(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071275
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】飛沫収集装置および飛沫収集システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20230516BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20230516BHJP
F24F 9/00 20060101ALI20230516BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20230516BHJP
F24F 8/20 20210101ALI20230516BHJP
【FI】
F24F7/06 Z
A61L9/16 F
F24F9/00 E
A61L9/20
F24F8/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183939
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】516039398
【氏名又は名称】中嶋 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】酒井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 智也
【テーマコード(参考)】
3L058
4C180
【Fターム(参考)】
3L058BE08
4C180AA07
4C180AA16
4C180CA01
4C180CA10
4C180CB03
4C180DD03
4C180DD08
4C180DD09
4C180EA17X
4C180EA52X
4C180EA58X
4C180EB06X
4C180HH05
4C180KK04
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】空気中における飛沫の拡散を抑制する飛沫収集装置を提供する。
【解決手段】
飛沫収集装置3は、ユーザ9の周囲の空間を仕切る仕切部10と、仕切部10よりも下方に設けられ、仕切部10の近傍に浮遊する飛沫91を含む空気を吸引して仕切部10に沿わせながら下方に移動させる吸気部11と、吸気部11によって吸引された空気を外部に放出する排気部12と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの周囲の空間を仕切る仕切部と、
前記仕切部に対して下方または上方若しくは側方に設けられ、前記仕切部の近傍に浮遊する飛沫を含む空気を吸引して前記仕切部に沿わせながら下方または上方若しくは側方に移動させる吸気部と、
前記吸気部によって吸引された前記空気を外部に放出する排気部と、を備えていることを特徴とする飛沫収集装置。
【請求項2】
前記吸気部によって吸引された前記空気から前記飛沫を除去するフィルタと前記吸気部によって吸引された前記空気に含まれる微生物を死滅させる殺菌装置の少なくとも1つを有する機能部を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の飛沫収集装置。
【請求項3】
前記仕切部は、前記空気を流通させる流路を挟んで互いに対向する一対の仕切板を有し、
前記吸気部は、前記流路を陰圧にすることを特徴とする請求項1または2に記載の飛沫収集装置。
【請求項4】
前記仕切部は、一対の前記仕切板の側方を閉塞して上下両端面を開口した筒状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の飛沫収集装置。
【請求項5】
前記仕切板には、前記流路に連通する少なくとも1つの貫通穴が穿設されていることを特徴とする請求項3または4に記載の飛沫収集装置。
【請求項6】
前記仕切部には、少なくとも1つの開口部が設けられており、
前記開口部は、
一対の前記仕切板に架設され、一対の前記仕切板で仕切られた空間同士を連通させる筒壁と、
前記筒壁の最も幅広くなる位置よりも前記空気の流通方向の上流側で、且つ前記筒壁まわりの圧力分布がマイナスになる位置において、前記流路に連通するように前記筒壁に穿設されている少なくとも1つの吸引口と、を有していることを特徴とする請求項3または4に記載の飛沫収集装置。
【請求項7】
前記仕切板の前記空気の流通方向の下流端は、当接面との間に隙間をあけずに密着していることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の飛沫収集装置。
【請求項8】
請求項3ないし7のいずれか1項に記載の飛沫収集装置と、
隙間を挟んで配置され、一対の前記仕切板を立設させる一対の天板を有する一対のテーブルと、を備え、
一対の前記仕切板の上端は、前記ユーザの頭部よりも高い位置に設定され、
