(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071176
(43)【公開日】2023-05-22
(54)【発明の名称】カテーテルの送信機及び受信機を使用した、カテーテルと組織との間に印加された接触力の推定
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230515BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179376
(22)【出願日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】17/523,155
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK12
4C160KK23
(57)【要約】
【課題】カテーテルと組織との間に印加された接触力を推定するための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】システムは、カテーテル及びプロセッサを含む。カテーテルは、(i)拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に連結され、第1の信号を送信するように構成されている送信機と、(ii)EDEAの弾性構成要素に連結され、第1の信号を受信することに応答して、1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するように構成されている1つ以上の受信機と、を有する、EDEAを含む。プロセッサは、1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、弾性構成要素に印加される力を推定するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に連結され、第1の信号を送信するように構成されている送信機と、(ii)前記EDEAの弾性構成要素に連結され、前記第1の信号を受信することに応答して、1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するように構成されている1つ以上の受信機と、を有する、前記EDEAを備える、カテーテルと、
前記1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、前記弾性構成要素に印加される力を推定するように構成されているプロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
前記EDEAがバスケットを備え、前記弾性構成要素が、前記バスケットの1つ以上のスプラインを含み、前記力が、前記EDEAと器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記スプラインのうちの少なくとも1つが、前記組織の形状と一致するために変形するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記送信機が前記EDEAの剛性構成要素に連結されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記剛性構成要素が、前記カテーテルの灌注装置又はシャフトを備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、(i)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つと前記スプラインのうちの少なくとも1つの変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセットを保持し、(ii)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つ及び前記較正セットに基づいて前記接触力を推定するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記EDEAの前記器官への挿入前に前記較正セットを生成し、前記EDEAを前記組織と接触させて配置した場合に前記接触力を推定するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記EDEAが拡張位置にある場合、前記1つ以上のそれぞれの第2の信号が、(i)前記接触力を印加することなく、前記1つ以上の受信機のうちの所与の受信機から受信された第1の所与の信号と、(ii)前記接触力が印加された場合に前記所与の受信機から受信された第2の所与の信号と、を含み、前記プロセッサが、前記第1の所与の信号及び前記第2の所与の信号に基づいて前記接触力を推定するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記EDEAが、バルーンを備え、前記弾性構成要素が、前記バルーンの部材を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記力が、前記部材と器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記部材が、前記組織の形状と一致するために変形するように構成されており、前記プロセッサが、(i)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つと前記部材の少なくとも一部の変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセットを保持し、(ii)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つ及び前記較正セットに基づいて前記接触力を推定するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
カテーテルを製造するための方法であって、前記方法が、
カテーテルの拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に、第1の信号を送信するための送信機を連結することと、
前記EDEAの弾性構成要素に、前記第1の信号を受信することに応答して1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するための1つ以上の受信機を連結することと、
