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  • 特開-冷感マット及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007121
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】冷感マット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20230111BHJP
   A47C 31/11 20060101ALI20230111BHJP
   A47G 9/10 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A47C27/00 F
A47C27/00 A
A47C31/11 C
A47G9/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110164
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】503247791
【氏名又は名称】アクトインテリア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519381458
【氏名又は名称】青島拜倫湾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 康之
(72)【発明者】
【氏名】孫 石林
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
【Fターム(参考)】
3B096AA01
3B096AC13
3B102AC00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れた冷感性能を有しつつ、通気性が高い冷感マットを提供する。
【解決手段】冷感マット100は、融点が10~39℃である相転移物質と、ジェル状物質と、を含有する冷感材料層10を有する。冷感マットは、前記冷感材料層の周囲を覆うように設けられている保護層20と、前記保護層及び前記冷感材料層において、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔11と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点が10~39℃である相転移物質と、ジェル状物質と、を含有する冷感材料層を有する冷感マットであって、
前記冷感材料層の周囲を覆うように設けられている保護層と、
前記保護層及び前記冷感材料層において、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、
を有することを特徴とする冷感マット。
【請求項2】
互いに隣接する前記貫通孔は、表面から窪んで形成されている溝によって連通していることを特徴とする請求項1に記載の冷感マット。
【請求項3】
前記保護層及び前記冷感材料層の前記貫通孔の内径は、3~20mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷感マット。
【請求項4】
前記保護層及び前記冷感材料層の前記貫通孔は、表面の面積100cmあたり、1~10個設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の冷感マット。
【請求項5】
融点が10~39℃である相転移物質と、ジェル状物質を含む接触冷感材料と、を含有する混合液を、厚さ方向に形成されている複数の凸部を有する型に入れて冷感材料層を成形する成形工程と、 前記型の複数の前記凸部によって形成された前記冷感材料層の貫通孔に応じた位置に、貫通孔が形成されている保護層を前記冷感材料層の少なくとも一方の面を覆うように設ける保護層形成工程と、
を有することを特徴とする冷感マットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相転移物質を含有する冷感材料層を含む冷感マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元ネットワーク構造を持つ高分子重合物であるジェル物質を用いた冷感素材が開発されている。ジェルは、三次元ネットワーク構造に大量の水分を閉じ込めることによって急速な熱伝導を実現することが可能である。
【0003】
このような冷感素材を用いたものとしては、例えば、織布又は不織布からなる生地と、該生地の片面又は両面に塗布された冷感材料層とを有する冷感生地であって、冷感材料層は、融点が20~39℃である相転移物質を含有する、マイクロカプセルと、接触冷感材料と、有機バインダとを含有し、前記接触冷感材料は、吸水性樹脂、ジェル状物質、及びシリコーン樹脂から選ばれた少なくとも1種を含有し、前記有機バインダは、アクリル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選ばれた少なくとも1種を含有する、冷感生地が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3224649号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の冷感生地は、ユーザの熱がこもりやすく、蒸れることにより不快に感じることが課題の1つとして挙げられる。
