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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071504
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230516BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
H01L21/304 645C
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184341
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三村 勇之
(72)【発明者】
【氏名】中島 常長
(72)【発明者】
【氏名】寺田 尚司
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA03
5F157AA08
5F157AA23
5F157AA28
5F157AA73
5F157AC01
5F157BG14
5F157BG33
5F157BG34
5F157DB14
(57)【要約】
【課題】真空を破ることなく、減圧下で基板表面を改質することと、減圧下で基板表面を洗浄することとを実施する、技術を提供する。
【解決手段】基板処理方法は、減圧下で基板の表面をプラズマで改質することと、前記改質することの前と後の少なくとも一方で、減圧下で前記基板の前記表面にガスクラスターを照射することで前記表面をドライ洗浄することと、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧下で基板の表面をプラズマで改質することと、
前記改質することの前と後の少なくとも一方で、減圧下で前記基板の前記表面にガスクラスターを照射することで前記表面をドライ洗浄することと、
を有する、基板処理方法。
【請求項2】
前記改質することと、前記ドライ洗浄することとは、異なる処理容器の内部で行われる、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記ドライ洗浄することの後に、減圧下で前記基板の前記表面の清浄度を測定することを有し、
前記清浄度が閾値未満である場合に、前記ドライ洗浄することを再度行う、請求項1又は2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記ドライ洗浄すること及び前記測定することを、前記改質することの後に行う、請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記ドライ洗浄すること及び前記測定することを、前記改質することの前に行う、請求項3又は4に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記改質することの後に、常圧下で前記基板の前記表面にOH基を付与することを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記改質すること及び前記ドライ洗浄することの後に、常圧下で前記表面同士を向かい合わせて前記基板同士を接合することを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の基板同士を接合する方法は、基板表面を活性化することと、その後に基板表面を親水化することと、その後に基板同士を接合することと、を有する。基板表面の活性化は、減圧下でプラズマを用いて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-49266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、真空を破ることなく、減圧下で基板表面を改質することと、減圧下で基板表面を洗浄することとを実施する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る基板処理方法は、減圧下で基板の表面をプラズマで改質することと、前記改質することの前と後の少なくとも一方で、減圧下で前記基板の前記表面にガスクラスターを照射することで前記表面をドライ洗浄することと、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、真空を破ることなく、減圧下で基板表面を改質することと、減圧下で基板表面を洗浄することとを実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る基板処理システムを示す平面図である。