少なくとも前記1つ以上の受信機を、前記1つ以上のそれぞれの第2の信号を受信し、前記1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、前記弾性構成要素に印加される力を推定するためのプロセッサに電気的に連結することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記EDEAがバスケットを備え、前記弾性構成要素が、前記バスケットの1つ以上のスプラインを含み、前記力が、前記EDEAと器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記スプラインのうちの少なくとも1つが、前記組織の形状と一致するために変形するように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記送信機が、前記EDEAの剛性構成要素に連結され、前記剛性構成要素が、前記カテーテルのシャフト又は灌注装置を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の受信機を連結することが、所与の受信機を前記バスケットの所与のスプラインに連結することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記EDEAが、バルーンを備え、前記弾性構成要素が、前記バルーンの部材を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記力が、前記部材と器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記部材が、前記組織の形状と一致するために変形するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療用装置に関し、特に、カテーテルと組織との間に印加された接触力を推定するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療装置と組織との間の接触力及びその相対位置を測定及び/又は推定するための種々の技術は、当該技術分野で周知である。
【0003】
例えば、米国特許公開公報第2020/0206461号は、拡張可能な遠位端部アセンブリと、近位位置センサと、遠位位置センサと、プロセッサと、を含むシステムについて、記載している。その拡張可能な遠位端部アセンブリは、患者の器官の腔内に挿入するためのシャフトの遠位端部に連結されている。近位位置センサ及び遠位位置センサは、それぞれ遠位端部アセンブリの近位端部及び遠位端部に位置する。プロセッサは、全てのプロセッサによって使用される座標系における、近位センサの位置及び長手方向、並びに遠位センサの位置を推定するように構成されている。プロセッサは、推定された長手方向によって画定された軸線上に、遠位センサの推定位置を投影し、近位センサの推定位置と遠位センサの投影位置との間の距離を計算することによって、遠位端部アセンブリの伸長を計算するように、更に構成されている。
【0004】
米国特許公開公報第第2018/0076336号は、感知能力、診断能力、及び治療能力を向上させた能動装置のアレイを含む、伸縮性又は可撓性のある回路を組み込んでいるシステム、装置、及び方法を記載している。本発明は、例えば、管腔の内壁、脳、又は心臓の表面などの、対象組織の形状に沿って、感知のために接触することを可能にする。このような直接的で、形状に沿った接触により、測定の精度及び治療の送達性を向上させる。更に、本発明は、同じ基材上に感知装置及び治療装置の両方を組み込むことを可能にし、疾患組織の治療をより速くし、同じ処置を実行するのにより少ない装置を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、カテーテルとプロセッサとを含むシステムを提供する。カテーテルは、(i)拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に連結され、第1の信号を送信するように構成されている送信機と、(ii)EDEAの弾性構成要素に連結され、第1の信号を受信することに応答して、1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するように構成されている1つ以上の受信機と、を有する、EDEAを含む。プロセッサは、1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、弾性構成要素に印加される力を推定するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、EDEAはバスケットを含み、弾性構成要素はバスケットの1つ以上のスプラインを含み、力は、EDEAと器官の組織との間に印加される接触力を含み、接触力を印加することに応答して、スプラインのうちの少なくとも1つは、組織の形状と一致するために変形するように構成されている。その他の実施形態では、送信機は、EDEAの剛性構成要素に連結される。更にその他の実施形態では、剛性構成要素は、カテーテルの潅注装置又はシャフトを含む。
【0007】
一実施形態では、プロセッサは、(i)それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つとスプラインのうちの少なくとも1つの変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセットを保持し、また(ii)それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つ及び較正セットに基づいて接触力を推定するように構成されている。別の実施形態では、プロセッサは、EDEAの器官への挿入前に較正セットを生成し、EDEAを組織と接触させて配置した場合に接触力を推定するように構成されている。更に別の実施形態では、EDEAが拡張位置にある場合、1つ以上のそれぞれの第2の信号は、(i)接触力を印加することなく、1つ以上の受信機のうちの所与の受信機から受信された第1の所与の信号と、(ii)接触力が印加された場合に所与の受信機から受信された第2の所与の信号と、を含み、プロセッサは、第1の所与の信号及び第2の所与の信号に基づいて接触力を推定するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、EDEAはバルーンを含み、弾性構成要素はバルーンの部材を含む。その他の実施形態では、力は、部材と器官の組織との間に印加される接触力を含み、接触力を印加することに応答して、部材は、組織の形状と一致するために変形するように構成されており、プロセッサは、(i)それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つと部材の少なくとも一部の変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセットを保持し、また(ii)それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つ及び較正セットに基づいて接触力を推定するように構成されている。
【0009】
