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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071450
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】濃淡バーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/08 20060101AFI20230516BHJP
【FI】
F23D14/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184244
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将寛
(72)【発明者】
【氏名】太田 弘逸
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AA02
3K017AB02
3K017AC01
3K017AD04
(57)【要約】
【課題】上端部に、前後方向に長手の淡炎口2と、淡炎口2の少なくとも横方向一側に空隙部3を挟んで隣接する濃炎口4とを有する濃淡バーナであって、淡炎口2を横方向複数の領域に区分けする複数の整流板71,72を有する整流部材7の前後複数個所に、複数の整流板71,72同士をこれら整流板の上部で密着させて淡炎口2を前後複数部分に分割する絞り部73が設けられるものにおいて、整流部材7における淡混合気の通過抵抗を左程増大させることなく、周波数200Hz~250Hz程度の共鳴振動の発生を抑制することができるようにする。
【解決手段】少なくとも横方向最外側の整流板72に、横方向に隣接する整流板71に密着して、絞り部73で分割された淡炎口の各部分を更に前後複数部分に分割する第2の絞り部74を設ける。第2の絞り部74は、下端が絞り部73の下端よりも上方に位置し、上下方向長さが絞り部73よりも短い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に、理論空燃比よりも燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の少なくとも横方向一側に所定の横幅の空隙部を挟んで隣接し、理論空燃比よりも燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する濃炎口とを有する濃淡バーナであって、
淡炎口を横方向複数の領域に区分けする複数の整流板を有する整流部材を備え、整流部材の前後複数個所に、複数の整流板同士をこれら整流板の上部で密着させて淡炎口を前後複数部分に分割する第1絞り部が設けられるものにおいて、
少なくとも空隙部に隣接する横方向最外側の整流板に、当該整流板の横方向に隣接する整流板に密着して、第1絞り部で分割された淡炎口の各部分を更に前後複数部分に分割する第2絞り部が設けられ、第2絞り部は、下端が第1絞り部の下端よりも上方に位置し、上下方向長さが第1絞り部よりも短いことを特徴とする濃淡バーナ。
【請求項2】
請求項1記載の濃淡バーナであって、前記複数の整流板に前記第2絞り部が設けられるものにおいて、複数の整流板のうちの少なくとも一部の整流板に設ける第2絞り部は、前後方向幅が前記第1絞り部よりも狭いことを特徴とする請求項1記載の濃淡バーナ。
【請求項3】
請求項1記載の濃淡バーナであって、前記複数の整流板に前記第2絞り部が設けられるものにおいて、複数の整流板のうちの少なくとも一部の整流板に設ける第2絞り部の上端は、整流板の上端よりも下方に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の濃淡バーナ。
【請求項4】
横方向外側と内側に隣接する各2枚の前記整流板のうちの一方の整流板に設けられる前記第2絞り部と他方の整流板に設けられる前記第2絞り部との位置が、第2絞り部の上下方向長さより短い範囲で上下方向にずれ、一方の整流板に設けられる第2絞り部の上端は、整流板の上端に達するが、他方の整流板に設けられる第2絞り部の上端は、整流板の上端よりも下方に位置することを特徴とする請求項3記載の濃淡バーナ。
【請求項5】