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、優れた冷感性能を有しつつ、通気性が高い冷感マットを提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の冷感マットは、融点が10~39℃である相転移物質を含有するマイクロカプセルと、ジェル状物質と、を含有する冷感材料層を有する冷感マットであって、前記冷感材料層の周囲を覆うように設けられている保護層と、前記保護層及び前記冷感材料層において、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の冷感マットによれば、厚さ方向に形成されている貫通孔により通気性を高めることが可能となる。これにより、蒸れによる使用時の不快感を低減することが可能となる。また、保護層が設けられることにより、ゲルが外部に漏れ出ることを防止することができる。
【0009】
本発明の冷感マットにおいて、互いに隣接する前記貫通孔は、前記冷感材料層の表面から窪んで形成されている溝によって連通していることが好ましい。
【0010】
このような態様によれば、冷感材料層の表面の空気が貫通孔に誘導されやすくなり、通気性を高めることが可能となる。
【0011】
本発明の冷感マットにおいて、前記保護層及び前記冷感材料層の前記貫通孔の内径は、3~20mmであることが好ましい。
【0012】
このような態様によれば、使用時にユーザによって表面側から押圧された場合に、貫通孔が閉塞されることを防止しつつ、冷感効果を適切に付与することが可能となる。
【0013】
本発明の冷感マットにおいて、前記保護層及び前記冷感材料層の前記貫通孔は、表面の面積100cmあたり、1~10個設けられていることが好ましい。
【0014】
このような態様によれば、相転移物質による熱交換機能をより効率的に行うことができ、冷却効率を高めることが可能となる。
【0015】
本発明の冷感マットの製造方法は、融点が10~39℃である相転移物質を含有するマイクロカプセルと、ジェル状物質を含む接触冷感材料と、を含有する混合液を、厚さ方向に形成されている複数の凸部を有する型に入れて冷感材料層を成形する成形工程と、前記型の複数の前記凸部によって形成された前記冷感材料層の貫通孔に応じた位置に、貫通孔が形成されている保護層を前記冷感材料層の少なくとも一方の面を覆うように設ける保護層形成工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、優れた冷感性能を有しつつ、高い通気性を有する冷感マットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る冷感マットの上面図である。
図2図1のA-A線に沿った冷感マットの断面図である。
図3】本発明に係る冷感マットの製造工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る冷感マットの一実施形態について説明する。
【0019】
図1は、冷感マット100の上面図である。図2は、図1のA-A線に沿った冷感マット100の断面図である。図1に示すように、冷感マット100は、例えば、上面視において矩形状に形成されている。
【0020】
図2にも示すように、冷感マット100は、冷感材料層10を有する。冷感材料層10は、その厚さ方向に貫通する貫通孔11を複数有する。本実施形態において、貫通孔11は、長手方向に沿って列状に配列されている。本実施形態においては、貫通孔11は、上面から見て格子状に配列されている。
【0021】
冷感材料層10は、融点が10~39℃である相転移物質を含有するマイクロカプセルと、ジェル状物質と、を含有する。冷感材料層10の厚みは、1mm~20mmとすることが好ましく、2mm~5mmとすることが更に好ましい。
【0022】
相転移物質としては、例えば、n-ヘプタデカン、n-オクタデカン、ノナデカン、n-エイコサンなどのアルカンの混合物などからなり、融点が好ましくは10~39℃、より好ましくは25~32℃であるものが用いられる。相転移物質は、外部温度が溶融エンタルピー値を上回る場合に、熱を吸収することで、周囲温度の上昇を遅らせる働きをなす。
【0023】
相転移物質は、例えば、固体又は、エマルジョンの形態でマイクロカプセルに封入されたものが用いられる。相転移物質は、必ずしもマイクロカプセルに封入されている必要はなく、例えば、冷感材料層10に混在させてもよい。マイクロカプセルの壁材としては、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂などが用いられるが、相転移物質の染み出し抑制効果が高く、ホルムアルデヒドなどの発生のない、ポリメタクリル酸メチル樹脂などのアクリル樹脂が好ましく用いられる。
【0024】
ジェル状物質としては、ジェル状物はポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。
【0025】
冷感マット100は、冷感材料層10の表面を覆う保護層20を有する。本実施形態において、保護層20は、冷感材料層10の上面及び下面を覆うように設けられている。
【0026】
