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特開2023-71433生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071433
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/30 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
B29D30/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184212
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】岡本 理史
【テーマコード(参考)】
4F215
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA02
4F215VD07
4F215VD19
4F215VK02
4F215VK34
4F215VL11
4F215VL13
4F215VP11
4F215VP22
4F215VR08
(57)【要約】
【課題】帯状タイヤ構成部材を屈曲させた状態で貼り付けることができる、生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置を、提供する。
【解決手段】本発明の生タイヤ成型方法は、成型ドラムD上に配置された配置済みタイヤ構成部材Fの上に帯状タイヤ構成部材Bを貼り付ける、帯状タイヤ構成部材貼付ステップを含む、生タイヤ成型方法であって、帯状タイヤ構成部材は、金属コードBkを含んでおり、帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、磁化プレート31によって、帯状タイヤ構成部材の第1部分B1を、配置済みタイヤ構成部材の上に圧着する、磁化プレート圧着ステップと、磁化プレート圧着ステップの後、磁化ローラ32によって帯状タイヤ構成部材の第2部分B2を吸着しつつ磁化ローラを方向転換することで、帯状タイヤ構成部材を第2部分で屈曲させる、磁化ローラ方向転換ステップと、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型ドラム上に配置された配置済みタイヤ構成部材の上に帯状タイヤ構成部材を貼り付ける、帯状タイヤ構成部材貼付ステップを含む、生タイヤ成型方法であって、
前記帯状タイヤ構成部材は、金属コードを含んでおり、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、
磁化プレートによって、前記帯状タイヤ構成部材の第1部分を、前記配置済みタイヤ構成部材の上に圧着する、磁化プレート圧着ステップと、
前記磁化プレート圧着ステップの後、磁化ローラによって前記帯状タイヤ構成部材の第2部分を吸着しつつ前記磁化ローラを方向転換することで、前記帯状タイヤ構成部材を前記第2部分で屈曲させる、磁化ローラ方向転換ステップと、
を含む、生タイヤ成型方法。
【請求項2】
前記帯状タイヤ構成部材において、前記第2部分は、前記第1部分よりもタイヤ幅方向外側に位置しており、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、
前記磁化ローラ方向転換ステップの後、前記磁化ローラによって前記帯状タイヤ構成部材を前記配置済みタイヤ構成部材に対して押圧しながら、前記磁化ローラをタイヤ幅方向外側へ移動させる、磁化ローラ横移動ステップ
をさらに含む、請求項1に記載の生タイヤ成型方法。
【請求項3】
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、
前記磁化プレート圧着ステップの後、かつ、前記磁化ローラ方向転換ステップの前に、前記磁化ローラを前記磁化プレートに対して下方向に相対移動させる、磁化ローラ下降ステップと、
前記磁化プレート圧着ステップの後、かつ、前記磁化ローラ方向転換ステップの前に、前記磁化プレート及び前記磁化ローラを備えた貼付装置の全体を上昇させる、貼付装置上昇ステップと、
をさらに含む、請求項1又は2に記載の生タイヤ成型方法。
【請求項4】
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップにおいて、前記帯状タイヤ構成部材のうち前記第2部分からタイヤ幅方向外側の部分は、少なくとも一部において、前記配置済みタイヤ構成部材のサイド湾曲面部の上に、貼り付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の生タイヤ成型方法。
【請求項5】
前記磁化プレート圧着ステップにおいて、前記帯状タイヤ構成部材の前記第1部分は、前記配置済みタイヤ構成部材のセンター平坦面部の上に圧着される、請求項1~4のいずれか一項に記載の生タイヤ成型方法。
【請求項6】
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップにおいて、前記帯状タイヤ構成部材は、前記帯状タイヤ構成部材のうち前記第2部分よりもタイヤ幅方向外側の部分における前記金属コードのタイヤ幅方向に対する角度αが、前記帯状タイヤ構成部材のうち前記第2部分よりもタイヤ幅方向内側の部分における前記金属コードのタイヤ幅方向に対する角度βよりも、大きくなるように、前記配置済みタイヤ構成部材の上に貼り付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の生タイヤ成型方法。
【請求項7】
前記磁化ローラ方向転換ステップにおいて前記磁化ローラから前記帯状タイヤ構成部材に作用される圧力は、前記磁化ローラ横移動ステップにおいて前記磁化ローラから前記帯状タイヤ構成部材に作用される圧力よりも、小さい、請求項2に記載の生タイヤ成型方法。
【請求項8】
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、前記磁化プレート及び前記磁化ローラを備えた生タイヤ成型装置によって行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載の生タイヤ成型方法。