前記横方向最外側の整流板の前記第1絞り部以外の部分に、前記第2絞り部の下端よりも下方に位置させて、前記淡混合気の一部を前記空隙部に導入する導入孔が前後方向の間隔を存して複数設けられることを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の濃淡バーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端部に、理論空燃比よりも燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の少なくとも横方向一側に所定の横幅の空隙部を挟んで隣接し、理論空燃比よりも燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する濃炎口とを有する濃淡バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の濃淡バーナは、淡炎口を横方向複数の領域に区分けする複数の整流板を有する整流部材を備えている(例えば、特許文献1参照)。また、整流部材の前後複数個所には、複数の整流板同士をこれら整流板の上部で密着させて淡炎口を前後複数部分に分割する絞り部が設けられている。
【0003】
ところで、このような濃淡バーナにおいて、濃炎口から噴出する濃混合気は、淡炎口と反対の外側部分では、バーナ外側に流れる二次空気が供給されて燃焼し、淡炎口寄りの内側部分では、淡炎口との間の空隙部の上方位置で淡混合気中の余剰空気が供給されて燃焼する。そして、空隙部の上方に、空気過剰率1.0付近の混合気の燃焼による均一な火炎が前後方向に広い範囲で形成されると、周波数200Hz~250Hz程度の共鳴振動が発生しやすくなる。
【0004】
ここで、絞り部に合致する前後方向位置では、濃混合気への淡混合気中の余剰空気の供給が抑制されて、空隙部の上方に空気過剰率1.0付近の混合気の燃焼による火炎が形成されなくなる。従って、絞り部の数を増やせば、空隙部の上方に形成される空気過剰率1.0付近の混合気の燃焼による火炎が細分化され、周波数200Hz~250Hz程度の共鳴振動の発生を抑制することができる。然し、絞り部の数を増やしたのでは、整流部材における淡混合気の通過抵抗が増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-286448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、整流部材における淡混合気の通過抵抗を左程増大させることなく、周波数200Hz~250Hz程度の共鳴振動の発生を抑制することができるようにした濃淡バーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、上端部に、理論空燃比よりも燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の少なくとも横方向一側に所定の横幅の空隙部を挟んで隣接し、理論空燃比よりも燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する濃炎口とを有する濃淡バーナであって、淡炎口を横方向複数の領域に区分けする複数の整流板を有する整流部材を備え、整流部材の前後複数個所に、複数の整流板同士をこれら整流板の上部で密着させて淡炎口を前後複数部分に分割する第1絞り部が設けられるものにおいて、少なくとも空隙部に隣接する横方向最外側の整流板に、当該整流板の横方向に隣接する整流板に密着して、第1絞り部で分割された淡炎口の各部分を更に前後複数部分に分割する第2絞り部が設けられ、第2絞り部は、下端が第1絞り部の下端よりも上方に位置し、上下方向長さが第1絞り部よりも短いことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、整流部材に第1絞り部に加えて第2絞り部を設けるため、空隙部の上方に形成される空気過剰率1.0付近の混合気の燃焼による火炎が第1絞り部のみを設けるものに比し細分化され、周波数200Hz~250Hz程度の共鳴振動の発生を抑制することができる。しかも、第2絞り部は、下端が第1絞り部の下端よりも上方に位置し、上下方向長さが第1絞り部よりも短いため、整流部材における淡混合気の通過抵抗は左程増加しない。尚、空隙部に隣接する横方向最外側の整流板に第2絞り部を設けておけば、他の整流板に第2絞り部を設けておかなくても、ある程度は上記の効果が得られる。
【0009】
また、本発明において、複数の整流板に第2絞り部を設ける場合、複数の整流板のうちの少なくとも一部の整流板に設ける第2絞り部は、前後方向幅が第1絞り部よりも狭いことが望ましい。これによれば、第2絞り部による通過抵抗の増加を一層抑えることができる。
【0010】
更に、本発明において、複数の整流板に第2絞り部を設ける場合、複数の整流板のうちの少なくとも一部の整流板に設ける第2絞り部の上端は、整流板の上端よりも下方に位置することが望ましい。これによれば、上端が整流板の上端よりも下方に位置する第2絞り部の上方に、淡混合気が低速度で回り込んで、長さの短い安定した火炎が形成され、保炎効果が得られる。
