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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007149
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230111BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G06T7/00 C
G06T1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110213
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】染谷 俊介
(72)【発明者】
【氏名】平 将次郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 賢
(72)【発明者】
【氏名】黒田 健資
【テーマコード(参考)】
5B050
5L096
【Fターム(参考)】
5B050BA17
5B050DA01
5B050EA07
5B050EA12
5L096AA09
5L096EA16
5L096FA18
5L096FA65
5L096FA66
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】点群データによる建物の展開図の作成を容易に行うことができる情報処理装置を得る。
【解決手段】情報処理装置10は、内部に壁面を有する建物の内部において、当該壁面を含む領域を3次元撮影して得られた点群データを取得する取得部11Aと、取得部11Aによって取得された点群データにおいて、当該点群データが示す点群の内部の所定位置から外方向に最も遠い点によって構成される点群を用いて図面上の上記壁面を構成する構成部11Bと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に壁面を有する建物の内部において、当該壁面を含む領域を3次元撮影して得られた点群データを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記点群データにおいて、当該点群データが示す点群の内部の所定位置から外方向に最も遠い点によって構成される点群を用いて図面上の前記壁面を構成する構成部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記点群データが示す点群を上方から見た場合に、当該点群に外接し、かつ、一辺が平面視水平となる方形枠の周長が最小となるように前記点群データを回転させる回転部、
を更に備えた請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記内部の所定位置から、前記構成部によって構成された前記壁面の方向に向かって正射投影した立面を展開することで展開図を作成する作成部、
を更に備えた請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設業での3次元スキャナ(以下、「3Dスキャナ」ともいう。)による3次元撮影は、土木分野と同様に、屋外から建物の躯体及び外装や、設備類を対象として行われている。また、当該3次元撮影は、半屋外(目隠し壁で隠れた屋上、ドライエリア、ピロティ等)や屋内においても、建物の躯体及び内装や、設備類を対象に行われている。
【0003】
この3Dスキャナによる3次元撮影によって取得した点群データは、パーソナルコンピュータ等により、現地及び現況の確認を行うといった活用が行われている。
【0004】
このような3Dスキャナによって得られる点群データを利用する技術として、以下に示す技術があった。
【0005】
特許文献1には、点の集合からCAD図面を描画するためのCADデータを作成するCADデータ作成装置が開示されている。
【0006】
このCADデータ作成装置は、対象物の位置および形状を点群データとして取得すると共に、当該点群データに基づいて表示部に点群を表示する点群データ取得部を備えている。また、このCADデータ作成装置は、取得された前記対象物を示す点群の中から、当該対象物を構成する部材を示す点群を指定する点群指定部と、指定された前記部材を示す点群の元となる点群データと他の点群データと区分する点群区分部と、を備えている。
【0007】
また、特許文献2には、間取り図を容易に作成することができるようにすることを目的とした間取り図作成方法が開示されている。
【0008】
この間取り図作成方法は、測定装置を用いて室内の3次元点群データを含む測定データを取得する工程と、前記3次元点群データを基に前記室内の3次元モデルを取得する工程と、前記3次元モデルを基に前記室内の間取り図を作成する工程と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-323461号公報
【特許文献2】特開2017-151744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、内部に壁面を有する建物の内部において、当該壁面を含む領域を3Dスキャナにより3次元撮影して得られた点群データを用いて、当該建物の展開図を作成したいという要望がある。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を、上記展開図を作成するために適用した場合、上記対象物として壁面等を示す点群を指定する必要があり、手間がかかる、という問題点があった。
【0012】
