(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071206
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】工具ホルダ及び工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 29/24 20060101AFI20230516BHJP
B23B 27/02 20060101ALI20230516BHJP
B23B 5/00 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
B23B29/24 B
B23B27/02 C
B23B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183811
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000133593
【氏名又は名称】株式会社ツガミ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】頓所 正人
(72)【発明者】
【氏名】井比 亨
【テーマコード(参考)】
3C045
3C046
【Fターム(参考)】
3C045BA15
3C046AA08
3C046NN00
(57)【要約】
【課題】割り出し不要で、加工に使用する切削バイトを変更することができる工具ホルダ及び工作機械を提供する。
【解決手段】工具主軸ユニットに装着される工具ホルダ71は、ワークを切削する複数の切削バイト73a~73dを保持する工具保持部75a,75bを備える。工具保持部75a,75bにより保持された複数の切削バイト73a~73dそれぞれの刃先73a1~73d1は、互いに工具ホルダ71の中心軸Iに沿う第1方向N1、第1方向N1に交わる第2方向N2及び第3方向N3に離れて位置するとともに、第1主軸又は第2主軸により保持されたワークに対向して位置する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具主軸ユニットに装着される工具ホルダであって、
ワークを切削する複数の切削バイトを保持する工具保持部を備え、
前記工具保持部により保持された前記複数の切削バイトそれぞれの刃先は、前記工具ホルダの中心軸に沿う軸方向及び前記軸方向に交わる交差方向の少なくとも何れか一方の方向に離れて位置するとともに、主軸により保持されたワークに対向して位置する、
工具ホルダ。
【請求項2】
前記工具保持部により保持された前記複数の切削バイトである第1切削バイト及び第2切削バイトそれぞれの前記刃先は、前記交差方向に離れて位置し、
前記第1切削バイトは、前記主軸である第1主軸により保持されたワークを切削し、
前記第2切削バイトは、前記第1主軸とは別の前記主軸である第2主軸により保持されたワークを切削する、
請求項1に記載の工具ホルダ。
【請求項3】
前記工具ホルダは、
前記切削バイトである第3切削バイトを保持する前記工具保持部である第1工具保持部と、
前記切削バイトである第4切削バイトを保持する前記工具保持部である第2工具保持部と、を備え、
前記第1工具保持部は、前記第3切削バイトにより切削されるワークに対して対向方向に対向して位置する第1側面を備え、
前記第2工具保持部は、前記第4切削バイトにより切削されるワークに対して前記対向方向に対向して位置する第2側面を備え、
前記第1側面と前記第2側面は、前記軸方向に並べられており、互いに前記対向方向に異なる高さで形成されている、
請求項1又は2に記載の工具ホルダ。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の工具ホルダと、
前記工具ホルダが装着される前記工具主軸ユニットと、
前記主軸と、
前記切削バイトの前記刃先が前記主軸に保持されたワークに切り込むように前記工具主軸ユニットを移動させる工具主軸移動機構と、を備える、
工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ホルダ及び工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の定位置割出機能を有するツールスピンドル装置は、工具ホルダに複数の工具を取り付け、この複数の工具の何れかを定位置に割り出して加工に使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の構成においては、工具ホルダに取り付けられた複数の工具のうち加工に使用する工具を変更する際には、工具ホルダを回転させて使用する工具を定位置に割り出す必要がある。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、割り出し不要で、加工に使用する切削バイトを変更することができる工具ホルダ及び工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る工具ホルダは、工具主軸ユニットに装着される工具ホルダであって、ワークを切削する複数の切削バイトを保持する工具保持部を備え、前記工具保持部により保持された前記複数の切削バイトそれぞれの刃先は、前記工具ホルダの中心軸に沿う軸方向及び前記軸方向に交わる交差方向の少なくとも何れか一方の方向に離れて位置するとともに、主軸により保持されたワークに対向して位置する。