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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071498
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】入札管理装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230516BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184331
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】520124383
【氏名又は名称】株式会社CSPホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 直希
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊輔
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】発注業者と受注希望業者との間の公正な受注業務が妨げられる事態の発生を抑制できる入札管理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】管理サーバ20は、入札対象の入札管理を行う処理部21と、記憶部23とを備える。処理部21は、入札対象、入札締切日及び入札希望業者の情報を含む入札情報を発注者端末から受信して記憶部23に記憶させ、記憶された入札情報を入札希望業者の入札者端末60に送信する。処理部21は、送信した入札情報に含まれる入札対象の入札金額と、入札金額を提示した入札希望業者との情報を含む応札情報を入札者端末60から受信し、既に記憶されている入札情報と対応付けて記憶部23に記憶させる。処理部21は、記憶部23に記憶された入札情報のうち前記入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた応札情報に含まれる入札金額及び入札希望業者の名称が、発注者端末に表示されることを禁止する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入札対象の発注業者の端末であって前記入札対象の入札業務を行う担当者が操作する担当者端末(50)、及び前記発注業者の端末であって前記入札対象の落札者の決定権限を有する責任者が操作する責任者端末(40)を含む発注者端末と通信可能に構成されるとともに、
前記入札対象の入札希望業者の端末である入札者端末(60)と通信可能に構成された入札管理装置(20)において、
前記入札対象の入札管理を行う処理部(21)と、
記憶部(23)と、を備え、
前記処理部は、
前記発注業者が発注する前記入札対象、前記入札対象の入札締切日及び前記入札対象の入札への参加が許可された前記入札希望業者の情報を含む入札情報を前記発注者端末から受信し、受信した前記入札情報を前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶された前記入札情報を、該入札情報に含まれる前記入札希望業者の前記入札者端末に送信し、
送信した前記入札情報に含まれる前記入札対象の入札金額と、該入札金額を提示した前記入札希望業者との情報を含む応札情報を前記入札者端末から受信し、受信した前記応札情報を、既に記憶されている前記入札情報と対応付けて前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶された前記入札情報のうち前記入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた前記応札情報に含まれる前記入札金額及び前記入札希望業者の名称が、前記発注者端末に表示されることを禁止し、
前記記憶部に記憶された前記入札情報のうち前記入札締切日を経過した入札情報に対応付けられた前記応札情報に含まれる前記入札金額が前記入札希望業者毎に表示される画面であって、いずれかの前記入札希望業者を落札候補者として選択するための選択画面を、前記発注者端末に表示させ、
前記選択画面において落札候補者が選択された旨の情報を受信した場合、落札用パスワードを入力するためのパスワード入力画面を前記発注者端末に表示させ、
前記選択画面において前記落札候補者が選択された旨の情報を受信した場合、前記入札対象毎に個別に割り当てられる落札用パスワードを発行し、発行した前記落札用パスワードを、前記担当者端末及び前記責任者端末のうち前記責任者端末に送信し、
前記パスワード入力画面に入力された落札用パスワードと、発行した前記落札用パスワードとが一致したと判定した場合、前記選択画面において選択された落札候補者を前記入札対象の落札者として決定する、入札管理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記入札金額及び前記入札希望業者の名称が前記発注者端末に表示されることを禁止しつつ、前記記憶部に記憶された前記入札情報のうち前記入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた前記応札情報に含まれる前記入札希望業者の数を、前記発注者端末に表示させる、請求項1に記載の入札管理装置。
【請求項3】
前記入札管理装置は、前記入札管理のサービスを前記発注業者及び前記入札希望業者に提供する管理業者の端末である管理者端末(30)と通信可能に構成されており、
前記処理部は、
前記入札希望業者の情報を前記管理者端末から受信し、受信した前記入札希望業者の情報に対応付けた識別コードを発行し、受信した前記入札希望業者の情報を前記識別コードと対応付けて前記記憶部に記憶させ、
前記識別コードを入力するためのコード入力画面を前記発注者端末に表示させ、
前記コード入力画面に入力された識別コードと、前記記憶部に記憶された前記識別コードとが一致したと判定した場合、一致判定した前記識別コードに対応付けられた前記入札希望業者を登録入札業者とする情報を前記発注者端末に送信し、
前記入札情報を入力する入力欄を前記発注者端末に表示させ、
前記入札情報において、前記登録入札業者のうち前記入力欄に入力された前記入札希望業者を、前記参加が許可された入札希望業者として取り扱う、請求項1又は2に記載の入札管理装置。
【請求項4】
入札対象の発注業者の端末であって前記入札対象の入札業務を行う担当者が操作する担当者端末(50)、及び前記入札対象の落札者を決定する権限を有する責任者が操作する責任者端末(40)を含む発注者端末と通信可能に構成されるとともに、
前記入札対象の入札希望業者の端末である入札者端末(60)と通信可能に構成され、前記入札対象の入札管理を行う入札管理装置(20)に適用されるプログラムにおいて、
