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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071155
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20230515BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133947
(22)【出願日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2021183442
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】勝木 琢也
(57)【要約】
【課題】アシストモータからバッテリまでの構成を簡略化できる人力駆動車用の制御装置を提供する。
【解決手段】人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するアシストモータと、前記アシストモータの回転によって発生する回生電力を充電可能に構成されるバッテリと、を含み、前記制御装置は、前記バッテリの状態に応じて、前記アシストモータの回生トルクを制御するように構成される制御部を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するアシストモータと、前記アシストモータの回転によって発生する回生電力を充電可能に構成されるバッテリと、を含み、
前記バッテリの状態に応じて、前記アシストモータの回生トルクを制御するように構成される制御部を備える、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記バッテリの状態に応じて、前記回生トルクの上限値を制御するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記バッテリの状態および前記アシストモータの状態に応じて、前記上限値を制御するように構成される、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記アシストモータの状態は、前記アシストモータの回転速度、出力トルク、および、回生電力量の少なくとも1つを含む、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記回転速度は、前記アシストモータの軸角速度を含む、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記人力駆動車は、前記アシストモータの状態を検出する第1検出部をさらに含む、請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記アシストモータをPWM(Pulse Width Modulation)制御するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記人力駆動車は、前記人力駆動車を制動する電動ブレーキをさらに含み、
前記アシストモータは、前記電動ブレーキとは別体であり、回生制動によって前記人力駆動車を制動可能に構成され、
前記制御部は、前記人力駆動車の要求制動力に応じて前記人力駆動車を制動する場合、前記要求制動力に対して前記回生制動では不足する制動力を、前記電動ブレーキによる制動力によって補うように制御するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記要求制動力と前記回生制動による制動力との差に応じて、前記電動ブレーキを制御するように構成される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記人力駆動車は、搭乗者が前記電動ブレーキを操作するための操作装置を含み、
前記制御部は、前記操作装置の操作量に応じて前記要求制動力を算出するように構成される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記人力駆動車の状態に応じて前記要求制動力を算出するように構成され、
前記人力駆動車の状態は、車速、加速度、および、前記人力駆動車に入力される人力駆動力の少なくとも1つを含む、請求項8に記載の制御装置。
【請求項12】
前記電動ブレーキは、摩擦ブレーキを含む、請求項8に記載の制御装置。
【請求項13】
前記アシストモータの特性に関する情報を記憶する記憶部をさらに含み、
前記制御部は、前記アシストモータの特性に関する情報に応じて前記回生トルクを制御するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
前記アシストモータの特性に関する情報を記憶する記憶部をさらに含み、
前記制御部は、前記アシストモータの特性に関する情報に応じて前記電動ブレーキを制御するように構成される、請求項8に記載の制御装置。
【請求項15】
前記アシストモータの特性に関する情報は、前記アシストモータに入力される前記回生トルクと、前記回生電力と、の関係に関する情報を含む、請求項13に記載の制御装置。
【請求項16】
前記バッテリの状態は、前記バッテリの充電量、充電可能量、および、上限電流値の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項17】
前記人力駆動車は、前記バッテリの状態を検出する第2検出部をさらに含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項18】
前記バッテリは、前記アシストモータに電力を供給可能に構成され、
前記制御部は、前記バッテリの電力の前記アシストモータへの供給を制御するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項19】
前記アシストモータは、前記人力駆動車のクランク軸からフロントスプロケットまでの間における人力駆動力の伝達経路に設けられる合力部に前記推進力を付与するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項20】
前記クランク軸から前記合力部までの間における前記伝達経路には、ワンウェイクラッチが設けられる、請求項19に記載の制御装置。
【請求項21】
前記制御部は、前記人力駆動車に人力駆動力が入力される場合、所定アシストレベルに応じて前記アシストモータを制御するように構成され、
前記所定アシストレベルは、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対する前記アシストモータの出力の第1比率、前記アシストモータの出力の最大値、および、前記人力駆動車に入力される人力駆動力の変化速度に対する前記アシストモータの出力の変化速度の第2比率の少なくとも1つを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、補助駆動力を発生するモータと、モータに電力を供給する電源と、モータと電源との間における電力供給を制御する制御部とを備える補助動力装置付き自転車を開示する。モータは、回生制動によって生じる回生電流を電源に供給するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-335290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される制御装置は、モータと電源との間に設けられる制御部内の遮断スイッチによって、モータから電源への回生電流の供給を遮断する。特許文献1の制御装置を用いる場合、遮断スイッチを付加する必要がある。
【0005】
本開示の目的は、アシストモータからバッテリまでの構成を簡略化できる人力駆動車用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するアシストモータと、前記アシストモータの回転によって発生する回生電力を充電可能に構成されるバッテリと、を含み、前記バッテリの状態に応じて、前記アシストモータの回生トルクを制御するように構成される制御部を備える。
第1側面の制御装置は、回生トルクを制御することによって、アシストモータからバッテリへの回生電力を制御できるため、アシストモータからバッテリまでの構成を簡略化できる。
【0007】
本開示の第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記制御部は、前記バッテリの状態に応じて、前記回生トルクの上限値を制御するように構成される。
第2側面の制御装置は、バッテリの状態に応じて回生トルクの上限値を制御できる。
