(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007156
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20230111BHJP
C08J 3/16 20060101ALI20230111BHJP
C08J 7/044 20200101ALI20230111BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20230111BHJP
H01B 5/00 20060101ALI20230111BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20230111BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C08G73/10
C08J3/16 CFG
C08J7/044
H01R11/01 501D
H01B5/00 C
H01B5/00 M
H01B5/00 G
H01B1/22 A
H01B1/22 B
H01B1/00 C
H01B1/00 M
H01B1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110223
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大倉 滉生
(72)【発明者】
【氏名】脇屋 武司
【テーマコード(参考)】
4F006
4F070
4J043
5G301
5G307
【Fターム(参考)】
4F006AA38
4F006AB73
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5G307AA08
(57)【要約】
【課題】スペーサとして用いた場合に、高温環境下でも、ギャップを効果的に制御し、かつ、接続対象部材の損傷を防止することができる樹脂粒子を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂粒子では、100℃~200℃における線熱膨張係数が、300ppm/℃以下であり、10%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm
2以上5000N/mm
2以下であり、30%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm
2以上2000N/mm
2以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
100℃~200℃における線熱膨張係数が、300ppm/℃以下であり、
10%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上5000N/mm2以下であり、
30%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上2000N/mm2以下である、樹脂粒子。
【請求項2】
100℃~200℃における線熱膨張係数が、100ppm/℃以下である、請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項3】
10%圧縮したときの圧縮弾性率の、30%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が、1.5以上3.0以下である、請求項1又は2に記載の樹脂粒子。
【請求項4】
熱分解温度が、400℃以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項5】
前記樹脂粒子の材料が、2種以上の重合性単量体の重合により形成されたイミド基を有する重合体を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項6】
アスペクト比が、1.0以上1.1以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項7】
粒子径が、0.1μm以上1000μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項8】
粒子径のCV値が、10%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項9】
BET比表面積が、0.5m2/g以上10.0m2/g以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項10】
液晶表示素子用スペーサとして用いられるか、電子部品用接着剤として用いられるか、又は、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられる、請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂粒子と、
前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電性粒子。
【請求項12】
前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備える、請求項11に記載の導電性粒子。
【請求項13】
前記導電部の外表面に突起を有する、請求項11又は12に記載の導電性粒子。
【請求項14】
導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、
前記導電性粒子が、請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電材料。
【請求項15】
第1の接続対象部材と、
第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂粒子を含む、接続構造体。
【請求項16】
前記第1の接続対象部材が表面に第1の電極を有し、
前記第2の接続対象部材が表面に第2の電極を有し、
前記接続部が導電性粒子を含み、
前記導電性粒子が、前記樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備え、
前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、請求項15に記載の接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂粒子に関する。また、本発明は、上記樹脂粒子を用いた導電性粒子、導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、フレキシブルプリント基板(FPC)、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップ等の様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続し、接続構造体を得るために用いられている。また、上記導電性粒子として、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを有する導電性粒子が用いられることがある。このような導電性粒子を用いた接続構造体は、ディスプレイ装置等の電子機器装置に用いられており、更に自動車のエンジン部やモーター部等にも用いられている。自動車のエンジン部やモーター部は、電子機器装置の部品に比べて非常に高温となる。このため、エンジン部やモーター部に使用される接続構造体、導電材料、導電性粒子及び樹脂粒子においては、熱により分解又は溶融しないように、高い耐熱性が求められる。
【0004】
また、液晶表示素子は、2枚のガラス基板間に液晶が配置されて構成されている。該液晶表示素子では、2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)を均一かつ一定に保つために、ギャップ制御材としてスペーサが用いられている。さらに、該スペーサは、ガラス基板を損傷させないことが望ましい。また、該スペーサは、実装時に破壊されないことが好ましい。該スペーサとして、樹脂粒子が一般に用いられている。
【0005】
下記の特許文献1には、低温域で柔軟性に優れ、耐熱性にも優れるポリウレタンビーズの製造方法が記載されている。上記製造方法は、ポリオール成分及びイソシアネート成分を含むビーズ原材料を、懸濁安定剤を含む水中に粒子状に分散させ、かつ反応させて、ポリウレタンビーズ懸濁液を調製する工程と、該ポリウレタンビーズ懸濁液を固液分離する工程とを有する。また、上記ポリオール成分は、3-メチル-1,5-ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得たポリエステルポリオールを含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のポリウレタンビーズを樹脂粒子として用いた場合、樹脂粒子及び導電性粒子等の耐熱性をある程度高めることができる。しかしながら、ポリウレタンビーズは一般に熱によって膨張しやすいため、高温環境下(例として、100℃~200℃)でポリウレタンビーズを樹脂粒子(スペーサ)として用いた場合に、ギャップを均一かつ一定に制御することは困難であり、またPET基板等の接続対象部材を傷つけることがある。さらに、該樹脂粒子を用いて得られる導電性粒子や接続構造体では、該樹脂粒子が熱によって膨張しやすいため、高温環境下において使用された場合に、導電性粒子(特に、導電部)にクラックが発生したり、接続構造体中の導電性粒子の周辺にボイド(気泡)が発生したりすることがある。結果として、接続構造体の接続信頼性が低くなることがある。