前記入札管理装置が備えるコンピュータ(21)に、
前記発注業者が発注する前記入札対象、前記入札対象の入札締切日及び前記入札対象の入札への参加が許可された前記入札希望業者の情報を含む入札情報を前記発注者端末から受信し、受信した前記入札情報を前記入札管理装置の記憶部(23)に記憶させる処理と、
前記記憶部に記憶された前記入札情報を、該入札情報に含まれる前記入札希望業者の前記入札者端末に送信する処理と、
送信した前記入札情報に含まれる前記入札対象の入札金額と、該入札金額を提示した前記入札希望業者との情報を含む応札情報を前記入札者端末から受信し、受信した前記応札情報を、既に記憶されている前記入札情報と対応付けて前記記憶部に記憶させる処理と、
前記記憶部に記憶された前記入札情報のうち前記入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた前記応札情報に含まれる前記入札金額及び前記入札希望業者の名称が、前記発注者端末に表示されることを禁止する処理と、
前記記憶部に記憶された前記入札情報のうち前記入札締切日を経過した入札情報に対応付けられた前記応札情報に含まれる前記入札金額が前記入札希望業者毎に表示される画面であって、いずれかの前記入札希望業者を落札候補者として選択するための選択画面を、前記発注者端末に表示させる処理と、
前記選択画面において落札候補者が選択された旨の情報を受信した場合、落札用パスワードを入力するためのパスワード入力画面を前記発注者端末に表示させる処理と、
前記選択画面において前記落札候補者が選択された旨の情報を受信した場合、前記入札対象毎に個別に割り当てられる落札用パスワードを発行し、発行した前記落札用パスワードを、前記担当者端末及び前記責任者端末のうち前記責任者端末に送信する処理と、
前記パスワード入力画面に入力された落札用パスワードと、発行した前記落札用パスワードとが一致したと判定した場合、前記選択画面において選択された落札候補者を前記入札対象の落札者として決定する処理と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入札管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設,土木,電気工事等の工事業務を施主から依頼された発注業者は、依頼された工事業務をいくつかに区分し、区分した工事業務毎に受注業者(下請け業者)との契約を締結する(例えば特許文献1参照)。1つの工事業務に対する受注希望業者が複数存在する場合、発注業者は、複数の受注希望業者が提示する見積金額を踏まえ、複数の受注希望業者の中から工事業務を発注する業者を選択する。一般的には、見積金額がより低い業者の方が、業務を受注する上で有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-11106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発注業者に所属する工事業務の担当者(例えば営業担当者)は、複数の受注希望業者とコンタクトする機会があるため、工事業務に対する各受注希望業者の見積金額を知る立場になり得る。この場合において、複数の受注希望業者のうち一部の受注希望業者の受注が有利になるように、発注業者の担当者が、他の受注希望業者の見積金額を踏まえた受注可能性の高い見積金額を一部の受注希望業者に教えるといった事態が発生し得る。詳しくは、担当者は、リベート(キックバックともいう)といわれる斡旋料を見積金額に含ませつつ、受注可能性の高い見積金額以下になる金額を一部の受注希望業者に教える。
【0005】
担当者から受注可能性の高い見積金額を教えてもらった受注希望業者が受注業者として選ばれた場合、その後、受注業者は、先に提示した見積金額からリベートを差し引いた金額を発注業者に対して請求し、発注業者を介さず担当者にリベートを直接支払う。この場合、発注業者と受注希望業者との間の公正な受注業務が妨げられるおそれがある。なお、このような課題は、入札対象を建設,土木,電気工事等の工事業務とするものに限らず生じ得る。
【0006】
本発明は、発注業者と受注希望業者との間の公正な受注業務が妨げられる事態の発生を抑制できる入札管理装置及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入札対象の発注業者の端末であって前記入札対象の入札業務を行う担当者が操作する担当者端末、及び前記発注業者の端末であって前記入札対象の落札者の決定権限を有する責任者が操作する責任者端末を含む発注者端末と通信可能に構成されるとともに、
前記入札対象の入札希望業者の端末である入札者端末と通信可能に構成された入札管理装置において、
前記入札対象の入札管理を行う処理部と、
記憶部と、を備え、
前記処理部は、
前記発注業者が発注する前記入札対象、前記入札対象の入札締切日及び前記入札対象の入札への参加が許可された前記入札希望業者の情報を含む入札情報を前記発注者端末から受信し、受信した前記入札情報を前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶された前記入札情報を、該入札情報に含まれる前記入札希望業者の前記入札者端末に送信し、
送信した前記入札情報に含まれる前記入札対象の入札金額と、該入札金額を提示した前記入札希望業者との情報を含む応札情報を前記入札者端末から受信し、受信した前記応札情報を、既に記憶されている前記入札情報と対応付けて前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に記憶された前記入札情報のうち前記入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた前記応札情報に含まれる前記入札金額及び前記入札希望業者の名称が、前記発注者端末に表示されることを禁止し、
前記記憶部に記憶された前記入札情報のうち前記入札締切日を経過した入札情報に対応付けられた前記応札情報に含まれる前記入札金額が前記入札希望業者毎に表示される画面であって、いずれかの前記入札希望業者を落札候補者として選択するための選択画面を、前記発注者端末に表示させ、
前記選択画面において落札候補者が選択された旨の情報を受信した場合、落札用パスワードを入力するためのパスワード入力画面を前記発注者端末に表示させ、
前記選択画面において前記落札候補者が選択された旨の情報を受信した場合、前記入札対象毎に個別に割り当てられる落札用パスワードを発行し、発行した前記落札用パスワードを、前記担当者端末及び前記責任者端末のうち前記責任者端末に送信し、
前記パスワード入力画面に入力された落札用パスワードと、発行した前記落札用パスワードとが一致したと判定した場合、前記選択画面において選択された落札候補者を前記入札対象の落札者として決定する。
【0008】
