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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071295
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】消火監視システム
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/16 20060101AFI20230516BHJP
   A62C 35/10 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
A62C3/16 A
A62C35/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021183964
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】古橋 幸子
(72)【発明者】
【氏名】大森 修一
(72)【発明者】
【氏名】樺澤 光
(72)【発明者】
【氏名】片山 正幸
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 亮平
(72)【発明者】
【氏名】山西 洋平
(72)【発明者】
【氏名】堀川 豊
(72)【発明者】
【氏名】日向野 明
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕介
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189BB01
2E189BC03
(57)【要約】
【課題】ケーブルトレイに設置された消火装置の消火剤の状態を監視する負担を軽減することができる消火監視システムを提供する。
【解決手段】加圧された消火剤が封入され、加熱により外皮が溶融して前記消火剤を放出する容器と、前記消火剤の放出を検出するセンサとを有する消火チューブと、ケーブル類が敷設され、前記ケーブル類の敷設方向に沿って複数の前記消火チューブが設置されるケーブルトレイと、前記ケーブルトレイにおいて前記ケーブル類及び複数の前記消火チューブを覆う耐熱シートと、複数の前記センサの検出値の変化に基づいて前記消火チューブに生じる異状を報知する監視装置と、を備える消火監視システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された消火剤が封入され、加熱により外皮が溶融して前記消火剤を放出する容器と、前記消火剤の放出を検出するセンサとを有する消火チューブと、
ケーブル類が敷設され、前記ケーブル類の敷設方向に沿って複数の前記消火チューブが設置されるケーブルトレイと、
前記ケーブルトレイにおいて前記ケーブル類及び複数の前記消火チューブを覆う耐熱シートと、
複数の前記センサの検出値の変化に基づいて前記消火チューブに生じる異状を報知する監視装置と、を備える、消火監視システム。
【請求項2】
前記センサは前記容器内の圧力の変化に基づいてオン状態又はオフ状態を切替えるように構成され、
複数の前記センサを直列に接続するループ回路を備え、
前記監視装置は、前記ループ回路に所定のタイミングにおいて検出信号を送信し、前記検出信号の受信の有無に基づいて少なくとも1つの前記消火チューブに生じる異状を検出し警報を発生させる、
請求項1に記載の消火監視システム。
【請求項3】
前記センサは、前記消火剤の放出に基づいてオフ状態に変化し、
前記ループ回路は、少なくとも1つの前記センサのオフ状態に基づいて回路が開状態に変化し、
前記監視装置は、前記開状態に基づいて前記検出信号が受信できない場合に少なくとも1つの前記消火チューブに生じる異状を検出する、
請求項2に記載の消火監視システム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記ループ回路が前記開状態である場合に、前記ループ回路に接続された第1電極と第2電極のうちの少なくとも1つから前記検出信号を送信し、前記検出信号の反射信号を受信し、前記検出信号の送信時刻と前記反射信号の受信時刻とに基づいて前記センサがオフ状態である前記消火チューブの設置位置を算出する、
請求項3に記載の消火監視システム。
【請求項5】
所定数の前記消火チューブが設置された領域毎に設けられ、前記ケーブルトレイの状態を撮像する複数の撮像部を備え、
前記監視装置は、前記設置位置が含まれる前記領域を撮像する前記撮像部が撮像した画像を表示する、
請求項4に記載の消火監視システム。
【請求項6】
前記消火チューブは、前記容器内の圧力の変化に基づいて変化するインジケータを備え、
前記インジケータは、前記消火チューブに生じる異状を作業者の目視に基づいて検出可能な位置において前記耐熱シートから露出して設置されている、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の消火監視システム。