【0008】
本発明の目的は、スペーサとして用いた場合に、高温環境下でも、ギャップを効果的に制御し、かつ、接続対象部材の損傷を防止することができる樹脂粒子を提供することである。また、本発明の目的は、上記樹脂粒子を用いた導電性粒子、導電材料及び接続構造体を提供することである。また、本発明の目的は、高温環境下でも、得られる導電性粒子のクラックの発生を抑制することができる樹脂粒子を提供することである。さらに、本発明の目的は、高温環境下でも、得られる接続構造体におけるボイドの発生を抑制することができる樹脂粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の広い局面によれば、100℃~200℃における線熱膨張係数が、300ppm/℃以下であり、10%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上5000N/mm2以下であり、30%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上2000N/mm2以下である、樹脂粒子が提供される。
【0010】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、100℃~200℃における線熱膨張係数が、100ppm/℃以下である。
【0011】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、10%圧縮したときの圧縮弾性率の、30%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が、1.5以上3.0以下である。
【0012】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、熱分解温度が、400℃以上である。
【0013】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記樹脂粒子の材料が、2種以上の重合性単量体の重合により形成されたイミド基を有する重合体を含む。
【0014】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、アスペクト比が、1.0以上1.1以下である。
【0015】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、粒子径が、0.1μm以上1000μm以下である。
【0016】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、粒子径のCV値が、10%以下である。
【0017】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、BET比表面積が、0.5m2/g以上10.0m2/g以下である。
【0018】
本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記樹脂粒子は、液晶表示素子用スペーサとして用いられるか、電子部品用接着剤として用いられるか、又は、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられる。
【0019】
本発明の広い局面によれば、上述した樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電性粒子が提供される。
【0020】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備える。
【0021】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面に突起を有する。
【0022】
本発明の広い局面によれば、導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、前記導電性粒子が、上述した樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電材料が提供される。
【0023】
本発明の広い局面によれば、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部が、上述した樹脂粒子を含む、接続構造体が提供される。
【0024】
本発明に係る接続構造体のある特定の局面では、前記第1の接続対象部材が表面に第1の電極を有し、前記第2の接続対象部材が表面に第2の電極を有し、前記接続部が導電性粒子を含み、前記導電性粒子が、前記樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る樹脂粒子では、100℃~200℃における線熱膨張係数が、300ppm/℃以下であり、10%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上5000N/mm2以下であり、30%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上2000N/mm2以下である。本発明に係る樹脂粒子では、上記の構成が備えられているので、スペーサとして用いた場合に、高温環境下でも、ギャップを効果的に制御し、かつ、接続対象部材の損傷を防止することができる。また、本発明に係る樹脂粒子では、上記の構成が備えられているので、高温環境下でも、得られる導電性粒子のクラックの発生を抑制することができる。さらに、本発明に係る樹脂粒子では、上記の構成が備えられているので、高温環境下でも、得られる接続構造体におけるボイドの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂粒子を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂粒子を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0028】
(樹脂粒子)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂粒子を示す断面図である。
【0029】
樹脂粒子1は、球状の粒子である。樹脂粒子1では、100℃~200℃における線熱膨張係数が、300ppm/℃以下であり、10%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上5000N/mm2以下であり、30%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上2000N/mm2以下である。
【0030】
樹脂粒子1のように、本発明に係る樹脂粒子では、100℃~200℃における線熱膨張係数が、300ppm/℃以下であり、10%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上5000N/mm2以下であり、30%圧縮したときの圧縮弾性率が、100N/mm2以上2000N/mm2以下である。
【0031】
従来の樹脂粒子では、熱によって膨張しやすいため、高温環境下(例として、100℃~200℃)でスペーサとして用いた場合に、ギャップを均一かつ一定に制御することが困難であり、ガラス基板等の接続対象部材を傷つけることがある。また、該樹脂粒子を用いて作製した導電性粒子や接続構造体では、該樹脂粒子が熱によって膨張しやすいため、高温環境下で使用された場合に、導電性粒子(特に、導電部)にクラックが発生したり、接続構造体中の導電性粒子の周辺にボイド(気泡)が発生したりすることがある。結果として、接続構造体の接続信頼性が低くなることがある。
【0032】
本発明に係る樹脂粒子では、上記の構成が備えられているので、スペーサとして用いた場合に、実装時に接続対象部材間で破壊されにくい。結果として、高温環境下でもギャップを効果的に制御することができ、かつ、高温環境下でも接続対象部材の損傷を防止することができる。
【0033】
また、上記樹脂粒子を用いて得られる導電性粒子、上記導電性粒子を含む導電材料、及び上記樹脂粒子又は上記導電性粒子を含む接続構造体において、高温環境下(例として、100℃~200℃)でも、導電性粒子(特に、導電部)におけるクラックの発生及び接続構造体におけるボイドの発生を抑制することができる。結果として、接続構造体の接続信頼性を高めることができる。
【0034】
上記樹脂粒子では、100℃~200℃における線熱膨張係数が、300ppm/℃以下である。上記樹脂粒子では、100℃~200℃における線熱膨張係数は、好ましくは250ppm/℃以下、より好ましくは150ppm/℃以下、さらに好ましくは100ppm/℃以下、特に好ましくは90ppm/℃以下である。上記樹脂粒子の100℃~200℃における線熱膨張係数が上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記樹脂粒子を用いて得られる導電性粒子(特に、導電部)におけるクラックの発生及び接続構造体におけるボイドの発生をより一層効果的に抑制することができる。
【0035】
上記樹脂粒子の100℃~200℃における線熱膨張係数の下限は特に限定されない。上記樹脂粒子の100℃~200℃における線熱膨張係数は、0ppm/℃以上であってもよい。なお、上記線熱膨張係数の測定温度範囲を100℃~200℃としているのは、導電性粒子及び接続構造体等の使用時に想定される温度範囲に基づいて範囲を設定したためである。
