(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071357
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】回転電機の回転子
(51)【国際特許分類】
H02K 21/14 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
H02K21/14 G
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184082
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 広基
(72)【発明者】
【氏名】末長 良輔
(72)【発明者】
【氏名】中根 優人
【テーマコード(参考)】
5H621
【Fターム(参考)】
5H621AA03
5H621BB07
5H621GA01
5H621PP10
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により電圧特性を変化させる。
【解決手段】磁性鋼板を軸方向Daに積層して形成された励磁用PMG固定子鉄心32aと該励磁用PMG固定子鉄心32aに設けられたスロットに収められた励磁用PMG固定子巻線32bとから構成される励磁用PMG固定子32と、励磁用PMG固定子32の内周側において、駆動源近接側に底面部34aBが他端側である駆動源離隔側に開口部34aAがそれぞれ形成されており周方向Dcに沿う内周面34aSfが形成され回転軸14に固定された励磁用PMG回転子鉄心34aと、該励磁用PMG回転子鉄心34aの外周側に設けられた永久磁石34bとから構成される磁極を備えた励磁用PMG回転子34と、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周側に設けられ、励磁用PMG固定子巻線32bに発生する電圧の特性を変化させる環状鋼板40とを設ける。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性鋼板を軸方向に積層して形成された固定子鉄心と該固定子鉄心に設けられたスロットに収められた固定子巻線とから構成される固定子と、
前記固定子の内周側において、前記軸方向の一端側に底部が他端側に開口部がそれぞれ形成されており周方向に沿う内周面が形成され回転軸に固定された回転子鉄心と、該回転子鉄心の外周側に設けられた永久磁石とから構成される磁極を備えた回転子と、
前記回転子鉄心の内周側に設けられ、前記固定子巻線に発生する電圧の特性を変化させる電圧特性変化部材と
を有することを特徴とする回転電機の回転子。
【請求項2】
前記電圧特性変化部材は、前記内周面において前記底部側から前記開口部側までに亘って設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の回転子。
【請求項3】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧の特性に応じた径方向の厚さに設定された1個が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機の回転子。
【請求項4】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧が上がるほど、前記径方向の厚さが厚く設定される
ことを特徴とする請求項3に記載の回転電機の回転子。
【請求項5】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧の特性に応じ径方向に複数個に分割されている
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機の回転子。
【請求項6】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧が上がる程、前記径方向の外周側から内周側に向かって多くの個数が設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の回転電機の回転子。
【請求項7】
複数の前記電圧特性変化部材は、前記径方向の厚さが互いに同様に形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の回転電機の回転子。
【請求項8】
複数の前記電圧特性変化部材は、前記径方向の厚さが異なるよう形成されたものを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の回転電機の回転子。
【請求項9】
前記電圧特性変化部材は、前記内周面における前記軸方向の一端側端部から他端側端部までに亘って設けられる
ことを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れかに記載の回転電機の回転子。
【請求項10】
前記電圧特性変化部材は、前記軸方向の一端側端部から他端側端部までに亘って隙間なく設けられる
ことを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れかに記載の回転電機の回転子。
【請求項11】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧の特性に応じ前記内周面において前記軸方向に複数個に分割されている
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の回転子。
【請求項12】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧が上がる程、前記軸方向の一端側から他端側に向かって多くの個数が設けられる
