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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071403
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】同期整流制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
H02M3/155 P
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184160
(22)【出願日】2021-11-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】駿河 賢人
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE13
5H730FF02
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】コンバータに同期整流の機能を持たせた場合でも高いDUTYで動作させることができる同期整流制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る制御装置は、DC/DCコンバータ301の主スイッチ11と副スイッチ12の動作を制御する制御装置であって、
電圧が上昇する上昇時間と下降する下降時間が存在する三角波Sを用い、三角波Sの電圧と閾値(誤差増幅信号S)との比較により主スイッチ11をオンオフする主スイッチゲート信号Gを発生させる主スイッチ用回路と、
前記上昇時間と前記下降時間のうちの一方の期間に三角波Sの電圧が前記閾値となったときから所定時間(デッドタイム)後に前記副スイッチをオンとし、前記期間が終了したときに前記副スイッチをオフとする副スイッチゲート信号Gを発生させる同期整流用回路と、
を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC/DCコンバータの主スイッチと副スイッチの動作を制御する制御装置であって、
電圧が上昇する上昇時間と下降する下降時間が存在する三角波を用い、前記三角波の電圧と閾値との比較により前記主スイッチをオンオフする主スイッチゲート信号を発生させる主スイッチ用回路と、
前記上昇時間と前記下降時間のうちの一方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときから所定時間(デッドタイム)後に前記副スイッチをオンとし、前記期間が終了したときに前記副スイッチをオフとする副スイッチゲート信号を発生させる同期整流用回路と、
を備えることを特徴とする同期整流制御装置。
【請求項2】
前記同期整流用回路は、前記主スイッチをオフする時間が前記所定時間より短くなった場合、前記副スイッチをオフとする前記副スイッチゲート信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の同期整流制御装置。
【請求項3】
前記同期整流用回路は、前記期間が終了したときから一定の固定時間後に前記主スイッチゲート信号を確認し、前記主スイッチゲート信号が前記主スイッチをオフとする値であれば、前記副スイッチをオフとする前記副スイッチゲート信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の同期整流制御装置。
【請求項4】
前記固定時間は2種類であり、
前記固定時間の一方は、前記主スイッチゲート信号の、前記主スイッチをオンとする値の時間が減少していくときに使用され、
前記固定時間の他方は、前記主スイッチゲート信号の、前記主スイッチをオンとする値の時間が増加していくときに使用され、前記固定時間の一方より長い
ことを特徴とする請求項3に記載の同期整流制御装置。
【請求項5】
前記上昇時間と前記下降時間とは同じ長さの時間ではなく、前記期間は前記上昇時間と前記下降時間のうちの長い方であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の同期整流制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンバータの同期整流動作を制御する同期整流制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバータのパワー半導体の損失を低減する方法として同期整流方式がある。同期整流方式は、主スイッチと副スイッチ(同期整流スイッチ)の2つのパワー半導体から成る。この主スイッチを駆動するゲート信号は、例えば、非特許文献1のようにのこぎり波状に変化するキャリア信号と所定の電圧とを比較して生成される。副スイッチのゲート信号は主スイッチとなるパワー半導体のゲート信号の論理反転をさせて生成する(図1を参照。)。このとき2つのパワー半導体が同時にオンすることを防ぐために双方のパワー半導体がオフとなるデッドタイムを設けることが一般的である(例えば、特許文献1を参照。)。本明細書では、図2のようなDC/DCコンバータの符号11で示したパワー半導体を「主スイッチ」、符号12で示した同期整流用のパワー半導体を「副スイッチ」として説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-070059号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】堀 孝正 編著、「パワーエレクトロニクス」、オーム社、2008年11月11日出版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1に示すように、同期整流方式のコンバータの主スイッチ及び副スイッチには、ゲート信号にデッドタイムを設ける必要がある。このデッドタイムの存在で主スイッチをオンにできる期間に上限があり、高いデューティ(DUTY)で動作させることが困難である。