【0036】
上記線熱膨張係数は、樹脂粒子を圧縮して作製したペレット状試料について、錠剤成形器を用いて、圧縮荷重法(TMA)により、昇温速度5℃/分の条件で測定される。上記線熱膨張係数を測定する測定機としては、Seiko Instruments Inc.製「TMA Q400」等が挙げられる。上記錠剤成形器としては、太洋社製「STJ-0129-1」等が挙げられる。
【0037】
上記樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)は、100N/mm2以上5000N/mm2以下である。上記10%K値は、好ましくは500N/mm2以上、より好ましくは1000N/mm2以上、さらに好ましくは2000N/mm2以上であり、好ましくは4400N/mm2以下、より好ましくは4000N/mm2以下、さらに好ましくは3000N/mm2以下である。上記10%K値が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0038】
上記樹脂粒子を30%圧縮したときの圧縮弾性率(30%K値)は、100N/mm2以上2000N/mm2以下である。上記30%K値は、好ましくは300N/mm2以上、より好ましくは500N/mm2以上、さらに好ましくは1000N/mm2以上であり、好ましくは1900N/mm2以下、より好ましくは1800N/mm2以下、さらに好ましくは1500N/mm2以下である。上記30%K値が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0039】
上記樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)の、30%圧縮したときの圧縮弾性率(30%K値)に対する比(10%K値/30%K値)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.8以下、さらに好ましくは2.6以下である。上記比(10%K値/30%K値)が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0040】
上記樹脂粒子の上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)は、以下のようにして測定できる。
【0041】
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で樹脂粒子1個を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。上記樹脂粒子における上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)は、任意に選択された50個の樹脂粒子の上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)を算術平均することにより、算出することが好ましい。
【0042】
10%K値及び30%K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S-3/2・R-1/2
F:樹脂粒子が10%又は30%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:樹脂粒子が10%又は30%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:樹脂粒子の半径(mm)
【0043】
上記圧縮弾性率は、樹脂粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、樹脂粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0044】
上記樹脂粒子の圧縮回復率は、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下である。上記圧縮回復率が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0045】
上記樹脂粒子の圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0046】
試料台上に樹脂粒子を散布する。散布された1個の樹脂粒子について、微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃で、樹脂粒子の中心方向に、樹脂粒子が30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重-圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
【0047】
圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100
L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位
L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【0048】
上記樹脂粒子の熱分解温度は、好ましくは300℃以上、より好ましくは400℃以上、さらに好ましくは450℃以上、特に好ましくは470℃以上である。上記樹脂粒子の熱分解温度が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記樹脂粒子を用いて得られる導電性粒子(特に、導電部)におけるクラックの発生及び接続構造体におけるボイドの発生をより一層効果的に抑制することができる。上記樹脂粒子の熱分解温度の上限は、特に限定されない。上記樹脂粒子の熱分解温度は、600℃以下であってもよい。
【0049】
上記熱分解温度は、示差熱熱重量同時測定装置(例えば、日立ハイテクサイエンス社製「TG/DTA:STA7200」)を用いて測定可能である。測定結果における重量が初期重量から10%減少した温度を熱分解温度とする。
【0050】
スペーサとして用いた場合に、高温環境下でも、ギャップを効果的に制御する観点からは、上記樹脂粒子のアスペクト比は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.0を超え、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下、さらに好ましくは1.1以下である。上記樹脂粒子のアスペクト比は、長径/短径を示す。上記樹脂粒子のアスペクト比は、任意の樹脂粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、最大径と最小径をそれぞれ長径、短径とし、各樹脂粒子の長径/短径の平均値を算出することにより求めることが好ましい。上記アスペクト比は、平均アスペクト比であることが好ましい。
【0051】
上記樹脂粒子の粒子径は、用途に応じて適宜設定することができる。上記樹脂粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記樹脂粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂粒子を導電性粒子及びスペーサの用途により一層好適に使用可能になる。
【0052】
上記樹脂粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることが好ましい。上記樹脂粒子の粒子径は、例えば、任意の樹脂粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各樹脂粒子の粒子径の平均値を算出することや、粒度分布測定装置を用いて求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの樹脂粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の樹脂粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。粒度分布測定装置では、1個当たりの樹脂粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記樹脂粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて算出することが好ましい。
【0053】
また、導電性粒子において、上記樹脂粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
【0054】
導電性粒子の含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂体を作製する。検査用埋め込み樹脂体中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の樹脂粒子を観察する。各導電性粒子における樹脂粒子の粒子径を計測し、それらを算術平均して樹脂粒子の粒子径とする。
【0055】
上記樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。上記CV値が上記上限以下であると、樹脂粒子を導電性粒子及びスペーサの用途により一層好適に使用可能になる。
【0056】
上記CV値は、下記式で表される。
【0057】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:樹脂粒子の粒子径の標準偏差