保護層20は、例えば、ポリウレタン樹脂フィルム、(TPUフィルム、PUフィルム)、ポリテトラフルオロエチレン分散樹脂フィルム(PTFE(Polytetrafluoroethylene)分散樹脂フィルム)、シリコーン樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム等のフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA(Ethylene vinylacetate))フィルム、PVE(polyvinyl ethyl ether ポリビニルエチルエーテル)フィルム、PVC(Polyvinyl chlorid 塩化ビニル)フィルム等の膜材料、織物等で形成されている。
【0027】
保護層20は、冷感材料層10の上面及び下面のうち一方を覆うように形成してもよいし、冷感材料層10の周囲を覆うように設けられているようにしてもよい。
【0028】
保護層20は、冷感材料層10の貫通孔11に応じた位置に形成されている複数の貫通孔21を有する。すなわち、冷感マット100の上面及び下面は、冷感材料層10の貫通孔11及び保護層20の貫通孔21によって、貫通している。保護層20は5~300g/mとするとよい。
【0029】
保護層20が設けられていることにより、冷感材料層10の溶剤の揮発を防ぐことができ、冷感材料層10のジェル状物質がユーザの体に直接に接触することを防ぐことができる。
【0030】
図1にも示すように、保護層20には、表面から窪んで形成されている複数の溝22が形成されている。溝22は、互いに隣接する貫通孔21同士を連通するように形成されている。本実施形態において、溝22は、冷感マット100の上面及び下面において、格子状に形成されており、格子状の溝22の交点に貫通孔21が配置されている。したがって、互いに隣接する貫通孔21の開口部は、冷感マット100の表面から窪んで形成されている溝22によって連通している。
【0031】
したがって、例えば、上面からユーザによって押圧された際に、貫通孔21に負圧がかかる。上面の近傍の空気は、溝22に導かれ、貫通孔21、11を通って下面から排出される。このため、上面側の空気の熱交換を積極的に行うことができるため、より冷感効果を高めることが可能となる。
【0032】
保護層20及び冷感材料層10の貫通孔11,21は、3~20mmであることが好ましく、3~15mmであることがより好ましく、4~8mmであることがさらに好ましい。
【0033】
このように貫通孔11,21が形成されることにより、例えば、使用時にユーザによって表面側から押圧された場合に、貫通孔11,21が閉塞されることを防止しつつ、冷感効果を適切に付与することが可能となる。
【0034】
保護層20及び冷感材料層10の貫通孔11,21は、冷感マット100の表面の面積100cmあたり、1~10個設けられていることが好ましく、1~7個設けられていることがより好ましく、2~4個設けられていることがよりさらに好ましい。
【0035】
このように貫通孔21が形成されることにより、相転移物質による熱交換機能をより効率的に行うことができ、冷却効率を高めることが可能となる。
【0036】
冷感マット100は、枕パット、敷パット、ラグ、クッション、マットレス、椅子の座面のシート、ジャケット等のアパレルの内張り、袋、敷布、カバー及び冷却調温設備に使用することができる。
【0037】
図3は、冷感マット100の製造方法を示すフロー図である。図3に示すように、まず、融点が20~39℃である相転移物質を含有するマイクロカプセルと、ジェル状物質を含む接触冷感材料と、を含有する混合液を、厚さ方向に形成されている複数の凸部を有する型に入れて冷感材料層を成形する成形工程が行われる(ステップS01)。尚、冷感材料層を成形する型は、貫通孔11の配置に応じた複数の凸部を有する。本実施形態においては、型は、格子状に配列されている複数の凸部を有する。
【0038】
次いで、型の複数の凸部によって形成された冷感材料層の貫通孔に応じた位置に、貫通孔が形成されている保護層を冷感材料層10の少なくとも一方の面を覆うように設ける保護層形成工程が行われる(ステップS02)。
【0039】
ステップS01において、原料としてのポリエーテル多価アルコール(ポリエーテルポリオール)は100質量部とするとよい。また、イソシアン酸エステルはポリエーテル多価アルコール100質量部に対して20~50質量部とするとよい。
【0040】
相転移物質はポリエーテル多価アルコール100質量部に対して10~60質量部とするとよい。相転移物質は、その他の原料との適合性を高めるためにオクタデカンを用いるとよい。相転移物質は、スラリー状のものを用いるとよい。
【0041】
また、混合液には、ポリウレタンの反応触媒を0.1~1.0質量部、希釈剤を5~10質量部を添加するとよい。さらに、混合液には、2質量部以下の着色料を添加することができる。
【0042】
ポリエーテル多価アルコール(ポリエーテルポリオール)は、例えば、メチルエポキシエタンとエポキシエタンと1,2,3-プロパントリオールの重合物や、触媒存在下でエポキシエタン、エポキシプロパン、エポキシブタンなどと反応してできたもの等から選択される1種又は、複数種を用いることができる。
【0043】
イソシアン酸エステルは、モノイソシアン酸エステル、ジイソシアン酸エステル及びポリイソシアン酸エステルから選択される1種又は、複数種を用いることができる。具体的には、ジフェニルメタンジイソシアン酸エステル、ポリフェニルメタンポリイソシアン酸エステル等を用いることができる。ジフェニルメタンジイソシアン酸エステル及びポリフェニルメタンポリイソシアン酸エステルを用いることにより、冷感効果の向上及び、安定した生産性を図ることができる。
【0044】