【0006】
つまり、従来の同期整流には、スイッチング周期の中で、主スイッチのゲート信号に設けたデッドタイム分だけ主スイッチをオンにできる時間が削られ、高いDUTYで動作させることが困難という課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、前記課題を解決するために、コンバータに同期整流の機能を持たせた場合でも高いDUTYで動作させることができる同期整流制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る同期整流制御装置は、同期整流を行う副スイッチのゲート信号のみにデッドタイムを設けることとした。
【0009】
具体的には、本発明に係る制御装置は、DC/DCコンバータの主スイッチと副スイッチの動作を制御する制御装置であって、
電圧が上昇する上昇時間と下降する下降時間が存在する三角波を用い、前記三角波の電圧と閾値との比較により前記主スイッチをオンオフする主スイッチゲート信号を発生させる主スイッチ用回路と、
前記上昇時間と前記下降時間のうちの一方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときから所定時間(デッドタイム)後に前記副スイッチをオンとし、前記期間が終了したときに前記副スイッチをオフとする副スイッチゲート信号を発生させる同期整流用回路と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る制御装置及びその方法は、PWMに必要となるキャリア信号として三角波を使用する。この三角波と閾値との比較結果をHIGH及びLOWのデジタル信号に置き換えて主スイッチのゲート信号とする。さらに主スイッチのゲート信号を利用して主スイッチと副スイッチとが同時オンとなることを回避する副スイッチ用のゲート信号を作る。これにより、主スイッチにデッドタイムを設ける必要がなくなり、コンバータを高いDUTYで動作させることができる。
なお、三角波は上昇時間と下降時間とが異なるように設定することが好ましい。このように設定することで、スイッチング周期の中で同期整流が可能となる割合をできる限り増やすことができる。
従って、本発明は、コンバータに同期整流の機能を持たせた場合でも高いDUTYで動作させることができる同期整流制御装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、コンバータに同期整流の機能を持たせた場合でも高いDUTYで動作させることができる同期整流制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の課題を説明する図である。
図2】本発明に係る制御装置を備えるDC/DCコンバータを説明する図である。
図3】本発明に係る制御装置を説明する図である。
図4】本発明に係る制御装置の動作を説明する図である。
図5】本発明に係る制御装置の動作を説明する図である。
図6】本発明に係る制御装置の動作を説明する図である。
図7】本発明に係る制御装置の動作を説明する図である。
図8】本発明に係る制御装置を備えるDC/DCコンバータを説明する図である。
図9】本発明に係る制御装置を備えるDC/DCコンバータを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0014】
(実施形態1)
図2は、本実施形態の制御装置50が接続されたDC/DCコンバータ301を説明する図である。DC/DCコンバータ301は、主スイッチ11、副スイッチ12、インダクタ13、及びコンデンサ14を備える。
【0015】
制御装置50は、DC/DCコンバータ301の主スイッチ11と副スイッチ12の動作を制御する制御装置であって、
電圧が上昇する上昇時間と下降する下降時間が存在する三角波Sを用い、三角波Sの電圧と閾値(誤差増幅信号S)との比較により主スイッチ11をオンオフする主スイッチゲート信号Gを発生させる主スイッチ用回路と、
前記上昇時間と前記下降時間のうちの一方の期間に三角波Sの電圧が前記閾値となったときから所定時間(デッドタイム)後に副スイッチ12をオンとし、前記期間が終了したときに副スイッチ12をオフとする副スイッチゲート信号Gを発生させる同期整流用回路と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
