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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071189
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】塗装台車の清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 14/20 20180101AFI20230516BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20230516BHJP
   B24B 29/00 20060101ALI20230516BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20230516BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20230516BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B05B14/20
B08B1/04
B24B29/00 E
B23Q7/00 H
B23Q11/00 N
B05B13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183779
(22)【出願日】2021-11-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 三菱自動車工業株式会社(東京都港区芝浦三丁目1番21号)が、特定の公開先に詳細説明資料を送付した。(公開日:令和3年9月15日)
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】有本 昇平
(72)【発明者】
【氏名】川上 隆之
【テーマコード(参考)】
3B116
3C011
3C033
3C158
4D073
4F035
【Fターム(参考)】
3B116AA46
3B116AB14
3B116AB42
3B116BA02
3B116BA15
3B116BA23
3B116CD43
3C011BB14
3C011BB18
3C033AA11
3C033AA23
3C033BB10
3C158AA06
3C158AA16
3C158CB01
4D073AA01
4D073BB03
4D073DC13
4F035AA03
4F035CA05
4F035CB03
4F035CB13
(57)【要約】
【課題】塗装台車の下半部分と上半部分とを繋ぐ連結部に堆積した塗装汚れを削り落とすことができる塗装台車の清掃装置を提供する。
【解決手段】塗装台車の清掃装置は、塗装対象物が搭載される塗装台車の下半部と上半部とを繋ぐ連結部に堆積した塗装汚れを取り除く塗装台車の清掃装置であって、前記塗装台車を移動させる移動機構と、前記連結部を前記塗装台車の移動方向と交差する方向から挟むように、前記連結部の高さ位置に前記塗装台車の移動方向に沿って対向配置された一対のやすりと、を備える。
【選択図】 図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装対象物が搭載される塗装台車の下半部と上半部とを繋ぐ連結部に堆積した塗装汚れを取り除く塗装台車の清掃装置であって、
前記塗装台車を移動させる移動機構と、
前記連結部を前記塗装台車の移動方向と交差する方向から挟むように、前記連結部の高さ位置に前記塗装台車の移動方向に沿って対向配置された一対のやすりと、
を備える、
塗装台車の清掃装置。
【請求項2】
前記一対のやすりのうち、少なくとも一方のやすりは、他方のやすりに近づくように移動可能であって、前記他方のやすりに向けて弾性力が作用する、
請求項1に記載の塗装台車の清掃装置。
【請求項3】
前記連結部の高さ位置に前記塗装台車の移動方向に沿って回転可能に設けられた回転ブラシと、
前記塗装台車の移動方向に沿って延びるバーに押し当たられて回転するホイールと、
前記ホイールの回転を前記回転ブラシに伝達する動力伝達機構と、
を備える、
請求項1又は2に記載の塗装台車の清掃装置。
【請求項4】
前記回転ブラシは、前記連結部に近づくように回転移動可能であって、前記連結部に近づくように弾性力が作用する、
請求項3に記載の塗装台車の清掃装置。
【請求項5】
前記ホイールは、前記バーに近づくように回転移動可能であって、前記バーに押し当てられるように弾性力が作用する、
請求項3又は4に記載の塗装台車の清掃装置。
【請求項6】
前記一対のやすりの下方域に設けられ、前記動力伝達機構から伝達された動力によって前記塗装台車の移動方向と交差する方向に循環するベルトコンベアを備える、