ことを特徴とする請求項11に記載の回転電機の回転子。
【請求項13】
複数の前記電圧特性変化部材は、前記軸方向の幅が互いに同様に形成されている
ことを特徴とする請求項12に記載の回転電機の回転子。
【請求項14】
複数の前記電圧特性変化部材は、前記軸方向の幅が異なるよう形成されたものを含む
ことを特徴とする請求項12に記載の回転電機の回転子。
【請求項15】
前記電圧特性変化部材は、前記回転子鉄心に対し着脱可能に設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項14の何れかに記載の回転電機の回転子。
【請求項16】
前記電圧特性変化部材は、金属である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れかに記載の回転電機の回転子。
【請求項17】
前記電圧特性変化部材は、前記回転子鉄心と同様の素材の環状鋼板である
ことを特徴とする請求項16に記載の回転電機の回転子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機の回転子に関し、例えば回転子と固定子とを有する発電機に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固定子及び回転子を有するモータが広く知られている。このようなモータにおいては、固定子が、固定子鉄心と、該固定子鉄心の内周側のスロット内に収められた固定子巻線とにより構成されており、回転子が、固定子の内周側に設けられており、回転子鉄心と、回転子鉄心の外周側に設けられた永久磁石とにより構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このようなモータにおいては、永久磁石によって形成される回転磁界が固定子巻線と鎖交することで電磁誘導が起こって固定子巻線に電圧が発生し、外部に設けられた自動電圧調整器へ交流電流を供給する。自動電圧調整器は、この交流電流を直流電流に変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなモータにおいては、自動電圧調整器の要求電圧に合わせて固定子巻線に発生させる電圧特性を変化させることが求められている。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成により電圧特性を変化させ得る回転電機の回転子を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の回転電機の回転子においては、磁性鋼板を軸方向に積層して形成された固定子鉄心と該固定子鉄心に設けられたスロットに収められた固定子巻線とから構成される固定子と、固定子の内周側において、軸方向の一端側に底部が他端側に開口部がそれぞれ形成されており周方向に沿う内周面が形成され回転軸に固定された回転子鉄心と、該回転子鉄心の外周側に設けられた永久磁石とから構成される磁極を備えた回転子と、回転子鉄心の内周側に設けられ、固定子巻線に発生する電圧の特性を変化させる電圧特性変化部材とを設けるようにした。
【0007】
本発明は、回転子鉄心の内周側に存在する電圧特性変化部材の体積を変化させて磁束線が貫く電圧特性変化部材の面積を変化させることにより、固定子巻線に発生する電圧を変化させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成により電圧特性を変化させ得る回転電機の回転子を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】発電機の構成を示し、軸方向における断面図である。
【
図2】第1の実施の形態による励磁用PMGの構成を示し、(A)は、下半分が径方向から見た外観図、上半分が(B)におけるB-B矢視断面図であり、(B)は、下半分が(A)におけるA矢視外観図、上半分が励磁用PMG固定子フレームの軸方向端面を透過した、(A)におけるA矢視図である。
【
図3】第1の実施の形態による励磁用PMG回転子の構成を示し、(A)は、下半分が径方向から見た外観図、上半分が(B)におけるB-B矢視断面図であり、(B)は、(A)におけるA矢視外観図である。
【
図4】第2の実施の形態による励磁用PMG回転子の構成を示し、(A)は、下半分が径方向から見た外観図、上半分が(B)におけるB-B矢視断面図であり、(B)は、(A)におけるA矢視外観図である。
【
図5】第3の実施の形態による励磁用PMG回転子の構成を示し、(A)は、下半分が径方向から見た外観図、上半分が(B)におけるB-B矢視断面図であり、(B)は、(A)におけるA矢視外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0011】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.発電機の構成]
図1に示すように、発電機1は、主に、固定子10と、回転子12と、回転軸14と、回転軸14を支える2個の軸受16とにより構成されている。原動機2は、エンジン、タービンや水車等であり、発電機1に回転力を与えて発電機1内の各機構を回転させることにより、発電を行う。なお、原動機2に近い側の軸受16は省略される場合もある。
【0012】
以下では、回転軸14が沿う方向を軸方向Daとし、回転子12、励磁機回転子22及び励磁用PMG回転子34が回転する方向を周方向Dc(