【請求項9】
前記生タイヤ成型装置は、制御装置をさらに備え、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップにおいて、前記磁化プレート及び前記磁化ローラは、前記制御装置によって制御される、請求項8に記載の生タイヤ成型方法。
【請求項10】
成型ドラム上に配置された配置済みタイヤ構成部材の上に帯状タイヤ構成部材を貼り付ける、帯状タイヤ構成部材貼付動作を行うように構成された、生タイヤ成型装置であって、
磁化プレートと、
磁化ローラと、
を備え、
前記帯状タイヤ構成部材は、金属コードを含んでおり、
前記帯状タイヤ構成部材貼付動作は、
前記磁化プレートによって、前記帯状タイヤ構成部材の第1部分を、前記配置済みタイヤ構成部材の上に圧着する、磁化プレート圧着動作と、
前記磁化プレート圧着動作の後、前記磁化ローラによって前記帯状タイヤ構成部材の第2部分を吸着しつつ前記磁化ローラを方向転換することで、前記帯状タイヤ構成部材を前記第2部分で屈曲させる、磁化ローラ方向転換動作と、
を含む、生タイヤ成型装置。
【請求項11】
前記生タイヤ成型装置は、2つのハンドを有する双腕ロボットとして構成されており、
各前記ハンドに、前記磁化プレート及び前記磁化ローラが設けられている、請求項10に記載の生タイヤ成型装置。
【請求項12】
制御装置をさらに備え、
前記帯状タイヤ構成部材貼付動作において、前記磁化プレート及び前記磁化ローラは、前記制御装置によって制御される、請求項10又は11に記載の生タイヤ成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生タイヤを成型する際に、成型ドラム上に配置された配置済みタイヤ構成部材の上に、帯状タイヤ構成部材を貼り付ける場合がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-251711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術においては、帯状タイヤ構成部材をまっすぐに延在させた状態で貼り付けるものであり、帯状タイヤ構成部材を屈曲させた状態で貼り付けるものではなかった。
【0005】
本発明は、帯状タイヤ構成部材を屈曲させた状態で貼り付けることができる、生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生タイヤ成型方法は、
成型ドラム上に配置された配置済みタイヤ構成部材の上に帯状タイヤ構成部材を貼り付ける、帯状タイヤ構成部材貼付ステップを含む、生タイヤ成型方法であって、
前記帯状タイヤ構成部材は、金属コードを含んでおり、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、
磁化プレートによって、前記帯状タイヤ構成部材の第1部分を、前記配置済みタイヤ構成部材の上に圧着する、磁化プレート圧着ステップと、
前記磁化プレート圧着ステップの後、磁化ローラによって前記帯状タイヤ構成部材の第2部分を吸着しつつ前記磁化ローラを方向転換することで、前記帯状タイヤ構成部材を前記第2部分で屈曲させる、磁化ローラ方向転換ステップと、
を含む。
本発明の生タイヤ成型方法によれば、帯状タイヤ構成部材を屈曲させた状態で貼り付けることができる。
【0007】
本発明の生タイヤ成型方法においては、
前記帯状タイヤ構成部材において、前記第2部分は、前記第1部分よりもタイヤ幅方向外側に位置しており、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、
前記磁化ローラ方向転換ステップの後、前記磁化ローラによって前記帯状タイヤ構成部材を前記配置済みタイヤ構成部材に対して押圧しながら、前記磁化ローラをタイヤ幅方向外側へ移動させる、磁化ローラ横移動ステップ
をさらに含むと、好適である。
これにより、帯状タイヤ構成部材のうち第2部分からタイヤ幅方向外側の部分を配置済みタイヤ構成部材の上に良好に貼り付けることができる。
【0008】
本発明の生タイヤ成型方法においては、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、
前記磁化プレート圧着ステップの後、かつ、前記磁化ローラ方向転換ステップの前に、前記磁化ローラを前記磁化プレートに対して下方向に相対移動させる、磁化ローラ下降ステップと、
前記磁化プレート圧着ステップの後、かつ、前記磁化ローラ方向転換ステップの前に、前記磁化プレート及び前記磁化ローラを備えた貼付装置の全体を上昇させる、貼付装置上昇ステップと、
をさらに含むと、好適である。
これにより、磁化ローラ方向転換ステップにおいて帯状タイヤ構成部材にシワが出来るのを抑制できる。
【0009】
本発明の生タイヤ成型方法においては、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップにおいて、前記帯状タイヤ構成部材のうち前記第2部分からタイヤ幅方向外側の部分は、少なくとも一部において、前記配置済みタイヤ構成部材のサイド湾曲面部の上に、貼り付けられると、好適である。
これにより、帯状タイヤ構成部材のうち配置済みタイヤ構成部材のサイド湾曲面部の上に位置する部分のタイヤ幅方向に対する角度が、帯状タイヤ構成部材のうち配置済みタイヤ構成部材のセンター平坦面部の上に位置する部分のタイヤ幅方向に対する角度と異なるように、帯状タイヤ構成部材を貼り付けることができる。
【0010】
本発明の生タイヤ成型方法においては、
前記磁化プレート圧着ステップにおいて、前記帯状タイヤ構成部材の前記第1部分は、前記配置済みタイヤ構成部材のセンター平坦面部の上に圧着されると、好適である。
これにより、帯状タイヤ構成部材の第1部分を、安定的に、配置済みタイヤ構成部材の上に圧着することができる。
【0011】
