(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071172
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】電気車両のための相変化材料を含む熱抑制装置
(51)【国際特許分類】
B60K 11/00 20060101AFI20230515BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20230515BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20230515BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230515BHJP
【FI】
B60K11/00
B60L3/00 H
B60L53/14
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022177842
(22)【出願日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】10 2021 129 227.1
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】22205138.5
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス シュロト
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ハウク
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ルートヴィッヒ
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル エーハイム
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ムト
(72)【発明者】
【氏名】マイク シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス エッケル
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA10
3D038AB01
3D038AC22
3D235AA01
3D235BB41
3D235BB45
3D235CC15
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH04
3D235HH08
3D235HH42
3D235HH44
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125CD05
5H125DD02
5H125FF21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気導体の過熱の危険なく、電気車両を高電流で充電することができ、かつ/または動作させることができる熱抑制装置を提供する。
【解決手段】本発明は、電気車両の熱抑制装置2に関する。本発明によれば、電気車両の電気導体を受動的に冷却するために、電気導体を受動的に冷却するための熱抑制装置2が、電気車両に設けられ、熱抑制装置2は、少なくとも1つの相変化材料27を含み、電気導体に取り付け可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両(5)において電気導体(3、4)を受動的に冷却するための熱抑制装置(2)であって、
前記熱抑制装置(2)は、少なくとも1つの相変化材料(27)を含み、前記電気導体(4)に取り付け可能に構成されている、
熱抑制装置(2)。
【請求項2】
前記熱抑制装置(2)は、前記相変化材料(27)が収容されるハウジング(37)をさらに備える、
請求項1に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項3】
前記ハウジング(37)は、プラスチック、複合材料、シリコーン材料、および/または金属から形成されている、
請求項2に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項4】
前記ハウジング(37)は、ゴム弾性的に拡張可能である、
請求項2または3に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項5】
前記熱抑制装置(2)は、前記相変化材料(27)を含む空間(29)を有する蓄熱体(25)を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項6】
前記熱抑制装置(2)は、少なくとも1つの受動冷却構造体(39)を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項7】
前記熱抑制装置(2)は、前記電気導体(4)、電気導体(4)を含むケーブル(3)、または前記電気車両(5)の一部分(7)に当接する少なくとも1つの熱伝導要素(57、58)を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項8】
前記熱抑制装置(2)は、少なくとも1つの温度センサ(77)をさらに備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項9】
前記相変化材料(27)は、ナトリウムおよび/またはパラフィンを含む、
請求項1から8のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項10】
前記熱抑制装置(2)は、電気導体(4)を含むケーブル(3)を電気車両(5)に固定するためのケーブルクリップ(1)として構成され、
前記ケーブルクリップ(1)は、
前記ケーブル(3)を受け入れるように構成されているケーブル受入部(15)と、
前記電気車両(5)の一部分(7)に当接するように構成されている当接部(19)と、
を備え、
前記ケーブルクリップ(1)は、前記相変化材料(27)を含む少なくとも1つの蓄熱体(25)をさらに備え、
前記蓄熱体(25)は、前記ケーブル受入部(15)から前記当接部(19)に熱を伝導するように構成されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項11】
請求項8に記載の熱抑制装置(2)と、
前記少なくとも1つの温度センサ(77)にデータ伝送方式で接続され、電流を制御するように構成されている少なくとも1つの制御ユニット(79)と、
を備える、
装置(75)。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)と、
車両側の充電口(83)と、
前記充電口(83)に接続され、電気導体(4)を含む少なくとも1本のケーブル(3)と、
を備え、
前記熱抑制装置(2)は、前記充電口(83)まで20cm未満の距離(13)をおいて前記ケーブル(3)に取り付けられている、
装置(81)。
【請求項13】
請求項2から10のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)と、
少なくとも1つの電気導体(4)とを備え、
前記電気導体(4)はレセプタクル(91)を備え、前記レセプタクル(91)に前記相変化材料(27)の少なくとも一部が収容され、前記レセプタクル(91)は前記電気導体(4)内に延び、前記レセプタクル(91)はハウジング(37)によって閉じられている、
装置(89)。
【請求項14】
請求項10に記載のケーブルクリップ(1)と、
前記ケーブル受入部(15)に受け入れられた少なくとも1本のケーブル(3)と、
を備え、
前記少なくとも1本のケーブル(3)は、内部導体(4、67)と、前記内部導体(4、67)を囲む内側絶縁体(69)と、前記内側絶縁体(69)を囲むシールド(71)と、前記シールド(71)を囲む外側絶縁体(73)とを含み、
前記シールド(71)は前記ケーブル(3)の一部分(70)で露出され、前記ケーブルクリップ(1)の前記蓄熱体(25)が、この部分(70)で前記シールド(71)に当接する、
装置(66)。
【請求項15】
請求項10に記載のケーブルクリップ(1)と、
車両(5)の一部分(7)と、
電気導体(4)を含む、前記車両(5)の少なくとも1本のケーブル(3)と
を備え、
前記ケーブルクリップ(1)は、前記車両(5)の前記一部分(7)に固定され、その当接部(19)により前記車両(5)の前記一部分(7)に当接し、
前記車両(5)の前記少なくとも1本のケーブル(3)は、前記ケーブルクリップ(1)の前記ケーブル受入部(15)に受け入れられている、
