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  • -開口部建材 図1
  • -開口部建材 図2-1
  • -開口部建材 図2-2
  • -開口部建材 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071226
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】開口部建材
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20230516BHJP
   E06B 7/14 20060101ALI20230516BHJP
   E06B 1/16 20060101ALN20230516BHJP
【FI】
E06B1/18 L
E06B1/18 N
E06B7/14
E06B1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183850
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 寿志
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036RA08
2E036RB03
2E036RC02
2E036TA07
(57)【要約】
【課題】 使い勝手の良い開口部建材の提供。
【解決手段】 室外側形材1と、上室内側形材2aと、下室内側形材2bと、室外側形材1と上室内側形材2aとをつなぐブリッジ材4とを備え、室外側形材1と上室内側形材2aとは、つながった状態でブリッジ材4を注型してからブリッジ材4の下側で切り離してあり、切り離した上室内側形材2aに下室内側形材2bを取付けてあり、室外側形材1又は下室内側形材2bは、室外側形材1と上室内側形材2aとの間から漏水した水を受ける水受け片7を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外側形材と、上室内側形材と、下室内側形材と、室外側形材と上室内側形材とをつなぐブリッジ材とを備え、室外側形材と上室内側形材とは、つながった状態でブリッジ材を注型してからブリッジ材の下側で切り離してあり、切り離した上室内側形材に下室内側形材を取付けてあり、室外側形材又は下室内側形材は、室外側形材と上室内側形材との間から漏水した水を受ける水受け片を有することを特徴とする開口部建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱性能を有する開口部建材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、枠にアルミと樹脂の複合構造の断熱形材を使用した開口部建材が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、使い勝手の良い開口部建材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による開口部建材は、室外側形材と、上室内側形材と、下室内側形材と、室外側形材と上室内側形材とをつなぐブリッジ材とを備え、室外側形材と上室内側形材とは、つながった状態でブリッジ材を注型してからブリッジ材の下側で切り離してあり、切り離した上室内側形材に下室内側形材を取付けてあり、室外側形材又は下室内側形材は、室外側形材と上室内側形材との間から漏水した水を受ける水受け片を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による開口部建材は、室外側形材と、上室内側形材と、下室内側形材と、室外側形材と上室内側形材とをつなぐブリッジ材とを備え、室外側形材と上室内側形材とは、つながった状態でブリッジ材を注型してからブリッジ材の下側で切り離してあり、切り離した上室内側形材に下室内側形材を取付けてあり、室外側形材又は下室内側形材は、室外側形材と上室内側形材との間から漏水した水を受ける水受け片を有することで、断熱性能が得られると共に、ブリッジ材が縮んだときでも水受け片により躯体への漏水を防止できるので、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の開口部建材の一実施形態を示す縦断面図である。
図2-1】同開口部建材の製作手順を示す縦断面図である。
図2-2】同開口部建材の製作手順(図2-1の続き)を示す縦断面図である。
図3】本発明の開口部建材の他の実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の開口部建材の一実施形態を示している。本開口部建材は、住宅用の引違い窓に適用したものであり、躯体開口部に取付けられる枠8と、枠8内に引き違い状に開閉自在に納めた外障子及び内障子(図示省略)を備える。枠8は、上枠と下枠3と左右の縦枠9とを矩形に枠組みして構成してある。外障子及び内障子は、上框と下框と戸先框と召合せ框を框組みし、その内側にガラスを嵌め込んで構成してある。
【0008】