図3は、誤差増幅信号S、三角波S、及び判定信号Sから主スイッチゲート信号Gと副スイッチゲート信号Gを生成する制御装置50の回路構成を説明する図である。制御装置50は、コンパレータ51、反転器52、デッドタイム生成器53、反転器54、論理積回路55、及び論理積回路56を備える。このうち、コンパレータ51が主スイッチ用回路に相当し、反転器52、デッドタイム生成器53、反転器54、論理積回路55、及び論理積回路56が同期整流用回路に相当する。
【0017】
また、図4は、制御装置50の回路各所(A~I)における信号のタイミングチャートである。波形W1は誤差増幅信号S、波形W2は三角波S、波形W3は判定信号S、波形W4は主スイッチゲート信号G、波形W5は主スイッチゲート信号Gの論理反転信号、波形W7は副スイッチ12用のデッドタイム、波形W8は副スイッチゲート信号Gである。なお、前記の「閾値」とは誤差増幅信号Sの波形W1である。
【0018】
なお、図3の回路は一例であって、図4のような信号が得られるような回路であればどのような回路であっても構わない。図3の回路であれば、コンパレータ51が前記主スイッチ用回路に相当し、反転器52、デッドタイム生成器53、反転器54、論理積回路55、及び論理積回路56が前記同期整流用回路に相当する。
また、図4の各波形はHIGHとLOWで構成されるが、タイミングが合えば波形毎にHIGHとLOWが逆であってもよい。
【0019】
制御装置50が使用する三角波Sは、電圧が上昇する上昇時間と下降する下降時間が存在する三角波の波形W2である。ここで、波形W2は、図1のようなのこぎり波(上昇又は下降の時間が限りなくゼロに近い波形)ではない。のこぎり波であると、電圧の上昇時間と下降時間を判別できなくなる。後述するように、判定信号S3は、波形W1の上昇時間をHIGH及び電圧の下降時間をLOWとした波形であり、HIGHが同期整流可能期間、LOWが同期整流禁止期間を表わすパルスである。波形W1がのこぎり波である場合、同期整流禁止期間が無くなり、主スイッチ11と副スイッチ12とが同時にオンとなる場合が発生する。下降時間を禁止期間とすることで同期整流はオフとなり、主スイッチ11と副スイッチ12が同時にオンとなることを防ぐ。
【0020】
また、三角波Sは、前記上昇時間と前記下降時間とが同じ長さの時間ではなく、前記期間が前記上昇時間と前記下降時間のうちの長い方であることが好ましい。つまり、三角波S2は同期整流可能期間となる期間の方が長いことが好ましい。上昇時間と下降時間とが50:50であるとスイッチング周期の中で少なくとも半分は同期整流できないことなり、同期整流可能期間が短くなる。
【0021】
図4の例では、上昇時間が長い波形の三角波Sを説明している。三角波Sの電圧上昇時間をHIGH、電圧下降時間をLOWとした波形W3の判定信号Sを生成する。なお、下降時間が長い逆相の三角波Sを利用してもよい。この場合、判定信号Sの波形W3は電圧の上昇時間がLOW及び電圧の下降時間がHIGHとなる。
【0022】
コンパレータ51は、三角波Sの波形W2と閾値である誤差増幅信号Sの波形W1とを比較し、波形W2が波形W1より低い時間において主スイッチをオンとし、波形W2が波形W1より高い時間において主スイッチをオフとする主スイッチゲート信号Gを生成する。主スイッチゲート信号Gの波形W4は、図3の地点Dで観察できる。ここで、電圧誤差増幅信号Sは、誤差増幅器の出力であり、DC/DCコンバータ301の出力電圧Voutとその目標電圧との誤差を解消する方向へ変動する。
【0023】
反転器52は、主スイッチゲート信号Gを反転させた波形W5を生成する。波形W5は地点Eで観察できる。論理積回路55は、波形W3(判定信号S)と波形W5を論理積した波形W6を生成する。この論理積波形W6は地点Fで観察できる。
【0024】
主スイッチ11がオン(波形W4がHIGH)になるときには波形W1は下降中であり、波形W3がLOWである。このため、論理積回路55の論理積によって波形W4がHIGHになるときには副スイッチ12のゲート信号G(波形W8)がHIGHにならず、主スイッチ11と副スイッチ12とが同時にオンとなることを回避できる。
【0025】
また、副スイッチ12のゲート信号G(波形W8)には、立ち上がり時にデッドタイムを設ける必要がある。そこで、デッドタイム生成器53は波形W5からデッドタイム分を表わす波形W7(地点Gで観察できる)を生成し、反転器54は波形W7を反転させる。この反転波形は、波形W7のうちのハッチングで示した波形であり、地点Hで観察できる。最後に、論理積回路56が波形W6と波形W7のうちのハッチングで示した波形とを論理積した波形W8を生成する。この波形W8が、デッドタイムが付加された副スイッチ12のゲート信号Gであり、地点Iで観察できる。主スイッチ11がオフになるときには副スイッチゲート信号GはLOWであり、主スイッチ11と副スイッチ12とが同時にオンとなることを回避できる。
【0026】
このように、制御装置50は、DC/DCコンバータ301の主スイッチ11と副スイッチ12とを上述のように制御することで主スイッチのデッドタイムを排除できる。このため、制御装置50は、DC/DCコンバータ301の入出力の条件でDUTYを広範囲で使う必要があるときに主スイッチ11のオン時間を削ることなく、同期整流を可能にして回路の損失を低減できる。
【0027】
(実施形態2)
