(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023071518
(43)【公開日】2023-05-23
(54)【発明の名称】排水立管を更新するときに使用するバルブ装置と、排水立管を更新する排水立管更新工法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/122 20060101AFI20230516BHJP
E03C 1/12 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
E03C1/122 Z
E03C1/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021184358
(22)【出願日】2021-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】500489015
【氏名又は名称】建装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 能文
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB07
2D061AB10
2D061AC07
2D061AD01
2D061BB10
(57)【要約】
【課題】 うっかり排水をしたとしても、下層の住居内に被害が及ばないバルブ装置と、排水立管を更新する排水立管更新工法を提供する。
【解決手段】
排水立管を、上方に配置された上方排水立管と下方に配置された下方排水立管と、にそれぞれ分割し、前記下方排水立管を新規な下方排水立管に更新するために、前記上方排水立管に流入した排水を貯留するため、前記上方排水立管の下端部に取り付ける第1継手と、第1継手の下方に配置する開閉可能なバルブと、新規な下方排水立管の上端部に取り付けるための第2継手と、を具備するバルブ部と、バルブ部における第2継手と取り外し可能に取り付けるホース部と、ホース部に取り付けられ、前記上方排水立管に流入した排水を貯留するタンク部と、を有し、上方排水立管に流入した排水は、前記バルブ部と、前記ホース部と、を介して前記タンク部に貯留するバルブ装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水立管を、上方に配置された上方排水立管と下方に配置された下方排水立管と、にそれぞれ分割し、前記下方排水立管を新規な下方排水立管に更新するために、前記上方排水立管に流入した排水を貯留するため、前記上方排水立管の下端部に取り付ける第1継手と、
前記第1継手の下方に配置する開閉可能なバルブと、
前記新規な下方排水立管の上端部に取り付けるための第2継手と、を具備するバルブ部と、
前記バルブ部における第2継手と取り外し可能に取り付けるホース部と、
前記ホース部に取り付けられ、前記上方排水立管に流入した排水を貯留するタンク部と、を有し、
前記上方排水立管に流入した排水は、前記バルブ部と、前記ホース部と、を介して前記タンク部に貯留するバルブ装置。
【請求項2】
前記バルブ部は、透明な中空管と、をさらに有し、
前記透明な中空管は、前記第1継手と、前記バルブとの間、または、
前記バルブと、前記第2継手との間に配置する請求項1記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記バルブはボールバルブである請求項1または2記載のバルブ装置。
【請求項4】
排水立管を、上方に配置された上方排水立管と下方に配置された下方排水立管と、にそれぞれ分割し、前記下方排水立管を新規な下方排水立管に更新するために、前記上方排水立管に流入した排水を貯留するために前記排水立管を、上方に配置された上方排水立管と下方に配置された下方排水立管とに、それぞれ分割する排水立管分割工程と、
前記排水立管分割工程により上方に配置された上方排水立管に前記上方排水立管の下端部に取り付ける第1継手と、前記第1継手の下方に配置する開閉可能なバルブと、
前記新規な下方排水立管の上端部に取り付けるための第2継手と、を有するバルブ部を取り付けるバルブ部取り付け工程と、
前記バルブ部取り付け工程によって取り付けたバルブ部に、前記バルブ部における第2継手と取り外し可能に取り付けるホース部と、前記ホース部に取り付けられ、前記上方排水立管に流入した排水を貯留するタンク部と、を取り付けるタンク部取り付け工程と、
前記下方に配置された下方排水立管を新たな下方排水立管に取り換える下方排水立管取り換え工程と、
前記タンク部に貯留する排水を前記下方排水立管取り換え工程によって更新した新たな下方排水立管に排水する排水工程と、を有する排水立管更新工法。
【請求項5】
前記バルブ部は、前記第1継手と、前記バルブ部との間に透明な中空管と、
前記バルブ部と、前記第2継手との間に透明な中空管と、をさらに有する請求項4記載の排水立管更新工法。
【請求項6】