更に、本発明の一実施形態によれば、本方法は、(i)第1の信号を送信するために拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に連結された送信機と、(ii)第1の信号を受信することに応答して、1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するためにEDEAの弾性構成要素に連結された1つ以上の受信機と、を有する、EDEAを含むカテーテルを、患者の器官内へと挿入することを含む。第1の信号は、送信機に適用され、1つ以上のそれぞれの第2の信号が受信される。1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、弾性構成要素に印加される力が推定される。
【0010】
本発明の実施形態によれば、カテーテルを製造するための方法が更に提供されるが、本方法は、カテーテルの拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に、第1の信号を送信するための送信機を連結することを含む。第1の信号を受信することに応答して1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するための1つ以上の受信機は、EDEAの弾性構成要素に連結される。少なくとも1つ以上の受信機は、1つ以上のそれぞれの第2の信号を受信して、1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、弾性構成要素に印加される力を推定するためのプロセッサに、電気的に連結される。
【0011】
いくつかの実施形態では、EDEAはバスケットを含み、弾性構成要素はバスケットの1つ以上のスプラインを含み、力は、EDEAと器官の組織との間に印加される接触力を含み、接触力を印加することに応答して、スプラインのうちの少なくとも1つは、組織の形状と一致するために変形するように構成されている。その他の実施形態では、送信機は、EDEAの剛性構成要素に連結され、剛性構成要素は、カテーテルのシャフト又は灌注装置を含む。更にその他の実施形態では、1つ以上の受信機を連結することは、所与の受信機をバスケットの所与のスプラインに連結することを含む。
【0012】
一実施形態では、EDEAはバルーンを含み、弾性構成要素はバルーンの部材を含む。別の実施形態では、力は、接触力を印加することに応答して、部材と器官の組織との間に印加される接触力を含み、部材は、組織の形状と一致するために変形するように構成されている。
【0013】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による、カテーテル系の位置追跡システム及びアブレーションシステムの概略描写図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、
図1に示したシステムのカテーテルの遠位端部アセンブリの概略描写図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、遠位端部アセンブリと患者の心臓の組織との間に印加された接触力を推定するための方法を概略的に示す、フロー図である。
【
図4】本発明の実施形態による、
図2に示した遠位端部アセンブリを製造するための方法を概略的に示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概論
患者の心臓内の組織の高周波(RF)アブレーションなどのいくつかの医療処置は、患者の心臓内へと挿入されたアブレーションカテーテルのアブレーション電極と、アブレーション電極にRF信号を印加することによってアブレーションされることを意図した心臓組織と、の間の、制御された接触力を必要とする。アブレーション電極は、バスケット形状の拡張可能な遠位端部アセンブリの可撓性スプラインに連結されてもよい。アブレーション処置中、遠位端部アセンブリは心臓内へと挿入され、アブレーション電極を組織に露出させるために拡張位置へと拡張される。スプラインのいくつかは、組織と接触して配置され、組織と一致するように、またアブレーションされることを意図した組織と接触して電極を配置するために変形される。それぞれのスプラインと組織との間の制御された接触力は、組織を適切にアブレーションし、問題の組織において、特定の特性を有する損傷を生成するために重要である。
【0016】
原則として、これは遠位端部アセンブリに連結することが可能であり、接触力を測定するための装置である。例えば、装置は、スプラインに印加される接触力の感知に応答して電圧を出力する1つ以上の圧電結晶を含んでもよい。しかしながら、圧電結晶は、カテーテルの複雑さを増加させる場合があり、とりわけ、スプラインの柔軟性により、測定された又は推定された接触力の精度が不十分な場合がある。
【0017】
以下に記載される本発明の実施形態は、アブレーション処置中に、(例えば、患者心臓の)問題の組織とカテーテルの拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)との間に印加される接触力を推定するための改善された技術を提供する。改善された技術は、遠位端部アセンブリの可撓性構成要素の弾性特性を定量化及び使用することに依存する点に留意されたい。
【0018】
いくつかの実施形態では、問題の組織に対してRFアブレーションを実施するためのシステムは、カテーテル及びプロセッサを備える。カテーテルは、典型的には電気コイルで実装された送信機及び1つ以上の受信機を有するEDEAを備える。送信機は、EDEAの剛性構成要素、例えば、カテーテルのシャフト又は灌注装置に連結される。1つ以上の受信機は、EDEAのそれぞれの弾性構成要素(複数可)に連結される。例えば、(i)バスケットを備えるEDEAにおいて、1つ以上の受信機(複数可)は、バスケットの各スプラインに連結されてもよく、(ii)バルーンを備えるEDEAにおいて、1つ以上の受信機は、バルーンの外側表面上のいくつかの位置に配置及び取り付けられてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つ以上の受信機は、プロセッサに電気的に接続され、送信機は、プロセッサ又はプロセッサによって制御されるパルス発生器に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、電気接続は、(i)カテーテルの近位端部と遠位端部との間、例えばEDEAとプロセッサを備えるシステムの操作コンソールとの間で動作する電線若しくはトレース、又は(ii)カテーテルの近位端部と遠位端部とに連結された無線装置を使用して無線で、実行されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、本明細書で第1の信号と称される送信信号を送信機に適用するように構成されており、受信機のうちの少なくとも1つは、第1の信号を受信することに応答して、本明細書で第2の信号と称される受信信号を生成するように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、アブレーション処置中、医師はEDEAを患者心臓内へと挿入し、EDEAを拡張位置へと拡張し、EDEAを組織と接触させて配置して、アブレーションを実行するために弾性構成要素(例えば、スプライン)に接触力を印加する。プロセッサは、受信機から受信した第2の信号に基づいて、それぞれの1つ以上のスプラインに印加される接触力を推定するように構成されている。受信機によって感知された第1の信号の強度は、送信機とそれぞれの受信機との間の距離に比例することに留意されたい。いくつかの実施形態では、医師によって印加される接触力に応答して、スプラインの所与のスプラインが変形するが、変形は、それぞれの受信機によって感知された第1の信号の強度の変化によって感知される。
