である。誘電体層111には、主成分であるこのようなセラミック材料と併せて必要な場合には添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで、添加剤の場合、これらは製造過程において金属酸化物の形態で添加されることができる。このような金属酸化物の添加剤の例として、MnO
2、Dy
2O
3、BaO、MgO、Al
2O
3、SiO
2、Cr
2O
3及びCaCO
3の少なくとも1つの物質を含むことができる。
【0030】
複数の内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定厚さで導電性金属(例えば、Ni、Ag、Cu、Ti、Pdなど)を含むペーストを印刷した後、これを焼結して得られる。この場合、複数の内部電極121、122は、本体110の互いに対向する方向に露出した第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる外部電極131、132と連結されて駆動する際に互いに異なる極性を有することができ、これらの間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。但し、外部電極131、132の個数や内部電極121、122との連結方式は実施形態によって変わることができる。
【0031】
外部電極131、132は、本体110の外部に形成されて内部電極121、122と接続され、具体的には、本体110で互いに対向する面に配置された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。外部電極131、132は、第1層131a、132a及び第2層131b、132bを含み、ここで、第2層131b、132bはめっき層であることができる。さらに具体的には、第2層131b、132bはCuめっき層であることができる。そして、第3層131c、132cもめっき層であることができ、例えば、4.5μm以上の厚さを有するSnめっき層であることができる。
【0032】
本実施形態の場合、外部電極131、132に含まれた第1層131a、132aは、構造的安定性及び高い電気導電性を有するように考案された構造として、上述したようにA元素を含む金属粒子140と金属粒子140に形成されたZ元素の酸化物141及びA-Z金属間化合物相142を含む。ここで、上記A元素は、電気導電性に優れ、第2層131b、132bに拡散する上で適した元素として選択されることができ、例えば、Ni、Ag、Pd及びAuから構成された群から選択された少なくとも1つの元素であることができる。この場合、第1層131a、132aは、導電性ペーストを焼結して得られた焼結電極層であることができ、金属成分以外にガラス成分などをさらに含むことができる。したがって、
図4などに示された形態とは異なって金属粒子140は、焼結後の粒子間の境界が区別されない可能性がある。以下では、上記A元素を代表的な例としてNiを基準に説明するが、Ni以外の他の元素を用いることもできる。金属粒子140のNiを含む場合、Ni成分は第2層131b、132bに拡散して第1層131a、132aと第2層131b、132bとの密着力が向上することができ、これによって外部電極131、132の構造的安定性が向上することができる。
【0033】
このような密着力向上の効果は、金属粒子140が酸化されてNi酸化物が生じる場合に低下するおそれがあるが、これはNi酸化物によってNi成分の拡散が減るためである。また、このようなNi酸化物が多く発生するほど、第1層131a、132aの電気導電性は低くなることがある。本実施形態では、Ni酸化物の発生を最小化するためにイオン化傾向(あるいは酸化傾向)が比較的高いZ元素を添加した。ここで、上記Z元素は、Mn、Cr、Si、Sb、Fe、Nb、Al、B及びZrから構成された群から選択された少なくとも1つの元素であることができる。以下では、Z元素がAlである場合を例に挙げて説明するが、Al以外に上述した金属元素を用いることもできる。
【0034】
第1層131a、132aを形成するために、Ni粒子にAl成分を添加することができ、ここでのAl成分は粒子形態であることができる。但し、Al成分はNi粒子表面にコーティングされた形態であることもできる。焼結過程において、Al成分はAl酸化物(例:Al
2O
3)を形成するが、この過程でイオン化傾向がAlよりも低いNiの酸化は抑制されることができる。すなわち、NiOはAlと反応して還元され、この過程で逆にAlは酸化されるため、NiOの生成が抑制されることができる。
図5に示された形態のように、このようなAl酸化物、すなわち、Z元素の酸化物141は、金属粒子140の表面に存在することができる。このようなZ元素の酸化物141によってNiの酸化が抑制されることができるため、Ni粒子140の電気導電性が向上することができる。また、Alのイオン化傾向によるNiの酸化防止効果以外に、Ni粒子140の表面に形成されたAl
2O
3膜はそれ自体でもNiの酸化を防止することができる。このようにNiOの発生が低減される場合、第1層131a、132aの電気導電性が向上するとともに、第2層131b、132bに拡散されるNi成分の量が増加する可能性があるため、第1層131a、132a及び第2層131b、132bの密着力も強化されることができる。一方、Z元素の酸化物141は、ラマン分析によってその存在有無及び酸化程度を確認することができる。
【0035】
金属粒子140はA-Z金属間化合物相142を含むが、この場合、A-Z金属間化合物相142は金属粒子140の内部に存在することができる。A-Z金属間化合物相142が形成される場合、第2層131b、132bへの拡散性がさらに向上することができるため、第1層131a、132a及び第2層131b、132bの密着力がさらに強化されることができる。例えば、Ni粒子140にAl成分を添加する場合、Ni-Al金属間化合物は、NiAl
3、Ni
2Al
3、NiAl、Ni
5Al
3、Ni
3Alなどを含むことができる。
図5は一部金属粒子140を示すが、金属粒子140の内部にA-Z金属間化合物相142が存在し、表面にはZ元素の酸化物141が存在する。これに加えて、金属粒子140の表面にはA元素の酸化物143、すなわち、Ni酸化物が形成されることができる。但し、上述したように、本実施形態ではZ元素の酸化物141の発生を最小化し、金属粒子140の一部はA元素の酸化物143を含まないことができる。
【0036】
