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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071342
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230516BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 H
H05K7/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184046
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 高明
【テーマコード(参考)】
5E322
5H770
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA04
5E322BB03
5H770AA21
5H770PA02
5H770PA05
5H770PA42
5H770QA06
5H770QA08
5H770QA28
(57)【要約】
【課題】半導体モジュールから排気された空気を効率よく天面の方向へ導くことが可能な電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、天面203に換気口231が形成された筐体2と、排気口830が背面203の方向を向くように筐体2内において多段状に配置された複数の半導体モジュール801~807とを備える。電力変換装置1は、排気口830側に設けられ、かつ、半導体モジュール801から半導体モジュール803までの第1グループが排気する空気の流路と、半導体モジュール804から半導体モジュール806までの第2グループが排気する空気の流路とを分離する仕切り板301と、第1グループに含まれる半導体モジュールが排気口830から排出する空気を天面203方向に導く整流板と、第2グループに含まれる半導体モジュールが排気口830から排出する空気を天面203方向に導く整流板とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と背面とを有し、前記天面に換気口が形成された筐体と、
各々が給気口と排気口と第1のファンとを有し、各前記排気口が前記背面の方向を向くように前記筐体内において多段状に配置された複数の半導体モジュールとを備え、
各前記第1のファンは、前記給気口から前記筐体の外部の空気を前記半導体モジュール内に吸い込み、かつ、吸い込んだ前記空気を前記排気口から前記筐体の内部に排出し、
前記複数の半導体モジュールは、最上段の半導体モジュールから第1の所定段下の第1の半導体モジュールと、前記第1の半導体モジュールの1つ下の段の第2の半導体モジュールと、前記第2の半導体モジュールから第2の所定段下の第3の半導体モジュールとを少なくとも含み、
前記排気口側に設けられ、かつ、前記最上段の半導体モジュールから前記第1の半導体モジュールまでの第1のグループの各前記半導体モジュールが排気する空気の流路と、前記第2の半導体モジュールから前記第3の半導体モジュールまでの第2のグループの各前記半導体モジュールが排気する空気の流路とを分離する第1の仕切り板と、
前記第1のグループに含まれる1つの前記半導体モジュールが前記排気口から排出する空気を前記天面方向に導く第1の整流板と、
前記第2のグループに含まれる1つの前記半導体モジュールが前記排気口から排出する空気を前記天面方向に導く第2の整流板とをさらに備える、電力変換装置。
【請求項2】
前記複数の半導体モジュールは、前記第3の半導体モジュールの1つ下の段の第4の半導体モジュールをさらに含み、
前記排気口側に設けられ、かつ、前記第2のグループの各前記半導体モジュールが排気する空気の流路と、前記第4の半導体モジュールが排気する空気の流路とを分離する第2の仕切り板をさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1の仕切り板は、前記背面に向かう第1の方向に延びた第1の底部と、前記天面に向かう第2の方向に延びた第1の壁部とを有し、
前記第1の底部は、前記第1の壁部側の第1の先端部と、前記第1の先端部とは反対側の第1の基端部とを有し、
前記第1の基端部は、鉛直方向において、前記第1の半導体モジュールの排気口と、前記第2の半導体モジュールの排気口との間に位置する、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1の方向は、水平方向であり、
前記第2の方向は、前記鉛直方向である、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第2の仕切り板は、前記第1の方向に延びた第2の底部と、前記第2の方向に延びた第2の壁部とを有し、
前記第2の底部は、前記第2の壁部側の第2の先端部と、前記第2の先端部とは反対側の第2の基端部とを有し、
前記第2の基端部は、前記鉛直方向において、前記第3の半導体モジュールの排気口と、前記第4の半導体モジュールの排気口との間に位置し、