図2)とする。また、軸方向Daに関し、原動機2に近接する側を駆動源近接側とも呼び、原動機2から離隔する側を駆動源離隔側とも呼ぶ。さらに、軸方向Daから見た際に回転軸14の回転軸中心Raへ近接する方向を内周方向とし、軸方向Daから見た際に回転軸14の回転軸中心Raから離隔する方向を外周方向と呼ぶ。さらに軸方向Daに直交し内周方向と外周方向とに沿う方向を径方向Ddとも呼ぶ。さらに径方向Ddに関し、回転軸14の回転軸中心Raに近接する側を内側又は内周側とも呼び、回転軸14の回転軸中心Raから離隔する側を外側又は外周側とも呼ぶ。
【0013】
固定子10は、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層された固定子鉄心10aと、固定子鉄心10aの内周側のスロット内に収められた固定子巻線10bとにより構成されている。回転子12は、環状の固定子10の内周側に設けられた突極型磁極であり、電磁鋼板が軸方向Daに積層された回転子鉄心12aと、回転子鉄心12aに巻回する回転子巻線12bとにより構成されている。
【0014】
回転軸14は、円柱形状であり軸方向Daに沿って延設されており、中心である回転軸中心Raを軸として周方向Dcへ回転する。この回転軸14は、駆動源近接側の端部が原動機2と直結しており、駆動源離隔側の端部に励磁用PMG(Permanent Magnet Generator)30が設けられている。
【0015】
励磁機固定子20は、固定子10と、該固定子10に対し励磁用PMG30側に位置する軸受16(すなわち駆動源離隔側の軸受16)との間に設けられている。この励磁機固定子20は、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層された励磁機固定子鉄心20aと、励磁機固定子鉄心20aの内周側のスロット内に収められた励磁機固定子巻線20bとにより構成されている。励磁機回転子22は、環状の励磁機固定子20の内周側に設けられており、電磁鋼板が軸方向Daに積層された励磁機回転子鉄心22aと、励磁機回転子鉄心22aの外周側のスロット内に収められた励磁機回転子巻線22bとにより構成されている。
【0016】
励磁用PMG30は、励磁用永久磁石発電機であり、回転軸14において、回転子12に対し原動機2とは逆側の端部(すなわち駆動源離隔側の端部)に設けられている。
【0017】
[1-2.励磁用PMGの構成]
図2に示すように励磁用PMG30は、励磁用PMG固定子32と、励磁用PMG回転子34と、励磁用PMG固定子フレーム36とにより構成されている回転電機である。
【0018】
励磁用PMG固定子32は、環状の電磁鋼板が軸方向Daに積層された励磁用PMG固定子鉄心32aと、励磁用PMG固定子鉄心32aの内周側のスロット内に収められた励磁用PMG固定子巻線32bとにより構成されている。励磁用PMG固定子鉄心32aは、励磁用PMG固定子フレーム36に焼嵌めで固定されている。励磁用PMG固定子フレーム36は、駆動源離隔側の端部が閉口し駆動源近接側の端部が開口する中空の円柱形状であり、励磁用PMG固定子32及び励磁用PMG回転子34を囲っており、一端部が軸受16に固定されている。
【0019】
[1-3.励磁用PMG回転子の構成]
励磁用PMG回転子34は、環状の励磁用PMG固定子32の内周側に設けられており、励磁用PMG回転子鉄心34a(詳細は後述する)と、励磁用PMG回転子鉄心34aの外周側に設けられた永久磁石34bと、テープ34cとにより構成されている。永久磁石34bは、励磁用PMG回転子鉄心34aの外周側の表面に吸着しており、励磁用PMG回転子鉄心34aの外周面との間に接着剤が塗布されることにより、励磁用PMG回転子鉄心34aに対し吸着位置がずれることが防止されている。また永久磁石34bの外周面を含む励磁用PMG回転子34の外周面には、励磁用PMG回転子34の外周面を覆うようにテープ34cが巻き付けられている。これにより励磁用PMG30は、永久磁石34bの表面を保護すると共に、永久磁石34b同士の反発力により励磁用PMG回転子鉄心34aに対し永久磁石34bの吸着位置がずれることを防止している。
【0020】
[1-4.励磁用PMG回転子鉄心の構成]
図3に示すように、励磁用PMG回転子鉄心34aは、全体として、駆動源近接側の端部が閉口し駆動源離隔側の端部が開口する中空の円柱形状であり、いわゆる、椀形状となっている。この励磁用PMG回転子鉄心34aは、底面部34aB及び側面部34aSにより構成されており、底面部34aBと側面部34aSとにより囲まれた円柱形状の内部空間34aPが形成されている。すなわち励磁用PMG回転子鉄心34aは、中実の円柱形状の内側が、駆動源離隔側から駆動源近接側に向かって円柱形状に凹んだような形状となっている。
【0021】
底面部34aBは、励磁用PMG回転子鉄心34aにおける駆動源近接側の端部に形成されており、略円盤形状である。また底面部34aBは、駆動源近接側の端面が回転軸14に固定されている。この底面部34aBにおける駆動源離隔側の面には、内側底面34aBfが形成されている。内側底面34aBfは、軸方向Daに直交する径方向Ddに沿う円形状の平面である。
【0022】
側面部34aSは、底面部34aBの外周部から駆動源離隔側に向かって延びており、筒形状である。この側面部34aSにおける内周側の面には、内周面34aSfが形成されている。内周面34aSfは、側面部34aSの駆動源近接側端部から駆動源離隔側端部までに亘って軸方向Daに沿う面であり、周方向Dcに沿って全周に亘って形成されている。
【0023】
また励磁用PMG回転子鉄心34aは、駆動源離隔側の端部における側面部34aSよりも内周側において、円形状の開口部34aAが形成されている。
【0024】
ここで、励磁用PMG回転子鉄心34aの側面部34aSにおける、径方向Ddに沿う厚さを、厚さtとする。
【0025】
[1-5.環状鋼板の構成]