本発明では、発注業者が発注する入札対象、入札対象の入札締切日及び入札対象の入札への参加が許可された入札希望業者の情報を含む入札情報が、発注業者の発注者端末から入札管理装置に送信される。入札管理装置の処理部は、受信した入札情報を記憶部に記憶させる。処理部は、記憶された入札情報を、入札情報に含まれる入札希望業者の入札者端末に送信する。その後、送信された入札情報に含まれる入札対象の入札金額と、入札金額を提示した入札希望業者とを含む応札情報が、入札者端末から入札管理装置に送信される。入札管理装置の処理部は、受信した応札情報を、既に記憶されている入札情報と対応付けて記憶部に記憶させる。これにより、発注業者の担当者を介すことなく、入札希望業者は、入札を希望する入札対象に対する入札金額を発注業者に提示することができる。その結果、リベートを伴う取引を入札希望業者に担当者が持ち掛けるきっかけの発生を抑制できる。
【0009】
また、本発明では、記憶部に記憶された入札情報のうち入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた応札情報に含まれる入札金額及び入札希望業者の名称が、発注者端末に表示されることが禁止される。このため、発注業者の担当者は、入札対象の入札希望業者及び入札金額を発注者端末から知ることができない。その結果、リベートを伴う取引を担当者が入札希望業者に持ち掛けるきっかけの発生を抑制できる。
【0010】
本発明では、入札締切日を経過した場合、選択画面が発注者端末に表示される。選択画面は、入札締切日を経過した入札情報に対応付けられた応札情報に含まれる入札金額が入札希望業者毎に表示される画面であり、いずれかの入札希望業者を落札候補者として選択するための画面である。発注者端末の操作により、選択画面に表示された複数の入札希望業者のうちいずれかが落札候補者として選択されると、その旨の情報が発注者端末から入札管理装置に送信される。入札管理装置の処理部は、その旨の情報を受信した場合、落札用パスワードを入力するためのパスワード入力画面を発注者端末に表示させる。
【0011】
また、本発明では、入札対象毎に個別に割り当てられる落札用パスワードが発行され、発行された落札用パスワードが、発注業者の担当者端末及び責任者端末のうち責任者端末に送信される。処理部は、パスワード入力画面に入力された落札用パスワードと、発行した落札用パスワードとが一致したと判定した場合、選択画面において選択された落札候補者を入札対象の落札者として決定する。つまり、落札者を決定するプロセスに発注業者の責任者を関与させる。このため、リベートを伴う取引を入札希望業者に持ち掛けないようにする抑止力が担当者に働く。
【0012】
以上説明したように、本発明では、発注業者の担当者を介すことなく、入札希望業者が入札対象に対する入札金額を発注業者に提示することができ、入札対象の入札締切日が経過するまで入札金額及び入札希望業者が発注者端末に表示されることが禁止される。このため、リベートを伴う取引を担当者が入札希望業者に持ち掛けるきっかけの発生を的確に抑制できる。さらに、本発明では、落札者を決定するプロセスにおいて発注業者の責任者を関与させるため、リベートを伴う取引を入札希望業者に持ち掛けないようにする抑止力が担当者に働く。これにより、発注業者と受注希望業者との間の公正な受注業務が妨げられる事態の発生を抑制することができる。
【0013】
本発明では、選択画面において選択された落札候補者を入札対象の落札者として決定するために、責任者端末に送信される落札用パスワードが用いられる。このため、責任者がパスワード入力画面に落札用パスワードを入力する代わりに、担当者が、責任者から教えてもらった落札用パスワードを入力することもできる。このため、責任者が落札者の決定業務に対応できない場合であっても、担当者が代わりに落札者を決定できる。これにより、公正な受注業務が妨げられる事態の発生を抑制しつつ、業務効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】入札管理システムの全体構成図。
図2】管理者端末の表示部に表示されるメニュー画面。
図3】管理者端末の表示部に表示される発注者登録画面。
図4】管理者端末の表示部に表示される入札者登録画面。
図5】発注者端末の表示部に表示されるログイン画面。
図6】発注者端末の表示部に表示される発注者メイン画面。
図7】発注者端末の表示部に表示される発注者メイン画面。
図8】発注者端末の表示部に表示される新規入札者登録画面。
図9】入札者コードが記載された名刺の一例を示す図。
図10】発注者端末の表示部に表示される入札者表示欄。
図11】発注者端末の表示部に表示される新規現場登録欄。
図12】発注者端末の表示部に表示される個別現場表示欄。
図13】発注者端末の表示部に表示される第1入札登録表示欄。
図14】発注者端末の表示部に表示される第2入札登録表示欄。
図15】発注者端末の表示部に表示される開札情報欄。
図16】発注者端末の表示部に表示される入札情報詳細欄。
図17】入札者端末の表示部に表示されるログイン画面。
図18】入札者端末の表示部に表示される入札者メイン画面。
図19】入札者端末の表示部に表示される入札者メイン画面。
図20】入札者端末の表示部に表示される応札情報入力欄。
図21】入札者端末の表示部に表示される応札情報表示欄。
図22】発注者端末の表示部に表示される開札情報欄及び落札待ち情報表示欄。
図23】発注者端末の表示部に表示される選択画面。
図24】発注者端末の表示部に表示される落札決定画面。
図25】発注者端末の表示部に表示される落札完了画面。
図26】管理サーバにより実行される入札管理処理の手順を示すフローチャート。
図27】入札者端末の表示部に表示される入札者メイン画面。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る入札管理装置を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、入札管理装置は、建設,土木,電気工事等の工事業務の発注業者と、工事業務の受注を希望する入札希望業者との間で実施される入札の管理を行うための装置である。入札管理装置としての管理サーバ20は、図1に示す入札管理システム10を構成する。
【0016】
入札管理システム10は、管理サーバ20に加え、管理者端末30、責任者端末40、担当者端末50、入札者端末60及び施主端末70を備えている。管理サーバ20及び管理者端末30は、入札管理サービスを提供する管理業者により運用される装置である。担当者端末50及び責任者端末40は、入札管理サービスを利用する工事業務の発注業者の装置である。担当者端末50は、発注業者に所属する担当者(例えば営業担当者)が操作する端末である。責任者端末40は、担当者端末50とは別の端末であり、発注業者に所属する責任者が操作する端末である。責任者は、入札対象となる工事業務の落札者の決定権限を有し、例えば、担当者の上司又は発注業者の役員である。入札者端末60は、工事業務の入札希望業者の装置である。施主端末70は、発注業者に工事業務を依頼した施主の装置である。