前記第2の壁部は、前記第1の壁部よりも、前記複数の半導体モジュールから離れている、請求項3または4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1の壁部は、前記第1の底部よりも位置が高く、
前記第1の仕切り板は、前記第1の底部と前記第1の壁部との間に傾斜部または湾曲部をさらに有する、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記複数の半導体モジュールの最下段の半導体モジュールから排気された空気が、前記筐体内の領域のうち前記最下段の半導体モジュールよりも下方の領域に流入することを防止する塞ぎ板をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記複数の半導体モジュールの最下段の半導体モジュールは、前記第4の半導体モジュールであり、
前記第2の壁部は、前記背面に当接している、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第1の壁部は、前記最上段の半導体モジュールの位置まで延びている、請求項3から6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第1のグループに含まれる各前記半導体モジュールの前記排気口に対応する位置に、それぞれ、前記第1の整流板が取り付けられ、
前記第2のグループに含まれる各前記半導体モジュールの前記排気口に対応する位置に、それぞれ、前記第2の整流板が取り付けられている、請求項1から9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
各前記第1の整流板と各前記第2の整流板とは、前記排気口の下部から前記筐体の背面に向かって上方に延びている、請求項10に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記複数の半導体モジュールのうち、前記最下段の半導体モジュール以外の各前記半導体モジュールは、無停電電源モジュールであり、
前記最下段の半導体モジュールは、バイパスモジュールである、請求項7または8に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記筐体は、前記天面と前記背面とに繋がった側面をさらに有し、
前記第1の底部と前記側面とは、前記第1の方向と前記第2の方向との各々に垂直な第3の方向において離間しており、
前記第2の底部と前記側面とは、前記第3の方向において離間している、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記換気口には、前記筐体内の空気を外部へ排出する第2のファンが設けられている、請求項1から13のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記第1の所定段と、前記第2の所定段とは同じである、請求項1から14のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無停電電源装置等の電力変換装置が知られている。たとえば、特開2016-115894号公報(特許文献1)には、筐体内において多段に積み重ねられた複数の半導体モジュールを有する電力変換装置が開示されている。特許文献1の筐体は、複数の半導体ユニットのグループ毎に設けられた複数の風洞を有する。筐体の天板には、換気孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-115894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された筐体では、各グループの下段の半導体モジュールから排気された空気は、同じグループの上段の半導体モジュールから排気される空気によって、天板の方へ移動しにくい。
【0005】
本開示は、上記に問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、半導体モジュールから排気された空気を効率よく天面の方向へ導くことが可能な電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電力変換装置は、天面と背面とを有し、天面に換気口が形成された筐体と、各々が給気口と排気口と第1のファンとを有し、各排気口が背面の方向を向くように筐体内において多段状に配置された複数の半導体モジュールとを備える。各第1のファンは、給気口から筐体の外部の空気を半導体モジュール内に吸い込み、かつ、吸い込んだ空気を排気口から筐体の内部に排出する。複数の半導体モジュールは、最上段の半導体モジュールから第1の所定段下の第1の半導体モジュールと、第1の半導体モジュールの1つ下の段の第2の半導体モジュールと、第2の半導体モジュールから第2の所定段下の第3の半導体モジュールとを少なくとも含む。電力変換装置は、排気口側に設けられ、かつ、最上段の半導体モジュールから第1の半導体モジュールまでの第1のグループの各半導体モジュールが排気する空気の流路と、第2の半導体モジュールから第3の半導体モジュールまでの第2のグループの各半導体モジュールが排気する空気の流路とを分離する第1の仕切り板と、第1のグループに含まれる1つの半導体モジュールが排気口から排出する空気を天面方向に導く第1の整流板と、第2のグループに含まれる1つの半導体モジュールが排気口から排出する空気を天面方向に導く第2の整流板とをさらに備える。