【請求項7】
前記消火チューブは、前記ケーブルトレイに固定部材を介して固定され、
前記センサ及び前記インジケータ側を固定する前記固定部材は、前記ケーブルトレイから前記消火チューブに伝達される熱を抑制するように構成されている、
請求項6に記載の消火監視システム。
【請求項8】
前記センサは、発熱が生じた際の誤作動を防止可能に前記耐熱シートから露出して設置されている、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の消火監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火剤の状態を監視する消火監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブル又は電線を含むケーブル類が敷設されたケーブルトレイにおいて、ケーブル類の発熱箇所に消火剤を噴射する消火装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-89156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発電所等の施設においてケーブルトレイは、例えば、数kmに及んで設置される。特許文献1に記載された消火装置をケーブルトレイに設置する場合、ケーブル類の敷設方向に沿って数千個に及ぶ膨大な数の消火装置が必要である。特許文献1に記載された消火装置の消火剤の状態が正常であるか否かを作業者の目視に基づいて監視する場合、作業者の負担が増加する虞がある。
【0005】
本発明は、ケーブルトレイに設置された消火装置の消火剤の状態を監視する負担を軽減することができる消火監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、加圧された消火剤が封入され、加熱により外皮が溶融して前記消火剤を放出する容器と、前記消火剤の放出を検出するセンサとを有する消火チューブと、ケーブル類が敷設され、前記ケーブル類の敷設方向に沿って複数の前記消火チューブが設置されるケーブルトレイと、前記ケーブルトレイにおいて前記ケーブル類及び複数の前記消火チューブを覆う耐熱シートと、複数の前記センサの検出値の変化に基づいて前記消火チューブに生じる異状を報知する監視装置と、を備える消火監視システムである。
【0007】
本発明によれば、自動的に消火剤を放出する消火チューブが設けられたケーブルトレイにおいて、消火チューブに生じる異状をリアルタイムに監視し、消火チューブに生じる異状を検出すると共に、報知することができ、作業者の監視における負担を軽減することができる。
【0008】
また、本発明の前記センサは前記容器内の圧力の変化に基づいてオン状態又はオフ状態を切替えるように構成され、複数の前記センサを直列に接続するループ回路を備え、前記監視装置は、前記ループ回路に所定のタイミングにおいて検出信号を送信し、前記検出信号の受信の有無に基づいて少なくとも1つの前記消火チューブに生じる異状を検出し警報を発生させてもよい。
【0009】
本発明によれば、ループ回路が設けられていることにより、センサのオン状態又はオフ状態を検出することで、個別のセンサごとに監視する方法に比べ配線長を低減し、装置構成を簡略化することができる。
【0010】
また、本発明の前記センサは、前記消火剤の放出に基づいてオフ状態に変化し、前記ループ回路は、少なくとも1つの前記センサのオフ状態に基づいて回路が開状態に変化し、前記監視装置は、前記開状態に基づいて前記検出信号が受信できない場合に少なくとも1つの前記消火チューブに生じる異状を検出してもよい。
【0011】
本発明によれば、ループ回路に基づいてセンサのオフ状態を検出することができ、装置構成を簡略化することができる。
【0012】
また、本発明の前記監視装置は、前記ループ回路が前記開状態である場合に、前記ループ回路に接続された第1電極と第2電極のうちの少なくとも1つから前記検出信号を送信し、前記検出信号の反射信号を受信し、前記検出信号の送信時刻と前記反射信号の受信時刻とに基づいて前記センサがオフ状態である前記消火チューブの設置位置を算出してもよい。
【0013】
本発明によれば、ループ回路が開状態であっても、検出信号の反射信号を受信することにより、異状が発生した消火チューブの位置を推定することができ、作業者の監視負担を軽減することができる。
【0014】
また、本発明は、所定数の前記消火チューブが設置された領域毎に設けられ、前記ケーブルトレイの状態を撮像する複数の撮像部を備え、前記監視装置は、前記設置位置が含まれる前記領域を撮像する前記撮像部が撮像した画像を表示してもよい。
【0015】
本発明によれば、異状が発生した消火チューブの位置を含む領域を撮像部により撮像し、リアルタイムにケーブルトレイの状態を監視することができる。
【0016】