環状鋼板40は、励磁用PMG回転子鉄心34aと同様の素材により形成された、径方向Ddに沿った横断面が円形状である円筒形状で中実の部材であり、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周側に設けられている。この環状鋼板40は、その外周面が励磁用PMG回転子鉄心34aの内周面34aSfに隙間なく当接した状態で、励磁用PMG回転子鉄心34aにボルト締め等の方法で着脱可能に固定されている。
【0026】
また環状鋼板40は、内側底面34aBfから内周面34aSfの駆動源離隔側端面までに亘って連続的に設けられ、内周面34aSfから回転軸中心Raに向かって突出している。さらに環状鋼板40は、軸方向Daに沿った断面(
図3(A))が四角形であるため、駆動源近接側端部から駆動源離隔側端部まで(すなわち、軸方向Daの一端側端部から他端側端部まで)に亘って、径方向Ddの厚さが一定となっている。さらに環状鋼板40は、内周面34aSfにおいて周方向Dcに沿って全周に亘って連続的に形成されている。
【0027】
励磁用PMG回転子鉄心34aの厚さtが薄く、自動電圧調整器の要求電圧に満たない場合は、環状鋼板40が励磁用PMG回転子鉄心34aにボルト締めで固定される。ここで、電磁誘導により生じる電圧は、磁束が大きいほど高くなる。また磁束は、磁束線が貫通する、磁界と垂直な面積が大きいほど大きくなる。このため、励磁用PMG回転子鉄心34aに環状鋼板40が取り付けられた場合は、環状鋼板40が取り付けられていない場合と比較して、磁束線が貫く面積が大きくなり、それに比例して磁束も大きくなるため、励磁用PMG固定子巻線32bに発生する電圧が上昇する。すなわち、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周側に存在する金属である環状鋼板40の体積を増加させるほど、励磁用PMG固定子巻線32bに発生する電圧が上昇する。
【0028】
このように環状鋼板40は、要求電圧に応じた径方向Ddの厚さの1個の環状鋼板40が開口部34aAから駆動源近接側に向かって内部空間34aPへ入れ込まれることにより、励磁用PMG回転子鉄心34aに発生する電圧を上昇させる。
【0029】
[1-6.回転力から電力への変換]
かかる構成において、回転力を電力に変換する過程を説明する。初めに、原動機2が用いられ回転軸14が回転される。この時、回転軸14に設けられた励磁用PMG回転子34も同様に回転する。励磁用PMG回転子34には永久磁石34bが設けられているため、回転磁界が形成される。この回転磁界が励磁用PMG固定子巻線32bと鎖交することで電磁誘導が起こり、励磁用PMG固定子巻線32bに電圧が発生し、交流電流が発電機1外部に供給される。このとき、励磁用PMG回転子鉄心34aに環状鋼板40が取り付けられた場合は、環状鋼板40が取り付けられていない場合と比較して、励磁用PMG固定子巻線32bに発生する電圧が上昇する。
【0030】
この交流電流は、外部の制御盤に内蔵された自動電圧調整器(図示せず)により直流電流に変換され、励磁機固定子巻線20bに供給される。励磁機固定子巻線20bに直流電流が流れることでアンペールの法則により磁界が形成される。この磁界が励磁機回転子巻線22bと鎖交することで電磁誘導が起こり、励磁機回転子巻線22bに電圧が発生して交流電流が流れる。
【0031】
この交流電流は、回転軸14に設けられた整流器(図示せず)により直流電流に変換され、回転子巻線12bに供給される。回転子巻線12bに直流電流が流れることでアンペールの法則により磁界が形成される。この磁界が固定子巻線10bと鎖交することで電磁誘導が起こり、固定子巻線10bに電圧が発生して交流電流が外部負荷に供給される。
【0032】
[1-7.効果等]
以上の構成において発電機1は、励磁用PMG回転子鉄心34aを、駆動源近接側の端部が閉口し駆動源離隔側の端部が開口する中空の円柱形状とし、側面部34aSに囲まれる内部に内部空間34aPを形成するようにした。このため発電機1は、励磁用PMG回転子鉄心34aの外周面からだけでなく、内周面34aSfからも放熱させることができる。これにより発電機1は、励磁用PMG回転子鉄心34aが中実の略円柱形状である場合と比較して、励磁用PMG回転子鉄心34a及び永久磁石34bの冷却性能を向上させることができる。
【0033】
また発電機1は、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周側に環状鋼板40を取り付けるようにした。このため発電機1は、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周側に存在する金属の体積を増加させて磁束線が貫く金属の面積を大きくすることにより、励磁用PMG固定子巻線32bに発生する電圧を上昇させることができる。
【0034】
これにより発電機1は、自動電圧調整器の要求電圧に合わせた径方向Ddの厚さの環状鋼板40を励磁用PMG回転子鉄心34aに取り付けるだけで、自動電圧調整器の要求電圧に合わせた電圧を励磁用PMG固定子巻線32bに発生させることができる。よって発電機1は、励磁用PMG固定子32及び励磁用PMG回転子34は共通のまま、励磁用PMG回転子鉄心34aに取り付ける環状鋼板40における径方向Ddの厚さを変更するだけで、励磁用PMG固定子巻線32bに発生させる電圧を調整できる。かくして発電機1は、自動電圧調整器の要求電圧に合わせて励磁用PMG30をその都度設計する必要をなくすことができる。
【0035】
また発電機1は、励磁用PMG固定子32及び励磁用PMG回転子34は共通のまま、様々な径方向Ddの厚さで製作された環状鋼板40が励磁用PMG回転子鉄心34aに取り付けられるだけで、励磁用PMG30の電圧特性が異なるラインナップを増やすことができる。
【0036】