【0008】
本開示の第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記バッテリの状態および前記アシストモータの状態に応じて、前記上限値を制御するように構成される。
第3側面の制御装置は、バッテリの状態およびアシストモータの状態に応じて回生トルクの上限値を制御できる。
【0009】
本開示の第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記アシストモータの状態は、前記アシストモータの回転速度、出力トルク、および、回生電力量の少なくとも1つを含む。
第4側面の制御装置は、バッテリの状態と、アシストモータの回転速度、出力トルク、および、回生電力量の少なくとも1つとに応じて回生トルクの上限値を制御できる。
【0010】
本開示の第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記回転速度は、前記アシストモータの軸角速度を含む。
第5側面の制御装置は、バッテリの状態と、アシストモータの軸角速度、出力トルク、および、回生電力量の少なくとも1つとに応じて回生トルクの上限値を制御できる。
【0011】
本開示の第3から5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記人力駆動車は、前記アシストモータの状態を検出する第1検出部をさらに含む。
第6側面の制御装置は、第1検出部によってアシストモータの状態を好適に検出できる。
【0012】
本開示の第1から6側面のいずれか1つに従う第7側面の制御装置において、前記制御部は、前記アシストモータをPWM(Pulse Width Modulation)制御するように構成される。
第7側面の制御装置は、PWM制御によってアシストモータを好適に制御できる。
【0013】
本開示の第1から7側面のいずれか1つに従う第8側面の制御装置において、前記人力駆動車は、前記人力駆動車を制動する電動ブレーキをさらに含み、前記アシストモータは、前記電動ブレーキとは別体であり、回生制動によって前記人力駆動車を制動可能に構成され、前記制御部は、前記人力駆動車の要求制動力に応じて前記人力駆動車を制動する場合、前記要求制動力に対して前記回生制動では不足する制動力を、前記電動ブレーキによる制動力によって補うように制御するように構成される。
第8側面の制御装置は、要求制動力に対して回生制動では不足する制動力を電動ブレーキによる制動力によって補うため、回生トルクを好適に制御できる。
【0014】
本開示の第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記制御部は、前記要求制動力と前記回生制動による制動力との差に応じて、前記電動ブレーキを制御するように構成される。
第9側面の制御装置は、要求制動力と回生制動による制動力との差に応じて電動ブレーキを制御するため、人力駆動車を好適に制動できる。
【0015】
本開示の第8または9側面に従う第10側面の制御装置において、前記人力駆動車は、搭乗者が前記電動ブレーキを操作するための操作装置を含み、前記制御部は、前記操作装置の操作量に応じて前記要求制動力を算出するように構成される。
第10側面の制御装置は、操作装置の操作量に応じて算出される要求制動力に基づいて、人力駆動車を好適に制動できる。
【0016】
本開示の第8から10側面のいずれか1つに従う第11側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の状態に応じて前記要求制動力を算出するように構成され、前記人力駆動車の状態は、車速、加速度、および、前記人力駆動車に入力される人力駆動力の少なくとも1つを含む。
第11側面の制御装置は、車速、加速度、および、人力駆動車に入力される人力駆動力の少なくとも1つに応じて算出される要求制動力に基づいて、回生トルクを好適に制御できる。
【0017】
本開示の第8から11側面のいずれか1つに従う第12側面の制御装置において、前記電動ブレーキは、摩擦ブレーキを含む。
第12側面の制御装置は、摩擦ブレーキによって、人力駆動車を好適に制動できる。
【0018】
本開示の第1から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記アシストモータの特性に関する情報を記憶する記憶部をさらに含み、前記制御部は、前記アシストモータの特性に関する情報に応じて前記回生トルクを制御するように構成される。
第13側面の制御装置は、記憶部に記憶されるアシストモータの特性に関する情報に応じて、回生トルクを好適に制御できる。
【0019】
本開示の第8から12側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記アシストモータの特性に関する情報を記憶する記憶部をさらに含み、前記制御部は、前記アシストモータの特性に関する情報に応じて前記電動ブレーキを制御するように構成される。
第14側面の制御装置は、記憶部に記憶されるアシストモータの特性に関する情報に応じて、人力駆動車を好適に制動できる。
【0020】
本開示の第13または14側面に従う第15側面の制御装置において、前記アシストモータの特性に関する情報は、前記アシストモータに入力される前記回生トルクと、前記回生電力と、の関係に関する情報を含む。
第15側面の制御装置は、記憶部に記憶されるアシストモータに入力される回生トルクと、回生電力との関係に基づいて、回生トルクを制御することによって、回生電力を好適に制御できる。
【0021】
本開示の第1から15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御装置において、前記バッテリの状態は、前記バッテリの充電量、充電可能量、および、上限電流値の少なくとも1つを含む。
第16側面の制御装置は、バッテリの充電量、充電可能量、および、上限電流値の少なくとも1つに応じて回生トルクを好適に制御できる。
【0022】
本開示の第1から16側面のいずれか1つに従う第17側面の制御装置において、前記人力駆動車は、前記バッテリの状態を検出する第2検出部をさらに含む。
第17側面の制御装置は、第2検出部によってバッテリの状態を好適に検出できる。
【0023】
本開示の第1から17側面のいずれか1つに従う第18側面の制御装置において、前記バッテリは、前記アシストモータに電力を供給可能に構成され、前記制御部は、前記バッテリの電力の前記アシストモータへの供給を制御するように構成される。
第18側面の制御装置は、アシストモータに電力を供給するバッテリを、アシストモータの回生によって充電できる。
【0024】
本開示の第1から18側面のいずれか1つに従う第19側面の制御装置において、前記アシストモータは、前記人力駆動車のクランク軸からフロントスプロケットまでの間における人力駆動力の伝達経路に設けられる合力部に前記推進力を付与するように構成される。
第19側面の制御装置は、合力部に推進力を付与するアシストモータによる回生トルクを好適に制御できる。
【0025】
本開示の第19側面に従う第20側面の制御装置において、前記クランク軸から前記合力部までの間における前記伝達経路には、ワンウェイクラッチが設けられる。
第20側面の制御装置は、ワンウェイクラッチによって、合力部からクランク軸へのトルクの伝達が遮断されるため、搭乗者がクランク軸を回転させない場合、クランク軸が回転しない。したがって、搭乗者が快適に人力駆動車に搭乗できる。
【0026】
本開示の第1から20側面のいずれか1つに従う第21側面の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車に人力駆動力が入力される場合、所定アシストレベルに応じて前記アシストモータを制御するように構成され、前記所定アシストレベルは、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対する前記アシストモータの出力の第1比率、前記アシストモータの出力の最大値、および、前記人力駆動車に入力される人力駆動力の変化速度に対する前記アシストモータの出力の変化速度の第2比率の少なくとも1つを含む。
第21側面の制御装置は、第1比率、アシストモータの出力の最大値、および、第2比率の少なくとも1つを含む所定アシストレベルに応じて、アシストモータを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0027】
本開示の人力駆動車用の制御装置によれば、アシストモータからバッテリまでの構成を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図である。