Dn:樹脂粒子の粒子径の平均値
【0058】
上記樹脂粒子の形状は、特に限定されない。上記樹脂粒子の形状は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状等の形状であってもよい。
【0059】
上記樹脂粒子のBET比表面積は、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは1.0m2/g以上、さらに好ましくは1.5m2/g以上であり、好ましくは10.0m2/g以下、より好ましくは8.0m2/g以下、さらに好ましくは5.0m2/g以下である。上記樹脂粒子のBET比表面積が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記樹脂粒子が実装時に接続対象部材間で破壊されにくい。結果として、高温環境下でもギャップを効果的に制御することができる。
【0060】
上記樹脂粒子のBET比表面積は、BET法に準拠して、窒素の吸着等温線から測定することができる。上記樹脂粒子のBET比表面積の測定装置としては、カンタクローム・インスツルメンツ社製「NOVA4200e」等が挙げられる。
【0061】
上記樹脂粒子の用途は特に限定されない。上記樹脂粒子は、様々な用途に好適に用いられる。使用時の上記樹脂粒子の圧縮条件を変更することにより、樹脂粒子の厚みを好適に変化させることができる。
【0062】
上記樹脂粒子は、スペーサに用いられるか、電子部品用接着剤に用いられるか、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられるか、又は、積層造形用材料に用いられることが好ましい。上記樹脂粒子は、スペーサに用いられるか、電子部品用接着剤に用いられるか、又は、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられることがより好ましい。上記樹脂粒子は、スペーサとして用いられるか、電子部品用接着剤として用いられるか、又は、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられることがより好ましい。上記導電性粒子において、上記導電部は、上記樹脂粒子の表面上に形成される。
【0063】
上記樹脂粒子は、スペーサに用いられるか又はスペーサとして用いられることが好ましい。上記スペーサの使用方法としては、液晶表示素子用スペーサ、ギャップ制御用スペーサ、応力緩和用スペーサ、及び調光積層体用スペーサ等が挙げられる。上記ギャップ制御用スペーサは、スタンドオフ高さ及び平坦性を確保するための積層チップのギャップ制御、並びに、ガラス面の平滑性及び接着剤層の厚みを確保するための光学部品のギャップ制御等に用いることができる。上記応力緩和用スペーサは、センサチップ等の応力緩和、及び2つの接続対象部材を接続している接続部の応力緩和等に用いることができる。上記センサチップとしては、例えば、半導体センサチップ等が挙げられる。
【0064】
上記樹脂粒子は、液晶表示素子用スペーサに用いられるか又は液晶表示素子用スペーサとして用いられることが好ましく、液晶表示素子用周辺シール剤に用いられることが好ましい。上記樹脂粒子は、液晶表示用スペーサとして用いられるか、電子部品用接着剤として用いられるか、又は、導電部を有する導電性粒子を得るために用いられることが好ましい。上記液晶表示素子用周辺シール剤において、上記樹脂粒子は、スペーサとして機能することが好ましい。上記樹脂粒子は、良好な圧縮変形特性を有するので、上記樹脂粒子をスペーサとして用いて基板間に配置したり、表面に導電部を形成して導電性粒子として用いて電極間を電気的に接続したりした場合に、スペーサ又は導電性粒子が、基板間又は電極間に効率的に配置される。さらに、上記樹脂粒子では、スペーサの凝集及び移動を抑制することができるので、上記液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子及び上記導電性粒子を用いた接続構造体において、接続不良及び表示不良が生じ難くなる。
【0065】
上記樹脂粒子は、電子部品用接着剤に用いられるか又は電子部品用接着剤として用いられることが好ましい。上記電子部品用接着剤としては、液晶パネル用接着剤、積層基板用接着剤、基板回路用接着剤、及びカメラモジュール用接着剤等が挙げられる。上記積層基板としては、例えば、半導体センサチップ等が挙げられる。上記電子部品用接着剤に用いられる樹脂粒子又は上記電子部品用接着剤として用いられる樹脂粒子は、接着性能を有する接着性樹脂粒子であることが好ましい。上記樹脂粒子が接着性樹脂粒子であると、圧着をして樹脂粒子が硬化する際に、樹脂粒子と積層対象部材とを良好に接着することができる。上記樹脂粒子は単体で、電子部品用接着剤として用いることができる。他の接着成分を用いずに、上記樹脂粒子は、電子部品用接着剤として用いることができる。上記樹脂粒子を電子部品用接着剤に用いる場合、単体で電子部品用接着剤として用いなくてもよく、他の接着成分と共に用いられてもよい。また、上記樹脂粒子が接着性能を有する接着性樹脂粒子である場合は、スペーサ兼電子部品用接着剤として用いることもできる。上記樹脂粒子をスペーサ兼電子部品用接着剤として用いる場合、スペーサと接着剤とが別の材料によって構成される場合と比較して、ギャップ制御性や応力緩和性等のスペーサに求められる物性と、接着性との両立をより一層高度に実現することができる。
【0066】
上記樹脂粒子は、積層造形用材料に用いられることが好ましい。上記樹脂粒子を上記積層造形用材料に用いる場合、例えば、上記樹脂粒子を立体的に積層して特定の形状を形成した後に、硬化させることによって立体的な造形物を形成することができる。
【0067】
以下、樹脂粒子の他の詳細を説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。
【0068】
(樹脂粒子の他の詳細)
上記樹脂粒子の材料は特に限定されない。上記樹脂粒子の材料は、有機材料であることが好ましい。上記樹脂粒子は、多孔構造を有する粒子であってもよく、中実構造を有する粒子であってもよい。上記多孔構造は、複数の細孔を有する構造を意味している。上記中実構造は、複数の細孔を有しない構造を意味している。
【0069】
上記有機材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及びジビニルベンゼン重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン重合体は、ジビニルベンゼン共重合体であってもよい。上記ジビニルベンゼン共重合体等としては、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体及びジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0070】
上記樹脂粒子の材料は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、又はエチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。上記樹脂粒子の材料は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、又はエチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることがより好ましい。本発明の特性を有する樹脂粒子を容易に得る観点からは、上記樹脂粒子の材料は、ポリイミド樹脂であることがさらに好ましい。上記樹脂粒子の材料が、上記の好ましい態様を満足すると、樹脂粒子のCV値を下げることができ、ギャップ制御性をより一層高めることができる。また、得られる接続構造体の接続信頼性をより一層高めることができる。
【0071】
本発明の特性を有する樹脂粒子を容易に得る観点からは、上記樹脂粒子の材料は、2種以上の重合性単量体の重合により形成されたイミド基を有する重合体であることが特に好ましい。上記2種以上の重合性単量体の重合により形成されたイミド基を有する重合体は、2つの酸無水物基を有する重合性単量体と、2つのアミノ基を有する重合性単量体との重合体であることが最も好ましい。上記2つの酸無水物を有する重合性単量体は、上記2つの酸無水物を有する重合性単量体のエステル化誘導体であってもよく、上記2つの酸無水物を有する重合性単量体のカルボン酸誘導体であってもよい。上記樹脂粒子の材料が、上記の好ましい態様を満足すると、樹脂粒子のCV値を下げることができ、ギャップ制御性をより一層高めることができる。また、得られる接続構造体の接続信頼性をより一層高めることができる。
【0072】
上記2つの酸無水物基を有する重合性単量体としては、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、及びこれらのエステル化誘導体並びにカルボン酸誘導体等が挙げられる。樹脂粒子の粒子径のCV値を下げ、ギャップ制御性をより一層高める観点からは、上記2つの酸無水物基を有する重合性単量体は、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物又はそのエステル化誘導体並びにカルボン酸誘導体であることが好ましい。
【0073】