【0022】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の第2の信号と1つ以上のそれぞれのスプラインの変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセット(例えば、較正テーブル)を保持するように構成されている。較正プロセスは、EDEAの製造プロセスの一部として、又はカテーテルを患者の心臓内へと挿入する前に実行されてもよい。
【0023】
その他の実施形態では、EDEAを拡張した後、心臓の組織と接触するようにEDEAを配置する前に、医師は、プロセッサを制御して、(i)送信機を使用して第1の信号を印加し、(ii)スプラインに接触力を印加する前に、参照を取得するための1つ以上の第2の信号(複数可)を受信してもよい。このような実施形態では、EDEAを組織と接触して配置し、接触力をスプラインに適用した後に、プロセッサは、第1の信号を再適用して、追加の第2の信号を受信するように構成されている。プロセッサは、接触力をスプラインに適用する前後に、受信された第2の信号を使用して、それぞれのスプラインに印加される接触力を推定するように構成されている。
【0024】
開示された技術は、精度を改善して、RFアブレーション処置中にアブレーション電極とアブレーションされることを意図した組織との間に印加される感知接触力の複雑さを低減することによって、RFアブレーション手順の質を改善する。開示された技術はまた、変更すべき点を変更して、組織に対して押圧された医療装置間の接触力の正確な感知を必要とする任意のその他の医療処置にも適用可能である。
【0025】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、カテーテル系の位置追跡及びアブレーションシステム20の概略描写図である。いくつかの実施形態では、システム20は、本実施例では心臓カテーテルであるカテーテル22と、制御コンソール24と、を備える。本明細書に記載される実施形態では、カテーテル22は、心臓26内の組織のアブレーションなど任意の好適な治療及び/又は診断目的に、並びに心臓内電気信号の感知による不整脈のマッピングに使用されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、コンソール24は、フロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、典型的には汎用コンピュータであるプロセッサ42を備え、フロントエンド回路及びインターフェース回路は、カテーテル22からの信号を受信し、かつ、本明細書に記載されるシステム20のその他の構成要素を制御することに好適なものである。プロセッサ42は、システムによって使用される機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされてもよく、かつ、プロセッサ42は、ソフトウェア用のデータをメモリ50内に記憶するように構成されている。本ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンソール24にダウンロードされてもよい、又は光学的記憶媒体、磁気的記憶媒体、若しくは電子的記憶媒体などの、非一時的な有形媒体で提供されてもよい。代替的に、プロセッサ42の機能の一部又は全部は、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)又は任意の好適な種類のプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素を使用して、実行されてもよい。
【0027】
ここで、挿入
図25を参照する。いくつかの実施形態では、カテーテル22は、複数のスプラインを有する拡張可能な遠位端部アセンブリ40(以下の
図2に詳細に示す)と、心臓26内の組織のアブレーションを行うために遠位端部アセンブリ40を標的位置へと挿入するためのシャフト23と、を備える。アブレーション処置中、医師30は、テーブル29に横たわる患者28の脈管系を通して、カテーテル22を挿入する。医師30は、プロセッサ42のインターフェース回路に接続されたカテーテル22の近位端部付近のマニピュレータ32を使用して、遠位端部アセンブリ40を心臓26内の標的位置に移動させる。
【0028】
いくつかの実施形態では、カテーテル22は、例えば、遠位端部アセンブリ40に極めて近接してカテーテル22の遠位端部に連結される、位置追跡システムの位置センサ39を備える。本実施例では、位置センサ39は磁気位置センサを含むが、その他の実施形態では、任意のその他の好適な種類の位置センサ(例えば、磁気系以外のもの)が使用されてもよい。
【0029】
ここで、再び
図1の全体図を参照する。いくつかの実施形態では、心臓26内での遠位端部アセンブリ40の誘導中、プロセッサ42は、例えば、心臓26内での遠位端部アセンブリ40の位置を測定するために、外部磁場発生器36からの磁場に応答して、磁気位置センサ39から信号を受信する。いくつかの実施形態では、コンソール24が、磁場発生器36を駆動するように構成された駆動回路34を備える。磁場発生器36は、例えば、テーブル29の下など、患者28の外部の周知の位置に配置される。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、例えば、コンソール24のディスプレイ46上に、心臓26の画像44上に重ねられた遠位端部アセンブリ40の追跡された位置を表示するように構成されている。
【0031】
外部磁場を使用する本位置感知方法は、種々の医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine、Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、PCT国際公開特許第96/05768号、並びに米国特許公開公報第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に説明されており、これらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