図2図1の人力駆動車におけるアシストモータの断面図である。
図3図1の人力駆動車の人力駆動力の伝達経路およびアシストモータの推進力を伝達する経路を示すブロック図である。
図4図1の人力駆動車用の制御装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図5図3の制御部が、電動ブレーキを制御する処理のフローチャートである。
図6】第2実施形態の制御部が、人力駆動車の走行状態に応じて回生トルクを制御する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
図1から図5を参照して、第1実施形態の人力駆動車用の制御装置60が説明される。以下では、人力駆動車用の制御装置60を、制御装置60と呼称する。
図1に示すように、人力駆動車10は、少なくとも1つの車輪14を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車10が有する車輪14の数は限定されない。人力駆動車10は、例えば1輪車および2輪以上の車輪14を有する乗り物も含む。人力駆動車10は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車10は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するイーバイク(e-bike)を含む。イーバイクは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、電動アシスト自転車として説明する。
【0030】
人力駆動車10は、人力駆動力が入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、車輪14と、車体16と、を備える。車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム12Bとを含む。各クランクアーム12Bには、一対のペダル12Cがそれぞれ連結される。後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12は、駆動機構20によって後輪14Aと連結される。
【0031】
駆動機構20は、クランク軸12Aに連結される第1回転体22を含む。クランク軸12Aは、第1回転体22とワンウェイクラッチ24を介して連結される。本実施形態では、第1回転体22は、フロントスプロケット22Aを含む。第1回転体22は、プーリ、または、ベベルギアを含んでもよい。
【0032】
駆動機構20は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体22のトルクを第2回転体26に伝達する。本実施形態では、連結部材28は、チェーン28Aを含む。連結部材28は、ベルト、または、シャフトを含んでもよい。第2回転体26は、後輪14Aに連結される。本実施形態では、第2回転体26は、リアスプロケット26Aを含む。第2回転体26は、プーリ、または、ベベルギアを含んでもよい。後輪14Aは、第2回転体26の回転にともなって回転するように構成される。第2回転体26は、いずれの回転方向においても後輪14Aと一体に回転するように、後輪14Aに結合される。
【0033】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Bが取り付けられている。フロントフォーク30には、ハンドルバー32がステム34を介して連結されている。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構20によってクランク12に連結される。後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構20によってクランク12に連結されてもよい。
【0034】
人力駆動車10は、アシストモータ38と、バッテリ40と、を含む。ドライブユニット36は、アシストモータ38を備える。アシストモータ38は、人力駆動車10に推進力を付与する。アシストモータ38は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。
【0035】
人力駆動車10は、バッテリ40を含む。バッテリ40は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ40は、アシストモータ38の回転によって発生する回生電力を充電可能に構成される。バッテリ40は、充電容量までの電力を充電できるように構成される。充電容量は、バッテリ40の特性に応じて設定される。例えば、バッテリ40は、アシストモータ38に電力を供給可能に構成される。例えば、バッテリ40は、電動ブレーキ44に電力を供給可能に構成される。バッテリ40は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。
【0036】
人力駆動車10は、電動ブレーキ44をさらに含む。電動ブレーキ44は、人力駆動車10を制動する。電動ブレーキ44は、人力駆動車10を制動するための制動力を発生させる。電動ブレーキ44が人力駆動車10を制動するために発生させる制動力は、車輪14の回転を制動する制動力である。例えば、電動ブレーキ44は、フロントブレーキ44Fおよびリアブレーキ44Rを含む。電動ブレーキ44は、フロントブレーキ44Fおよびリアブレーキ44Rの少なくとも1つを含んでもよい。
【0037】
電動ブレーキ44は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。例えば、電動ブレーキ44は、摩擦ブレーキ44Aを含む。摩擦ブレーキ44Aは、リムブレーキであってもよく、ディスクブレーキであってもよく、ローラブレーキであってもよい。摩擦ブレーキ44Aは、摩擦部材を含む。摩擦部材は、例えば、ブレーキシュー、ブレーキパッド、または、ローラを含む。摩擦ブレーキ44Aは、摩擦部材と人力駆動車10の回転体との間に生じる摩擦によって人力駆動車10を制動する。摩擦ブレーキ44Aは、油圧または電動アクチュエータによって摩擦部材を動かすものであってもよい。摩擦ブレーキ44Aが油圧によって摩擦部材を動かすように構成される場合、電動ブレーキ44は油圧を調節する調節部を備える。調節部は、例えば、電動ポンプおよび電磁弁の少なくとも1つを含む。
【0038】
フロントブレーキ44Fは、フロントフォーク30に設けられる。フロントブレーキ44Fは、前輪14Bの回転を制動する制動力を発生させる。フロントブレーキ44Fは、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。フロントブレーキ44Fは、電動アクチュエータまたは電動モータが摩擦部材を動かすことによって、制動力を発生させる。
【0039】
リアブレーキ44Rは、フレーム18に設けられる。リアブレーキ44Rは、後輪14Aの回転を制動する制動力を発生させる。リアブレーキ44Rは、電動アクチュエータまたは電動モータを含む。リアブレーキ44Rは、電動アクチュエータまたは電動モータが摩擦部材を動かすことによって、制動力を発生させる。
【0040】
例えば、アシストモータ38は、回生可能に構成される。例えば、アシストモータ38は、回生制動によって人力駆動車10を制動可能に構成される。例えば、アシストモータ38は、電動ブレーキ44とは別体である。アシストモータ38は、回生制動によって、制動力を発生させる。アシストモータ38は、回生制動として後輪14Aが第1回転方向A1と対応する方向に回転することによって、回生する。
【0041】
例えば、人力駆動車10は、操作装置46を含む。操作装置46は、搭乗者が電動ブレーキ44を操作するために操作される。操作装置46は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。例えば、制御部62は、操作装置46の操作に応じて、電動ブレーキ44に人力駆動車10を制動するための制動力を発生させる。操作装置46は、ハンドルバー32に設けられる。操作装置46は、ブレーキレバーを含む。例えば、制御部62は、摩擦ブレーキ44Aの油圧または電動アクチュエータの動作量を操作装置46の操作量に応じて制御する。例えば、制御部62は、操作装置46の操作量に応じた制動力が発生するように電動ブレーキ44を制御する。例えば、制御部62は、アシストモータ38が回生制動する場合、アシストモータ38による回生制動力を加味して、操作装置46の操作量に応じた制動力が発生するように電動ブレーキ44を制御する。
【0042】