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る工作機械は、前記工具ホルダと、前記工具ホルダが装着される前記工具主軸ユニットと、前記主軸と、前記切削バイトの前記刃先が前記主軸に保持されたワークに切り込むように前記工具主軸ユニットを移動させる工具主軸移動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、割り出し不要で、加工に使用する切削バイトを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る工作機械の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る工作機械の側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る工具主軸ユニットの側面図である。
【
図5】(a)は本発明の一実施形態に係る固定工具ユニットの正面図であり、(b)はこの固定工具ユニットの側面図であり、(c)はこの固定工具ユニットの底面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る固定工具ユニットの斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る回転工具ユニットが装着された工具主軸ユニットの断面図である。
【
図8】(a),(b)は本発明の一実施形態に係る加工時の固定工具ユニットの正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る工具ホルダ及びボディの斜視図である。
【
図10】本発明の変形例に係る固定工具ユニットの正面図である。
【
図11】(a)は本発明の変形例に係る固定工具ユニットの正面図であり、(b)はこの固定工具ユニットの側面図であり、(c)はこの固定工具ユニットの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る工具ホルダ及び工作機械について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、ターニングセンタである工作機械1は、工作機械1全体の台であるベッドSと、第1主軸11を有する第1主軸ユニット10と、第2主軸21を有する第2主軸ユニット20と、第2主軸移動機構25と、固定刃物台30と、工具主軸ユニット50と、工具主軸移動機構42と、工具旋回機構45と、支持部材13と、工具マガジン60と、制御部300と、を備える。
以下では、第1主軸11及び第2主軸21の回転軸に沿う軸線方向をZ軸方向と規定し、Z軸方向に直交する高さ方向をX軸方向と規定し、X軸方向及びZ軸方向に直交する奥行き方向をY軸方向と規定する。
【0011】
第1主軸ユニット10は、ワークWを保持しつつ回転させる。具体的には、第1主軸ユニット10は、第1主軸11と、第1主軸11を回転可能に支持する第1主軸台12と、を備える。第1主軸11は、ワークWの一端を保持する。第1主軸台12には、第1主軸11を回転させるワーク回転用モータ(図示せず)が内蔵されている。第1主軸ユニット10は、ベッドSに対して移動不能に構成される。
本例では、
図3に示すように、支持部材13は、ベッドSの上面に設置され、第1主軸ユニット10がベッドSからX軸方向に離れるように、第1主軸台12を側方から支持する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、第2主軸ユニット20は、Z軸方向に第1主軸ユニット10と向かい合う位置に設けられている。第2主軸ユニット20は、ワークWの他端を保持する第2主軸21と、第2主軸21を回転可能に支持する第2主軸台22と、を備える。第2主軸台22には、第2主軸21を回転させるワーク回転用モータ(図示せず)が内蔵されている。
【0013】
第2主軸移動機構25は、
図2に示すように、第2主軸ユニット20をY軸方向(Y2軸方向)に移動させるY移動機構25Yと、
図1に示すように、第2主軸ユニット20をX軸方向(X2軸方向)に移動させるX移動機構25Xと、第2主軸ユニット20をZ軸方向(Z2軸方向)に移動させるZ移動機構25Zと、を備える。
【0014】
図3に示すように、工具主軸移動機構42は、工具主軸ユニット50をY軸方向(Y1軸方向)に移動させるY移動機構42Yと、工具主軸ユニット50をX軸方向(X1軸方向)に移動させるX移動機構42Xと、工具主軸ユニット50をZ軸方向(Z1軸方向)に移動させるZ移動機構42Zと、を備える。
【0015】
X移動機構25X,42X、Y移動機構25Y,42Y及びZ移動機構25Z,42Zは、それぞれ、モータ、ボールねじ及びナットを有し、モータの回転力をボールねじ及びナットにより直線運動に変換することにより、対応する第2主軸ユニット20又は工具主軸ユニット50を直線的に移動させる構成からなる。
【0016】
図1に示すように、工具旋回機構45は、工具主軸ユニット50を回転させることにより、工具主軸ユニット50に装着された工具ユニット70,80をB軸方向に旋回させる。B軸方向は、Y軸方向に沿う回転軸を中心とした回転方向である。
