(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007131
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】農作物収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 17/00 20060101AFI20230111BHJP
A01D 33/08 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A01D17/00
A01D33/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110182
(22)【出願日】2021-07-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平野晴夫氏所有の圃場(圃場での公開) 令和3年4月23日 酒井勝規氏所有の圃場(圃場での公開) 令和3年4月30日 酒井勝規氏所有の圃場(圃場での公開) 令和3年5月3日 町田勇治氏所有の圃場(圃場での公開) 令和3年5月8日 松尾宗樹氏所有の圃場(圃場での公開) 令和3年5月25日 荒木俊一氏所有の圃場(圃場での公開) 令和3年5月28日 宮崎務氏所有の圃場(圃場での公開) 令和3年6月2日 林田康一氏所有の圃場(圃場での公開) 令和3年6月29日
(71)【出願人】
【識別番号】512311166
【氏名又は名称】株式会社フジシタ
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】藤下 實一
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072BA27
2B072CA03
2B072CA15
2B072CB01
2B072CB07
2B072CB09
2B072EA07
2B072EA10
2B072EA18
2B072FA01
2B072GA03
2B072GA14
2B072GA16
(57)【要約】
【課題】作業者の作業負担の軽減と作業効率の向上を図ることができる農作物収穫機を提供することを目的とする。
【解決手段】畝UNに沿って走行する走行体11と、走行体11が畝UNに沿って走行することで畝UN中から掘り起こされた農作物NSを土塊TKとともに地上に搬出する搬出コンベア12、搬出コンベア12によって搬出された農作物NSを傾斜面13Mで受け取って転がらせるシュータ13、傾斜面13Mとの間に隙間SKを空けた状態で設けられた選別器15を備える。選別器15は、傾斜面13Mを転がる農作物NSを案内面15Mで案内してシュータ13の側方から落下させる一方、傾斜面13Mを転がる土塊TKを傾斜面13Mとの間の隙間SKを通してシュータ13から落下させることで農作物NSを土塊TKから選り分ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝に沿って走行する走行体と、
前記走行体が畝にそって走行することで畝中から掘り起こされた農作物を土塊とともに地上に搬出する搬出コンベアと、
前記搬出コンベアによって搬出された農作物を傾斜面で受け取って転がらせるシュータと、
前記傾斜面との間に隙間を空けた状態で設けられ、前記傾斜面を転がる農作物を案内面で案内して前記シュータの側方から落下させる一方、前記傾斜面を転がる土塊を前記傾斜面との間の前記隙間を通して前記シュータの下端から落下させることで農作物を土塊から選り分ける選別手段と、
を備えた農作物収穫機。
【請求項2】
畝に沿って走行する走行体と、
前記走行体が畝に沿って走行することで畝中から掘り起こされた農作物を土塊とともに地上に搬出する搬出コンベアと、
前記搬出コンベアによって搬出された農作物を傾斜面で受け取って転がらせるシュータと、
前記搬出コンベアによって搬出された土塊をシート状部材で受け取って捕捉し、前記農作物が前記傾斜面を転がる方向とは反対の方向に搬送する土塊搬送手段と、
を備えた農作物収穫機。
【請求項3】
前記傾斜面を横断する位置に架設され、前記傾斜面を転がる農作物には押し下げられてその農作物の通過を許容し、前記傾斜面を転がる土塊が衝突した場合にはその土塊を破砕する土塊破砕手段を備えた、請求項1または2に記載の農作物収穫機。
【請求項4】