図2図2は、一実施形態に係る第1基板と第2基板を示す側面図である。
図3図3は、一実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図4図4は、第1変形例に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図5図5は、第2変形例に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図6図6は、第3変形例に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。また、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに垂直な方向であり、X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0009】
本明細書において、「常圧」とは80kPa~120kPaの圧力のことであり、「減圧」とは0Pa~1kPaの圧力のことである。「常圧雰囲気」と「減圧雰囲気」の雰囲気は、大気雰囲気でもよいし、不活性雰囲気でもよい。不活性雰囲気は、窒素ガス又は希ガスを含む。希ガスは、例えばアルゴンガスである。
【0010】
先ず、図1を参照して、一実施形態に係る基板処理システム1について説明する。基板処理システム1は、第1基板W1と第2基板W2とを接合し、重合基板Tを作製する(図2参照)。
【0011】
第1基板W1及び第2基板W2の少なくとも1つは、例えばシリコンウェハ又は化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数のデバイスが形成された基板である。デバイスは、電子回路を含む。第1基板W1及び第2基板W2の1つは、デバイスが形成されていないベアウェハであってもよい。第1基板W1と第2基板W2とは、略同径を有する。化合物半導体ウェハは、特に限定されないが、例えばGaAsウェハ、SiCウェハ、GaNウェハ、又はInPウェハである。なお、半導体基板の代わりに、ガラス基板が用いられてもよい。
【0012】
第1基板W1の板面のうち、第2基板W2と接合される側の板面を「接合面W1j」と記載し、接合面W1jとは反対側の板面を「非接合面W1n」と記載する。また、第2基板W2の板面のうち、第1基板W1と接合される側の板面を「接合面W2j」と記載し、接合面W2jとは反対側の板面を「非接合面W2n」と記載する。
【0013】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3は、この順番で、X軸正方向に沿って並べて配置される。搬入出ステーション2と処理ステーション3は、一体的に接続される。
【0014】
搬入出ステーション2は、載置台10と、第1常圧搬送装置20とを備える。載置台10には、複数枚(例えば25枚)の基板を水平状態で収容するカセットC1、C2、C3がそれぞれ載置される。カセットC1は第1基板W1を収容するカセットであり、カセットC2は第2基板W2を収容するカセットであり、カセットC3は重合基板Tを収容するカセットである。なお、カセットC1、C2において、第1基板W1及び第2基板W2は、それぞれ接合面W1j、W2jを上面にした状態で向きを揃えて収容される。
【0015】
第1常圧搬送装置20は、常圧下で第1基板W1、第2基板W2又は重合基板Tを搬送する。第1常圧搬送装置20は、載置台10と後述するトランジション装置37の間に挟んで配置され、且つ載置台10とトランジション装置37に隣接して配置される。
【0016】
第1常圧搬送装置20は、Y軸方向に延在する搬送路20aと、この搬送路20aに沿って移動可能な搬送アーム20bと、を有する。搬送アーム20bは、Y軸方向だけではなくX軸方向にも移動可能であり、また、Z軸周りに旋回可能である。搬送アーム20bは、第1基板W1、第2基板W2又は重合基板Tを保持する。搬送アーム20bの数は、複数であってもよい。搬送アーム20bは、搬送路20aに隣接する所定の装置に第1基板W1、第2基板W2又は重合基板Tを搬送する。搬送路20aは、常圧雰囲気である。
【0017】
なお、載置台10上に載置されるカセットC1~C3の個数は、図示のものに限定されない。また、載置台10上には、カセットC1、C2、C3以外に、不具合の生じた基板を回収するためのカセット等が載置されてもよい。
【0018】