【0017】
工具マガジン60は、互いに異なる種類の複数の工具ユニット70,80を収容し、工具主軸ユニット50との間で工具ユニット70,80を授受する。工具マガジン60は、第1主軸台12の上方に位置する。工具マガジン60は、支持部材13により支持されている。
詳しくは、工具マガジン60は、工具支持部61と、駆動部62と、を備える。
工具支持部61は、略円環状をなし、Z軸方向に沿って延びる回転軸Cを中心に回転可能に支持される。
図3に示すように、工具支持部61は複数の工具把持部61aを備える。複数の工具把持部61aは、工具支持部61の外周側に位置し、工具支持部61の回転方向に並ぶように配置される。各工具把持部61aは、工具支持部61の径方向外側に向けて開口するU字状の溝を有し、この溝に工具ユニット70,80が嵌まることにより工具ユニット70,80を保持する。工具把持部61aは、工具ユニット70,80をZ軸方向に沿う向きで保持する。
駆動部62は、例えば、モータを有し、回転軸Cを中心に工具支持部61を回転させる。駆動部62は、支持部材13に固定される。
【0018】
図1及び
図2に示すように、固定刃物台30は、第2主軸21により保持されたワークWを加工する複数の工具35が装着可能に構成される。複数の工具35は、X軸方向及びY軸方向それぞれに並べられるように固定刃物台30に取り付け可能である。固定刃物台30は、ベッドSの上面に設置され、第2主軸ユニット20が上方を通過可能な高さに設けられる。
複数の工具35は、回転してワークWを加工するドリル又はエンドミル等の回転工具と、固定工具と、を含む。工具35は、Z軸方向に沿って延びた状態で固定刃物台30に装着される。固定刃物台30は、駆動部31(
図2参照)と、駆動部31の駆動力を回転力として工具35(回転工具)に伝達する図示しないギヤトレーンと、を備える。
固定刃物台30の近傍には、ワークコンベア、アンローダー又はシュートボックス等の図示しないワーク排出部が設けられる。
【0019】
図1に示すように、工具主軸ユニット50は、例えば、ツールスピンドルであり、固定工具ユニット70又は回転工具ユニット80が装着可能に構成されている。工具主軸ユニット50は、固定工具ユニット70を軸回転不能に固定的に支持し、回転工具ユニット80を軸回転可能に支持する。固定工具ユニット70は、例えば、ターニング工具であり、回転工具ユニット80は、例えば、ミリング工具である。
工具主軸ユニット50は、装着された固定工具ユニット70又は回転工具ユニット80により、第1主軸11により保持されたワークW又は第2主軸21により保持されたワークWを加工する。
【0020】
図7に示すように、工具主軸ユニット50は、ボディ51と、スピンドル52と、クランプ機構54と、を備える。
ボディ51は、箱状をなし、スピンドル52の先端部を外部に露出させた状態で、内部空間にてスピンドル52を回転可能に支持する。
スピンドル52は、円筒状をなし、図示しないモータにより軸回転可能に構成される。スピンドル52の先端側には、工具ユニット70,80の後述するテーパ部72,82が装着可能である。スピンドル52の先端側の内周面は、工具ユニット70,80のテーパ部72,82の外周面に沿うようにテーパ面で形成されている。
クランプ機構54は、工具ユニット70,80の後述するクランプ部76,86をスピンドル52内に引き込んでクランプする。クランプ機構54は、ドローバー54aと、複数のボール54bと、を備える。ドローバー54aは、スピンドル52内に位置して円筒状をなし、エアシリンダ等の駆動部により、工具ユニット70,80の中心軸Iに沿う方向に進退可能に構成される。複数のボール54bは、ドローバー54aとともに移動するようにドローバー54aに嵌め込まれている。ドローバー54aが前進位置にあるとき、ボール54bがスピンドル52の内周面の凹部52b内に位置しており、クランプ機構54によりクランプ部76,86の把持が解除された状態(アンクランプ状態)にある。ドローバー54aが前進位置から後退位置に移動すると、ボール54bは、クランプ部76,86の後端に位置する球状部76a,86aに引っかかってクランプ部76,86を引き込む。これにより、ボール54bが凹部52b外へ移動する。すると、スピンドル52の内周面によりボール54bがクランプ部76,86に向けて押された状態となり、クランプ機構54によりクランプ部76,86が把持された状態(クランプ状態)となる。
以上のように、クランプ機構54は、クランプ部76,86をアンクランプ状態とクランプ状態の間で状態を切り替え可能である。
【0021】
次に、
図5(a),(b),(c)及び
図6を参照しつつ、固定工具ユニット70について説明する。以下では、固定工具ユニット70の中心軸Iに沿う軸方向が第1方向N1と規定され、第1方向N1に直交する方向が第2方向N2及び第3方向N3と規定される。第2方向N2及び第3方向N3は互いに直交する。
固定工具ユニット70は、工具主軸ユニット50に装着されたときに回転させられることなく複数の切削バイト73a~73d間で加工に使用する切削バイトを変更可能となるように、複数の切削バイト73a~73dを同じ向きで、かつ、互いに刃先73a1~73d1を第1方向N1、第2方向N2及び第3方向N3に離れて配置させる。