前記吸気部は、一対の前記テーブルの前記隙間に設置されていることを特徴とする飛沫収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛沫を含む空気の拡散を抑制する飛沫収集装置および飛沫収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
対面する両者の間を区画し、例えば、コロナウイルス感染症やインフルエンザウイルス感染症等の飛沫感染を予防するパーティションが知られている(特許文献1)。このパーティションでは、直交した複数のパネルが卓上に立設する支柱に支持されている。一方の者から放出された飛沫はパネルに遮られるため、飛沫が他方の者に直接付着することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、放出された飛沫は空気中(空間)を浮遊するため、浮遊した飛沫が他方の者に付着したり、他方の者が飛沫を含む空気を吸い込んだりする可能性が高かった。上記したパーティションでは、放出され空気中を浮遊する飛沫について十分な対策がなされておらず、空気中における飛沫の拡散を抑制することはできなかった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、空気中における飛沫の拡散を抑制する飛沫収集装置および飛沫収集システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る飛沫収集装置は、ユーザの周囲の空間を仕切る仕切部と、前記仕切部に対して下方または上方若しくは側方に設けられ、前記仕切部の近傍に浮遊する飛沫を含む空気を吸引して前記仕切部に沿わせながら下方または上方若しくは側方に移動させる吸気部と、前記吸気部によって吸引された前記空気を外部に放出する排気部と、を備えている。
【0007】
この場合、前記吸気部によって吸引された前記空気から前記飛沫を除去するフィルタと前記吸気部によって吸引された前記空気に含まれる微生物を死滅させる殺菌装置の少なくとも1つを有する機能部を更に備えてもよい。
【0008】
この場合、前記仕切部は、前記空気を流通させる流路を挟んで互いに対向する一対の仕切板を有し、前記吸気部は、前記流路を陰圧にしてもよい。
【0009】
この場合、前記仕切部は、一対の前記仕切板の側方を閉塞して上下両端面を開口した筒状に形成されてもよい。
【0010】
この場合、前記仕切板には、前記流路に連通する少なくとも1つの貫通穴が穿設されてもよい。
【0011】
この場合、前記仕切部には、少なくとも1つの開口部が設けられており、前記開口部は、一対の前記仕切板に架設され、一対の前記仕切板で仕切られた空間同士を連通させる筒壁と、前記筒壁の最も幅広くなる位置よりも前記空気の流通方向の上流側で、且つ前記筒壁まわりの圧力分布がマイナスになる位置において、前記流路に連通するように前記筒壁に穿設されている少なくとも1つの吸引口と、を有してもよい。
【0012】
この場合、前記仕切板の前記空気の流通方向の下流端は、当接面との間に隙間をあけずに密着してもよい。
【0013】
本発明に係る飛沫収集システムは、上記したいずれかの飛沫収集装置と、隙間を挟んで配置され、一対の前記仕切板を立設させる一対の天板を有する一対のテーブルと、を備え、一対の前記仕切板の上端は、前記ユーザの頭部よりも高い位置に設定され、前記吸気部は、一対の前記テーブルの前記隙間に設置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、空気中における飛沫の拡散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る飛沫収集装置を備えた飛沫収集システムを示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る飛沫収集装置を備えた飛沫収集システムを示す正面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る飛沫収集装置を備えた飛沫収集システムを示す側面図である。
【
図4】本発明の第3実施形態に係る飛沫収集装置を備えた飛沫収集システムを示す斜視図である。
【
図5】本発明の第4実施形態に係る飛沫収集装置を備えた飛沫収集システムを示す斜視図である。
【
図6】本発明の第4実施形態に係る飛沫収集装置の開口部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る飛沫収集システムを示す側面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の第2変形例に係る飛沫収集システムを示す側面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の第3変形例に係る飛沫収集システムを示す正面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態の第4変形例に係る飛沫収集システムを示す正面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態の第5変形例に係る飛沫収集システムを示す正面図である。