【0017】
各端末30,40,50,60は、例えば、タブレットや、スマートフォン、ノート型コンピュータ装置等の携帯装置、デスクトップ型コンピュータ装置である。本実施形態では、責任者端末40及び担当者端末50が複数設けられている。管理サーバ20、管理者端末30、責任者端末40、担当者端末50、入札者端末60及び施主端末70は、通信ネットワーク80を介して接続されている。通信ネットワーク80は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方である。
【0018】
管理サーバ20は、処理部21、通信部22及び記憶部23を備えている。処理部21はマイコンを主体として構成され、入札管理用のプログラムを実行する。処理部21には記憶部23が接続されている。記憶部23には、入札管理用のプログラム情報等が記憶されている。例えば、記憶部23には、記憶媒体に記憶されたプログラム情報がインストールされる。記憶媒体は、例えばUSBメモリやCD-ROMである。また、例えば、記憶部23には、通信ネットワーク80を介して送信されたプログラム情報がインストールされる。
【0019】
通信部22は、処理部21及び通信ネットワーク80と接続され、通信ネットワーク80を介してデータの送受信を行う。通信部22は、処理部21からの指示に従い、他の端末にデータを送信する。通信部22は、他の端末から送信されたデータを受信し、処理部21に伝達する。
【0020】
管理者端末30は、管理サーバ20と同様に、処理部31、通信部32及び記憶部33を備えている。管理者端末30は、入力部34及び表示部35を備えている。入力部34は、処理部31に接続され、管理業者に所属する管理者(ユーザ)からの入力を受け付けて、受け付けた情報を処理部31に伝達する装置である。入力部34は、例えば、タッチパネルや、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキー、マウス等のポインティングデバイスである。表示部35は、処理部31に接続され、処理部31で処理された処理結果を出力する装置である。表示部35は、例えば、タッチパネルや、タッチディスプレイ、デスクトップ型ディスプレイである。
【0021】
責任者端末40は、管理者端末30と同様に、処理部41、通信部42、記憶部43、入力部44及び表示部45を備えている。担当者端末50は、管理者端末30と同様に、処理部51、通信部52、記憶部53、入力部54及び表示部55を備えている。入札者端末60は、管理者端末30と同様に、処理部61、通信部62、記憶部63、入力部64及び表示部65を備えている。なお、図示しないが、施主端末70も、処理部、通信部、記憶部、入力部及び表示部を備えている。
【0022】
管理サーバ20が提供する入札管理サービスの概略について説明する。このサービスは、管理業者による発注業者の登録処理、管理業者による入札希望業者の登録処理、発注業者による入札希望業者の登録処理、発注業者による工事業務(入札対象)の登録処理、入札希望業者による応札情報の提出処理、及び発注業者による落札者の決定処理により提供される。以下、各処理について説明する。
【0023】
<管理業者による発注業者の登録処理>
管理者端末30から管理サーバ20にアクセスすると、管理サーバ20の処理部21は、管理者端末30の表示部35に、図2に示すメニュー画面100を表示させる。メニュー画面100には、発注者作成ボタン100a、発注者ログインボタン100b、入札者作成ボタン100c、入札者ログインボタン100d及び施主ログインボタン100eが設けられている。なお、メニュー画面100には、責任者端末40、担当者端末50、入札者端末60及び施主端末70からはアクセスできない。
【0024】
管理者端末30の入力部34の操作により発注者作成ボタン100aが選択(例えば、クリック又はタップ)されると、管理サーバ20の処理部21は、管理者端末30の表示部35に、図3に示す発注者登録画面101を表示させる。発注者登録画面101には、発注業者情報を入力する各入力欄が設けられている。詳しくは、発注者登録画面101には、ログインID(メールアドレス)入力欄101a、ログイン用パスワード入力欄101b、発注業者の名称入力欄101c、住所入力欄101d、電話番号入力欄101e、発注業者に所属する担当者の氏名入力欄101f、担当者端末50のメールアドレス入力欄101g、責任者端末40のメールアドレス入力欄101h及び登録ボタン101iが設けられている。本実施形態では、担当者の氏名入力欄101f及びメールアドレス入力欄101gが、入札管理システム10を構成する担当者端末50の数と同数(2つを例示)設けられている。また、責任者のメールアドレス入力欄101hも、責任者端末40の数と同数(2つを例示)設けられている。なお、本実施形態では、各担当者端末50及び各責任者端末40において、ログイン用メールアドレス及びログイン用パスワードが共通である。
【0025】
ちなみに、各入力欄101f,101g,101hの数として2つを例示したが、これに限らず、3つであってもよいし、4つ以上であってもよい。また、各入力欄101f,101g,101hの数は、1つであってもよい。
【0026】
管理者端末30の入力部34の操作により各入力欄101a~101hに情報が入力される。本実施形態では、以降、発注業者の名称を「〇〇株式会社」とする。各入力欄101a~101hに情報が入力された後、管理者端末30の入力部34の操作により登録ボタン101iが選択されると、各入力欄101a~101hに入力された発注業者情報が管理者端末30から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、受信した発注業者情報を記憶部23に記憶させる。記憶部23には、管理業者により登録された複数の発注業者の発注業者情報が記憶され、各発注業者情報は、各発注業者のIDと対応付けられてデータベース化されている。
【0027】
記憶部23に発注業者情報が記憶(登録)されると、記憶された発注業者は、入札管理サービスを利用できるようになる。
【0028】
<管理業者による入札希望業者の登録処理>
図2に示すメニュー画面100において、管理者端末30の入力部34の操作により入札者作成ボタン100cが選択されると、管理サーバ20の処理部21は、管理者端末30の表示部35に、図4に示す入札者登録画面102を表示させる。入札者登録画面102には、入札希望業者情報を入力する各入力欄が設けられている。詳しくは、入札者登録画面102には、ログインID入力欄102a、ログイン用パスワードの入力欄102b、入札希望業者の名称入力欄102c、住所入力欄102d、電話番号入力欄102e、入札希望業者に所属する担当者の氏名入力欄102f、入札希望業者の入札者端末60のメールアドレス入力欄102g、業種選択欄102h及び登録ボタン102iが設けられている。
