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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071326
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】マッサージ器
(51)【国際特許分類】
   A61H 15/00 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
A61H15/00 310D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184011
(22)【出願日】2021-11-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】芝 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】服部 なつみ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友莉
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AE05
4C100AE13
4C100AF06
4C100BB01
4C100CA01
(57)【要約】
【課題】浴室や浴槽内で快適に使用できるマッサージ器を提供する。
【解決手段】軸方向に延びる軸部2と、前記軸部2が差し込まれて転動可能な転動体3,3と、を備え、前記軸部2の表面2A及び前記転動体3,3の差込部3A,3Aの少なくとも一方に、軸方向に沿う溝2Mが形成されており、前記軸部2の軸方向一端から軸方向他端に亘って前記溝2Mが形成されていてもよいし、また、前記溝2Mは、マーサージ器における軸方向の端で開放されていてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる軸部と、
前記軸部が差し込み可能な差込部を有し、該差込部に該軸部が差し込まれて転動可能な転動体と、を備え、
前記軸部の表面及び前記転動体の差込部の少なくとも一方に、軸方向に沿う溝が形成されていることを特徴とするマッサージ器。
【請求項2】
前記軸部の軸方向一端から軸方向他端に亘って前記溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ器。
【請求項3】
前記溝は、マーサージ器における軸方向の端で軸方向外向きに開放されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に浴室や浴槽内で使用するのに適したマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記マッサージ器としては、軸方向に延びる軸部と、軸部が差し込まれて転動可能な2個の内部中空の転動体(ローラー)と、軸部の両端部のそれぞれに取り付けられるグリップと、を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このマッサージ器を使用する場合には、両手でグリップを持って例えば身体に転動体を押し当てた状態でマッサージ器を身体に沿って移動させることで転動体を転動させて、身体のマッサージを行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3226593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マッサージを効果的に行うために浴室や浴槽内でマッサージ器を使用することがある。しかし、上記構成のマッサージ器を特に浴槽内で使用すると、浴槽内のお湯(水)が、軸部の表面と転動体の軸部の差込部との隙間から転動体の内部に浸入して、転動体の内部に残った状態になってしまい、黴等の発生を招く恐れがあり、早期改善が要望されている。
【0005】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、浴室や浴槽内で快適に使用できるマッサージ器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマッサージ器は、前述の課題解決のために、軸方向に延びる軸部と、前記軸部が差し込み可能な差込部を有し、該差込部に該軸部が差し込まれて転動可能な転動体と、を備え、前記軸部の表面及び前記転動体の差込部の少なくとも一方に、軸方向に沿う溝が形成されていることを特徴としている。
【0007】