装置(87)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両において電気導体を受動的に冷却するための熱抑制装置(heat retarding arrangement)に関する。
【0002】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つの熱抑制装置を各々備える装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電気車両、特にその充電回路および/または駆動回路、ならびに充電コネクタなどの接続装置においては、高電流が流れる場合があり、または流れるはずである。ここでは、車両のバッテリの急速充電、または車両を動作させるのに十分な電力の供給を可能にするために、高電流が望まれる。しかしながら、高電流は、通常、電気導体の加熱につながる。これは、導体の断面を大きくすることによって阻止することができる。しかしながら、導体の断面を大きくすることは、ある限度内でしか実行できない。導体断面が大きいほど、材料の消費が増加するためコストが増加することになる。さらに、車両側の導体の導体断面が大きくなると、車両の重量が増加する。これにより、走行距離が短くなり得る。さらに、電気導体の能動的な冷却が知られている。
しかしながら、能動冷却システムは、それ自体がエネルギーを必要とし、さらに技術的に高度であるため高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、電気導体の過熱の危険なく、電気車両を高電流で充電することができ、かつ/または動作させることができる解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、電気車両において電気導体を受動的に冷却するための熱抑制装置であって、少なくとも1つの相変化材料を含み、電気導体に取り付け可能に構成されている、熱抑制装置によって達成される。
【0006】
相変化材料は、電気導体の温度が所定の限度に達したときに、例えば固相から液相または液相から気相への相変化が実現されるように構成され得る。相変化により、相変化材料、およびそれにより熱抑制装置が配置される電気導体の冷却が行われる。これにより実現される冷却は、ある強さの電流を長時間維持することができるのに十分であり得る。相変化材料の冷却中、逆相転移が生じて、相変化材料がその元の状態に戻ることができるようになっている。これにより、導体の熱は、中間で蓄えられ、または緩和される。熱抑制装置を、代わりに加熱抑制装置または蓄熱装置とも呼ぶことができる。ここでは、熱抑制装置は、PCMデバイスの原理に従って動作することができる。したがって、熱抑制装置は、電気導体の加熱を抑制することができる。本発明による解決策により、電気導体の能動的な冷却を省くことができる。
【0007】
本発明による解決策を、それ自体が各々有利であり、希望に応じて互いに組み合わせることのできる様々な実施形態によってさらに改良することができる。これらの実施形態およびそれに関係する利点について以下で説明する。
【0008】
電気車両は、バッテリ電気車両、燃料電池車両、または部分的に電動の車両、例えばハイブリッド車両もしくはプラグインハイブリッド車両であってよい。
【0009】
電気導体は、車両側のケーブル、例えばバッテリケーブル、すなわち、車両側の充電口をエネルギー貯蔵装置、特にバッテリに直接または間接的に接続するケーブルの一部であってよい。代わりに、導体または導体を含むケーブルは、例えば、エネルギー貯蔵装置を駆動ユニットに接続する高電圧車載電源の一部であってもよい。電気導体のさらなる例は、バスバ、コンタクト要素、およびコンタクト要素の一部分、特に充電口または充電ピストルのコンタクト要素の一部分である。
【0010】
熱抑制装置を、導体に取り付け可能に構成することができる。ここでは、熱抑制装置を導体に直接または間接的に取り付けることができる。間接的な取付けは、熱抑制装置が、例えば、電気導体を含むケーブルに取り付けられることによって生じ得る。
【0011】
熱抑制装置を、2つの電気導体を相互接続するためのねじとして構成することができる。例えば、ねじは、特にねじに形成されたキャビティ内に相変化材料を備えることができる。
【0012】
熱抑制装置は、特に導体に取り付けられると、ヒートパイプの原理に従って動作することができる。熱抑制装置が加熱された時点で、移相または相変化とも呼ばれる相転移が、規定の温度で、例えば固体状態から液体状態または液体状態から気体状態へ、相変化材料について生じ得る。このプロセスにおいて、熱エネルギーが相変化材料から引き出される。熱抑制装置の別の時点で、逆相転移が生じ得る。例えば、液体の相変化材料は再び固化することができ、または気体の相変化材料は、再び凝結して液体状態に戻ることができる。このプロセスにおいて、熱エネルギーが再び放出される。例えば毛管力による熱抑制装置内での相変化材料の移動により、液体の相変化材料は、再び元の場所に戻ることができる。
これにより、相変化材料を含む熱抑制装置を、冷却要素または少なくとも熱導体として、永久に受動的に動作させることができる。
【0013】
熱抑制装置の熱抑制効果または冷却効果により、熱抑制装置は、おそらくは電流により加熱され、かつ少なくともある程度の熱の発生が望ましくない導体またはケーブルに接続されることが好ましい。これは、熱の発生が非効率的な充電につながるだけでなく、安全上の理由で充電電流を小さくする必要があるケーブルに特に当てはまる。
【0014】
相変化材料は、例えば、パラフィンおよび/またはナトリウムのみを含むことができる。他の材料または材料の組合せも可能である。
【0015】
熱抑制装置は、相変化材料を含む蓄熱体を備えることができる。蓄熱体は、特に固体であってよい。蓄熱体は、電気導体、特にケーブルを受け入れるためのケーブル受入部と、車両の一部分に当接するように構成されている当接部とを備えることができる。相変化材料を含む蓄熱体については、ケーブルクリップとして構成されている熱抑制装置を参照して以下で説明する。しかしながら、説明される蓄熱体の実施形態およびその利点は、ケーブルクリップの一部ではない蓄熱体にも当てはまる。
【0016】
特に有利な実施形態によれば、熱抑制装置は、車両の一部分に取り付けられるように構成されている。このために、熱抑制装置は、例えば当接部を備えることができる。それにより、熱抑制装置は、導体の熱を緩和することができるだけでなく、熱抑制装置が取り付けられた車両の一部分に熱を向けることによって、熱の少なくとも一部を車両に放出することができる。したがって、車両はヒートシンクとして機能することができる。
【0017】
特に、熱抑制装置を、少なくとも1本のケーブルを電気車両に固定するためのケーブルクリップとして構成することができ、ケーブルクリップは、少なくとも1本のケーブルを受け入れるように構成されているケーブル受入部と、車両の一部分に当接するように構成されている当接部とを備え、ケーブルクリップは、相変化材料を含む少なくとも1つの蓄熱体をさらに備え、蓄熱体は、特に相変化材料によって、ケーブル受入部から当接部に熱を伝導するように構成されている。上記のケーブルは、電気導体を含むことができる。
【0018】
ケーブルクリップは、最初に少なくとも1本のケーブルを車両の一部分に固定するように機能する。ここでは、ケーブルクリップは、その当接部により車両の一部分に当接することができる。これにより、ケーブルの意図しない移動を効果的に防ぐことができる。蓄熱体により、ケーブルクリップに受け入れられるケーブルに付加質量がさらに認められ、それによりケーブルの振動を減衰させることができる。ケーブルクリップの特定の利点は、上記の利点に加えて、相変化材料を含む蓄熱体の蓄熱特性および熱伝導特性である。この蓄熱体により、抑制された方法で非常に急速に、熱をケーブルから放散することができる。したがって、少なくとも1本のケーブルを少なくとも1つのケーブルクリップによって冷却することができる。したがって、ケーブルクリップは、熱抑制または冷却ケーブルクリップである。
【0019】
ケーブルが受け取る熱エネルギーを、当接部を介して、ケーブルクリップがその当接部により当接する車両の一部分に伝達することができる。したがって、車両はヒートシンクとして機能することができる。
【0020】
相変化材料を含む蓄熱体は、PCMデバイスの原理に従って動作することができる。ここでは、相変化材料を、蓄熱体に埋め込むか、または蓄熱体に分離された空間で封入することができる。相変化材料の相転移により、このような実施形態においても、良好な熱伝導を蓄熱体によって実現することができる。PCMデバイスの原理は、固体から液体または液体から気体への相変化材料の相転移によって、ケーブル受入部に受け入れられたケーブルを冷却するのに有利であるだけでなく、全体的に良好な熱伝導も提供し、ケーブル受入部から当接部に熱を伝導することができる。