【0029】
業種選択欄102hには、入札希望業者が受注可能な業務内容を選択するチェックボックスが設けられている。図4には、業務内容の一例として、基礎、基礎補強、内装クロス、電気工事、ガス工事等が示されている。受注可能な業務内容に対応するチェックボックスがチェックされることにより、チェックされた業務内容の入札に参加することができる。
【0030】
管理者端末30の入力部34の操作により各入力欄102a~102g及び業種選択欄102hに情報が入力される。図4に示す例では、入札者の名称として「A工務店」が入力されている。情報が入力された後、管理者端末30の入力部34の操作により登録ボタン102iが選択されると、各入力欄102a~102h及び業種選択欄102hに入力された入札希望業者情報が管理者端末30から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、受信した入札希望業者情報を記憶部23に記憶させる。記憶部23には、管理業者により登録された複数の入札希望業者の入札希望業者情報が記憶され、各入札希望業者情報は、各入札希望業者のIDと対応付けられてデータベース化されている。
【0031】
記憶部23に入札希望業者が記憶(登録)されると、記憶された入札希望業者は、入札管理サービスを利用できるようになる。
【0032】
管理サーバ20の処理部21は、記憶された入札希望業者と対応付けられた識別コードである入札者コードを発行する。入札者コードは、複数の文字列からなる情報(図18参照)である。処理部21は、発行した入札者コードを、入札希望業者のID及び入札希望業者情報と対応付けられて記憶部23に記憶させる。処理部21は、入札者コードを発行した場合、図4のメールアドレス入力欄102gに入力されたメールアドレスに入札者コードを送信してもよい。
【0033】
<発注業者による入札希望業者の登録処理>
以下、発注業者の担当者端末50及び責任者端末40を合わせて発注者端末と称す。発注者端末から管理サーバ20にアクセスすると、管理サーバ20の処理部21は、発注者端末の表示部に、図5に示すログイン画面103を表示させる。ログイン画面103には、ログインID入力欄103a、パスワード入力欄103b及びログインボタン103cが設けられている。
【0034】
発注者端末の入力部の操作により各入力欄103a,103bに情報が入力され、ログインボタン103cが選択される。これにより、発注者端末から管理サーバ20へと、各入力欄103a,103bの入力情報を含むログイン要求が送信される。管理サーバ20の処理部21は、ログイン要求を受信した場合、ログインID入力欄103aに入力されたログインID及びパスワード入力欄103bに入力されたパスワードの組と、記憶部23に記憶された発注業者のログインID及びパスワード(図3参照)の組とが一致するか否かを判定する。処理部21は、一致したと判定した場合、発注者端末からのログイン要求を認証し、発注者端末の表示部に、図6に示す発注者メイン画面104を表示させる。発注者メイン画面104には、現場一覧ボタン104a、入札者一覧ボタン104b、過去の現場ボタン104c、設定ボタン104d、ログアウトボタン104e及び新規入札者登録ボタン104fが設けられている。また、発注者メイン画面104には、登録された発注業者の名称と、登録情報欄105とが表示される。入札者一覧ボタン104bが選択された場合、図6に示すように、登録情報欄105には登録済の入札希望業者の表示欄が表示される。一方、現場一覧ボタン104aが選択された場合、図7に示すように、登録情報欄105には登録済の現場情報の表示欄が表示される。
【0035】
発注者端末の入力部の操作により新規入札者登録ボタン104fが選択された場合、入札者登録要求が発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、入札者登録要求を受信した場合、発注者端末の表示部に、図8に示す新規入札者登録画面106を表示させる。新規入札者登録画面106には、入札者コード入力欄106aと、登録ボタン106bとが設けられている。
【0036】
発注業者(例えば担当者)は、受注を希望する入札希望業者から入札者コードを教えてもらい、発注者端末の入力部を操作することにより、入札者コードを入札者コード入力欄106aに入力する。入札者コードは、例えば、入札希望業者の紙媒体等に記載することができ、具体的には例えば、図9に示すように、入札希望業者の担当者の名刺に記載することができる。図9には、A工務店の入札者コードが「FN74nunOPBR0nMXv1」として記載される例を示す。名刺に記載することにより、その名刺の入札希望業者が発注業者にコンタクトする場合において、その入札希望業者が、発注業者も利用する入札管理サービスの正当な利用者であることを示すことができる。
【0037】
登録ボタン106bが選択された場合、入札者コード入力欄106aに入力された入札者コードが発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、受信した入札者コードを、記憶部23に記憶された入札者コードと照会する。処理部21は、記憶された入札者コードの中に、受信した入札者コードがあると判定した場合、受信した入札者コードに対応付けられた入札希望業者と、入札者登録要求を送信した発注業者との間の入札を許可する。処理部21は、発注者端末の表示部の登録情報欄105に、図10に示すように、入札を許可すると判定した入札希望業者の情報を、登録入札業者として表示する入札者表示欄107を表示させる。図10には、許可された入札希望業者として、A工務店及びB工務店等が表示される例を示す。発注業者は、入札希望業者の名称,住所等の情報を入力することなく、入札者コードを入力することにより、入札希望業者を登録入札業者として登録することができる。このため、入札希望業者の登録に伴う発注業者の作業負荷を軽減できる。
【0038】
入札者表示欄107には、詳細ボタン107aが設けられている。詳細ボタン107aが選択された場合、入札者情報表示要求が発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、その要求を受信した場合、発注者端末の表示部に、記憶部23に記憶された入札希望業者情報を表示させる。これにより、発注業者は、登録情報欄105を介して入札希望業者情報を確認できる。
【0039】
<発注業者による工事業務の登録処理>