以上の構成によれば発電機1は、磁性鋼板を軸方向Daに積層して形成された固定子鉄心としての励磁用PMG固定子鉄心32aと該励磁用PMG固定子鉄心32aに設けられたスロットに収められた固定子巻線としての励磁用PMG固定子巻線32bとから構成される励磁用PMG固定子32と、励磁用PMG固定子32の内周側において、軸方向Daの一端側である駆動源近接側に底面部34aBが他端側である駆動源離隔側に開口部34aAがそれぞれ形成されており周方向Dcに沿う内周面34aSfが形成され回転軸14に固定された回転子鉄心としての励磁用PMG回転子鉄心34aと、該励磁用PMG回転子鉄心34aの外周側に設けられた永久磁石34bとから構成される磁極を備えた励磁用PMG回転子34と、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周側に設けられ、励磁用PMG固定子巻線32bに発生する電圧の特性を変化させる環状鋼板40とを設けるようにした。
【0037】
このため発電機1は、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周側に存在する金属である環状鋼板40の体積を変化させて磁束線が貫く金属の面積を変化させることにより、励磁用PMG固定子巻線32bに発生する電圧を変化させることができる。
【0038】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.発電機の構成]
第2の実施の形態による発電機(図示せず)は、第1の実施の形態による発電機1と比較して、励磁用PMG30に代わる励磁用PMG(図示せず)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0039】
[2-2.励磁用PMGの構成]
図3と対応する部材に同一符号を付した
図4に示すように、第2の実施の形態による励磁用PMGは、第1の実施の形態による励磁用PMG30と比較して、励磁用PMG回転子34に代わる励磁用PMG回転子134を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0040】
[2-3.励磁用PMG回転子の構成]
励磁用PMG回転子134は、第1の実施の形態による励磁用PMG回転子34と比較して、1個の環状鋼板40に代わる複数の環状鋼板140を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0041】
[2-4.環状鋼板の構成]
環状鋼板140は、環状鋼板40と比較して、径方向Ddに関し物理的に分割されており、例えば3個である複数個設けられている。このため環状鋼板140は、最も外周側に設けられた環状鋼板140から内周側に設けられた環状鋼板140に向かうに連れて、徐々にその外径が小さくなっている。それぞれの環状鋼板140は、励磁用PMG回転子鉄心34aと同様の素材により形成された、径方向Ddに沿った横断面が円形状である円筒形状で中実の部材である。
【0042】
最も外周側の環状鋼板140は、その外周面が励磁用PMG回転子鉄心34aの内周面34aSfに隙間なく当接した状態で、励磁用PMG回転子鉄心34aにボルト締め等の方法で着脱可能に固定されている。また最も外周側の環状鋼板140よりも内周側の環状鋼板140は、その外周面が外周側に隣接する環状鋼板140の内周面に隙間なく当接した状態で、ボルト締め等の方法で着脱可能に固定されている。このように全ての環状鋼板140は、励磁用PMG回転子鉄心34aに対し着脱可能に固定されている。
【0043】
この環状鋼板140は、内側底面34aBfから内周面34aSfの駆動源離隔側端面までに亘って、径方向Ddに隣接する環状鋼板140同士が互いに隙間なく当接しつつ、全体として内周面34aSfから回転軸中心Raに向かって突出している。それぞれの環状鋼板140は、互いに径方向Ddの厚さが同一である。
【0044】
またそれぞれの環状鋼板140は、径方向Ddの厚さが薄い薄板状であり、軸方向Daに沿った断面(
図4(A))が四角形であるため、駆動源近接側端部から駆動源離隔側端部までに亘って、径方向Ddの厚さが一定となっている。さらにそれぞれの環状鋼板140は、周方向Dcに沿って全周に亘って連続的に形成されている。
【0045】
この環状鋼板140は、内周面34aSfに当接する箇所から径方向Ddに沿って積層するように、回転軸中心Ra(すなわち内周側)に向かって、開口部34aAから要求電圧に応じた所定個数だけ、徐々に外径が小さい環状鋼板140が順次内部空間34aPへ入れ込まれる。すなわち環状鋼板140は、要求電圧が高いほど多くの個数が順次内部空間34aPへ入れ込まれる。これにより環状鋼板140は、励磁用PMG回転子鉄心34aに発生する電圧を上昇させる。
【0046】
このように励磁用PMG回転子134は、励磁用PMG回転子鉄心34aに固定される環状鋼板140の個数が変更されることにより、自動電圧調整器の要求電圧に合わせて励磁用PMG固定子巻線32bに発生させる電圧を微調整できる。
【0047】
その他の点においても、第2の実施の形態による励磁用PMG回転子134は、第1の実施の形態による励磁用PMG回転子34と同様の作用効果を奏し得る。
【0048】
[3.第3の実施の形態]
[3-1.発電機の構成]
第3の実施の形態による発電機(図示せず)は、第1の実施の形態による発電機1と比較して、励磁用PMG30に代わる励磁用PMG(図示せず)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0049】
[3-2.励磁用PMGの構成]
図3と対応する部材に同一符号を付した
図5に示すように、第3の実施の形態による励磁用PMGは、第1の実施の形態による励磁用PMG30と比較して、励磁用PMG回転子34に代わる励磁用PMG回転子234を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0050】