【
図12A】本発明の第1実施形態の変形例に係る飛沫収集装置の仕切部を示す斜視図である。
【
図12B】本発明の第3実施形態の変形例に係る飛沫収集装置の仕切部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、本明細書では方向や位置を示す用語は、使用者を基準にした方向や位置としている。
【0017】
[飛沫収集システム]
図1および
図2を参照して、飛沫収集システム1について説明する。
図1は飛沫収集システム1を示す側面図である。
図2は飛沫収集システム1を示す正面図である。
【0018】
飛沫収集システム1は、例えば、コロナウイルス感染症やインフルエンザウイルス感染症等の飛沫感染を予防するための飛沫感染対策として用いられるものである。飛沫収集システム1は、居室内において互いに向かい合って会話をするユーザ9に飛沫91が付着することを防止すると共に、放出された飛沫91が空気中(居室内)に拡散することを抑制する(
図1参照)。
【0019】
図1および
図2に示すように、飛沫収集システム1は、一対のテーブル2と、飛沫収集装置3と、を備えている。
【0020】
[テーブル]
各テーブル2は、複数(例えば4つ)の脚部2Bの上端に固定された天板2Aを有している。一対のテーブル2は、居室の床面7上に載置され、前後方向に隙間(以下、「配置空間S2」ともいう。)を挟んで配置されている。また、一対のテーブル2の前後方向の両側には、ユーザ9が着座する椅子8が配置されている。なお、配置空間S2とは、
図1に示すように、前後方向に対向する一対のテーブル2の天板2A同士および脚部2B同士の間の空間を指す。また、一対のテーブル2の天板2Aの間隔(配置空間S2の前後幅)は、例えば、3~30cm程度であるが、これに限らず、居室の広さや仕切部10の大きさ等に応じて自由に変更してもよい。
【0021】
[第1実施形態:飛沫収集装置]
第1実施形態に係る飛沫収集装置3について説明する。
図1および
図2に示すように、飛沫収集装置3は、仕切部10と、吸気部11と、排気部12と、殺菌装置13と、を備えている。なお、本明細書において、「上流」および「下流」との用語は、空気の流通方向の上流および下流を指している。
【0022】
<仕切部>
仕切部10は、ユーザ9の周囲の空間を仕切るものであって、具体例としては、互いに向かい合うユーザ9同士の間を区画するものである。仕切部10は、空気を流通させる流路S1を挟んで前後方向に互いに対向する一対の仕切板10Aを有している。各仕切板10Aは、例えば、アクリル樹脂等の透光性を有する材料で、四角形の板状に形成されている(
図2参照)。各仕切板10Aの下部の左右両端部には、仕切板10Aを起立姿勢に保持する一対の支持脚10Bが取り付けられている。一対の仕切板10Aは、配置空間S2の近傍において一対の天板2A上に立設されている(
図1参照)。したがって、一対の仕切板10Aの間の流路S1は、一対のテーブル2の間の配置空間S2よりも若干広い間隔とされている。なお、一対の仕切板10Aの間隔(流路S1の前後幅)は、一対のテーブル2の間隔や後述する吸気部11の吸引力等に応じて自由に変更してもよい。
【0023】
各仕切板10Aの下端(下流端)は、天板2A(当接面)との間に隙間をあけずに密着している。一対の仕切板10Aの上端は、ユーザ9の頭部9Aよりも高い位置に設定されている。つまり、各仕切板10Aの高さは、椅子8に着座したユーザ9の頭部9A(頭頂部)よりも高くなるように設定されている(
図1に示す一点鎖線参照)。また、各仕切板10Aには、流路S1に連通する複数の貫通穴14が穿設されている。各貫通穴14は、例えば、直径数ミリから数十ミリ程度の丸穴である。複数の貫通穴14は、例えば、仕切板10Aの中央から放射状に広がるように間隔をあけて形成されている(
図2参照)。
【0024】
なお、仕切部10の左右方向の両側は開放されているため、流路S1は平面から見て閉じた壁面によって囲まれていない。本明細書において「流路S1」とは、必ずしも平面から見て閉じた壁面によって囲まれることを要求するものではなく、空気が仕切板10Aに沿って流通することができる空間を含むものとする。
【0025】
<吸気部>
吸気部11は、仕切部10よりも下方、具体的には、一対のテーブル2の隙間(配置空間S2)に設置されている(
図1参照)。吸気部11は、チャンバ11Aと、吸気ダクト11Bと、吸気装置11Cと、を有している。
【0026】
チャンバ11Aは、仕切部10と左右方向に略同一幅となる中空の箱状に形成されている。チャンバ11Aは、仕切部10の下方に配置され、一対の天板2Aの下面に当接している。吸気ダクト11Bは、下方から上方に向かって広がるテーパー状に形成された管路である。吸気ダクト11Bは、チャンバ11A下端部と吸気装置11Cの上端部とに接続され、チャンバ11Aを介して仕切部10の流路S1に連通している。吸気装置11Cは、例えば、上方から下方に向かう気流を形成する軸流送風機(プロペラファン)を含む吸引装置である。吸気部11の上端部には、吸気ダクト11Bの下流端部が接続される吸気口(図示せず)が形成されている。吸気部11の左下側面には、後述する排気部12の排気ダクト12Aの上流端部が接続される排気口(図示せず)が形成されている。吸気装置11Cの軸流送風機が回転駆動されることで、吸気口から排気口に向かう気流が発生する。