詳しくは、固定工具ユニット70は、ワークWを加工する複数の切削バイト73a~73dと、複数の切削バイト73a~73dを保持する工具ホルダ71と、複数の止めネジ78と、を備える。
【0022】
図5(a),(b),(c)に示すように、工具ホルダ71は、テーパ部72と、回転規制部74と、工具保持部75a,75bと、保持端部75cと、クランプ部76と、被保持溝部79と、を備える。
被保持溝部79は、第1方向N1において工具保持部75a,75bと回転規制部74の間に位置し、外周面の全周に亘って溝が形成された円板状をなす。被保持溝部79は、工具マガジン60の工具把持部61a(
図3参照)に嵌まる。
【0023】
回転規制部74は、第1方向N1においてテーパ部72と被保持溝部79の間に位置する。
図9に示すように、回転規制部74は、ボディ51に嵌合することにより、固定工具ユニット70の回転を規制した状態で固定工具ユニット70に加わる加工負荷をボディ51で受け止めるように形成される。詳しくは、回転規制部74は、円板部74aと、複数の嵌合凸部74bと、複数の溝部74cと、を備える。
円板部74aは、中心軸Iを中心とした円板状に形成されている。
複数の溝部74cは、円板部74aの外周側に凹状に形成されている。複数の溝部74cは、円板部74aの径方向の外側に向かって開口する。溝部74cにはスピンドル52の先端側の凸部52aが嵌まる。
複数の嵌合凸部74bは、ボディ51のカップリング部51bの複数の嵌合凹部51dに嵌まる。
【0024】
図5(a),(b),(c)及び
図6に示すように、切削バイト73a~73dは、加工チップ、及び加工チップを保持する直方状のチップホルダを有する。切削バイト73a~73dは、互いに同じ向きで、工具ホルダ71に保持されている。切削バイト73a,73bの第2方向N2の長さは、切削バイト73c,73dの第2方向N2の長さよりも長く形成されている。
【0025】
切削バイト73a~73dは、それぞれ刃先73a1~73d1を備える。切削バイト73aの刃先73a1と切削バイト73bの刃先73b1は、第3方向N3に互いに離れた位置にある。切削バイト73cの刃先73c1と切削バイト73dの刃先73d1は、第3方向N3に互いに離れた位置にある。
また、刃先73a1,73b1は、刃先73c1,73d1よりも、第2方向N2において、中心軸Iから遠い位置に設けられている。刃先73a1は第1方向N1において刃先73c1に並び、刃先73b1は第1方向N1において刃先73d1に並ぶ。
切削バイト73a,73cは、第1主軸11により保持されたワークWを切削する際に使用される。切削バイト73b,73dは、第2主軸21により保持されたワークWを切削する際に使用される。
【0026】
図5(a),(b),(c)及び
図6に示すように、工具保持部75aは切削バイト73a,73bを保持し、工具保持部75bは切削バイト73c,73dを保持する。
工具保持部75a,75bは、それぞれ第2方向N2から見てT字状をなし、第1方向N1に互いに連結されるように並べられている。工具保持部75aは、工具保持部75bよりも回転規制部74の近くに位置し、工具保持部75bよりも第2方向N2の高さが高く形成されている。
工具保持部75aは、切削バイト73a,73bによるワークWの加工時にワークWに対向して位置する第1側面75a1を備える。工具保持部75bは、切削バイト73c,73dによるワークWの加工時にワークWに対向して位置する第2側面75b1を備える。第1側面75a1及び第2側面75b1は、それぞれ第1方向N1及び第3方向N3に沿う平面として形成されている。第1側面75a1は、第2方向N2において第2側面75b1よりも高く形成されている。第1側面75a1及び第2側面75b1の間には段差が形成されている。工具保持部75a,75bにおける第1側面75a1及び第2側面75b1と反対側の面は同一平面で形成されている。
【0027】
図6に示すように、工具保持部75aは、工具保持部75bとの間に切削バイト73a,73bを収容する収容凹部75d,75eを備える。収容凹部75d,75eは、工具保持部75aの第3方向N3の両側に位置し、第2方向N2に沿って延び、第3方向N3の両外側に向けて開口する凹状に形成されている。
工具保持部75bは、保持端部75cとの間に切削バイト73c,73dを収容する収容凹部75f,75gを備える。収容凹部75f,75gは、工具保持部75bの第3方向N3の両側に位置し、第2方向N2に沿って延び、第3方向N3の両外側に向けて開口する凹状に形成されている。
【0028】
保持端部75cは、第3方向N3に沿って延びる板状をなし、工具保持部75bの工具保持部75aとは反対側の端部に位置する。保持端部75cは、工具保持部75bよりも第2方向N2の高さが低く形成されている。工具ホルダ71は、工具保持部75a、工具保持部75b及び保持端部75cの3段の階段状に形成されている。
【0029】
図5(a),(b)に示すように、複数の止めネジ78は、切削バイト73a~73dを収容凹部75d~75g内に固定する。止めネジ78は、例えば、平先止めネジである。複数の切削バイト73a~73dのうち1つにつき2つの止めネジ78が設けられ、2つの止めネジ78は、各切削バイト73a~73dの長手方向、すなわち、第2方向N2に並べられている。