請求項3から5のいずれか一項に記載の塗装台車の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗装台車の清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前処理又は電着塗装工程中の自動車ボディを懸吊するハンガーに発生する汚れを除去する装置が開示されている。かかる装置は、ハンガーを構成する上部部材の下面と接し回転により上部部材を研磨するブラシを、自動車ボディの進行方向に沿って配置し、かつ、ブラシの上下方向の位置を調整する調整機構を組み込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-134654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する装置では、塗装台車の下半部分と上半部分とを繋ぐ連結部に堆積した塗装汚れを削り落とすことができない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、塗装台車の下半部分と上半部分とを繋ぐ連結部に堆積した塗装汚れを削り落とすことができる塗装台車の清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る塗装台車の清掃装置は、塗装対象物が搭載される塗装台車の下半部と上半部とを繋ぐ連結部に堆積した塗装汚れを取り除く塗装台車の清掃装置であって、前記塗装台車を移動させる移動機構と、前記連結部を前記塗装台車の移動方向と交差する方向から挟むように、前記連結部の高さ位置に前記塗装台車の移動方向に沿って対向配置された一対のやすりと、を備える。
【0007】
上記(1)の構成によれば、搬送台車が移動することで一対のやすりが連結部に堆積した塗装汚れを削り落とすことができる。
【0008】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記一対のやすりのうち、少なくとも一方のやすりは、他方のやすりに近づくように移動可能であって、前記他方のやすりに向けて弾性力が作用する。
【0009】
上記(2)の構成によれば、少なくとも一方のやすりが塗装汚れが堆積した連結部に押し当てられるので、連結部に堆積した塗装汚れを少なくとも一方のやすりによって確実に削り落とすことができる。
【0010】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記連結部の高さ位置に前記塗装台車の移動方向に沿って回転可能に設けられた回転ブラシと、前記塗装台車の移動方向に沿って延びるバーに押し当たられて回転するホイールと、前記ホイールの回転を前記回転ブラシに伝達する動力伝達機構と、を備える。
【0011】
上記(3)の構成によれば、移動機構によって塗装台車が移動することで、塗装台車の移動方向に沿って延びるバーにホイールが押し当てられて回転する。ホイールの回転は動力伝達機構によって回転ブラシに伝達され、回転ブラシが回転する。これにより、塗装汚れが削り落とされた連結部を回転ブラシによって仕上げることができる。また、移動機構によって塗装台車が移動することで回転ブラシが回転するので、回転ブラシを回転させるためだけにモータ等を設ける必要がなく、清掃装置を安価なものにできる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、前記回転ブラシは、前記連結部に近づくように回転移動可能であって、前記連結部に近づくように弾性力が作用する。
【0013】
上記(4)の構成によれば、回転ブラシが塗装汚れが削り落とされた連結部に押し当てられるので、塗装汚れが削り落とされた連結部を回転ブラシによって確実に仕上げることができる。
【0014】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)又は(4)の構成において、前記ホイールは、前記バーに近づくように回転移動可能であって、前記バーに押し当てられるように弾性力が作用する。
【0015】
上記(5)の構成によれば、ホイールがバーに押し当てられるので、移動機構によって塗装台車が移動することで、ホイールが確実に回転する。これにより、回転ブラシも確実に回転するので、塗装汚れが削り落とされた連結部を回転ブラシによって確実に仕上げることができる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、上記(3)から(5)のいずれか一つの構成において、前記一対のやすりの下方域に設けられ、前記動力伝達機構から伝達された動力によって前記塗装台車の移動方向と交差する方向に循環するベルトコンベアを備える。