上記2つのアミノ基を有する重合性単量体としては、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,4-ジアミノブタン、1,2-ジアミノエタン及び1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン等が挙げられる。樹脂粒子のCV値を下げ、ギャップ制御性をより一層高める観点からは、上記2つのアミノ基を有する重合性単量体は、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルであることが好ましい。
【0074】
熱分解温度を高め、本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、2種以上の重合性単量体の重合により形成されたイミド基を有する重合体の分子量100%中、存在するイミド基の分子量の合計(以下、「イミド基の含有率」とすることがある)は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上である。上記イミド基の含有率が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0075】
上記樹脂粒子は、上記主鎖にイミド基を有する重合性単量体を重合させることによって得ることができる。上記の重合方法としては特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合、重縮合(縮合重合、縮重合)、付加縮合、リビング重合、及びリビングラジカル重合等の公知の方法が挙げられる。また、他の重合方法としては、ラジカル重合開始剤の存在下での懸濁重合が挙げられる。
【0076】
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、上述した樹脂粒子と、上記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える。
【0077】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0078】
図2に示す導電性粒子11は、樹脂粒子1と、樹脂粒子1の表面上に配置された導電部2とを有する。導電部2は、樹脂粒子1の表面を被覆している。導電性粒子11は、樹脂粒子1の表面が導電部2により被覆された被覆粒子である。
【0079】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0080】
図3に示す導電性粒子21は、樹脂粒子1と、樹脂粒子1の表面上に配置された導電部22とを有する。
図3に示す導電性粒子21では、導電部22のみが、
図2に示す導電性粒子11と異なる。導電部22は、内層である第1の導電部22Aと外層である第2の導電部22Bとを有する。樹脂粒子1の表面上に、第1の導電部22Aが配置されている。第1の導電部22Aの表面上に、第2の導電部22Bが配置されている。
【0081】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0082】
図4に示す導電性粒子31は、樹脂粒子1と、導電部32と、複数の芯物質33と、複数の絶縁性物質34とを有する。
【0083】
導電部32は、樹脂粒子1の表面上に配置されている。導電性粒子31は表面に、複数の突起31aを有する。導電部32は外表面に、複数の突起32aを有する。このように、上記導電性粒子は、表面に突起を有していてもよく、導電部の外表面に突起を有していてもよい。複数の芯物質33が、樹脂粒子1の表面上に配置されている。複数の芯物質33は導電部32内に埋め込まれている。芯物質33は、突起31a,32aの内側に配置されている。導電部32は、複数の芯物質33を被覆している。複数の芯物質33により導電部32の外表面が隆起されており、突起31a,32aが形成されている。
【0084】
導電性粒子31は、導電部32の外表面上に配置された絶縁性物質34を有する。導電部32の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質34により被覆されている。絶縁性物質34は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、上記導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
【0085】
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。上記金属としては、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。電極間の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記金属は、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金であることが好ましく、ニッケル又はパラジウムであることが好ましい。
【0086】
導電性粒子11,31のように、上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、上記導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、上記導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電部である場合には、電極間の接続信頼性をより一層高めることができる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性をより一層高めることができる。
【0087】
上記樹脂粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。導電部をより一層容易に形成する観点からは、上記導電部を形成する方法は、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0088】
上記導電性粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)は、好ましくは180N/mm2以上、より好ましくは1800N/mm2以上、さらに好ましくは3600N/mm2以上であり、好ましくは9000N/mm2以下、より好ましくは7000N/mm2以下、さらに好ましくは5000N/mm2以下である。上記10%K値が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0089】
上記導電性粒子を30%圧縮したときの圧縮弾性率(30%K値)は、好ましくは180N/mm2以上、より好ましくは900N/mm2以上、さらに好ましくは1800N/mm2以上であり、好ましくは3600N/mm2以下、より好ましくは3000N/mm2以下、さらに好ましくは2500N/mm2以下である。上記30%K値が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0090】
上記導電性粒子における上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)は、上記樹脂粒子における圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)と同様にして測定できる。
【0091】
上記圧縮弾性率は、導電性粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、導電性粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0092】
上記導電性粒子の圧縮回復率は、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下である。上記圧縮回復率が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0093】
上記導電性粒子の上記圧縮回復率は、上記樹脂粒子における圧縮回復率と同様にして測定できる。
【0094】
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。上記導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が樹脂粒子の表面から剥離し難くなる。また、上記導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に用いることができる。
【0095】
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には直径を意味し、導電性粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。
【0096】
上記導電性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。上記導電性粒子の粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の導電性粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。レーザー回折式粒度分布測定では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記導電性粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により算出することが好ましい。
【0097】