処理ステーション3には、例えば3つの処理ブロックG1、G2、G3が設けられる。例えば処理ステーション3の背面側(図1のY軸正方向側)には、第1処理ブロックG1が設けられ、処理ステーション3の正面側(図1のY軸負方向側)には、第2処理ブロックG2が設けられる。また、処理ステーション3の搬入出ステーション2側(図1のX軸負方向側)には、第3処理ブロックG3が設けられる。第1処理ブロックG1~第3処理ブロックG3に囲まれた領域には、第2常圧搬送装置50が配置される。
【0019】
第2常圧搬送装置50は、常圧下で第1基板W1、第2基板W2又は重合基板Tを搬送する。第2常圧搬送装置50は、X軸方向に延在する搬送路50aと、この搬送路50aに沿って移動可能な搬送アーム50bと、を有する。搬送アーム50bは、X軸方向だけではなくY軸方向にも移動可能であり、また、Z軸周りに旋回可能である。搬送アーム50bは、第1基板W1、第2基板W2又は重合基板Tを保持する。搬送アーム50bの数は、複数であってもよい。搬送アーム50bは、搬送路50aに隣接する所定の装置に第1基板W1、第2基板W2又は重合基板Tを搬送する。搬送路50aは、常圧雰囲気である。
【0020】
第1処理ブロックG1には、例えば、ロードロック装置31と、ドライ洗浄装置32と、表面検査装置33と、表面改質装置34と、が配置される。ロードロック装置31は、第2常圧搬送装置50と不図示の減圧搬送装置とに隣接しており、第2常圧搬送装置50と減圧搬送装置の間で第1基板W1又は第2基板W2を中継するトランジション装置の役割を有する。
【0021】
ロードロック装置31は、第1基板W1又は第2基板W2の周辺雰囲気を常圧雰囲気と減圧雰囲気とに切り替える。ロードロック装置31は、ロードロック室を内部に形成する処理容器と、ロードロック室の圧力を調節する調圧機構と、を有する。ロードロック室には、第1基板W1又は第2基板W2を載置する載置台が設けられる。調圧機構は、例えば、ロードロック室のガスを排出する排気機構と、ロードロック室にガスを供給する給気機構とを有する。調圧機構は、ロードロック室の雰囲気を常圧雰囲気と減圧雰囲気とに切り替える。
【0022】
第2常圧搬送装置50と減圧搬送装置の間にロードロック装置31を配置することで、減圧搬送装置とドライ洗浄装置32と表面検査装置33と表面改質装置34の各々の処理室を減圧雰囲気に維持できる。減圧搬送装置は、ロードロック装置31とドライ洗浄装置32と表面検査装置33と表面改質装置34に隣接しており、これら31~34に対して減圧下で第1基板W1又は第2基板W2を搬送する。
【0023】
ドライ洗浄装置32は、減圧下で第1基板W1の接合面W1j又は第2基板W2の接合面W2jにガスクラスターを照射することで、接合面W1j、W2jをドライ洗浄する。ドライ洗浄装置32は、常圧よりも低い圧力に減圧される処理室を内部に形成する処理容器と、処理室にて基板を保持する保持部と、保持部で保持されている基板表面に向けてガスを噴射するノズルと、を備える。ガスは、原料ガスを含む。原料ガスは、ノズルから噴射され、予め減圧された処理室で断熱膨張することで、凝縮温度まで冷却され、分子または原子の集合体であるガスクラスターを形成する。原料ガスは、例えば二酸化炭素(CO)ガスおよびアルゴン(Ar)ガスから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0024】
ガスは、原料ガスに加えて、キャリアガスを含んでもよい。キャリアガスは、原料ガスの分圧を下げることで、ノズルの内部での原料ガスの液化を抑制する。また、キャリアガスは、ノズルに対するガスの供給圧を所望の気圧まで高めることで、原料ガスの加速を高め、ガスクラスターの成長を促す。キャリアガスは、原料ガスよりも小さな分子量または原子量を有する。それゆえ、キャリアガスは、原料ガスよりも高い凝縮温度を有する。従って、キャリアガスは、ガスクラスターを形成しない。キャリアガスは、例えば水素(H)ガスおよびヘリウム(He)ガスから選ばれる少なくとも1つを含む。
【0025】
ガスクラスターは、接合面W1j、W2jに付着したパーティクルに衝突し、パーティクルを吹き飛ばす。ガスクラスターは、パーティクルに直接衝突しなくてもよい。ガスクラスターは、衝突位置周辺のパーティクルをも吹き飛ばすことができる。ガスクラスターは、衝突によって高温になるので、バラバラに分解され、処理容器の排気口から排気される。吹き飛ばしたパーティクルも、処理容器の排気口から排出される。
【0026】
ドライ洗浄装置32は、接合面W1j、W2jに対して垂直にガスクラスターを照射する。接合面W1j、W2jには、複数の電子回路が予め形成されており、凹凸パターンが予め形成されている。接合面W1j、W2jに対して垂直にガスクラスターを照射すれば、ガスクラスターの衝突による凹凸パターンの倒壊を抑制でき、また、凸部のみならず凹部の内部からもパーティクルを除去できる。