【0021】
相変化材料を含む蓄熱体は、さらにヒートパイプの原理に従って動作することができる。蓄熱体が加熱された時点で、すなわち、ケーブルクリップがケーブル受入部にある場合に、移相または相変化とも呼ばれる相転移が、規定の温度で、例えば固体状態から液体状態または液体状態から気体状態へ、蓄熱体に含まれる相変化材料について生じ得る。このプロセスにおいて、熱エネルギーがこの時点で蓄熱体から引き出される。
【0022】
蓄熱体の別の時点で、逆相転移が生じ得る。例えば、液体の相変化材料は再び固化することができ、または気体の相変化材料は、再び凝結して液体状態に戻ることができる。このプロセスにおいて、熱エネルギーが再び放出される。例えば毛管力による蓄熱体内での相変化材料の移動により、液体の相変化材料は、再び元の場所に戻ることができる。これにより、相変化材料を含む蓄熱体を、冷却要素または少なくとも熱導体として、永久に受動的に動作させることができる。
【0023】
相転移が生じる温度は、蓄熱体および相変化材料に対する材料の適切な材料選択によって、かつ蓄熱体内に広がる圧力によって規定され得る。ケーブルクリップの動作中に、固相から液相および液相から固相への相転移を受ける相変化材料の場合、相変化材料の凝結が、ケーブル受入部の近くで行われ、固化が当接部の近くで行われることが好ましい。ケーブルクリップの動作中に、液相から気相および気相から液相への相転移を受ける相変化材料の場合、これに対応して気化がケーブル受入部の近くで行われ、凝結が当接部の近くで行われる。
【0024】
したがって、ヒートパイプとしての実施形態により、熱が抑制されるだけでなく、熱が生じる場所から熱が除去される。
【0025】
熱抑制装置、特にケーブルクリップを取り付け可能な車両の一部分は、シャーシ、車体、駆動装置、バッテリハウジング、または別の部品の一部であってよい。バッテリまたはそのハウジングはそれ自体が電気車両において冷却システムを有することが多いので、バッテリハウジングへの取付けが有利であり得る。したがって、ケーブルに生じる熱を、熱抑制装置を介して、冷却されたバッテリハウジングに供給することができる。
【0026】
車両の一部分に対する当接部の大きい面当接を実現するために、当接部の当接面は、蓄熱体の断面と略同じ大きさであってよい。言い換えると、蓄熱体の断面は、当接部内に連続して延びている。これにより、蓄熱体から車両への効率的な熱の放散を実現することができる。
【0027】
蓄熱体は、相変化材料が埋め込まれた空間を有することが好ましい。蓄熱体は、例えばフレーム構造体を有することができる。フレーム構造体を得るために、蓄熱体を、例えば発泡材料から形成することができ、発泡材料の孔が、空間を形成し、相変化材料を含む。空間の寸法を、例えば毛管力による相変化材料の十分良好な流れが可能であるように決めることができる。あるいは、空間を蓄熱体のチャネルとして形成することができる。
【0028】
ケーブル受入部に受け入れられるように設けられたケーブルの周りに熱抑制装置、特にケーブルクリップを組み立てることを容易にするために、蓄熱体は2部品設計を有し、ケーブル受入部が蓄熱体の2つの部分の間に位置することが好ましい。例えば、蓄熱体の2つの部分は各々、ケーブルの周りで閉じることのできる窪み付き半体(half bowl)を形成することができる。
【0029】
車両に取り付けられた状態で車両への熱伝達を保証し向上させるために、熱抑制装置は、その当接部に少なくとも1つの熱伝導要素を備えることができる。少なくとも1つの熱伝導要素は、塑性変形可能および/または弾性変形可能であることが好ましい。熱伝導要素は、例えば、熱伝導パッド、熱伝導接着剤の層、または熱伝導ペーストの層であってよい。少なくとも1つの熱伝導要素は、熱抑制装置と車両との間の小さい間隙を埋めるように機能することができる。
【0030】
熱伝導要素は、車両に取り付けられた状態で、熱抑制装置が取り付けられた車両の一部分、特にケーブルクリップと、蓄熱体との間に位置することができ、または、ハウジングが設けられている場合、ハウジングが当接部側に開いているかどうかに応じて、この車両の一部分と熱抑制装置のハウジングとの間に位置することができる。
【0031】
同様に、蓄熱体は、ケーブル受入部に、少なくとも1つの熱伝導要素、例えば熱伝導パッド、熱伝導接着剤の層、または熱伝導ペーストの層を備えることができ、これにより、ケーブル受入部に配置されたケーブルと蓄熱体との間の熱伝達を向上させることができる。これは、例えば、熱伝導要素が、ケーブルと蓄熱体との間の間隙を埋め、普通なら空気の断熱層が存在する位置で、ケーブルと蓄熱体との間の熱伝達を可能にするという点で、実現することができる。熱伝導要素は、塑性変形可能および/または弾性変形可能であることが好ましい。
【0032】
安定した構造を得るために、熱抑制装置、特にケーブルクリップとして構成されている熱抑制装置は、相変化材料、特に相変化材料を含む蓄熱体が収容される少なくとも1つのハウジングをさらに備えることが好ましい。少なくとも1つのハウジングを、2部品または多部品蓄熱体を受け入れて一緒に維持するために使用することもできる。
【0033】
当接部で、ハウジングは、収容された蓄熱体が露出されるように開くことができる。これにより、蓄熱体は、熱抑制装置が車両の一部分に固定されるときに、この車両の一部分に直接当接することができる。
【0034】
代わりに、ハウジングは、当接部が設けられている場合に、当接部の領域で閉じていてもよい。閉じたハウジングは、熱抑制装置が固体蓄熱体を含まない場合、および液体または気体の相変化材料が漏れないことを保証する必要がある場合に有利であり得る。
【0035】
少なくとも1つのハウジングは、プラスチックまたは金属から形成されることが好ましい。代わりに、他の材料、例えば、複合材料、セラミック、シリコーンを含む材料なども可能である。
【0036】
プラスチックのハウジングは、ハウジングを迅速かつ安価に製造できるという利点を有する。金属のハウジングは、金属によっては、本質的に高い熱伝導性を有し、それにより、熱伝導および周囲領域への熱の放散に寄与することができるという利点を有する。金属ハウジングは、軽金属または軽金属合金から形成されることが好ましい。ハウジングは、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成されることが特に好ましい。
【0037】
さらに有利な実施形態によれば、ハウジングはゴム弾性的に拡張可能であってよい。これは、例えば、ハウジングがシリコーン材料から構成される場合に当てはまる。ゴム弾性的に拡張可能なハウジングは、相転移中の相変化材料の体積変化に従うように、拡張または収縮することができる。これにより、過剰圧力または負圧がハウジングに生じることによってハウジングが漏れやすくなることを防ぐことができる。ゴム弾性ハウジングの別の利点は、収容可能な相変化材料の全体的な体積が増加することである。
【0038】
特に、ゴム弾性ハウジングを、電気導体に当接可能なパッドとして構成することができる。ハウジングは、相変化材料を内部に含むことができる。
【0039】
さらに好ましい実施形態を、電気導体のレセプタクルを密閉可能なハウジング、特にゴム弾性ハウジングによって得ることができる。ハウジングは、相変化材料が収容される電気導体のレセプタクルと共通のキャビティを形成することができる。ハウジングを、レセプタクルを閉じるためのキャップとして形成することができる。
【0040】
熱抑制装置は、少なくとも1つの受動冷却構造体、特に少なくとも1つの冷却フィンを備えることができる。冷却フィンを、ハウジングに形成できることが好ましい。これは、特に金属、例えばアルミニウムのハウジングの場合に当てはまる。少なくとも1つの冷却構造体は、熱を周囲領域に、特に周囲空気に放散することができ、それにより、熱抑制装置による冷却をさらに向上させることができる。
【0041】
特に有利な実施形態によれば、少なくとも1つの冷却構造体を蓄熱体に形成することができ、ハウジングは、冷却構造体が収容されるキャビティを含む。代わりに、ハウジングは、蓄熱体における冷却構造体の領域で開いて、冷却構造体を外側に突出させることができる。
【0042】
熱抑制装置、特にケーブルクリップとして構成されている熱抑制装置を、車両の一部分に簡単に固定することができるように、ハウジングは、熱抑制装置を車両に固定するための少なくとも1つの固定要素、特にフランジを備えることができる。固定要素は、例えばねじ接合、ロック、または接着接合によって、熱抑制装置を車両に固定するように構成されてよい。フランジの場合、これは、例えば、車両の相補固定要素が貫通することのできる通路孔を備えることができる。