【発明の効果】
【0007】
上記の開示によれば、半導体モジュールから排気された空気を効率よく天面の方向へ導くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電力変換装置の正面図である。
図2】半導体モジュールの斜視図である。
図3】半導体モジュールの背面側からの斜視図である。
図4】電力変換装置の斜視図である。
図5図4のV-V線矢視断面図である。
図6図4のVI-VI線矢視断面図である。
図7図4のVII-VII線矢視断面図である。
図8】電力変換装置をモデル化して空気の流れをシミュレーションしたときのシミュレーション結果を表した図である。
図9】電力変換装置から整流板を取り除いたモデルを用いて、空気の流れをシミュレーションしたときのシミュレーション結果を表した図である。
図10】電力変換装置から、仕切り板と整流板と塞ぎ板とを取り除いたモデルを用いて、空気の流れをシミュレーションしたときのシミュレーション結果を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る電力変換装置について説明する。詳しくは、電力変換装置の1つである無停電電源装置を例に挙げて説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
また、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合があるが、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。さらに、図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る電力変換装置の正面図である。図1に示すように、電力変換装置1は、筐体2と、半導体モジュール801~807とを備える。筐体2は、扉として機能する前面201を含む。前面201は、空気を筐体2の外部から内部へ通過させるため、本例では網状となっている。
【0012】
各半導体モジュール801~807は、筐体2内において鉛直方向(Z軸方向)に多段状に配置されている。半導体モジュール801は、最上段のモジュールである。詳しくは、半導体モジュール801は、ファンを有する複数のモジュールのうち、最上段のモジュールである。半導体モジュール807は、最下段のモジュールである。
【0013】
本例では、半導体モジュール801~806は、無停電電源モジュール(「UPS(Uninterruptible Power System)モジュール」とも称される)である。半導体モジュール807は、バイパスモジュールである。このように、半導体モジュール801~806は、同一の機能を有する半導体モジュールである。半導体モジュール807は、半導体モジュール801~807とは異なる機能を有する半導体モジュールである。
【0014】
このように、電力変換装置1は、筐体2内において鉛直方向(Z軸方向)に多段状に配置された複数の半導体モジュール801~807を有する。なお、以下では、説明の便宜上、半導体モジュール801~807のうちに任意の1つの半導体モジュールを、「半導体モジュール800」とも称する。XYZ座標系は、X軸とY軸とZ軸とが互いに直交する座標系である。Z軸は、鉛直方向の軸である。
【0015】
図2は、半導体モジュール801の斜視図である。図2に示されるように、半導体モジュール801は、筐体810を備える。筐体810は、前面811を有する。前面811には、3つの給気口820が水平方向(X軸方向)に並んだ状態で形成されている。各給気口820には、ファン840が設置されている。
【0016】
図3は、半導体モジュール801の背面側からの斜視図である。図3に示されるように、筐体810は、背面812を有する。背面812には、排気口830が形成されている。また、背面812には、端子台850が設置されている。
【0017】
以上のように、半導体モジュール801は、給気口820と、排気口830と、ファン840とを有する。
【0018】
なお、本例では、半導体モジュール802~806は、半導体モジュール801と同じハードウェア構成を有する。半導体モジュール807は、2つの換気口と2つのファンとを備える点において、3つの換気口と3つのファンとを備える半導体モジュール801~806とは異なる。
【0019】
図4は、電力変換装置1の斜視図である。図4に示されるように、電力変換装置1の筐体2は、前面201と、背面202と、天面203と、底面204と、側面205,206とを備える。なお、前面201と背面202とは、平行である。天面203と底面204とは、平行である。側面205と側面206とは、平行である。
【0020】