前記シュータから落下した農作物を収容する収容容器が設置される収容容器設置部を前記走行体に備えた、請求項1~3のいずれかに記載の農作物収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行体が走行することによって畝中から掘り起こされた農作物をコンベアにより地上に搬出して農作物を収穫する農作物収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物収穫機として、畝に沿って走行体を走行させながら畝中の農作物を掘り起こし、その掘り起こした農作物をコンベアによって地上に搬出するタイプのものが知られている。このようなタイプの農作物収穫機では、走行体に複数の作業者が走行体に同乗して農作物収穫機と一緒に移動しつつ、コンベアによって地上に搬出された農作物を土塊から選り分けるようになっている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、農作物を土塊から選り分ける選別作業は俊敏さが必要であって作業者の作業負担が大きいうえ、複数の作業者によって作業を行う必要があるために作業効率が良くないという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、作業者の作業負担の軽減と作業効率の向上を図ることができる農作物収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の農作物収穫機は、畝に沿って走行する走行体と、前記走行体が畝にそって走行することで畝中から掘り起こされた農作物を土塊とともに地上に搬出する搬出コンベアと、前記搬出コンベアによって搬出された農作物を傾斜面で受け取って転がらせるシュータと、前記傾斜面との間に隙間を空けた状態で設けられ、前記傾斜面を転がる農作物を案内面で案内して前記シュータの側方から落下させる一方、前記傾斜面を転がる土塊を前記傾斜面との間の前記隙間を通して前記シュータの下端から落下させることで農作物を土塊から選り分ける選別手段と、を備えた。
【0007】
また、もうひとつの本発明の農作物収穫機は、畝に沿って走行する走行体と、前記走行体が畝に沿って走行することで畝中から掘り起こされた農作物を土塊とともに地上に搬出する搬出コンベアと、前記搬出コンベアによって搬出された農作物を傾斜面で受け取って転がらせるシュータと、前記搬出コンベアによって搬出された土塊をシート状部材で受け取って捕捉し、前記農作物が前記傾斜面を転がる方向とは反対の方向に搬送する土塊搬送手段と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者の作業負担の軽減と作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態における農作物収穫機の側面図
【
図2】本発明の一実施の形態における農作物収穫機の平面図
【
図3】本発明の一実施の形態における農作物収穫機が備える選別器、シュータおよび土塊搬送部の斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態における農作物収穫機が備える選別器、シュータおよび土塊搬送部の側面図
【
図5】本発明の一実施の形態における農作物収穫機が備える選別器および土塊搬送部の作用を説明する図
【
図6】本発明の一実施の形態の変形例における選別器をシュータおよび土塊搬送部とともに示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1および
図2は本発明の一実施の形態における農作物収穫機1を示している。農作物収穫機1は、畝UNに沿って走行することで畝UN内の農作物(例えば馬鈴薯)を掘り起こす構成を有しており、走行体11、搬出コンベア12、シュータ13、土塊搬送部14、選別器15、ワイヤ状部材16および収容容器17を備えている。
【0011】
走行体11は左右のクローラ11Cを備えており、走行体11は、土壌に形成された畝UNを左右のクローラ11Cによって跨いだ状態で、不整地である土壌の上を、畝UNに沿って走行(自走)することが可能である。走行体11は、
図1および
図2に示すように、前方に張り出して設けられた左右の高さ調整輪11Hを備えており、走行体11の後部の左右には、収容容器設置部11Sを備えている。左右の高さ調整輪11Hは走行体11に対する車軸の位置(クローラ11Cの接地面からの高さ)を変更することができ、これにより走行体11の前後方向の傾斜角度を変えることが可能である。