【0043】
ハウジングは、少なくとも組立て中に蓄熱体を取り付けるための、少なくとも1つの、特に内部のロック要素を備えることができる。これにより、熱抑制装置、特にケーブルクリップとして構成されている熱抑制装置の組立てを容易にすることができる。少なくとも1つの蓄熱体を、上記のロック要素に相補的に形成することができる。例えば、ハウジングに、ロックフックとして構成されたロック要素を形成することができ、蓄熱体に、ロックフック用の少なくとも1つのレセプタクルを形成することができる。蓄熱体がハウジングに挿入されると、ロックフックは、レセプタクルに受け入れられ、蓄熱体をハウジングにロックすることができる。
【0044】
蓄熱体を取り付けるための少なくとも1つのロック要素を備える実施形態は、蓄熱体が複数の部品から形成されている場合に特に有意義である。例えば、蓄熱体の第1の部分をハウジングに挿入することができ、続いて、導体、特にケーブルを挿入することができ、最後に、蓄熱体の第2の部分をハウジングにセットすることができる。当然、蓄熱体の第2の部分を、対応するロック接続部を介してハウジングにロックしてもよい。上記の実施形態の代わりに、蓄熱体はロック突起を備えることができ、ハウジングは、突起用の対応するレセプタクルを備えることができる。
【0045】
熱抑制装置のさらなる有利な実施形態によれば、これは、少なくとも1つの温度センサをさらに備えることができる。特に、温度センサは、蓄熱体が設けられる場合には蓄熱体に埋め込まれる。これにより、相変化材料、特に蓄熱体の温度をモニタして、制御ユニット、特に充電電流を制御するように構成されている制御ユニットに伝送することができる。
【0046】
本発明の装置は、本発明の熱抑制装置と、少なくとも1つの制御ユニットとを備え、制御ユニットは、少なくとも1つの温度センサにデータ伝送方式で接続され、導体、特に導体を含むケーブルを流れる電流を制御するように構成されていることが特に好ましい。制御ユニットは、相変化材料の温度、特に温度変化をモニタすることができる。
【0047】
制御ユニットは、どの温度で相変化材料または相変化材料を含む蓄熱体の相転移が生じるかを記憶する記憶ユニットに接続されていることが特に好ましい。差し迫った相転移を認識することに基づいて、制御ユニットは充電電流を制御することができる。例えば固体から液体または液体から気体への第1の相転移中に熱エネルギーが放散されるため、導体または車両の他の部品の過熱をさらに防ぐことができるので、充電電流はこれに対応して高くなり得る。
【0048】
熱抑制装置、特にその蓄熱体は、蓄熱体内に離間して配置された少なくとも2つの温度センサを備えることが特に好ましい。この配置により、蓄熱体内の熱流を判定することができる。これにより、蓄熱体または蓄熱体に含まれる相変化材料の状態を、さらに正確に認識することができる。したがって、いつ相転移が生じるか、および導体の電流がどれくらい高くなり得るかをさらに正確に判定することができる。その後、制御ユニットは、これに対応して、導体を流れる電流を設定することができる。本実施形態により、電気車両の充電中の最大限可能な充電電流を、計算によって予測することができ、許容限度を超える危険な温度トレイルに達することなく、したがって、導体および導体に接続された部品を過熱する危険なく、放出することができる。
【0049】
本発明によるさらなる装置は、ケーブルクリップとして構成されている熱抑制装置と、ケーブルクリップのケーブル受入部に受け入れられた少なくとも1本のケーブルとを備え、少なくとも1本のケーブルは、電気導体としての内部導体と、内部導体を囲む内側絶縁体と、内側絶縁体を囲むシールドと、シールドを囲む外側絶縁体とを含み、シールドはケーブルの一部分で露出され、ケーブルクリップの蓄熱体は、この部分でシールドに当接する。それにより、蓄熱体は、ケーブルのシールドに直接に当接することができる。これにより、熱伝達を向上させることができるだけでなく、ケーブルクリップを、電磁シールドおよび干渉抑制のために使用することもできる。
これは、蓄熱体自体が導電性材料から構成されること、または、少なくとも、導電性材料で少なくとも部分的に被覆されることによって向上させることができる。さらに、干渉防止要素、例えばフェライトコアを蓄熱体に埋め込んで、ケーブルの電磁シールドおよび干渉抑制を向上させることができる。
【0050】
本発明の意味におけるさらなる有利な装置は、熱抑制装置、特にケーブルクリップとして構成されている熱抑制装置と、車両側の充電口と、充電口に接続された少なくとも1本のケーブルとを備える。ここでは、熱抑制装置は、充電口まで好ましくは20cm未満、特に好ましくは10cm未満の距離をおいてケーブルに取り付けられている。熱抑制装置がケーブルクリップとして構成されている場合、ケーブルは、ケーブルクリップのケーブル受入部に受け入れられることが好ましい。充電口近くにケーブルクリップを配置することは、ケーブルおよびケーブルクリップを介して熱を充電口から放散するのに有利であり得る。これにより、ケーブルにおけるケーブルクリップは、充電口でコンタクトを間接的に冷却することができる。
【0051】
本発明によるさらなる装置は、ケーブルクリップとして構成されている熱抑制装置と、車両の一部分とを備え、車両の一部分は車両自体であってもよく、ケーブルクリップは、車両の一部分に固定され、その当接部により車両の一部分に当接し、車両の少なくとも1本のケーブルが、ケーブル受入部に受け入れられている。
【0052】
本発明の別の態様によれば、ケーブルに取り付け可能なケーブルクリップの代わりに、バスバを車両または別の固体構造体に固定するための固定構造体の一部として構成されている熱伝達装置が提供される。
【0053】
熱伝達装置は、バスバと車両との間のアダプタ、および/または、バスバを車両に固定するための押さえ装置(hold down device)を備えることができる。
【0054】
さらに、熱伝達装置は、バスバと車両との間、バスバとアダプタとの間、またはバスバと押さえ装置との間に中間層を含むことができる。中間層は、バスバに巻き付けられた箔であることが好ましい。代わりに、中間層は、バスバにおける板または被膜であってもよい。
【0055】
バスバを車両に固定するための熱伝達装置は、必ずしも相変化材料を含む必要はない。しかしながら、アダプタ、押さえ装置、および中間層のうちのいずれか1つは、相変化材料を含んでよく、または相変化材料から形成されてよい。
【0056】
組立状態で、バスバを、車両の一部分と押さえ装置との間に配置することができる。中間層を、少なくともバスバと車両の一部分との間に配置することができる。
【0057】
アダプタを使用する場合、アダプタをバスバと車両の一部分との間に配置することができる。中間層も存在する場合、この中間層は、バスバとアダプタとの間に配置されることが好ましい。
【0058】
アダプタおよび/または押さえ装置は、相変化材料が充填された少なくとも1つのキャビティを備えることができる。
【0059】
アダプタは、冷却回路の冷却液用の少なくとも1つの冷却チャネルを備えることができる。
【0060】
熱伝達装置は、本発明による熱抑制装置であってよい。特に、車両に接触する熱伝達装置の一部分を、装置の当接部とみなすことができる。
【0061】
バスバに接触する熱伝達装置の一部分は、ケーブルクリップのケーブル受入部に対応することができる。熱伝達装置の要素が相変化材料を含む場合には、この要素を蓄熱体とみなすことができる。
【0062】
ケーブルクリップに関して説明する本発明の改良を、上記の熱伝達装置に適用してもよい。
【0063】
以下で、図面を参照しながら、本発明を、有利な実施形態を用いて、例としてより詳細に説明する。実施形態において例として示す特徴の組合せを、ある適用の場合についての本発明による熱抑制装置の特性に対応する、上記の説明によるさらなる特徴によって補うことができる。さらに、上記の説明に従って、個々の特徴の効果が具体的な適用の場合に該当しない場合、個々の特徴を記載される実施形態において省略することができる。図中、同一の参照数字は常に、同一の機能および/または同一の構造を有する要素に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】ケーブルにおけるケーブルクリップとして構成されている、本発明による熱抑制装置の第1の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図2】
図1のケーブルクリップの実施形態の断面図である。
【
図3】
図1のケーブルクリップを、当接部を見る方向で示す図である。
【
図4】例として示すケーブルクリップおよびケーブルの断面図である。