【0027】
<排気部>
図2に示すように、排気部12は、排気ダクト12Aと、排気ファン12Bと、を有している。排気ダクト12Aは、空気を通すための管路であって、床面7上に配設されている。排気ダクト12Aは、吸気装置11Cの排気口と居室の壁(図示せず)とに接続され、居室の外部に連通している。排気ファン12Bは、排気ダクト12Aの下流端部に設けられている。排気ファン12Bは、例えば、吸気部11から外部に向かう気流を形成する軸流送風機(プロペラファン)である。排気部12は、吸気部11によって吸引された空気を(居室の)外部に放出する。
【0028】
なお、吸気装置11Cおよび排気ファン12Bは、軸流送風機であったが、これに限らず、気流を発生させる装置であれば如何なるものでもよく、例えば、シロッコファン等の遠心送風機であってもよい。また、排気ファン12Bが、排気ダクト12Aの下流端部に設けられていたが、これに限らず、排気ダクト12Aの上流側または中間付近に設けられてもよい(図示せず)。また、排気ファン12Bは省略されてもよい(図示せず)。
【0029】
<殺菌装置>
機能部の一例としての殺菌装置13は、いわゆる紫外線殺菌を行う装置である。
図2に示すように、殺菌装置13は、排気ダクト12Aの上流側に介設されている。殺菌装置13は、吸気部11によって吸引されて排気ダクト12A内を流通する空気(飛沫91を含む)に向けて紫外線を照射し、空気(飛沫91)に含まれる微生物を死滅させる。なお、本明細書において「微生物」とは、肉眼で見ることができない、または肉眼で細かいところまで観察できない生物(生物に類するものを含む)であって、具体例としては、細菌やウイルス等を指す意味である。また、「死滅させる」とは、微生物を殺菌または滅菌することに限らず、不活化することも含む意味である。さらに、全ての微生物を死滅させることを要求する意味ではなく、一部の微生物を死滅させることを含む意味である。
【0030】
なお、殺菌装置13は、排気ダクト12Aの上流側に介設されていたが、これに限らず、排気ダクト12Aの下流側や中流部分に介設されてもよい(図示せず)。また、殺菌装置13は、紫外線殺菌に限らず、例えば、オゾンガス、次亜塩素酸水、アルコールまたは熱湯等を使用して殺菌、不活化する構成としてもよい(図示せず)。
【0031】
なお、吸気装置11C、排気ファン12Bおよび殺菌装置13は、電源や制御回路等(図示せず)に電気的に接続され、互いに同期して動作するように制御されている。例えば、ユーザ9は、無線または有線のスイッチ(図示せず)を操作することで吸気装置11C等を動作させたり停止させたりしてもよい。例えば、無線で操作する場合、ユーザ9はスマートフォン(図示せず)にインストールしたアプリケーションソフトを操作し、制御回路等は所定の無線通信規格(赤外線通信、近距離無線通信、無線LAN通信、携帯電話通信等)を利用して吸気装置11C等と情報の送受信を行うとよい。また、他にも、テーブル2、椅子8、仕切部10または居室の壁面や天井等に、仕切部10を挟んで対面したユーザ9を検知する人感センサ(赤外線センサや光学センサ等(図示せず))を設け、制御回路等は人感センサの出力に応じて吸気装置11C等を自動で動作制御してもよい。
【0032】
[飛沫収集システムの作用]
図1および
図2を参照して、飛沫収集システム1(飛沫収集装置3)の作用について説明する。なお、以下の説明では、吸気装置11C、排気ファン12Bおよび殺菌装置13は、動作しているものとする。
【0033】
図1に示すように、例えば、二人のユーザ9が一対のテーブル2の前後方向の両側に配置された椅子8に着座し、仕切部10を挟んで対面した状態で会話を始めると、各ユーザ9の口や鼻から飛沫91が放出される。なお、一方のユーザ9の声は複数の貫通穴14を通して他方のユーザ9に届きやすいため、ユーザ9は互いの声を聞き取りやすくなっている。
【0034】
放出された飛沫91の一部は仕切板10Aに衝突して仕切板10Aの表面に付着するが、仕切板10Aに付着しなかった飛沫91は空気中に拡散して行く。仮に、飛沫91に病原体となる細菌やウイルスが含まれていた場合、この飛沫91を含む空気を吸い込んだユーザ9は病原体に感染する可能性がある。居室の換気が十分でない場合、飛沫91(病原体)は長時間にわたって空気中を漂い、ユーザ9は飛沫91を含む空気に晒され続けることになり、感染のリスクが一層高くなる。
【0035】
そこで、飛沫収集システム1(飛沫収集装置3)では、吸気装置11Cが吸気口から排気口に向かう気流を発生させ、チャンバ11Aおよび吸気ダクト11Bを介して流路S1中の空気を吸い込む。つまり、吸気部11は、流路S1に上方から下方に向かう気流を形成し、流路S1を陰圧にする。仕切部10の周囲に浮遊する飛沫91は、空気と共に一対の仕切板10Aの上方または側方から流路S1に吸い込まれる(