図2に示すように、例えば、人力駆動車10は、ドライブユニット36を含む。ドライブユニット36は、ハウジング36Aおよび合力部36Bを含む。ハウジング36Aは、フレーム18に着脱可能に取り付けられる。ハウジング36Aには、クランク軸12Aが設けられる。合力部36Bは、ワンウェイクラッチ24とフロントスプロケット22Aとの間に設けられる。合力部36Bは、クランク軸12Aと同軸に設けられる。合力部36Bには、フロントスプロケット22Aが設けられる。合力部36Bは、フロントスプロケット22Aに、クランク12に入力される人力駆動力を伝達する。クランク軸12Aは、第1回転方向A1または第2回転方向A2に回転する。第1回転方向A1は、人力駆動車10が前進する方向と対応する。第2回転方向A2は、第1回転方向A1と反対の方向である。ドライブユニット36は、第1回転部材36Xおよび第2回転部材36Yを含む。例えば、第1回転部材36Xおよび第2回転部材36Yは、クランク軸12Aと同軸に配置される。第1回転部材36Xは、クランク軸12Aと一体に回転する。第1回転部材36Xは、例えば、クランク軸12Aに圧入される。第2回転部材36Yは、合力部36Bと一体に回転する。
【0043】
アシストモータ38は、1または複数の電気モータを含む。電気モータは、例えば、ブラシレスモータである。例えば、アシストモータ38は、合力部36Bに推進力を付与するように構成される。アシストモータ38は、トルクを出力する。アシストモータ38は、トルクを出力する出力軸38Aを含む。アシストモータ38は、供給される電力が大きいほど、大きいトルクを出力する。アシストモータ38は、トルクを合力部36Bに出力することで、合力部36Bに推進力を付与する。
【0044】
ドライブユニット36は、減速機42を含む。減速機42は、アシストモータ38と合力部36Bとの間に設けられる。減速機42は、アシストモータ38の回転速度を減速して、アシストモータ38の推進力を合力部36Bに伝達する。減速機42は、第1歯車42A、第2歯車42B、第3歯車42C、第4歯車42D、および、歯車軸42Eを含む。第1歯車42Aは、出力軸38Aに設けられる。第2歯車42Bは、歯車軸42Eに設けられる。第2歯車42Bは、歯車軸42Eと一体に回転する。第3歯車42Cは、歯車軸42Eのうちの第2歯車42Bとは異なる部分に設けられる。第3歯車42Cは、歯車軸42Eと一体に回転する。第4歯車42Dは、合力部36Bと同軸に、第2回転部材36Yに設けられる。
【0045】
第1歯車42Aは、出力軸38Aのトルクを第2歯車42Bに伝達する。第1歯車42Aの歯数は、第2歯車42Bの歯数よりも少ない。第2歯車42Bに伝達された出力軸38Aのトルクによって、歯車軸42Eが回転する。第2歯車42Bの歯数は、第3歯車42Cの歯数よりも多い。第3歯車42Cは、歯車軸42Eのトルクを、第4歯車42Dに伝達する。第3歯車42Cの歯数は、第4歯車42Dの歯数よりも少ない。第4歯車42Dに伝達された歯車軸42Eのトルクによって、合力部36Bが回転する。
【0046】
ドライブユニット36は、ワンウェイクラッチ24を含む。例えば、ワンウェイクラッチ24は、第1回転部材36Xの外周部と第2回転部材36Yの内周部との間に設けられる。例えば、ワンウェイクラッチ24は、ローラクラッチを含む。ワンウェイクラッチ24は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に設けられる複数のローラと、を含む。例えば、内輪は、第1回転部材36Xの外周部に設けられる。例えば、内輪は、第1回転部材36Xの外周部と一体に形成される。例えば、外輪は、第2回転部材36Yの内周部に設けられる。例えば、外輪は、第2回転部材36Yの内周部と一体に形成される。ワンウェイクラッチ24は、爪式クラッチ、または、スプラグクラッチを含んでいてもよい。
【0047】
図3に示すように、ドライブユニット36は、伝達経路RAを含む。例えば、伝達経路RAは、人力駆動車10のクランク軸12Aからフロントスプロケット22Aまでの間における人力駆動力が伝達される経路である。例えば、合力部36Bは、伝達経路RAに設けられる。合力部36Bは、フロントスプロケット22Aにアシストモータ38が人力駆動車10に付与する推進力を伝達する。合力部36Bは、フロントスプロケット22Aに人力駆動力および推進力を伝達する。
【0048】
例えば、クランク軸12Aから合力部36Bまでの間における伝達経路RAには、ワンウェイクラッチ24が設けられる。ワンウェイクラッチ24は、クランク軸12Aに入力される人力駆動力をフロントスプロケット22Aに伝達する。ワンウェイクラッチ24は、第1回転方向A1にクランク軸12Aが回転する場合に、フロントスプロケット22Aを前転させるように構成される。ワンウェイクラッチ24は、第2回転方向A2にクランク軸12Aが回転する場合にクランク軸12Aとフロントスプロケット22Aとの相対回転を許容するように構成される。
【0049】
ワンウェイクラッチ24は、アシストモータ38が第1回転方向A1と対応する方向に回転する場合、アシストモータ38のトルクがクランク軸12Aに伝達されないように構成される。ワンウェイクラッチ24は、合力部36Bがクランク軸12Aに対して第2回転方向A2に回転する場合に、合力部36Bのトルクが、クランク軸12Aへ伝達されないように構成される。合力部36Bが第1回転方向A1に回転する場合、合力部36Bのトルクは、第2回転部材36Yを介してアシストモータ38へ伝達されるように構成される。
【0050】
例えば、アシストモータ38が第1回転方向A1と対応する方向に回転する場合、アシストモータ38のトルクは、第2回転部材36Y、合力部36B、フロントスプロケット22A、チェーン28A、および、リアスプロケット26Aを介して、後輪14Aに伝達される。
【0051】
例えば、後輪14Aが第1回転方向A1と対応する方向に回転する場合、後輪14Aのトルクは、リアスプロケット26A、チェーン28A、フロントスプロケット22A、合力部36B、および、第2回転部材36Yを介して、アシストモータ38に伝達される。
【0052】
図4に示すように、例えば、人力駆動車10は、第1検出部48をさらに含む。第1検出部48は、アシストモータ38の状態を検出する。例えば、アシストモータ38の状態は、アシストモータ38の回転速度、出力トルク、および、回生電力量の少なくとも1つを含む。例えば、アシストモータ38の回転速度は、アシストモータ38の軸角速度を含む。例えば、第1検出部48は、出力軸38Aの回転に関する情報を検出する回転センサである。第1検出部48は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。例えば、第1検出部48は、伝達経路RAに設けられる。例えば、第1検出部48は、第1歯車42A、第2歯車42B、第3歯車42C、第4歯車42D、および、歯車軸42Eの少なくとも1つの回転を検出する回転センサである。第1検出部48は、検出したアシストモータ38の状態を制御装置60に出力する。
【0053】
例えば、人力駆動車10は、第2検出部50をさらに含む。第2検出部50は、バッテリ40の状態を検出する。例えば、バッテリ40の状態は、バッテリ40の充電量、充電可能量、および、上限電流値の少なくとも1つを含む。バッテリ40の充電量は、バッテリ素子の電圧値である。バッテリ40の充電可能量は、バッテリ40の充電容量と現在の充電量との差である。バッテリ40の上限電流値は、バッテリ40を充電する場合にバッテリ40に供給される好適な電流値の上限値である。上限電流値は、バッテリ40の特性に応じて設定される。例えば、第2検出部50は、バッテリ40の電力に関する情報を検出する電力センサである。第2検出部50は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。第2検出部50は、検出したバッテリ40の状態を制御装置60に出力する。
【0054】
例えば、人力駆動車10は、第3検出部52を含む。第3検出部52は、人力駆動車10の状態を検出する。例えば、人力駆動車10の状態は、車速、加速度、および、人力駆動車10に入力される人力駆動力の少なくとも1つを含む。第3検出部52は、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。第3検出部52は、検出した人力駆動車10の状態を制御装置60に出力する。第3検出部52は、クランク回転センサ52A、車速センサ52B、および、トルクセンサ52Cを含む。
【0055】