【
図5】例として示すさらなるケーブルクリップおよびケーブルの断面図である。
【
図6】温度センサを含むケーブルクリップとして構成されている熱抑制装置の、例として示すさらなる実施形態の図である。
【
図7】本発明による熱抑制装置を備える、本発明による装置を示す図である。
【
図8】充電口における、本発明による熱抑制装置の、例として示す実施形態の図である。
【
図9】充電口における、本発明による熱抑制装置の、例として示すさらなる実施形態の図である。
【
図10】電気導体における、本発明による熱抑制装置の、例として示す実施形態の図である。
【
図11】ボルト接続部のねじにおける、本発明による熱抑制装置の、例として示す実施形態の図である。
【
図12】ボルト接続部のねじにおける、本発明による熱抑制装置の、例として示す実施形態の図である。
【
図13】ボルト接続部のねじにおける、本発明による熱抑制装置の、例として示す実施形態の図である。
【
図14】バスバを車両に固定するための熱伝達装置の、例として示す第1の実施形態の図である。
【
図15】バスバを車両に固定するための熱伝達装置の、例として示す第1の実施形態の図である。
【
図16】バスバを車両に固定するための熱伝達装置の、例として示す第2の実施形態の図である。
【
図17】バスバを車両に固定するための熱伝達装置の、例として示す第2の実施形態の図である。
【
図18】バスバを車両に固定するための熱伝達装置の、例として示す第3の実施形態の図である。
【
図19】バスバを車両に固定するための熱伝達装置の、例として示す第3の実施形態の図である。
【
図20】バスバを車両に固定するための熱伝達装置の、例として示す第3の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下で、
図1~
図3を参照しながら、ケーブルクリップ1として構成されている熱抑制装置2の第1の有利な実施形態を説明する。
【0066】
ケーブルクリップ1は、電気導体4を含むケーブル3を電気車両5または電気車両5の一部分7に固定するように機能する。
図1で、電気車両5または車両5の一部分7は破線でのみ示されている。一部分7は、例えば、シャーシ、車体、駆動装置、バッテリハウジング、または別の車両部品の一部であってよい。電気導体4は、例えば、ケーブル3の内部導体であってよい。
【0067】
1本のケーブル3のみを固定するためのケーブルクリップ1が、やはり例としてのみ示されている。代わりに、ケーブルクリップ1は、複数のケーブル3を同時に固定するように構成されていてもよい。
【0068】
ケーブルクリップ1は、ケーブル3に接続される部品9の近くに配置されることが好ましい。部品9は、例として示すように、ピンおよびソケットコネクタ11であってよい。代わりに、他の部品9、特に、車両側の充電口、駆動ユニット、車両のバッテリもしくは蓄電池、コントローラその他のものも考えられる。
【0069】
ケーブルクリップ1から部品9までの距離13は、好ましくはほんの数センチメートル、特に好ましくは10cm未満である。これにより、部品9で発生した熱を、ケーブル3を介してケーブルクリップ1に、かつケーブルクリップ1を介して車両5に伝導することができる。
【0070】
ケーブル1は、ケーブル3を受け入れるように構成されているケーブル受入部15を有する。ケーブル受入部15は通路開口部17を含み、この通路開口部17を通してケーブル3を案内することができる。
【0071】
ケーブルクリップ1は、車両5の一部分7に当接するように構成されている当接部19をさらに備える。ケーブルクリップ1は、ケーブルクリップ1の一端部となり得る当接部19において、好ましくはケーブルクリップ1を取り付ける車両5の一部分7に相補的に形成されている。
【0072】
例として示す実施形態において、ケーブルクリップ1は、当接部19において平坦に構成されている。これは、ケーブルクリップ1が平面に当接するように使用され得ることを意味する。代わりに、他の実施形態も可能である。
【0073】
平坦な設計は、ケーブルクリップ1からの熱を大きい当接面にわたって車両5に伝導することができるという利点を有する。当接部19の当接面21は、ケーブルクリップ1の断面積23に略対応することが好ましい。言い換えると、ケーブルクリップ1の断面は、当接部19内に連続して延びることができる。
【0074】
ケーブルクリップ1は、相変化材料27を含む蓄熱体25を備える。相変化材料27は蓄熱体25内に位置する。蓄熱体は、相変化材料27が位置する空間29またはキャビティ29を備えることが好ましい。空間29は、蓄熱体25を通って連続して延びていても、局所的に限定されていてもよい。
【0075】
蓄熱体25は、フレーム構造体31を含む材料から形成されることが好ましい。フレーム構造体31は、空間29にわたることができる。フレーム構造体31を、例えば発泡材料から形成することができる。
【0076】
代わりに、相変化材料27が位置する空間29としてのチャネルが、蓄熱体を通っていてもよい。さらなる代替例として、蓄熱体25が、相変化材料27を成分として含む複合材料から構成されていてもよい。
【0077】
蓄熱体25は、多部品設計、特に2部品設計を有することが好ましい。蓄熱体25は、互いに重ねて配置され得る2つの窪み付き半体33、35を含むことが好ましい。窪み付き半体33、35の間に、通路開口部17を含むケーブル受入部15がある。
【0078】
特に多部品蓄熱体25を含む実施形態において、ケーブルクリップ1は、蓄熱体25が収容されたハウジング37を備えることができる。ハウジング37を、プラスチック、金属、特にアルミニウム、または別の材料から形成することができる。さらなる代替例として、当然、ケーブルクリップ1はハウジング37なしで形成されていてもよい。
【0079】
ハウジング37は、特に冷却フィン41を含む少なくとも1つの受動冷却構造体39(
図2に破線で示す)を備えることができる。代わりに、少なくとも1つの受動冷却構造体39は、蓄熱体25の一部であってもよい。それにより、ハウジング37は、この冷却構造体の周りに延びることができ、またはこの冷却構造体を露出させることができる。
【0080】
蓄熱体25の2つの部分、すなわち窪み付き半体33、35を確実に固定するために、ハウジング37は、ロックフック43として構成されている複数のロック要素を含むことが好ましく、このロックフック43は、相補的に構成された窪み付き半体33、35のロック凹部45に係合することができ、窪み付き半体33、35をハウジング37に固定することができる。
【0081】
例えば、最初に、窪み付き半体33を、ロックフック43がロック凹部45に配置される程度まで、ハウジング37に挿入することができる。続いて、ケーブル3を、ケーブル受入部15に配置されるように挿入することができる。最後に、第2の窪み付き半体35を挿入することができる。両方の窪み付き半体33、35が、組立状態で通路開口部17を共に形成する導管状の凹部47、49をそれぞれ備えているため、ケーブル3は、組立状態でケーブルクリップ1の両方の窪み付き半体33、35間に保持される。
【0082】
ケーブルクリップ1を車両5に固定し、これにより、ケーブル3を車両5に間接的に固定するために、ケーブルクリップは、少なくとも1つの固定要素51を備えることが好ましい。例として示す実施形態において、固定要素51はフランジ53である。
【0083】
フランジ53は、複数の通路孔55を備える。固定部、例えば、ねじまたはクリップを通路孔55に通して案内して、ケーブルクリップ1を車両5に保持することができる。
【0084】
蓄熱体25と車両5との間の熱伝導を向上させるため、または車両5に対するケーブルクリップ1の連続した当接を保証するために、ケーブルクリップ1は、好ましくは当接部19に配置された熱伝導要素57を備えることが好ましい。熱伝導要素57は、熱伝導パッド、熱伝導接着剤の層、熱伝導ペーストの層、または別の適切な要素であってよい。
【0085】
ハウジング37は、当接部19で開いて、蓄熱体25を車両5に直接、または熱伝導要素57を介して間接的に当接させることができる。代わりに、ハウジング37は、当接部19で閉じていてもよい。これは、例えば、金属のハウジング37の場合に当てはまる。ケーブルクリップ1が熱伝導要素57を備えている場合、熱伝導要素57を、当接部19においてハウジング37の外側に配置することができる。
【0086】
熱伝導要素57は、塑性変形可能および/または弾性変形可能であることが好ましい。これにより、組立て中に、熱伝導要素57を、ケーブルクリップ1とケーブルクリップ1が当接する車両5の一部分7との間の空間に押し込み、これらの空間を熱伝導方式で密閉することができる。
【0087】