前記バルブはボールバルブである請求項4または5記載の排水立管更新工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水立管を更新するときに使用するバルブ装置と、排水立管を更新する排水立管更新工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高層ホテルや高層マンションなどの高層建築物あるいは、中、低層の建築物において、各階から排出された排水はいわゆる排水立管に集められ、その排水立管を介して下水に排水されるように構成されている。近年このような高層建築物の建築年数が経過し、建築物本体のみならず、その排水立管の劣化が問題視されている。
【0003】
そこで、劣化した排水立管を、継手を使用して新たな排水立管に更新する排水立管更新工事が行われている。このような更新工事に使用される継手として例えば、特開2021-147921号公報において、第1の継手と、前記第1の継手の下方に位置する第2の継手と、前記第1の継手から下方に延びる第1の立管と、前記第2の継手から上方に延びる第2の立管と、を備える配管構造に用いられ、前記第1の立管と前記第2の立管とを接続する更新用継手であって、前記第1の立管の下端が上端に装着され、前記第2の立管の上端が下端に装着される継手本体と、前記継手本体の前記上端と前記下端との間の中間部内に配置され、前記第1の立管の下端と前記第2の立管の上端との間に設けられた立管連通部と、を備え、前記継手本体の外周面には、前記立管連通部を前記継手本体内から外部に取り出すための開口が設けられている、更新用継手が開示されている。
【0004】
また、第1の継手と、前記第1の継手の下方に位置する第2の継手と、前記第1の継手から下方に延びる第1の立管と、前記第2の継手から上方に延びる第2の立管と、請求項1から4のいずれか一項に記載の更新用継手と、を備える、配管構造における配管の更新工法であって、前記立管連通部を、前記継手本体の前記開口を通して前記継手本体の内部から外部に取り出す第1工程を含む、配管の更新工法が開示されている。
【0005】
上記工法によって排水立管を更新する場合は、その居住者あるいは、それら建物の使用者に対してあらかじめ排水しないようにする排水規制を求めてからその工事を開始する。しかしながら、居住者がそのような排水規制中にもかかわらず更新工事であることを失念することによって、水回り製品を使用することで排水してしまう事例が報告されている。このような排水をうっかり排水と呼称される場合がある。
【0006】
排水立管を更新する工事中にもかかわらずうっかり排水されてしまった場合は、その下層の住居内にその排水が漏出することになり、その住居内のみならず作業者に対しても被害が及ぶ場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、うっかり排水をしたとしても、下層の住居内に被害が及ばないバルブ装置と、排水立管を更新する排水立管更新工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、第1観点のバルブ装置は、排水立管を、上方に配置された上方排水立管と下方に配置された下方排水立管と、にそれぞれ分割し、前記下方排水立管を新規な下方排水立管に更新するために、前記上方排水立管に流入した排水を貯留するため、前記上方排水立管の下端部に取り付ける第1継手と、第1継手の下方に配置する開閉可能なバルブと、新規な下方排水立管の上端部に取り付けるための第2継手と、を具備するバルブ部と、バルブ部における第2継手と取り外し可能に取り付けるホース部と、ホース部に取り付けられ、前記上方排水立管に流入した排水を貯留するタンク部と、を有し、上方排水立管に流入した排水は、前記バルブ部と、前記ホース部と、を介して前記タンク部に貯留するというものである。
【0010】
また、第2観点のバルブ装置は、第1観点において、バルブ部は、第1継手と、前記バルブ部との間に透明な中空管と、バルブ部と、第2継手との間に透明な中空管と、をさらに有するというものである。
【0011】
また、第3観点のバルブ装置は、第1観点または第2観点において、バルブはボールバルブであるというものである。
【0012】
前記の課題を解決するために、第4観点の排水立管更新工法は、排水立管を、上方に配置された上方排水立管と下方に配置された下方排水立管と、にそれぞれ分割し、下方排水立管を新規な下方排水立管に更新するために、上方排水立管に流入した排水を貯留するために排水立管を、上方に配置された上方排水立管と下方に配置された下方排水立管とに、それぞれ分割する排水立管分割工程と、排水立管分割工程により上方に配置された上方排水立管に上方排水立管の下端部に取り付ける第1継手と、第1継手の下方に配置する開閉可能なバルブと、新規な下方排水立管の上端部に取り付けるための第2継手と、を有するバルブ部を取り付けるバルブ部取り付け工程と、バルブ部取り付け工程によって取り付けたバルブ部に、バルブ部における第2継手と取り外し可能に取り付けるホース部と、ホース部に取り付けられ、上方排水立管に流入した排水を貯留するタンク部と、を取り付けるタンク部取り付け工程と、下方に配置された下方排水立管を新たな下方排水立管に取り換える下方排水立管取り換え工程と、