工具保持部75bには、複数の止めネジ78が螺合するネジ孔75iが形成されている。ネジ孔75iは、工具保持部75bの第2方向N2及び第3方向N3に沿って延びる基板部に貫通するように形成され、収容凹部75d,75fの間、及び収容凹部75e,75gの間を連通するように形成されている。
保持端部75cには、複数の止めネジ78が螺合するネジ孔75h及び止めネジ78が通過可能なネジ通過孔75kが形成されている。ネジ孔75hは、保持端部75cの厚さ方向に貫通する。ネジ通過孔75kは、2つのネジ孔75hの間であって、工具保持部75bのネジ孔75iに第1方向N1に対向する位置に形成されている。ネジ通過孔75kは、ネジ孔75iに止めネジ78を螺合させる際に、止めネジ78及び工具が通過可能に形成されている。
【0030】
次に、工具ホルダ71に切削バイト73a~73dを取り付ける作業について説明する。この作業は、例えば、作業者により行われる。
工具ホルダ71に切削バイト73a~73dの何れも装着されていない状態で、まず、工具ホルダ71の収容凹部75d,75eに切削バイト73a,73bを収容する。このとき、切削バイト73a,73bの刃先73a1,73b1を工具保持部75aの第1側面75a1よりも突出させる。そして、収容凹部75f,75g内から各ネジ孔75iに止めネジ78を螺合させることにより、止めネジ78の先端部を切削バイト73a,73bの側面に押し当てる。これにより、収容凹部75d,75e内に切削バイト73a,73bが固定される。
次に、工具ホルダ71の収容凹部75f,75gに切削バイト73c,73dを収容する。このとき、切削バイト73c,73dの刃先73c1,73d1を工具保持部75bの第2側面75b1よりも突出させる。そして、保持端部75cの外側から各ネジ孔75hに止めネジ78を螺合させることにより、止めネジ78の先端部を切削バイト73c,73dの側面に押し当てる。これにより、収容凹部75f,75g内に切削バイト73c,73dが固定される。
以上で、工具ホルダ71に切削バイト73a~73dを取り付ける作業が完了する。
なお、工具ホルダ71から切削バイト73a~73dを取り外す作業は、上述した工具ホルダ71に切削バイト73a~73dを取り付ける作業と逆の手順により行われる。切削バイト73a~73dの先端のチップが欠損又は摩耗した場合は、チップのみを交換する。また、切削バイトの種類の交換は、切削バイトを取り外した後、新たな切削バイトを取り付けることにより行われる。
【0031】
図1に示すように、制御部300は、第1主軸ユニット10、第2主軸ユニット20、第2主軸移動機構25、固定刃物台30、工具主軸ユニット50、工具主軸移動機構42、工具旋回機構45及び工具マガジン60を制御する。制御部300は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)等の処理部と、この処理部による処理の手順を定義したプログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等のメモリと、を備える。
【0032】
次に、制御部300により実行される加工処理について説明する。制御部300は、事前に作成されたNC(Numerical Control)プログラムに従って、この加工処理を実行する。
図1に示すように、制御部300は、図示しないワーク供給部により第1主軸ユニット10の後方からワークWを供給する。
そして、制御部300は、第1主軸11により保持されたワークWを工具主軸ユニット50に装着された固定工具ユニット70又は回転工具ユニット80により第1加工を行う。
【0033】
以下、第1加工として、工具主軸ユニット50に装着される固定工具ユニット70の2つの切削バイト73a,73cにより順番にターニング加工が行われる場合について説明する。
まず、制御部300は、
図4に示すように、工具旋回機構45を介して、固定工具ユニット70の中心軸IがX軸方向に沿うように、工具主軸ユニット50をB軸方向に回転させる。そして、制御部300は、工具主軸移動機構42を介して、
図8(a)に示すように、固定工具ユニット70の切削バイト73aの刃先73a1が第1主軸11により保持されたワークWの外周面に切り込む位置で、第1主軸11をワークWとともに軸回転させつつ、工具主軸ユニット50とともに切削バイト73aをZ軸方向に送る。これにより、切削バイト73aによるワークWの切削が行われる。切削バイト73aによるワークWのZ軸方向の加工幅は、2つの刃先73a1,73b1(
図6参照)間の距離よりも小さく設定されている。この切削が完了すると、制御部300は、工具主軸移動機構42を介して、
図8(b)に示すように、切削バイト73cの刃先73c1がワークWの外周面に切り込み可能な位置まで、工具主軸ユニット50を移動させる。そして、第1主軸11をワークWとともに軸回転させつつ、工具主軸移動機構42を介して工具主軸ユニット50とともに切削バイト73cをZ軸方向に送る。これにより、切削バイト73cによるワークWの切削が行われる。切削バイト73cによるワークWのZ軸方向の加工幅は、2つの刃先73c1,73d1(
図6参照)間の距離よりも小さく設定されている。