また、特許文献2に記載の技術では、室内の3次元モデルを取得する点については記載されているものの、建物の壁面等を構成する点については記載されておらず、この技術においても、建物の展開図を、必ずしも容易に作成することができるとは限らない、という問題点があった。
【0013】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、点群データによる建物の展開図の作成を容易に行うことができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置は、内部に壁面を有する建物の内部において、当該壁面を含む領域を3次元撮影して得られた点群データを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記点群データにおいて、当該点群データが示す点群の内部の所定位置から外方向に最も遠い点によって構成される点群を用いて図面上の前記壁面を構成する構成部と、を備えている。
【0015】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、内部に壁面を有する建物の内部において、当該壁面を含む領域を3次元撮影して得られた点群データを取得し、取得した点群データにおいて、当該点群データが示す点群の内部の所定位置から外方向に最も遠い点によって構成される点群を用いて図面上の壁面を構成することで、建物の図面上の壁面を、人手を介することなく構成することができる結果、点群データによる建物の展開図の作成を容易に行うことができる。
【0016】
請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1に記載の情報処理装置であって、前記点群データが示す点群を上方から見た場合に、当該点群に外接し、かつ、一辺が平面視水平となる方形枠の周長が最小となるように前記点群データを回転させる回転部、を更に備えている。
【0017】
請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、点群データが示す点群を上方から見た場合に、当該点群に外接し、かつ、一辺が平面視水平となる方形枠の周長が最小となるように点群データを回転させることで、上記点群の平面視における水平方向の調整を、人手を介することなく行うことができる結果、点群データによる建物の展開図の作成を、より容易に行うことができる。
【0018】
請求項3に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置であって、前記内部の所定位置から、前記構成部によって構成された前記壁面の方向に向かって正射投影した立面を展開することで展開図を作成する作成部、を更に備えている。
【0019】
請求項3に記載の本発明に係る情報処理装置によれば、上記内部の所定位置から、上記構成部によって構成された壁面の方向に向かって正射投影した立面を展開することで展開図を作成することで、より容易に、点群データによる建物の展開図の作成を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、点群データによる建物の展開図の作成を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る3Dスキャナの構成の一例を示す斜視図である。
図3】実施形態に係る情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係るスキャン情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図5】実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、点群の一例を示す斜視図である。
図7A】実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、点群データの回転処理の状態の一例を示す平面図である。
図7B】実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、点群データの回転処理の状態の一例を示す平面図である。
図8】実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、壁面構成処理の状態の一例を示す平面図である。
図9】実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、壁面平滑化処理の状態の一例を示す平面図である。
図10】実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、展開図作成処理の状態の一例を示す平面図である。
図11】実施形態に係る展開図提示画面の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0023】
まず、図1図3を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム90のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、図2は、本実施形態に係る3Dスキャナ50の構成の一例を示す斜視図である。更に、図3は、本実施形態に係る情報処理装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム90は、情報処理装置10及び3Dスキャナ50を含んで構成されている。なお、情報処理装置10の例としては、パーソナルコンピュータ及びサーバコンピュータ等の汎用又は専用の情報処理装置が挙げられる。
【0025】