熱伝導要素57を固定するために、熱伝導要素57は、例えば、ケーブル受入部15側に突出する固定要素59、例えば、弾性変形可能なロックフック61を含むことができ、ロックフック61は、ハウジング37、特にフランジ53の通路開口部63を貫通し、厚い端部65によって抜けないように固定される。代わりに、熱伝導要素57は、ケーブルクリップ1の残りの部分に接着されてもよく、または別の適切な方法で固定されてもよい。
【0088】
少なくとも1つのさらなる熱伝導要素58(
図2に破線で示す)を、ケーブル受入部15のケーブル3と蓄熱体25との間の熱伝導に寄与するように、ケーブル受入部15に配置することができる。
【0089】
以下で、
図4を参照する。
図4では、ケーブルクリップ1として構成されている熱抑制装置2のみが示され、ケーブルクリップ1は、
図1~
図3を参照して説明した実施形態に特に対応し得る。
【0090】
ケーブルクリップ1とケーブル3とは、共に装置64を形成する。図は、
図1にA-Aで示した断面軸に対応する断面を示す。ケーブル3も断面図に示されている。
【0091】
ケーブル3は、内部導体67と、内部導体67を囲む内側絶縁体69と、内側絶縁体69を囲むシールド71と、シールド71を囲む外側絶縁体73とを有する。本実施形態において、蓄熱体25は外側絶縁体73に当接する。
【0092】
本実施形態は、ケーブル3に変更を加える必要がないため有利である。これにより、ケーブルクリップ1の組立てを容易にすることができる。しかしながら、内部導体67で発生する熱が、蓄熱体25に到達する前にケーブル3の複数の層を通る必要があることが、ここでも悪影響を与えることがある。
【0093】
以下で、
図5を参照しながら、ケーブルクリップ1とケーブル3とを備える装置の代替実施形態を説明する。説明を簡潔にするために、
図4を参照して説明した実施形態との違いのみを説明する。
【0094】
装置66で、ケーブル3は、少なくともケーブルクリップ1を通る一部分70に外側絶縁体73を有していない。このケーブル3は、実質的に、
図4を参照して説明したケーブル3であるが、ケーブルクリップ1を通って延びる一部分70において、外側絶縁体73が除去されていることが好ましい。したがって、ケーブルクリップ1の蓄熱体25は、シールド71に直接当接する。
【0095】
この装置により、外側絶縁体73がないため、内部導体67から蓄熱体25へのより良好な熱伝導が可能になる。さらに、シールド71に直接接触する蓄熱体25は、特に蓄熱体25が適切な材料、特に導電性材料から形成される場合に、電磁シールドおよび干渉抑制に寄与することができる。
【0096】
上記の実施形態の代わりに、装置66は、ケーブルクリップ1として構成されていない熱抑制装置2をケーブルクリップ1の代わりに備えることができる。
【0097】
以下で、ケーブルクリップ1のさらなる有利な実施形態およびさらなる有利な装置75について簡単に説明する。ケーブルクリップ1を、上記のケーブルクリップ1として構成することができる。装置75も、ケーブルクリップ1の代わりに、ケーブルクリップ1として構成されていない熱抑制装置2を備えることができる。
【0098】
ケーブルクリップ1の上記の実施形態との違いは、蓄熱体が、互いに離間して蓄熱体25の材料に埋め込まれた2つの温度センサ77を備えていることである。両方の温度センサ77は、制御ユニット79にデータ伝送方式で接続される。ケーブルクリップ1は、制御ユニット79と共に装置75を形成する。
【0099】
制御ユニット79は、ケーブル受入部(
図6に破線でのみ示す)に配置されたケーブル3を流れる電流を制御するように構成されていてよい。温度センサ77から受信したデータにより、蓄熱体25内の温度フローを判定することができる。特に、2つのセンサ77を通る温度の差を測定することができる。
【0100】
温度センサ77から取得したデータにより、蓄熱体25に位置する相変化材料27の相転移を予測することができ、それに対応して、ケーブル3を流れる電流を調節することができる。そのような計算が、例えば、蓄熱体25の温度がまだ相転移温度に達していないことを示す場合、ケーブルを流れる電流を小さくしなくてよく、または、相変化材料27の相転移が蓄熱体25に対する冷却効果を有し、したがってケーブル3に対する冷却効果を間接的に有することが知られているため、ケーブル3を流れる電流を増加させることもできる。
【0101】
以下で、
図7を参照しながら、ケーブルクリップ1として構成されている熱抑制装置2を各々備える2つのさらなる有利な装置について簡単に説明する。
図7は、車両5を上から概略的に示す。
【0102】
装置81は、車両側の充電口83、ケーブル3、およびケーブルクリップ1を備える。ここでは、充電口83は部品9のさらなる例である。バッテリケーブルとしてのケーブル3は、例えば、充電口83をトラクションバッテリに接続することができる。
【0103】
充電口83は、車両5の外側の領域から車両5の内部へ延びることができる。ケーブル3は、充電口83に電流伝達方式で接続されている。ケーブル3を車両5の一部分7に接続するためのケーブルクリップ1は、充電口83まで、好ましくは10cm未満である距離13をおいて配置されることが好ましい。このようにして、ケーブルクリップ1は、ケーブル3を介して、充電口83から間接的に熱を除去することができる。車両の一部分7として、車体が例としてのみ示されている。当然、ケーブルクリップ1を、車両5の他の内側部分に取り付けてもよい。
【0104】
ケーブル3を車両5に固定するさらなるケーブルクリップ1も、例としてのみ示されている。車両5は、ケーブル3を移動、特に振動に対して十分に固定し、熱をケーブル3から放散するための、任意の数のケーブルクリップ1を備えることができる。
【0105】
図7に示すさらなる装置87は、ケーブルクリップ1として構成されている熱抑制装置2と、車両5の一部分7、場合によっては車両5全体と、ケーブル3とを備え、ケーブル3は、ケーブルクリップ1のケーブル受入部15に受け入れられ、ケーブルクリップ1は、その当接部19により車両5の一部分7に当接する。
【0106】
図8に、本発明による熱抑制装置2が電気導体4に配置されている装置88が示されている。電気導体4は、車両5の充電口83の一部であり得るコンタクト要素90である。コンタクト要素90は、バスバ92に導電的に接続されて、コンタクト要素90とバスバ92とが共に電気導体4を形成するようになっている。
【0107】
コンタクト要素90に、熱抑制装置2が収容されるキャビティ93がある。
【0108】
最も簡単な場合、熱抑制装置2は、単にこの配置で相変化材料27を含む。相変化材料27を、例えば、キャビティ93に充填または配置することができ、その後、キャビティ93を密閉することができる。このために、最初は外部に対して開いているキャビティ93の一端部を、キャップ95により外部に対して密閉することができる。
【0109】
代わりに、熱抑制装置2は、相変化材料27が収容されるハウジング37を備えることもできる。ハウジング37を備える熱抑制装置2を、例えば、キャビティ93のインサートとして形成することができる。組立てのために、熱抑制装置2を、例えば、キャビティ93に押し込むことができる。
【0110】
以下で、
図9について簡単に説明する。ここでも、本発明による熱抑制装置2は、充電口83のコンタクト要素90を受動的に冷却するために使用される。
【0111】
熱抑制装置2は、相変化材料27とゴム弾性ハウジング37とを備える。バスバ92とコンタクト要素90とから構成された電気導体4は、レセプタクル91を備える。相変化材料27は、部分的にレセプタクル91内に、かつ部分的にハウジング37内に受け入れられる。
【0112】
レセプタクル91およびハウジング37を画定する電気導体4の壁97が、相変化材料27が収容される共通のキャビティ99を形成する。
【0113】
ハウジング37のゴム弾性設計により、ハウジング37は、相変化材料27の体積変化を補償することができる。体積変化は、特に相変化材料の相転移によって生じ得る。
【0114】
以下で、本発明による熱抑制装置2を備えるさらなる装置101を示す
図10について説明する。
【0115】
装置101も、充電口83のコンタクト要素90を備え、コンタクト要素90はバスバ92に導電的に接続されている。ここでは、本発明による熱抑制装置2は、バスバ92に当接するように配置され、必ずしもコンタクト要素90に接触していない。
【0116】