システム20のこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を説明し、またこのようなシステムの性能を向上させる際のこれらの実施形態の適用を実証するために、実施例として示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の代表的なシステムに決して限定されるものではなく、本明細書に記載される原理は、その他の種類の医療システム及び処置に同様に適用されてもよい。
【0033】
接触力を測定するための送信機及び受信機を有する、遠位端部アセンブリ
図2は、本発明の一実施形態による、拡張位置にある遠位端部アセンブリ40の概略描画図である。
【0034】
いくつかの実施形態では、遠位端部アセンブリ40は、バスケット形状のアセンブリの複数のスプライン55を備える。各スプライン55は、フレキシブルプリント回路基板(PCB)、又はスプライン55間の電気的短絡を防止するために1つ以上の電気絶縁層(複数可)で部分的にコーティングされ得る適切な生体適合性及び可撓性金属合金(例えば、ニチノールなどのニッケルチタン系)などではあるが、これらに限定されない、好適な弾性物質から作製された、可撓性アーム77を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、1つ以上のアブレーション電極66は、各スプライン55に連結され、心臓26の組織にアブレーションパルス(複数可)を適用するように構成されている。アブレーションパルス(複数可)は、問題の組織の細胞を死滅させ、組織の代わりに、アブレーションされた組織を通る電気生理学的(EP)波の伝播を防止又は低減する損傷を生成することを意図している。
【0036】
いくつかの実施形態では、遠位端部アセンブリ40は、送信機88と、1つ以上の受信機99と、を備える。送信機88は、遠位端部アセンブリ40の剛性構成要素に連結され、本実施例では、送信機88は、本明細書で潅注器60と称される灌注装置に連結されるが、これは、アブレーション信号を心臓26の組織に適用する場合に、又はアブレーション処置の任意のその他の好適な時間間隔で灌注流体を適用するように、構成されている。その他の実施形態では、送信機88は、シャフト23などの遠位端部アセンブリ40の任意のその他の好適な剛性構成要素に連結されてもよい。本開示及び特許請求の範囲の文脈において、用語「剛性」とは、カテーテルと一緒に動くカテーテル22の構成要素を意味し、その場所は、以下で詳細に説明するように、遠位端部アセンブリ40に印加される接触力などの任意の力によって影響されるものではない。換言すれば、送信機88は、シャフト23の遠位端部の同じ角速度及び同じ角加速度を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、1つ以上の受信機99は、遠位端部アセンブリ40のそれぞれの弾性構成要素に連結されている。本実施例では、遠位端部アセンブリ40は、複数のスプライン55を有するバスケットを備え、1つの受信機99は、バスケットの各スプライン55に連結されている。代替の実施形態では、遠位端部アセンブリ40は、可撓性部材を有するバルーン(図示せず)、又は任意のその他の好適な種類の拡張可能な遠位端部アセンブリを備えてもよい。バルーンの場合、受信機99は、バルーンの外側表面上のいくつかの位置に配置されてもよい。
図2の実施例では、3つの受信機99のみが示されているが、受信機99のいくつかが遠位端部アセンブリ40の等角斜視によって隠されているとしても、受信機99は各スプライン55に連結され、したがって
図2の例示的な構成には示されていないことに留意されたい。
【0038】
いくつかの実施形態では、送信機88及び受信機99は、それぞれ、灌注器60及びスプライン55に連結された電気コイルを使用して実装されてもよい。送信機88及び受信機99のコイルは、コンソール24に電気的に接続されるが、より具体的には、以下に詳細に説明される任意の好適な接続技術を使用してプロセッサ42に電気的に接続される。
【0039】
いくつかの実施形態では、受信機99は、(例えば、前述の可撓性PCBのトレースを介して、またカテーテル22を介して)プロセッサ42に電気的に接続されている。更に、送信機88は、(例えば、(i)シャフト23の遠位端部又は灌注器60と、(ii)カテーテル22の近位端部と、の間で動作するワイヤを介して)プロセッサ42に電気的に接続されている。追加的又は代替的に、送信機88は、プロセッサ42によって制御され、以下に記載されるように送信機88を使用して1つ以上のパルスを印加するように構成されたパルス発生器(図示せず)に、電気的に接続されてもよい。
【0040】
その他の実施形態では、(i)送信機88及び/又は受信機99と、(ii)プロセッサ42と、の間の電気接続は、カテーテル22の近位端部及び遠位端部に連結された無線装置(図示せず)を使用して実行されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、送信機88を制御して、本明細書で第1の信号と称される送信信号を印加するように構成されている。第1の信号を受信することに応答して、典型的には全ての受信機99のうちの少なくとも1つは、本明細書で第2の信号と称される受信信号を生成するように構成されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、所与の受信機99によって生成された第2の信号は、以下に記載されるように、送信機88と所与の受信機99との間の距離を示す。
【0043】
いくつかの実施形態では、アブレーション処置中、医師30は、遠位端部アセンブリ40を心臓26の腔内へと挿入する。その後、医師30は、遠位端部アセンブリ40を(
図2の実施例に示すように)拡張位置へと拡張し、アブレーションされるように意図された組織と接触して遠位端部アセンブリ40を配置し、心臓26内の組織のアブレーションを実行するために、スプライン55(又は別の種類の拡張可能な遠位端部アセンブリの任意の弾性構成要素)に接触力を印加する。
【0044】
いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、受信機99から第2の信号を受信し、第2の信号に基づいて、それぞれの1つ以上のスプライン55に印加される接触力を推定するように構成されている。所与の受信機99によって感知された第1の信号の強度は、送信機88と所与の受信機99との間の距離を示す(例えば、比例する)し、距離が小さいほど、所与の受信機99によって感知された第1の信号の強度が大きいことに留意されたい。本実施例では、送信機88と所与の受信機99との間の距離の推定変化の感度は約0.01mmであるが、遠位端部アセンブリ40に接触力を印加した場合、送信機88と所与の受信機99との間の距離の変化は典型的には約0.1mmよりも大きい。
【0045】