【0012】
搬出コンベア12は走行体11の前後方向に延びて設けられている。搬出コンベア12は、
図1に示すように、走行体11の前方に位置した端部(前端部)から走行体11の後上方に向かって傾斜して延びた後、水平後方に延びている。
【0013】
搬出コンベア12は多数のロッド状部材或いはメッシュ状の板状部材が連結されてなるスラットコンベアから成る。搬出コンベア12は、コンベア駆動モータ12M(
図1)によって駆動されることにより、走行体11の後上方に向けて走行する(
図1中に示す矢印A)。
【0014】
図3および
図4において、シュータ13は、搬出コンベア12の端部(後端部)12Eの後下方に設けられている。シュータ13は走行体11の前方から下方に向けて下り坂となる傾斜面13Mを有している。
【0015】
土塊搬送部14はシュータ13の傾斜面13Mを覆うシート状部材21と、そのシート状部材21を傾斜面13Mの上り方向(傾斜面13Mの後下方から前上方に向く方向)に走行させる走行機構22とを有する。走行機構22は、傾斜面13Mの一端側(ここでは上端13J側)に設けられた駆動ローラ22aと、傾斜面13Mの他端側(ここでは下端13K側)に位置する従動ローラ22bを備えており、シート状部材21は駆動ローラ22aと従動ローラ22bに掛け渡されている。シート状部材21は、走行機構22の駆動ローラ22aが回転すると、傾斜面13Mの上り方向に走行する(
図3および
図4中に示す矢印B)。土塊搬送部14の左右には、一対の板状のガイド部23が設けられている(
図3)。シート状部材21はビニルやゴム等の土塊TKを捕捉し易い(土塊TKが粘着し易い)材質から構成されている。
【0016】
ここで、本実施の形態では、走行機構22の駆動ローラ22aは、搬出コンベア12の駆動源であるコンベア駆動モータ12Mからの回転動力が伝達されて駆動されるようになっている。すなわち土塊搬送部14は、搬出コンベア12の駆動源(コンベア駆動モータ12M)によって駆動されるようになっている。詳細には、
図4に示すように、搬出コンベア12が備えるコンベア駆動モータ12Mの軸に繋がる駆動側プーリ12Pと駆動ローラ22aの軸(ローラ軸22J)に繋がる従動側プーリ22Pが伝動ベルト14Cによって連結されており、搬出コンベア12がコンベア駆動モータ12Mによって駆動されると、これと連動して走行機構22が駆動されるようになっている。なお、本実施の形態では、土塊搬送部14のシート状部材21の走行速度が搬出コンベア12の走行速度よりも速く(2~3倍程度速く)になるように駆動側プーリ12Pと従動側プーリ22Pのプーリ比が設定されている。
【0017】
図2および
図3において、選別器15はシュータ13の下端13K側に設けられている。選別器15は全体として傾斜面13Mの幅方向に延びた板状の部材から成り、平面視において傾斜面13Mの前後方向に対して傾斜して延びた左右の傾斜部15aを備えている(
図3)。選別器15は傾斜面13Mとの間に所定の隙間SK(
図3および
図4)が形成されるように、シュータ13を挟んで配置された左右の支持部15Sによって支持されている。
【0018】
図3において、ワイヤ状部材16は、シュータ13の傾斜面13Mを横断する位置に架設されている。具体的には、ワイヤ状部材16は一対のガイド部23に両端が固定されており、傾斜面13Mから所定の高さの位置を傾斜面13Mの幅方向に延びて設けられている。
【0019】
図1および
図2において、収容容器17は、上方に開口した箱状の部材から成る。収容容器17は走行体11の左右の収容容器設置部11Sそれぞれに設置されている。
【0020】
農作物収穫機1が畝UN内の農作物NSを収穫する場合、走行体11は左右のクローラ11Cによって畝UNを挟んだ状態で畝UNに沿って走行する(
図1および
図2中に示す矢印C)。搬出コンベア12はその前端部がクローラ11Cの接地面よりもやや上方に位置するように調整されており、走行体11が走行する間、搬出コンベア12は作動状態を維持する。
【0021】
このような状態で走行体11が畝UNに沿って走行すると、搬出コンベア12の前端部は畝UN内を進行する。これにより畝UN内の農作物NSは搬出コンベア12の前端部によって土壌とともに掘り起これた後、搬出コンベア12によって走行体11の上方に搬送(すなわち地上に搬出)される。このとき搬出コンベア12の前端部は、畝UN中の農作物NSを土塊TKとともに掘り起こす掘り起こし部12Hとして機能する。なお、掘り起こし部12Hのクローラ11Cの接地面からの高さは、左右の高さ調整輪11Hの車軸の高さを変更し、走行体11の前後方向の傾斜角度を変えることで調整することができる。