【0017】
上記(6)の構成によれば、一対のやすりによって削り落とされた塗装汚れをベルトコンベアによって塗装台車の移動方向と交差する方向に排出できる。また、動力伝達機構から伝達された動力によってベルトコンベアが循環するので、ベルトコンベアを循環させるためだけにモータ等を設ける必要がなく、清掃装置を安価なものにできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、塗装台車の下半部分と上半部分とを繋ぐ連結部に堆積した塗装汚れを削り落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】塗装工場を循環するコンベアチェーンに連結された塗装台車を概略的に示す側面図である。
図2図1に示した塗装台車の正面図である。
図3】塗装台車の清掃装置と塗装台車とを概略的に示す側面図である。
図4図3に示した清掃装置と塗装台車の正面図である。
図5図3に示した清掃装置と塗装台車の平面図である。
図6図3に示した清掃装置を示す側面図である。
図7図3に示した清掃装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して実施形態に係る塗装台車の清掃装置について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
実施形態に係る塗装台車の清掃装置は、塗装対象物が搭載される塗装台車の下半部と上半部とを繋ぐ連結部に堆積した塗装汚れを取り除くものである。
【0022】
図1に示すように、例えば、塗装対象物は自動車のボディ300であり、塗装対象物が搭載される塗装台車100は、自動車メーカの塗装工場内を循環する搬送チェーン200に連結されて塗装工場内を循環する。搬送チェーン200は、塗装工場の床に沿って配置され、搬送チェーン200の上方域を循環する。
【0023】
塗装台車100の下半部110には塗装台車100の移動方向(塗装台車100の前後方向)に沿って延びるバー111と塗装台車100を支持する走行輪113が設けられ、塗装台車100の上半部130には塗装対象物を支持するフレーム131が設けられる。図2に示すように、連結部150は、正面視コの字状であって、車幅方向に沿って延び、その中央部で下半部110に連結される下側水平部分151と、フレーム131の下面に沿って車幅方向に延び、その全体で上半部130に連結される上側水平部分153と、車幅方向片側(図2において右側)に偏って配置され、下側水平部分151と上側水平部分153とを接続する支柱部分155と、を有している。下側水平部分151の両端には塗装台車100を支持するガイド輪157が設けられ、ガイド輪157は図示せぬガイドレールに支持される。
【0024】
図3から図5に示すように、実施形態に係る塗装台車100の清掃装置1は、塗装台車100を移動させる移動機構と、連結部150を塗装台車100の移動方向と交差する方向から挟むように、連結部150の高さ位置に塗装台車100の移動方向に沿って対向配置された一対のやすり2,3と、を備える。例えば、塗装台車100を移動させる移動機構は、自動車メーカの塗装工場内を循環する搬送チェーン200であり、塗装台車100の移動方向と交差する方向は、搬送チェーン200の循環方向と直交する方向である。一対のやすり2,3のそれぞれは、塗装台車100が移動することで連結部150に堆積した塗装汚れを削り落とすことができるやすりであって、塗装台車100の移動方向が長手方向となり連結部150の延在方向(高さ方向)が幅方向となる、比較的目の粗いラックギア状のやすりが用いられる。
【0025】
上述した実施形態に係る塗装台車100の清掃装置1によれば、塗装台車100が移動することで一対のやすり2,3が連結部150に堆積した塗装汚れを削り落とすことができる。
【0026】
図7に示すように、一対のやすり2,3のうち、少なくとも一方のやすり3は他方のやすり2に近づくように移動可能であって、他方のやすり2に向けて弾性力が作用する。例えば、一対のやすり2,3のうち、連結部150の外側(図4において右側)のやすり3は連結部150の内側(図4において左側)のやすり2に近づくように移動可能であって、連結部150の内側のやすり2に向けて弾性力が作用する。例えば、連結部150の外側のやすり3は、一対のスライダ31,33によって連結部150の内側のやすり2に近づくようにスライド可能であって、やすり3の長手方向中央部に設けられた圧縮コイルバネ35の弾性復元力によって連結部150の内側のやすり2に向けて弾性力が作用する。
【0027】