【0027】
近年、電子回路の微細化が進んでいる。ガスクラスターを照射することで基板表面を洗浄すれば、基板表面に形成される微細な凹凸パターンの倒壊を抑制でき、また、幅の狭い凹部の内部に入り込んだパーティクルをも除去できる。さらに、ウェット洗浄ではなくドライ洗浄であるので、基板表面を乾燥する工程を省略できる。さらにまた、ウェット洗浄ではなくドライ洗浄であるので、真空を破ることなく、接合面W1j、W2jのドライ洗浄と表面改質を続けて実施できる。
【0028】
表面検査装置33は、減圧下で第1基板W1の接合面W1j又は第2基板W2の接合面W2jの清浄度を測定する。表面検査装置33は、例えばパーティクルカウンターである。パーティクルカウンターは、基板表面に付着したパーティクルの数を計測する。パーティクルカウンターは、基板表面に付着したパーティクルの粒径をも計測してもよい。表面検査装置33は、基板表面の清浄度の測定データを制御装置90に送信する。制御装置90は、表面検査装置33の送信した測定データを受信する。
【0029】
表面改質装置34は、減圧下で第1基板W1の接合面W1j又は第2基板W2の接合面W2jをプラズマで改質する。例えば、表面改質装置34は、接合面W1j、W2jにおけるSiOの結合を切断し、Siの未結合手を形成し、その後の親水化を可能にする。表面改質装置34では、例えば減圧下において処理ガスである酸素ガスが励起されてプラズマ化され、イオン化される。酸素イオンが接合面W1j、W2jに照射されることにより、接合面W1j、W2jがプラズマ処理されて改質される。処理ガスは、酸素ガスには限定されず、例えば窒素ガスなどでもよい。
【0030】
第2処理ブロックG2には、例えば、表面親水化装置35と、接合装置36と、が配置される。表面親水化装置35は、常圧下で第1基板W1の接合面W1j又は第2基板W2の接合面W2jにOH基を付与する。表面親水化装置35は、例えばスピンチャックに保持されている第1基板W1又は第2基板W2を回転させながら、当該第1基板W1又は第2基板W2上に純水(例えば脱イオン水)を供給する。純水は、遠心力によって接合面W1j、W2j上を拡散し、Siの未結合手にOH基を付与し、接合面W1j、W2jを親水化する。表面親水化装置35は、接合面W1j、W2jを洗浄する役割も有する。
【0031】
接合装置36は、常圧下で接合面W1j、W2j同士を向かい合わせて第1基板W1と第2基板W2とを接合し、重合基板Tを作製する。接合時に、第1基板W1は第2基板W2の上方に配置される。第1基板W1は予め上下反転されており、第1基板W1の接合面W1jは下向きになっている。第2基板W2の接合面W2jは上向きになっている。
【0032】
接合装置36は、先ず、第1基板W1と第2基板W2の少なくとも一方を変形させることで、接合面W1j、W2jの中央部同士を接触させる。その後、接合装置36は、接合面W1j、W2jの互いに接触する領域を径方向内側から径方向外側に広げ、接合面W1j、W2j同士を全面で当接させる。
【0033】
接合面W1j、W2jは改質済みであるので、接合面W1j、W2j間にファンデルワールス力(分子間力)が生じ、接合面W1j、W2j同士が結合する。さらに、接合面W1j、W2jは親水化済みであるので、親水基(例えばOH基)が水素結合し、接合面W1j、W2j同士が強固に結合する。
【0034】
第3処理ブロックG3には、例えば、トランジション装置37が配置される。トランジション装置37は、第1常圧搬送装置20と第2常圧搬送装置50との間で、第1基板W1、第2基板W2又は重合基板Tを中継する。トランジション装置37は、鉛直方向に複数積層されてもよい。第3処理ブロックG3は、処理ステーション3の一部であるが、搬入出ステーション2の一部であってもよい。
【0035】
基板処理システム1は、制御装置90を備える。制御装置90は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリ等の記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御装置90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、基板処理システム1の動作を制御する。
【0036】
次に、図3を参照して、一実施形態に係る基板処理方法について説明する。基板処理方法は、例えばステップS101~S109を有する。ステップS101~S109は、制御装置90による制御下で実施される。なお、基板処理方法は、ステップS101~S109の全てを有しなくてもよい。例えば、基板処理方法は、ステップS102とステップS104の少なくとも一方を有すればよい。また、基板処理方法は、ステップS101~S109以外の処理を有してもよい。