図7に示す発注者メイン画面104には、現場登録ボタン104gが設けられている。現場登録ボタン104gが選択された場合、現場登録要求が発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、その要求を受信した場合、発注者端末の表示部に、図11に示すように、新規現場登録欄109を表示させる。新規現場登録欄109には、入札対象となる工事業務の現場名称入力欄109a、現場住所入力欄109b、工事業務の工事開始日入力欄109c、施主ログインID入力欄109d、施主ログイン用パスワード入力欄109e及び現場登録ボタン109fが設けられている。
【0040】
発注者端末の入力部の操作により各入力欄109a~109eに入力後、現場登録ボタン109fが選択された場合、各入力欄109a~109eの入力情報を含む現場情報が発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、現場情報を受信した場合、受信した現場情報を記憶部23に記憶させる。また、処理部21は、発注者端末の表示部に、発注者端末の処理部の要求に応じて、記憶部23に記憶された現場情報を表示させる。これにより、発注業者は、図12に示す個別現場情報表示欄110を介して現場情報を確認できる。個別現場情報表示欄110には、入札情報ボタン110a、進捗管理ボタン110b及び工事完了ボタン110cが設けられている。
【0041】
発注者端末の入力部の操作により入札情報ボタン110aが選択された場合、入札登録要求が発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、入札登録要求を受信した場合、発注者端末の表示部に、図13に示す第1入札登録表示欄111を表示させる。第1入札登録表示欄111には、図12に示す画面において入力された情報であって記憶部23に記憶された現場情報に含まれる現場名称、現場住所及び工事開始日の表示欄と、業種選択欄111aと、業種登録ボタン111bとが設けられている。業種選択欄111aは、図4に示した業種選択欄102hと同様のものである。
【0042】
発注者端末の入力部の操作により業種選択欄111aにおいて業務内容がチェックされる。図13に示す例では、業務内容として、基礎補強及び基礎がチェックされている。チェックされた状態で業種登録ボタン111bが選択されると、業種登録要求が発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、業種登録要求を受信した場合、発注者端末の表示部に、図14に示す第2入札登録表示欄112を表示させる。第2入札登録表示欄112は、図13で選択された業種内容毎に表示される。図14には、基礎補強に対応する第2入札登録表示欄112が例示されている。
【0043】
第2入札登録表示欄112には、入札への参加を許可する業者の入力欄である参加許可者入力欄112a、工事内容についてのコメントを記載するコメント入力欄112b、及び工事内容に関する図面等のデータファイルを添付するためのファイル選択ボタン112cが設けられている。また、第2入札登録表示欄112には、入札対象となる工事業務の入札希望金額の入力欄112d、入力欄112dに入力した金額を税込金額とするか税別金額とするかを選択する選択欄112e、工事業務の入札締切日の入力欄112f、入札結果公開日の入力欄112g及び入札登録ボタン112hが設けられている。参加許可者入力欄112aには、チェックボックスとともに、選択した業種内容に対応した入札希望業者の名称が自動的に入力される。発注業者は、選択した業種内容を受任可能な入札希望業者のうち、入札への参加を許可する入札希望業者のチェックボックスにチェックを入れる。なお、参加許可者入力欄112aに自動的に入力された参加希望業者を削除することもできる。また、入札希望金額の入力欄112dへの入力は任意である。
【0044】
各入力欄112a~112gに情報を入力後、入札登録ボタン112hが選択された場合、発注者端末から管理サーバ20に各入力欄112a~112gの入力情報を含む入札情報が送信される。管理サーバ20の処理部21は、入札情報を受信した場合、受信した入札情報を記憶部23に記憶させる。また、管理サーバ20は、発注者端末の表示部に、図14に示すように、開札情報欄113を表示させる。開札情報欄113には、登録された各入札情報を表示する登録済現場情報欄114が設けられている。登録済現場情報欄114には、入札情報の詳細を表示させる入札詳細ボタン114aと、入札中止ボタン114bとが設けられている。
【0045】
処理部21は、入札締切日が経過するまでに入札中止ボタン114bが選択されたと判定した場合、中止が選択された工事業務の入札を中止する処理を行う。この処理には、開札情報欄113から該当する入札情報を削除する処理と、参加許可者入力欄112aに入力された入札希望業者の入札者端末60に入札が中止された旨の情報を送信する処理とが含まれる。
【0046】
なお、処理部21は、入札情報を受信して記憶した後、入札情報が登録された旨の情報を発注者端末にメール送信してもよい。この場合、送信されるメールには、図15に示す画面に誘導するURL情報が含まれていてもよい。
【0047】
図15に示す基礎補強の入札詳細ボタン114aが選択された場合を例にして説明する。この場合、管理サーバ20の処理部21は、発注者端末の表示部に、図16に示す入札情報詳細欄115を表示させる。入札情報詳細欄115には、第1表示欄115a、第2表示欄115b及び第3表示欄115cが設けられている。第1表示欄115aには、業務内容、現場名称、現場住所、工事開始日、入札締切日及び入札結果公開日が表示される。第2表示欄115bには、入札への参加が許可された入札希望業者、図14のコメント入力欄112bに入力された情報、ファイル選択ボタン112cにより添付されたファイル情報、及び入札希望金額が表示される。
【0048】
第3表示欄115cには、「入札者数」、「入札済み」の数、及び「入札待ち」の数が表示される。「入札者数」は、入札への参加が許可された入札希望業者の数であり、第1表示欄115aに記載の受付施工業者の欄に表示された業者の数である。「入札済み」の数は、参加が許可された入札希望業者のうち、後述する応札情報を既に送信した業者の数である。「入札待ち」の数は、参加が許可された入札希望業者のうち、応札情報を未だ送信していない業者の数である。
【0049】
また、処理部21は、図14の参加許可者入力欄112aに入力された入札希望業者の入札者端末60に、登録された入札情報と、入札が開始された旨のメールとを送信する。これにより、後述する図19の登録情報欄202に、登録された入札情報が表示されるようになる。
【0050】
<入札希望業者による応札情報の提出処理>
入札者端末60から管理サーバ20にアクセスすると、管理サーバ20の処理部21は、入札者端末60の表示部65に、図17に示すログイン画面200を表示させる。ログイン画面200には、ログインID入力欄200a、パスワード入力欄200b及びログインボタン200cが設けられている。
【0051】