本開示及び特許請求の範囲の文脈において、任意の数値又は数値の範囲に関する用語「約」又は「およそ」とは、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書に記載されるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。
【0046】
いくつかの実施形態では、医師30によって遠位端部アセンブリ40に印加された接触力に応答して、そこへと連結された所与の受信機99を有する所与のスプライン55のアーム77が変形するが、その変形は、所与の受信機99によって感知された第1の信号の強度の変化によって感知される。
【0047】
いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、1つ以上の第2の信号と1つ以上のそれぞれのスプライン55の変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセット(例えば、較正テーブル)を保持するように、構成されている。較正プロセスは、遠位端部アセンブリ40の製造プロセスの一部として、又は遠位端部アセンブリ40を患者28の心臓26内へと挿入する前の任意のその他の時間間隔において実行されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、送信機88と所与の受信機99との間の距離の変化を、(例えば、較正データセットを使用して)そこへと連結された所与の受信機を有するスプラインに印加される接触力へと変換するように、構成されている。上述のように、距離の変化を推定する感度は、スプラインの典型的な変形よりも高い。したがって、プロセッサ42は、本明細書でグラム重量(GF)と称される約5グラムの典型的な感度でスプラインに印加される接触力を推定するように構成されているが、このような手順で適用される接触力の典型的な値は、約0グラム~100グラムである。
【0049】
その他の実施形態では、遠位端部アセンブリ40を拡張した後、心臓26における問題の組織と接触するように遠位端部アセンブリ40を配置する前に、医師30は、プロセッサ42を制御して、(i)送信機88を使用して第1の信号を印加し、(ii)参照を取得するために、スプライン55に接触力を印加する前に、1つ以上のそれぞれの受信機99から1つ以上の第2の信号(複数可)を受信してもよい。このような実施形態では、アブレーションされるように意図された組織と接触して遠位端部アセンブリ40を配置して、接触力をスプライン55に適用した後に、プロセッサ42は、送信機88を制御して、第1の信号を再適用するように構成されている。次に、プロセッサ42は、1つ以上の受信機99から、追加の第2の信号を受信するように構成されている。
【0050】
いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、接触力をそれぞれのスプライン55に適用する前後に、受信された第2の信号を使用して、それぞれのスプライン55に印加された接触力を推定するように構成されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、最小レベルの接触力を示す閾値を保持するが、これは、心臓26に問題の組織にアブレーションパルス(複数可)を適用するために適用可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ42は、上述の技術を使用してプロセッサ42によって推定された接触力が閾値よりも大きい場合にのみ、RFアブレーション信号(複数可)を所与のアブレーション電極66に印加するためにシステム20のRFパルス発生器(図示せず)を制御する。したがって、開示された技術は、上述のRFアブレーション処置中にアブレーションされることが意図される、アブレーション電極66と心臓26の組織との間に印加される推定接触力の精度を改善することによって、RFアブレーション処置の品質を改善する。開示された技術はまた、組織に対して押圧される医療装置間の接触力の正確かつ安定した感知を必要とする任意のその他の医療処置についても、変更すべき点を変更して適用可能である。
【0052】
遠位端部アセンブリ40のこの構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するために、及び患者の心臓における不整脈を治療するためのこのような遠位端部の性能の向上において、これらの実施形態の適用を実証するために、実施例により
図2に提供される。しかしながら、本発明の実施形態は、この特定の種類の例示的な遠位端部アセンブリに限定されるものではなく、本明細書に記載される原理は、患者の任意の適切な組織に対して押圧される任意の好適な種類の医療装置に適用される接触力の測定又は推定を必要とする、任意の好適な種類の医療システム及び処置で使用される、その他の種類のカテーテルにも同様に適用されてもよい。
【0053】
図3は、本発明の一実施形態による、遠位端部アセンブリ40と心臓26の組織との間に印加される接触力を推定するための方法を概略的に示すフロー図である。
【0054】
本方法は、カテーテル挿入工程100で始まり、医師30がカテーテル22の遠位端部アセンブリ40を心臓26の腔内へと挿入する。いくつかの実施形態では、遠位端部アセンブリ40は、スプライン55及びスプライン55のアーム77に連結されたアブレーション電極66を有するバスケットを備える。
【0055】
いくつかの実施形態では、遠位端部アセンブリ40は、遠位端部アセンブリ40の剛性構成要素に連結された送信機88と、本実施例では、灌注器60又はシャフト23の遠位端部と、を有する。遠位端部アセンブリ40は、少なくとも1つの及び典型的には全てのスプライン55に連結された1つ以上の受信機99を更に備えるが、これは、遠位端部アセンブリ40の弾性構成要素である、及び上記の
図2に記載されるように、組織とそれぞれのスプライン55(複数可)との間に接触力を印加することに応答して変形するように構成されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、送信機88は、プロセッサ42によって制御され、上記の
図2に記載されるように、本明細書で第1の信号と称される送信信号を印加するように構成されている。受信機99は、上記の
図2にも記載されているように、送信機88によって印加される第1の信号を検知/受信することに応答して、それぞれの第2の信号を生成するように構成されている。
【0057】
信号適用工程102で、プロセッサ42は、送信機88を制御して、第1の信号を印加し、第1の信号を印加することに応答して、プロセッサ42は、上記の
図2に記載されるように、それぞれの受信機99から1つ以上の第2の信号を受信する。
【0058】
本方法を結論付ける接触力の推定工程104では、プロセッサ42は、遠位端部アセンブリ40の1つ以上のそれぞれのスプライン55に連結された1つ以上のそれぞれの受信機99から受信された、1つ以上の第2の信号に基づいて、それぞれの1つ以上のスプライン55に印加される接触力を推定する。