このように、加工に用いる工具を切削バイト73a,73cの間で切り替える場合に、工具主軸ユニット50を直線的に移動させるだけで済み、工具主軸ユニット50による固定工具ユニット70の回転位置の設定、すなわち、工具主軸ユニット50の割り出しが必要ない。
なお、切削バイト73a,73cによる加工の順番は上記と逆であってもよい。
【0034】
また、この第1加工において、例えば、工具主軸ユニット50に回転工具ユニット80が装着されている場合、回転工具ユニット80の刃先81(
図7参照)を回転させつつワークWに接触させることによりミリング加工を行ってもよい。
【0035】
次に、
図1及び
図2に示すように、制御部300は、上記第1加工が完了すると、第2主軸移動機構25を介して第2主軸21を第1主軸11に対向する位置まで移動させ、第1主軸11から第2主軸21へワークWを受け渡す。
そして、制御部300は、第2主軸21により保持されたワークWを固定刃物台30に装着された工具35又は工具主軸ユニット50に装着された工具ユニット70,80により第2加工を行う。
この第2加工において、上記第1加工と同様に、工具主軸ユニット50に装着された固定工具ユニット70又は回転工具ユニット80により第2主軸21により保持されたワークWにターニング加工又はミリング加工が行われる。
上述した第1加工としての切削バイト73a,73bによる加工と同様に、第2加工として、工具主軸ユニット50の切削バイト73b,73dにより順番にターニング加工が行われる。すなわち、切削バイト73bによるワークWの切削が完了すると、工具主軸ユニット50を直線的に移動させて、切削バイト73dによるワークWの切削が行われる。切削バイト73b,73dによる加工の順番はこれと逆であってもよい。
【0036】
そして、上記第2加工が完了すると、制御部300は、第2主軸移動機構25を介して、上記第2加工済みのワークWをワーク排出位置Po(
図2参照)まで移動させて図示しないワーク排出部と協働して外部へ排出する。
以上で、加工処理を終了する。この加工処理は、ワークWが供給される毎に繰り返し実行される。
なお、制御部300は、上記第1加工又は上記第2加工においては、上記ターニング加工及び上記ミリング加工の何れか一方のみ行われてもよいし、上記ターニング加工及び上記ミリング加工の両方が所定の順番で行われてもよい。
【0037】
次に、工具主軸ユニット50が装着された工具ユニット70,80の種類を交換する工具交換処理について説明する。この工具交換処理は、上記加工処理中に実行されてもよいし、上記加工処理の完了後、又は上記加工処理の開始前に実行されてもよい。
以下では、工具主軸ユニット50に装着される工具を回転工具ユニット80から固定工具ユニット70に交換する例について説明する。
【0038】
まず、
図1に示すように、制御部300は、駆動部62を介して工具支持部61を回転させて、工具支持部61の工具ユニット70,80が装着されていない工具把持部61aを工具交換位置Pcに移動させる。
次に、制御部300は、工具旋回機構45を介して工具主軸ユニット50に装着される回転工具ユニット80をB軸方向に回転させ、工具主軸ユニット50の先端側を工具マガジン60に向ける。そして、制御部300は、工具主軸移動機構42を介して工具主軸ユニット50に装着される回転工具ユニット80を工具交換位置Pcに対して工具支持部61の径方向外側、本例では下側に移動させる。そして、制御部300は、工具主軸移動機構42を介して工具主軸ユニット50に装着される回転工具ユニット80を工具交換位置Pcに対して工具支持部61の径方向内側、本例では上側に移動させて、工具支持部61の工具把持部61aにて回転工具ユニット80を把持させる。そして、工具主軸ユニット50が回転工具ユニット80をクランプした状態を解除したうえで、工具主軸移動機構42を介して工具主軸ユニット50を工具支持部61からZ軸方向に遠ざける。これにより、回転工具ユニット80が工具主軸ユニット50から離れ、回転工具ユニット80が工具支持部61の工具把持部61aに収容される。
【0039】
次に、制御部300は、駆動部62を介して工具支持部61を回転させて、工具支持部61に支持される固定工具ユニット70を工具交換位置Pcに移動させる。
そして、制御部300は、工具主軸移動機構42を介して工具主軸ユニット50をZ軸方向において工具マガジン60に支持された固定工具ユニット70に近づけて、工具主軸ユニット50に固定工具ユニット70を装着する。この際、工具主軸ユニット50が固定工具ユニット70をクランプする。
そして、制御部300は、工具主軸移動機構42を介して工具主軸ユニット50を工具支持部61の径方向外側、本例では下側に移動させて、固定工具ユニット70を工具支持部61から外す。そして、工具主軸ユニット50をツーリングゾーン側へ退避させる。最後に、
図4に示すように、固定工具ユニット70の中心軸IがX軸方向に沿うように工具主軸ユニット50をB軸方向に回転させる。以上で、工具交換処理が終了となる。
【0040】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)工具主軸ユニット50に装着される工具ホルダ71は、ワークWを切削する複数の切削バイト73a~73dを保持する工具保持部75a,75bを備える。工具保持部75a,75bにより保持された複数の切削バイト73a~73dそれぞれの刃先73a1~73d1は、互いに工具ホルダ71の中心軸Iに沿う軸方向の一例である第1方向N1、第1方向N1に交わる交差方向の一例である第2方向N2及び第3方向N3に離れて位置するとともに、主軸の一例である第1主軸11又は第2主軸21により保持されたワークWに対向して位置する。