[3-3.励磁用PMG回転子の構成]
励磁用PMG回転子234は、第1の実施の形態による励磁用PMG回転子34と比較して、1個の環状鋼板40に代わる複数の環状鋼板240を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0051】
[3-4.環状鋼板の構成]
環状鋼板240は、環状鋼板40と比較して、軸方向Daに関し物理的に分割されており、例えば8個である複数個設けられている。それぞれの環状鋼板240は、励磁用PMG回転子鉄心34aと同様の素材により形成された、径方向Ddに沿った横断面が円形状であるリング形状で中実の部材である。
【0052】
この環状鋼板240は、その外周面が励磁用PMG回転子鉄心34aの内周面34aSfに隙間なく当接した状態で、励磁用PMG回転子鉄心34aにボルト締め等の方法で着脱可能に固定されている。またこれら環状鋼板240は、内側底面34aBfから内周面34aSfの駆動源離隔側端面までに亘って、軸方向Daに隣接する環状鋼板240が互いに隙間なく当接しつつ、内周面34aSfから回転軸中心Raに向かって突出している。また複数の環状鋼板240同士は、互いにボルト締め等では固定されない。このように全ての環状鋼板240は、励磁用PMG回転子鉄心34aに対し着脱可能に固定されている。それぞれの環状鋼板240は、互いに軸方向Daの幅が同一である。
【0053】
またそれぞれの環状鋼板240は、例えば軸方向Daの幅よりも径方向Ddの高さの方が高く、横断面(
図5(A))が四角形であるため、外周側端部から内周側端部まで(すなわち、径方向Ddの一端側端部から他端側端部まで)に亘って、軸方向Daの幅が一定となっている。さらにそれぞれの環状鋼板240は、内周面34aSfにおいて周方向Dcに沿って全周に亘って連続的に形成されている。
【0054】
この環状鋼板240は、内側底面34aBfに当接する箇所から軸方向Daに沿って積層するように、駆動源離隔側に向かって、開口部34aAから要求電圧に応じた所定個数だけ順次内部空間34aPへ入れ込まれる。このとき、最も駆動源近接側に位置する環状鋼板240は内側底面34aBfに隙間なく当接した状態となると共に、軸方向Daに隣接する環状鋼板240も、互いに隙間なく当接した状態となる。
【0055】
環状鋼板240は、要求電圧が高いほど多くの個数が順次内部空間34aPへ入れ込まれる。これにより環状鋼板240は、励磁用PMG回転子鉄心34aに発生する電圧を上昇させる。このため要求電圧によっては、環状鋼板240は、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周面34aSfにおける駆動源近接側に設けられるものの駆動源離隔側には設けられないこととなり、内周面34aSfにおける軸方向Daの一端側から他端側までに亘って設けられていない場合もある。
【0056】
このように励磁用PMG回転子234は、励磁用PMG回転子鉄心34aに固定される環状鋼板240の個数が変更されることにより、自動電圧調整器の要求電圧に合わせて励磁用PMG固定子巻線32bに発生させる電圧を微調整できる。
【0057】
その他の点においても、第3の実施の形態による励磁用PMG回転子234は、第1の実施の形態による励磁用PMG回転子34と同様の作用効果を奏し得る。
【0058】
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、環状鋼板40を内周面34aSfにおいて周方向Dcに沿って全周に亘って連続的に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、環状鋼板40を例えば軸方向Daに沿って分割し、内周面34aSfにおいて周方向Dcに関し一部分に切れ目が形成された状態で形成しても良い。この場合、切れ目の部分に隙間があると隙間部分に空気の層が形成されてしまい、想定していた電圧が発生しない可能性があるため、切れ目の部分には隙間がないことが好ましい。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0059】
また上述した第1の実施の形態においては、環状鋼板40を内周面34aSfにおいて内側底面34aBfから内周面34aSfの駆動源離隔側端面までに亘って連続的に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、環状鋼板40を例えば径方向Ddに沿って分割し、内周面34aSfにおいて内側底面34aBfから内周面34aSfの駆動源離隔側端面までの間で一部分に切れ目が形成された状態で形成しても良い。この場合、切れ目の部分に隙間があると隙間部分に空気の層が形成されてしまい、想定していた電圧が発生しない可能性があるため、切れ目の部分には隙間がないことが好ましい。第2の実施の形態においても同様である。
【0060】
さらに上述した第1の実施の形態においては、環状鋼板40を、励磁用PMG回転子鉄心34aと同様の素材により形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、他の種々の素材により形成しても良い。要は、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周側に存在する金属の径方向Ddの厚さ又は軸方向Daの長さを変化させることにより、該金属の体積を変化させて磁束線が貫く金属の面積を変化させることにより、励磁用PMG固定子巻線32bに発生させる電圧を変化させる素材であれと良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0061】