【0037】
先ず、複数枚の第1基板W1を収容したカセットC1、複数枚の第2基板W2を収容したカセットC2、及び空のカセットC3が、搬入出ステーション2の載置台10上に載置される。
【0038】
次に、第1常圧搬送装置20が、カセットC1内の第1基板W1を取り出し、第3処理ブロックG3のトランジション装置37に搬送する。その後、第2常圧搬送装置50が、トランジション装置37から第1基板W1を取り出し、第1処理ブロックG1のロードロック装置31に搬送する。
【0039】
次に、ロードロック装置31が、第1基板W1の周辺雰囲気を常圧雰囲気から減圧雰囲気に切り替える(ステップS101)。その後、減圧搬送装置が、ロードロック装置31から第1基板W1を取り出し、ドライ洗浄装置32に搬送する。減圧搬送装置は、減圧下で第1基板W1を搬送する。
【0040】
次に、ドライ洗浄装置32が、減圧下で第1基板W1の接合面W1jに対してガスクラスターを照射することで、接合面W1jをドライ洗浄する(ステップS102)。表面改質(ステップS103)の前に、真空を破ることなく、減圧雰囲気のまま接合面W1jの清浄度を向上でき、表面改質の効果を向上できる。その後、減圧搬送装置が、ドライ洗浄装置32から第1基板W1を取り出し、表面改質装置34に搬送する。
【0041】
次に、表面改質装置34が、減圧下で第1基板W1の接合面W1jをプラズマで改質する(ステップS103)。その後のOH基の付与(ステップS108)が可能になる。表面改質(ステップS103)の後、減圧搬送装置が、表面改質装置34から第1基板W1を取り出し、ドライ洗浄装置32に搬送する。
【0042】
次に、ドライ洗浄装置32が、減圧下で第1基板W1の接合面W1jに対してガスクラスターを照射することで、接合面W1jをドライ洗浄する(ステップS104)。表面改質(ステップS103)の後に、真空を破ることなく、減圧雰囲気のまま接合面W1jの清浄度を向上でき、表面改質の効果を向上できる。その後、減圧搬送装置が、ドライ洗浄装置32から第1基板W1を取り出し、表面検査装置33に搬送する。
【0043】
次に、表面検査装置33が、減圧下で第1基板W1の接合面W1jの清浄度CLを測定する(ステップS105)。真空を破ることなく、減圧雰囲気のまま接合面W1jの清浄度CLを測定できる。接合面W1jの清浄度CLは、例えば接合面W1jに残っているパーティクルの数で表す。パーティクルの数が少ないほど、清浄度CLが高い。清浄度CLは、パーティクルの数と粒径とで表してもよい。表面検査装置33は、清浄度CLの測定データを制御装置90に送信する。
【0044】
次に、制御装置90が、表面検査装置33の送信した測定データを受信し、接合面W1jの清浄度CLが閾値CL1以上であるか否かをチェックする(ステップS106)。閾値CL1は、例えばステップS109で得られる重合基板Tの品質(例えば接合強度)が閾値以上になるように、予め設定される。
【0045】
清浄度CLが閾値CL1未満である(ステップS106、NO)場合、接合面W1jの清浄度CLが低く、ステップS109で得られる重合基板Tの品質が悪い。この場合、減圧搬送装置が表面検査装置33から第1基板W1を取り出し、ドライ洗浄装置32に搬送し、ドライ洗浄装置32がステップS105を再度行う。これにより、接合不良の発生を抑制でき、重合基板Tの歩留まりを向上できる。
【0046】
一方、清浄度CLが閾値CL1以上である(ステップS106、YES)場合、接合面W1jの清浄度CLが高く、ステップS109で得られる重合基板Tの品質が良い。この場合、減圧搬送装置が、表面検査装置33から第1基板W1を取り出し、ロードロック装置31に搬送する。
【0047】
次に、ロードロック装置31が、第1基板W1の周辺雰囲気を減圧雰囲気から常圧雰囲気に切り替える(ステップS107)。その後、第2常圧搬送装置50が、ロードロック装置31から第1基板W1を取り出し、表面親水化装置35に搬送する。
【0048】
次に、表面親水化装置35が、常圧下で第1基板W1の接合面W1jにOH基を付与する(ステップS108)。その後、第2常圧搬送装置50が、表面親水化装置35から第1基板W1を取り出し、接合装置36に搬送する。
【0049】
第1基板W1に対する上記の処理(ステップS101~S108)と並行して、第2基板W2に対しても同様の処理(ステップS101~S108)が実施される。第2基板W2に対する処理(ステップS101~S108)は、第1基板W1に対する処理(ステップS101~S108)と同様であるので、説明を省略する。
【0050】