【0011】
また、本発明においては、横方向外側と内側に隣接する各2枚の整流板のうちの一方の整流板に設けられる第2絞り部と他方の整流板に設けられる第2絞り部との位置が、第2絞り部の上下方向長さより短い範囲で上下方向にずれ、一方の整流板に設けられる第2絞り部の上端は、整流板の上端に達するが、他方の整流板に設けられる第2絞り部の上端は、整流板の上端よりも下方に位置することが望ましい。これによれば、上述した保炎効果が得られると共に、後述する如く第2絞り部の前後方向幅を狭くすることができ、通過抵抗の増加抑制に役立つ。
【0012】
更に、本発明においては、横方向最外側の整流板の第1絞り部以外の部分に、第2絞り部の下端よりも下方に位置させて、淡混合気の一部を空隙部に導入する導入孔を前後方向の間隔を存して複数設けることが望ましい。これによれば、濃混合気に淡混合気中の余剰空気が供給されて空気過剰率が1.0となる位置が空隙部からの淡混合気の供給で低くなる。そのため、この位置が高い場合に発生する60Hz~80Hzの比較的低い周波数の振動燃焼による燃焼騒音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の濃淡バーナの斜視図。
図2】実施形態の濃淡バーナのバーナ本体と整流部材の分離状態の斜視図。
図3】実施形態の濃淡バーナの平面図。
図4図3のIV-IVで切断した拡大断面図。
図5図3のV-Vで切断した拡大断面図。
図6図4のVI-VIで切断した切断側面図。
図7図4のVII-VIIで切断した切断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図4を参照して、1は本発明の実施形態の濃淡バーナを示している。この濃淡バーナ1は、上端部に、理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口2と、淡炎口2の横方向両側に夫々所定の横幅の空隙部3,3を挟んで隣接する、理論空燃比より燃料濃度が濃い濃混合気を噴出する一対の濃炎口4,4とを有する。
【0015】
濃淡バーナ1は、バーナ構成部材として、横方向に対峙する一対の側板51,51を有し、これら両側板51,51の上端部間に淡炎口2とその横方向両側の空隙部3,3とが画成されるバーナ本体5と、バーナ本体5を横方向両側から覆う一対の側板61,61を有し、これら両側板61,61の上端部とバーナ本体5の両側板51,51の上端部との間に濃炎口4,4が画成されるバーナキャップ6とを備える。また、バーナ本体5の両側板51,51の上端部間に装着され、淡炎口2を横方向複数の領域に区分けする複数の整流板71,72を有する整流部材7を備える。
【0016】
バーナ本体5の両側板51,51は、一枚の板をバーナ本体5の下縁となる折り曲げ線で合掌状態に折り曲げることにより形成されている。また、バーナ本体5には、両側板51,51をプレス加工することで形成した、バーナ本体5の下部前端に開口する流入口52aから後方にのびる淡混合管部52と、淡混合管部52からの淡混合気を淡炎口2に導く淡通路部53とが設けられている。淡混合管部52の流入口52aの開口面積は比較的広い。そのため、流入口52aに対向する淡ガスノズル(図示せず)からの燃料ガスと共に比較的多量の一次空気が淡混合管部52に流入して、淡混合気が生成される。淡通路部53は、淡混合管部52の後端部から上方に向かって前方に広がるようにのびている。
【0017】
また、バーナ本体5の淡混合管部52と淡通路部53との間の部分には、両側板51,51をプレス加工することで形成した濃混合管部54が設けられている。濃混合管部54は、バーナ本体5の前端に開口する流入口54aから後方に少しのびて終端している。濃混合管部54の後部外側面には、流出孔54bが開設されている。濃混合管部54の流入口54aの開口面積は比較的狭い。そのため、流入口54aに対向する濃ガスノズル(図示せず)からの燃料ガスと共に比較的少量の一次空気が濃混合管部54に流入して、濃混合気が生成される。
【0018】
濃混合管部54の流出孔54bから流出する濃混合気は、バーナ本体5の各側板51とバーナキャップ6の各側板61との間に画成される濃通路部62を介して各濃炎口4に導かれる。また、バーナキャップ6の各側板61の上部の前後複数個所には、濃炎口4を前後複数(具体的には12個)部分に分割する凹部63が形成されている。
【0019】
整流部材7は、横方向内側の一対の内側整流板71,71と、横方向両外側に位置する一対の外側整流板72,72とを有している。また、バーナ本体5の各側板51の上部には、整流部材7の横方向最外側の整流板たる外側整流板72に接する前後方向に長手の凹条55が形成されている。そして、この凹条55よりも上方の側板51の部分と外側整流板72との間に空隙部3が画成されるようにしている。