この構成によれば、工具保持部75a,75bにより保持された複数の切削バイト73a~73d間でワークWの加工に使用する切削バイトを変更する場合に、工具主軸ユニット50をワークWに対して直線的に移動させるだけで済む。これにより、工具主軸ユニット50の割り出し不要で、加工に使用する切削バイトを変更することができる。これにより、割り出し時間を省略することができる。また、1つの工具ホルダ71が複数の切削バイト73a~73dを保持するため、工具主軸ユニット50に装着される工具ユニットを交換する回数を減らすことができる。よって、1つのワークWの加工に要する時間であるサイクルタイムを短縮することができる。
また、複数の切削バイト73a~73dを1つの工具ホルダ71に集約できるため、1つの工具ホルダが1つの切削バイトを保持する構成と比較して、工具マガジン60の工具把持部61aに空きが生まれやすい。よって、工具マガジン60に収容する工具ユニット70,80の数を増やすことができる。
さらに、工具主軸ユニット50の割り出し機構及びロック機構が不要となり、簡易な構成を実現できる。
【0041】
(2)工具保持部75a,75bにより保持された第1切削バイトの一例である切削バイト73a及び第2切削バイトの一例である切削バイト73bそれぞれの刃先73a1,73b1は、第3方向N3に離れて位置する。切削バイト73aは、第1主軸11により保持されたワークWを切削する。切削バイト73bは、第2主軸21により保持されたワークWを切削する。
この構成によれば、工具主軸ユニット50に装着される1つの工具ホルダ71は、保持する切削バイト73a,73bを介して、第1主軸11により保持されたワークWと第2主軸21により保持されたワークWの両方を加工可能となる。これにより、工具ホルダ71に保持される切削バイト73aが第1主軸11により保持されたワークWを加工した後、工具ホルダ71を交換することなく、直ぐに、工具ホルダ71に保持される切削バイト73bが第2主軸21により保持されたワークWを加工することができる。よって、サイクルタイムを短縮することができる。
【0042】
(3)工具ホルダ71は、第3切削バイトの一例である切削バイト73aを保持する第1工具保持部の一例である工具保持部75aと、第4切削バイトの一例である切削バイト73cを保持する第2工具保持部の一例である工具保持部75bと、を備える。工具保持部75aは、切削バイト73aにより切削されるワークWに対して対向方向(第2方向N2)に対向して位置する第1側面75a1を備える。第2工具保持部75bは、切削バイト73cにより切削されるワークWに対して第2方向N2に対向して位置する第2側面75b1を備える。第1側面75a1と第2側面75b1は、第1方向N1に並べられており、互いに第2方向N2に異なる高さで形成されている。
この構成によれば、第1側面75a1と第2側面75b1の間には段差が形成されるため、刃先73a1の下方にスペースが形成される。このスペースにより、切削時に発生するワークWの切粉を外部へ排出させることが容易となる。
【0043】
(4)工作機械1は、工具ホルダ71と、工具ホルダ71が装着される工具主軸ユニット50と、ワークWを保持する第1主軸11又は第2主軸21と、切削バイト73a~73dの刃先73a1~73d1がワークWの外周面に切り込むように工具主軸ユニット50を移動させる工具主軸移動機構42と、を備える。
この構成によれば、工作機械1において、工具主軸ユニット50の割り出し不要で、使用する切削バイトを変更することができる。
【0044】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0045】
(変形例)
上記実施形態においては、工具ホルダ71は、切削バイト73a,73bと切削バイト73c,73dの2組の切削バイトを互いに異なる高さに保持する2つの工具保持部75a,75bを備えていたが、工具保持部の数は2つに限らず、3組以上の切削バイトを互いに異なる高さに保持する3つ以上の工具保持部を備えていてもよい。例えば、
図10に示すように、工具ホルダ71は、3つの工具保持部75a,75b,75jを備えていてもよい。工具保持部75jは、工具保持部75a,75bと同様のT字状に形成され、工具保持部75bよりも高さが低く、2つの切削バイト73eを保持する。このように、工具保持部の数を増やすことにより、第2主軸21及び工具主軸ユニット50等の移動ストロークや工具マガジン60の空間余裕が許す範囲で、切削バイトの取付け本数を増やすことができる。
また、上記実施形態においては、各工具保持部75a,75bは、2つの切削バイトを保持可能に構成されていたが、1つ又は3つ以上の切削バイトを保持可能に構成されていてもよい。
【0046】
上記実施形態においては、切削バイト73c,73dの刃先73c1,73d1は、互いに同じ高さに位置していたが、これに限らず、互いに異なる高さに位置していてもよい。また、刃先73a1,73b1も互いに異なる高さに位置していてもよい。