本発明の生タイヤ成型方法においては、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップにおいて、前記帯状タイヤ構成部材は、前記帯状タイヤ構成部材のうち前記第2部分よりもタイヤ幅方向外側の部分における前記金属コードのタイヤ幅方向に対する角度αが、前記帯状タイヤ構成部材のうち前記第2部分よりもタイヤ幅方向内側の部分における前記金属コードのタイヤ幅方向に対する角度βよりも、大きくなるように、前記配置済みタイヤ構成部材の上に貼り付けられてもよい。
【0012】
本発明の生タイヤ成型方法においては、
前記磁化ローラ方向転換ステップにおいて前記磁化ローラから前記帯状タイヤ構成部材に作用される圧力は、前記磁化ローラ横移動ステップにおいて前記磁化ローラから前記帯状タイヤ構成部材に作用される圧力よりも、小さくてもよい。
この場合、帯状タイヤ構成部材がめくれるのを抑制できる。
【0013】
本発明の生タイヤ成型方法においては、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、前記磁化プレート及び前記磁化ローラを備えた生タイヤ成型装置によって行われてもよい。
【0014】
本発明の生タイヤ成型方法においては、
前記生タイヤ成型装置は、制御装置をさらに備え、
前記帯状タイヤ構成部材貼付ステップにおいて、前記磁化プレート及び前記磁化ローラは、前記制御装置によって制御されてもよい。
【0015】
本発明の生タイヤ成型装置は、
成型ドラム上に配置された配置済みタイヤ構成部材の上に帯状タイヤ構成部材を貼り付ける、帯状タイヤ構成部材貼付動作を行うように構成された、生タイヤ成型装置であって、
磁化プレートと、
磁化ローラと、
を備え、
前記帯状タイヤ構成部材は、金属コードを含んでおり、
前記帯状タイヤ構成部材貼付動作は、
前記磁化プレートによって、前記帯状タイヤ構成部材の第1部分を、前記配置済みタイヤ構成部材の上に圧着する、磁化プレート圧着動作と、
前記磁化プレート圧着動作の後、前記磁化ローラによって前記帯状タイヤ構成部材の第2部分を吸着しつつ前記磁化ローラを方向転換することで、前記帯状タイヤ構成部材を前記第2部分で屈曲させる、磁化ローラ方向転換動作と、
を含む。
本発明の生タイヤ成型装置によれば、帯状タイヤ構成部材を屈曲させた状態で貼り付けることができる。
【0016】
本発明の生タイヤ成型装置においては、
前記生タイヤ成型装置は、2つのハンドを有する双腕ロボットとして構成されており、
各前記ハンドに、前記磁化プレート及び前記磁化ローラが設けられていると、好適である。
この場合、帯状タイヤ構成部材を、タイヤ幅方向両側の端部において屈曲させた状態で貼り付けることが可能になる。
【0017】
本発明の生タイヤ成型装置においては、
制御装置をさらに備え、
前記帯状タイヤ構成部材貼付動作において、前記磁化プレート及び前記磁化ローラは、前記制御装置によって制御されると、好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、帯状タイヤ構成部材を屈曲させた状態で貼り付けることができる、生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る生タイヤ成型装置を概略的に示す、概略図である。
図2】帯状タイヤ構成部材移送ステップにおいて、図1の生タイヤ成型装置により、帯状タイヤ構成部材供給装置から供給されて所定長さに切断された帯状タイヤ構成部材を吸着している状態を、上から見た様子を概略的に示す、概略図である。
図3】帯状タイヤ構成部材移送ステップにおいて、図2の生タイヤ成型装置により、帯状タイヤ構成部材を成型ドラム上に配置された配置済みタイヤ構成部材の上にまで移送した直後の状態を、上から見た様子を概略的に示す、概略図である。
図4】磁化プレート圧着ステップにおける、生タイヤ及び貼付装置を概略的に示す、タイヤ幅方向断面図である。
図5図4の磁化プレート圧着ステップにおける生タイヤ、磁化ローラ及び磁化プレートを、上から見た様子を概略的に示す、上面図である。
図6】磁化ローラ下降ステップ、貼付装置上昇ステップ、及び、磁化ローラ方向転換ステップにおける、生タイヤ及び貼付装置を概略的に示す、タイヤ幅方向断面図である。
図7図6の磁化ローラ方向転換ステップにおける生タイヤ及び磁化ローラを、上から見た様子を概略的に示す、上面図である。
図8】磁化ローラ横移動ステップにおける、生タイヤ及び貼付装置を概略的に示す、タイヤ幅方向断面図である。
図9図8の磁化ローラ横移動ステップにおける生タイヤ及び磁化ローラを、上から見た様子を概略的に示す、上面図である。
図10】帯状タイヤ構成部材貼付ステップを2回繰り返した後における生タイヤを、上から見た様子を概略的に示す、上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置の実施形態について、図面を参照しつつ例示説明する。
各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る生タイヤ成型装置1を概略的に示している。生タイヤ成型装置1は、後述する、生タイヤを成型するための生タイヤ成型方法(具体的には、後述の帯状タイヤ構成部材貼付ステップ)を実施するように構成されている。生タイヤ成型装置1は、2つの貼付装置3を備えている。
各貼付装置3の構成どうしは、同様である。以下、貼付装置3についての説明は、特に断りが無い限り、各貼付装置3のそれぞれについての説明であるものとする。
【0022】
本実施形態において、貼付装置3は、磁化プレート31と、磁化ローラ32と、磁化ローラ進退部33と、連結部34と、を備えている。
磁化プレート31は、磁化されている。磁化プレート31は、プレート状に構成されている。磁化プレート31は、例えば四角柱形状をなしている。
磁化ローラ32は、磁化ローラ32の表面が磁化されている。磁化ローラ32は、磁化ローラ32の中心軸線32оの周りで回転可能に構成されている。磁化ローラ32は、例えば円柱形状をなしている。
磁化ローラ進退部33は、磁化プレート31に対して磁化ローラ32を上下方向に相対移動させることができるように構成されている。磁化ローラ進退部33は、例えばシリンダーから構成される。
連結部34は、磁化プレート31と磁化ローラ進退部33とを連結している。
【0023】