本実施形態では、閾値(誤差増幅信号S)が上昇して三角波Sのピーク電圧(上限)に近づいた時(DUTYが大きい場合)の動作を説明する。図5は、DC/DCコンバータ301のDUTYが大きい場合の各信号のタイミングチャートである。同期整流用回路は、主スイッチ11をオフする時間が前記所定時間より短くなった場合、副スイッチ12をオフとする副スイッチゲート信号Gを発生させる。
【0028】
主スイッチがオンする時間を長くする必要があるとき、波形W1が上昇して波形W2のピーク電圧(上限)に近づくため、主スイッチゲート信号GのLOW期間が短くなる(DUTYが大きくなる)。それとともに、波形W5(主スイッチゲート信号の論理反転)のHIGH期間も短くなる。波形W7(副スイッチ12のデッドタイム)の期間は一定なので、さらに閾値(誤差増幅信号S)が上昇すると、波形W5(主スイッチゲート信号の論理反転)のHIGH期間が短くなり、波形W7(副スイッチ12のデッドタイム)の期間内に含まれることになる。
【0029】
この状態になると、主スイッチ11のオフ時間が副スイッチ12のデッドタイムより短く、波形W8である副スイッチ12のゲート信号Gは常時オフとなる。従って、制御装置50は、誤差増幅信号Sの波形W1が上昇して三角波Sの波形W2のピーク電圧に近づいた場合、副スイッチ12を常に停止し、同期整流を中止する。
【0030】
このようにDUTYが大きい場合、主スイッチ11がオフの時間、すなわち副スイッチのボディダイオードが導通する時間が短く、もともと同期整流による効率向上効果が小さい。このため、DUTYが大きい場合に同期整流が中止されたとしてもDC/DCコンバータ301の効率が大幅に低下することはない。
【0031】
(実施形態3)
本実施形態では、誤差増幅信号Sの波形W1が低下して三角波Sの波形W2のピーク電圧(下限)に近づいた時の動作を説明する。図6は、DC/DCコンバータ301のDUTYが小さい場合の各信号のタイミングチャートである。同期整流用回路は、前記期間が終了したときから一定の固定時間後に主スイッチゲート信号Gを確認し、主スイッチゲート信号Gが主スイッチ11をオフとする値(波形W4がLOW)であれば、副スイッチ12をオフとする副スイッチゲート信号Gを発生させる。
【0032】
主スイッチがオンする時間を短くする必要があるとき誤差増幅信号Sの波形W1が下降して三角波Sの波形W2のピーク電圧(下限)に近づくため、主スイッチゲート信号Gの波形W4のHIGH期間が短くなる(DUTYが小さくなる)。そして、さらに波形W1が下降して波形W2のピーク電圧(下限)より下になると、主スイッチ11が常にオフとなる。そこで、DUTYが小さい場合は、スイッチの誤動作を防止する観点で同期整流を停止させておくこととする。
【0033】
具体的には、制御装置50は、判定信号SがLOWとなった時点から一定の固定時間後に主スイッチゲート信号Gを確認する(波形W9)。この固定時間が経過したときに、主スイッチゲート信号GがLOW(主スイッチ11をオフとする値)であれば、制御装置50は、副スイッチ12の動作を常に停止し、同期整流を中止する。
【0034】
ここで、前記固定時間は2種類であり、
前記固定時間の一方は、主スイッチゲート信号Gの、主スイッチ11をオンとする値の時間が減少していくときに使用され、
前記固定時間の他方は、主スイッチゲート信号Gの、主スイッチ11をオンとする値の時間が増加していくときに使用され、前記固定時間の一方より長いことが好ましい。
【0035】
固定時間が一つであると、主スイッチ11のオフタイミングが固定時間経過後の時刻に近接した場合、それを跨ぐ/跨がないで制御が不安定になる。このため、2種類の固定時間により一定のヒステリシスを持たせ、制御の安定化を図る。
【0036】
図7は、固定時間が2つである場合の動作を説明する図である。図7(A)は主スイッチゲート信号Gのオン時間が短くなっていく場面、図7(B)は主スイッチゲート信号Gのオン時間が長くなっていく場面である。
【0037】
固定時間はT1とT2の2種類存在する。T1<T2とする。
図7(A)の場面では、時刻a、b、cと進むにつれて主スイッチゲート信号GがHIGHとなる期間が短くなる。この場合、制御装置50は、波形W3がLOWとなってから固定時間T1後に主スイッチゲート信号Gの確認を行う。図7(A)の例であれば、時刻a及びbのように確認する時刻において主スイッチゲート信号GがHIGHであれば、副スイッチ12の動作(同期整流)が行われるが、時刻cのように確認する時刻において主スイッチゲート信号GがLOWであれば、副スイッチ12の動作(同期整流)が常に中止される。
図7(B)の場面では、時刻d、e、fと進むにつれて主スイッチゲート信号GがHIGHとなる期間が長くなる。図7(B)の例であれば、時刻d及びeのように確認する時刻において主スイッチゲート信号GがLOWであれば、副スイッチ12の動作(同期整流)は常に中止しているが、時刻fのように確認する時刻において主スイッチゲート信号GがHIGHであれば、副スイッチ12の動作(同期整流)が開始される。
【0038】
(実施形態4)
実施形態3までは、図2のように非絶縁型のDC/DCコンバータで説明した。しかし、本発明の制御装置50は、図8又は図9のような絶縁型のDC/DCコンバータ302に対しても制御可能である。DC/DCコンバータ302は、入力側と出力側がトランス15で絶縁されている。入力側の回路に主スイッチ11、出力側の回路に副スイッチ12が配置される。制御装置50は、DC/DCコンバータ302に対しても実施形態1から3で説明したように主スイッチゲート信号Gと副スイッチゲート信号Gを用いて主スイッチ11と副スイッチ12の動作を制御し、DC/DCコンバータ302を高いDUTYで動作させることができる。