クランク回転センサ52Aは、クランク軸12Aの回転速度に応じた情報を検出するように構成される。クランク軸12Aの回転速度に応じた情報は、クランク軸12Aの加速度を含む。人力駆動車10の状態における加速度は、例えばクランク軸12Aの加速度である。クランク回転センサ52Aは、例えば、人力駆動車10のフレーム18に設けられる。クランク回転センサ52Aは、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸12A、クランク軸12Aに連動して回転する部材、または、クランク軸12Aから第1回転体22までの間の伝達経路RAに設けられる。クランク回転センサ52Aは、クランク12の回転速度に応じた信号を出力する。磁石は、クランク軸12Aから第1回転体22までの人力駆動力の伝達経路RAにおいて、クランク軸12Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。クランク回転センサ52Aは、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサ52Cなどを含んでいてもよい。好ましくは、クランク回転センサ52Aは、クランク12が1回転する間において、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、2以上である。好ましくは、予め定める回数は、4以上である。予め定める回数は、好ましくは4の倍数である。好ましくは、予め定める回数は、8、12、または、16である。クランク回転センサ52Aは、車速センサ52Bを含んで構成されていてもよい。クランク回転センサ52Aが車速センサ52Bを含む場合、例えば、制御部62は、車速センサ52Bによって検出される車速と、変速比とに応じてクランク12の回転速度を算出するように構成される。
【0056】
車速センサ52Bは、人力駆動車10の車輪14の回転速度に応じた情報を検出するように構成される。人力駆動車10の車輪14の回転速度に応じた情報は、車速を含む。車速センサ52Bは、例えば、人力駆動車10の車輪14に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ52Bは、車輪14の回転速度に応じた信号を出力する。制御部62は、車輪14の回転速度と、車輪14の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速を算出できる。車輪14の周長は、例えば、タイヤの周長である。記憶部64には車輪14の周長に関する情報が記憶される。車速センサ52Bは、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子を含む。車速センサ52Bは、人力駆動車10のフレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪14Aに取り付けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ52Bは、フロントフォーク30に設けられ、前輪14Bに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。車速センサ52Bは、車輪14に設けられる磁石を検出する構成に限らず、例えば、光学センサなどを含んで構成されてもよい。好ましくは、車速センサ52Bは、例えば、車輪14が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、2以上である。好ましくは、予め定める回数は、4以上である。予め定める回数は、好ましくは4の倍数である。好ましくは、予め定める回数は、8、12、または、16である。本実施形態において、車速センサ52Bは、車輪14が一回転した場合に、リードスイッチが磁石を2回以上検出するように構成される。
【0057】
トルクセンサ52Cは、人力駆動力によってクランク軸12Aに与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。人力駆動力によってクランク軸12Aに与えられるトルクに応じた信号は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に関する情報を含む。トルクセンサ52Cは、例えば、伝達経路RAにワンウェイクラッチ24が設けられる場合、好ましくは、ワンウェイクラッチ24よりも伝達経路RAの上流側に設けられる。トルクセンサ52Cは、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルクセンサ52Cは、伝達経路RA、または、伝達経路RAに含まれる部材の近傍に含まれる部材に設けられる。伝達経路RAに含まれる部材は、例えば、クランク軸12A、クランク軸12Aと第1回転体22との間において人力駆動力を伝達する部材、クランクアーム12B、または、ペダル12Cである。トルクセンサ52Cは、人力駆動力に関する情報を取得できればどのような構成であってもよく、例えば、ペダル12Cに与えられる圧力を検出するセンサ、または、チェーン28Aの張力を検出するセンサなどを含んでいてもよい。好ましくは、トルクセンサ52Cは、クランク12が1回転する間において、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、2以上である。好ましくは、予め定める回数は、4以上である。予め定める回数は、好ましくは4の倍数である。好ましくは、予め定める回数は、8、12、または、16である。
【0058】
人力駆動車10は、制御装置60を含む。制御装置60は、制御部62を備える。制御部62は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。制御部62に含まれる演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部62に含まれる演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。
【0059】
例えば、制御装置60は、記憶部64をさらに含む。記憶部64には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。
【0060】
制御部62は、有線または無線によって他の装置と通信可能に接続される。制御部62と通信する他の装置は、例えば、アシストモータ38、バッテリ40、電動ブレーキ44、操作装置46、第1検出部48、第2検出部50、および、第3検出部52の少なくとも1つを含む。制御部62が有線によって他の装置と通信する場合、制御部62は、例えば、電力線通信(PLC;Power Line Communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって通信する。制御部62が無線によって他の装置と通信する場合、制御部62は、例えば、Bluetooth(登録商標)、ANT+(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、または、赤外線通信によって通信する。
【0061】
制御部62は、アシストモータ38を制御するように構成される。例えば、制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に応じて推進力を変更するように、アシストモータ38を制御するように構成される。制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力が大きいほど、推進力を大きくするように、アシストモータ38を制御するように構成される。
【0062】
例えば、制御部62は、駆動回路66を含む。駆動回路66は、アシストモータ38に電気的に接続される。駆動回路66は、バッテリ40からアシストモータ38への電力の供給を制御する。駆動回路66は、インバータ回路を含む。インバータ回路は、複数のトランジスタを含む。一例では、インバータ回路は、直列に接続される一対のトランジスタからなる複数のインバータ部が並列に接続される構成を含む。インバータ回路は、インバータ回路に流れる電流を検出する電流センサを有してもよい。電流センサは、制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。
【0063】
例えば、制御部62は、バッテリ40の電力のアシストモータ38への供給を制御するように構成される。制御部62は、バッテリ40の電力のアシストモータ38への供給を制御することによって、アシストモータ38を制御する。例えば、制御部62は、バッテリ40の電力のアシストモータ38への供給量を変更するように、バッテリ40の電力のアシストモータ38への供給を制御する。推進力を大きくするようにアシストモータ38を制御する場合、制御部62は、バッテリ40の電力のアシストモータ38への供給量を大きくする。推進力を小さくするようにアシストモータ38を制御する場合、制御部62は、バッテリ40の電力のアシストモータ38への供給量を小さくする。