本実施形態の生タイヤ成型装置1は、双腕ロボット(以下、「双腕ロボット1」と表記する場合がある。)として構成されている。双腕ロボット1は、2つのアーム2と、各アーム2の先端に設けられた2つのハンド3と、を備えている。本実施形態において、各貼付装置3は、それぞれ双腕ロボット1の別々のハンド3として構成されている。すなわち、各ハンド3に、磁化プレート31及び磁化ローラ32が設けられている。
【0024】
生タイヤ成型装置1は、制御装置4(図1)を備えている。制御装置4は、制御部41及び記憶部42を有している。制御部41は、例えばMPU又はCPU等から構成される。制御部41は、各貼付装置3を含む、生タイヤ成型装置1の全体を制御するように構成されている。記憶部42は、例えばROM及び/又はRAM等から構成される。生タイヤ成型装置1は、制御装置4(具体的には、制御部41)が、記憶部42に記憶されたプログラムを実行することによって、後述の生タイヤ成型方法(具体的には、後述の帯状タイヤ構成部材貼付ステップ)を実施するように構成されている。すなわち、後述の生タイヤ成型方法(具体的には、後述の帯状タイヤ構成部材貼付ステップ)では、生タイヤ成型装置1の貼付装置3(ひいては、磁化プレート31及び磁化ローラ32)が、制御装置4(具体的には、制御部41)によって制御される。
【0025】
以下、図2図10を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る生タイヤ成型方法について説明する。本実施形態に係る生タイヤ成型方法は、上述した実施形態に係る生タイヤ成型装置1によって行われると好適であるが、上述した実施形態に係る生タイヤ成型装置1とは異なる構成の生タイヤ成型装置1によって行われてもよいし、あるいは、人が貼付装置3を操作することによって行われてもよい。生タイヤ成型方法が生タイヤ成型装置1によって行われることによって、生タイヤ成型方法を精度良く行うことができる。
【0026】
生タイヤ成型方法では、生タイヤGが成型ドラムD上で成型される。生タイヤGの中心軸線は、成型ドラムDの中心軸線DOに一致する。
本明細書では、各図に矢印によって示すように、成型ドラムD上で成型される生タイヤGに関し、成型ドラムDの中心軸線DOに平行な方向を「タイヤ幅方向WD」といい、生タイヤGにおけるタイヤ幅方向WDの中心に位置するとともにタイヤ幅方向WDに垂直な仮想面を「タイヤ赤道面C」といい、タイヤ幅方向WDにおけるタイヤ赤道面C側を「タイヤ幅方向内側WI」といい、タイヤ幅方向WDにおけるタイヤ赤道面Cとは反対側を「タイヤ幅方向外側WO」といい、成型ドラムDの中心軸線DOを中心とする周方向を「タイヤ周方向CD」という。また、本明細書において、「タイヤ外周側」とは、成型ドラムDの中心軸線DOから遠い側を指し、「タイヤ内周側」とは、成型ドラムDの中心軸線DOに近い側を指している。
【0027】
成型ドラムDは、略円筒状をなしている。図4に示すように、成型ドラムDの外周面は、タイヤ幅方向WDに沿う断面において、成型ドラムDのタイヤ幅方向WDの中央部分において、略平坦であり、具体的には、タイヤ外周側に向かって凸に緩やかに湾曲していてもよいし、あるいは、完全に平坦であってもよい。また、成型ドラムDの外周面は、タイヤ幅方向WDに沿う断面において、成型ドラムDのタイヤ幅方向WDの中央部分からタイヤ幅方向外側WOに連続する部分においては、タイヤ外周側に向かって凸の湾曲形状に沿って、タイヤ幅方向外側WOに向かうにつれて徐々にタイヤ内周側に向かって延在している。
【0028】
本実施形態に係る生タイヤ成型方法は、帯状タイヤ構成部材貼付ステップを含む。
【0029】
図2に示すように、帯状タイヤ構成部材貼付ステップに先立ち、予め、成型ドラムDの外周面上には、配置済みタイヤ構成部材Fが配置されている。配置済みタイヤ構成部材Fは、生タイヤGの一部を構成する。
配置済みタイヤ構成部材Fは、図4に示すように、例えば、インナーライナーFiと、インナーライナーFiの上に積層された1つ又は複数(図4の例では、1つ)のトリート部材Ftと、を有する。トリート部材Ftは、1つ又は複数のコードFkと、当該1つ又は複数のコードFkを被覆する未加硫被覆ゴムFrと、を有する。当該1つ又は複数のトリート部材Ftのうち、インナーライナーFiのすぐ外周側に配置される(すなわち、インナーライナーFiの外周面に接触するように配置される)トリート部材Ftは、例えば、カーカスプライとして構成される。図4の例では、配置済みタイヤ構成部材Fは、トリート部材Ftとして、カーカスプライとして構成されたトリート部材Ftのみを有している。ただし、配置済みタイヤ構成部材Fは、カーカスプライとして構成されたトリート部材Ftのタイヤ外周側に、他のカーカスプライとして構成されたトリート部材Ft、及び/又は、ベルト層として構成されたトリート部材Ftを、有してもよい。
【0030】
図4に示すように、配置済みタイヤ構成部材Fの外周面は、成型ドラムDの外周面に沿った形状をなしている。具体的に、配置済みタイヤ構成部材Fの外周面は、配置済みタイヤ構成部材Fのタイヤ幅方向WDの中央に位置するセンター平坦面部FCと、センター平坦面部FCからタイヤ幅方向両外側WOに連続する一対のサイド湾曲面部FSと、を有している。センター平坦面部FCは、タイヤ赤道面C上に位置している。センター平坦面部FCは、タイヤ幅方向WDに沿う断面において、略平坦であり、具体的には、タイヤ外周側に向かって凸に緩やかに湾曲していてもよいし、あるいは、完全に平坦であってもよい。サイド湾曲面部FSは、タイヤ幅方向WDに沿う断面において、タイヤ外周側に向かって凸の湾曲形状に沿って、タイヤ幅方向外側WOに向かうにつれて徐々にタイヤ内周側に向かって延在している。タイヤ幅方向WDに沿う断面において、サイド湾曲面部FSの曲率半径は、センター平坦面部FCの曲率半径よりも、小さい。
【0031】
また、図2に示すように、帯状タイヤ構成部材貼付ステップに先立ち、予め、帯状タイヤ構成部材供給装置Iからは、一続きの帯状タイヤ構成部材Bが供給されている。帯状タイヤ構成部材供給装置Iから供給された一続きの帯状タイヤ構成部材Bは、任意の切断手段(図示せず)によって、所定長さ毎に切断される。
帯状タイヤ構成部材Bの切断は、生タイヤ成型装置1によって行ってもよい。
【0032】