図6は、第1層131a、132aから一部成分が第2層131b、132bに拡散して拡散領域144が形成された例を示す。上述したように、第2層131b、132bはCuめっき層であることができ、上記A元素、例えば、Ni成分の拡散領域144を含むことができる。これによって、拡散領域144はCu-Niの金属間化合物を含むことができる。さらに、拡散領域144は、上記Z成分、例えば、Al成分を含むことができ、これによって拡散領域144はCu-Alの金属間化合物を含むことができる。さらに、上記A元素とZ元素がすべて拡散して拡散領域144が形成されることもでき、これによって拡散領域144はCu-Ni-Alの金属間化合物を含むことができる。このような拡散が起こる場合、第2層131b、132bの拡散領域144は、第2層131b、132bをなす金属成分、例えば、Cuの粒界に存在することができる。
【0037】
以下、
図7~12を参照して変形例による積層型キャパシタを説明する。上述した外部電極を有する積層型キャパシタは、構造的安定性及び電気的特性に優れるため、小型化された部品に適用する上で適しており、特に薄い厚さを有する積層型キャパシタに採用される場合、その効果が顕著である。
図7の実施形態の場合、内部電極121、122の他にさらにダミー電極123、124が配置されており、これにより積層型キャパシタの厚さが薄い場合でも十分な剛性を確保することができる。この場合、積層型キャパシタの厚さTは、複数の内部電極121、122の積層方向(X方向)に測定した長さと定義されることができ、70μm以下であることができる。このような厚さ条件は、前の実施形態及び後の実施形態のいずれにも適用されることができる。ダミー電極123、124の場合、隣接した内部電極121、122と同一の形態で形成され、同一の極性の外部電極131、132と接続されることができる。但し、ダミー電極123、124は、隣接した内部電極121、122と異なる形状を有することもでき、外部電極131、132と接続されないこともできる。
図7には、ダミー電極123、124は、本体110の上部及び下部にそれぞれ1つずつ適用された例が示されているが、本体110の上部及び下部にそれぞれ複数個備えられることもできる。また、ダミー電極123、124は、以下の実施形態にも適用されることができる。
【0038】
次に、
図8の実施形態は、外部電極の形状の面で前の実施形態と差異がある。本変形例の場合、外部電極131'、132'は、いわゆる下面電極形態として本体110の側面及び下面を覆うように形成される。この場合、外部電極131'、132'は、上述した外部電極131、132と同一の多層構造、すなわち、第1層131a、132a及び第2層131b、132bを含むことができる。下面電極構造を採用することにより、外部電極131'、132'の全体的な大きさ(X方向の長さ)を減らすことができるため、積層型キャパシタの薄型化に有利である。そして、このような下面電極構造は以下の実施形態にも適用されることができる。
【0039】
次に、
図9~
図12の実施形態は、積層型キャパシタ200が4端子正方形構造を有するが、これは薄い厚さでも高い剛性を維持する上で適した形態に該当する。本体210は、誘電体層211及び複数の内部電極221、222を含み、複数の内部電極221、222の積層方向(X方向)から見たとき、正方形構造を有することができ、これにより積層型キャパシタ200も全体的に正方形に類似した形態になることができる。積層型キャパシタ200の大きさは、例えば、X方向から見たとき、一辺の長さA1、A2が(250+n×350)μmであり、ここでnは自然数であることができる。例えば、nが1である場合、積層型キャパシタ200は、600μm×600μmの大きさを有する。但し、誤差範囲を考慮して一辺の長さA1、A2は(250+n×350)μmの-10%と+10%との間に該当する値を有することができる。ここで、一辺の長さが350μmの倍数に大きくなるようにした理由は、実装時のはんだボールなどのピッチ値を考慮するためである。そして、積層型キャパシタ200の厚さTはX方向に測定した長さを基準に70μm以下に薄く実現することができる。一方、積層型キャパシタ200の厚さT及び一辺の長さA1、A2は、多数の領域で測定された値のうち最大値を意味することができ、これとは異なり、多数の値を平均した値であることもできる。
【0040】
本変形例において、外部電極231、232は、上述した外部電極131、132と同一の多層構造、すなわち、第1層231a、232a及び第2層231b、232bを含み、さらに第3層231c、232cを含むことができる。
【0041】
図11及び
図12を参照すると、第1内部電極221は一対の第1外部電極231と接続され、第1メイン部211a及び第1引き出し部211bを含むことができる。第1引き出し部211bの場合、第1メイン部211aから本体210の第1及び第2角C1、C2を連結する斜め方向に延長して第1外部電極231と接続されることができる。第2内部電極212は、一対の第2外部電極232と接続され、第2メイン部212a及び第2引き出し部212bを含むことができる。第2引き出し部212bの場合、第2メイン部212aから本体210の第3及び第4角C3、C4を連結する斜め方向に延長して第2外部電極232と接続されることができる。
【0042】
第1外部電極231は、本体110において互いに隣接していない第1角C1及び第2角C2にそれぞれ配置され、第1内部電極211と接続され、このために一対以上備えられることができる。これと類似して、第2外部電極232は、本体210において互いに隣接していない第3角C3及び第4角C4にそれぞれ配置され、第2内部電極222と接続され、このために一対以上備えられることができる。図示の形態のように、第1及び第2外部電極231、232は、本体210において第1及び第2内部電極221、222の積層方向(X方向)に対向する面にそれぞれ形成され、本体210の側面の一部を覆うように延長した形態であることができる。
【0043】
本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であることは、当技術分野の通常の知識を有する者には自明であり、これも添付の特許請求の範囲に記載された技術的思想に属するといえる。
【符号の説明】
【0044】
100 積層型キャパシタ
110 本体
111 誘電体層
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 第1層
131b、132b 第2層
131c、132c 第3層
140 金属粒子
141 Z元素の酸化物
142 A-Z金属間化合物相
143 A元素の酸化物
144 拡散領域