【0059】
いくつかの実施形態では、接触力を推定する前に、較正プロセスが実行される。較正プロセスでは、印加された接触力及び結果として生じるスプライン55の変形は、1つ以上のスプライン55に連結された1つ以上の受信機99によって生成された第2の信号に対して定量化される。換言すれば、較正の後、プロセッサ42は、所与のスプライン55に連結された所与の受信機99から所与の第2の信号を受信するように構成されており、所与の第2の信号に基づいて、プロセッサ42は、心臓26の組織に対して押圧された所与のスプライン55に印加される接触力の推定された変化を医師30に提供するように構成されている。較正は、遠位端部アセンブリ40の生成において、又は遠位端部アセンブリ40の1つ以上のスプライン55に接触力を印加する前に、任意のその他の好適な時間間隔で実行されてもよい。
【0060】
図4は、本発明の実施形態による、上記で
図2に示した遠位端部アセンブリ40を製造するための方法を概略的に示すフロー図である。
【0061】
本方法は、送信機連結工程200で始まり、送信機88をカテーテル22及び/又は遠位端部アセンブリ40の剛性構成要素に連結する。上記の
図2の実施例では、剛性構成要素は、本明細書で灌注器60と称される灌注装置、又はシャフト23の遠位端部を備える。その他の実施形態では、送信機88は、カテーテル22の任意のその他の好適な剛性構成要素に連結されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、送信機88は、プロセッサ42によって制御され、上記の
図2に記載されるように、第1の信号を生成するように構成されている。
【0063】
受信機連結工程202では、1つ以上の受信機99が、遠位端部アセンブリ40の1つ以上のそれぞれの弾性構成要素(例えば、スプライン55)に連結されている。いくつかの実施形態では、送信機88によって印加される第1の信号を受信又は感知することに応答して、受信機99は、送信機88とそれぞれの受信機99との間の距離を示す第2の信号を生成するように構成されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、任意の好適な数の受信機99は、各スプライン55に沿って連結されてもよく、連結された受信機99の数は、全てのスプライン55間で同様であってもよい、又は異なるスプライン55間で異なってもよい。遠位端部アセンブリ40の一代表的実装形態では、1つの受信機99は、各スプライン55に連結されてもよい。遠位端部アセンブリ40の別の代表的な実装形態では、複数の受信機55は、第1のスプライン55に連結され、1つの受信機99のみが第2のスプライン55に連結され、第3のスプライン55は、いかなる受信機99も有していなくてもよい。
【0065】
本方法を結論付ける接続工程204では、送信機88及び受信機99は、第1の信号及び第2の信号に基づいて、遠位端部アセンブリ40の各スプライン55に印加される接触力を推定するために、プロセッサ42に電気的に接続されている。電気コネクタは、上記の
図2に記載されるように、カテーテル22の遠位端部と近位端部との間に連結された電気リード若しくはワイヤ、又は可撓性PCBの電気トレース、又はカテーテル22の遠位端部及び近位端部に連結された無線装置を備えてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、製造後に、本方法は、(i)アブレーション電極をスプライン55のアーム77に連結すること、(ii)1つ以上の電気絶縁層(複数可)を使用して、1つ以上のスプライン55の1つ以上の区分をコーティングすること、(iii)例えば、スプライン55をシャフト23の遠位端部に、又はカテーテル22の任意のその他の好適な構成要素に連結することによって、遠位端部アセンブリ40をカテーテル22に連結することなどの、追加の工程を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本明細書に記載される実施形態は主に、RFアブレーションカテーテルの拡張可能な遠位端部アセンブリと、アブレーションされることを意図した組織と、の間に印加される、接触力の推定に対処するが、本明細書に記載の方法及びシステムはまた、任意の適切な医療装置と患者の器官の任意の好適な組織との間に印加される接触力の正確な測定を必要とする任意の用途などにおいて、その他の用途にも使用され得る。例えば、患者の耳鼻咽喉(ENT)系の器官において、である。
【0068】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される種々の特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) (i)拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に連結され、第1の信号を送信するように構成されている送信機と、(ii)前記EDEAの弾性構成要素に連結され、前記第1の信号を受信することに応答して、1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するように構成されている1つ以上の受信機と、を有する、前記EDEAを備える、カテーテルと、
前記1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、前記弾性構成要素に印加される力を推定するように構成されているプロセッサと、を備える、システム。
(2) 前記EDEAがバスケットを備え、前記弾性構成要素が、前記バスケットの1つ以上のスプラインを含み、前記力が、前記EDEAと器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記スプラインのうちの少なくとも1つが、前記組織の形状と一致するために変形するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記送信機が前記EDEAの剛性構成要素に連結されている、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記剛性構成要素が、前記カテーテルの灌注装置又はシャフトを備える、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサが、(i)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つと前記スプラインのうちの少なくとも1つの変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセットを保持し、(ii)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つ及び前記較正セットに基づいて前記接触力を推定するように構成されている、実施態様2に記載のシステム。