上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みは、導電部が多層である場合には導電部全体の厚みである。上記導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
【0098】
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続信頼性をより一層高めることができる。また、上記最外層が金層である場合に、金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
【0099】
上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。上記導電部の厚みについては、任意の導電部の厚み5箇所の平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することが好ましく、導電部全体の厚みの平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することがより好ましい。上記導電部の厚みは、任意の導電性粒子50個について、各導電性粒子の導電部の厚みの平均値を算出することにより求めることが好ましい。上記導電部の厚みは、平均厚みであることが好ましい。
【0100】
上記導電性粒子は、導電部の外表面に突起を有することが好ましい。上記導電性粒子は、表面に突起を有することが好ましい。上記突起は複数であることが好ましい。導電部の表面並びに導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電部とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性物質を備える場合に、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質又はバインダー樹脂をより一層効果的に排除できる。このため、電極間の接続信頼性をより一層高めることができる。
【0101】
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、樹脂粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、及び樹脂粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いなくてもよい。
【0102】
上記突起を形成する方法としては、以下の方法等も挙げられる。樹脂粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成する途中段階で芯物質を添加する方法。無電解めっきにより芯物質を用いずに突起を形成する方法として、無電解めっきにより金属核を発生させ、樹脂粒子又は導電部の表面に金属核を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法。
【0103】
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止することができる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が上記導電部の表面に突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。上記絶縁性物質は、絶縁性樹脂層又は絶縁性粒子であることが好ましく、絶縁性粒子であることがより好ましい。上記絶縁性粒子は、絶縁性樹脂粒子であることが好ましい。
【0104】
上記導電部の外表面、及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電部の外表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミン等の高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していてもよい。
【0105】
(導電材料)
上記導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
【0106】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0107】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0108】
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0109】
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。
【0110】
上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは30Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記導電材料の25℃での粘度が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
【0111】
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
【0112】
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0113】
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
【0114】
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、より一層好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、電極間の接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0115】
(接続構造体)
上述した樹脂粒子を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0116】
上記樹脂粒子を用いた上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。上記接続構造体では、上記接続部が、上記樹脂粒子を含む。上記接続構造体では、上記接続部が、上記樹脂粒子により形成されているか、又は上記樹脂粒子を含む組成物により形成されていることが好ましい。
【0117】
また、上述した導電性粒子、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0118】
上記導電性粒子を用いた上記接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。上記接続構造体では、上記接続部が、導電性粒子を含む。上記接続構造体では、上記接続部が、導電性粒子により形成されているか、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されていることが好ましい。上記導電性粒子は、上述した樹脂粒子と、上記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える。上記接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されている。
【0119】
上記導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。即ち、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とが上記導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
【0120】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
【0121】
図5に示す接続構造体41は、第1の接続対象部材42と、第2の接続対象部材43と、第1の接続対象部材42と第2の接続対象部材43とを接続している接続部44とを備える。接続部44は、導電性粒子11とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。
図5では、図示の便宜上、導電性粒子11は略図的に示されている。導電性粒子11にかえて、導電性粒子21,31等の他の導電性粒子を用いてもよい。
【0122】
第1の接続対象部材42は表面(上面)に、複数の第1の電極42aを有する。第2の接続対象部材43は表面(下面)に、複数の第2の電極43aを有する。第1の電極42aと第2の電極43aとが、1つ又は複数の導電性粒子11により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材42,43が導電性粒子11により電気的に接続されている。
【0123】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧時の圧力は、好ましくは40MPa以上、より好ましくは60MPa以上であり、好ましくは90MPa以下、より好ましくは70MPa以下である。上記加熱時の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。
【0124】
上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
【0125】