天面203には、本例では、6つの換気口231が形成されている。このように、筐体2は、天面203と背面202とを有し、かつ、天面203に換気口231が形成されている。
【0021】
なお、電力変換装置1は、筐体2の背面202が建物の壁(図示せず)に接した状態、あるいは、背面202を壁に接近させた状態で建物の床面に設置される。それゆえ、電力変換装置1は、換気口231が天面203に設けられている。
【0022】
電力変換装置1は、上述したように、筐体2の内部に、複数の半導体モジュール801~807を備える。電力変換装置1は、半導体モジュール801の上方に、外部通信用の通信モジュール851を備える。通信モジュール851は、ファンを備えていない。電力変換装置1は、仕切り板301,302と、整流板501~506と、塞ぎ板400とを備える。
【0023】
図5は、図4のV-V線矢視断面図である。図6は、図4のVI-VI線矢視断面図である。図7は、図4のVII-VII線矢視断面図である。
【0024】
図5から図7に示されるように、各半導体モジュール801~807は、各排気口830が筐体2の背面202の方向を向くように筐体2内において多段状に配置されている。
【0025】
なお、図5から図7の例では、上下の半導体モジュール800同士が上下方向(Z軸方向)において接触している状態を示している。すなわち、半導体モジュール801~807が多段積みされている状態を示している。しかしながら、これに限定されず、上下の半導体モジュール800同士が上下方向において離間していてもよい。電力変換装置1では、半導体モジュール800が多段状に配置されていればよい。
【0026】
各半導体モジュール800のファン840は、給気口820から筐体2の外部の空気を半導体モジュール800内に吸い込み、かつ、吸い込んだ空気を排気口830から筐体2の内部に排出する。
【0027】
図5および図7に示すように、筐体2の天面203に設けられた換気口231には、ファン600が設置されている。ファン600は、筐体2内の空気を筐体2の外部へ排出する。
【0028】
本例では、各半導体モジュール800は、筐体2内において設けられた、図示しない前面201側の2本の支柱(図示せず)と、背面202側の支柱251,252(図7)と、各々が前面の支柱と背面の支柱とに固定された2本のブラケット(図示せず)とによって固定されている。なお、各支柱は、Z軸方向(鉛直方向)に配設されており、各ブラケットは、Y軸方向に配設されている。なお、半導体モジュール800の設置方法は、これに限定されるものではない。
【0029】
電力変換装置1は、半導体モジュール800のグループとして、最上段の半導体モジュール801から半導体モジュール803までの3つの半導体モジュールで構成される第1のグループと、半導体モジュール804から半導体モジュール806までの3つの半導体モジュールで構成される第2のグループとを含む。
【0030】
なお、半導体モジュール803は、最上段の半導体モジュール801の2段下の半導体モジュールである。半導体モジュール804は、半導体モジュール803の1つ下の段の半導体モジュールである。半導体モジュール806は、半導体モジュール804の2段下の半導体モジュールである。また、第1のグループを構成する半導体モジュール800の数と、第2のグループを構成する半導体モジュール800との数は、必ずしも同一でなくてもよい。
【0031】
以下、仕切り板301,302と、整流板501~506と、塞ぎ板400とについて説明する。
【0032】
(仕切り板301)
図5に示すとおり、仕切り板301は、半導体モジュール800の排気口830側に設けられている。図7に示すように、仕切り板301は、上端面315と、下端面316と、側面317,318とを有する。なお、下端面316は、底部311(図5)の下側の面である。本例では、仕切り板301は、支柱251,252に取り付けられている。なお、仕切り板301の取り付け場所は、支柱251,252に限定されるものではない。
【0033】
図5図7に示すように、仕切り板301は、第1のグループの各半導体モジュール801~803が排気する空気の流路と、第2のグループの各半導体モジュール804~806が排気する空気の流路とを分離する。なお、仕切り板301による流路の分離は、流路の完全分離ではなくてもよい。本例のように、第1のグループの各半導体モジュール801~803が排気する空気と、第2のグループの各半導体モジュール804~806が排気する空気との一部が混ざる空間(流路)が形成されていてもよい。
【0034】
図5に示すように、仕切り板301は、筐体2の背面202に向かうY軸正方向に延びた底部311と、天面203に向かうZ軸正方向(鉛直上向き方向)に延びた壁部312とを有する。底部311は、壁部312側の先端部311aと、先端部311aとは反対側の基端部311bとを有する。基端部311bは、鉛直方向において、半導体モジュール803の排気口830と、半導体モジュール804の排気口830との間に位置する。
【0035】
壁部312は、底部311よりも位置が高い。仕切り板301は、底部311と壁部312との間に傾斜部313をさらに有する。壁部312は、最上段の半導体モジュール801の位置まで延びている。詳しくは、仕切り板301の上端面315は、半導体モジュール801の排気口830よりも位置が高い。