このように構成すれば、少なくとも一方のやすり3が塗装汚れが堆積した連結部150に押し当てられるので、連結部150に堆積した塗装汚れを少なくとも一方のやすり3によって確実に削り落とすことができる。
【0028】
図6及び図7に示すように、実施形態に係る塗装台車100の清掃装置1は、連結部150の高さ位置に塗装台車100の移動方向に沿って回転可能に設けられた回転ブラシ4と、塗装台車100の移動方向に沿って延びるバー111に押し当てられて回転するホイール5と、ホイール5の回転を回転ブラシ4に伝達する動力伝達機構6と、を備える。例えば、動力伝達機構6は、ホイール5の回転を主軸61に伝達するチェーン63と、主軸61の回転を回転ブラシ4に伝達するチェーン65と、を含み、ホイール5の回転は主軸61を介して回転ブラシ4に伝達される。
【0029】
このように構成すれば、移動機構によって塗装台車100が移動することで、塗装台車100の移動方向に沿って延びるバー111にホイール5が押し当てられて回転する。ホイール5の回転は動力伝達機構6によって回転ブラシ4に伝達され、回転ブラシ4が回転する。これにより、塗装汚れが削り落とされた連結部150を回転ブラシ4によって仕上げることができる。また、移動機構によって塗装台車100が移動することで回転ブラシ4が回転するので、回転ブラシ4を回転させるためだけにモータ等を設ける必要がなく、清掃装置1を安価なものにできる。
【0030】
回転ブラシ4は、連結部150に近づくように回転移動可能であって、連結部150に近づくように弾性力が作用する。例えば、回転ブラシ4は、主軸61を中心として連結部150に近づくように回転移動可能であって、主軸61のまわりに設けられたねじりコイルバネ41の弾性復元力によって連結部150に近づくように弾性力が作用する。
【0031】
このように構成すれば、回転ブラシ4が塗装汚れが削り落とされた連結部150に押し当てられるので、塗装汚れが削り落とされた連結部150を回転ブラシ4によって確実に仕上げることができる。
【0032】
ホイール5は、バー111に近づくように回転移動可能であって、バー111に押し当てられるように弾性力が作用する。例えば、ホイール5は、走行輪113が走行する走行レール210に取り付けられた取付ブラケット51に設けられたピン53を中心に回転移動するホイールブラケット55に回転可能に支持される。そして、ホイール5には、取付ブラケット51とホイールブラケット55との間に設けられた圧縮コイルバネ57の弾性復元力によってバー111に向けて弾性力が作用する。
【0033】
このように構成すれば、ホイール5がバー111に押し当てられるので、移動機構によって塗装台車100が移動することで、ホイール5が確実に回転する。これにより、回転ブラシ4も確実に回転するので、塗装汚れが削り落とされた連結部150を回転ブラシ4によって確実に仕上げることができる。
【0034】
一対のやすり2,3の下方域域には、動力伝達機構6から伝達された動力によって塗装台車100の移動方向と交差する方向に循環するベルトコンベア7が設けられている。例えば、ベルトコンベア7は、塗装台車100の移動方向と直交する方向に循環するベルトコンベアであって、図6に示すように、動力伝達機構6とベルトコンベア7との間には、ベベルギア71,73によって主軸61から動力が伝達される副軸75と、副軸75からベルトコンベア7に動力を伝達するチェーン77と、が設けられている。
【0035】
このように構成すれば、一対のやすり2,3によって削り落とされた塗装汚れをベルトコンベア7によって塗装台車100の移動方向と交差する方向に排出できる。また、動力移動機構から伝達された動力によってベルトコンベア7が循環するので、ベルトコンベア7を循環させるためだけにモータ等を設ける必要がなく、清掃装置1を安価なものにできる。
【0036】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0037】
1 塗装台車の清掃装置
2,3 一対のやすり
31,33 スライダ
35 圧縮コイルバネ
4 回転ブラシ
41 ねじりコイルバネ
5 ホイール
51 取付ブラケット
53 ピン
55 ホイールブラケット
57 圧縮コイルバネ
6 動力伝達機構
61 主軸
63 チェーン
65 チェーン
7 ベルトコンベア
71,73 ベベルギア
75 副軸
77 チェーン
100 塗装台車
110 下半部
111 バー
113 走行輪
130 上半部
131 フレーム
150 連結部
151 下側水平部分
153 上側水平部分
155 支柱部分
157 ガイド輪
200 搬送チェーン(移動機構)
210 走行レール
300 自動車のボディ(塗装対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7