本実施形態に係る情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、キーボードとマウス等の入力部14、液晶ディスプレイ等の表示部15、媒体読み書き装置(R/W)16及び通信インタフェース(I/F)部18を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、入力部14、表示部15、媒体読み書き装置16及び通信I/F部18はバスBを介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0026】
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、情報処理プログラム13Aが記憶されている。情報処理プログラム13Aは、情報処理プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの情報処理プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、情報処理プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、情報処理プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0027】
また、記憶部13には、スキャン情報データベース13Bが記憶される。なお、スキャン情報データベース13Bについては、詳細を後述する。
【0028】
一方、図1に示すように、本実施形態に係る3Dスキャナ50は、スキャナ本体52及び記憶部58を含んで構成されている。なお、図示は省略するが、本実施形態に係る3Dスキャナ50は、スキャナ本体52により3次元撮影を行う際に当該スキャナ本体52による撮影方向を変化させるためのモータや、当該モータ、スキャナ本体52等の各部の作動を制御する制御部等も含まれている。
【0029】
図2に示すように、本実施形態に係る3Dスキャナ50は、3脚とされた脚部60の上部にスキャナ本体52が設けられており、スキャナ本体52は、脚部60の上部において、上述したモータの駆動により撮影方向が変更可能とされている。なお、脚部60は3脚には限らないことは言うまでもない。
【0030】
本実施形態に係る3Dスキャナ50は、スキャナ本体52からレーザ光を射出し、対象物に反射して返ってくるまでの時間から距離を算出する一方、スキャナ本体52の移動方向からレーザ光の射出角度を算出し、これらの算出値を用いて3次元位置を特定する、所謂タイムオブフライト方式のものとされている。但し、3Dスキャナ50による3次元位置の特定方式は、これに限るものではない。例えば、スキャナ本体52から複数に変調させたレーザ光を射出し、対象物に当たって戻ってきた拡散反射成分の位相差により対象物との距離を求め、当該距離とレーザ光の射出角度から3次元位置を特定する、所謂フェイズシフト方式のものを、3Dスキャナ50として適用する形態としてもよい。
【0031】
また、本実施形態に係る3Dスキャナ50では、点群データとして、各点の3次元位置の座標を示す座標情報の他、対応する点のレーザ光の反射強度を示す反射強度情報、及び対応する点の色を示す色情報が取得される。そして、本実施形態に係る3Dスキャナ50では、取得した座標情報、反射強度情報、及び色情報が点群データにおける点毎に関連付けられて記憶部58に記憶される。但し、この形態に限るものではなく、例えば、点群データとして、座標情報のみや、座標情報及び反射強度情報の組み合わせ、及び座標情報及び色情報の組み合わせを記憶する形態としてもよい。
【0032】
なお、本実施形態に係る情報処理システム90では、3Dスキャナ50の記憶部58に記憶された各種情報を有線通信によって情報処理装置10に送信する形態とされているが、これに限るものではない。例えば、無線通信によって、3Dスキャナ50の記憶部58に記憶された各種情報を情報処理装置10に送信する形態としてもよい。また、記憶部58を3Dスキャナ50から着脱可能な可搬型の記憶媒体としておき、当該記憶媒体を介して、3Dスキャナ50の記憶部58に記憶された各種情報を情報処理装置10に転送する形態としてもよい。更に、3Dスキャナ50の記憶部58に記憶された各種情報を情報処理装置10に直接送信する形態には限らず、例えば、クラウドサーバを経由して情報処理装置10に送信する形態としてもよい。
【0033】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の機能的な構成について説明する。図3に示すように、本実施形態に係る情報処理装置10は、取得部11A、構成部11B、回転部11C、及び作成部11Dを含む。情報処理装置10のCPU11が情報処理プログラム13Aを実行することで、取得部11A、構成部11B、回転部11C、及び作成部11Dとして機能する。
【0034】
本実施形態に係る取得部11Aは、内部に壁面を有する建物の内部において、当該壁面を含む領域を3Dスキャナ50により3次元撮影して得られた点群データを取得する。
【0035】
また、本実施形態に係る構成部11Bは、取得部11Aによって取得された点群データにおいて、当該点群データが示す点群の内部の所定位置から外方向に最も遠い点によって構成される点群を用いて図面上の上記壁面を構成する。なお、本実施形態では、上記内部の所定位置として、点群データが示す点群の3次元座標系における中心位置を適用しているが、これに限るものではない。例えば、上記点群の鉛直方向の中心軸における各位置を、上記内部の所定位置として適用する形態としてもよい。また、上記内部の所定位置は、これらの中心位置や中心軸上の位置に限らず、建物の内部の位置であれば、如何なる位置も適用することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る構成部11Bは、以上の処理によって得られた図面上の壁面を、最小二乗法を用いて平滑化する。