次に、接合装置36が、第1基板W1と第2基板W2を接合し、重合基板Tを製造する(ステップS109)。接合時に、第1基板W1は第2基板W2の上方に配置される。第1基板W1は予め上下反転されており、第1基板W1の接合面W1jは下向きになっている。第2基板W2の接合面W2jは上向きになっている。
【0051】
ステップS109の後、第2常圧搬送装置50が、接合装置36から重合基板Tを取り出し、トランジション装置37に搬送する。最後に、第1常圧搬送装置20が、トランジション装置37から重合基板Tを取り出し、載置台10上のカセットC3に搬送する。これにより、一連の処理が終了する。
【0052】
なお、制御装置90は、ステップS105の繰り返し回数が設定回数に達しても清浄度CLが閾値CL1未満である場合、第1基板W1又は基板処理システム1に異常があると判断してもよい。この場合、制御装置90は、第1基板W1をカセットに戻す処理を行ってもよい。
【0053】
図4に示すように、基板処理方法は、ステップS104の後、ステップS107の前に、図3に示すステップS105~S106を有しなくてもよい。基板処理方法は、ステップS102とステップS104の少なくとも一方を有すれば、真空を破ることなく、減圧下で基板表面を改質することと、減圧下で基板表面を洗浄することとを実施できる。
【0054】
図5に示すように、基板処理方法は、ステップS102の後、ステップS103の前に、ステップS201~S202を有してもよい。この場合、ステップS102の後、減圧搬送装置は、ドライ洗浄装置32から第1基板W1を取り出し、表面検査装置33に搬送する。
【0055】
次に、表面検査装置33が、減圧下で第1基板W1の接合面W1jの清浄度CLを測定する(ステップS201)。真空を破ることなく、減圧雰囲気のまま接合面W1jの清浄度CLを測定できる。表面検査装置33は、清浄度CLの測定データを制御装置90に送信する。
【0056】
次に、制御装置90が、表面検査装置33の送信した測定データを受信し、接合面W1jの清浄度CLが閾値CL2以上であるか否かをチェックする(ステップS202)。閾値CL2は、図3の閾値CL1と同様に設定される。但し、閾値CL1と閾値CL2は、同じ値でも異なる値でもよい。
【0057】
清浄度CLが閾値CL2未満である(ステップS202、NO)場合、接合面W1jの清浄度CLが低く、ステップS109で得られる重合基板Tの品質が悪い。この場合、減圧搬送装置が表面検査装置33から第1基板W1を取り出し、ドライ洗浄装置32に搬送し、ドライ洗浄装置32がステップS201を再度行う。これにより、接合不良の発生を抑制でき、歩留まりを向上できる。
【0058】
一方、清浄度CLが閾値CL2以上である(ステップS202、YES)場合、接合面W1jの清浄度CLが高く、ステップS109で得られる重合基板Tの品質が良い。この場合、減圧搬送装置が、表面検査装置33から第1基板W1を取り出し、表面改質装置34に搬送する。その後、ステップS103以降の処理が行われる。
【0059】
なお、制御装置90は、ステップS201の繰り返し回数が設定回数に達しても清浄度CLが閾値CL2未満である場合、第1基板W1又は基板処理システム1に異常があると判断してもよい。この場合、制御装置90は、第1基板W1をカセットに戻す処理を行ってもよい。
【0060】
図6に示すように、基板処理方法は、ステップS101の前に、ステップS301を有してもよい。ステップS301では、不図示のウェット洗浄装置が、常圧下で第1基板W1の接合面W1j又は第2基板W2の接合面W2jをリンス液で洗浄する。リンス液は、例えば純水である。ウェット洗浄装置は、例えばスピンチャックに保持されている第1基板W1又は第2基板W2を回転させながら、当該第1基板W1又は第2基板W2上に純水を供給する。純水は、遠心力によって接合面W1j、W2j上を拡散し、接合面W1j、W2jに付着するパーティクルを径方向外方に洗い流す。第1基板W1又は第2基板W2は、乾燥後にウェット洗浄装置から取り出され、ロードロック装置31に搬送される。
【0061】
以上、本開示に係る基板処理方法の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0062】
例えば、上記実施形態では減圧下での表面改質と減圧下でのドライ洗浄を、第1基板W1と第2基板W2の接合前に実施するが、接合以外の基板処理の前処理として、減圧下での表面改質と減圧下でのドライ洗浄を実施してもよい。
【符号の説明】
【0063】
W1 第1基板(基板)
W1j 接合面(表面)
W2 第2基板
W2j 接合面(表面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6