また、本発明の前記消火チューブは、前記容器内の圧力の変化に基づいて変化するインジケータを備え、前記インジケータは、前記消火チューブに生じる異状を作業者の目視に基づいて検出可能な位置において前記耐熱シートから露出して設置されていてもよい。
【0017】
本発明によれば、インジケータは、ケーブルトレイにおいて耐熱シートの外に露出して設置されていることにより、作業者は、目視に基づいて消火チューブの異状を発見することができる。
【0018】
また、前記消火チューブは、前記ケーブルトレイに固定部材を介して固定され、前記センサ及び前記インジケータ側を固定する前記固定部材は、前記ケーブルトレイから前記消火チューブに伝達される熱を抑制するように構成されていてもよい。
【0019】
本発明によれば、ケーブル類に発熱が生じた際に、ケーブルトレイから消火チューブに伝達される熱を抑制することでセンサ及びインジケータの故障を低減することができる。
【0020】
また、本発明の前記センサは、発熱が生じた際の誤作動を防止可能に前記耐熱シートから露出して設置されていてもよい。
【0021】
本発明によれば、センサが耐熱シートから露出して配置されていることにより、耐熱シートの内部のケーブル類の収容空間内における温度上昇の影響によりセンサが故障することを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ケーブルトレイに設置された消火装置の消火剤の状態を監視する負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】消火監視システムの監視対象であるケーブルトレイの構成を概略的に示す平面図である。
図2】ケーブルトレイの側面図である。
図3】インジケータの構成の一例を示す図である。
図4】消火監視システムの構成を示すブロック図である。
図5】異状箇所を検知した状態の消火監視システムの構成を示すブロック図である。
図6】表示部に表示される報知画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る消火監視システムについて説明する。
【0025】
図1及び図2に示されるように、消火監視システム1は、現場における監視対象であるケーブルトレイCと、ケーブルトレイCの異状を検出する監視装置10とを備える。ケーブルトレイCは、例えば、原子力発電所等の電力設備において複数の電力線や複数の通信線等のケーブル類Kを架設する支持構造である。ケーブルトレイCは、例えば、板状の金属材料により形成されている。ケーブルトレイCは、例えば、対向して配置された一対の側板C1,C2を備える。側板C1,C2は、矩形の短冊状に形成されている。側板C1,C2の長手方向は、ケーブル類Kの敷設方向(x軸方向)に沿うように配置されている。側板C1,C2の短手方向は、鉛直方向(z軸方向)に沿うように起立して配置されている。
【0026】
一対の側板C1,C2の底部同士は、複数の横桁C3により連結されている。横桁C3は、矩形の板状に形成されている。横桁C3の長手方向は、側板C1,C2の長手方向と直交方向(y軸方向)に沿って配置されている。横桁C3の短手方向は、ケーブル類Kの敷設方向(x軸方向)に沿うように配置されている。これにより、複数の横桁C3の上面は、ケーブル類Kの載置面となり、ケーブル類Kが載置される。ケーブル類Kの上方には、ケーブル類Kの敷設方向に沿って複数の消火チューブFが設置される。隣接する消火チューブFの間隔は、例えば、-20cm~+20cmである。隣接する消火チューブFは、例えば、一部が重なって配置されている。隣接する消火チューブFの間隔や配置方法は、例示した限りでなく、消火チューブFの種類、設置されるケーブルトレイCの種類に応じて適宜変更されてもよい。消火チューブFは、例えば、管状に形成された容器F1を備える。容器F1内には消火剤を収容する収容空間を有する。容器F1は、例えば、樹脂材料により形成されている。
【0027】
容器F1の一端部には、消火剤の放出を検出するセンサF2が設けられ、開口を閉塞している。センサF2は、例えば、容器F1内の収容空間の圧力を検出する圧力センサである。容器F1の他端部には、容器内の圧力の変化に基づいて表示内容が変化するインジケータF3(図3参照)が設けられ、開口を閉塞している。インジケータF3は、例えば、容器F1内の圧力レベルをメータ表示する。容器F1内の収容空間には、加圧された消火剤が封入されている。容器F1の外側が加熱されると、外皮が溶融し、収容空間の内圧に基づいて溶融箇所から消火剤が放出される。
【0028】
消火チューブFは、例えば、U状に折り曲げられて配置されている。消火チューブFにおいて、U状部の折れ曲がり側は、例えば、側板C1の内壁面C1Aに一対の固定部材B1を介して固定されている。固定部材B1は、例えば、金属材料により形成されている。固定部材B1は、ケーブル類Kに発熱が生じた際に、側板C1の熱を容器F1に伝導し、容器F1が溶融し易くなるように形成されている。消火チューブFの一端側及び他端側は、側板C2の頂部に載置されている。センサF2及びインジケータF3は、側板C2から外方に突出するように配置されている。