【0020】
整流部材7の前後複数個所(具体的には3箇所)には、複数の整流板71,72同士をその上部で密着させて淡炎口2を前後複数(具体的には4個)部分に分割する第1絞り部73が設けられている。また、各整流板71,72に、当該各整流板71,72の横方向に隣接する整流板に密着して、第1絞り部73で分割された淡炎口2の各部分を更に前後複数(具体的には3個)部分に分割する第2絞り部74を設けている。具体的には、図5に示す如く、一対の内側整流板71,71に設けた横方向内側に窪む第2絞り部74,74同士が密着することで、両内側整流板71,71間の淡炎口2の領域が前後に分断され、また、空隙部3に隣接する横方向最外側の整流板たる外側整流板72に設けた横方向内側に窪む第2絞り部74が内側整流板71に密着することで、内側整流板71と外側整流板72との間の淡炎口2の領域が前後に分断される。
【0021】
尚、整流部材7の第1と第2の各絞り部73,74の前後方向位置とバーナキャップ6の側板61の各凹部63の前後方向位置とは同一である。また、第1絞り部73と前後方向位置が同一の図1で♯1の符号を付した凹部63は、他の凹部63よりも大きい。更に、バーナキャップ6に、第1絞り部73と同一の前後方向位置で、バーナキャップ6の両側板61,61をその上縁で連結するブリッジ部64を設けている。
【0022】
図6図7も参照して、第2絞り部74は、下端が第1絞り部73の下端よりも上方に位置し、上下方向長さが第1絞り部73よりも短い。また、外側整流板72に設けられる第2絞り部74は、前後方向幅が第1絞り部73と同等であるが、内側整流板71に設けられる第2絞り部74の前後方向幅W1は、第1絞り部73の前後方向幅W2よりも狭くなっている。尚、外側整流板72に設けられる第2絞り部74の前後方向幅を第1絞り部73の前後方向幅よりも狭くして、内側整流板71に設けられる第2絞り部74の前後方向幅を第1絞り部73の前後方向幅と同等とし、或いは、内側と外側の両整流板71,72に設ける第2絞り部74の前後方向幅を第1絞り部73の前後方向幅より狭くしてもよい。要は、整流部材7の複数の整流板71,72のうちの少なくとも一部の整流板に設ける第2絞り部74の前後方向幅を第1絞り部73の前後方向幅よりも狭くすればよい。
【0023】
上記の如く第2絞り部74を設ければ、空隙部3の上方に形成される空気過剰率1.0付近の混合気の燃焼による火炎が整流部材7に第1絞り部73のみを設けるものに比し細分化され、周波数200Hz~250Hz程度の共鳴振動の発生を抑制することができる。しかも、第2絞り部74は、上記の如く下端が第1絞り部73の下端よりも上方に位置し、上下方向長さが第1絞り部73よりも短いため、整流部材7における淡混合気の通過抵抗は左程増加しない。更に、整流部材7の複数の整流板71,72のうちの少なくとも一部の整流板に設ける第2絞り部74の前後方向幅を第1絞り部73の前後方向幅よりも狭くすることで、第2絞り部74による通過抵抗の増加を一層抑えることができる。
【0024】
尚、第1絞り部73の上下方向長さや前後方向幅を短くして、通過抵抗を減少させることも考えられる。然し、淡炎口2の前部や後部に流入する前後方向に比較的大きく傾いた淡混合気の流れを上方に向くように整流する上で、第1絞り部73の上下方向長さはある程度以上にする必要があり、また、ブリッジ部64を火炎が炙らないようにするため、ブリッジ部64の真下に位置する第1絞り部73の前後方向幅もある程度以上にする必要がある。そのため、第1絞り部73の上下方向長さや前後方向幅を短くすることは好ましくない。
【0025】
また、本実施形態では、内側整流板71に設けられる第2絞り部74と外側整流板72に設けられる第2絞り部74との位置を、第2絞り部74の上下方向長さより短い範囲で上下方向にずらしている。具体的には、外側整流板72に設けられる第2絞り部74の位置を上方にずらして、この第2絞り部74の上端が外側整流板72の上端に達するようにし、内側整流板71に設けられる第2絞り部74の位置を下方にずらして、この第2絞り部74の上端が内側整流板71の上端よりも下方に位置するようにしている。
【0026】