【0036】
底部311と筐体2の側面205,206とは、筐体2内で配線を敷設するために、X軸方向において離間している。詳しくは、図7に示すように、仕切り板301の側面317と筐体2の側面205とが離間し、側面318と筐体2の側面206とが離間している。具体的には、仕切り板301の左右に、隙間291と隙間292とが形成されている。より詳しくは、仕切り板301は、図7の背面視において、半導体モジュール801~803の各排気口830の全ての領域と重なっている。
【0037】
なお、底部311は、水平面に対して、所定の角度だけ傾斜していてもよい。壁部312は、鉛直方向に限定されるものではなく、所定角度傾斜していてもよい。仕切り板301は、傾斜部313の代わりに、背面202に向かって上方に湾曲した湾曲部を有していてもよい。
【0038】
(仕切り板302)
図5に示すとおり、仕切り板302は、仕切り板301と同様、半導体モジュール800の排気口830側に設けられている。図7に示すように、仕切り板302は、上端面325と、下端面326と、側面327,328とを有する。なお、下端面326は、底部321(図5)の下側の面である。本例では、仕切り板302は、支柱251,252に取り付けられている。なお、仕切り板302の取り付け場所は、支柱251,252に限定されるものではない。
【0039】
図5図7に示すように、仕切り板302は、第2のグループの各半導体モジュール804~806が排気する空気の流路と、最下段の半導体モジュール807が排気する空気の流路とを分離する。なお、仕切り板302による流路の分離は、流路の完全分離ではなくてもよい。本例のように、第2のグループの各半導体モジュール804~806が排気する空気と、最下段の半導体モジュール807が排出する空気との一部が混ざる空間(流路)が形成されていてもよい。
【0040】
図5に示すように、仕切り板302は、Y軸正方向に延びた底部321と、Z軸正方向(鉛直上向き方向)に延びた壁部322とを有する。底部321は、壁部322側の先端部321aと、先端部321aとは反対側の基端部321bとを有する。基端部321bは、鉛直方向において、半導体モジュール806の排気口830と、半導体モジュール807の排気口830との間に位置する。
【0041】
壁部322は、底部321よりも位置が高い。仕切り板302は、底部321と壁部322との間に傾斜部323をさらに有する。壁部322は、背面202に当接している。壁部322は、仕切り板301の壁部312よりも、複数の半導体モジュール800から離れている。
【0042】
底部321と筐体2の側面205,206とは、筐体2内で配線を敷設するために、X軸方向において離間している。詳しくは、図7に示すように、仕切り板302の側面327と筐体2の側面205とが離間し、側面328と筐体2の側面206とが離間している。より詳しくは、仕切り板302は、X軸方向における長さと位置とが、仕切り板301と同一である。
【0043】
なお、底部321は、水平面に対して、所定の角度だけ傾斜していてもよい。壁部322は、鉛直方向に限定されるものではなく、所定角度傾斜していてもよい。仕切り板302は、傾斜部323の代わりに、背面202に向かって上方に湾曲した湾曲部を有していてもよい。
【0044】
(整流板501~503)
整流板501は、第1のグループに含まれる半導体モジュール801が排気口830から排出する空気を筐体2の天面203の方向(上方)に導く。同様に、整流板502,503は、それぞれ、第1のグループに含まれる半導体モジュール802,803が各排気口830から排出する空気を筐体2の天面203の方向に導く。
【0045】
整流板501は、半導体モジュール801の排気口830に対応する位置に取り付けられている。詳しくは、整流板501は、排気口830の下方に取り付けられている。整流板501は、半導体モジュール801の排気口830の下部から筐体2の背面202に向かって上方に延びている。
【0046】
同様に、整流板502,503は、それぞれ、半導体モジュール802,803の排気口830に対応する位置(詳しくは、各排気口830の下方)に取り付けられている。整流板502,503は、それぞれ、半導体モジュール802,803の排気口830の下部から筐体2の背面202に向かって上方に延びている。
【0047】
本例では、整流板501~503は、同じ形状を有する。図7に示すように、整流板501~503は、効率よく排気口830から排気される空気を整流するために、X軸方向の長さ(幅)が、各排気口830のX軸方向の長さ以上となっている。
【0048】
なお、上記のように、各半導体モジュール801~803に対して整流板501~503が取り付けられていることが好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、第1のグループに含まれる半導体モジュール801~803の少なくとも1つの半導体モジュール800に整流板が取り付けられていればよい。
【0049】