【0029】
センサF2及びインジケータF3は、側板C2の上面C2Bにおいて固定部材B2により固定されている。センサF2及びインジケータF3側を固定する固定部材B2は、例えば、樹脂材料により形成されている。固定部材B2は、ケーブル類Kに発熱が生じた際に、側板C2の熱をセンサF2及びインジケータF3に伝導し難くなるように形成されている。固定部材B2は、金属材料により形成されていてもよく、その場合、容器F1との間に断熱材料を介して容器F1を固定し、側板C2の熱をセンサF2及びインジケータF3に伝導し難くなるようにしてもよい。即ち、固定部材B2は、ケーブルトレイCから消火チューブFに伝達される熱を抑制するように構成されている。これにより、ケーブル類Kに発熱が生じた際に、ケーブルトレイCから消火チューブFに伝達される熱を抑制し、センサF2及びインジケータF3の故障を低減することができる。
【0030】
ケーブルトレイCの周囲は、耐熱シートTにより覆われている。耐熱シートTは、防炎素材の膜材により形成されている。ケーブルトレイCは、耐熱シートTにより巻回されることにより、ケーブル類Kの収容空間が形成される。耐熱シートTは、例えば、センサF2及びインジケータF3の位置において切れ目T1が設けられ、切れ目T1からセンサF2及びインジケータF3を収容空間外の外部空間に突出させる。即ち、センサF2は、発熱が生じた際の収容空間内の熱に曝されないように、誤作動を防止可能に耐熱シートTから露出して設置されている。インジケータF3は、消火チューブFの動作を作業者の目視に基づいて検出可能な位置において耐熱シートTから露出して設置されている。
【0031】
複数のセンサF2には、複数のセンサF2検出値の変化に基づいて消火チューブの動作を報知する監視装置10が電気的に接続されている。ケーブルトレイCは、数kmに及び、複数のセンサF2は、例えば、数千個程度設けられるため、各センサF2の検出値を個別に検出しようとすると、配線が膨大となる。そのため、複数のセンサF2は、直列に接続され、ループ回路Rが形成されている。複数のセンサF2は、ループ回路Rを介して監視装置10に電気的に接続されている。ループ回路Rは、例えば、第1電極R1及び第2電極R2を有し、監視装置10に接続されている。
【0032】
図4に示されるように、消火監視システム1は、n個の現場n(nは自然数)のケーブルトレイCを監視装置10により監視してもよい。現場nは、異なる場所だけでなく、ケーブルトレイCのユニット毎に設定されてもよい。ループ回路Rにおいて、各センサF2は容器内の圧力の変化に基づいてオン状態又はオフ状態を切替えるように構成されている。監視装置10は、例えば、ループ回路Rに所定のタイミングにおいて検出信号を送信し、検出信号の受信の有無に基づいて少なくとも1つの消火チューブFの動作を検出し警報を発生させる。消火監視システム1は、ケーブルトレイの状態を撮像する複数の撮像部20を備えていてもよい。撮像部20は、例えば、所定数の消火チューブFが設置された領域毎に設けられている。監視装置10は、設置位置が含まれる領域を撮像する撮像部20が撮像した画像を表示する。
【0033】
監視装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理端末装置により構成されている。監視装置10は、例えば、ループ回路Rの断線を検出する検出部11を備えている。検出部11は、例えば、検出信号を生成し、ループ回路Rに送信する。検出部11は、ループ回路Rから帰還する検出信号を受信する。検出信号は、例えば、所定周波数を有するパルス信号に形成される。検出部11は、例えば、バンドパスフィルタを有し、ケーブル類Kの影響によりループ回路Rに生じる誘導電流に基づく様々な周波数成分を有するノイズを除去し、検出信号を受信する。検出部11は、演算部12に受信した検出信号を出力する。演算部12は、検出部11を制御し、検出信号を生成すると共に、受信した検出信号に基づいて、ループ回路Rの断線を判定する。
【0034】
図5に示されるように、センサF2が消火剤の放出に基づいてオフ状態に変化するように形成されている場合、ループ回路Rは、少なくとも1つのセンサF2のオフ状態に基づいて回路が開状態に変化する。この他、センサF2の誤作動、消火チューブFの劣化に基づくチューブ内の圧力低下等の異状が発生した場合にも、センサF2のオフ状態が検出される。演算部12は、ループ回路Rの開状態に基づいて検出信号が受信できない場合に、少なくとも1つの消火チューブの動作やセンサF2の誤作動等の異状を検出し、ケーブル類Kに発熱やセンサF2の異状が生じていると判定する。
【0035】