装置をバスバ92に配置することは、組立てを容易にすることができ、かつ/または、コンタクト要素90に十分な設置空間がない場合に有意義であり得る。コンタクト要素90がバスバ92に導電的に接続されることにより、使用する導電性材料の選択に応じて、コンタクト要素90は、通常、バスバ92に熱伝導的にも接続される。したがって、コンタクト要素90で発生した熱を、バスバ92を介して熱抑制装置2に伝導することができる。ここでは、熱抑制装置2は、コンタクト要素90まで小さい距離をおいてバスバ92に配置されることが好ましい。距離は、好ましくはほんの数センチメートルであり、特に好ましくは最大で10cmである。
【0117】
本実施形態の熱抑制装置2は、ゴム弾性ハウジング37も有することが好ましい。しかしながら、
図9を参照して説明した実施形態とは対照的に、ここでは、ハウジング37は全体的に閉じている。熱抑制装置を、バスバ92に取り付け可能な一種のパッドと考えることができる。
【0118】
ハウジング37は、相変化材料27が収容される内部空間103を有する。
図9を参照して説明した実施形態と同様に、ハウジング37のゴム弾性が、相変化材料27の体積変化を吸収することができる。
【0119】
熱抑制装置2を、例えば、好ましくは熱伝導接着剤によりバスバ92に接着することができる。代わりにまたは加えて、熱抑制装置2を、適切な外部固定手段、例えばロック要素またはタイラップによってバスバ92に保持することができる。
【0120】
特に、熱抑制装置2とバスバ92とを外部固定手段によって固定する場合、より良好な熱伝達のために、少なくとも1つの熱伝導要素(ここでは図示せず)をバスバ92と熱抑制装置2との間に配置することができる。熱伝導要素は、特に熱伝導ペーストの層または熱伝導パッドであってよい。上記の熱伝導接着剤も熱伝導要素と考えられる。
【0121】
熱抑制装置2を、2つの電気導体4を相互接続するためのねじ105として構成することができる。ボルト接続部としても知られるこのタイプの接続部が、
図11~
図13に示されている。
【0122】
ねじ105は、ケーブル3の一部であり得る導体4を別の導体(図示せず)に接続するように構成されている。ねじ105は、ねじ105を駆動し、かつ導体4を他の導体に押し付けるためのねじ頭107を有する。ねじ頭107は、接触保護のために電気的に絶縁されていることが好ましい。
【0123】
導体4と他の導体との間に、スリーブまたはブッシングなどの1つまたは複数の中間部品109を配置することができる。押圧力を生じさせてねじ105を固定するために、ねじ105は、ねじ頭107と反対側の端部にねじ山111を備える。
【0124】
ねじ山111を備えるねじ105の端部に、ねじ105は、電気絶縁先端部113をさらに備えることができる。絶縁先端部113は、ねじ105を取り付けるときの安全性を高めることができる。
【0125】
一般的に、ねじ105自体は、電流を伝えるために小さい役割しか果たさない。代わりに、ねじ105は、導電性部分を互いに機械的に固定するように意図されている。しかしながら、ねじ105も、導体4または中間部品109などの高温の導電性部分に接触しているときに加熱される。
【0126】
ねじ105および導体の熱を減らすために、ねじ105は、少なくとも1つのキャビティ93を備えることができる。キャビティ93内に、相変化材料27を配置することができる。
【0127】
相変化材料27用のキャビティ93を、ねじ105の異なる位置に配置することができる。
図12に示す実施形態において、キャビティ93は、ねじ頭107の近くに配置されている。ねじ105の製造プロセス中に、キャビティ93をねじ頭107の領域に形成することができる。その後、キャビティ93に相変化材料27を充填することができる。最後に、キャビティ93をキャップ95または他の手段により閉じることができる。
【0128】
図13に、
図12に関して前述した配置とは異なる配置が示されている。ここでは、キャビティ93は、ねじ105の反対側端部で延びる。キャビティ93は、ねじ105の先端からねじ105の材料内に開くことにより、ねじ山111の領域で延びる。
【0129】
ねじ105の製造中、絶縁先端部113の一部を受け入れるための開口部115を形成するときに、キャビティ93を形成することができる。開口部115とキャビティ93とを形成した後、キャビティ93に相変化材料27を充填することができる。
【0130】
キャビティ93をキャップ95により閉じることができる。その後、絶縁先端部113を開口部115に挿入して、絶縁先端部113をねじ105に固定することができる。代替例では、絶縁先端部113が開口部115内に配置されたときにキャビティ93を閉じるのに十分であれば、キャップ95を省略することができる。
【0131】
以下で、本発明による熱抑制装置2の利点の恩恵を受けることができるさらなる装置について説明する。以下で、
図14および
図15を参照して、熱伝達装置117について説明する。
【0132】
図14に、2つの熱伝達装置117が示されている。簡潔にするために、熱伝達装置117のうちの一方のみについて以下で説明する。単に例として、
図14に示すバスバ92をリレー119に接続することができる。
【0133】
熱伝達装置117は、導体4、特にバスバ92を固体構造体、特に車両5の一部分7に接続するように意図されている。
【0134】
熱伝達装置は、バスバ92を一部分7に電気絶縁方式で接続するが、同時に、バスバ92から一部分7に熱を伝達することができるように意図されている。
【0135】
熱伝達装置117は、バスバ92の上に配置されて、バスバ92を少なくとも部分的に受け入れることのできる押さえ装置(hold down device)121を備える。「上に(on top)」という用語は、バスバ92が装置117によって取り付けられる一部分7とは反対側のバスバ92の側を指す。
【0136】
押さえ装置121と車両の一部分7との接続を向上させるために、押さえ装置121の相手側として、突起123を一部分7に形成することができる。
【0137】
バスバ92を突起123の上に配置することができる。押さえ装置121をバスバ9の上に配置することができる。これにより、バスバ92を、突起123と押さえ装置121との間に受け入れることができる。
【0138】
押さえ装置121は、一部分7に接触するために開いたバスバの一側127のみを残してバスバ92を受け入れるためのレセプタクル125を備えることが好ましい。
【0139】
押さえ装置121は、ねじ59を介して一部分7に固定されることが好ましい。バスバ92を一部分7から電気的に絶縁するために、バスバ92と一部分7との間に中間層129が配置されることが好ましい。
【0140】
中間層129は、高い熱伝導性を有する電気絶縁材料であることが好ましい。中間層129を、バスバ92と一部分7との間の板として、バスバ92に少なくとも部分的に巻き付けられた箔として、またはバスバ92の表面の被膜として形成することができる。
【0141】
単に例として、
図15に箔131が破線で示され、箔131はバスバ92の周囲に延びている。箔131は、必ずしもバスバ92の全面を覆う必要はない。これは
図15に示され、バスバ92の上の領域は箔131で覆われていない。
【0142】
上記の装置において、押さえ装置121は相変化材料27を含むことができる。しかしながら、これは必須ではない。
【0143】
単に例として、相変化材料27を含むキャビティ93が、
図15の断面図に示されている。前述したように、これは単に任意選択である。相変化材料27は、バスバ92、特に一部分7に直接接触していないバスバ92の部分からの熱伝達を向上させることができる。
【0144】
続いて、熱を押さえ装置121によって一部分7に伝達することができる。加えてまたは代わりに、中間層129は相変化材料27を含んでよく、または相変化材料27から形成されてよい。さらなる代替例として、熱抑制のための相変化材料27を提供するさらなる層(図示せず)を、バスバ92と一部分7との間に設けることができる。
【0145】
以下で、
図16および
図17を参照して、熱伝達装置117の第2の実施形態について説明する。簡潔にするために、
図14および
図15を参照して説明した実施形態との違いのみを説明する。
【0146】
熱伝達装置117の第2の実施形態は、一部分7が突起123を備えていない場合に有利であり得る。
【0147】
バスバ92を一部分7に良好に、すなわち熱伝導であるが電気絶縁方式で接続することができるように、熱伝達装置117は、第1の実施形態に関して説明した突起123と同じ目的で機能することのできるアダプタ133を備える。バスバ92は、押さえ装置121とアダプタ133との間に配置される。
【0148】
押さえ装置121とアダプタ133とを互いに固定するために、アダプタ133は、押さえ装置121のラッチフック137を受け入れるためのラッチ溝135を両側に備えることができる。ラッチ溝135は、バスバ92の長手方向136に平行に延びることが好ましい。
【0149】