図1参照)。また、飛沫91を含む空気は、各貫通穴14からも流路S1に吸い込まれる。飛沫91を含む空気は、仕切板10A(仕切部10)に沿って下方に流れ、チャンバ11A、吸気ダクト11Bおよび吸気装置11C(吸気口、排気口)を通って排気ダクト12Aへと送り出される(
図2参照)。飛沫91を含む空気は、排気ダクト12A内を上流から下流へと流通し、その流通途中で殺菌装置13によって紫外線殺菌され、その後、居室の外部(外気)に放出される(
図2参照)。
【0036】
以上説明した第1実施形態に係る飛沫収集システム1(飛沫収集装置3)では、吸気部11が仕切板10Aの近傍に浮遊する飛沫91を含む空気を吸引して仕切板10Aに沿わせながら下方に移動させ、排気部12が吸気部11によって吸引された空気を外部に放出する構成とした。この構成によれば、空気中における飛沫91の拡散を抑制することができる。これにより、空気中を浮遊する飛沫91がユーザ9に付着したり、ユーザ9が飛沫91を含む空気を吸い込んだりする可能性を低減することができる。
【0037】
また、第1実施形態に係る飛沫収集装置3によれば、機能部の一例としての殺菌装置13が吸気部11によって吸引された空気に含まれる微生物を死滅させる構成とした。この構成によれば、病原体となる微生物(細菌やウイルス等)を除去したクリーンな空気を外部に排気することができる。これにより、外気中における飛沫91の拡散も抑制することができる。
【0038】
また、第1実施形態に係る飛沫収集装置3によれば、吸気部11は一対の仕切板10Aの間の流路S1を陰圧にすればよいため、一対の仕切板10Aの周囲全体に陰圧を作用させる場合に比べて、小さな吸引力で効率良く飛沫91を含む空気を吸い込むことができる。これにより、吸気部11の駆動に必要なエネルギー(電力)や発生する騒音等を抑制することができる。
【0039】
また、第1実施形態に係る飛沫収集装置3によれば、飛沫91を含む空気を、一対の仕切板10Aの上端および両側端に加えて、各貫通穴14からも流路S1へ取り込むことができる。また、ユーザ9の声は貫通穴14を通して相手に届きやすくなるため、飛沫感染対策をとりながら会話し易い環境を提供することができる。
【0040】
また、第1実施形態に係る飛沫収集システム1では、吸気部11を配置する配置空間S2を挟んで一対のテーブル2が配置され、各々のテーブル2上に仕切板10Aが立設される構成とした。この構成によれば、1つのテーブル2に吸気部11等を設置するために加工を施す必要が無く、既存のテーブル2を流用することができる。これにより、安価かつ簡単に飛沫収集装置3を設置することができる。
【0041】
[他の実施形態]
次に、
図3ないし
図6を参照して、他の実施形態について説明する。
図3は第2実施形態に係る飛沫収集装置4を備えた飛沫収集システム1を示す側面図である。
図4は第3実施形態に係る飛沫収集装置5を備えた飛沫収集システム1を示す斜視図である。
図5は第4実施形態に係る飛沫収集装置6を備えた飛沫収集システム1を示す斜視図である。
図6は第4実施形態に係る飛沫収集装置6の開口部31を拡大して示す斜視図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る飛沫収集装置3と同一または対応する構成には同一の符号を付し、同一または対応する説明は省略する。
【0042】
<第2実施形態>
図3に示すように、第2実施形態に係る飛沫収集装置4では、仕切部10が1つの仕切板10Aを有している。1つの仕切板10Aの下部の左右両側には一対の支持脚10Bが設けられ、各支持脚10Bは一対のテーブル2の天板2Aに架け渡されるとよい。第2実施形態に係る飛沫収集装置4によれば、空気中における飛沫91の拡散を抑制することができる等、上記した第1実施形態に係る飛沫収集装置3と同様の効果を得ることができる。
【0043】
<第3実施形態>
図4に示すように、第3実施形態に係る飛沫収集装置5では、仕切部20が、一対の仕切板10Aの左右方向の両側方を閉塞して上下両端面を開口した筒状に形成されている。具体例としては、仕切部20は、流路S1を挟んで互いに対向する一対の仕切板10Aと、一対の仕切板10Aを連結する一対の側板20Aと、を有した角筒状に形成されている。仕切部20の上端開口21は、ユーザ9の頭部9A(頭頂部)よりも高い位置に形成されている。各仕切板10Aは、テーブル2の天板2A(当接面)との間に隙間をあけずに密着した状態で立設されている。各側板20Aは、一対のテーブル2の天板2Aの間に架設されている。なお、
図5では、各側板20Aには貫通穴14が開口していないが、開口していてもよい(図示せず)。
【0044】
一対の仕切板10Aと一対の側板20Aとで囲まれた空間(角筒状の仕切部20の内部空間)が流路S1とされている。吸気装置11Cが動作すると、飛沫91を含む空気は、主に、仕切部20の上端開口21から流路S1に流入し、流路S1を流れて仕切部20の下端開口(図示せず)から吸気部11(チャンバ11A等)に流入する。そして、飛沫91を含む空気は、排気ダクト12Aを流通する間に紫外線殺菌された後、居室の外部(外気)に放出される。