【0070】
(6) 前記プロセッサが、前記EDEAの前記器官への挿入前に前記較正セットを生成し、前記EDEAを前記組織と接触させて配置した場合に前記接触力を推定するように構成されている、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記EDEAが拡張位置にある場合、前記1つ以上のそれぞれの第2の信号が、(i)前記接触力を印加することなく、前記1つ以上の受信機のうちの所与の受信機から受信された第1の所与の信号と、(ii)前記接触力が印加された場合に前記所与の受信機から受信された第2の所与の信号と、を含み、前記プロセッサが、前記第1の所与の信号及び前記第2の所与の信号に基づいて前記接触力を推定するように構成されている、実施態様2に記載のシステム。
(8) 前記EDEAが、バルーンを備え、前記弾性構成要素が、前記バルーンの部材を備える、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記力が、前記部材と器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記部材が、前記組織の形状と一致するために変形するように構成されており、前記プロセッサが、(i)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つと前記部材の少なくとも一部の変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセットを保持し、(ii)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つ及び前記較正セットに基づいて前記接触力を推定するように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
(10) (i)第1の信号を送信するために拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に連結された送信機と、(ii)前記第1の信号を受信することに応答して、1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するために前記EDEAの弾性構成要素に連結された1つ以上の受信機と、を有する、前記EDEAを備えるカテーテルを、患者の器官内へと挿入することと、
前記第1の信号を前記送信機に印加して、前記1つ以上のそれぞれの第2の信号を受信することと、
前記1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、前記弾性構成要素に印加される力を推定することと、を含む、方法。
【0071】
(11) 前記EDEAがバスケットを備え、前記弾性構成要素が、前記バスケットの1つ以上のスプラインを含み、前記力が、前記EDEAと前記器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記スプラインのうちの少なくとも1つが、前記組織の形状と一致するために変形する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記力を推定することが、(i)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つと前記スプラインのうちの少なくとも1つの変形レベルとの間の関係を定量化するための較正データセットを保持することと、(ii)前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つ及び前記較正セットに基づいて前記接触力を推定することと、を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) (i)前記EDEAを前記器官内へと挿入する前に、前記それぞれの第2の信号のうちの少なくとも1つと前記スプラインのうちのそれぞれのスプラインの変形レベルとの間の関係を測定することによって、前記較正セットを生成することと、(ii)前記EDEAを前記組織と接触させて配置した場合に、前記接触力を推定することと、を含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記EDEAが拡張位置にある場合、前記1つ以上のそれぞれの第2の信号が、(i)前記接触力を印加することなく、前記1つ以上の受信機のうちの所与の受信機から受信された第1の所与の信号と、(ii)前記接触力が印加された場合に前記所与の受信機から受信された第2の所与の信号と、を含み、前記力を推定することが、前記第1の所与の信号及び前記第2の所与の信号に基づいて前記接触力を推定することを含む、実施態様11に記載の方法。
(15) カテーテルを製造するための方法であって、前記方法が、
カテーテルの拡張可能な遠位端部アセンブリ(EDEA)に、第1の信号を送信するための送信機を連結することと、
前記EDEAの弾性構成要素に、前記第1の信号を受信することに応答して1つ以上のそれぞれの第2の信号を生成するための1つ以上の受信機を連結することと、
少なくとも前記1つ以上の受信機を、前記1つ以上のそれぞれの第2の信号を受信し、前記1つ以上のそれぞれの第2の信号に基づいて、前記弾性構成要素に印加される力を推定するためのプロセッサに電気的に連結することと、を含む、方法。
【0072】
(16) 前記EDEAがバスケットを備え、前記弾性構成要素が、前記バスケットの1つ以上のスプラインを含み、前記力が、前記EDEAと器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記スプラインのうちの少なくとも1つが、前記組織の形状と一致するために変形するように構成されている、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記送信機が、前記EDEAの剛性構成要素に連結され、前記剛性構成要素が、前記カテーテルのシャフト又は灌注装置を備える、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記1つ以上の受信機を連結することが、所与の受信機を前記バスケットの所与のスプラインに連結することを含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記EDEAが、バルーンを備え、前記弾性構成要素が、前記バルーンの部材を備える、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記力が、前記部材と器官の組織との間に印加される接触力を含み、前記接触力を印加することに応答して、前記部材が、前記組織の形状と一致するために変形するように構成されている、実施態様19に記載の方法。
【外国語明細書】