かかる構成によれば、浴室や浴槽でマッサージ器を使用した後に、マッサージ器を立て掛ける又は吊り下げておくだけで、軸部の表面と転動体の差込部との隙間に入ったお湯(水)が、軸部の表面及び転動体の差込部の少なくとも一方に形成された溝を伝って軸方向に自重で流れて外部へ排出される。これにより、転動体の内部での黴の発生を抑制することができる。
【0008】
また、本発明のマッサージ器は、前記軸部の軸方向一端から軸方向他端に亘って前記溝が形成されていてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、溝を軸部の軸方向一端から軸方向他端に亘って形成することによって、軸部の表面と転動体の差込部との隙間に入ったお湯(水)を、軸部の端まで確実に流すことができる。
【0010】
また、本発明のマッサージ器は、前記溝が、マーサージ器における軸方向の端で軸方向外向きに開放されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、溝が、マーサージ器における軸方向の端で軸方向外向きに開放されていれば、軸部の表面と転動体の差込部との隙間に入ったお湯(水)を、開放されたマーサージ器の端で確実に外部に排出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸部の表面及び前記転動体の差込部の少なくとも一方に、軸方向に沿う溝を形成することによって、浴室や浴槽内で快適に使用できるマッサージ器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】マッサージ器を軸方向に沿う状態で係止具に係止保持された状態を示す斜視図である。
図2】マッサージ器の縦断面図である。
図3】マッサージ器の分解斜視図である。
図4】マッサージ器の別の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のマッサージ器について図1図3に基づいて説明する。このマッサージ器は、浴室や浴槽内で快適に使用することができるが、浴室以外の部屋や外部で使用しても構わない。
【0015】
マッサージ器1は、軸方向に延びる軸部2と、軸部2が差し込まれて転動可能な複数(図では2個)の転動体3,3と、軸部2の両端部に設けられる把持部としての一対のグリップ4,4と、を備えている。
【0016】
軸部2は、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)からなる合成樹脂製で軸方向に長く断面形状が略円形の棒状体に構成されている。尚、軸部2は、他の各種合成樹脂で構成してもよいし、例えばステンレス(SUS)からなる金属で構成してもよい。また、軸部2は、軸方向中央部に直径が最も大きい大径の略円柱状の第1棒状部21と、第1棒状部21の軸方向両端から軸方向外側に延びて第1棒状部21の直径よりも僅かに小さい直径を有する略円柱状の一対の第2棒状部22,22と、を備えている。
【0017】
また、軸部2の表面には、径方向内側に凹む1本の溝2Mが形成されている。この溝2Mは、軸方向に沿うように形成されるとともに、軸部2の軸方向一端から軸方向他端の全域に亘って形成され、軸部2の軸方向一端面及び他端面で軸方向外向きに開放されている。この溝2Mは、軸部2の表面2Aと転動体3の差込部3Aとの隙間Sから転動体3の内部に入ったお湯(水)を軸方向に流して外部へ排出するための溝である。
【0018】
転動体3,3は、いずれもポリプロピレン・ランダム・コポリマー樹脂(PPR樹脂)で形成され、いずれも表面から突出する略山型状の凸部3Tと表面から径方向内側へ凹んだ凹部3Hとが周方向に交互に形成された内部中空で外形が略球状体に形成されている。これら転動体3,3は、第1棒状部21上で転動するように第1棒状部21を差し込むための差込部3A,3Aが軸心方向両端部に形成されている。差込部3A,3Aの内径は、第1棒状部21の外径よりも僅かに大きな寸法で、かつ、軸方向に同一径に構成されている。また、差込部3A,3Aのグリップ4側端から軸方向外側へ向かうほど内径が大きくなるテーパー面3Kを備えている。また、転動体3,3の内面には、マッサージ器1を上下姿勢(縦姿勢)にした時に、転動体3,3の中空部に入ったお湯(水)が下方の差込部3Aに誘導する形状(この実施形態では円弧形状)を備えている。
【0019】