帯状タイヤ構成部材Bは、図4図5に示すように、帯状に構成されており、1つ又は複数の金属コードBkと、当該1つ又は複数のコードBkを被覆する未加硫被覆ゴムBrと、を有する。金属コードBkの延在方向は、帯状タイヤ構成部材Bの延在方向(長手方向)に平行である(図5)。金属コードBkは、例えば、スチールからなる。
帯状タイヤ構成部材Bは、金属コードBkを含むので、磁化プレート31や磁化ローラ32が持つ磁性によって、磁化プレート31や磁化ローラ32によって吸着されることができる。
帯状タイヤ構成部材Bは、例えば、ベルト層の一部を構成するように構成される。
【0033】
帯状タイヤ構成部材貼付ステップでは、成型ドラムD上に配置された配置済みタイヤ構成部材Fの上に、上記所定長さに切断された、帯状タイヤ構成部材Bを貼り付ける、帯状タイヤ構成部材貼付動作を行う。帯状タイヤ構成部材Bは、生タイヤGの一部を構成する。
帯状タイヤ構成部材貼付ステップは、帯状タイヤ構成部材移送ステップと、磁化プレート圧着ステップと、磁化ローラ下降ステップと、貼付装置上昇ステップと、磁化ローラ方向転換ステップと、磁化ローラ横移動ステップと、を含む。
帯状タイヤ構成部材貼付ステップの間、成型ドラムDは静止した状態に維持される。
なお、各貼付装置3の動作どうしは、同様である。以下、貼付装置3の動作についての説明は、特に断りが無い限り、各貼付装置3のそれぞれの動作についての説明であるものとする。
【0034】
まず、帯状タイヤ構成部材移送ステップにおいて、上記所定長さに切断された帯状タイヤ構成部材Bの上に貼付装置3を配置し、帯状タイヤ構成部材B(具体的には、帯状タイヤ構成部材Bの上面)を貼付装置3によって吸着し、成型ドラムD上に配置された配置済みタイヤ構成部材Fの上にまで移送する、帯状タイヤ構成部材移送動作を行う(図2図3)。
ここで、具体的には、貼付装置3のうち、少なくとも磁化プレート31によって、帯状タイヤ構成部材Bを吸着すると、好適である。この場合、磁化プレート31によって、帯状タイヤ構成部材Bのうちの後述の第1部分B1(具体的には、第1部分B1の上面)(図4)を吸着すると、好適である。なお、貼付装置3のうち、磁化プレート31及び磁化ローラ32によって、帯状タイヤ構成部材Bを吸着してもよい。この場合、磁化プレート31によって、帯状タイヤ構成部材Bのうちの後述の第1部分B1(具体的には、第1部分B1の上面)(図4)を吸着するとともに、磁化ローラ32によって、帯状タイヤ構成部材Bのうちの後述の第2部分B2(具体的には、第2部分B2の上面)(図4)を吸着すると、好適である。
帯状タイヤ構成部材移送ステップでは、配置済みタイヤ構成部材Fの上方において、帯状タイヤ構成部材Bをまっすぐに延在させる(図3)。このとき、帯状タイヤ構成部材Bは、タイヤ周方向CDに対して交差する方向に延在していると好適である(図5)。また、このとき、帯状タイヤ構成部材Bは、配置済みタイヤ構成部材Fのセンター平坦面部FC及び一対のサイド湾曲面部FSの上方に位置していると好適である(図4図5)。
【0035】
帯状タイヤ構成部材移送ステップの後、磁化プレート圧着ステップにおいて、磁化プレート31によって、帯状タイヤ構成部材Bの第1部分B1を、押圧して、配置済みタイヤ構成部材Fの上に圧着する、磁化プレート圧着動作を行う(図4図5)。
これにより、帯状タイヤ構成部材Bの第1部分B1が、配置済みタイヤ構成部材Fの上に貼り付けられる。
なお、帯状タイヤ構成部材Bと配置済みタイヤ構成部材Fとが接触すると、両者を構成する未加硫被覆ゴムBr、Frどうしが接触することにより、両者は接着状態となる。
このとき、帯状タイヤ構成部材Bの延在方向及び位置は、帯状タイヤ構成部材移送ステップで設定されたものと同じである。
第1部分B1は、帯状タイヤ構成部材Bのうち任意の部分としてよい。
図4図5の例では、2つの第1部分B1が、タイヤ赤道面Cよりもタイヤ幅方向両外側WOに離れた位置にあり、2つの磁化プレート31によって、帯状タイヤ構成部材Bの当該2つの第1部分B1を、配置済みタイヤ構成部材Fの上に圧着している。この場合、磁化プレート圧着ステップにより、帯状タイヤ構成部材Bのうち、各第1部分B1に加えて、各第1部分B1どうしの間の部分もが、配置済みタイヤ構成部材Fに密着することとなる。特に、配置済みタイヤ構成部材Fのセンター平坦面部FCがタイヤ外周側に向かって凸に緩やかに湾曲している場合、この密着は、より強固なものとなる。
磁化プレート圧着ステップにおいて、磁化ローラ32は、任意の位置及び状態にあってよいが、図4に示すように、磁化ローラ32の下端が磁化プレート31の下端と同じ高さにあり、帯状タイヤ構成部材Bの第2部分B2(具体的には、第2部分B2の上面)を吸着していると、好適である。また、このとき、磁化ローラ32は、磁化プレート31よりもタイヤ幅方向外側WOに位置し、ひいては、帯状タイヤ構成部材Bの第2部分B2は、帯状タイヤ構成部材Bの第1部分B1よりもタイヤ幅方向外側WOに位置していると、好適である。また、このとき、磁化ローラ32の中心軸線32оは、図5に示すように、帯状タイヤ構成部材Bの延在方向(ひいては、金属コードBkの延在方向)に対し略垂直な方向に延在していると、好適である。
【0036】
磁化プレート圧着ステップの後、磁化ローラ下降ステップにおいて、磁化ローラ32を磁化プレート31に対して下方向に相対移動させる、磁化ローラ下降動作を行う(図6の破線矢印)。磁化ローラ下降ステップは、例えば、磁化ローラ進退部33によって行う。
また、磁化プレート圧着ステップの後、貼付装置上昇ステップにおいて、貼付装置3の全体を上昇させる、貼付装置上昇動作を行う(図6の白抜き矢印)。貼付装置上昇ステップにより、磁化プレート31は、帯状タイヤ構成部材Bの第1部分B1よりも上方に離れた状態となる。貼付装置3の全体を上昇させる距離は、例えば約2mmが好適である。
磁化ローラ下降ステップ及び貼付装置上昇ステップの間、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2よりもタイヤ幅方向外側WOの部分(好適には、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2からタイヤ幅方向外側WOの部分(第2部分B2を含む)。)は、配置済みタイヤ構成部材Fに接触しないように維持されると、好適である。