【0045】
以上説明した第3実施形態に係る飛沫収集装置5によれば、空気中における飛沫91の拡散を抑制することができる等、上記した第1実施形態に係る飛沫収集装置3と同様の効果を得ることができる。また、飛沫収集装置5では、仕切部20が角筒状に形成され、仕切部20の上端面のみに空気の吸い込み口が開口し、各仕切板10Aがテーブル2の天板2A(当接面)に密着していた。この構成によれば、飛沫91を含む空気は主に仕切部20の上端面から流路S1に吸い込まれるため、主たる気流をユーザ9の頭上に形成することができる。これにより、飛沫91を含む空気の流れがユーザ9の頭部9Aの高さ付近に形成され難くなるため、ユーザ9が飛沫91を含む空気に晒される機会(時間や量)を少なくすることができる。
【0046】
なお、第1~第3実施形態に係る飛沫収集装置3~5では、仕切板10Aに複数の貫通穴14が穿設されていたが、貫通穴14は少なくとも1つ穿設されていればよく、貫通穴14の数は自由に変更してもよい。また、各貫通穴14は丸穴でなくてもよいし、複数の貫通穴14の配置も放射状でなくてもよく、貫通穴14の形状や配置は自由に変更してもよい。また、貫通穴14は省略されてもよい(図示せず)。
【0047】
また、第1~第3実施形態に係る飛沫収集装置3~5では、仕切板10Aが支持脚10Bによって起立姿勢に保持されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、支持脚10Bに代えて、テーブル2の天板2Aに溝を形成し、その溝に仕切板10Aの下端部を差し込んで、仕切板10Aを起立姿勢に保持してもよい(図示せず)。
【0048】
<第4実施形態>
図5に示すように、第4実施形態に係る飛沫収集装置6は、第3実施形態に係る飛沫収集装置5の仕切部20と同様に、角筒状に形成された仕切部30を備えている。なお、以下の説明では、第3実施形態に係る飛沫収集装置5と同一または対応する構成には同一の符号を付し、同一または対応する説明は省略する。
【0049】
仕切部30には、複数の貫通穴14に代えて、複数の開口部31が設けられている。各々の開口部31は、筒壁32と、吸引口33と、を有している。なお、複数の開口部31はそれぞれ同一構造であるため、以下の説明では、1つの開口部31について説明する。
【0050】
図6に示すように、筒壁32は、例えば、前後方向の両端を開口させた円筒状に形成され、一対の仕切板10Aに架設されている。筒壁32の前後方向の両端部は、一対の仕切板10Aに固定されている。筒壁32は、一対の仕切板10Aで仕切られた空間同士(前後方向の両外側の空間)を連通させている。吸引口33は、流路S1に連通するように筒壁32に穿設されている。吸引口33は、例えば、筒壁32を径方向に貫通する矩形状の穴である。吸引口33は、筒壁32の最も幅広くなる位置(円の中心を通る水平線と円とが交わる2点)よりも若干上流側(上方)に開口している。吸引口33は、流路S1に空気を流通させた際に筒壁32まわりの圧力分布がマイナスになる位置に開口している。なお、筒壁32は、一対の仕切板10Aと一体成型されてもよいし、一対の仕切板10Aとは別部品で構成され、仕切板10Aに開口した穴に嵌め込まれてもよい。
【0051】
吸気装置11Cが動作すると、飛沫91を含む空気は、仕切部20の上端開口21から流路S1に流入し、筒壁32の表面に沿って下方へと流れて行く。この際、筒壁32まわりの圧力分布は、筒壁32の最も上方に位置する頂点部で最大となり、筒壁32の最も幅広くなる位置よりも若干上側(上流側)で最小(マイナス)となる。この圧力分布が最小となる位置に吸引口33が開口している。このため、筒壁32の内側(内周面で囲まれる空間)が陰圧となり、飛沫91を含む空気は、勢いよく筒壁32の内側に流入し、吸引口33を通って流路S1に吸い込まれる。吸引口33から流路S1に流入した空気は、上端開口21から流入した空気と一体となって吸気部11(チャンバ11A等)に向けて流れる。
【0052】
以上説明した第4実施形態に係る飛沫収集装置6によれば、流路S1を流通する空気によって生じる筒壁32まわりの圧力分布を利用して、より多くの空気(飛沫91を含む。)を流路S1に取り込むことができる。これにより、吸気装置11Cの吸引力を増加させることなく、流路S1における空気の流通量を増加させることができ、空気中に含まれる飛沫91の収集能力を向上させることができる。
【0053】
なお、第4実施形態に係る飛沫収集装置6では、仕切板10Aに複数の開口部31が設けられていたが、開口部31は少なくとも1つ設けられていればよく、開口部31の数は自由に変更してもよい。また、開口部31の配置も自由に変更してもよい。
【0054】
また、第4実施形態に係る飛沫収集装置6では、筒壁32が円筒状(正面から見て円形状)に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、筒壁32は、正面から見て楕円形状または翼断面形状となる筒状に形成されてもよい(図示せず)。また、他にも、筒壁32は、正面から見て、三角形状や四角形等の多角形状となる筒状に形成されてもよい(図示せず)。また、筒壁32の大きさも自由に変更してもよい。