アダプタ133を、電気絶縁材料から形成することができる。しかしながら、これは必須ではない。バスバ92から一部分7への熱伝達を向上させるために、アダプタ133を金属材料、特にアルミニウムから形成してもよい。
【0150】
特にアダプタ133が金属から形成される場合、バスバ92とアダプタ133との間に中間層129を設けることが好ましい。中間層129は、バスバ92に巻き付けられた箔131であることが好ましい。
【0151】
第1の実施形態と同様に、熱伝達装置117の第2の実施形態は、相変化材料27を備えることができる。前述したように、押さえ装置121および/または中間層129は、相変化材料27(図示せず)を備えることができる。さらに、アダプタ133は、特にアダプタ133に形成された少なくとも1つのキャビティ93(
図17に破線で示す)内に相変化材料27を備えることができる、
【0152】
次に、熱伝達装置117の第3の実施形態を示す
図18~
図20を参照する。ここでも、前に示した実施形態との違いのみを詳細に説明する。
【0153】
熱伝達装置117の第3の実施形態は、2つの冷却チャネル139がアダプタ133を通って延びていることを除いて、第2の実施形態と基本的に同様である。
【0154】
冷却チャネル139は、バスバ92の長手方向136に平行に延びることが好ましい。冷却チャネル139を、アダプタ133を能動的に冷却するために使用することができる。そのために、冷却チャネル139は、熱をアダプタ133から伝達するために冷却液が流れる冷却回路の一部であってよい。
【0155】
冷却チャネル139の端部に、冷却チャネル139とチューブなどの冷却回路の他の部分との接続を容易にするための接続部品141を設けることができる。
【0156】
熱伝達装置117の第3の実施形態は、場合によっては、相変化材料27(図示せず)を備えることができる。
【符号の説明】
【0157】
1 ケーブルクリップ
2 熱抑制装置
3 ケーブル
4 電気導体
5 車両
7 車両の一部分
9 部品
11 ピンおよびソケット接続部
13 距離
15 ケーブル受入部
17 通路開口部
19 当接部
21 当接面
23 断面積
25 蓄熱体
27 相変化材料
29 キャビティ
31 フレーム構造体
33 窪み付き半体
35 窪み付き半体
37 ハウジング
39 冷却構造体
41 冷却フィン
43 ロックフック
45 ロック凹部
47 凹部
49 凹部
51 固定要素
53 フランジ
55 通路孔
57 熱伝導要素
58 さらなる熱伝導要素
59 固定要素
61 ロックフック
63 通路開口部
64 装置
65 厚い端部
66 装置
67 内部導体
69 内側絶縁体
70 一部分
71 シールド
73 外側絶縁体
75 装置
77 温度センサ
79 制御ユニット
81 装置
83 充電口
87 装置
89 装置
90 コンタクト要素
91 レセプタクル
92 バスバ
93 キャビティ
95 キャップ
97 壁
99 キャビティ
101 装置
103 内部
105 ねじ
107 ねじ頭
109 中間部品
111 ねじ山
113 絶縁先端部
115 開口部
117 熱伝達装置
119 リレー
121 押さえ装置
123 突起
125 レセプタクル
127 側
129 中間層
131 箔
133 アダプタ
135 ラッチ溝
136 長手方向
137 ラッチフック
139 冷却チャネル
141 接続部品
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両(5)において電気導体(3、4)を受動的に冷却するための熱抑制装置(2)であって、
前記熱抑制装置(2)は、少なくとも1つの相変化材料(27)を含み、前記電気導体(4)に取り付け可能に構成されている、
熱抑制装置(2)。
【請求項2】
前記熱抑制装置(2)は、前記相変化材料(27)が収容されるハウジング(37)をさらに備える、
請求項1に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項3】
前記ハウジング(37)は、プラスチック、複合材料、シリコーン材料、および/または金属から形成されている、
請求項2に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項4】
前記ハウジング(37)は、ゴム弾性的に拡張可能である、
請求項2に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項5】
前記熱抑制装置(2)は、前記相変化材料(27)を含む空間(29)を有する蓄熱体(25)を備える、
請求項1に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項6】
前記熱抑制装置(2)は、少なくとも1つの受動冷却構造体(39)を備える、
請求項1に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項7】
前記熱抑制装置(2)は、前記電気導体(4)、電気導体(4)を含むケーブル(3)、または前記電気車両(5)の一部分(7)に当接する少なくとも1つの熱伝導要素(57、58)を備える、
請求項1に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項8】
前記熱抑制装置(2)は、少なくとも1つの温度センサ(77)をさらに備える、
請求項1に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項9】
前記相変化材料(27)は、ナトリウムおよび/またはパラフィンを含む、
請求項1に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項10】
前記熱抑制装置(2)は、電気導体(4)を含むケーブル(3)を電気車両(5)に固定するためのケーブルクリップ(1)として構成され、
前記ケーブルクリップ(1)は、
前記ケーブル(3)を受け入れるように構成されているケーブル受入部(15)と、
前記電気車両(5)の一部分(7)に当接するように構成されている当接部(19)と、
を備え、
前記ケーブルクリップ(1)は、前記相変化材料(27)を含む少なくとも1つの蓄熱体(25)をさらに備え、
前記蓄熱体(25)は、前記ケーブル受入部(15)から前記当接部(19)に熱を伝導するように構成されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)。
【請求項11】
請求項8に記載の熱抑制装置(2)と、
前記少なくとも1つの温度センサ(77)にデータ伝送方式で接続され、電流を制御するように構成されている少なくとも1つの制御ユニット(79)と、
を備える、
装置(75)。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)と、
車両側の充電口(83)と、
前記充電口(83)に接続され、電気導体(4)を含む少なくとも1本のケーブル(3)と、
を備え、
前記熱抑制装置(2)は、前記充電口(83)まで20cm未満の距離(13)をおいて前記ケーブル(3)に取り付けられている、
装置(81)。
【請求項13】
請求項2から9のいずれか一項に記載の熱抑制装置(2)と、
少なくとも1つの電気導体(4)とを備え、
前記電気導体(4)はレセプタクル(91)を備え、前記レセプタクル(91)に前記相変化材料(27)の少なくとも一部が収容され、前記レセプタクル(91)は前記電気導体(4)内に延び、前記レセプタクル(91)はハウジング(37)によって閉じられている、
装置(89)。
【請求項14】
請求項10に記載のケーブルクリップ(1)と、
前記ケーブル受入部(15)に受け入れられた少なくとも1本のケーブル(3)と、
を備え、
前記少なくとも1本のケーブル(3)は、内部導体(4、67)と、前記内部導体(4、67)を囲む内側絶縁体(69)と、前記内側絶縁体(69)を囲むシールド(71)と、前記シールド(71)を囲む外側絶縁体(73)とを含み、
前記シールド(71)は前記ケーブル(3)の一部分(70)で露出され、前記ケーブルクリップ(1)の前記蓄熱体(25)が、この部分(70)で前記シールド(71)に当接する、
装置(66)。
【請求項15】
請求項10に記載のケーブルクリップ(1)と、
車両(5)の一部分(7)と、
電気導体(4)を含む、前記車両(5)の少なくとも1本のケーブル(3)と
を備え、
前記ケーブルクリップ(1)は、前記車両(5)の前記一部分(7)に固定され、その当接部(19)により前記車両(5)の前記一部分(7)に当接し、
前記車両(5)の前記少なくとも1本のケーブル(3)は、前記ケーブルクリップ(1)の前記ケーブル受入部(15)に受け入れられている、
装置(87)。
【外国語明細書】