貼付装置上昇ステップは、磁化ローラ下降ステップの後に行ってもよいし、あるいは、磁化ローラ下降ステップと並行して行ってもよい。
磁化ローラ下降ステップ及び貼付装置上昇ステップにより、磁化ローラ32は、帯状タイヤ構成部材Bの第2部分B2(具体的には、第2部分B2の上面)を吸着しているとともに、磁化プレート31は、帯状タイヤ構成部材Bの第1部分B1よりも上方に離れている状態となる(図6)。
【0037】
磁化ローラ下降ステップ及び貼付装置上昇ステップの後、磁化ローラ方向転換ステップにおいて、磁化ローラ32によって帯状タイヤ構成部材Bの第2部分B2を吸着しつつ磁化ローラ32を方向転換することで、帯状タイヤ構成部材Bを第2部分B2で屈曲させる、磁化ローラ方向転換動作を行う(図6及び図7の実線矢印)。
ここで、「磁化ローラ32を方向転換する」とは、磁化ローラ32を、上下方向に延在する回転軸線A(図6図7)の周りで回転させることを指す。
磁化ローラ方向転換ステップにおいて、磁化ローラ32は回転軸線Aの周りで自転すると好適であり、この観点から、回転軸線Aは、磁化ローラ32を通ると好適であり、また、回転軸線Aは、帯状タイヤ構成部材Bの第2部分B2を通ると好適である。
磁化ローラ方向転換ステップにより、帯状タイヤ構成部材Bが第2部分B2で屈曲されるのに伴い、帯状タイヤ構成部材Bのうち、第2部分B2から連続するとともに、第2部分B2に対して第1部分B1とは反対側の部分(図6図7の例では、帯状タイヤ構成部材Bのうち、第2部分B2からタイヤ幅方向外側WOに連続する部分)が、磁化ローラ32とともに、方向転換される(図7の破線)。
磁化ローラ方向転換ステップは、例えば、貼付装置3の全体を方向転換する(回転軸線Aの周りで回転させる)ことにより行うと、好適である。
【0038】
磁化ローラ方向転換ステップの後、磁化ローラ横移動ステップにおいて、磁化ローラ32によって帯状タイヤ構成部材Bを配置済みタイヤ構成部材Fに対して押圧しながら、磁化ローラ32をタイヤ幅方向外側WOへ移動させる、磁化ローラ横移動動作を行う(図8図9)。
このとき、磁化ローラ32の向きは、磁化ローラ方向転換ステップで設定された向きに維持される。磁化ローラ横移動ステップの間、磁化ローラ32は、その中心軸線32оの周りで回転されながら、また、徐々に下降されながら、帯状タイヤ構成部材Bのタイヤ幅方向外側WOの端に向かって、帯状タイヤ構成部材Bに沿って、帯状タイヤ構成部材Bの上を直線状に移動する。これにより、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2からタイヤ幅方向外側WOの部分が、配置済みタイヤ構成部材Fの上に貼り付けられる。
磁化ローラ横移動ステップは、例えば、貼付装置3の全体をタイヤ幅方向外側WOへ移動させることにより行うと、好適である。
【0039】
以上により、帯状タイヤ構成部材Bの全体の配置済みタイヤ構成部材F上への貼り付けが完了し、ひいては、帯状タイヤ構成部材貼付ステップが完了する。
【0040】
その後、成型ドラムDをその中心軸線DOの周りで所定回転角度にわたって回転させ、直前の帯状タイヤ構成部材貼付ステップで貼り付けた帯状タイヤ構成部材Bに隣接したタイヤ周方向位置に新たな帯状タイヤ構成部材Bを貼り付けるために、次の帯状タイヤ構成部材貼付ステップを行う(図10)。これを繰り返すことによって、配置済みタイヤ構成部材Fの全周にわたって帯状タイヤ構成部材Bを順次貼り付けていく。これら複数の帯状タイヤ構成部材Bから、ベルト層が構成される。
その後、必要に応じて他のタイヤ構成部材(トレッドゴム等)を組み付ける等して、生タイヤGが完成する。
生タイヤGが金型内で加硫成形されると、最終的にタイヤが得られる。
【0041】
上述したように、本実施形態によれば、磁化プレート31によって帯状タイヤ構成部材Bの第1部分B1を配置済みタイヤ構成部材Fの上に圧着する、磁化プレート圧着ステップ(磁化プレート圧着動作)と、磁化ローラ32によって帯状タイヤ構成部材Bの第2部分B2を吸着しつつ磁化ローラ32を方向転換することで、帯状タイヤ構成部材Bを第2部分B2で屈曲させる、磁化ローラ方向転換ステップ(磁化ローラ方向転換動作)と、を行うので、帯状タイヤ構成部材Bを屈曲させた状態で貼り付けることができる(図10)。ひいては、帯状タイヤ構成部材Bを構成する金属コードBkを屈曲させることができる(図10)。
【0042】
例えば、図10の例では、帯状タイヤ構成部材貼付ステップにおいて、帯状タイヤ構成部材Bは、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2よりもタイヤ幅方向外側WOの部分のタイヤ幅方向WDに対する角度α’が、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2よりもタイヤ幅方向内側WIの部分のタイヤ幅方向WDに対する角度β’よりも、大きくなるように、配置済みタイヤ構成部材Fの上に貼り付けられている。角度α’と角度β’との差は、例えば、15°~25°であると好適である。なお、角度α’及び角度β’は、いずれも、0°以上90°以下である。
これに伴い、図10の例では、帯状タイヤ構成部材貼付ステップにおいて、帯状タイヤ構成部材Bは、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2よりもタイヤ幅方向外側WOの部分における金属コードBkのタイヤ幅方向WDに対する角度αが、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2よりもタイヤ幅方向内側WIの部分における金属コードBkのタイヤ幅方向WDに対する角度βよりも、大きくなるように、配置済みタイヤ構成部材Fの上に貼り付けられている。角度αと角度βとの差は、例えば、15°~25°であると好適である。なお、角度α及び角度βは、いずれも、0°以上90°以下である。
このような構成により、乗心地性能を悪化させずに、耐偏摩耗性を高め、高速耐久性を向上させることができる。