上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
【0126】
上記導電性粒子、上記導電材料及び上記接続材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブル基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブル基板がフレキシブルプリント基板等である場合に、フレキシブル基板は一般に電極を表面に有する。
【0127】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0128】
また、上記樹脂粒子は、液晶表示素子用スペーサとして好適に用いることができる。上記樹脂粒子が液晶表示素子用スペーサとして用いられた場合は、ギャップを効果的に制御し、基板が損傷することを防止することができる。上記第1の接続対象部材は、第1の液晶表示素子用部材であってもよい。上記第2の接続対象部材は、第2の液晶表示素子用部材であってもよい。上記接続部は、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材とが対向した状態で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との外周をシールしているシール部であってもよい。
【0129】
上記樹脂粒子は、液晶表示素子用周辺シール剤に用いることもできる。液晶表示素子は、第1の液晶表示素子用部材と、第2の液晶表示素子用部材とを備える。液晶表示素子は、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材とが対向した状態で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との外周をシールしているシール部と、上記シール部の内側で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との間に配置されている液晶とをさらに備える。この液晶表示素子では、液晶滴下工法が適用され、かつ上記シール部が、液晶滴下工法用シール剤を熱硬化させることにより形成されている。
【0130】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る樹脂粒子を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
【0131】
図6に示す接続構造体81は、液晶表示素子である。接続構造体81は、接続対象部材として、一対の透明ガラス基板82を有する。透明ガラス基板82は、対向する面に絶縁膜(図示せず)を有する。絶縁膜の材料としては、例えば、SiO
2等が挙げられる。透明ガラス基板82における絶縁膜上に透明電極83が形成されている。透明電極83の材料としては、ITO等が挙げられる。透明電極83は、例えば、フォトリソグラフィーによりパターニングして形成可能である。透明ガラス基板82の表面上の透明電極83上に、配向膜84が形成されている。配向膜84の材料としては、ポリイミド等が挙げられる。
【0132】
一対の透明ガラス基板82間には、液晶85が封入されている。一対の透明ガラス基板82間には、複数の樹脂粒子1が配置されている。樹脂粒子1は、液晶表示素子用スペーサとして用いられている。複数の樹脂粒子1により、一対の透明ガラス基板82の間隔が規制されている。一対の透明ガラス基板82の縁部間には、シール剤86が配置されている。シール剤86によって、液晶85の外部への流出が防がれている。シール剤86には、樹脂粒子1と粒径のみが異なる樹脂粒子1Aが含まれている。
【0133】
上記液晶表示素子において1mm2あたりの液晶表示素子用スペーサの配置密度は、好ましくは10個/mm2以上であり、好ましくは1000個/mm2以下である。上記配置密度が10個/mm2以上であると、セルギャップがより一層均一になる。上記配置密度が1000個/mm2以下であると、液晶表示素子のコントラストがより一層良好になる。
【0134】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0135】
(実施例1)
(1)樹脂粒子の作製
温度計、冷却管、原料供給口を備えた反応容器に、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物5.6重量部と、エタノール98重量部とを入れ、1時間撹拌することで均一に溶解させた。次に、80℃まで昇温しエタノールを加熱還流させながら、8時間撹拌することで、ジエチルエステル体化合物のエタノール溶液を得た。
【0136】
次いで、温度計、冷却管、原料供給口を備えた反応容器に、得られたエタノール溶液に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル2.5重量部を加えて、1時間撹拌し、均一に溶解させた。次に、80℃まで昇温しエタノールを加熱還流させながら、5時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターによりエタノールを留去することで、モノマー塩を得た。
【0137】
さらに、温度計、冷却管、原料供給口を備えた反応容器に、上記モノマー塩と、分散安定剤(富士フイルム和光純薬社製「PVP K-30」)1.3重量部と、反応溶媒としてエチレングリコール296重量部とを加え、1時間撹拌し、均一に溶解させた。次に、200℃まで加熱し、エチレングリコールを加熱還流させながら、24時間撹拌した後、分級操作することで樹脂粒子を得た。
【0138】
(2)導電性粒子の作製
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、超音波分散器を用いて、得られた樹脂粒子10重量部を分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、分散液を得た。次に、ニッケル粒子スラリー(平均粒子径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された樹脂粒子を得た。芯物質が付着された樹脂粒子を蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液Aを得た。
【0139】
また、前期工程用ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル500g/L、次亜リン酸ナトリウム150g/L、クエン酸ナトリウム150g/L、及びめっき安定剤6ml/Lの混合液をアンモニアにてpH8に調整しためっき液を用意した。このめっき液150mlを、20ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、懸濁液Aに滴下した。反応温度は、50℃に設定した。その後、pHが安定するまで撹拌し、水素の発泡が停止するのを確認し、無電解めっき前期工程を行った。
【0140】
次に、後期工程用ニッケルめっき液として、硫酸ニッケル500g/L、ジメチルアミンボラン80g/L、及びタングステン酸ナトリウム10g/Lの混合液を水酸化ナトリウムにてpH11に調整しためっき液を用意した。このめっき液350mlを、10ml/分の添加速度で定量ポンプを通して、無電解めっき前期工程後の懸濁液Aに滴下した。反応温度は、30℃に設定した。その後、pHが安定するまで撹拌し、水素の発泡が停止するのを確認し、無電解めっき後期工程を行った。その後、懸濁液Aをろ過して粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子と樹脂粒子の表面上に配置されたニッケル導電層(導電部)とを有し、該導電部の外表面に突起を有する導電性粒子を得た。
【0141】
(3)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
得られた導電性粒子7重量部と、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂25重量部と、フルオレン型エポキシ樹脂4重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂30重量部と、SI-60L(三新化学工業社製)とを配合して、3分間脱泡及び撹拌することで、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
【0142】
(4)接続構造体の作製
L/Sが15μm/15μmであるAl-Nd合金配線にIZO電極パターンが上面に形成された厚み0.5mmの透明PET基板を用意した。また、L/Sが15μm/15μmである金電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。上記透明PET基板上に、得られた異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗布し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、バンプ面積あたり30MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
【0143】
(実施例2)
樹脂粒子の作製の際に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル2.5重量部の代りに1,3-フェニレンジアミン1.4重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0144】