(整流板504~506)
整流板504は、第2のグループに含まれる半導体モジュール804が排気口830から排出する空気を筐体2の天面203の方向に導く。同様に、整流板505,506は、それぞれ、第2のグループに含まれる半導体モジュール805,806が各排気口830から排出する空気を筐体2の天面203の方向に導く。
【0050】
整流板504は、半導体モジュール804の排気口830に対応する位置(詳しくは、排気口830の下方)に取り付けられている。整流板504は、半導体モジュール804の排気口830の下部から筐体2の背面202に向かって上方に延びている。
【0051】
同様に、整流板505,506は、それぞれ、半導体モジュール805,806の排気口830に対応する位置(詳しくは、各排気口830の下方)に取り付けられている。整流板505,506は、それぞれ、半導体モジュール805,806の排気口830の下部から筐体2の背面202に向かって上方に延びている。
【0052】
本例では、整流板504~506は、整流板501~503と同じ形状を有する。図7に示すように、整流板504~506も、整流板501~503と同様に、X軸方向の長さ(幅)が、各排気口830のX軸方向の長さ以上となっている。
【0053】
なお、上記のように、各半導体モジュール804~806に対して整流板504~506が取り付けられていることが好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、第2のグループに含まれる半導体モジュール804~806の少なくとも1つの半導体モジュール800に整流板が取り付けられていればよい。
【0054】
(塞ぎ板400)
塞ぎ板400は、最下段の半導体モジュール807から排気された空気が、筐体2内の領域のうち半導体モジュール807よりも下方の領域に流入することを防止する。
【0055】
塞ぎ板400は、図5図7に示すように、半導体モジュール807の下方に設置されている。塞ぎ板400は、筐体2内で固定されている。なお、これに限定されず、塞ぎ板400が半導体モジュール807の底面に設置されていてもよい。
【0056】
塞ぎ板400は、典型的には、矩形状を有する。図7に示すように、塞ぎ板400は、X軸方向の長さ(幅)が、筐体2の内部領域のX軸方向の長さと同じに設計されている。
【0057】
次に、シミュレーション結果を説明する。
【0058】
図8は、電力変換装置1をモデル化して空気の流れをシミュレーションしたときのシミュレーション結果G8を表した図である。図9は、電力変換装置1から整流板501~506を取り除いたモデルを用いて、空気の流れをシミュレーションしたときのシミュレーション結果G9を表した図である。図10は、電力変換装置1から、仕切り板301,302と、整流板501~506と、塞ぎ板400とを取り除いたモデルを用いて、空気の流れをシミュレーションしたときのシミュレーション結果G10を表した図である。
【0059】
図9のシミュレーション結果G9および図10のシミュレーション結果G10は、比較例である。なお、上記のシミュレーションでは、バイパスモジュールである半導体モジュール807は動作していないため、半導体モジュール807のファン840は駆動していない。
【0060】
図8のシミュレーション結果G8と図10のシミュレーション結果G10とを比較すると、電力変換装置1では、仕切り板301,302と整流板501~506と塞ぎ板400とによって、各半導体モジュール801~806の各排気口830から排気された空気が、図10の場合よりも早い流速で天面203に向かっていることが分かる。
【0061】
また、図8のシミュレーション結果G8と図9のシミュレーション結果G9とを比較すると、電力変換装置1では、整流板501~506によって、各半導体モジュール801~806の各排気口830から排気された空気が、図9の場合よりも早い流速で天面203に向かっていることが分かる。特に、図8では、図9に比べて、第2のグループの半導体モジュール804~806の排気口830から排気された空気がスムーズに動いていることが分かる。
【0062】
シミュレーション結果G8,G9,G10によれば、仕切り板301,302と整流板501~506と塞ぎ板400とを筐体2内に設けることによって、半導体モジュールから排気された空気を筐体2の天面203に効率的に送ることが可能であることが判明した。
【0063】
電力変換装置1の構成および利点を説明すると、以下のとおりである。
【0064】
(1)電力変換装置1は、天面203と背面202とを有し、天面203に換気口231が形成された筐体2と、各々が給気口820と排気口830とファン840とを有し、各排気口830が背面202の方向を向くように筐体2内において多段状に配置された複数の半導体モジュール800とを備える。
【0065】
各ファン840は、給気口820から筐体2の外部の空気を半導体モジュール800内に吸い込み、かつ、吸い込んだ空気を排気口830から筐体2の内部に排出する。複数の半導体モジュール800は、最上段の半導体モジュール801から第1の所定段下の半導体モジュール803と、半導体モジュール803の1つ下の段の半導体モジュール804と、半導体モジュール804から第2の所定段下の半導体モジュール806とを少なくとも含む。