グリップ4,4は、いずれもポリプロピレン・ランダム・コポリマー樹脂(PPR樹脂)で形成され、いずれも軸部2の第2棒状部22を差し込むことができるように、軸方向に長い差込用凹部4Aが形成されている。その差込用凹部4Aの内径は、第2棒状部22の外径よりも僅かに大きな寸法で、かつ、軸方向に同一径に構成されている。具体的には、各グリップ4は、第2棒状部22が差し込まれた状態において、第1棒状部21側に位置する略円筒状のストレート部41と、ストレート部41の軸方向外側端から外側に向けて延びるとともに、軸方向中央部が最も外径寸法が最大となる外形が卵形状に形成された筒状の握り部42と、を備えている。
【0020】
また、各グリップ4の差込用凹部4Aの第1棒状部21寄りに、被係止部としての係止溝4Mが周方向に沿って環状に形成されている。したがって、グリップ4を第2棒状部22に外嵌した時に、第2棒状部22の外面に形成された係止部としてのほぼ環状(前記溝2Mの部分のみ途切れている)で断面形状半円状の凸条22Aにグリップ4の係止溝4Mが係止することによって、グリップ4が第2棒状部22に固定される。これらグリップ4,4が第2棒状部22,22に固定されることで、グリップ4,4の間に配置される転動体3,3が軸方向外側へ移動しようとすると、グリップ4の転動体側端面4Bに転動体3のグリップ側端面3Bが当接することにより転動体3,3の軸方向外側への移動が阻止される。尚、グリップ4を軸方向外側へ移動させることにより、凸条22Aと係止溝4Mとの係止を解除することによって、グリップ4を第2棒状部22から外すことができる。少なくとも一方のグリップ4を第2棒状部22から取り外すことにより、転動体3,3を軸部2から取り外すことができる。このように、グリップ4,4及び転動体3,3を軸部2から取り外すことにより、グリップ4,4及び転動体3,3並びに軸部2の清掃を行うことができる。この実施形態では、被係止部をグリップ4に備え、係止部を軸部2に備えているが、被係止部を軸部2に備え、係止部をグリップ4に備えていてもよい。また、この実施形態では、係止及び係止解除することにより軸部2にグリップ4を着脱可能に構成しているが、一方(軸部2又はグリップ4)に雄ねじ部を備え、他方(グリップ4又は軸部2)に雌ねじ部を備え、螺合及び螺合解除することにより、軸部2にグリップ4を着脱可能に構成してもよい。
【0021】
グリップ4が第2棒状部22に係止により固定された状態では、グリップ4の差込用凹部4Aの底面4aに第2棒状部22の端面22Tが当接することがなく、該底面4aと該端面22Tとの間に空間5が形成される。この空間5は、軸部2の溝2Mを伝って流れてきたお湯(水)を、後述するグリップ4に形成の貫通孔4Kに受け渡すための中継用の空間である。
【0022】
また、各グリップ4の第1棒状部21から離間する側となる先端部は、マッサージ器1自体の軸方向の端を形成する。この先端部には、差込用凹部4Aと連通する軸方向に沿う貫通孔4Kが形成されている。この貫通孔4Kは、軸部2に形成の溝2Mを伝ってきたお湯(水)を受け取って外部へ排出するための孔である。そして、一方のグリップ4の先端部から軸部2の溝2M、他方のグリップ4の先端部まで、貫通孔4K、溝2M、貫通孔4Kと直線状に連通する。したがって、溝2Mが、マッサージ器1における軸方向の端部にある貫通孔4Kの端(先端)で開放されているため、溝2Mを伝ってきたお湯(水)を貫通孔4Kから外部へ排出することができる。溝2Mから受け取ったお湯(水)を貫通孔4Kからスムーズに排出できるように、貫通孔4Kの径寸法を溝2Mの径寸法よりも大きく設定している。
【0023】
前記構成のマッサージ器1を使用する場合には、両手でグリップ4,4を持って例えば身体に転動体3,3を押し当てた状態でマッサージ器1を自分の身体に沿って移動させることで転動体3,3を転動させて、身体のマッサージを行う。マッサージが終了すると、図1及び図2に示すように、側壁6に固定された係止固定具7に、マッサージ器1をそれの軸方向が上下方向に沿った姿勢にした状態でグリップ4のストレート部41を水平方向から係止する。これにより、マッサージ器1が係止固定具7に上下方向に沿った姿勢で保持される。この保持状態にすることによって、上側のグリップ4の貫通孔4Kから下方の空間5及び溝2M内に空気が入り込むことで、転動体3,3内に入ったお湯(水)が溝2Mを伝って下方へ自重で移動する。溝2Mの下端まで移動したお湯(水)は、下側の空間5を通して下側のグリップ4の貫通孔4Kに入り、開放された貫通孔4Kの下端から下方の外部へ排出される。
【0024】