【0022】
搬出コンベア12が走行体11の上方に搬送(地上に搬出)した農作物NSは、土塊TK(農作物NSから分離した根等を含む)とともに、搬出コンベア12の端部12Eから落下する(
図4中に示す矢印D)。搬出コンベア12の端部12Eから落下した農作物NSは、その下方に位置するシュータ13の傾斜面13M(直接的には土塊搬送部14のシート状部21)によって受け取られ、傾斜面13Mをシュータ13の下端13K側に向かって転がる(
図5中に示す矢印E)。すなわちシュータ13は、搬出コンベア12によって搬出された農作物NSを傾斜面13Mで受け取って転がらせるものとなっている。
【0023】
傾斜面13M(シート状部材21)を転がる農作物NSは、その途上に設けられているワイヤ状部材16を押し下げたうえ、これを乗り越えて更に傾斜面13Mを転がる。そして、選別器15の左右の傾斜部15aの前面である案内面15Mに当接する。
【0024】
選別器15の案内面15Mに当接した農作物NSは、その案内面15Mによってシュータ13(傾斜面13M)の側方に案内され(
図5中に示す矢印F)、傾斜面13Mの側方の端部からシュータ13の下方に落下する(
図4および
図5中に示す矢印G)。そして、走行体11の収容容器設置部11Sに設置された収容容器17によって収納される(
図4および
図5)。
【0025】
一方、搬出コンベア12の端部12Eから落下してシュータ13の傾斜面13M(シート状部材21)で受け取られた土塊TKの一部は、農作物NSと同様に、傾斜面13Mをシュータ13の下端13K側に向かって転がる(
図5中に示す矢印H)。そして、傾斜面13Mを転がる土塊TKのうち、ワイヤ状部材16の高さ(傾斜面13Mからの高さ)よりも径が小さいものはそのままワイヤ状部材16の下方を通過し、ワイヤ状部材16の高さよりも径が大きいものはワイヤ状部材16と衝突することによって、より小径の土塊TKに破砕されたうえで(
図4中に符号「TK1」で示す土塊参照)、ワイヤ状部材16の下方または上方を通過する。
【0026】
ワイヤ状部材16の下方または上方を通過した土塊TKは、選別器15の案内面15Mの位置に到達する。そして、選別器15と傾斜面13Mとの間の隙間SKよりも径の小さいものはその隙間SKを通って選別器15を通過し、隙間SKよりも径の大きいものは選別器15の案内面15Mに衝突した際の衝撃で破砕され、より小さい土塊TKとなった状態で隙間SKを通って選別器15を通過する。そして、更に傾斜面13M(シート状部材21)を転がり、シュータ13の下端13Kからシュータ13の下方に落下する(
図4および
図5中に示す矢印J)。
【0027】
このように本実施の形態において、ワイヤ状部材16は、シュータ13の傾斜面13Mを横断する位置に架設され、傾斜面13Mを転がる農作物NSには押し下げられてその農作物NSの通過を許容し、傾斜面13Mを転がる土塊TKが衝突した場合にはその土塊TKを破砕する土塊破砕手段となっている。また、本実施の形態において選別器15は、傾斜面13Mを転がる農作物NSを案内面15Mで案内してシュータ13の側方から落下させる一方、傾斜面13Mを転がる土塊TKをそのまま若しくは案内面15Mで破砕したうえで傾斜面13Mとの間の隙間SKを通してシュータ13から落下させることで農作物NSを土塊TKから選り分ける選別手段となっている。
【0028】
また、搬出コンベア12の端部12Eから落下してシュータ13の傾斜面13M(シート状部材21)で受け取られた土塊TKの他の一部は、シュータ13の傾斜面13Mを転がることなくシート状部材21に付着することによってシート状部材21に捕捉される。このようにしてシート状部材21に捕捉された土塊TKは、シート状部材21が傾斜面13Mの上方に向かって走行することでシュータ13の上端13J側(すなわち農作物NSが傾斜面13Mを転がる方向とは反対の方向)に搬送され、シュータ13の上端13Jから落下する(
図4および
図5中に示す矢印K)。また、シュータ13の傾斜面13Mを転がる一部の土塊TKは、ワイヤ状部材16に接触することでそれ以上の落下を止められる。土塊TKはその後、大半が破砕されることなくシート状部材21に補足されて傾斜面13Mの上方に向かって走行することでシュータ13の上端13Jから落下する。