【0064】
例えば、制御部62は、アシストモータ38をPWM(Pulse Width Modulation)制御するように構成される。制御部62は、駆動回路66のインバータ回路における複数のトランジスタの制御端子に印加する制御信号を生成する。制御部62は、デューティ比を変化させることによって、バッテリ40の電力のアシストモータ38への供給量を制御する。デューティ比は、制御信号がオン状態の期間と制御信号がオフ状態の期間と合計の期間に対する制御信号がオン状態の期間の比率である。
【0065】
例えば、制御部62は、人力駆動車10に人力駆動力が入力される場合、所定アシストレベルに応じてアシストモータ38を制御するように構成される。制御部62は、所定アシストレベルに応じてアシストモータ38の出力を変更するように、アシストモータ38を制御するように構成される。制御部62は、アシストレベルを、人力駆動車10の状態に応じて変更可能に構成されてもよい。例えば、制御部62は、車速、加速度、および、人力駆動車10に入力される人力駆動力の少なくとも1つが大きいほど、アシストレベルを大きくする。
【0066】
例えば、所定アシストレベルは、第1比率、アシストモータ38の出力の最大値、および、第2比率の少なくとも1つを含む。第1比率は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するアシストモータ38の出力の比率である。所定アシストレベルが第1比率を含む場合、例えば、制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するアシストモータ38の出力の比率が第1比率となるように、アシストモータ38を制御する。所定アシストレベルがアシストモータ38の出力の最大値を含む場合、例えば、制御部62は、アシストモータ38の出力が、アシストモータ38の出力の最大値以下となるように、アシストモータ38を制御する。
【0067】
第2比率は、人力駆動車10に入力される人力駆動力の変化速度に対するアシストモータ38の出力の変化速度の比率である。所定アシストレベルが第2比率を含む場合、例えば、制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力の変化速度に対するアシストモータ38の出力の変化速度の比率が第2比率となるように、アシストモータ38を制御する。例えば、第2比率は、人力駆動力が減少する場合の第2比率、および、人力駆動力が増加する場合の第2比率を含む。例えば、人力駆動力が減少する場合の第2比率は、人力駆動力が増加する場合の第2比率よりも小さい。例えば、人力駆動力が減少する場合の第2比率は、1未満であり、人力駆動力が増加する場合の第2比率は、1以上である。制御部62は、例えば、フィルタ処理によって、所定アシストレベルが第2比率になるようにアシストモータ38の出力を算出する。例えば、制御部62は、フィルタに用いられる時定数を変更することによって、第2比率を変更するように構成される。
【0068】
制御部62は、バッテリ40の状態に応じて、アシストモータ38の回生トルクを制御するように構成される。制御部62は、バッテリ40の充電量が充電容量以下となるように、アシストモータ38の回生トルクを制御する。
【0069】
例えば、制御部62は、回生トルクの上限値を算出するように構成される。制御部62は、回生トルクの上限値以下になるように回生トルクを制御する。
【0070】
例えば、制御部62は、バッテリ40の状態に応じて、回生トルクの上限値を制御するように構成される。例えば、制御部62は、バッテリ40の状態に応じて、回生トルクの上限値を算出する。例えば、バッテリ40の状態がバッテリ40の充電量を含む場合、制御部62は、バッテリ40の充電容量と現在の充電量との差に応じて、回生トルクの上限値を算出する。例えば、バッテリ40の状態が充電可能量を含む場合、制御部62は、充電可能量に応じて、回生トルクの上限値を算出する。例えば、バッテリ40の状態が上限電流値を含む場合、制御部62は、上限電流値に応じて、回生トルクの上限値を算出する。
【0071】
例えば、制御部62は、バッテリ40の状態およびアシストモータ38の状態に応じて、回生トルクの上限値を制御するように構成される。例えば、制御部62は、アシストモータ38の状態に応じて回生トルクの上限値を算出する。
【0072】
例えば、制御部62は、アシストモータ38の特性に関する情報に応じて回生トルクを制御するように構成される。例えば、制御部62は、アシストモータ38の特性に関する情報に応じて回生トルクの上限値を算出する。
【0073】
例えば、記憶部64は、アシストモータ38の特性に関する情報を記憶する。例えば、アシストモータ38の特性に関する情報は、アシストモータ38に入力される回生トルクと、回生電力と、の関係に関する情報を含む。アシストモータ38に入力される回生トルクと、回生電力と、の関係に関する情報は、例えば、回生トルク算出情報を含む。記憶部64には、アシストモータ38の特性に応じた回生トルク算出情報が記憶される。回生トルク算出情報は、例えば、テーブル、および、関係式の少なくとも1つを含む。例えば、回生トルク算出情報は、アシストモータ38に入力される回生トルクと、回生電力と、アシストモータ38の状態と、の関係に関する情報を含む。回生トルク算出情報は、例えば、回生トルク算出テーブルを含む。回生トルク算出情報は、回生トルク算出テーブルに代えてまたは加えて、関係式およびマップの少なくとも1つを含んでもよい。
【0074】
表1に例示するように、例えば、回生トルク算出テーブルは、列である第1要素と、行である第2要素とによって、第3要素を規定するように構成される。第1要素は、アシストモータ38の状態に対応する要素である。例えば、第1要素は、アシストモータ38の軸角速度(rad/s)である。第2要素は、回生トルクに対応する要素である。例えば、第2要素は、回生トルク(Nm)である。回生トルク算出テーブルにおいて、第1要素であるアシストモータ38の状態と第2要素である回生トルクとによって、第3要素である回生電力(W)が規定される。
【0075】
【表1】
【0076】
制御部62は、回生トルク算出テーブルにおいて現在のアシストモータ38の状態と対応する第1要素に対応付けられる複数の回生電力を特定する。制御部62は、回生トルク算出テーブルに現在のアシストモータ38の状態に対応する第1要素が含まれない場合、線形補間等によって現在のアシストモータ38の状態と実質的に対応する第1要素に対応付けられる複数の回生電力を算出してもよい。例えば、制御部62は、現在のアシストモータ38の状態に最も近い2つの第1要素を選択し、選択した2つの第1要素のうちの1つを現在のアシストモータ38の状態と一致させるための係数を算出する。制御部62は、算出した係数と、現在のアシストモータ38の状態と最も近い第1要素と対応する複数の回生電力と、を用いて、現在のアシストモータ38の状態と実質的に対応する第1要素に対応付けられる複数の回生電力を算出する。
【0077】
制御部62は、特定した複数の回生電力のそれぞれと対応する複数の回生電流値を算出する。例えば、制御部62は、特定した複数の回生電力のそれぞれを、第2検出部50によって検出されたバッテリ40の電圧値によって除算することによって、複数の回生電流値を算出する。
【0078】
制御部62は、算出した複数の回生電流値と、予め記憶部64に記憶されるバッテリ40の上限電流値とを比較する。制御部62は、算出した複数の回生電流値から、バッテリ40の上限電流値に最も近い2つを選択する。
【0079】
制御部62は、回生トルク算出テーブルを用いて、選択した2つの回生電流値と対応する2つの回生トルクに対応する第2要素を選択する。制御部62は、例えば、線形補間等によって2つの回生電流値および2つの回生電流値と対応する2つの回生トルクに対応する第2要素から、回生トルクの上限値を算出する。例えば、制御部62は、2つの回生電流値のうちの1つを上限電流値に一致させるための係数を算出する。制御部62は、算出した係数と、選択した2つの回生トルクのうちの1つと、を用いて、上限電流値に一致する回生トルクに対応する第2要素を算出する。例えば、第2要素が回生トルクである場合、制御部62は、算出した回生トルクに対応する第2要素を、回生トルクの上限値として設定する。
【0080】
アシストモータ38の軸角速度が250(rad/s)、バッテリ40の電圧値が36(V)、および、上限電流値が5(A)である場合に、制御部62が、表1を用いて回生トルクの上限値を算出する場合の処理手順についての一例を示す。