ただし、帯状タイヤ構成部材貼付ステップにより配置済みタイヤ構成部材Fの上に貼り付けられた帯状タイヤ構成部材Bにおいて、角度α’及び角度β’は、それぞれ任意でよい。 同様に、帯状タイヤ構成部材貼付ステップにより配置済みタイヤ構成部材Fの上に貼り付けられた帯状タイヤ構成部材Bの金属コードBkにおいて、角度α及び角度βは、それぞれ任意でよい。
【0043】
なお、タイヤ赤道面Cに対する両側で、角度α’どうしは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
同様に、タイヤ赤道面Cに対する両側で、角度αどうしは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0044】
図10の例では、タイヤ赤道面Cに対する両側で、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2よりもタイヤ幅方向外側WOの部分(ひいては、当該部分における金属コードBk)は、タイヤ幅方向外側WOに向かうにつれてタイヤ周方向CDの互いに反対側へ向かって延在している。
ただし、タイヤ赤道面Cに対する両側で、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2よりもタイヤ幅方向外側WOの部分(ひいては、当該部分における金属コードBk)は、タイヤ幅方向外側WOに向かうにつれてタイヤ周方向CDの互いに同じ側へ向かって延在してもよい。
【0045】
なお、磁化プレート圧着ステップ(図4図5)において、帯状タイヤ構成部材Bのタイヤ幅方向WDに対する角度θ’(図5)(上記角度β’(図10)と同じとなる。)は、0°超90°未満であると好適であり、58°~73°であるとより好適である。
同様に、磁化プレート圧着ステップ(図4図5)において、帯状タイヤ構成部材Bの金属コードBkのタイヤ幅方向WDに対する角度θ(図5)(上記角度β(図10)と同じとなる。)は、0°超90°未満であると好適であり、58°~73°であるとより好適である。
【0046】
また、本実施形態では、上述したように、帯状タイヤ構成部材Bにおいて、第2部分B2は、第1部分B1よりもタイヤ幅方向外側WOに位置しており、また、磁化ローラ方向転換ステップの後、磁化ローラ32によって帯状タイヤ構成部材Bを配置済みタイヤ構成部材Fに対して押圧しながら、磁化ローラ32をタイヤ幅方向外側WOへ移動させる、磁化ローラ横移動ステップを行うので、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2からタイヤ幅方向外側WOの部分を、配置済みタイヤ構成部材Fの形状(特に、サイド湾曲面部FSの湾曲形状)に沿って、配置済みタイヤ構成部材Fの上に良好に貼り付けることができる。
なお、従来の技術では、帯状タイヤ構成部材Bのうち配置済みタイヤ構成部材Fのサイド湾曲面部FSの上に位置する部分のタイヤ幅方向WDに対する角度が、帯状タイヤ構成部材Bのうち配置済みタイヤ構成部材Fのセンター平坦面部FCの上に位置する部分のタイヤ幅方向WDに対する角度と異なるように、帯状タイヤ構成部材Bを貼り付けることが、難しかった。その点、本実施形態によれば、帯状タイヤ構成部材Bのうち配置済みタイヤ構成部材Fのサイド湾曲面部FSの上に位置する部分のタイヤ幅方向WDに対する角度(図10の角度α’)が、帯状タイヤ構成部材Bのうち配置済みタイヤ構成部材Fのセンター平坦面部FCの上に位置する部分のタイヤ幅方向WDに対する角度(図10の角度β’)と異なるように、帯状タイヤ構成部材Bを貼り付けることが、可能になる。
【0047】
また、本実施形態では、上述したように、磁化プレート圧着ステップの後、かつ、磁化ローラ方向転換ステップの前に、磁化ローラ32を磁化プレート31に対して下方向に相対移動させる、磁化ローラ下降ステップと、貼付装置3の全体を上昇させる、貼付装置上昇ステップと、を行うので、磁化ローラ方向転換ステップにおいて磁化ローラ32が帯状タイヤ構成部材Bを屈曲させる間、磁化プレート31が帯状タイヤ構成部材Bを押さえ付けないので、帯状タイヤ構成部材Bにシワが出来るのを抑制できる。
【0048】
なお、帯状タイヤ構成部材貼付ステップ(特に、磁化ローラ横移動ステップ(図8図9))において、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2からタイヤ幅方向外側WOの部分は、その少なくとも一部において、配置済みタイヤ構成部材Fのサイド湾曲面部FSの上に、貼り付けられると、好適である。
これにより、帯状タイヤ構成部材Bのうち第2部分B2からタイヤ幅方向外側WOの部分を、配置済みタイヤ構成部材Fのサイド湾曲面部FSの上に良好に貼り付けることができる。よって、従来は困難であった、帯状タイヤ構成部材Bのうち配置済みタイヤ構成部材Fのサイド湾曲面部FSの上に位置する部分のタイヤ幅方向WDに対する角度(図10の角度α’)が、帯状タイヤ構成部材Bのうち配置済みタイヤ構成部材Fのセンター平坦面部FCの上に位置する部分のタイヤ幅方向WDに対する角度(図10の角度β’)と異なるように、帯状タイヤ構成部材Bを貼り付けることが、可能になる。
このような観点から、帯状タイヤ構成部材貼付ステップ(特に、磁化ローラ横移動ステップ(図8図9))において、帯状タイヤ構成部材Bの第2部分B2は、配置済みタイヤ構成部材Fのサイド湾曲面部FS及びセンター平坦面部FCどうしの間の境界面Fb上に、又は、配置済みタイヤ構成部材Fのサイド湾曲面部FS(好適には、サイド湾曲面部FSにおけるタイヤ幅方向内側WIの端部)の上に、又は、配置済みタイヤ構成部材Fのセンター平坦面部FCにおけるタイヤ幅方向外側WOの端部の上に、貼り付けられると、好適である。
【0049】
また、磁化プレート圧着ステップ(図4図5)において、帯状タイヤ構成部材Bの第1部分B1は、配置済みタイヤ構成部材Fのセンター平坦面部FC(好適には、センター平坦面部FCのタイヤ幅方向外側WOの端部)の上に圧着されると、好適である。
これにより、帯状タイヤ構成部材Bの第1部分B1を、安定的に、配置済みタイヤ構成部材Fの上に圧着することができる。
【0050】