(実施例3)
樹脂粒子の作製の際に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル2.5重量部の代りに1,3-ジ(アミノメチル)シクロヘキサン(Cis型構造体及びtrans型構造体の混合物)1.8重量部を用いた。また、分散安定剤の添加量を1.3重量部から1.2重量部に変更し、反応溶媒の添加量を296重量部から270重量部に変更した。上記の変更をしたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0145】
(実施例4)
樹脂粒子の作製の際に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル2.5重量部の代りに1,8-ジアミノオクタン1.8重量部を用いた。また、分散安定剤の添加量を1.3重量部から1.2重量部に変更し、反応溶媒の添加量を296重量部から271重量部に変更した。上記の変更をしたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0146】
(比較例1)
種粒子として平均粒子径0.85μmのポリスチレン粒子を用意した。上記ポリスチレン粒子0.85重量部と、イオン交換水500重量部と、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液120重量部とを混合し、混合液を調製した。上記混合液を超音波により分散させた後、セパラブルフラスコに入れて、均一に撹拌した。
【0147】
次に、モノマーとしてイソボルニルアクリレート19重量部と、ジビニルベンゼン(純度96重量%)5重量部と、重合開始剤として過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)1.3重量部と、ラウリル硫酸トリエタノールアミン7.4重量部と、エタノール22重量部とをイオン交換水350重量部に添加し、乳化液を調製した。
【0148】
セパラブルフラスコ中の上記混合液に、上記乳化液を2回に分けて添加し、8時間撹拌し、種粒子にモノマーを吸収させて、モノマーが膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
【0149】
その後、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液170重量部を添加し、加熱を開始して85℃で11時間反応させ、樹脂粒子を得た。
【0150】
得られた樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0151】
(比較例2)
イソボルニルアクリレートを添加しなかったこと、及びジビニルベンゼン(純度96重量%)の添加量を5重量部から24重量部に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0152】
(比較例3)
イソボルニルアクリレート19重量部をテトラアクリレート(新中村化学工業社製「NKエステルA-TMMT」)12重量部に変更したこと、及びジビニルベンゼン(純度96重量%)の添加量を5重量部から12重量部に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料、及び接続構造体を得た。
【0153】
(評価)
(1)樹脂粒子の粒子径(数平均粒子径)及び樹脂粒子の粒子径のCV値
得られた樹脂粒子について、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の樹脂粒子の粒子径を測定し、平均値を算出した。また、樹脂粒子の粒子径の測定結果から、樹脂粒子の粒子径のCV値を下記式から算出した。
【0154】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:樹脂粒子の粒子径の標準偏差
Dn:樹脂粒子の粒子径の平均
【0155】
(2)樹脂粒子のアスペクト比
得られた樹脂粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、アスペクト比を求めた。なお、上記アスペクト比として、任意の樹脂粒子50個のアスペクト比の平均値を採用した。
【0156】
(3)BET比表面積
得られた樹脂粒子のBET比表面積を、測定装置(カンタクローム・インスツルメンツ社製「NOVA4200e」)を用いて、BET法に準拠して窒素の吸着等温線から測定した。
【0157】
(4)線熱膨張係数
得られた樹脂粒子と同一組成の板状試料を作製し、測定機(Seiko Instruments Inc.製「TMA Q400」)を用いて、圧縮荷重法(TMA)により、昇温速度5℃/分の条件で線熱膨張係数を測定した。
【0158】
(5)熱分解温度
示差熱熱重量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス社製「TG/DTA:STA7200」)を用いて、得られた樹脂粒子の熱分解温度を測定した。なお熱分解温度は、測定結果における重量が初期重量から10%減少した温度である。
【0159】
(6)樹脂粒子の10%K値、30%K値及び比(10%K値/30%K値)
得られた樹脂粒子の10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)及び30%圧縮したときの圧縮弾性率(30%K値)を上述した方法により測定した。また、計算により比(10%K値/30%K値)を求めた。なお、微小圧縮試験機として、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いた。
【0160】
(7)ギャップ制御性
得られた接続構造体をオーブン内で200℃まで加熱し、温度を保持したまま1時間放置した。走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、接続部(異方性導電ペースト層)の最小厚み及び最大厚みを測定した。ギャップ制御性を、以下の基準で判定した。
【0161】
[ギャップ制御性の判定基準]
○:最大厚みが最小厚みの1.2倍未満
△:最大厚みが最小厚みの1.2倍以上1.4倍未満
×:最大厚みが最小厚みの1.4倍以上
【0162】
(8)接続対象部材の損傷防止性
(7)で評価した接続構造体について、光学顕微鏡を用いて、PET基板表面上の1mm×1mm当たりの損傷の数を計測した。接続対象部材の損傷防止性を、以下の基準で判定した。
【0163】
[接続対象部材の損傷防止性の判定基準]
○:PET基板表面の損傷の数が0個以上5個以下
×:PET基板表面の損傷の数が6個以上
【0164】
(9)ボイド抑制性
得られた接続構造体100個を、オーブン内で300℃まで加熱し、温度を保持したまま1時間放置した。放置後の接続構造体を、クロスセクションポリッシャ(日本電子社製「IB-19530CP」)を用いて、接続部の断面を切り出した。電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)(日本電子社製「JEM-ARM200F」)を用いて、画像倍率10000倍に設定し、導電性粒子の周辺でボイド(気泡)の有無を観察した。ボイド抑制性を、以下の基準で判定した。
【0165】
[ボイド抑制性の判定基準]
〇〇:ボイドが発生している接続構造体が1個以下
〇:ボイドが発生している接続構造体が2個以上5個以下
△:ボイドが発生している接続構造体が6個以上10個以下
×:ボイドが発生している接続構造体が11個以上
【0166】
(10)クラック抑制性
得られた導電性粒子5gを、オーブン内で300℃まで加熱し、温度を保持したまま1時間放置した。放置後の導電性粒子を、電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)(日本電子社製「JEM-ARM200F」)を用いて、画像倍率10000倍に設定し、100個の導電性粒子を無作為に選択し、導電部のクラックの有無を観察した。クラック抑制性を、以下の基準で判定した。
【0167】
[クラック抑制性の判定基準]
〇〇:クラックが発生している導電性粒子が1個以下
〇:クラックが発生している導電性粒子が2個以上5個以下
△:クラックが発生している導電性粒子が6個以上10個以下
×:クラックが発生している導電性粒子が11個以上
【0168】
(11)接続信頼性(上下の電極間)
得られた接続構造体20個の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続信頼性を以下の基準で判定した。
【0169】
[接続信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が2.0Ω以下
○:接続抵抗の平均値が2.0Ωを超え3.0Ω以下
×:接続抵抗の平均値が3.0Ωを超える
【0170】
結果を以下の表1に示す。
【0171】
【符号の説明】
【0172】
1,1A…樹脂粒子
2…導電部
11…導電性粒子
21…導電性粒子
22…導電部
22A…第1の導電部
22B…第2の導電部
31…導電性粒子
31a…突起
32…導電部
32a…突起
33…芯物質
34…絶縁性物質
41…接続構造体
42…第1の接続対象部材
42a…第1の電極
43…第2の接続対象部材
43a…第2の電極
44…接続部
81…接続構造体(液晶表示素子)
82…透明ガラス基板(接続対象部材)
83…透明電極
84…配向膜
85…液晶
86…シール剤