前記タンク部に貯留する排水を前記下方排水立管取り換え工程によって更新した新たな下方排水立管に排水する排水工程と、を有するというものである。
【0013】
また、第5観点の排水立管更新工法は、第4観点において、バルブ部は、透明な中空管と、をさらに有し、透明な中空管は、第1継手と、バルブとの間、または、バルブと、第2継手との間に配置するというものである。
【0014】
また、第6観点の排水立管更新工法は、第4観点または第5観点において、バルブはボールバルブであるというものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、うっかり排水をしたとしても、下層の住居内に被害が及ばないバルブ装置と、排水立管を更新する排水立管更新工法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】Aは、高層建物の排水立管を示した概念図である。Bは、排水路切り離し工程を示す高層建物の1階から6階を抜き出して示した概念図である。
【
図4】Aは、バルブ部取り付け工程を示す高層建物の1階から6階を抜き出して示した概念図である。Bは、タンク部取り付け工程を示す高層建物の1階から6階を抜き出して示した概念図である。
【
図5】Aは下方排水立管を撤去する状態を示す高層建物の1階から6階を抜き出して示した概念図である。Bは、排水工程を示す高層建物の1階から6階を抜き出して示した概念図である。
【
図6】Aは、新下方排水立管取り付け工程S6を示す高層建物の1階から6階を抜き出して示した概念図である。Bは、第2排水立管分割工程S1を示す高層建物の6階から12階を抜き出して示した概念図である。
【
図7】Aは、第2排水立管分割工程S1を示す高層建物の6階から12階を抜き出して示した概念図である。Bは、第2バルブ部取り付け工程を示す高層建物の6階から11階を抜き出して示した概念図である。
【
図8】Aは、第2下方排水立管の撤去を開始した状態を示す高層建物の6階から11階を抜き出して示した概念図である。Bは、第2下方排水立管取り換え工程を示す高層建物の6階から11階を抜き出して示した概念図である。
【
図9】Aは、第2排水工程を示す高層建物の6階から11階を抜き出して示した概念図である。Bは、第2新下方排水立管取り付け工程を示す高層建物の6階から11階を抜き出して示した概念図である。
【
図10】排水立管を更新する排水立管更新工法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図示の実施形態を参照して第1実施例のバルブ装置100について説明する。第1実施例のバルブ装置100は、高層建物Tの各階を貫くように配置された排水立管200を、少なくとも上方に配置された上方排水立管210と下方に配置された下方排水立管220とに、それぞれ分割し、その上方排水立管210に取り付けて使用するものである。ここで、上方と下方とは、第1実施例のバルブ装置100を取り付ける位置(高層建物Tの階数)を基準にするものである。
【0018】
第1実施例のバルブ装置100は、上方排水立管210に流入した排水wを貯留するため、上方排水立管210の下端部211に取り付ける第1継手10と、第1継手10の下方に配置する開閉可能なバルブ20と、下方排水立管220を更新した新下方排水立管320の上端部321に取り付けるための第2継手30と、を有するバルブ部50と、そのバルブ部50における第2継手30と取り外し可能に取り付ける管状を呈するホース部80と、そのホース部80に取り付けられ、上方排水立管210に各階から流入した排水を貯留するタンク部90と、を有するものである。
【0019】
さらにバルブ部50は、第1中空管60と、第2中空管70を有する場合がある。第1中空管60と、第2中空管70は、それぞれ透明な塩化ビニル製の中空管が好ましい。排水を目視することができるからである。特に、透明な塩化ビニル製の管を適用することで、排水規制中にも関わらず、水回り製品を使用することにより、各階から流入するいわゆるうっかり排水が、バルブ装置100内に流入する様子を目視することができる。
【0020】
第1中空管60は、第1継手10と、バルブ20との間に配置され、第1継手10と、バルブ20と連結するように配置されている。また、第2中空管70は、バルブ20と第2継手30との間に配置され、バルブ20と第2継手30とを連結するように配置されている。なお、バルブ部50は、第1中空管60または第2中空管70のいずれかあるいは双方を有するものであれば好ましい。したがって、第1中空管60あるいは第2中空管70の中空管そのものは、第1継手10と、バルブ20との間、または、バルブ20と第2継手30との間のいずれかに配置すればよい。
【0021】
バルブ20は、開け閉めすることで排水の流れを制御するものである。また、バルブ20は開閉するためのつまみ21を有し、縦位置のつまみ21は開の状態であり、横位置のつまみ21′は、閉の状態である。なお、バルブ20は、いわゆるボールバルブが好ましい。
【0022】