さらに上述した第1の実施の形態においては、環状鋼板40を励磁用PMG回転子鉄心34aにボルト締めで着脱可能に固定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、環状鋼板40を焼嵌め等の他の種々の方法で励磁用PMG回転子鉄心34aに固定しても良い。その場合、環状鋼板40が励磁用PMG回転子鉄心34aに着脱可能であると好ましい。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0062】
さらに上述した第1の実施の形態においては、環状鋼板40を内周面34aSfにおける軸方向Daの一端側端部から他端側端部まで(すなわち、内側底面34aBfから内周面34aSfの駆動源離隔側端面まで)に亘って設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、環状鋼板40を内周面34aSfにおける軸方向Daの一端側端部から他端側端部までの間よりも狭い任意の範囲に亘って設けても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0063】
さらに上述した第2の実施の形態においては、3個の環状鋼板140を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、2個又は4個以上の任意の個数の環状鋼板140を設け、要求電圧に応じて環状鋼板140の数を増減させても良い。
【0064】
さらに上述した第2の実施の形態においては、3個の環状鋼板140の径方向Ddの厚さを互いに同一にする場合について述べた。本発明はこれに限らず、少なくとも1個の環状鋼板140の径方向Ddの厚さを他の環状鋼板140と異なる厚さとしても良い。その場合、例えば、厚さが厚い環状鋼板140を励磁用PMG回転子鉄心34aに固定して電圧を大まかに調整してから、厚さが薄い環状鋼板140を厚さが厚い環状鋼板140に固定して電圧を微調整しても良い。
【0065】
さらに上述した第3の実施の形態においては、8個の環状鋼板240を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、2個~7個又は9個以上の任意の個数の環状鋼板240を設け、要求電圧に応じて環状鋼板240の数を増減させても良い。
【0066】
さらに上述した第3の実施の形態においては、8個の環状鋼板240の軸方向Daの幅さを互いに同一にする場合について述べた。本発明はこれに限らず、少なくとも1個の環状鋼板240の軸方向Daの幅を他の環状鋼板240と異なる長さとしても良い。その場合、例えば、幅が広い環状鋼板240を励磁用PMG回転子鉄心34aに固定して電圧を大まかに調整してから、幅が狭い環状鋼板240を励磁用PMG回転子鉄心34aに固定して電圧を微調整しても良い。
【0067】
さらに上述した第3の実施の形態においては、環状鋼板240が励磁用PMG回転子鉄心34aにボルト締めで固定されるものの、環状鋼板240同士はボルト締めにより固定されない場合について述べた。本発明はこれに限らず、環状鋼板240が励磁用PMG回転子鉄心34aにボルト締めで固定されつつ、環状鋼板240同士も例えばボルト締め等により固定されても良い。
【0068】
さらに上述した第1の実施の形態においては、励磁用PMG30に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、他の種々の回転電機に本発明を適用しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【0069】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また、本発明は、上述した各実施の形態及び上述した他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用する場合や、該抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加する場合にも本発明の適用範囲が及ぶものである。例えば、第2の実施の形態と第3の実施の形態とを組み合わせ、励磁用PMG回転子鉄心34aの内周面34aSfに所定個数の環状鋼板140を固定し、その環状鋼板140の内周面に所定個数の環状鋼板240を固定しても良い。また例えば、それぞれの環状鋼板240を、環状鋼板140のように径方向Ddに関し物理的に分割させても良い。
【0070】
さらに上述した第1の実施の形態においては、固定子としての励磁用PMG固定子32と、回転子としての励磁用PMG回転子34と、電圧特性変化部材としての環状鋼板40によって、回転電機としての発電機1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる固定子と、回転子と、電圧特性変化部材とによって、発電機を構成しても良い。第2及び第3の実施の形態においても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、回転子鉄心の外周側に永久磁石が設けられた発電機において利用できる。
【符号の説明】
【0072】