下枠3は、図1に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側形材1及び室内側形材2と、室外側形材1と室内側形材2とを繋ぐブリッジ材4とを有している。室内側形材2は、上室内側形材2aと下室内側形材2bとに上下に分割して構成してある。室外側形材1と上室内側形材2aと下室内側形材2bには、それぞれタッピングホール10が設けてある。ブリッジ材4は、断熱性能を有する材料で形成されており、室外側形材1と室内側形材2(上室内側形材2a)との間の伝熱を遮断する。
【0009】
下枠3は、長手方向端面をシーラー(図示省略)を介して縦枠9の内周側面に当接し、縦枠9の側方から挿入したねじ11を室外側形材1と上室内側形材2aと下室内側形材2bのタッピングホール10に螺入することで、縦枠9と連結固定されている。
【0010】
室外側形材1と上室内側形材2aとは、後述するように、元々はつながった状態で一体成形され、ブリッジ材4を注型してからブリッジ材4の下側で切り離してある。
本下枠3は、室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5から露出するブリッジ材4と下室内側形材2bとの間にパッキン6が設けてある。パッキン6は、図2-2(d)に示すように、取付ける前の状態では矩形断面の棒状で、取付けた状態では、図2-2(e)に示すように、室内外方向及び上下方向に潰れた状態となり、室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5を塞ぐと共にブリッジ材4に圧着する。パッキン6は、下枠3の長手方向の全長に亘って設けてあり、パッキン6の長手方向の端面は縦枠9の内周側面(厳密には、縦枠9の内周側面に取付けたシーラー)に当接している。
【0011】
下室内側形材2bは、図1に示すように、略矩形断面の中空部12を有し、上面に上室内側形材2aと係合する突条13,13が室内外方向に間隔を開けて設けてある。中空部12の室外側の壁は下方に垂下しており、その下端部に躯体14に当接する当接片15が設けてある。さらに下室内側形材2bは、当接片15から上方に離間した位置に水受け片7が設けてある。水受け片7は、室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5の下方に位置しており、室外側の部分が上向きに傾斜している。このように水受け片7が設けてあることで、万が一、室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5から漏水しても、その水を水受け片7が受けるので、水が躯体14まで達することがない。
【0012】
上枠と縦枠9も、下枠3と同様に、アルミ製の室外側形材と室内側形材を樹脂製のブリッジ材でつないだ断熱形材となっている。ただし、上枠と縦枠9には、下枠3のようなパッキン6や水受け片7は設けられていない。
【0013】
次に、本開口部建材の製作手順を説明する。まず、図2-1(a)に示すように、室外側形材1と上室内側形材2aとがつながった状態で一体成形された形材16に形成されたブリッジ材注入溝17に、ブリッジ材4の材料となる樹脂(例えば、ポリウレタン樹脂)18を注入する。
樹脂18が硬化した後、図2-1(b)に示すように、室内側からブリッジ材注入溝17の外周側のコーナー部を工具19で切削し、室外側形材1と上室内側形材2aとに切り離す。このとき、ブリッジ材4も一部切削除去されて入隅部20(図2-1(c)参照)が形成される。
その後、図2-1(c)に示すように、室外側形材1と上室内側形材2aとをブリッジ材4で繋いだ下枠3を、その長手方向の端面をシーラーを貼り付けた縦枠9の内周側面に当接させ、縦枠9に側方より挿入したねじ11をタッピングホール10に螺入することで、縦枠9と連結固定する。上枠も、下枠3と同様に、長手方向の端面をシーラーを介して縦枠9の内周側面に当接させ、上枠のタッピングホールに螺入するねじで縦枠9と連結固定する。
次に、図2-2(d)に示すように、下室内側形材2bの室外側面にパッキン6を両面テープ等で取付けた上で、上面の突条13,13を上室内側形材2aのタッピングホール10と垂下片21との間に係合させて、下室内側形材2bを上室内側形材2aの下に取付ける。
すると、図2-2(e)に示すように、パッキン6の角部がブリッジ材4の入隅部20に嵌まった状態でパッキン6が室内外方向及び上下方向に潰れ、室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5をパッキン6が塞ぐと共に、同切り離し部5から露出するブリッジ材4にパッキン6が圧接する。その後、縦枠9に側方より挿入したねじ11を下室内側形材2bのタッピングホール10に螺入して、下室内側形材2bを縦枠9と連結固定する。
以上のように形成した枠8を、通常のサッシと同様に躯体開口部に取付け、上枠と下枠3のレール22間に外障子と内障子をけんどんにて建て込む。
【0014】