【0066】
電力変換装置1は、排気口830側に設けられ、かつ、半導体モジュール801から半導体モジュール803までの第1のグループの各半導体モジュール800が排気する空気の流路と、半導体モジュール804から半導体モジュール806までの第2のグループの各半導体モジュール800が排気する空気の流路とを分離する仕切り板301と、第1のグループに含まれる半導体モジュール800が排気口830から排出する空気を天面203方向に導く第1の整流板(整流板501、整流板502、または、整流板503)と、第2のグループに含まれる半導体モジュール800が排気口830から排出する空気を天面203方向に導く第2の整流板(整流板504、整流板505、または、整流板506)とをさらに備える。
【0067】
このような構成によれば、仕切り板301によって、上段側の第1のグループの3つの半導体モジュール801~803が排気する空気の流路と、下段側の第2のグループの3つの半導体モジュール804~806が排気する空気の流路とを分離することができる。
【0068】
さらに、このように空気の流路が分離された状態で、第1の整流板によって、上段側の1つの半導体モジュール800が排出する空気を天面203方向に導ける。また、第2の整流板によって、下段側の1つの半導体モジュール800が排出する空気を天面203方向に導ける。
【0069】
それゆえ、電力変換装置1によれば、第1の整流板および第2の整流板を備えていない構成に比べて、各グループにおいて、3つの半導体モジュール800から排気された空気を効率よく天面203の方向へ導くことが可能となる。具体的には、電力変換装置1によれば、第1のグループの半導体モジュール801~803から排気された空気を効率よく天面203の方向へ導くことが可能となる。さらに、第2のグループの半導体モジュール801~803から排気された空気を効率よく天面203の方向へ導くことが可能となる。
【0070】
より具体的には、電力変換装置1によれば、第1の整流板を備えていない構成に比べて、第1のグループにおいて最下段の半導体モジュール803が排気する空気を効率よく天面203の方向へ導くことが可能となる。さらに、電力変換装置1によれば、第2の整流板を備えていない構成に比べて、第2のグループにおいて最下段の半導体モジュール806が排気する空気を効率よく天面203の方向へ導くことが可能となる。
【0071】
(2)複数の半導体モジュール800は、半導体モジュール806の1つ下の段の半導体モジュール807をさらに含む。電力変換装置1は、排気口830側に設けられ、かつ、第2のグループの各半導体モジュール800が排気する空気の流路と、半導体モジュール807が排気する空気の流路とを分離する仕切り板302をさらに備える。
【0072】
このような構成によれば、仕切り板302によって、下段側の第2のグループの3つの半導体モジュール804~806が排気する空気の流路と、半導体モジュール806よりも1段下の半導体モジュール807が排気する空気の流路とを分離することができる。それゆえ、電力変換装置1によれば、仕切り板302を備えていない構成に比べて、半導体モジュール807が排気する空気を効率よく天面203の方向へ導くことが可能となる。
【0073】
(3)仕切り板301は、背面202に向かう第1の方向に延びた底部311と、天面203に向かう第2の方向に延びた壁部312とを有する。底部311は、壁部312側の先端部311aと、先端部311aとは反対側の基端部311bとを有する。基端部311bは、鉛直方向において、半導体モジュール803の排気口830と、半導体モジュール804の排気口830との間に位置する。
【0074】
このような構成によれば、底部311と壁部312とによって、上段側の第1のグループの3つの半導体モジュール801~803が排気する空気の流路と、下段側の第2のグループの3つの半導体モジュール804~806が排気する空気の流路とを分離できる。
【0075】
(4)上記第1の方向は、水平方向であり、上記第2の方向は、鉛直方向である。このような構成によれば、底部311が水平であるため、仕切り板301が第1の整流板と干渉することを防止できる。また、壁部312が鉛直方向でない場合よりも、筐体2の奥行きを狭くできる。
【0076】
(5)仕切り板302は、第1の方向に延びた底部321と、第2の方向に延びた壁部322とを有する。底部321は、壁部322側の先端部321aと、先端部321aとは反対側の基端部321bとを有する。基端部321bは、鉛直方向において、半導体モジュール804の排気口830と、半導体モジュール807の排気口830との間に位置する。壁部322は、壁部312よりも、複数の半導体モジュール800から離れている。
【0077】
このような構成によれば、底部321と壁部322とによって、下段側の第2のグループの3つの半導体モジュール804~806が排気する空気の流路と、半導体モジュール806よりも1段下の半導体モジュール807が排気する空気の流路とを分離することができる。