入札者端末60の入力部64の操作により各入力欄200a,200bに情報が入力され、ログインボタン200cが選択される。これにより、入札者端末60から管理サーバ20へと各入力欄200a,200bの情報を含むログイン要求が送信される。管理サーバ20の処理部21は、ログイン要求を受信した場合、ログインID入力欄200aに入力されたログインID及びパスワード入力欄200bに入力されたパスワード(図4参照)の組と、記憶部23に記憶された入札希望業者のログインID及びパスワードの組とが一致するか否かを判定する。処理部21は、一致したと判定した場合、入札者端末60からのログイン要求を認証し、入札者端末60の表示部65に、図18に示す入札者メイン画面201を表示させる。入札者メイン画面201には、現場一覧ボタン201a、入札一覧ボタン201b、過去の現場ボタン201c、設定ボタン201d、ログアウトボタン201e及び新規現場登録ボタン201fが設けられている。また、入札者メイン画面201には、ログインした入札希望業者の名称及び入札者コードの表示欄と、登録情報欄202とが表示される。
【0052】
現場一覧ボタン201aが選択された場合、図18に示すように、登録情報欄202には、発注業者から受注した現場情報の表示欄が表示される。一方、入札一覧ボタン201bが選択された場合、図19に示すように、登録情報欄202には、発注業者により登録された入札情報の表示欄が表示される。登録情報欄202には、業種内容毎の個別入札情報表示欄204が設けられている。個別入札情報表示欄204には、入札対象となる工事業務毎に、発注業者の名称、業務内容、現場名称、入札締切日及び入札結果公開日を含む登録済の入札情報の表示欄と、応札情報登録ボタン204aとが設けられている。
【0053】
入札者端末60の入力部64の操作により応札情報登録ボタン204aが選択されると、応札情報登録要求が入札者端末60から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、応札情報登録要求を受信した場合、図20に示す応札情報入力欄205を、入札者端末60の表示部65に表示させる。応札情報入力欄205には、入札金額入力欄205a、ファイル添付ボタン205b、コメント入力欄205c及び送信ボタン205dが設けられている。入札金額入力欄205aには、入札希望業者が提示する入札金額が入力される。ファイル添付ボタン205bは、工事内容に関する図面等のデータファイルを添付するためのボタンである。
【0054】
各入力欄205a~205cに入力後、送信ボタン205dが選択されると、入札者端末60から管理サーバ20へと応札情報入力欄205への入力情報と参加希望業者とを含む応札情報が送信される。管理サーバ20の処理部21は、応札情報を受信した場合、受信した応札情報を、既に記憶されている入札情報と対応付けて記憶部23に記憶させる。また、処理部21は、図21に示すように、応札情報を示す応札情報表示欄206を、入札者端末60の表示部65に表示させ、応札情報が送信された旨を発注者端末にメール送信する。
【0055】
図16に示すように、処理部21は、記憶部23に記憶された入札情報のうち入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた応札情報に含まれる入札金額及び入札希望業者の名称が、発注者端末の表示部に表示されることを禁止する。例えば、処理部21は、発注者端末に対する応札情報の送信を禁止することにより、表示部に表示されることを禁止する。表示が禁止されることにより、発注業者の担当者は、入札対象の入札希望業者及び入札金額を発注者端末から知ることができない。その結果、リベートを伴う取引を担当者が入札希望業者に持ち掛けるきっかけの発生を抑制できる。
【0056】
処理部は、記憶部23に記憶された入札情報のうち入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた応札情報に含まれる入札希望業者の数を、「入札済み」の数として第3表示欄115cに表示させる。これにより、入札希望業者が少なかったり、0であったりする状況を入札締切日が経過する前に知ることができ、入札中止等を検討する判断材料を得ることができる。
【0057】
<発注業者による落札者の決定処理>
管理サーバ20の処理部21は、応札情報を受信した場合、図22に示すように、開札情報欄113及び落札待ち情報表示欄116を発注者端末の表示部に表示させる。開札情報欄113は、登録された入札情報のうち、入札締切日が経過していない入札情報を表示する欄である。落札待ち情報表示欄116は、登録された入札情報のうち、入札締切日が経過した入札情報を表示する欄である。開札情報欄113には、入札詳細ボタン114aと、入札の中止を指示する入札中止ボタン114bとが設けられている。情報表示欄116には、入札詳細ボタン116aが設けられている。
【0058】
管理サーバ20の処理部21は、落札待ち情報表示欄116の入札詳細ボタン116aが選択されたと判定した場合、図23に示すように、いずれの入札希望業者を落札候補者として選択するための選択画面117を、発注者端末の表示部に表示させる。ここでは、入札金額の低い順又は高い順に表示させることができる。選択画面117には、詳細確認ボタン117aと、落札仮決定ボタン117bとが設けられている。
【0059】
受任させる入札希望業者に対応する落札仮決定ボタン117bが選択されると、落札要求が発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部21は、図24に示す落札決定画面を発注者端末の表示部に表示させる。落札決定画面には、パスワード入力欄118aと、落札決定ボタン118bとが設けられている。
【0060】
また、処理部21は、落札要求を受信した場合、落札用パスワードを発行し、各発注者端末のうち、各担当者端末50ではなく、図3で登録した各責任者メールアドレスの各責任者端末40に、発行した落札用パスワードを含むメールを送信する。メールには、入札対象となる工事業務の現場名称、業種内容、住所、落札候補者の提示した入札金額及び落札用パスワードの情報が含まれる。落札用パスワードは、複数の文字列からなるパスワードである。落札用パスワードは、入札対象となる工事業務毎に個別に割り当てられるパスワードである。このため、図22を例に説明すると、基礎補強の工事業務に対応する落札用パスワードと、基礎の工事業務に対応する落札用パスワードとは異なる。なお、落札用パスワードは、例えば、発行後、一定期間経過すると無効になるワンタイムパスワードであってもよい。
【0061】
落札決定ボタン118bが選択されると、入力された落札用パスワードが発注者端末から管理サーバ20に送信される。管理サーバ20の処理部は、受信した落札用パスワードと、先に発行した落札用パスワードとが一致するか否かを判定する。処理部21は、一致しないと判定した場合、落札用パスワードを再度入力することを発注者端末の表示部に表示させる。一方、処理部21は、一致したと判定した場合、落札決定ボタン118bを選択した発注者端末の表示部に、図25に示す落札完了画面を表示させる。落札完了画面には、現場情報表示欄119、落札者情報表示欄120及び入札条件表示欄121が設けられている。