演算部12は、ループ回路Rが開状態である場合に、オフ状態であるセンサF2の位置を推定する。演算部12は、記憶部14に記憶された所定の位置推定プログラムを実行する。演算部12は、例えば、ループ回路Rが開状態である場合に、ループ回路Rに接続された第1電極R1と第2電極R2のうちの少なくとも1つから検出信号を送信する。検出信号は、ループ回路Rにおいて、オフ状態のセンサF2の位置において反射し、反射信号となって逆流する。演算部12は、検出信号の反射信号を受信し、検出信号の送信時刻と反射信号の受信時刻とに基づいてオフ状態であるセンサF2の距離を算出し、算出結果に基づいてオフ状態であるセンサF2の位置、即ち、消火チューブFの位置を推定する。
【0036】
演算部12は、異状が発生した消火チューブFが含まれる現場m(mはn以下の自然数)を特定し、現場mにおいて、消火チューブFの位置を含む領域を撮像する撮像部20にケーブルトレイCを撮像させる。演算部12は、異状が発生した旨を示す報知画像を表示部13に表示させる。また、演算部12は、撮像部20が撮像した画像を表示部13に表示させる。作業者は、表示部13に表示された報知画像と撮像部20が撮像した画像を比較し、ケーブルトレイCの周囲状況の変化を監視し、発熱に基づいて消火チューブFが動作したか否か、或いは、センサF2の誤作動などの原因に基づく異状か否かを判定することができる。
【0037】
図6に示されるように、表示部13には、センサF2の異状を報知する報知画像Hが表示される。報知画像Hには、例えばセンサF2の異状を報知するメッセージH1と、センサF2の位置を撮像する撮像部20の撮像画像H2とが表示される。表示部13は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置により構成されている。演算部12は、現場において監視作業する作業者が有するスマートフォン、タブレット型端末等の携帯端末装置に報知画像Hを送信してもよい。
【0038】
作業者は、携帯端末装置に表示された報知画像Hに基づいて、現場の異状箇所に赴き、ケーブルトレイCの異状があるか否かを確認する。作業者は、ケーブルトレイCから露出したインジケータF3の表示を確認する。作業者は、異状を確認した場合には、該当箇所の耐熱シートTを剥がし、ケーブル類Kの状態を確認する。作業者はケーブル類Kの状態に基づいて、ケーブル類Kの交換、修理を検討する。作業者は、消火チューブFが動作していた場合には、消火チューブFを交換する。作業者は、現状復帰した後、耐熱シートTによりケーブルトレイCを被覆する。作業者は、ケーブルトレイCや消火チューブFに外観上の異状が無く、センサF2の誤動作を発見した場合、消火チューブFを交換する。
【0039】
上述したように、消火監視システム1によれば、ケーブルトレイCにおいて発生した消火チューブFの動作や故障等の異状を自動的に検出することができる。消火監視システム1によれば、ループ回路Rが設けられていることにより、複数のセンサF2に接続される配線を低減し装置構成を簡略化することができる。消火監視システム1によれば、ループ回路Rが開状態である場合、ループ回路Rに検出信号を入力し、反射信号の検出に基づいて異状であるセンサF2の位置を推定することができる。消火監視システム1によれば、異状であるセンサF2の位置を撮像部20により撮像し撮像画像を表示することができる。消火監視システム1によれば、異状が生じた消火チューブFの位置が自動的に推定されることで、作業者の目視に基づく長距離のケーブルトレイCの監視負担を軽減することができる。
【0040】
上述した演算部12は、例えば、CPUなどのプロセッサが、記憶部14に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。演算部12における演算処理の各工程は、監視装置10にインストールされたプログラムを実行することにより処理される。また、これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されていてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば、消火監視システム1は、センサF2のオフ状態を検出することを例示したが、これに限らず、センサF2のオン状態を検出するように構成されていてもよい。インジケータF3は、メータ表示を例示したが、これに限らず、LED等の発光体を発光させて異状を表示してもよい。演算部12は、撮像部20が撮像した撮像画像内のインジケータF3の画像の変化に基づいて異状を検知するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 消火監視システム
10 監視装置
11 検出部
12 演算部
13 表示部
14 記憶部
20 撮像部
B1、B2 固定部材
C ケーブルトレイ
F 消火チューブ
F1 容器
F2 センサ
F3 インジケータ
H 報知画像
H1 メッセージ
H2 撮像画像
K ケーブル類
R ループ回路
R1 第1電極
R2 第2電極
T 耐熱シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6