【0081】
制御部62は、表1から、軸角速度が250である列を算出する。表1には軸角速度が250(rad/s)である列が含まれないため、制御部62は、軸角速度が250(rad/s)に近い、軸角速度が200(rad/s)の列と軸角速度が300(rad/s)の列を選択する。
【0082】
表2に例示するように、制御部62は、軸角速度が200(rad/s)の列に含まれる回生電力、および、軸角速度が300(rad/s)の列に含まれる回生電力を用いて、例えば線形補間によって軸角速度が250(rad/s)の場合の各回生トルクと対応する回生電力を特定する。線形補間によって特定する場合、制御部62は、軸角速度が200(rad/s)の列における回生トルクと回生電力との関係を規定する第1係数を算出する。制御部62は、軸角速度が300(rad/s)の列における回生トルクと回生電力との関係を規定する第2係数を算出する。制御部62は、第1係数および第2係数から軸角速度が250(rad/s)における第3係数を算出する。制御部62は、第3係数と軸角速度が200(rad/s)の列とから、軸角速度が250(rad/s)の列を算出する。表2の軸角速度が250(rad/s)の列は、現在のアシストモータ38の状態と実質的に対応する第1要素に対応付けられる複数の回生電力である。
【0083】
【表2】
【0084】
表3に例示するように、制御部62は、表2の軸角速度が250(rad/s)の列とバッテリ40の電圧値とから、複数の回生電流値を算出する。制御部62は、表2の軸角速度が250(rad/s)の列における複数の回生電力を、バッテリ40の電圧値によって除算することによって、複数の回生電流値を算出する。表3の軸角速度が250(rad/s)の列は、バッテリ40の電圧値が36(V)である場合の複数の回生電流値と対応する。
【0085】
【表3】
【0086】
表3には回生電流値が5(A)である行が含まれないため、制御部62は、上限電流値の5(A)に近い、回生電流値が4.9(A)の行と回生電流値が6.3(A)の行とを選択する。
【0087】
制御部62は、回生電流値が4.9(A)の行と回生電流値が6.3(A)の行とから、例えば線形補間によって回生電流値が5(A)の場合の回生トルクを算出する。線形補間によって算出する場合、制御部62は、回生電流値が4.9(A)の行における回生トルクと回生電流値との第1比率を算出する。制御部62は、回生電流値が6.3(A)の行における回生トルクと回生電流値との第2比率を算出する。制御部62は、第1比率、第2比率、および、回生電流値が4.9(A)の行における回生トルクから、回生電流値が上限電流値の5(A)の場合の回生トルクを算出する。表4は、制御部62による回生トルクの算出結果を例示する。制御部62は、回生電流値が5(A)である場合の回生トルクである2.1(Nm)を、回生トルクの上限値として設定する。
【0088】
【表4】
【0089】
制御部62は、設定した回生トルクの上限値以下になるように、回生トルクを制御する。例えば、制御部62は、アシストモータ38に伝達されるトルクが変化するように回生トルク調整部を制御することによって、回生トルクを制御する。回生トルク調整部は、例えば、電動アクチュエータを含む。回生トルク調整部は、車輪14からアシストモータ38までの回生トルクの伝達経路RAにおいて、アシストモータ38に伝達される回生トルクを調節できる。本実施形態では、回生トルク調整部は、電動ブレーキ44を含む。
【0090】
例えば、制御部62は、人力駆動車10の要求制動力に応じて人力駆動車10を制動するように構成される。要求制動力は、人力駆動車10を制動するために必要な制動力である。例えば、制御部62は、操作装置46の操作量に応じて要求制動力を算出するように構成される。制御部62は、要求制動力に応じて人力駆動車10を制動する。例えば、要求制動力は、操作装置46の操作量に応じて決定される。例えば、制御部62は、操作装置46の操作量が大きいほど、要求制動力が大きくなるように要求制動力を算出する。
【0091】
例えば、制御部62は、人力駆動車10の状態に応じて要求制動力を算出するように構成される。制御部62は、人力駆動車10の状態として人力駆動車10が制動しにくい状態である場合、人力駆動車10が制動しやすい状態である場合よりも、要求制動力を大きく算出する。人力駆動車10の状態が車速を含む場合、制御部62は、操作装置46の操作量が同じならば、車速が大きいほど、要求制動力を大きく算出する。人力駆動車10の状態が加速度を含む場合、制御部62は、操作装置46の操作量が同じならば、加速度が大きいほど、要求制動力を大きく算出する。人力駆動車10の状態が人力駆動力を含む場合、制御部62は、操作装置46の操作量が同じならば、人力駆動力が大きいほど、要求制動力を大きく算出する。
【0092】
例えば、制御部62は、アシストモータ38の特性に関する情報に応じて電動ブレーキ44を制御するように構成される。制御部62は、アシストモータ38の特性に関する情報に応じて電動ブレーキ44を制御することによって、回生トルクを制御するように構成される。例えば、制御部62は、回生制動による制動力と電動ブレーキ44による制動力との和が、要求制動力となるように、電動ブレーキ44を制御する。例えば、制御部62は、回生電力による電流値がバッテリ40の上限電流値よりも大きくならないように、電動ブレーキ44を制御するように構成される。
【0093】
例えば、制御部62は、人力駆動車10の要求制動力に応じて電動ブレーキ44を制御するように構成される。例えば、制御部62は、人力駆動車10の要求制動力に応じて人力駆動車10を制動する場合、要求制動力に対して回生制動では不足する制動力を、電動ブレーキ44による制動力によって補うように制御するように構成される。制御部62は、要求制動力が、回生トルクが上限値の場合の回生制動による制動力よりも大きい場合、要求制動力に対して回生制動では不足する制動力を、電動ブレーキ44による制動力によって補うように制御する。制御部62は、人力駆動車10の要求制動力に応じて人力駆動車10を制動する場合、要求制動力に対して回生制動による制動力が不足しなければ、電動ブレーキ44を制御しないように構成されてもよい。
【0094】
例えば、制御部62は、要求制動力と回生制動による制動力との差に応じて、電動ブレーキ44を制御するように構成される。制御部62は、要求制動力が、回生トルクが上限値の場合の回生制動による制動力よりも大きい場合、要求制動力と回生制動による制動力との差が大きいほど、電動ブレーキ44が発生する制動力を大きくするように、電動ブレーキ44を制御する。制御部62は、要求制動力が、回生トルクが上限値の場合の回生制動による制動力以下の場合、電動ブレーキ44が動作しないように、電動ブレーキ44を制御する。
【0095】
図5のフローチャートを参照して、制御部62が、電動ブレーキ44を制御することによって、アシストモータ38の回生トルクを制御する処理の一例が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図5に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部62は、図5のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、ステップS11からの処理を繰り返す。
【0096】
ステップS11において、制御部62は、操作装置46が操作されたか否かを判定する。制御部62は、操作装置46が操作された場合、ステップS12に移行する。制御部62は、操作装置46が操作されていない場合、処理を終了する。
【0097】
ステップS12において、制御部62は、操作装置46の操作量および人力駆動車10の状態に応じて要求制動力を算出し、ステップS13に移行する。制御部62は、操作装置46から操作装置46の操作量を取得する。制御部62は、第3検出部52から人力駆動車10の状態を取得する。制御部62は、操作装置46の操作量、および、取得した人力駆動車10の状態に応じて要求制動力を算出する。
【0098】
ステップS13において、制御部62は、アシストモータ38の回生トルクの上限値を算出し、ステップS14に移行する。制御部62は、第2検出部50からバッテリ40の状態を取得する。制御部62は、第1検出部48からアシストモータ38の状態を取得する。制御部62は、取得したバッテリ40の状態およびアシストモータ38の状態から回生トルクの上限値を算出する。
【0099】
ステップS14において、制御部62は、アシストモータ38の回生トルクの上限値に応じて回生制動による制動力を算出し、ステップS15に移行する。
【0100】