【0037】
また、本実施形態に係る回転部11Cは、上記点群データが示す点群を上方から見た場合に、当該点群に外接し、かつ、一辺が平面視水平となる方形枠の周長が最小となるように当該点群データを回転させる。そして、本実施形態に係る作成部11Dは、上記内部の所定位置から、構成部11Bによって構成された壁面の方向に向かって正射投影した立面を展開することで展開図を作成する。
【0038】
なお、錯綜を回避するために、以下の説明では、処理対象とする建物(以下、「対象建物」という。)の内部が直方体状である場合について説明するが、これに限るものではない。例えば、壁面に凹凸を有する形状や、三角柱状、5角柱以上の多角柱状、平面視円状の円柱状、平面視楕円状の楕円柱状等の他の内部形状の建物を対象建物として適用する形態としてもよい。
【0039】
次に、図4を参照して、本実施形態に係るスキャン情報データベース13Bについて説明する。図4は、本実施形態に係るスキャン情報データベース13Bの構成の一例を示す模式図である。
【0040】
図4に示すように、本実施形態に係るスキャン情報データベース13Bは、座標、反射強度、及び色の各情報が関連付けられて記憶される。
【0041】
上記座標は、3Dスキャナ50による3次元撮影によって得られた各点の位置の座標を示す、上述した座標情報であり、上記反射強度は、対応する点における、上述した反射強度情報であり、上記色は、対応する点における、上述した色情報である。即ち、本実施形態に係るスキャン情報データベース13Bは、3Dスキャナ50による3次元撮影によって得られた座標情報、反射強度情報、及び色情報の点群データが登録されるものである。
【0042】
次に、図5図11を参照して、本実施形態に係る情報処理システム90の作用を説明する。図5は、本実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。また、図6は、本実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、点群の一例を示す斜視図である。また、図7A及び図7Bは、本実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、点群データの回転処理の状態の一例を示す平面図である。また、図8は、本実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、壁面構成処理の状態の一例を示す平面図である。また、図9は、本実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、壁面平滑化処理の状態の一例を示す平面図である。また、図10は、本実施形態に係る情報処理の説明に供する図であり、展開図作成処理の状態の一例を示す平面図である。更に、図11は、本実施形態に係る展開図提示画面の一例を示す正面図である。
【0043】
3次元撮影を行う撮影者は、内部に壁面を有する対象建物の内部において、当該壁面を含む領域を3Dスキャナ50により3次元撮影する。なお、錯綜を回避するために、以下では、3Dスキャナ50による1回のみの3次元撮影で撮影対象領域を網羅できる場合について説明するが、これに限るものではない。3Dスキャナ50による1回のみの3次元撮影では撮影対象領域を網羅できない場合は、複数回に分けて3次元撮影を実施し、各3次元撮影で得られた点群データを合成する形態としてもよい。
【0044】
この3次元撮影によって、撮影対象領域における、上述した座標情報、反射強度情報、及び色情報の各情報が得られ、一時的に記憶部58に記憶される。
【0045】
その後、撮影者は、3Dスキャナ50に記憶された座標情報、反射強度情報、及び色情報の各情報を情報処理装置10に送信する操作を行う。
【0046】
上記各情報が3Dスキャナ50から受信されると、情報処理装置10では、受信した各情報がスキャン情報データベース13Bに登録される。この情報の登録により、一例として図4に示されるスキャン情報データベース13Bが構築されることになる。
【0047】
この状態において、情報処理装置10のユーザは、情報処理プログラム13Aの実行を開始する指示入力を、入力部14を介して行う。この指示入力に応じて、情報処理装置10のCPU11が当該情報処理プログラム13Aを実行することにより、図5に示す情報処理が実行される。
【0048】
図5のステップ100で、CPU11は、スキャン情報データベース13Bから全ての情報(以下、「点群データ」という。)を読み出す。
【0049】
ステップ102で、CPU11は、読み出した点群データにおける座標情報を用いて、当該座標情報により示される、一例として図6に模式的に示す対象建物80の内部を示す点群82の内部の所定位置を特定する。本実施形態では、上述したように、上記内部の所定位置として、点群82の3次元座標系における中心位置C(図8も参照。)を適用している。なお、図6では、便宜上、点群82の各点82Aを実際より大きく図示している。また、錯綜を回避するために、図6では、対象建物80の内部に設けられている設備配管、柱、梁、テーブルといった物体や、対象建物80の図6左端側及び奥手側の壁面の点群の図示を省略している。
【0050】
ステップ104で、CPU11は、一例として図7Aに示すように、点群82に外接し、かつ、一辺が平面視水平方向となる方形枠88の周長(=L1+L2+L3+L4)が最小となるように点群データを回転させる回転処理を行う。この回転処理により、一例として図7Bに示す様に、点群82が示す対象建物80の向きを平面視水平方向に調整することができる。
【0051】