ここで、内側整流板71に設けられる第2絞り部74と外側整流板72に設けられる第2絞り部74との位置が上下方向にずれていない場合には、内側整流板71と外側整流板72との間の淡炎口2の領域を前後に分断する上で、外側整流板72に設けられる第2絞り部74を内側整流板71に設けられる第2絞り部74に密着させることが必要になる。そのためには、内側整流板71に設けられる第2絞り部74の前後方向幅を、外側整流板72に設けられる第2絞り部74を受け入れられるように広くする必要がある。これに対し、本実施形態によれば、外側整流板72に設けられた上方にずれている第2絞り部74の上部を、図5に示す如く、内側整流板71に設けられた第2絞り部74の上端よりも上方の内側整流板71の部分に密着させることで、内側整流板71と外側整流板72との間の淡炎口2の領域を前後に分断できる。従って、内側整流板71に設けられる第2絞り部74に、外側整流板72に設けられる第2絞り部74を挿入できるようにする必要がない。その結果、内側整流板71に設けられる第2絞り部74の前後方向幅を狭くすることができ、通過抵抗の増加抑制に役立つ。
【0027】
更に、内側整流板71に設けられる第2絞り部74の上端が内側整流板71の上端よりも下方に位置するため、一対の内側整流板71,71間の淡炎口2の領域に流れた淡混合気の一部が内側整流板71の第2絞り部74の上方に低速度で回り込む。その結果、内側整流板71の第2絞り部74の上方に長さの短い安定した火炎が形成され、保炎効果が得られる。
【0028】
また、本実施形態では、整流部材7の横方向最外側の整流板たる外側整流板72の第1絞り部73以外の部分に、第2絞り部74の下端よりも下方に位置させて、淡混合気の一部を空隙部3に導入する導入孔75を前後方向の間隔を存して複数設けている。尚、本実施形態では、各第2絞り部74の直下部分には導入孔75を設けていないが、この部分に導入孔75を設けることも可能である。
【0029】
ここで、濃炎口4から噴出する濃混合気に淡混合気中の余剰空気が供給されて空気過剰率が1.0となる位置が高くなると、濃混合気の燃焼で形成される濃火炎の淡炎口2側の基部が不安定になり、60Hz~80Hzの比較的低い周波数の振動燃焼を生じて、燃焼騒音の原因になることがある。本実施形態では、空隙部3に導入孔75を介して淡混合気が導入されるため、濃混合気に淡混合気中の余剰空気が供給されて空気過剰率が1.0となる位置が空隙部3からの淡混合気の供給で低くなる。従って、60~80Hzの比較的低い周波数の振動燃焼による燃焼騒音を抑制することができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、淡炎口2の横方向両側に空隙部3,3を挟んで一対の濃炎口4,4が設けられているが、淡炎口の横方向片側だけに空隙部を挟んで濃炎口を設けた濃淡バーナにも同様に本発明を適用できる。
【0031】
また、上記実施形態と異なり、一対の内側整流板71,71には第2絞り部74を設けずに、一対の外側整流板72,72のみに第2絞り部74を設けてもよい。この場合でも、空隙部3の上方に形成される空気過剰率1.0付近の混合気の燃焼による火炎が整流部材7に第1絞り部73のみを設けるものに比し細分化され、周波数200Hz~250Hz程度の共鳴振動の発生をある程度抑制することができる。
【0032】
更に、上記実施形態の整流部材7は、4枚の整流板を有するが、一対の内側整流板と一対の中間整流板と一対の外側整流板との6枚の整流板を有するものとしてもよい。この場合、外側整流板に設ける第2絞り部の位置をその上端が外側整流板の上端に達するように上方にずらし、中間整流板に設ける第2絞り部の位置をその上端が外側整流板の上端の下方に位置するように下方にずらし、内側整流板に設ける第2絞り部の位置をその上端が内側整流板の上端に達するように上方にずらせば、外側整流板に設ける第2絞り部の上部が中間整流板に設ける第2絞り部の上端よりも上方の中間整流板の部分に密着して、外側整流板と中間整流板との間の淡炎口の領域が前後に分断され、中間整流板に設ける第2絞り部の下部が内側整流板に設けられる第2絞り部の下端よりも下方の内側整流板の部分に密着して、中間整流板と内側整流板との間の淡炎口の領域が前後に分断され、一対の内側整流板に設けられた第2絞り部同士が密着して、両内側整流板間の淡炎口の領域が前後に分断される。尚、外側整流板に設ける第2絞り部の位置を下方、中間整流板に設ける第2絞り部の位置を上方、内側整流板に設ける第2絞り部の位置を下方に夫々ずらしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…濃淡バーナ、2…淡炎口、3…空隙部、4…濃炎口、5…バーナ本体、51…側板、6…バーナキャップ、61…側板、7…整流部材、71…内側整流板、72…外側整流板(横方向最外側の整流板)、73…第1絞り部、74…第2絞り部、75…導入孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7