【0055】
また、第4実施形態に係る飛沫収集装置6では、1つの筒壁32に1つの吸引口33が開口していたが、これに限らず、1つの筒壁32に2つ以上の吸引口33が開口していてもよい(図示せず)。例えば、筒壁32を正面から見て左右対称となる位置に2つの吸引口33が開口してもよいし、複数の吸引口33が筒壁32の軸方向(前後方向)に並んで開口してもよい(図示せず)。また、吸引口33は、矩形状の穴に限らず、例えば、丸穴であってもよい(図示せず)。また、吸引口33の大きさも自由に変更してもよい。
【0056】
また、第3および第4実施形態に係る飛沫収集装置5,6では、仕切部20,30の側板20Aが平板状に形成されていたが、これに限らず、側板20Aは略半円筒状に湾曲した面を構成してもよい(図示せず)。つまり、仕切部20,30は平面から見て略楕円形状に形成されてもよい。
【0057】
[各種の変形例]
なお、第1~第4実施形態に係る飛沫収集システム1では、一対のテーブル2の間の配置空間S2に吸気部11を配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、1つのテーブル2のみを用いてもよい(第1変形例)。この場合、天板2Aに連通口15が穿設され、一対の仕切板10Aが連通口15を挟んで対向し、天板2A上に立設されてもよい。また、この場合、配置空間S2とは連通口15の直下の空間を指しており、吸気部11のチャンバ11Aが連通口15の直下近傍に配置されるとよい(または連通口15に接続されてもよい(図示せず))。なお、第2実施形態に係る飛沫収集装置4において、1つの仕切板10Aが1つのテーブル2に設置される場合、テーブル2には、仕切板10Aを挟んで両側に一対の連通口15が穿設されるとよい(図示せず)。この場合、1つの仕切板10Aの下端は、テーブル2の天板2Aに密着してもよいし離間してもよい(図示せず)。また、第3および第4実施形態に係る飛沫収集装置5,6の仕切部20,30が1つのテーブル2に設置される場合、仕切部20,30の各仕切板10Aおよび各側板20Aが天板2Aとの間に隙間をあけずに密着するとよい(図示せず)。
【0058】
また、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~5では、吸気部11が仕切部10よりも下方に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、仕切部10がテーブル2の天板2Aから天井7U(または天井7Uの近傍)まで延設され、天井7Uに連通口15が穿設され、吸気部11、排気部12および殺菌装置13が仕切部10よりも上方となる天井裏(吸引口付近)に配置されてもよい(第2変形例)。飛沫91を含む空気は、一対の仕切板10Aの側方や各貫通穴14から流路S1に取り込まれ、仕切板10Aに沿って上方に移動する。また、
図9に示すように、吸気部11が仕切部10の左方(右方でもよい。)に設けられてもよい(第3変形例)。この場合、吸気部11はテーブル2上に配置されるとよい(
図9ではチャンバ11Aは省略されている。)。飛沫91を含む空気は、一対の仕切板10Aの上方および側方、各貫通穴14から流路S1に取り込まれ、仕切板10Aに沿って左方に移動する。なお、第2および第3変形例の場合、仕切板10Aの下端は天板2Aから離れていてよいし、一対のテーブル2は隙間をあけずに配置されてもよい(図示せず)。また、仕切部10を1つのテーブル2に設置する場合、テーブル2の連通口15は不要である。なお、
図8および
図9では、第1実施形態に係る飛沫収集装置3に、吸気部11が仕切部10よりも上方または左方に配置される各変形例を適用していたが、これに限らず、第2~第4実施形態に係る飛沫収集装置4~6に適用してもよい(以降説明する他の変形例についても同じ)。
【0059】
また、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~6では、機能部の一例としての殺菌装置13が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。機能部の他の例として、
図10に示すように、殺菌装置13に代えて、吸気部11によって吸引された空気から飛沫91(微生物や塵埃等)を除去するフィルタ16が設けられてもよい(第4変形例)。この場合、フィルタ16は、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタやULPA(Ultra Low Penetration Air)フィルタ等であることが好ましい。また、殺菌装置13とフィルタ16の両方が設けられ、フィルタ16によって殺菌装置13を通過した空気から塵埃等を除去するようにしてもよい(図示せず)。なお、殺菌装置13を併用するのであれば、フィルタ16は不織布等の安価なものでもよい。
【0060】