【0029】
すなわち本実施の形態において、土塊搬送部14は、搬出コンベア12によってされた土塊TKをシート状部材21で受け取って捕捉し、農作物NSが傾斜面13Mを転がる方向とは反対の方向に搬送する土塊搬送手段となっている。
【0030】
このように本実施の形態における農作物収穫機1において、走行体11が畝UNに沿って走行することで畝UN中から掘り起された農作物NSは、搬出コンベア12によって土塊TKとともに地上に搬出された後、シュータ13の傾斜面13Mに落下される。そして、農作物NSは、シュータ13の傾斜面13Mを転がり落ちる間に、選別器15に案内されてシュータ13の側方から落下し、収容容器17に収容される。一方、シュータ13の傾斜面13Mに落下した土塊TKは選別器15と傾斜面13Mとの間の隙間SKを通ってシュータ13の下端13Kから落下し、或いは、傾斜面13Mの上り方向に走行されるシート状部材21によって捕捉された状態で農作物NSが傾斜面13Mを転がる方向とは反対の方向に搬送される。
【0031】
このため農作物収穫機1では、畝UNから土塊TKとともに掘り起こされた農作物NSは自動で土塊TKから選り分けられることとなり、従来作業者が手作業で行っていた農作物NSを土塊TKから選り分ける作業(選別作業)は不要となるので、作業者の作業負担が軽減される。また、走行体11に同乗すべき作業人員を減らすことができるので、農作物NSの収穫作業の作業効率を向上させることができる。また、本実施の形態では、前述したように、土塊搬送部14は、搬出コンベア12の駆動源(コンベア駆動モータ12M)によって駆動されるようになっているので、土塊搬送部14を搬出コンベア12とは異なる動力源で駆動する場合よりも構成を簡単にでき、製造コストを安価に抑えることができる。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態における農作物収穫機1では、走行体11が走行することによって畝UN中から掘り起こされた農作物NSは、選別器15または土塊搬送部14によって自動で土塊TKから選り分けられる。よって作業者は、農作物NSを土塊TKから選り分ける選別作業を行う必要がない。このため本実施の形態における農作物収穫機1によれば、作業者の作業負担を軽減させることができるだけでなく、作業人員を減らして作業効率の向上を図ることができる。
【0033】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、選別器15は左右の傾斜部15aを備えた構成となっていたが、選別器15は傾斜面13Mを転がる農作物NSを案内してシュータ13の側方から落下させる一方、傾斜面13Mを転がる土塊TKを傾斜面13Mとの間の隙間SKを通してシュータ13の下端13Kから落下させることで農作物NSを土塊TKから選り分けることができればよく、その形態の如何は問わない。従って、例えば
図6の変形例における選別器15Aのように、傾斜部15aがひとつのものであっても構わない。
【0034】
また、上述の実施の形態の農作物収穫機1は、選別手段(選別器15)、土塊破砕手段(ワイヤ状部材16)および土塊搬送手段(土塊搬送部14)の3つの手段の全てを備えていたが、選別手段のみ、選別手段と土塊破砕手段、土塊搬送手段のみ、または土塊搬送手段と土塊破砕手段であっても、農作物NSを土塊から選り分ける機能が発揮される。このため農作物収穫機1は必ずしも上記3つの手段を備えていなくてもよく、少なくとも、選別手段(選別器15)または土塊搬送手段(土塊搬送部14)を備えていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
農作物を土塊とともに掘り起こして農作物を収穫する農作物の収穫作業機械に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 農作物収穫機
11 走行体
11C クローラ
11H 高さ調整輪
11S 収容容器設置部
12 搬出コンベア
12M コンベア駆動モータ
12E 端部
12H 掘り起こし部
13 シュータ
13M 傾斜面
13J 上端
13K 下端
14 土塊搬送部(土塊搬送手段)
15,15A 選別器(選別手段)
16 ワイヤ状部材(土塊破砕手段)
17 収容容器
21 シート状部材
22 走行機構
22a 駆動ローラ
22b 従動ローラ
23 ガイド部
SK 隙間
UN 畝
NS 農作物