【符号の説明】
【0039】
11:主スイッチ
12:副スイッチ(同期整流スイッチ)
13:インダクタ
14:コンデンサ
15:トランス
50:制御装置
51:コンパレータ
52:反転器
53:デッドタイム生成器
54:反転器
55:論理積回路
56:論理積回路
301、302:DC/DCコンバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
DC/DCコンバータの主スイッチと同期整流用の副スイッチの動作を制御する同期整流制御装置であって、
電圧が上昇する上昇時間と下降する下降時間が存在する三角波を用い、前記三角波の電圧と閾値と比較し、前記上昇時間と前記下降時間のうちの一方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときに前記主スイッチをオフとし、他方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときに前記主スイッチをオンとする主スイッチゲート信号を発生させる主スイッチ用回路と、
前記一方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときから所定時間(デッドタイム)後に前記副スイッチをオンとし、前記一方の期間が終了したときに前記副スイッチをオフとする副スイッチゲート信号を発生させる同期整流用回路と、
を備えることを特徴とする同期整流制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
具体的には、本発明に係る制御装置は、DC/DCコンバータの主スイッチと同期整流用の副スイッチの動作を制御する同期整流制御装置であって、
電圧が上昇する上昇時間と下降する下降時間が存在する三角波を用い、前記三角波の電圧と閾値と比較し、前記上昇時間と前記下降時間のうちの一方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときに前記主スイッチをオフとし、他方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときに前記主スイッチをオンとする主スイッチゲート信号を発生させる主スイッチ用回路と、
前記一方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときから所定時間(デッドタイム)後に前記副スイッチをオンとし、前記一方の期間が終了したときに前記副スイッチをオフとする副スイッチゲート信号を発生させる同期整流用回路と、
を備えることを特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC/DCコンバータの主スイッチと同期整流用の副スイッチの動作を制御する同期整流制御装置であって、
電圧が上昇する上昇時間と下降する下降時間が存在する三角波を用い、前記三角波の電圧と閾値とを比較し、前記上昇時間と前記下降時間のうちの一方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときに前記主スイッチをオフとし、他方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときに前記主スイッチをオンとする主スイッチゲート信号を発生させる主スイッチ用回路と、
前記一方の期間に前記三角波の電圧が前記閾値となったときから所定時間(デッドタイム)後に前記副スイッチをオンとし、前記一方の期間が終了したときに前記副スイッチをオフとする副スイッチゲート信号を発生させる同期整流用回路と、
を備えることを特徴とする同期整流制御装置。
【請求項2】
前記同期整流用回路は、前記主スイッチをオフする時間が前記所定時間より短くなった場合、前記副スイッチをオフとする前記副スイッチゲート信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の同期整流制御装置。
【請求項3】
前記同期整流用回路は、前記一方の期間が終了したときから一定の固定時間後に前記主スイッチゲート信号を確認し、前記主スイッチゲート信号が前記主スイッチをオフとする値であれば、前記副スイッチをオフとする前記副スイッチゲート信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の同期整流制御装置。
【請求項4】
前記固定時間は2種類であり、
前記固定時間の一方は、前記主スイッチゲート信号の、前記主スイッチをオンとする値の時間が減少していくときに使用され、
前記固定時間の他方は、前記主スイッチゲート信号の、前記主スイッチをオンとする値の時間が増加していくときに使用され、前記固定時間の一方より長いことを特徴とする請求項3に記載の同期整流制御装置。
【請求項5】
前記上昇時間と前記下降時間とは同じ長さの時間ではなく、前記一方の期間は前記上昇時間と前記下降時間のうちの長い方であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の同期整流制御装置。