係止固定具7は、側壁6に固定される板状で小判状の固定部7Aと、固定部7Aの上下方向中間部から水平方向に延びて前記グリップ4のストレート部41が係止するU字状の切欠き7bが形成された係止部7Bと、を備えている。固定部7Aの側壁6側の裏面7aに永久磁石(図示せず)を備えており、金属製の側壁6に永久磁石による磁力により固定していてもよい。また、固定部7Aの側壁6側の裏面7aに両面テープ(図示せず)を備えさせて、固定部7Aを両面テープの粘着力により側壁6に固定してもよいし、固定部7Aを側壁6にビス(図示せず)により固定してもよい。また、係止固定具7等の固定具を用いないで、壁にマッサージ器1を斜めに立て掛けて転動体3,3に入り込んだお湯(水)を外部に排出するようにしてもよい。
【0025】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0026】
前記実施形態では、転動体3を2個設けたが、1個又は3個以上の任意の個数を設けてもよい。また、転動体の外形状は、球状に限らず、円柱状、楕円状、そろばんの玉形状、ドーナツ形状等、どのような形状であってもよい。また、転動体を、内部が中空の構造で構成することにより軽量化を図ることができる利点があるが、内部が詰まった中実の構造で構成してもよい。中実の構造の場合には、軸部の表面と該表面と略平行に延びる転動体の差込部の内面との間にお湯(水)が入り込む。
【0027】
また、前記実施形態では、軸部2の両端部にそれぞれグリップ4を備えていたが、図4に示すように、軸部2の一端部にのみグリップ4を備えてもよい。この場合、軸部2の他端部から転動体3が抜け落ちないようにストッパー8を転動体3から突出する軸部2に着脱可能に取り付けることになる。この場合、図1に比べて小型になるため、片手でグリップ4を持って腕や顔等をマッサージしやすい。尚、説明しなかった構成は、図1と同様である。
【0028】
また、前記実施形態では、軸部2に溝2Mを形成したが、転動体の差込部に溝を形成して転動体の内部に入っているお湯(水)を差込部の溝から外部へ排出してもよい。
【0029】
また、前記実施形態では、軸部2に1本の溝2Mを形成したが、2本以上の任意の本数の溝を軸部に形成してもよいが、2本以下の溝を軸部に形成することが、軸部の強度面や転動体の転がり抵抗を小さく抑える点において好ましい。
【0030】
また、前記実施形態では、グリップ4,4を備えた場合を示したが、グリップ4,4を省略し、軸部2の両端部それぞれをグリップとしてもよい。この場合、転動体3,3が軸方向外側に移動しないように軸部2にストッパーを取り付けて実施することが好ましい。
【0031】
また、前記実施形態では、軸部2の両端部をグリップ4,4の略全長に亘って形成された差込用凹部4A,4Aにそれぞれ差し込む構成にしたが、軸部2の両端からそれぞれ軸方向外側に突出する複数の係止爪を設け、複数の係止爪が係止解除可能に係止する係止凹部を各グリップ4に形成した構成であってもよい。この場合、マッサージ器の使用中に、係止爪が容易に折れないように軸部と係止爪をステンレス(SUS)等の金属で形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0032】
1…マッサージ器、2…軸部、2A…表面、2M…溝、3…転動体、3A…差込部、3B…グリップ側端面、3H…凹部、3K…テーパー面、3T…凸部、4…グリップ、4A…差込用凹部、4B…転動体側端面、4K…貫通孔、4M…係止溝、4a…底面、5…空間、6…側壁、7…係止固定具、7A…固定部、7B…係止部、7a…裏面、7b…切欠き、8…ストッパー、22A…凸条、22T…端面、41…ストレート部、42…握り部、S…隙間
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる軸部と、
前記軸部が差し込み可能な差込部を有し、該差込部に該軸部が差し込まれて転動可能な転動体と、
前記軸部の両端部のうちの少なくとも一端部に設けられる把持部と、を備え、
前記軸部の表面に該軸部の軸方向一端から軸方向他端の全域に亘って軸方向に沿う溝が形成され、
前記把持部は、前記軸部を差し込むことができる差込用凹部と、該差込用凹部の底面から軸方向外側に延びる先端部と、を備え、前記先端部に、前記差込用凹部と連通する軸方向に沿う貫通孔が形成され、
前記把持部の差込用凹部に前記軸部を差し込んだ状態において前記把持部の底面と前記軸部の端面との間に空間が形成されることを特徴とするマッサージ器。
【請求項2】
前記溝は、マーサージ器における軸方向の端で軸方向外向きに開放されていることを特徴とする請求項に記載のマッサージ器。
【請求項3】
前記把持部の差込用凹部に被係止部が形成され、該被係止部に係止する係止部が前記軸部の外面に形成され、前記把持部の被係止部と前記軸部の係止部とが係止して該把持部が該軸部に固定された状態で前記空間が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ器。