ステップ106で、CPU11は、一例として図8に示すように、回転処理を経た点群データにおいて、当該点群データが示す点群82の内部の所定位置から外方向に最も遠い点82Aを、対象建物80の図面上の壁面を構成する点であるとして特定する壁面構成処理を行う。上述したように、本実施形態では、上記内部の所定位置として中心位置Cを適用している。このため、本実施形態では、対象建物80の天井面及び床面を除く領域に対し、中心位置Cから外側に向けて放射線状に各点群82の座標情報が示す位置を探索し、中心位置Cからの距離が最も遠い位置の点82Aを、対象建物80の図面上の壁面を構成する点であるとして特定する。この壁面構成処理により、一例として図8に示すように、対象建物80の内部に設けられている設備配管、柱、テーブル等の物体89を除外した壁面を示す点群82を特定することができる。
【0052】
ステップ108で、CPU11は、特定した点群82を示す情報を、対象建物80の図面上の壁面を構成する点であるとして記憶部13の所定領域に記憶する。ステップ110で、CPU11は、一例として図9に示すように、以上の処理によって得られた対象建物80の図面上の壁面を構成する点82Aの各々を対象として、水平方向に対して最小二乗法で差分が最小となるように描画した直線87の高さ方向の集合が図面上の壁面そのものを示すものとする壁面平滑化処理を行う。この壁面平滑化処理において、CPU11は、点群82における上記図面上の壁面を構成する点82Aの各々の位置を示す座標情報を、最も近接する直線87の位置に移動させる。
【0053】
このように、本実施形態では、壁面平滑化処理を、最小二乗法を適用して行っているが、これに限るものではない。対象建物80の図面上の壁面を、より滑らかなものとしたい場合には、例えば、スプライン関数を用いてスムージングを行う形態としてもよい。
【0054】
ステップ112で、CPU11は、一例として図10に示すように、以上の処理を経た点群データを用いて、中心位置Cから、当該点群データが示す図面上の壁面86A~壁面86Dの方向に向かって正射投影した立面を展開することで展開図を作成する。
【0055】
ステップ114で、CPU11は、作成した展開図を用いて、予め定められた構成とされた展開図提示画面を表示するように表示部15を制御し、ステップ116で、CPU11は、所定情報が入力されるまで待機する。
【0056】
図11には、本実施形態に係る展開図提示画面の一例が示されている。図11に示すように、本実施形態に係る展開図提示画面では、ステップ112の処理によって作成した対象建物80の展開図が、床面84が中央部に位置するように表示される。一例として図11に示す展開図提示画面が表示部15に表示されると、ユーザは、表示内容を確認した後、終了ボタン15Aを、入力部14を介して指定する。ユーザによって終了ボタン15Aが指定されると、ステップ116が肯定判定となって本情報処理が終了する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、内部に壁面を有する建物の内部において、当該壁面を含む領域を3次元撮影して得られた点群データを取得する取得部11Aと、取得部11Aによって取得された点群データにおいて、当該点群データが示す点群の内部の所定位置から外方向に最も遠い点によって構成される点群を用いて図面上の壁面を構成する構成部11Bと、を備えている。従って、建物の図面上の壁面を、人手を介することなく構成することができる結果、点群データによる建物の展開図の作成を容易に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、点群データが示す点群を上方から見た場合に、当該点群に外接し、かつ、一辺が平面視水平となる方形枠の周長が最小となるように点群データを回転させる。従って、点群の平面視における水平方向の調整を、人手を介することなく行うことができる結果、点群データによる建物の展開図の作成を、より容易に行うことができる。
【0059】
更に、本実施形態に係る情報処理装置10によれば、上記内部の所定位置から、構成部11Bによって構成された壁面の方向に向かって正射投影した立面を展開することで展開図を作成する。従って、より容易に、点群データによる建物の展開図の作成を行うことができる。
【0060】
なお、上記実施形態では、回転処理を行った後に壁面構成処理を行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、壁面構成処理を行った後に回転処理を行う形態としてもよい。
【0061】
また、上記実施形態において、例えば、取得部11A、構成部11B、回転部11C、及び作成部11Dの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0062】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0063】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0064】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 情報処理装置
11 CPU
11A 取得部
11B 構成部
11C 回転部
11D 作成部
12 メモリ
13 記憶部
13A 情報処理プログラム
13B スキャン情報データベース
14 入力部
15 表示部
15A 終了ボタン
16 媒体読み書き装置
17 記録媒体
18 通信I/F部
50 3Dスキャナ
52 スキャナ本体
58 記憶部
60 脚部
80 対象建物
82 点群
82A 点
84 床面
86A~86D 壁面
87 直線
88 方形枠
89 物体
90 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11