磁化ローラ方向転換ステップ(図6及び図7の実線矢印)及び磁化ローラ横移動ステップ(図8図9)において磁化ローラ32から帯状タイヤ構成部材Bに作用される圧力は、一定に維持されてもよい。この場合、貼付装置3の構成をよりシンプルにできる。この場合、例えば、磁化ローラ進退部33を、磁化ローラ32から帯状タイヤ構成部材Bに作用される圧力が一定になるように、磁化ローラ32の上下方向の変位量を制御するように構成することができる。
ただし、磁化ローラ方向転換ステップ(図6及び図7の実線矢印)において磁化ローラ32から帯状タイヤ構成部材Bに作用される圧力は、磁化ローラ横移動ステップ(図8図9)において磁化ローラ32から帯状タイヤ構成部材Bに作用される圧力よりも、小さくてもよい。この場合、帯状タイヤ構成部材Bがめくれるのを抑制できる。この観点から、磁化ローラ方向転換ステップ(図6及び図7の実線矢印)において磁化ローラ32から帯状タイヤ構成部材Bに作用される圧力は、磁化ローラ横移動ステップ(図8図9)において磁化ローラ32から帯状タイヤ構成部材Bに作用される圧力の0.3~0.5倍であると好適である。
また、磁化ローラ横移動ステップ(図8図9)において磁化ローラ32から帯状タイヤ構成部材Bに作用される圧力は、磁化ローラ32がタイヤ幅方向外側WOへ向かうほど、徐々に増大されてもよい。これにより、帯状タイヤ構成部材Bがタイヤ幅方向外側WOの端部においてめくれるのを抑制できる。
あるいは、磁化ローラ横移動ステップ(図8図9)において磁化ローラ32から帯状タイヤ構成部材Bに作用される圧力は、磁化ローラ32がタイヤ幅方向外側WOへ向かうほど、徐々に減少されてもよい。
【0051】
なお、帯状タイヤ構成部材Bの幅は、10mm以下であると好適である。これにより、磁化ローラ方向転換ステップ(図6及び図7の実線矢印)において、帯状タイヤ構成部材Bにシワが出来るのを抑制できる。
また、帯状タイヤ構成部材Bの幅は、2mm以上であると好適である。
ここで、帯状タイヤ構成部材Bの幅は、帯状タイヤ構成部材Bの平面視において、帯状タイヤ構成部材Bの延在方向(長手方向)に対して垂直な方向に沿って測るものとする。
【0052】
また、帯状タイヤ構成部材Bの厚みは、2mm以下であると好適である。これにより、磁化ローラ方向転換ステップ(図6及び図7の実線矢印)において、帯状タイヤ構成部材Bにシワが出来るのを抑制できる。
また、帯状タイヤ構成部材Bの厚みは、1mm以上であると好適である。
【0053】
また、磁化ローラ32の直径は、20~40mmであると好適である。
磁化ローラ32の長さは、帯状タイヤ構成部材Bの幅以上であると好適であり、帯状タイヤ構成部材Bの幅よりも長いとより好適である。磁化ローラ32の長さは、例えば、5~15mmであると好適である。
ここで、磁化ローラ32の長さは、磁化ローラ32の中心軸線32оに平行に測るものとする。
【0054】
また、貼付装置3において、磁化プレート31と磁化ローラ32との間の間隔は、10mm以下が好適であり、5mm以下がより好適である。
また、貼付装置3において、磁化プレート31と磁化ローラ32との間の間隔は、0mm超が好適であり、1mm以上がより好適である。
【0055】
本発明に係る生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置は、上述した実施形態のものに限られず、様々な変形例が可能である。
例えば、貼付装置3は、磁化プレート31及び磁化ローラ32を備える限り、任意の構成としてよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、生タイヤ成型装置1は、貼付装置3を2つ備え、帯状タイヤ構成部材Bを同時に2か所(2つの第2部分B2)で屈曲させるように構成されている。これにより、帯状タイヤ構成部材Bを、タイヤ幅方向WD両側の端部において屈曲させた状態で貼り付けることが可能になる。
ただし、生タイヤ成型装置1は、貼付装置3を、1つのみ備えて、帯状タイヤ構成部材Bを1か所(1つの第2部分B2)で屈曲させるように構成されてもよい。あるいは、生タイヤ成型装置1は、貼付装置3を、3つ以上備えて、帯状タイヤ構成部材Bを同時に3か所以上(3つ以上の第2部分B2)で屈曲させるように構成されてもよい。
【0057】
また、生タイヤ成型装置1は、双腕ロボット以外の任意の装置として構成されてよい。
【0058】
また、成型ドラムDの外周面は、タイヤ幅方向WDに沿う断面において、成型ドラムDのタイヤ幅方向WDの全長にわたって、略平坦であってもよく、それに伴い、配置済みタイヤ構成部材Fの外周面は、タイヤ幅方向WDに沿う断面において、配置済みタイヤ構成部材Fのタイヤ幅方向WDの全長にわたって、略平坦であってもよい。この場合、磁化ローラ横移動ステップ(図8図9)においては、磁化ローラ32を、下降させずに、高さを一定に維持したまま、タイヤ幅方向外側WOへ移動させる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る生タイヤ成型方法、及び、生タイヤ成型装置は、任意の種類のタイヤ(好適には、空気入りタイヤ)の生タイヤを成型するために利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1:生タイヤ成型装置(双腕ロボット)、
2:アーム、
3:貼付装置(ハンド)、 31:磁化プレート、 32:磁化ローラ、 32о:中心軸線、 33:磁化ローラ進退部、 34:連結部、
4:制御装置、 41:制御部、 42:記憶部、
A:回転軸線、
B:帯状タイヤ構成部材、 Bk:金属コード、 Br:未加硫被覆ゴム、 B1:第1部分、 B2:第2部分、
F:配置済みタイヤ構成部材、 Fi:インナーライナー、 Ft:トリート部材、 Fk:コード、 Fr:未加硫被覆ゴム、 FS:サイド湾曲面部、 FC:センター平坦面部、 Fb:境界面、
D:成型ドラム、 DO:成型ドラムの中心軸線、 I:帯状タイヤ構成部材供給装置、
C:タイヤ赤道面、
G:生タイヤ、
WD:タイヤ幅方向、 WI:タイヤ幅方向内側、 WO:タイヤ幅方向外側、
CD:タイヤ周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10