【0078】
(6)壁部312は、底部311よりも位置が高い。仕切り板301は、底部311と壁部312との間に傾斜部313または湾曲部をさらに有する。このような構成によれば、傾斜部313または湾曲部によって、第2のグループの半導体モジュール804~806が排気する空気の天面203方向への移動をスムーズにすることができる。
【0079】
詳しくは、傾斜部313または湾曲部がなく、仕切り板301が水平に配された底部311と鉛直に配された壁部312とだけで構成されている場合に比べて、第2のグループの半導体モジュール804~806が排気する空気の天面203方向への移動をスムーズにすることができる。
【0080】
(7)電力変換装置1は、複数の半導体モジュール800の最下段の半導体モジュール807から排気された空気が、筐体2内の領域のうち最下段の半導体モジュール807よりも下方の領域に流入することを防止する塞ぎ板400をさらに備える。このような構成によれば、半導体モジュール807が排気する空気を効率よく天面203に導くことが可能となる。
【0081】
(8)壁部322は、背面202に当接している。このような構成によれば、第2のグループの半導体モジュール804~806が排気する空気の流路を広くすることができる。また、仕切り板302を安定した状態で設置できる。
【0082】
(9)壁部312は、最上段の半導体モジュール801の位置まで延びている。このような構成によれば、上段側の第1のグループの半導体モジュール801~803が排出した空気が、下段側の第2のグループの3つの半導体モジュール804~806が排気する空気の流路に流入しにくくなる。
【0083】
(10)第1のグループに含まれる各半導体モジュール800の排気口830に対応する位置に、それぞれ、第1の整流板(整流板501~503)が取り付けられている。第2のグループに含まれる各半導体モジュール800の排気口830に対応する位置に、それぞれ、第2の整流板(整流板504~506)が取り付けられている。
【0084】
このような構成によれば、各第1の整流板によって、上段側の各半導体モジュール801~803が排出する空気を天面203方向に導ける。また、各第2の整流板によって、下段側の各半導体モジュール804~806が排出する空気を天面203方向に導ける。
【0085】
それゆえ、複数の半導体モジュールの一部にしか整流板が取り付けられていない構成に比べて、筐体2内の各半導体モジュール800が排気する空気を効率よく天面203の方向へ導くことが可能となる。
【0086】
(11)各第1の整流板と各第2の整流板とは、排気口830の下部から筐体2の背面202に向かって上方に延びている。このような構成によれば、各第1の整流板と各第2の整流板とによって、各半導体モジュール800が廃棄する空気を天面203方向に導くことができる。
【0087】
(12)複数の半導体モジュール800のうち、最下段の半導体モジュール807以外の各半導体モジュール801~807は、無停電電源モジュールである。最下段の半導体モジュール807は、バイパスモジュールである。
【0088】
無停電電源モジュールは、通常、常時稼働している。一方、バイバスモジュールは、常時稼働していない。それゆえ、このような構成によれば、上段にバイパスモジュールが載置さえる構成に比べて、各無停電電源モジュールから排気される空気を効率よく天面203に導くことができる。
【0089】
(13)筐体2は、天面203と背面202とに繋がった側面205,206をさらに有する。底部311と側面205,206とは、上記第1の方向と上記第2の方向との各々に垂直な第3の方向において離間している。底部321と側面205,206とは、上記第3の方向において離間している。このような構成によれば、半導体モジュール800に対する配線の施設がようになる。
【0090】
(14)換気口231は、筐体2内の空気を外部へ排出するファン600が設けられている。このような構成によれば、ファン600が設けられていない構成に比べて、迅速に、筐体2内の空気を外部に排出することができる。
【0091】
(15)上記第1の所定段と、上記第2の所定段とは同じ(本例では3段)である。
【0092】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1 電力変換装置、2,810 筐体、201,811 前面、202,812 背面、203 天面、204 底面、205,206,317,318,327,328 側面、231 換気口、251,252 支柱、301,302 仕切り板、311,321 底部、311a,321a 先端部、311b,321b 基端部、312,322 壁部、313,323 傾斜部、315,325 上端面、316,326 下端面、400 塞ぎ板、501,502,503,504,505,506 整流板、600,840 ファン、800,801,802,803,804,805,806,807 半導体モジュール、820 給気口、830 排気口、850 端子台、851 通信モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10