1……発電機、2……原動機、10……固定子、10a……固定子鉄心、10b……固定子巻線、12……回転子、12a……回転子鉄心、12b……回転子巻線、14……回転軸、16……軸受、Ra……回転軸中心、20……励磁機固定子、20a……励磁機固定子鉄心、20b……励磁機固定子巻線、22……励磁機回転子、22a……励磁機回転子鉄心、22b……励磁機回転子巻線、30……励磁用PMG、32……励磁用PMG固定子、32a……励磁用PMG固定子鉄心、32b……励磁用PMG固定子巻線、34、134、234……励磁用PMG回転子、34a……励磁用PMG回転子鉄心、34aB……底面部、34aS……側面部、34aBf……内側底面、34aSf……内周面、34aA……開口部、34aP……内部空間、34b……永久磁石、34c……テープ、36……励磁用PMG固定子フレーム、40、140、240……環状鋼板、Da……軸方向、Dd……径方向、Dc……周方向。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性鋼板を軸方向に積層して形成された固定子鉄心と該固定子鉄心に設けられたスロットに収められた固定子巻線とから構成される固定子と、
前記固定子の内周側において、前記軸方向の一端側に底部が他端側に開口部がそれぞれ形成されており周方向に沿う内周面が形成され回転軸に固定された回転子鉄心と、該回転子鉄心の外周側に設けられた永久磁石とから構成される磁極を備えた回転子と、
前記回転子鉄心に対し着脱可能に設けられ、径方向に関し前記回転子鉄心における前記内周面のみに当接して該内周面から内周側に向かって突出し、前記回転子鉄心における前記軸方向の前記他端側よりも前記一端側に配置された状態で、前記固定子巻線に発生する電圧の特性を変化させる電圧特性変化部材と
を有することを特徴とする回転電機の回転子。
【請求項2】
前記電圧特性変化部材は、前記内周面において前記底部側から前記開口部側までに亘って設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の回転子。
【請求項3】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧の特性に応じた径方向の厚さに設定された1個が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機の回転子。
【請求項4】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧が上がるほど、前記径方向の厚さが厚く設定される
ことを特徴とする請求項3に記載の回転電機の回転子。
【請求項5】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧の特性に応じ径方向に複数個に分割されている
ことを特徴とする請求項2に記載の回転電機の回転子。
【請求項6】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧が上がる程、前記径方向の外周側から内周側に向かって多くの個数が設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の回転電機の回転子。
【請求項7】
複数の前記電圧特性変化部材は、前記径方向の厚さが互いに同様に形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載の回転電機の回転子。
【請求項8】
複数の前記電圧特性変化部材は、前記径方向の厚さが異なるよう形成されたものを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の回転電機の回転子。
【請求項9】
前記電圧特性変化部材は、前記内周面における前記軸方向の一端側端部から他端側端部までに亘って設けられる
ことを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れかに記載の回転電機の回転子。
【請求項10】
前記電圧特性変化部材は、前記軸方向の一端側端部から他端側端部までに亘って隙間なく設けられる
ことを特徴とする請求項2乃至請求項8の何れかに記載の回転電機の回転子。
【請求項11】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧の特性に応じ前記内周面において前記軸方向に複数個に分割されている
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機の回転子。
【請求項12】
前記電圧特性変化部材は、前記固定子巻線に発生させる電圧が上がる程、前記軸方向の一端側から他端側に向かって多くの個数が設けられる
ことを特徴とする請求項11に記載の回転電機の回転子。
【請求項13】
複数の前記電圧特性変化部材は、前記軸方向の幅が互いに同様に形成されている
ことを特徴とする請求項12に記載の回転電機の回転子。
【請求項14】
複数の前記電圧特性変化部材は、前記軸方向の幅が異なるよう形成されたものを含む
ことを特徴とする請求項12に記載の回転電機の回転子。
【請求項15】
前記電圧特性変化部材は、金属である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項14の何れかに記載の回転電機の回転子。
【請求項16】
前記電圧特性変化部材は、前記回転子鉄心と同様の素材の環状鋼板である
ことを特徴とする請求項15に記載の回転電機の回転子。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の回転電機の回転子においては、磁性鋼板を軸方向に積層して形成された固定子鉄心と該固定子鉄心に設けられたスロットに収められた固定子巻線とから構成される固定子と、固定子の内周側において、軸方向の一端側に底部が他端側に開口部がそれぞれ形成されており周方向に沿う内周面が形成され回転軸に固定された回転子鉄心と、該回転子鉄心の外周側に設けられた永久磁石とから構成される磁極を備えた回転子と、回転子鉄心に対し着脱可能に設けられ、径方向に関し回転子鉄心における内周面のみに当接して該内周面から内周側に向かって突出し、回転子鉄心における軸方向の他端側よりも一端側に配置された状態で、固定子巻線に発生する電圧の特性を変化させる電圧特性変化部材とを設けるようにした。