第1継手10は、排水立管200を分割した上方排水立管210の下端部211と接続するために使用するものである。第1継手10は、いわゆるMD継手が好ましく、MD継手とは、Mechanical Drainage Jointと呼ばれるものであり、排水鋼管用可とう継手と呼ばれるものが好ましい。また、第2継手30も同様に排水立管200を分割した下方排水立管220の上端部221と接続するために使用するものである。第2継手30も、いわゆるMD継手が好ましく、MD継手とは、Mechanical Drainage Jointと呼ばれる場合があり、排水鋼管用可とう継手と呼ばれるものが好ましい。
【0023】
ホース部80は、管状を呈するいわゆるホース状のものが好ましく、また、ポリスリーブを使用することもできる。また、タンク部90は、排水を貯留するためのものであり、灯油タンク類を使用することができる。なお、樹脂製の密閉型貯水タンクを使用することもできる。これは100リットルから200リットル程度のタンクが好ましい。また、第1実施例のバルブ装置100は取り付け具95を使用して建物に取り付けることができる。また、その取り付け具95は、建物の天井部分に取り付けることができる(図示せず)。
【0024】
次に、バルブ部50とそのバルブ部50を有する第1実施例のバルブ装置100を使用する排水立管更新工事の工法について説明する。
【0025】
高層建物T、例えば20階以上の建物について説明する(
図3A参照)。この場合例えば、6階、11階、16階の順に、作業をする。まずは、高層建物Tの最下部(例えば、建物の1階部分)において排水立管200と下水に通じる排水路400と切り離す(排水路切り離し工程S0)。すなわち、建物の1階部分から上階に配置された排水立管200を更新するのである。このとき、排水路400の管口410を、養生部材420を使用して養生する(
図3B参照)。
【0026】
次に、例えば高層建物Tの6階において排水立管200を、上方に配置された上方排水立管210と下方に配置された下方排水立管220とに、それぞれ分割する(
図4A参照)。このとき上方と下方とは、6階を基準にする。本実施例であれば、排水立管200を、建物の6階部分において、上方に配置された上方排水立管210と、その下方に配置された下方排水立管220とに分割する(排水立管分割工程S1)。なお、建物の6階に限られず、排水立菅200を更新するのに適した階で更新作業をすることができるのは言うまでもない。なお、本実施例では、工事区分あるいは建物の階数によって、その施工する階を任意に定めることができる。
【0027】
次に、上述の排水立管分割工程S1において、排水立管200を、分割した上方排水立管210の下端部211に、バルブ部50を取り付ける(バルブ部取り付け工程S2)。このときバルブ20は、閉めた状態で取り付ける(
図4A参照)。
【0028】
次に、排水立管200を、分割した上方排水立管210の下端部211に取り付けたバルブ部50における第2継手30に、ホース部80と、そのホース部80に取り付けられ、上方排水立管210に流入した排水を貯留するタンク部90と、を取り付けて(
図4B参照)バルブ20を開ける(タンク部取り付け工程S3)。このとき第1実施例のバルブ装置100が構成される。また、このとき、上方排水立管210に、6階より上階の居住者がいわゆるうっかり排水したとしても、その排水はタンク部90に貯留するので、排水立管200を分割した6階には被害は及ばない。
【0029】
次に、バルブ20を開けた状態で、下方排水立管220を撤去し(
図5A参照)、その下方排水立管220を新たな下方排水立管320に取り換えて、排水路400と接続する(下方排水立管取り換え工程S4)。また、これとともに、上述の下方排水立管取り換え工程S4において、新たな下方排水立管320に取り換えて、排水路400と接続した後にホース部80とタンク部90とを上方排水立管210から取り外し、タンク部90を取り付けたホース部80を、新たな下方排水立管320に取り付け、そのタンク部90に貯留していた排水をその新たな下方排水立管320を介して排水路400に排水する(排水工程S5)。このとき、バルブ部50は、分割した上方排水立管210の下端部211に、取り付けられた状態である(
図5B参照)。
【0030】
次に、上述の排水工程S5(高層建物Tの6階)の後に、バルブ部50は、分割した上方排水立管210の下端部211に取り付けられた状態において、そのバルブ部50における第2継手30を、更新した新下方排水立管320の上端部321に取り付ける(新下方排水立管取り付け工程S6)また、そのとき、6階におけるバルブ20を閉める(
図6A参照)。
【0031】
次に、上階に、更新する排水立管が存在するかどうかを判断する(更新立管存在判断工程S7)。本実施例の場合高層建物Tは20階建てのために上階すなわち6階以上の上階に更新すべき排水立管が存在している。したがって、例えば11階において排水立管分割工程S1に戻る。
【0032】
あとの工程は、ほぼ上述の工程の繰り返しである。なお、各工程において第2を付加して各工程を説明する。ここで「第2」とは、