ステップS15において、制御部62は、要求制動力と回生制動による制動力との差に応じて電動ブレーキ44を制御し、処理を終了する。制御部62は、要求制動力から回生制動による制動力を引いた制動力が発生するように、電動ブレーキ44を制御する。制御部62は、要求制動力が、回生トルクが上限値の場合の回生制動による制動力以下である場合、電動ブレーキ44を制御しない。
【0101】
制御部62は、電動ブレーキ44を制御することによって、アシストモータ38の回生トルクを制御する。本実施形態の制御装置60は、回生トルクが回生トルクの上限値以下になるように、アシストモータ38の回生トルクを制御するため、アシストモータ38からバッテリ40までの構成を簡略化できる。本実施形態の制御装置60は、アシストモータ38からバッテリ40までの構成に遮断スイッチを必要としない。本実施形態の制御装置60は、アシストモータ38とバッテリ40との間に遮断スイッチが設けられる場合に比べ、制御装置60の部品点数を削減できる。本実施形態の制御装置60は、部品点数を削減できるため、制御装置60を小型化できる。本実施形態の制御装置60は、部品点数を削減できるため、制御装置60が設けられるコンポーネントを小型化できる。制御装置60が設けられるコンポーネントは、例えば、アシストモータ38、または、バッテリ40である。
【0102】
アシストモータ38は、回生トルクが大きいほど、大きな回生電力を発生する。回生電力がバッテリ40に充電される場合、回生トルクの大きさによっては、回生電力の電流値がバッテリ40の上限電流値よりも大きくなるため、回生効率が低下する。本実施形態では、バッテリ40の状態に応じて、回生電力の電流値がバッテリ40の上限電流値よりも大きくならないように、回生トルクを制御する。制御部62は、要求制動力に対して回生制動では不足する制動力を電動ブレーキ44による制動力によって補う。本実施形態によれば、回生電力の電流値がバッテリ40の上限電流値よりも大きくならないように、回生トルクを制御できるため、好適な回生および好適な制動が両立できる。
【0103】
<第2実施形態>
図6を参照して、第2実施形態の制御装置60が説明される。第2実施形態の制御装置60は、人力駆動車10の走行状態に応じて回生トルクを制御する点以外は第1実施形態の制御装置60と同様である。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号が付されるため、重複する説明は省略される。
【0104】
例えば、制御部62は、アシストモータ38の回生中に、回生トルクの上限値を算出するように構成される。例えば、制御部62は、アシストモータ38の回生中に回生トルクの上限値に応じて回生トルク調整部を制御する。例えば、制御部62は、アシストモータ38の回生中に回生トルクが回生トルクの上限値よりも大きくならないように、回生トルク調整部を制御する。
【0105】
例えば、走行状態は、路面傾斜を含む。所定状態は、下り坂を走行する状態を含む。例えば、人力駆動車10の走行状態が下り坂を走行する状態になった場合に、アシストモータ38による回生制動が実行される。下り坂は、路面傾斜の傾斜角度が大きいほど、急な下り坂となる。
【0106】
例えば、走行状態は、コースティング状態を含む。所定状態は、コースティング状態を含む。コースティング状態は、クランク軸12Aに人力駆動力が入力されていないが、人力駆動車10が惰性走行している状態である。例えば、人力駆動車10の走行状態がコースティング状態になった場合に、アシストモータ38による回生制動が実行される。
【0107】
図6のフローチャートを参照して、制御部62が、人力駆動車10の走行状態に応じて回生トルクを制御する処理の一例が説明される。制御部62は、例えば、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図6に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部62は、図6のフローチャートが終了すると、例えば、電力の供給が停止されるまでは、ステップS21からの処理を繰り返す。
【0108】
ステップS21において、制御部62は、人力駆動車10の走行状態が所定状態であるか否かを判定する。制御部62は、人力駆動車10の走行状態が所定状態である場合、ステップS22に移行する。制御部62は、人力駆動車10の走行状態が所定状態ではない場合、処理を終了する。所定状態は、例えば下り坂を走行する状態およびコースティング状態の少なくとも1つを含む。制御部62は、アシストモータ38が回生中である場合、人力駆動車10の走行状態が所定状態であると判定してもよい。例えば、制御部62は、バッテリ40に電力が供給されている場合、アシストモータ38が回生中であると判定する。例えば、制御部62は、アシストモータ38の状態に応じて、アシストモータ38が回生中であると判定する。
【0109】
ステップS22において、制御部62は、バッテリ40の状態を取得し、ステップS23に移行する。制御部62は、第2検出部50からバッテリ40の状態を取得する。
【0110】
ステップS23において、制御部62は、アシストモータ38の状態を取得し、ステップS24に移行する。制御部62は、第1検出部48からアシストモータ38の状態を取得する。
【0111】
ステップS24において、制御部62は、バッテリ40の状態およびアシストモータ38の状態から回生トルクの上限値を算出し、ステップS25に移行する。例えば、制御部62は、第1実施形態と同様の方法によって、回生トルクの上限値を算出する。
【0112】
ステップS25において、制御部62は、回生トルクの上限値に応じて回生トルクを制御し、処理を終了する。例えば、制御部62は、回生トルクが回生トルクの上限値よりも大きくならないように、回生トルク調整部を制御することによって、回生トルクを制御する。
【0113】
<変更例>
各実施形態に関する説明は、本開示に従う制御装置が取り得る形態の例示であり、各実施形態の形態を制限することを意図していない。本開示に従う制御装置は、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付して実施形態の形態と共通する部分の説明を省略する。
【0114】
・ワンウェイクラッチ24は、クランク軸12Aと合力部36Bとの間に設けられてもよい。ワンウェイクラッチ24がクランク軸12Aと合力部36Bとの間に設けられる場合、第1回転部材36Xは、省略される。
【0115】
・第1実施形態において、制御部62は、人力駆動車10の状態に関係なく、操作装置46の操作量のみに応じて要求制動力を算出するように構成されてもよい。
【0116】
・第1実施形態において、制御部62は、操作装置46が操作された場合、操作装置46の操作量に関わらず、人力駆動車10の状態に応じて要求制動力を算出するように構成されてもよい。
【0117】
・第1実施形態において、人力駆動車10の状態が車速、加速度、および、人力駆動車10に入力される人力駆動力の少なくとも2つを含む場合、制御部62は、複数の人力駆動車10の状態に応じて、要求制動力を算出してもよい。複数の人力駆動車10の状態に応じて、要求制動力を算出する場合、制御部62は、複数の人力駆動車10の状態からパラメータを算出し、パラメータに応じて要求制動力を算出する。例えば、複数の人力駆動車10の状態が、車速および加速度を含む場合、車速と加速度の和、積、または、和と積の組み合わせを、パラメータとして算出する。
【0118】
・電動ブレーキ44は、アシストモータ38とは別体の回生ブレーキであってもよい。回生トルク調整部は、アシストモータ38とは別体の回生ブレーキを含む。回生ブレーキは、例えば、人力駆動車10のハブに設けられてもよい。
【0119】
・アシストモータ38とバッテリ40との間に回生電力のバッテリ40への供給を遮断するスイッチを設けてもよい。アシストモータ38とバッテリ40との間に回生電力のバッテリ40への供給を遮断するスイッチを設ける場合、制御部62は、アシストモータ38による回生制動を実行しない場合には、スイッチを制御して、回生電力のバッテリ40への供給を遮断する。
【0120】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0121】
10…人力駆動車、12A…クランク軸、22A…フロントスプロケット、24…ワンウェイクラッチ、36B…合力部、38…アシストモータ、40…バッテリ、44…電動ブレーキ、44A…摩擦ブレーキ、46…操作装置、48…第1検出部、50…第2検出部、60…制御装置、62…制御部、64…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6