反応触媒には、アミン系触媒、有機金属触媒を用いることができる。有機金属化合物は、カルボン酸塩、金属アルキル化合物などを含み、主に錫、カリウム、鉛、水銀、亜鉛などの金属元素が含まれています。特に、有機亜鉛触媒は、毒の副作用が小さいという利点がある。また、有機亜鉛触媒は、再触媒反応過程で気泡による外観不良を引き起こすことはない。
【0045】
希釈剤は、ジクロロメタン、トルエン等の有機溶剤を用いることができる。
【0046】
これらのポリエーテル多価アルコール、反応触媒、相転移物質、希釈剤及び着色料を反応器に入れ、撹拌して混合して混合液を作成する。攪拌条件は、例えば、500r/minとし、30分行うとよい。
【0047】
次いで、上記の混合液を射出成形シリンダに充填する。イソシアン酸エステルは別の射出成形シリンダに充填し、待機させておく。それぞれの射出成形シリンダ内の温度は30~40℃とするとよい。
【0048】
冷感マット100のサイズに応じた金型に、上記の2つの射出成形シリンダ内の材料をプリブレンドタンクに入れて攪拌混合した後に、流し込んで、重合反応を行う。攪拌条件は、2000r/minとするとよい。重合反応の条件は、40~60℃で7~12分行うとよい。
【0049】
尚、金型には、厚さ方向に形成された複数の凸部を有する。したがって、重合反応を行うことによって、冷感材料層10には金型の凸部に応じた位置に貫通孔11が形成される。
【0050】
ステップS02において、ステップS01で形成した冷感材料層10に保護層20を設ける。保護層20は、例えば、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂で形成されている場合、所定の熱及び圧力で冷感材料層10に押圧することにより接着するとよい。その後、冷感材料層10の貫通孔11に応じた位置においてパンチングを行うことにより、貫通孔21を形成するとよい。尚、保護層20の貫通孔21は、冷感材料層10に接着する前に形成してもよい。
【0051】
また、保護層20は、このような態様に限られず、例えば、金型に保護層20の予めシートを敷いておき、その金型に樹脂材料を流し込んだ後に重合反応を行うことにより設けてもよい。この場合、保護層20には、金型の凸部に応じた位置に予め貫通孔21を設けるとよい。
【実施例0052】
<試験例1>(冷感マット100の作製)
[実施例1]
以下の要領で冷感マット100を作製した。
原料:
・ポリエーテル多価アルコール:100質量部
・イソシアン酸エステル:20質量部
・相転移物質(マイクロカプセル):30質量部
・反応触媒:0.3質量部
・着色料:1質量部
・希釈剤:5質量部
【0053】
ポリエーテル多価アルコールは、メチルエポキシエタンとエポキシエタンと1,2,3-プロパントリオールの重合物を用いた。
【0054】
イソシアン酸エステルは、ジフェニルメタン二イソシアン酸エステルとポリフェニルメタン多イソシアン酸エステルの混合物を用いた。
【0055】
相転移物質は、芯層については相転移温度が28℃のオクタデカン(Octadecane)を用いた。壁層は、メタクリル酸エステルを用いた。
【0056】
反応触媒は、イソオクタン酸亜鉛(Zinc Isoocatanoate)を主として含む亜鉛触媒を用いた。
【0057】
希釈剤は、ジクロロメタンを用いた。
【0058】
これらのポリエーテル多価アルコール、反応触媒、相転移物質、希釈剤及び着色料を反応器に入れ、撹拌して混合して混合液を作成する。攪拌条件は、例えば、500r/minとし、30分行った。
【0059】
次いで、上記の混合液を射出成形シリンダに充填した。イソシアン酸エステルは別の射出成形シリンダに充填し、待機した。射出成形シリンダ内の温度は40℃とした。
【0060】
金型の大きさは、縦43cm、横63cm、厚さ3mmを有するものを用いた。金型の内面には、冷感材料層10の上面及び下面を貫通する貫通孔11を形成するための複数の円柱状の凸部が形成されている。凸部は、上面から見て碁盤目状に配列されているものを用いた。また、金型の対向する内面には、前記凸部を交点にして、該凸部に連結される格子状のリブがそれぞれ形成されている。凸部は、直径が5mmの円柱状をなし、縦方向に3cm、横方向に3cmの間隔で配置されている。凸部どうしを格子状に連結するリブは、高さ1mm、幅3mmとなっている。リブによって、貫通孔11の両端開口に連通する格子状の溝が形成されるようになっている。なお、金型の大きさは、冷感マット100のサイズに応じて設定される。
【0061】
上記金型に、上記の2つの射出成形シリンダ内の材料をプリブレンドタンクに入れて攪拌混合した後に射出して、重合反応を行った。攪拌条件は、2000r/minとした。重合反応の条件は、50℃で9分とした。その後、成形された冷感材料層10を金型内から取出した。
【0062】
次いで、熱可塑性ポリウレタンで形成した厚さ0.015mmの保護層(保護シート)20を冷感材料層10の上面及び下面に貼り付けて固着した。冷感材料層10の貫通孔11に応じた位置において、保護層20をパンチングすることにより貫通孔21を形成した。
【0063】
(性能検査)
上記の方法によって作製した冷感マット100の接触冷感試験を行った。試験には、カトーテック株式会社製のKES-F7サーモラボII試験機を用いた。試験は、熱板にセンサーを重ね、試料との温度差(ΔT:20℃)を一定にした後、センサーを試験片に接触させた時の瞬間的な熱の移動量を測定した。その結果、接触冷感(W/cm)(Qmax)は、0.627であった。
【符号の説明】
【0064】
100 冷感マット
10 冷感材料層
11 貫通孔
20 保護層
21 貫通孔
22 溝
図1
図2
図3