【0062】
落札者の決定プロセスとして、主に以下の2パターンが挙げられる。
【0063】
1パターン目は、責任者が落札決定する場合である。責任者が責任者端末40の入力部44を操作することにより、落札仮決定ボタン117bが選択される。この場合、責任者は、図24に示すパスワード入力欄118aに落札用パスワードを入力し、落札決定ボタン118bを選択する。
【0064】
2パターン目は、担当者が落札決定する場合である。担当者が担当者端末50の入力部54を操作することにより、落札仮決定ボタン117bが選択される。この場合、責任者端末40に落札用パスワードが送信される。担当者は、送信された落札用パスワードを責任者から教えてもらう。担当者は、図24に示すパスワード入力欄118aに落札用パスワードを入力し、落札決定ボタン118bを選択する。
【0065】
続いて、図26を用いて、管理サーバの処理部21により実行される入札管理処理の手順について説明する。
【0066】
ステップS10では、発注者端末から入札情報を受信し、受信した入札情報を記憶部23に記憶させる。
【0067】
ステップS11では、入札者端末60から応札情報を受信し、受信した応札情報を記憶部23に記憶させる。
【0068】
ステップS12では、記憶部23に記憶された入札情報のうち入札締切日を経過していない入札情報に対応付けられた応札情報に含まれる入札金額及び入札希望業者の名称が、発注者端末に表示されることを禁止する処理を行う。
【0069】
ステップS13では、記憶部23に記憶された入札情報のうち入札締切日を経過した入札情報があるか否かを判定する。
【0070】
ステップS13において入札締切日を経過した入札情報がないと判定した場合には、ステップS14に進み、入札中止ボタン114bが選択されて入札中止が指示されたか否かを判定する。入札中止が指示されたと判定した場合、この一連の処理を終了する。
【0071】
ステップS13において入札締切日を経過した入札情報があると判定した場合、ステップS15に進み、入札金額及び入札希望業者の名称が、発注者端末に表示されることを許可する処理を行う。
【0072】
ステップS16では、図23に例示した選択画面117を発注者端末の表示部に表示させる処理を行う。
【0073】
ステップS17では、図23の落札仮決定ボタン117bが選択されて発注者端末から落札要求を受信したか否かを判定する。
【0074】
ステップS17において落札要求を受信したと判定した場合、ステップS18に進み、落札用パスワードを入力するための図24に示すパスワード入力欄118aを発注者端末の表示部に表示させる処理を行う。また、入札対象毎に個別に割り当てられる落札用パスワードを発行し、発行した落札用パスワードを、担当者端末及び責任者端末のうち責任者端末のみに送信する処理を行う。
【0075】
ステップS19において、パスワード入力欄118aに入力された落札用パスワードと、発行した落札用パスワードとが一致したと判定した場合、ステップS20に進み、選択画面117において選択された落札候補者を入札対象の落札者として決定する処理を行う。
【0076】
ステップS21では、落札者に決定した入札希望業者の入札者端末60に、落札者となった旨の情報を送信する処理を行う。また、落札者となった入札希望業者の入札者端末60の登録情報欄202に、図27に示すように、落札した工事業務の表示欄208を表示させる。なお、処理部21は、図25に示す落札結果の情報を、入札結果公開日が経過するまで、応札情報を送信した入札希望業者のうち、落札者以外の入札希望業者には公開しない。
【0077】
ちなみに、落札後、落札者や発注業者は、入札管理サービスにおいて、工事業務の進捗管理サービスを利用することができる。落札者は、図27に示すように、表示欄208に設けられた進捗管理ボタン208aを選択することにより、進捗管理機能を利用することができる。なお、表示欄208には、入札情報の詳細確認用のボタン208bも設けられている。発注業者は、図12に示すように、個別現場情報表示欄110に設けられた進捗管理ボタン110bを選択することにより、進捗管理機能を利用することができる。進捗状況は、施主端末70を介して施主に公開することもできる。この際、施主は、発注業者から教えてもらった施主ログインID及び施主ログイン用パスワードを使って入札管理サービスにログインする。なお、この場合において、施主ログインIDは、図11の施主ログインID入力欄109dの入力情報であり、施主ログイン用パスワードは、施主ログイン用パスワード入力欄109eの入力情報である。
【0078】
以上詳述した本実施形態では、発注業者の担当者を介すことなく、入札希望業者が入札対象に対する入札金額を発注業者に提示することができ、入札対象の入札締切日が経過するまで入札金額及び入札希望業者が発注者端末に表示されることが禁止される。このため、リベートを伴う取引を担当者が入札希望業者に持ち掛けるきっかけの発生を的確に抑制できる。さらに、落札者を決定するプロセスにおいて発注業者の責任者を関与させるため、リベートを伴う取引を入札希望業者に持ち掛けないようにする抑止力が担当者に働く。これにより、発注業者と受注希望業者との間の公正な受注業務が妨げられる事態の発生を抑制することができる。
【0079】
また、選択画面117において選択された落札候補者を入札対象の落札者として決定するために、責任者端末40に送信される落札用パスワードが用いられる。このため、責任者がパスワード入力欄118aに落札用パスワードを入力する代わりに、担当者が、責任者から教えてもらった落札用パスワードを入力することもできる。このため、責任者が落札者の決定業務に対応できない場合であっても、担当者が代わりに落札者を決定できる。これにより、公正な受注業務が妨げられる事態の発生を抑制しつつ、業務効率の向上を図ることができる。
【0080】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0081】
入札管理処理により管理される入札対象は、工事業務に限らず、例えば、マンション等の不動産であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…入札管理システム、20…管理サーバ、21…処理部、23…記憶部、30…管理者端末、40…責任者端末、50…担当者端末、60…入札者端末。
図1
図2
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図4
図5
図6
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