図10のフローチャートにおいてS1からS7における第2回目のループを示すものである。従って高層建物Tの6階の位置の上階において、上記の通り排水立管分割工程S1から更新立管存在判断工程S7までを繰り返すことで、高層建物Tの排水立管200をすべて更新することができる。
【0033】
すなわち、今度は、高層建物Tの11階に移動し、
図6Bに示すように例えばその高層建物Tの6階の位置関係において上方排水立管210であった第2下方排水立管420(高層建物Tの11階からの位置関係では下方となる)を、第2上方排水立管410から分割する(第2排水立管分割工程S1)。このとき上記の通り、上方と下方とは、11階を基準にする。本実施例であれば、建物の11階部分の上方に第2上方排水立管410を配置し、下方に第2下方排水立管420を配置する。なお、建物の11階に限られず、第2下方排水立管420を更新するのに適した階で更新作業をすることができるのは言うまでもない。また、第2上方排水立管410に閉じた状態の第2バルブ部50Aを取り付ける(
図7A参照)。
【0034】
次に、分割した第2上方排水立管410の下端部411に取り付けたバルブ部50Aを取り付け(第2バルブ部取り付け工程S2)、そのバルブ部50Aにおける第1継手30Aに、ホース部80Aと、そのホース部80Aに取り付けられ、上方排水立管410に流入した排水を貯留するタンク部90Aと、を取り付けてバルブ20Aを開ける(第2タンク部取り付け工程S3)。このとき第1実施例のバルブ装置100と同様の第2バルブ装置100Aが再び構成される(
図7B参照)。また、このとき、第2上方排水立管410に、11階より上階の使用者がいわゆるうっかり排水したとしても、その排水はタンク部90Aに貯留するので、第2上方排水立管410を分割した11階には被害は及ばない。
【0035】
次に、例えば高層建物Tの6階からの位置関係において上方排水立管210であった第2下方排水立管420(高層建物Tの11階からの位置関係では下方)の撤去を開始し(
図8A参照)、その撤去が完了する(
図8B参照)。
【0036】
次に、バルブ20を開けた状態で、第2下方排水立管420を撤去し(
図8B参照)、その第2下方排水立管420を新たな第2下方排水立管500に取り換える(第2下方排水立管取り換え工程S4)。また、これとともに、上述の第2下方排水立管取り換え工程S4において、新たな第2下方排水立管500と接続した後にホース部80とタンク部90とを第2上方排水立管410から取り外し、タンク部90Aを取り付けたホース部80Aを、新たな第2下方排水立管500に取り付け、そのタンク部90Aに貯留していた排水をその第2下方排水立管500を介して下方排水立管320に排水する(第2排水工程S5)。このとき、バルブ部50Aは、分割した第2上方排水立管410の下端部411に、取り付けられた状態である(
図9A参照)。
【0037】
次に、上述の第2排水工程S5の後に、第2バルブ部50Aは、分割した第2上方排水立管410の第2下端部411に取り付けられた状態において、その第2バルブ部50Aにおける第2継手30Aを、更新した第2新下方排水立管500の第2上端部501に取り付ける(第2新下方排水立管取り付け工程S6)また、その時第2バルブ部50を閉じる(
図9B参照)。
【0038】
次に再び、上階に、更新する排水立管が存在するかどうかを判断する(更新立管存在判断工程S7)。本実施例の場合高層建物Tは20階建てのために上階すなわち11階以上の上階に更新すべき排水竪管が存在している。したがって、例えば16階において排水立管分割工程S1に戻り、その16階において、排水立管分割工程S1から更新立管存在判断工程S7までを繰り返す。このように上記各工程を繰り返すことによって、更新する上階の排水用立管が存在しなくなった場合は、上記工程は終了し、排水立管更新工事は終了する。
【0039】
上記の通り、バルブ部50と、そのバルブ部50とホース部80とタンク部90とを有する第1実施例のバルブ装置100は、いわゆるうっかり排水を防止しつつ上述の各工程を実行することによって排水立管を更新することができる。また、また、20階以上の高層建物Tの6階ごとに更新作業をするものに限られることはなく、建物の状況、高さに応じて任意にその高層建物Tの階数を選択することができることは言うまでもない。
【0040】
上記構成のバルブ50を有する第1実施例のバルブ装置100と、その第1実施例のバルブ装置100を使用する排水立管更新工法によって、いわゆるうっかり排水をしたとしても、下層の、作業する階の住居内に被害が及ばないという効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 第1継手
20 バルブ
30 第2継手
50 バルブ部
60 第1中空管
70 第2中空管
80 ホース部
90 タンク部
95 取り付け具
100 バルブ装置
200 排水立管
210 上方排水立管
211 下端部
220 下方排水立管
320 新下方排水立管
500 第2下方排水立管
T 高層建物
S0 排水路切り離し工程
S1 排水立管分割工程
S2 バルブ部取り付け工程
S3 タンク部取り付け工程
S4 下方排水立管取り換え工程
S5 排水工程
S6 新下方排水立管取り付け工程