例えば、ワークWの加工の際に、ワークWと切削バイト73a,73cが干渉しないように切削バイト73b,73dの高さを切削バイト73a,73cに対して変えることで、切削バイト73b,73dを第1主軸11により保持されるワークWの加工で使用可能となる。これと同様に、切削バイト73a,73cを第2主軸21により保持されるワークWの加工で使用可能となる。
さらに、工具保持部75aは切削バイト73a,73bを第1方向N1にずれた位置に保持してもよい。これと同様に、工具保持部75bは切削バイト73c,73dを第1方向N1にずれた位置に保持してもよい。
また、上記実施形態においては、切削バイト73a~73dは、それぞれ互いに平行をなすように工具ホルダ71に保持されていたが、刃先73a1~73d1が第1主軸11又は第2主軸21により保持されたワークWに対向して位置していれば、互いに平行でなくてもよく、切削バイト73a~73dのうち何れかが第2方向N2に対して斜めに保持されていてもよい。
【0047】
上記実施形態においては、工具ホルダ71は、各切削バイト73a~73dを第2方向N2に沿う姿勢で保持していたが、第2方向N2以外の方向に沿う姿勢で保持してもよい。例えば、
図11(a),(b),(c)に示すように、工具ホルダ71Aは、各切削バイト73a~73dを第1方向N1に沿う姿勢で保持してもよい。詳しくは、この変形例に係る工具ホルダ71Aは、上記実施形態における第1方向N1に並べられた工具保持部75a,75b及び保持端部75cに代えて、第2方向N2に並べられた工具保持部95a,95b及び保持端部95cを備える。
図11(c)に示すように、工具保持部95a,95bは、それぞれ、それぞれ第1方向N1から見てT字状をなす。工具保持部95aは、第3方向N3の両側に切削バイト73a,73bを保持する。工具保持部95bは、第3方向N3の両側に切削バイト73c,73dを保持する。保持端部95cは、工具保持部95bとの間で切削バイト73c,73dを挟み込むように位置する。工具保持部95bの下端面である第2端面95b1は、工具保持部95aの下端面である第1端面95a1よりも刃先73a1~73d1側へ高く形成されている。保持端部95cの下端面は、第2端面95b1よりも刃先73c1,73d1側へ高く形成されている。この変形例に係る工具ホルダ71Aは、切削バイト73a~73dを保持しつつ、工具主軸ユニット50(
図1参照)に装着された状態で、第1方向N1にワークWに向かって移動することにより、刃先73a1~73d1の何れかをワークWへ切り込むことができる。この変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
上記実施形態においては、第1側面75a1及び第2側面75b1の間には段差が形成されていたが、段差が省略されていてもよい。この場合、工具保持部75a,75b及び保持端部75cは同じ高さで形成されていてもよい。
【0049】
上記実施形態においては、ワークWは棒材で形成されていたが、これに限らず、円板状等の他の形状であってもよい。
また、上記実施形態において、固定工具ユニット70は、工具ホルダ71に保持される切削バイト73a~73dのうち少なくとも何れか1つが省略された状態で、ワークWの加工に用いられてもよい。例えば、第3方向N3に複数の切削バイトが並ばないように、切削バイトが省略されることにより、上述したワークWのZ軸方向の加工幅の制限をなくすことができる。
【0050】
上記実施形態においては、工具主軸ユニット50が工具マガジン60との間で直接工具ユニット70,80を交換していたが、これに限らず、ATC(Automatic Tool Changer)が工具主軸ユニット50と工具マガジン60の間で工具ユニット70,80の交換を行ってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…工作機械、10…第1主軸ユニット、11…第1主軸、12…第1主軸台、13…支持部材、20…第2主軸ユニット、21…第2主軸、22…第2主軸台、25…第2主軸移動機構、25X,42X…X移動機構、25Y,42Y…Y移動機構、25Z,42Z…Z移動機構、30…固定刃物台、31,62…駆動部、35…工具、42…工具主軸移動機構、45…工具旋回機構、50…工具主軸ユニット、51…ボディ、51b…カップリング部、51d…嵌合凹部、52…スピンドル、52a…凸部、52b…凹部、54…クランプ機構、54a…ドローバー、54b…ボール、60…工具マガジン、61…工具支持部、61a…工具把持部、70…固定工具ユニット、71,71A…工具ホルダ、72,82…テーパ部、73a~73e…切削バイト、73a1~73d1…刃先、74…回転規制部、74a…円板部、74b…嵌合凸部、74c…溝部、75a,75b,75j,95a,95b…工具保持部、95a1…第1端面、95b1…第2端面、75a1…第1側面、75b1…第2側面、75c,95c…保持端部、75d~75g…収容凹部、75h,75i…ネジ孔、75k…ネジ通過孔、76,86…クランプ部、76a,86a…球状部、78…止めネジ、79…被保持溝部、80…回転工具ユニット、81…刃先、300…制御部、C…回転軸、I…中心軸、N1…第1方向、N2…第2方向、N3…第3方向、S…ベッド、W…ワーク、Pc…工具交換位置、Po…ワーク排出位置