また、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~6では、仕切板10Aがテーブル2の天板2Aとの間に隙間をあけずに密着していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図11に示すように、仕切部10の下部に設けた支持脚10Bが、仕切板10Aの下端を天板2Aから離間させた状態に保持してもよい(第5変形例)。
【0061】
なお、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~6(各種変形例を含む。以下同じ。)では、吸気部11のチャンバ11Aが天板2Aの下面(または天井7Uの上面)に当接していたが、これに限らず、仕切部10,20,30の下端部(または上端部)に当接または接続されてもよい(図示せず)。また、チャンバ11Aが省略され、吸気ダクト11Bが天板2A(天井7U)または仕切部10,20,30に当接していてもよい(図示せず)。また、チャンバ11Aおよび吸気ダクト11Bが省略され、吸気装置11Cの吸気口が天板2A(天井7U)または仕切部10,20,30に当接していてもよい(図示せず)。また、吸気部11の吸気ダクト11Bが上流に向かって広がるテーパー形状であったが、これに限らず、例えば、吸気ダクト11Bと同様に、上流から下流にかけて同径となる管路であってもよい(図示せず)。
【0062】
また、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~6では、殺菌装置13やフィルタ16が、排気ダクト12Aに介設されていたが、これに限らず、これらは吸気部11の内部に組み込まれていてもよい(図示せず)。また、殺菌装置13やフィルタ16は省略されてもよい(図示せず)。
【0063】
また、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~6では、吸気部11や排気ダクト12Aを含む排気部12等が床面7上に配設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、居室が二重床である場合、吸気部11、排気部12(排気ダクト12A、排気ファン12B)および殺菌装置13は、床下に配置されてもよい(図示せず)。
【0064】
また、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~6では、仕切部10が当接面の一例としてのテーブル2の天板2A上(または天井7U)に設置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、仕切部10は、当接面の他の例としての居室の床面7上に設置されてもよい(図示せず)。この場合、例えば、吸気部11、排気部12および殺菌装置13等は、床面7上に設置されてもよいし、床下または天井7U(天井裏)に設置されてもよい(図示せず)。
【0065】
また、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~6では、仕切板10Aが四角形の板状に形成されていたが、仕切板10Aの形状は自由に変更してもよく、例えば、四角形以外の多角形状であってもよいし、半円形状や円形状(楕円形状)であってもよい(図示せず)。また、仕切部10,20,30(仕切板10A等)が、透光性を有する材料で形成されていたが、例えば、仕切部10,20,30をオフィスのパーティションとして用いる場合、仕切部10,20,30は透光性の無い(不透明な)材料で形成されてもよい。
【0066】
また、第1、第3および第4実施形態に係る飛沫収集装置3,5,6では、仕切部10,20,30の上端が開放されて主要な空気の吸い込み口とされていたが、
図12Aおよび
図12Bに示すように、仕切板10Aが上下二分割されており、仕切板10Aの下部が、第2の吸い込み口34を挟んで仕切板10Aの上部よりも外側にオフセットされていてもよい。上下二分割された仕切板10Aは、連結部35や側板20Aによって連結されるとよい。この構成によれば、仕切板10Aの上部の外面に沿って流れる空気を、第2の吸い込み口34から流路S1に取り込むことができる。なお、仕切板10Aの上部と下部とは、オーバーラップしていることが好ましい。
【0067】
また、第1~第4実施形態に係る飛沫収集装置3~6の仕切部10,20,30は、互いに向かい合うユーザ9同士を区画するだけでなく、隣り合うユーザ9同士を区画したり、一人のユーザ9の周囲の空間を区画したりすることができる。
【0068】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る飛沫収集装置および飛沫収集システムにおける一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0069】
1 飛沫収集システム
2 テーブル
2A 天板(当接面)
3,4,5,6 飛沫収集装置
10,20,30 仕切部
10A 仕切板
11 吸気部
12 排気部
13 殺菌装置(機能部)
14 貫通穴
16 フィルタ(機能部)
31 開口部
32 筒壁
33 吸引口
S1 流路
S2 配置空間