断熱形材を使用したサッシでは、アルミと樹脂の熱伸び量の違い等に起因して、年月が経つとブリッジ材が縮むことがあり、下枠のブリッジ材が縮むと同ブリッジ材の端面が縦枠の内周側面のシーラーから離れて隙間が生じ、下枠上面に浸入した雨水がその隙間から流下して躯体まで浸入することがある。
本開口部建材は、図1に示すように、下枠3の室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5から露出するブリッジ材4にパッキン6が圧接していると共に、パッキン6が室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5を塞いでおり、パッキン6の長手方向の端面は縦枠9の内周側面のシーラーに当接しているので、ブリッジ材4が縮んでブリッジ材4の長手方向端面と縦枠9の内周側面のシーラーとの間に隙間が生じても、その隙間から躯体14側に漏水するのを防ぐことができる。
さらに本開口部建材は、下枠3の下室内側形材2bに水受け片7が設けてあるので、万が一、パッキン6を超えて水が下に落ちたとしても、その水は水受け片7で受け止められるので、躯体14を濡らすことがない。これにより本開口部建材は、躯体14への漏水を確実に防ぐことができる。
【0015】
パッキン6は、下室内側形材2bの室外側面に両面テープ等で接着して取付けるのではなく、下室内側形材2bのパッキン取付面に室外側に向けて開口したホルダー部を設け、該ホルダー部にパッキン6を嵌合させて取付けることもできる。そうすることでパッキン6の取付けが容易に且つ正確に行えるので、施工性が向上する。
【0016】
図3は、本発明の開口部建材の他の実施形態を示している。本実施形態は、下枠3の水受け片7が室外側形材1に設けてある点が異なっている。水受け片7は、室外側形材1の中空部23の下壁24と連続するように、室内側に向かって上向きに傾斜して設けてあり、先端部はさらに上向きに曲がった形になっている。水受け片7は、室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5の下方までのびている。
【0017】
本実施形態の開口部建材は、先に説明した実施形態と同様に、下枠3のブリッジ材4が縮んだときに、万が一パッキン6を超えて水が流下したとしても、その水は水受け片7で受け止められるため、躯体14を濡らすことがない。さらに、室外側形材1の中空部23の室内側の壁25と室外側の壁26とに水抜き孔(図示省略)を形成すれば、水受け片7上に溜まった水を室外に排水することができる。
【0018】
以上に述べたように本開口部建材は、室外側形材1と、室内側形材2と、室外側形材1と室内側形材2とをつなぐブリッジ材4とを備え、室外側形材1と室内側形材(上室内側形材)2aとは、つながった状態でブリッジ材4を注型してからブリッジ材4の下側で切り離してあり、切り離し部5から露出するブリッジ材4と室内側形材(下室内側形材)2bとの間にパッキン6を設けてあることで、断熱性能が得られると共に、ブリッジ材4が縮んだときでもパッキン6により躯体14への漏水を防止できるので、使い勝手が良い。
パッキン6は、下枠3の長手方向の両端部だけに設けてあっても良いが、下枠3の全長に亘って設けてあることで、パッキン6をより安定して設置できるとともに、ブリッジ材4周辺からの漏水を下枠3の全長で防止できる。
【0019】
また、本開口部建材は、室外側形材1と、上室内側形材2aと、下室内側形材2bと、室外側形材1と上室内側形材2aとをつなぐブリッジ材4とを備え、室外側形材1と上室内側形材2aとは、つながった状態でブリッジ材4を注型してからブリッジ材4の下側で切り離してあり、切り離した上室内側形材2aに下室内側形材2bを取付けてあり、室外側形材1又は下室内側形材2bは、室外側形材1と上室内側形材2aとの間から漏水した水を受ける水受け片7を有することで、断熱性能が得られると共に、ブリッジ材4が縮んだときでも水受け片7により躯体14への漏水を防止できるので、使い勝手が良い。
さらに本開口部建材は、室外側形材1と上室内側形材2aとの切り離し部5から露出するブリッジ材4に当接してパッキン6が設けてあることで、ブリッジ材4が縮んで縦枠9との間に隙間が生じたとしても、その隙間からの漏水をパッキン6で防ぐことができるので、躯体14への漏水をより一層確実に防止できる。
【0020】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。パッキンは、必ずしも設けてなくてもよい。室外側形材、上室内側形材及び下室内側形材の断面形状は、適宜変更することができる。水受け片は、室外側形材と上室内側形材との間から漏水した水を受けることができるように設けてあればよく、具体的な位置や形状等は、適宜変更することができる。本発明は、引違い窓に限らず、嵌め殺し窓やすべり出し窓、玄関や勝手口の戸など、あらゆる開口部建材に適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 室外側形材
2 室内側形材
2a 上室内側形材
2b 下室内側形材
3 下枠
4 ブリッジ材
5 切り離し部
6 パッキン
7 水受け片
図1
図2-1】
図2-2】
図3